お見合いとは何か

昨年の11月、土星が私の8室蠍座に入室し、蟹座から木星が8室と8室の支配星にアスぺクトして、8室にダブルトランジットを形成していた時、私の実家の方に私の見合いの話が来ていたようだ。

私の高校の関連とかで、私のデータを調べ上げていて、是非、一度、見合いをさせて欲しいなどと私の実家の親に言ってきたようである。

当時、私が実家に帰った時にそのような話を聞いた。

おそらく高校の卒業アルバムのデータなどを入手していたのだろうと思われる。

その人物は、会ったこともない私のことを「なかなかの逸材ではないですか、是非、一度、見合いをさせて下さい」などと気持ちの悪いことを言ってきたようである。
このようなことは今まで無かった為、これは8室にダブルトランジットが成立したこと、特に8室に土星が通過していることによって生じた効果である。

このような体験から分かったことは、お見合いの本質とは何かということである。
お見合いの本質とは、恋愛(5室)や交際(7室)をせずにいきなり結婚生活(8室)に入ろうとするプロセスである。

ラグナロードが8室に在住している人が20歳前後から数えきれない程、お見合いを経験していると聞いたが、やはり8室が強調されているからである。
また8室ばかりでなく、2室も7室からみた8室なので、お見合い相手(7室)の結婚生活(8室)に該当する。

従って、2室にダブルトランジットが形成されている時、あるいは2室の支配星のダシャーの時期などに結婚生活を得たいと思って、お見合いのオファーがあるのである。

このように2-8室の軸がお見合い経験の軸である。
そのお見合いであるが、大抵は、親の知人の紹介とか、本人ではなく、本人の両親を通じてオファーがあるのである。

つまり、お見合いとは家同士の契約・交渉事なのである。
そして結婚相手の家柄とか、両親の社会的ステータスを結婚の重要な要素とする場合、特にこの2-8の軸が強調されるのである。

8室は棚から牡丹餅であり、本人にとっては見合いというのは、突然、降ってわいた話である。

然し、8室は自由を束縛され、支配されるハウスでもあるため、本人たちは全く自由がない。

つまり、家同士が勝手に話を進めて、当人たちに結婚生活(2-8の軸)を与えようとするのがお見合いである。

いや、結婚生活を与えようとしているのではなく、当人たちを交渉事に利用しているのがお見合いである。
これは伝統社会とか封建社会によく見られる光景である。

生まれた娘を政略結婚の道具として、相手の家に嫁がせて、それで家の安泰を図るということが行われてきた。

娘は相手の家に贈る財物だったのである。
今でも伝統社会、例えば、政治家とか名家のようなエスタブリッシュメントな家に生まれたような人々の結婚というものは、そのように相手の家柄を意識して、ある程度、そのような観点から行われる。

市川海老蔵と小林麻央の結婚とか、また天皇家に娘を嫁がせた小和田家もそうである。
8室は家柄とか深いカルマを表し、8室からは逃れることが出来ないのである。

もし8室に惑星が在住していれば、そのような見合いという形で縁談がやってくる。

10室の支配星が8室に在住していれば、仕事の話は常に人からの紹介で来たりする。
例えば、日本よりも伝統社会の名残が根強く残っているインドなどではいまだに本人の意志とは無関係に家同士が勝手に結婚を決めてしまうという因習が続いているようである。

特に女性が結婚する場合、持参金を持って、相手先の家に嫁がなければいけないという持参金制度(ダヘーズ)の問題がある。

これらは封建社会の頑強なシステムであり、近代化されていない地域では根強く残っている。
文化人類学者のクロード・レヴィストロースは、「親族の基本構造」の中で、結婚は女性の交換であると結論付けたが、家同士が本人たちの意志とは無関係に結婚を取り決めてしまうというのは、まさしく結婚は家族(両親)にとっての財物の交換なのではないかと思うのである。

日本の歴史の中でも藤原氏などが天皇家に自分の娘を嫁がせて栄華を築いたが、明らかに女性は財物であり、贈り物として機能していたようである。

新婦側の家族が女性に持参金を持たせて相手に贈ることによって新郎側の相手から同盟関係などの有利な契約を勝ち取り、新婦側の家族は社会の中で安定する。

結婚とはそのような家同士の勢力争いや自己主張の道具なのではないかと思われるのである。
つまり、両親(実家)同士の契約関係とは、2-8の軸での相互アスペクトや星座交換のようである。

そして、両親(実家)にとっては、交換される私たちの結婚とは1-7室の相互アスペクトや星座交換であり、それは両親(実家)にとっては12室の支配星が6室に在住しているか、6室と12室が星座交換しているかのように働くと思われる。

shinzoku_kouzou それは結局、出費(12室)をして、相手に奉仕する(6室)という行為である。

奉仕とは結局、労働やサービスを提供して相手に貸しを作るような行為である。

このように考えると、文化人類学者が言う、家同士の女性(財物)の交換としての結婚という概念は、占星術の12星座のハウスシステムのロジックとして説明できるのである。
つまり、見合い結婚とは、結婚の当事者が家同士の取引や交渉の道具として財物として扱われることを意味している。

特に花嫁側の家が花婿側の家に財物(女性)を提供し、それで、相手に貸しを作って社会的な力を安定させる行為なのではないかと思われる。

クロード・レヴィストロースの発見は、”構造主義”と呼ばれているが、占星術的に考えて興味深い。

まさに12星座や12ハウスのシステムが、人間の社会的な相互関係やあり方を規定しているというのは構造主義的な発想であるからである。

相手側の家に提供する財物である女性に少しでも高い付加価値を与えるために持参金を持たせるという風習が始まったのではないかと思われるのである。

このような風習は、インドに限らず、封建社会であれば世界中のどこにでも見られるようである。

何故なら、12星座や12ハウスのシステムが、普遍的なものであるからである。
因みに見合い結婚というのは、そうして考えると、2-8室の軸で表されるものであり、そこには8室が絡むので苦悩や束縛が生じるのである。

インドの映画で『デーヴダース』(Devdas 2002) という家同士の身分が違うことで結婚出来ない悲恋物語があるが、まさに家同士の交渉・交換の道具としての結婚を描いた作品である。
家の縁談や見合いを断って、恋愛駆け落ちする物語が何故、感動や共感を呼ぶかと言うと、それは封建社会の古い因習や家同士の物質的な虚栄の経済論理に従わずに束縛から逃れて、自由や真の幸福というサットヴァな魂の価値に従って生きたからである。

一方で、古い因習は明らかに家同士の物質的価値に基づいている。

魂が物質的な価値に勝利することに皆、深いレベルで感動し、共感するのである。

近代社会というものは、封建社会のくびきから脱出し、自由、平等、民主主義のような価値を人々に与えている。

それには自由恋愛も含まれる。
見合い結婚とは、家同士の強制的な取引としての結婚の名残を残しているのである。
私の8室に土星と木星がダブルトランジットした時に私の実家の両親が私の知らない所で、私の見合いの話を勧められていたことから、何とも気持ちのわるい思いをしたが、それは、やはり、家同士の強制的な取引の名残として、私が道具として扱われた感覚を受けたからである。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • はじめまして。
    いきなり質問になってしまい申し訳ないのですが、アヤナムシャは結局何度なのでしょうか?
    wikiの23.51度は15年前のものなので、今は24.11度辺りのズレで計算しても大丈夫でしょうか?
    たまにネットで、大体23度ぐらいとか、24度ぐらいで、という書き込みを見ますが、そんなアバウトな数字でいいのだろうか…と思ってしまいます。

    私も8室に月があり、ナヴァムシャだと木星があります。
    恋愛はほとんどしたことがなく、結婚するとしたらお見合いか相談所かなと、学生の頃から考えていました。
    • 2015年12月1日付で、パラシャラズライトという占星術ソフト上では、24:04:45です。
  • 秀吉さま
    詳細な数字を教えてくださりありがとうございます。(._.)_
    これからも更新を楽しみにしています。

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