日本における占いの40年史を概観できる本である。
この本を書いたのは、鏡氏自身が、現在、サターンリターン(生まれた時の土星の位置に土星が戻って来る)という特別のタイミングにあり、人生の総決算としての一つの区切りが来たからだと分析している。

今回、鏡リュウジ氏のチャートを改めて検討して痛感したのは、2-8軸の重要性である。
鏡リュウジ氏が一流の人物であることを保証するのは、単に才能豊かであるというだけではない。そこには家族や出自といった問題も深く関わっている。
例えば、父親は実業家で、鏡リュウジ氏によれば、事業が傾いた結果、母親との離婚理由になったということであったが、母親自体も1964年に日本で初めての「きもの教室」を開校した服部和子きもの学院長の服部和子氏である。
例えば、京セラの稲盛さんをパーティーに招くといったことも行うような実力者である。
京都といえば、一見さんをお断りする閉鎖的な世界であり、伝統的で保守色も強く、そこで一流の人々と交流する家系ということになれば、それはかなりの名門の生まれと言ってもいいかもしれない。
つまり、鏡氏は一般人というよりもむしろ貴族なのである。
これは、鏡氏のチャートにおいて、2室支配の太陽が8室に在住して2室にアスペクトバックし、そして9室支配の木星が2室に在住し、2室支配の太陽と相互アスペクトするという2室の強い配置がもたらしたものである。
これが家系や家族の強さ、そして財力といった本人の出自にもつながる安定性をもたらす要素である。
フランスの哲学者・社会学者であるピエール・ブルデューが「文化資本」と名付けた、有利な社会階級に生まれたことによって生じる教養、知識、芸術的センス、学歴といったものそのものである。
こうした豊かな貴族的な資質、伝統を持っているからこそ、鏡リュウジ氏は教育界や出版界においてそれなりに優遇された扱いを受けたのである。
つまり、服部和子きもの学院の創業者である母親を持っているということが、かなりの信用となって社会的な優遇を受ける要素となっているのである。
それで高校時代に雑誌の連載を任されるといった、通常ありえないような優遇を受けたのである。
もちろん、それにはマハダシャーの支配星である金星の有利な配置ということも当然あるのだが、そうした背景がなければかなり厳しかったのではないかと思われる。
この2-8軸というものは、2室が家族、財産といった先祖代々からつながる家系のことを意味している。
そして8室は遺産相続のハウスである。
つまり2-8軸というのは、先祖代々受け継いだ蓄積のことである。
これは一朝一夕にして得られるものではない。
長い輪廻転生の結果、同じ家系の人々と何度も付き合いを続けてきた結果としての財産である。
通常、カルマというものは、同じ家系の人々で複雑に形成されることが多い。
例えば、父親が子供として生まれてきて、子供が親として生まれてきたり、あるいは兄弟が親子として生まれてきたり、カルマというものは非常に家族関係の中で濃密であり、また時には近親相姦的である。
つまり、よく前世占いなどで「前世はヨーロッパの貴族として生まれていた」などといった馬鹿げたビジョンを主張する霊能者もいるが、全く何の関わりもない人々がシャッフルのようにして結びつけられるといったことはあり得ないのである。
家系の因縁によって、同じ家系のもとに何度も何度も転生するというのが普通のことなのである。
したがって、そのような鏡リュウジ氏が有力な両親のもとに生まれてきたこと、そして名門の出自であるといったことは、非常に長い輪廻転生の結果、積み重ねられてきた財産といっていいかもしれない。
そのようなものが、鏡氏の生活、あるいは今生における存在自体を強力にサポートしているのである。
そして、もう一つ重要な配置は、ラグナロードが9室に在住し、9室に惑星集中する配置である。
9室は教育界を意味し、学問探究を意味している。ある教授について、特定の分野の学問を追求した結果、大学院に進み、修士課程、博士課程と進んでいき、最終的に気づいたら教授になっていた、といった世界が9室である。
鏡リュウジ氏も本当はこのような教育界に進むような人間であり、大学の教授になっているのが自然なタイプである。
しかし、7室に在住する金星と水星が、そのような教育界だけに属するというよりも、出版界で女性週刊誌に記事を書いて、雑誌の取材で旅をしたり、様々な人に出会いながら生計を営むといった形にさせたのである。
そして、鏡氏の9室は水星が減衰する魚座であり、これがスピリチュアルな世界、オカルトサイエンスや魔術といったものに傾倒した理由である。特にユング心理学に傾倒した理由、占星学の数学的な基盤よりも、むしろユング心理学の元型といった概念、アニマ・アニムスのような概念を駆使し、象徴解釈の方を重視した理由である。
この9室は、11室から見た11室目のハウスであり、11室の本質のハウスである。したがって、11室の特徴である飛び抜けて高い評価や称号、肩書き、成功といったものを体現したのは、11室の象意が9室に含まれているからである。
このように見ていくことで、鏡氏のことが非常によく理解できた気がする。
特に鏡リュウジ氏を一流の人物に仕立てているのが、この強力な2-8軸であるということが改めてわかった気がする。
そして、このスピーチの2室に在住する木星というものが、講演活動において重要な役割を果たしたのである。
2室の木星というものは、非常に豊富な教養や古典の知識を引用して、様々な教育的なスピーチ(説法)をすることができる配置である。
実際、大学教授になったとしても、常に毎回、教室で講演をするようなものであるから、うまくいったに違いないと思われる。
鏡リュウジ氏は、つまり半分ぐらいは大学教授のような活動をしているのである。
しかし、大学教授となって教育界にどっぷりと浸ることはせず、占いといった学問として認められない領域を探求するために出版界に身を置くことになった。
そして、雑誌の取材などで様々な人と出会い、旅行し、世俗の世界にどっぷりと浸ることになったのは、金星と水星が7室に在住していたからである。
しかし、そんな鏡リュウジ氏であるが、占星術は当たらないと考えていた。
つまり、占星術が正確に的中する再現性のある科学であると理解するだけの才能や識別力は備えていなかったのである。
つまり、その人のトータルな実力とは才能だけで決まるわけではない。
才能とは、様々な種類があり、それらの甲乙などは付けがたいものである。
強い2-8軸、また強い11室など、純粋な才能だけで決まらないトータルな実力というものが存在する。
そのように実力とは才能に限定されない、もっと広義の概念である。
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