
集まっている人々はあらゆる政党を背景にした人々で様々であるが、例えば、「ザイム真理教」といったプラカードを掲げている人も多く、 故・森永卓郎氏の「ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト」に影響された人々も多いのではないかと思われた。
ネットで、陰謀論的な情報を拾って、米国のトランプ革命を支持するような人々が集まっているのである。
従って、左翼が主導する運動というよりも右翼が主導する運動である。

週刊現代の取材によれば、「トランプのような破壊者に、ゼロから日本を作り直してほしい」という声が聞かれる。
米国で、ドナルド・トランプが生活が苦しく格差社会の中で、悲惨な生活を強いられている白人労働者階級の支持を受けて当選したことと本質は同じである。
民主主義が浸透して、古い封建的な階級秩序が崩壊し、全ての人々が競争の中に投げ込まれた。
メリトクラシー(能力主義、業績主義)の風潮の中で、知的エリートによる新しい階級社会が出現し、資本や学歴を持つ者が、その頂点に立つ。
新自由主義は、そうした格差を再生産し、新しい階級社会を固定化し、貧富の格差が途轍もなく広がっている。
アメリカ社会でそのような分断が起こっており、保守もリベラルも関係なく、むしろ、本来、労働者階級に対して、同情的でなければならない、民主党などリベラル政権の中で、そうしたメリトクラシーによるエリート主義が蔓延っている。
日本の自民党政権と官僚は、そうしたアメリカのリベラルなエリートたちの意向を汲み取って、完全にそれに従っている。
この失われた30年において日本の与党である自民党政権と官僚は、アメリカの意向で政策を決定していることを日本の国民には隠しつつ、自分たちの支配は維持するといったようにずる賢い中間管理職のように振舞って来た。
自民党と日本の官僚は日本の国益を推進する為のグランドデザインを描かずに自分たちの利権を守るだけの既得権益の小集団に成り下がったのである。
その結果、保身を図る為に国民を犠牲にして、アメリカの意向に従うような政策が多々見られた。
(アメリカに媚びへつらって自己保身のみを考え、日本売りを行なう、売国官僚が多い)
例えば、最近では、種子法改正や水道民営化など、アメリカの圧力で成立した悪法が非常に多い。
日本の国民がそれによって困ってもどうでもいいという、まさに我が身の保身だけを考える自民党の政治家、官僚の振る舞いによって、日本が破壊される事態に陥っている。
そうしたことで、日本の底辺に位置する国民に多くのしわ寄せが来て、犠牲を強いられることが多くなっており、そこに来て、物価高(米の値段の高騰など)に遂に我慢できなくなり、森永卓郎氏の「ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト」やネットに広がる陰謀論的な言説などの情報を拠り所として、生活の苦しさの不満をぶつける為にこのような活動に参加する人々が増えているのである。
以前のデモ活動は、左翼による活動で労働組合などが主導する活動であったが、それとは全く違うのである。
とにかく参加しているのは普通の人々で、消費税の増税やインフレなどで生活が厳しい人々が、自分たちの既得権益の確保だけに汲々として国民を指導する資格のない矮小化したエリートたちへの怒りが収まらなくなっている。
その自民党と癒着した官僚たちのシンボルが、財務省である。
財務省は、税制を立案し、予算配分を決定し、徴税権も持つ、最強の省庁で、他の省庁も支配している。
因みにMMT理論によれば、現在のマネーは、銀行が民間にお金を貸し出すときに生み出されるのであり、それを信用創造という。
民間が事業活動などで富を生み出せない場合、政府が借金して、マネーを生み出さなければ、マネーストック(市場に流通するお金)が無くなってしまう。
今は、日本の企業が銀行からマネーを借りてもそれに利子をつけて返す力がないため、政府が借金をして、マネーストックを供給している。
実は、日本が税収などで財政赤字を解消すると、市場にマネーが無くなってしまい、日本は貧しくなってしまうのである。
だから日本の政府は、赤字国債を発行して借り換え、借り換えで、回していかなければならない。
他の国も同じことを行なっており、現在の資本主義の仕組みはそうなっている。
だから財政赤字を解消していくという財政均衡主義でなく、積極財政で、政府はお金を民間に供給すべきだとする主張を財務省解体デモの参加者たちは掲げている。
日本の政府は様々な規制をして、民間の事業活動に制限を加える一方で、政府の外郭団体、特殊法人などを多数作って、日本の経済とは、実は、政府の借金によって、生み出されたお金をこうした省庁や特殊法人に上から垂れ流すだけの経済である。
社会主義のような経済であり、しかし、それは省庁やその天下り先を通して、その最大限の恩恵を受けるのは、日本の知的エリートたる官僚たちである。
つまり、日本の仕組みは、共産党エリートたちが、利権を独占していたソビエト連邦のような社会である。
日本の特別会計の闇とはそうした特殊法人が稼ぎ出す利益は、日本の国会で審議される予算案には入ってこない。
そのことを暴こうとした民主党議員の石井紘基氏は、右翼によって暗殺されたが、その右翼の男に指示をしたのは何者なのか。
おそらくこうした利権を貪る者たちである。
日本の政府はブラック企業のようなもので、外国人には良い顔をするが、日本国内の国民には厳しい税制を施す。
外国からの評判、特にアメリカからの評判を獲得する為にリベラルな民主主義国として海外には大盤振る舞いするが、日本の国民には厳しい税制を施す。
本来ならば、もっと国民にばら撒かなければならないのである。
これはやはり日本の幕府が農民から巨額の年貢を厳しく取り立てるという、そうした歴史的な慣習の表れと言ってもいいかもしれない。
ドイツの哲学者であるマルクス・ガブリエルが、日本は「優しい全体主義国家」と評したのは、非常に的を得ている。
とにかく何かと規制を作って、国民を管理下に置きたがるのは、日本の官僚の性である。
こうした官僚たちの悪政に対する農民一揆が、財務省解体デモなのである。
因みに最近、コメの値段が上がっているのも農水省(そして背後にいる財務省)による減反政策が原因である。
余ったコメは国が買い上げて国民に現物支給すればいいのであるが、そうした発想は全く出て来ない無能な集団である。
国民の生活を強化すれば、それがひいては国家の繁栄につながるという発想が出来ない、恐ろしく矮小化した利己的な集団である。
因みに都知事選に立候補して、多くの支持を受けた石丸伸二を応援した人々の中に大企業の経営者たちもいた。
やはり、自民党と官僚が支配して、特殊法人や天下り先ばかり作って民間に押し付けたり、規制ばかりを押し付ける政治家、官僚にうんざりしているからだと思われる。
従って、政権与党たる自民党や官僚が最も悪いのであり、民間企業は、これらの日本を牛耳る勢力に困惑している。
その為、財務省解体デモは、自民党や官僚を非難するが、財界は非難していない。(そのことは一つの特徴である)
私は、「2025年の日本と世界」において、今年、日本が直面するかもしれない困難の可能性をいくつか列挙したが、明らかに財務省解体デモは、2025年の新月図に表れた配置が示す兆候である。
(今年、日本が直面する困難の可能性について詳しくは「2025年の日本と世界」ビデオストリーム版、もしくは、Kindle版などをご覧下さい)

この6室に惑星集中する配置は、日本社会の労働者、貧困者、生活が苦しい人々を表しており、そうした人々の怒りや反発も表している。
従って、そうした人々の為に政府はサポートを行なわなければならない。
そして、これはまだ序の口であり、これから本格的に6室の象意が噴き出してくるはずである。
これから更に激しくなる財務省解体デモ
何故なら、米国のドナルド・トランプが各国からの輸入品に関税をかけて貿易戦争を仕掛けている。
こうした動きに際して、アメリカへの信用が揺らぎ、ドルが暴落して米国債の長期金利が上昇している。
米国は、株式・債券・通貨が暴落するトリプル安となっている。
これは一旦落ち着いたように見えるが、トランプは相互関税の実施を90日間停止した為に落ち着いただけである。
また90日後には再び、投資家は米国債を売り始めると思われる。
2025年6月に米国債の償還が集中しており、米国債の入札に参加する国がなく、借り換えが出来なければ、国債市場で米国債の金利が更に上昇する。
その金利の上昇は、他の住宅ローン、自動車ローンなど、民間の企業の債務の金利にも波及して、米国は景気後退に突入し、それは世界各国に波及して世界恐慌となる。
米国債は、世界で最も安全な資産であるという信頼も揺らぎ、米国債は更に売られ、ドル安、資本逃避により、米ドル基軸通貨体制の終わりを迎えるのである。
そうすると、米国はウクライナに軍事支援をすることが出来なくなり、ウクライナが、占領されたドンバス地域を取り戻すことは現実的にできなくなる。
現在、米国に報復関税を施して、米国と貿易戦争をしている中国も苦しいが、アメリカが恐慌に突入するのに便乗して、台湾侵攻を始める懸念が高まってくる。
そうした場合に日本の離島の住民の10万人避難計画というものが現実化を帯びて来る。
日本の自衛隊は疲弊したアメリカの代わりに中国との最前線で、対峙させられることになる。

因みにこれまでの経験では、新月図を作成した時のナヴァムシャにも意味があると考えているが、ナヴァムシャでは戦争の7室に土星と火星が在住している。
そして、月、太陽から見ると、8室に土星と火星が在住することになるが、これは敵国の方がやや優勢であることを物語っている。
日本は国土防衛の為に準備を怠りなく進めなければならない。

そして、日本政府は、今の状況では、離島から避難して来た人々に十分な生活物資やサポートを行なうことが出来ないため、国民の不満も高まってくる。
(能登半島地震の復旧も満足に出来ないのだから、当然、多大な混乱が生じることが予想される)
そのような中で、米の値段は更に高騰し、インフレが高まってくることになる。
そうすると、財務省解体デモも更に拡大していくことになっていく。
そして、これは次の2025年7月28日の参議院選挙における自民党大敗につながっていく。
石破茂は辞任し、新しい政権は、自民党と国民民主党、維新の会などによる連立政権になる可能性が高く、その場合、減税と現金給付などが幅広く行われることになるのだ。
政権交代しなくても、新しい政権は、減税や現金給付などを強いられることになる。
財務省解体デモは、そうした流れにつながる重要なイベントであり、また今年に予想されている出来事の兆候を既に表している。
2025年の新月図通りのことが今、起こりつつある。
財務省解体デモは、これから更に拡大して、日本国民に政治参加を促していくことになるのは間違いないのである。
財務省前 減税や積極財政求めるデモ続く 2025年3月14日 21時50分 NHK このところ財務省の前では、減税や積極財政を求めるデモが続いています。 14日は午後5時ごろからデモが行われ、東京・霞が関の財務省の庁舎を取り囲むように多くの人が参加し、一時は歩道をすれ違うのも難しいような状況となりました。 参加者たちは「財務省解体」と書かれたプラカードを掲げたり、「増税反対」とか「消費税廃止」といった声を上げたりしていました。 参加した人からは「SNSでデモのことを知り若い世代も考えないといけないと思って参加した」といった声や、「デモに来るのは3回目で、毎回人が増えている。所得が低い人たちは大変だ」などという声があがっていました。 財務省は中央省庁の1つで、国の財政政策などを担っています。 東京・霞が関の本省ではおよそ2000人が働き、総理大臣官邸との連絡調整や人事などを担当する大臣官房、予算編成を担当する主計局、税制の企画立案を担う主税局、関税制度や税関業務を担う関税局、国債の発行や国有財産の管理にあたる理財局、為替相場の安定など国際金融を担当する国際局があります。 財務省は、政府の予算編成にあたっては、査定を通じて各省庁の予算配分を差配する権限を持ち、税制にあたっては業界団体などの利害を調整し、毎年の税制改正の取りまとめにもあたることから、政財界に広い人的ネットワークを築き、「官庁の中の官庁」とも呼ばれてきました。 去年12月から「解体デモ」 財務省の前では、以前から一部の人たちが、消費税の廃止や国債の発行をさらに増やして、福祉の充実を求める主張のデモを行っていました。 その後、SNSで「財務省解体」の主張が広がり、去年12月からは「財務省解体デモ」が開催されるようになりました。 「財務省解体」Xでの広がりは NHKがSNS分析ツール「Brandwatch」でXの投稿を調べたところ、去年10月から今月12日までに「財務省」と「解体」を含む投稿は、リポストを含めておよそ450万件ありました。 投稿は去年11月ごろ、衆議院選挙のあと「103万円の壁」の見直しや財源をどうするのかといった点に注目が集まった時期に広がり始めました。 その後、12月に消費税の廃止などを訴えるグループの女性がXでデモへの参加を呼びかけたのが1つのきっかけとなって、「財務省解体」という主張が徐々に広がりました。 ことし1月末に投稿は急増、さまざまな主張の人たちがデモを行うようになったこともあり、先月21日のデモの翌日には、Xではこれまでで最も多いおよそ33万8000件が投稿されていました。 中には「国民生活を考えず増税しか頭にない」と財務省を批判する内容や、「財務省のせいで生活が苦しい」などと訴える投稿や動画もありました。 実際にデモへの参加を呼びかける人たちはさまざまで、消費税の廃止を訴えるグループのほか、国の新型コロナ対策などに反対してきた政治団体や、保守系の政治団体などがデモの開催を予告したケースもありました。 また、「財務省解体」について拡散されている投稿を分析すると、ロシアを支持するとしているアカウントや、外国人排斥を訴える投稿を繰り返しているアカウント、消費税廃止の主張をしているアカウントなどが上位となっていました。 YouTube再生回数1億7000万回以上 先月下旬にデモが行われた際には、ユーチューバーなどのインフルエンサーがデモについて取りあげて動画が多く拡散し、別のインフルエンサーらがXやYouTubeなどでデモに批判的な投稿を行ったことで「財務省解体デモ」はSNSで広がり続けました。 YouTubeでは「財務省解体」という言葉がタイトルなどに含まれる動画は、去年10月以降今月12日までで4000本を超えていて、総再生回数はあわせて1億7000万回以上に上っています。 また、TikTokでもデモでの演説の様子を投稿した動画が250万回近く再生されるなど、関連する動画はあわせて少なくとも3000万回再生されています。 このうち、最も多く拡散された主張の1つは「日本は財政法4条に縛られていて積極的な国債発行ができず増税ばかりしている」などとするもので、YouTubeでおよそ300万回再生された動画もありました。 日本の国債について、発行残高は増加の一途をたどっていて、財務省によりますと、来年度末には普通国債の発行残高は1129兆円余りにまで膨らむ見通しです。 投稿の中には根拠のない情報や誤った情報などもあり、「財務省に日本国籍の人はいない」などとする誤った情報は、Xで合わせて340万回以上閲覧されています。 また、「トランプ大統領が日本の財務省の解体を発表した」とか、「財務省は世界を支配する闇の組織ディープステートの手先だ」などとする根拠のない情報も複数出ています。 専門家「気持ちくみ上げ粘り強い議論につなげていく必要も」 社会学者でインターネットを通じた運動について詳しい成蹊大学の伊藤昌亮教授は、今回のデモの背景について「ここ20年ほどの間に税金と社会保障の支出が上がり、物価高も起きていて、普通に生活している人も生活が苦しくなってきている。どこにどう文句を言っていいか誰が意向を吸収してくれるか分からない中、SNSで『財務省のせいだ』という非常に簡単な解が与えられ、『あいつらが悪いんだ』ということになっている」と話しています。 そのうえで、「外国人にお金を渡すなという排外主義的な動きや、敵を見つけて攻撃する陰謀論的な側面も含めて危険な部分は大きい。その一方で、これまでにない形での財政に関する問題提起にもなりうるので、メディアや政治が切り捨てず、気持ちをくみ上げて粘り強い議論につなげていく必要もあるのではないか」と指摘しました。 「国民負担率」2024年度は45.8%の見込み 財務省によりますと、個人や企業などの所得に対する税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」は、今年度は45.8%となる見込みです。 統計を取り始めた1970年度は24.3%でしたが、その後、徐々に負担率は増え、1979年度に30.2%と初めて30%台となり、2013年度は40.1%と40%を超えました。 新型コロナの感染拡大で国民の所得が減少した2022年度は、過去最大の48.4%となっています。 OECD=経済協力開発機構に加盟する38か国のうち、データが把握できる36か国を国民負担率が高い方から並べると、2022年度は日本は24番目になります。 最も高いルクセンブルクは89.4%で、上位にはフランスやオーストリア、フィンランドといった国民の負担が多い分、福祉が手厚いとされるヨーロッパの国が並びます。 一方、日本より負担率が低い国は、韓国が44.8%、アメリカが36.4%、最も低いメキシコが22.7%などとなっています。 歳出が税収を上回る状態続く 日本の財政は、歳出が税収を上回る状態が続いていて、その差額の多くは国債の発行によって賄われています。 普通国債の発行残高は、来年度末には1129兆円にまで膨らむ見通しです。 1990年には160兆円ほどの水準でしたが、2000年代に入ってから上昇のペースが大きくなりました。 社会保障費などの増加や大規模な補正予算の編成で国債の発行が積み重なった結果、この10年ではおよそ1.4倍に拡大しました。 財務省は日本の財政の課題について、中長期な持続可能性への信認を確保しつつ、日本が直面する構造的な課題に的確に対処していく必要があるとしています。 |
「財務省=悪者」ネットで知った情報で「自信」をつけて…解体デモが引き寄せる「なんとなく苦しい」普通の人 2025年4月10日 06時00分 東京新聞 東京・霞が関の財務省前で今年2月ごろから、「財務省前デモ」「財務省解体デモ」と呼ばれるアクションが起きている。 なぜ多くの人が集まり、各地に広がりを見せているのか。 ネットを通じた運動に詳しい社会学者の伊藤昌亮・成蹊大教授(63)に聞いた。(聞き手・鈴木里奈) ◆伊藤昌亮・成蹊大教授が語る「財務省解体デモ」 ——デモの参加者の特徴は。 仕事はあるけど生活は苦しいという中間層が多いのが特徴だろう。最貧困層は少ないのではないか。 日本には最下層に向けた社会運動というのは結構あって、2000年代はワーキングプアやホームレス、日雇い労働者などのアンダークラスの問題に、そういう人と連帯して声を上げていた。 一方で、あの場にはそこまで苦しい人はおらず、なんとなく苦しい人が声を上げているようだ。 非正規雇用の人であれば、非正規雇用を行っている企業や、それを許している経団連、経営者団体が矛先になるが、普通の人たちの苦しみ、憎しみを向ける矛先がなかった。 ◆負担ばかり増える…どこからも助けてもらえない 税金と社会保険料の負担率は20年で10ポイント上がっているが、給料の上昇はなく苦しい現状がある。 その中で子育て世帯や非課税世帯には国からの給付金があるが、いずれにも分類されないデモの参加者たちは弱者として見なされず、ほったらかしになっている。 住宅手当や終身雇用など、日本は国というより企業が面倒を見てきた。 昔は自民党の政策で中小企業や自営業への優遇がそれなりにあったが、今はほとんどない。 どこからも助けてもらえない中、取られるものが増えていっているという状況がある。 ◆「財務省が邪魔をする」向かう怒り ——彼らの主張は。 国が積極的に支出を行い、経済を活性化させようとする「積極財政」を求めている。 「減税と福祉のために金を使い、自分たちの暮らしを少しでも楽にしてほしい」というものだ。 今は福祉を縮小して競争し、その中で勝ち残ることが良いとされる「ネオリベラル路線」がある。 そういうものについていけない人たちは「積極財政をして減税をするとともに、福祉を充実させ、国に守ってもらいたい」と考える。 それを邪魔しているのが、反対に国の支出(予算)を抑えて、借金を減らそうという「緊縮財政」を推奨している財務省だということになり、怒りの矛先が向いているのではないか。 ◆デモ参加者の主張、反証は難しい 財務省の改革を求め声を上げる人たち=3月14日、東京・霞が関の財務省前で(安江実撮影) ——積極財政の主張は正しいのか。 積極財政を肯定する理論はある。提唱している経済学者のグループもあって、検証は難しいが否定もしきれない。 ネットで調べると積極財政ができるんだ、という情報を見つけて納得し、それを財務省という悪者が阻んでいるというストーリーができている。… |
「財務省解体デモ」参加者たちに聞いた日本政府への怒り「トランプのような破壊者に、ゼロから日本を作り直してほしい」 2025/4/2 週刊現代 霞が関の財務省前に始まり、名古屋、大阪の財務局前など全国に広がった抗議行動。いったい誰がどんな目的で来ているのか。現地を取材した。 「消費税をぶっこわーす!」 「財務省、解体!」 「消費税をぶっこわーす!」 そんな叫び声が東京・霞が関の財務省の前にこだましたのは3月14日のこと。SNSを通じた呼びかけのもと、財務省の解体や減税などを訴えるデモ活動が行われたのだ。庁舎前には1000人を超す人が押し寄せ、デモに便乗して街宣に来ていた「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57歳)がナタを持った男に襲われるなど、現場は一時騒然となった。 全国紙政治部デスクが説明する。 「財務省への批判の声が高まったのは昨年11月。国民民主党が主張する『年収103万円の壁』引き上げを実施した場合、7兆円以上税収が減るとの試算を政府が公表し、難色を示しました。するとSNS上で怒りの声があがり、税制を担う財務省に批判の矛先が向かったのです」 1000人規模の抗議行動に政府も反応した。石破茂総理は国会でデモについて問われ、「等閑視(無視、軽視)すべきではない」と答えている。 ここまで発展した「財務省解体デモ」とはいったいどのようなものなのか。本誌記者は3月21日にもデモが開催されるとの情報をもとに、実際に現地で取材した。 これまでのデモとはまるで様子が違う 東京メトロ霞ケ関駅で電車を降り、財務省の正門前に出るA13番出口の階段を登っていると、「財務省っ解体! 財務省っ解体!」と叫ぶシュプレヒコールが聞こえてくる。地上へ出ると、まだ夕方の17時半にもかかわらず、100人近くの人が集まっていた。 ひと目で、それまで見てきたデモとは明らかに様子が違うことがわかった。たとえば、労働組合から動員された組合員がそれぞれの組織ののぼり旗を掲げ、みんなで声をあわせてシュプレヒコールをするデモなどは馴染み深い。 しかしこの日は、のぼり旗は一本も見られなかった。代わりに一部の参加者がプラカードを持って参加している。 「罪務省解体!」「天下りをやめろ!」などと油性マジックで段ボールに書きつけた、いかにもお手製のものが多い。 シュプレヒコールも一部声を合わせている人はいるが、各々が拡声器を手に、「ふざけんじゃねー!」「明日からやめろ、コラっ!」などと好き勝手に叫んでいる。 男女比はほぼ半々で、年齢もバラバラだ。早速、参加者に話を聞いてみた。 「私の存在理由って何だろうって」 初めて参加したという都内在住の介護職員の水谷洋介氏(仮名・46歳)は、氷河期世代ど真ん中の苦しみを語る。 「自分は高校を出て、正社員にはなれたんですけど、超ブラックな会社で心身ともに疲弊して、辞めてしまいました」 その後、数十社の面接を受けるもあえなく撃沈。非正規で働く日々が続き、結婚のチャンスにも恵まれなかった。 「結局、30代後半で介護職に就きました。人手不足で40歳近くても正社員になれたので。若いうちは、自分の努力が足りないからと納得していたんですけど、経済アナリストの森永卓郎さんの動画を見ているうちに、政治にも責任があったんじゃないかと思い始めた。 初任給が30万円超えとか、就職内定率が過去最高みたいなニュースを見ると、ふざけるなって怒りの気持ちが込み上げてくる。給料は手取りで二十数万円ほどです」 参加は2回目だと語るのは、都内で事務職を務める峰田直子さん(仮名・32歳)。 「毎月の給与明細を見て、これだけ頑張っているのにこんなに税金で持っていかれるんだって、生きる意欲が削がれます。毎日決まったルーチンの事務作業で、職場でもみんなハラスメントとか気にして会話も言葉を選んでいる感じで、すごく息苦しい。土日休みですが、ずっとベッドに横になってスマホで動画を見ています。私の存在理由って何だろうと思いますよ。 日本にもトランプやイーロン・マスクのような破壊者が出てきて、ゼロから日本を作り直してほしい」 「いま安倍晋三さんが生きていれば…」 相原章介さん(仮名・73歳)は自宅の茨城県つくば市から1時間半かけて駆けつけたという。相原さんが政治に目覚めたのは、元駐ウクライナ大使でノンフィクション作家の馬渕睦夫氏のユーチューブを見たことがきっかけだった。 「米国の歴代の民主党政権の大統領はディープステート(闇の政府)の手先で、世界中で人殺しをしてきたわけでしょ。トランプが大統領に就任して世界を大改革しようとしている。いま安倍晋三さんが生きていれば本当に日本は良くなったのになあと残念でしょうがないですよ」 フリーランスの高橋杏奈さん(仮名・42歳)は、確定申告を済ませたばかりだが、怒りが収まらない。 「あまりにも頭にくるので、この3年はわざと確定申告をしてなかったんですよ。督促が来たので、さすがに払ったんですけど高すぎますよ!」 デモは19時半まで続いたが、時間が経つごとに人は増えていき、最終的に200人ほどになった。スタッフらしき男性によると、「立花さんの事件で参加者が減ってしまった。でも4月29日は大々的にやりますから」とのこと。 「週刊現代」2025年4月5・12日合併号より |
原口一博氏、財務省解体デモの報道姿勢に「知られたくないから知らせない。わかりやすすぎる」 2025/5/1 10:51 日刊スポーツ 立憲民主党の原口一博衆院議員が(65)が1日までにX(旧ツイッター)を更新。“財務省解体デモ”をめぐる報道に言及した。 税金をめぐる政策への不満の高まりなどから、2月には東京・霞が関の財務省前で「増税反対」や「消費税廃止」を訴えるデモが行われた。 4月29日にも再び行われたデモの動画がSNS上で拡散されたが、原口氏は「報じない。つまり『あちらの者たち』(権力を持つ)にとって都合が悪いと言う証拠。知られたくないから知らせない。わかりやすすぎる」と推測。「報道の自由度世界70位。既存メディア、一行も触れず。財務省解体デモ。権力の監視機能崩壊。権力の下僕に成り下がっている」と、報道しないメディアを批判した。 |
財務省・厚労省解体デモはなぜ影響力を増していくのか 2025/5/3 16:12 日本ファクトチェックセンター 「財務省や厚生労働省を解体せよ」というデモが東京・霞が関を中心に全国で度々開催されています。両省に対する「国民の害」「反日的な政策」などの主張の中には、多数の偽・誤情報が混じっていますが、その影響力は徐々に増しています。ファクトチェックされてもなお広がる誤った情報。その背景にある「ナラティブ」や「個人の体験・感覚」について解説します。 財務省・厚労省解体デモ 霞が関に約2000人集結 2025年4月29日、中央省庁の庁舎が集まる東京・霞が関周辺に「財務省解体」「厚労省解体」などのスローガンを掲げる人たちが集結しました。 午後3時半過ぎに開かれた街宣活動では、財務省前の1区画約130メートルの道路の両側の歩道一杯に人が集まり、概算で約2000人。叫んでいる主張や手にしている旗には様々なスローガンが掲げられていました。例えば、こういった内容です。 財務省は解体せよ 厚労省は解体せよ 自民党を解体せよ 財務省や厚労省はディープステイトの手先 財務省・厚労省はグローバリストが支配している 石破内閣打倒 消費税をやめろ 反日政策をやめろ コロナワクチンは国家的殺人だ ワクチン超過死亡は戦後最大薬害犯罪だ WHO脱退せよ パンデミック条約絶対阻止 人工遺伝子注射の製造中止 ストップmRNAワクチン 積極財政推進 財務省と厚労省の解体デモが同日に実施され、ほぼ半日にわたって続いたため、様々な主張が混在していました。その中には、すでに日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証し、誤りと判定したものもありました。 すでに検証され、誤りと判明している偽・誤情報 例えば、「コロナワクチンは国家的殺人だ」「ワクチン超過死亡は戦後最大薬害犯罪だ」「WHOを脱退せよ」などの主張は、「特定ロットの致死率が100%だ」「副反応疑いでの死亡報告件数が増え続けている」「パンデミック条約でワクチンが強制される」などの言説を根拠としています。 JFCは「コロナワクチンの特定ロットで致死率100%? そのようなデータはない」「新型コロナのレプリコンワクチンは死亡率がファイザー製の75倍? 元資料の誤読」「パンデミック条約でワクチン強制接種? 繰り返し否定されている誤情報」などの検証記事で、それらの主張の誤りを公開データなどをもとに指摘しました。 財務省を批判する主張の中には「財務省が13京円をスイスの銀行に隠し持っている。消費税をなくしても本当はやっていける」というあまりにも荒唐無稽な訴えもありました。 13京円というのはスイスの銀行が管理する総資産の100倍、日本の予算の1000倍を超えます(JFC「財務省がスイスの銀行に13京円を隠し持っている? 非現実的な数字」)。 なぜ、このような偽・誤情報が受け入れられるのでしょうか。 偽・誤情報と共鳴する「ナラティブ」「オピニオン」「体験や感覚」 「ナラティブ」という概念があります。直訳すると「物語」ですが「ストーリー」とは意味合いが異なります。「ストーリー」が物語そのものを意味するのに対し、「ナラティブ」は物語をどのように語るかに着目し、「語り口」とも訳されます。「ナレーター」が物語の語り手を意味するように「語られ方」にポイントがあります。 財務省・厚労省に批判的な偽・誤情報の多くには、ある「ナラティブ=語られ方」が通底しています。それは「財務省・厚労省は問題のある組織で信頼できない」というナラティブです。 このようなナラティブは、それを語る人の個人的な体験や感覚に根ざしています。例えば、「ワクチンで体調を崩した(またはそういう話を聞いたことがある)」「生活が苦しい」などの体験や「政府は信用できない」という感覚です。 「個人の体験・感覚」が厚労省や財務省に対する「ナラティブ」に結びつき、「偽・誤情報」を受け入れやすくします。そして、「偽・誤情報」は自ら学んだ「個人の体験・感覚」としてさらに強化されるという相互作用も生み出します。 これらが相まって「財務省・厚労省を解体せよ!」というオピニオン(意見)が表出します。言語化されたオピニオンもまた、「これこそ私が求めていた意見だ」と個人の体験や感覚を裏付け、ナラティブを強化し、新たな偽・誤情報の拡散に繋がります。 図にすると、こうなります。「オピニオン」「偽・誤情報」「ナラティブ」「体験・感覚」のすべてが相互に影響して強化されていきます。 ファクトチェック対象は「偽・誤情報」だけ JFCが財務省や厚労省が公開している公式資料などをもとに、偽・誤情報を検証しても、その偽・誤情報を信じている人は、その背景に「個人の体験・感覚」「ナラティブ」があるので「そもそも財務省や厚労省の出すデータ自体が信用できない」と反論しがちです。 もう一つ、ファクトチェックの重要な限界があります。客観的に検証できるのは、具体的に「事実」が提示されている偽・誤情報だけだということです。 「財務省・厚労省を解体せよ」というのはその人のオピニオンであり、思想信条の自由です。ナラティブや個人の体験・感覚も、その人個人に根ざしたものですので検証できません。 JFCのファクトチェック記事は、偽・誤情報を深く信じている人には受け入れてもらえないことがほとんどです。一方で、信じていない人や「よくわからない」と思っている人には、根拠を示して説明することで広く理解され、偽・誤情報のさらなる拡散を防ぎます。 しかし、「個人の体験・感覚」や「ナラティブ」に影響を与えることは残念ながらあまりないと言ってよいでしょう。そこにはファクトチェック以外の解決策が必要になります。 根本的に必要なのは政治や社会への信頼の回復 世界各国で「信頼」がどう変化しているのかを調べる毎年恒例の「エデルマン・トラストバロメーター」という調査があります。2025年版について、JFCで「政府・企業・NGO・メディアへの信頼、日本は最下位に 低所得層で広がる『不満と憤り』が社会を不安定に」という解説記事を出しています。 調査によると、日本は政府、企業、メディア、NGOに対する信頼率を平均化した「信頼指数」が調査28カ国中最下位となっています。 特に目立つのが低所得層からの信頼の低下です。高所得層との信頼の格差は拡大する傾向にあり、2012年はわずか3ポイント差だったのが、2025年は13ポイントに開いています。 財務省に対するデモでは、消費増税への不満や生活苦を訴える主張が目立ちました。この体験・感覚は日本経済の低迷が続けば、さらに大きくなっていくのは間違いありません。 「企業・政府は一部の限られた層を優遇している」「企業・政府の行動は自分に悪影響を及ぼしている」「富裕層が優遇されるシステムになっている」「富裕層がさらなる富を得ている」という理由で不満と憤りを感じている人は65%にもなっています(中程度と高程度の合計)。 調査で判明したのは、「不満と憤り」が信頼に大きな影響を与えることです。「不満と憤り」が高い層、中程度の層、低い層で分類すると、高い層ほどあらゆる組織への信頼度が低くなることがわかります。 企業で見ると、高い層は31で低い層は59、政府で見ると高い層は14で低い層は50と大きな差があります。 財務省・厚労省解体デモで「石破政権退陣」「自民党解体」などのスローガンも掲げられていたのは、ここに原因があるのでしょう。 ファクトチェックは偽・誤情報のさらなる拡散を防ぎ、情報生態系を分析していくために不可欠です。ただし、対症療法的で、それだけでは信頼は回復しません。 拡散する偽・誤情報に通底するナラティブは何か。その背景にはどのような個人の体験・感覚が存在するのか。社会全体で地道に分析し、対処していく息の長い取り組みが不可欠です。 古田大輔 |
財務省解体デモ「負担感の高まりが背景に」 加藤財務大臣 2025年3月14日(金) 10:49 TBS NEWS DIG 「財務省解体」などを訴えるデモが開催されていることについて、加藤財務大臣は「生活の中での負担感が高まってきていることが背景にある」との認識を示しました。 「財務省解体」デモをめぐっては、参加者から緊縮財政や増税路線などへの批判の声が上がっています。 加藤勝信 財務大臣 「食料品はじめ、身の回りの物価の上昇、実質賃金が上がらない。こうした中で、それぞれ暮らし、また生活の中で負担感が高まってきている。こういったことが背景にあるものと承知をしております」 加藤財務大臣はデモの背景についてこのように述べたうえで、「様々な政策課題については事実を把握しデータに基づいた議論をするなかで、経済再生と財政健全化の両立を図っていくことが重要」との考えを示しました。 また、「ザイム真理教」などと財務省を揶揄する声があることについて問われ、「財務省の職員が国民の皆さんから期待される役割を果たしていく環境を作るべく取り組んでいきたい」と強調しました。 |
全国に広がる“財務省解体デモ”ひろゆき氏が苦言「デモは賛成派だが、やり方が間違っている。この人たちを応援しちゃまずいという空気は社会を変える上でマイナス」 2025/4/25 6:32 ABEMA TIMES 3月14日に全国各地、一斉で行われたことを契機に、さらに広がりを見せた「財務省解体デモ」。今月に入ってもデモは続き、大手メディアなどが取り上げたこともあってか、石破茂総理大臣や加藤勝信財務大臣も言及するまでに広がった。一方で、この盛り上がりに乗じて当初、主催者が掲げたものとは異なる主張、かなり極端な思想、ディープステート陰謀論まで掲げるものまで加わってきた。 政治に無関心だった国民の目が向く効果もあるデモだが、財務省解体デモで生じた流れは、このままでいいのか。「ABEMA Prime」に出演した2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「デモは賛成派だが、やり方が間違っている。この人たちを応援しちゃまずいという空気は社会を変える上でマイナス」と、賛成も参加もしにくいものへと変質しつつあると指摘した。 ■全国規模のデモには政府も反応 財務省解体デモは、止まらない物価高騰や、不透明な経済状況の中で、財務省の前で消費税の減税などを人々が訴えることから始まった。消費税の減税、いわゆる「103万円の壁」撤廃などについての議論は、近年でも繰り返し行われてきた。政治学者で高千穂大学教授の五野井郁夫氏は「もともと国民民主党が、減税やガソリンのトリガー条項をやると言い出した。今一番、野党で支持率があるのは国民民主党。与党もうかうかしていられず、減税をやらなきゃという気持ちになってきているので、そこの援護射撃にはなっていると思う」と、ある程度、このデモが議論の流れを後押ししていると評価した。 デモ参加者も、国民の負担軽減について声を上げ、政府も反応しているだけに、ここだけ見れば意義あるものだが、この大きな流れの中に、異なるものが入り込んできた。「政治に対して声を上げること自体は非常に評価し得る。しかし、残念ながらXのトレンドなどを見ていると、ロシア系のいわゆるプロパガンダアカウントであったり、あるいはあからさまにディープステート陰謀論を掲げる人たちが入ってきている。こうなると、主催者がしっかりしないと乗っ取られる」と、本来の目的とは異なる方向へと導かれてしまう危険性を訴えた。 ひろゆき氏も、同様の問題を指摘する。「社会に不満があって、社会を変えたい人たちのエネルギーを、ちゃんと社会を変える方向に持っていければいいが、たぶん失敗するだろうと予測していた通り、エネルギーが間違った方向に使われてしまっている。『この人たちなら乗っからない』と一般の人たちが離れてしまった」。盛り上がりの一つの指標として、Googleトレンドの検索数を見ると「財務省解体デモ」は、「ひろゆき」を下回り、むしろ盛り下がる方向に進んでいるとも述べた。 ■極端な思想が混じり始めたデモに危機感 実業家・TikTokerの岸谷蘭丸は、政治への無関心層の目が向き始めていることは評価している。「目的はなんでもいいし、モチベーションもなんでもいい。様々なモチベーションがある。デモって、そういうものだ。個人的には、政治が手触り感としてちょっとずつ動いてきた。デモをやったり、国民民主が出てきたり、みんながXで一生懸命ポチポチしたら、なんだか減税と言い出す政治家が増えてきたかも、という手触り感。10年前、15年前の『何やってんだかわかんねえ』みたいな時より前進、良くなってきているのではないか」。 ひろゆき氏は、デモという行動自体には賛意を示すが、それだけに現在の財務省解体デモに覚える違和感、疑問点を連ねた。「社会を変えるのがゴールというのであれば、今のデモのやり方は間違っている。僕はデモは賛成派。昔、SEALDs(シールズ)という若い人たちが集まって、社会を変えようとした。国会前に10万人も集まったが、結果、何も変わらなかったから、その時の若者たちは声を上げるのをやめてしまった」と、2015年から2016年にかけて活動していた反体制的な団体の例をあげた。 さらには「声を上げている人たちがちゃんと成果を出すという形に繋げないと、結局そのエネルギーを無駄にしてしまうから、これなら(デモのために)有給を取らないで普通に働いて給料をもらった方がいいよとなってしまう」と、しっかりと目標を定め、成果を求めるべきだと語る。「デモはやった方がいいが、正しい方向にきちんと向けるべき。であれば、どの党に投票するのか、どの政策を支援するべきなのかを明確にして、そこに10万人、10万人と突っ込まなきゃいけない。それでもたった10万票。それをネットを使ってどんどん大きくして500万人が話題にすれば、この政策をやろう、これに乗っかったら参議院選で議席が取れるから減税に行こうとなり、(政治も)変わるかもしれない。でも、エネルギーを発散させるだけで『この人たちを応援しちゃまずい』という空気にすることは、社会を変える上にとってマイナスだ」と、デモを行う人々のイメージが悪化してしまえば、いずれは参加者も減り、デモで訴えたものもいずれ力を失うと述べた。 これには五野井氏も同意し、補足をする。「とにかくなんでもいいから人を集めて話題にする、それによって政治家にプレッシャーをかけるというところまではわかる。だけどデモは障害者の方や子どもたちも参加できるぐらい敷居を下げなければいけない。残念ながら、今の財務省解体デモを見ていると、Xなどで呟いている一部の方々はかなり極端で、宗教的な主張も含め、ディープステート陰謀論など、かなりトンデモなものもある。主催者が『これは違います』と言わないと、参加したくてもちょっと怖いなと思って参加できなくなる。グラウンドルールとして、こういう意図でやっているということを、もう少し明確にすべき」。 (『ABEMA Prime』より) |
コメント