イラン保守大国の内部事情 -女性の死に対する抗議運動がイラン全土に広がる-


イランの道徳警察に逮捕され、数日後に亡くなったクルド系のマサ・アミニさん(22)


イランで、スカーフの着け方で、頭髪を適切に覆っていなかったとして、道徳警察に逮捕されていた女性が死亡したことに抗議するデモが4週目に突入している。


そのデモに対して、イラン当局は取り締まりを強化し、デモに参加した市民が200名以上死亡している。


イラン当局はインターネットを遮断し、デモが拡大している様子や、デモを弾圧する様子が海外に伝わらないように苦心している。


おそらく自分たちでもそれが恥ずかしいことであると認識しており、国際社会には知られたくないことを意味している。


西側各国は、イラン当局の取り締まり強化に懸念を表明し、デモに対する支持を表明している。



スカーフの着け方で……イラン道徳警察に逮捕された女性が死亡 女性たちが抗議
2022年9月19日 BBC NEWS | JAPAN

イランの首都テヘランで、道徳警察に逮捕された女性が数日後に死亡した。目撃者によると、頭髪を適切に覆っていなかったとして拘束されたこの女性は、警察車両の中で殴られていたという。警察への批判が高まる中、女性の葬儀では多くの女性が髪を覆うスカーフを脱ぎ捨てて抗議した。

マサ・アミニさん(22)は13日、頭髪を覆うスカーフを適切に着けていなかったとして道徳警察に逮捕された。目撃者によると、アミニさんは警察車両の中で殴られ、その後、意識不明に陥った。アミニさんは16日に亡くなった。

警察は暴行を否定し、アミニさんが心臓発作に襲われたと主張している。

アミニさんの葬儀は17日、地元の西部サケズで行われた。大勢の市民が詰めかけ、警察への抗議の場となった。ヒジャブを脱ぎ捨てて抗議する女性たちや、「独裁者に死を」と叫ぶ抗議者も見られた。

ソーシャルメディアに投稿された動画では、治安部隊が葬儀に突入できないよう、地元住民が早朝から集まる様子が映っている。

また、アミニさんの死に抗議して市庁舎に押し寄せる抗議者もいた。BBCペルシャ語サービスが確認した動画では、治安部隊が抗議者に発砲していた。

また、逮捕者や負傷者も出ているという。

テヘラン北部のカスラ病院は声明で、アミニさんは13日に「生命兆候のない状態」で運ばれてきたと発表した。

しかし、強硬派のSNSアカウントなどが、病院職員を「反政府エージェント」と糾弾したため、この声明はSNSから撤去された。

イランの国営テレビも、アミニさん逮捕時の監視カメラ映像を放送したが、人権保護団体は、テレビ局が映像を検閲して事実と異なる物語を捏造(ねつぞう)していると批判している。

サイバーセキュリティーやインターネットのガバナンス(統治・管理)の監視団体「ネットブロックス」によると、アミニさんの死が報じられた直後、テヘランやセケズなど複数の地域でインターネットが阻害されたという。

この間、インスタグラムやワッツアップに動画を掲載することができなくなった。

保守派のエブラヒム・ライシ大統領は、アミニさんの死について調査するよう内務省に指示している。

イランでは1979年のイスラム革命後、女性は「イスラム的な」控えめの衣服を着るよう法的に義務付けられている。実際には、全身を覆うチャドルか、頭髪を覆うスカーフと腕を隠すマントを着る必要がある。

近年では、ヒジャブ義務化への反対運動が何度か繰り返されてきた。特に、服装規定違反だとされた女性に対する道徳警察の厳しい取り締まりをきっかけに、ヒジャブ強制への反対が高まっている。

一方でイランのゴラムホセイン・モフセニ=エジェイ司法長官はこのほど、こうしたヒジャブ強制反対の背後には外国勢力がいるという見方を示した。情報機関に「裸のベールの背後にある手」を見つけるように指示した。

ライシ大統領も、「イスラム社会における組織的腐敗の促進」を取り締まると約束。イラン国営テレビはここ数カ月、厳しい服装規定を守らなかったとして逮捕された女性の告白をテレビで放映している。

多くのイラン人は、最高指導者アリ・ハメネイ師が弾圧の原因だと非難している。ソーシャルメディアでは、ハメネイ師が道徳警察の役割とその運営方法を賞賛する演説が共有されている。

(英語記事 Iran headscarf protest at arrested woman’s funeral )


イランの2020年の新月図を作成してみると、蟹座ラグナで、土星、火星は7室に在住している。





イランはコロナの感染者数が755万で、死者数が14.4万と、他の各国と同様、大きな被害を受けている。



然し、土星、火星が7室に在住している為か、2020年はコロナの感染拡大もあったが、アメリカとの軍事的緊張が高まった時期である。


2020年1月3日にバグダード国際空港攻撃事件で、イランのイスラム革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニー司令官ら10人が、アメリカの無人攻撃機からの攻撃で、死亡している。


これは、2019年12月27日にイラク軍基地をイランの武装勢力がロケット弾で攻撃した際、アメリカの民間人1人が死亡、アメリカ兵4人とイラク治安部隊2人が負傷したことに対する報復であったが、1月3日にソレイマーニー司令官らが死亡した後、2020年1月8日にイスラム革命防衛隊が、アメリカ軍が駐留する基地に対して、複数の弾道ミサイルを発射するという応酬に発展している。

従って、2020年はアメリカとイランの軍事的緊張が高まった時期であると言える。



これは2020年の新月図によく現れている。





それでは、2022年の新月図を見ると、今度は土星と火星が8室に在住している。



8室から2室にアスペクトして、2室も傷つけている。



この山羊座8室の土星と火星は、非常に深刻なダメージをその国家に与える配置である。



それは2020年の新月図で、8室に土星と火星が在住していた中国やイタリアでは、新型コロナで、深刻な被害を受けたことからも納得できる。



8室には国の支配者、大統領、首相、王、独裁者の死、政府の終焉、国家の破壊といった象意があり、その国の行き詰まり状態を表わしている。







今回のデモが広がりを見せて、イラン当局が躍起になって、デモを鎮圧し、200名以上の死者が出ていることや、イラク国営テレビが、ハッキングを受けて、イランの最高指導者アリー・ハーメネイー氏の写真に照準が合わせられ、死亡した女性たちの写真が放映されるなどの事件も発生し、政権が動揺していることが、この8室の土星と火星で表わされている。


(2020年の中国では、道端でコロナで倒れる人々を共産党当局が、強制的にトラックに載せて、連れ去り、隔離したり、火葬場で焼くといった行為を行ったのもこの山羊座8室での土星、火星の表現である)


こうしたイラン当局の取り締まり強化について、アメリカや西側諸国が、懸念を表明し、経済制裁などにつながっていく可能性が出て来ている。


これは、土星、火星が2室(国の財政)にアスペクトして、2室を傷つけている為である。






イランの建国図を見ると、蟹座ラグナで、ラグナで9室支配の木星が高揚し、9室魚座に太陽、水星、火星が惑星集中している。



こうした蟹座と魚座への惑星集中が、イランが厳格な保守の国であることを表わしている。



パフラヴィー朝イランの第2代皇帝モハンマド・レザー・シャーの親欧米専制を打倒して、政権を奪取したイラン・イスラム革命が、この国の宗教国家、保守国家としての本質を象徴している。


先日、傷害事件のあった小説家サルマン・ラシュディー氏にかつてイランの最高指導者が死刑宣告を出したことなども考えると、頑強な保守の国である。



然し、2017年9月11日のCOURRIERで、イランの若者の間で、乱交パーティーなどが流行っているといった記事が紹介されていた。(参考資料参照)



厳格な保守の国イランでは、当局の目をかいくぐって、若者が文化的な面で、過激に反抗していたようである。




イランの建国図を見ると、このことはよく現れている。



イランは、木星、太陽、水星、火星などが、蟹座と魚座の水の星座に惑星集中している為、封建的な厳格な保守の国なのだが、金星が水瓶座の8室に在住し、そこにラーフ/ケートゥ軸も絡み、ディスポジターの土星が獅子座から水瓶座8室にアスペクトバックしているのである。


この水瓶座は、革新勢力を表わしており、リベラルで自由を求める若者文化を表わしていることは明らかである。



然し、この水瓶座は蟹座から見ると8室で、魚座から見ると12室であり、イラン当局から見ると損失であり、悩みの種である。




因みに水瓶座は、アメリカや西側諸国の何かとパーティーを行い、人が集って自由に交流する文化を表わしている。



乱交パーティーまで行かなくても何かとパーティーを行って、若者が交流するのがアメリカの文化である。



例えば、アメリカの高校生活の最後にプロムというダンスパーティが行われるが、男子が女子をダンスに誘って、参加するという習わしになっている。



西欧の宮廷文化などでもサロンに集う貴族が、仮面舞踏会を催したり、水瓶座的な集いが行われている。



モーツアルトがこうした舞踏会に呼ばれて、演奏するなどしたのであるが、こうした集いによる横の連帯がやがて、フランス革命などに繋がっていく。



こうした真面目な文化から不道徳な文化までが、水瓶座的なニュアンスがある。



因みにイランの若者の間で、過激な性文化が流行っているのは、金星がシャタビシャー(ラーフ)に在住し、ラーフがプールヴァパールグニー(金星)に在住し、金星とラーフがナクシャトラ交換していたり、金星のディスポジターである土星がプールヴァパールグニー(金星)に在住していることから来ているのではないかと思われる。




つまり、金星が在住する星座の支配星もナクシャトラの支配星もプールヴァパールグニー(金星)に在住している。



プールヴァパールグニー(金星)は快楽主義であり、娯楽や恋愛、快楽を追求するナクシャトラである。



人生において、自分がまず、果実を味わいたい、人生を謳歌したいと考えるナクシャトラであり、芸能界に多いと言われる。



またプールヴァパールグニーには、「夫婦の寝室」といった象意もあり、男女の恋愛や性愛、子孫繁栄というのは、このナクシャトラの基本的な象意である。



ネットの情報によれば、イランの女性は美意識が高く、当たり前のように整形手術を行なうという。



(この辺りは、私が以前の記事「筋トレの心理-マッチョな男の心理学-」でも示したが、プールヴァパールグニーは、自分の身体美を物質欲の一種として追求するのである)






そうしたことで、この厳格な保守の国であるイランで、若者の間に乱交パーティーといった文化が、当局の目を盗んで、流行っているのである。



そして、そうした精神が、リベラルな政治思想にもつながっていることは間違いなく、今回、イランの道徳警察が、暴行などして、女性を死亡させた事件に若者たちが怒り狂い、大規模デモにつながっているのである。



イランの建国図を見ると、金星は、若い女性を表わす表示体であるが、文化や芸術などを表わす惑星でもある。



この金星が、8室に在住し、ケートゥとコンジャンクトしている配置は、9室支配の木星が蟹座に在住していることを考えると、イランの宗教的指導者たちから見れば、若い女性たちの文化は悩みの種であり、幻滅、失望の原因になる配置である。



こうした若者のデモに賛同する映画俳優や有名人もいたようだが、イラン当局から、海外渡航を禁止されるなど、早速、厳しい制裁を科されている。






イランの建国図を見ると、4、11室支配の金星が8室水瓶座に在住し、7、8室支配の土星と相互アスペクトしている。



4室は国会や民主主義などを表わす配置であり、11室は国家の芸術家や文化人、重要人物を表わす配置である。



そうした勢力のリベラルな政治活動が、イランの宗教指導者たちにとって失望や、裏切りを感じたり、悩みの種となる配置なのである。







現在、トランジットを見ると、木星と土星が、それぞれ魚座と山羊座で逆行することで、水瓶座にダブルトランジットが生じている。



その為、元々イランの建国図では、水瓶座に金星、ケートゥが在住して、7、8室支配の土星からのアスペクトを受けている配置は、西側諸国(外国)の価値観によって、リベラルな権利意識を培った女性たちが、ブルカやニカブ、ヘジャブやチャドル、あるいはスカーフといった女性は身体を覆って隠さなければならないとするイスラムの厳格な規則に反発することを表わしている。










その女性たちの怒りの引き金になったのが、今回のスカーフの巻き方で、道徳警察に拘束され、死亡した女性の事件なのである。



この女性の死によって、デモが勃発し、リベラルな価値観に基づく、政治闘争に発展している。




今現在は、木星と土星がかろうじて、逆行することによって、水瓶座にダブルトランジットが生じているが、残念なことに2023年から土星が水瓶座に移動した後は、同じタイミングで、木星は牡羊座に移動し、その後、木星は水瓶座に全くアスペクトしないのである。



リベラリズムによる革命が、華々しい成果を生み出すといった配置になっていないのである。



むしろ、木星が牡羊座に移動することによって、土星と木星が牡羊座にダブルトランジットし、そこにラーフ/ケートゥ軸も重なることで、来年の4月以降は、国家社会主義といった状況が渦巻いていくと考えられる。



水瓶座を土星が移動していく2年半の間、土星はやや強権的な形で、法制度の整備といった形で、水瓶座への変化を促していくと思われる。



そこに木星の影響が加わらない為、民衆のリベラルな平和的なデモといった形にはならない。



むしろ、グレートリセットを推進しているエリートたちの上からの強制といった形で、改革が進められる可能性が高い。










デモに参加した後、イラン当局に追われ、死亡した16歳の少女(ニカ・シャカラミさん)




記事を書き終えかけていた頃、イランの女性たちの美容整形事情について調べていたが、非常に参考になる記事がある。


イラン当局が、美容整形が流行るのを何とか食い止めようとしていることがよく分かる。


厳格な保守の国で、アラーの神を敬虔に崇拝するイランにおいて、その国民である女性たちは、外見が第一であり、美容整形に異常に拘っているのだという。


彼女たちは外見第一なのである。(参考資料参照)


乱交パーティーの記事と合わせて考えると、イランの若者文化というのは、明らかにプールヴァパールグニー(金星)の快楽主義の影響を受けている。


刹那的な快楽に走ったり、見た目の外見にこだわったりしているようである。


イラン当局(イランの宗教指導者)の暴力による取り締まりは非常に良くないが、こうした女性の中に流行っている文化的退廃を何とか食い止めたいとして、当局が躍起になっている事情というのも分かる気がした。


イラン人は、プールヴァパールグニー(金星)の影響が強いということは、アメリカの物質主義的な価値観、文化の影響を受け入れやすいということでもある。


イランの宗教指導者たちは、今回のデモをアメリカや西側諸国の誘導によるものだとして非難しているが、皮肉なことにイランの女性たちや若者は、こうしたアメリカ文化を積極的に取り入れて、むしろ、それよりも先に進むぐらいの過激な文化を謳歌している所がある。


イラン当局は、こうした退廃的な若者文化に失望し、苦悩しており、これをアメリカの扇動によるものだとして捉えている。


その辺りの国内事情が、非常にこのイランの建国図には表れている。



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コメント

コメント一覧 (2件)

  • イランの記事を読んでいて

    いま日本で起きているマイナンバーと保険証の一体化を押し進めようとしてる動きが思い浮かびました

    ーー水瓶座を土星が移動していく2年半の間、土星はやや強権的な形で、法制度の整備といった形で、水瓶座への変化を促していくと思われる。

    そこに木星の影響が加わらない為、民衆のリベラルな平和的なデモといった形にはならない。

    むしろ、グレートリセットを推進しているエリートたちの上からの強制といった形で、改革が進められる可能性が高い。
    • マイナンバーカードと保険証や運転免許証の一体化の話は、マイナンバーカードの普及率を高めるための施策であり、やがてマイナンバーカードと銀行口座との紐づけも模索されると思います。そのようにして、国民の財産状況を一元的に把握できるような体制が整っていきます。これは制度機構という形で、水瓶座のハードな仕組みが構築されていくということだと思います。
      このテーマに関しては、ちょうど記事に書こうと思っていた為、考えをまとめてアップしたいと思います。

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