パキスタンの洪水について -国土の3分の1が水没し、復興に100億ドル(約1兆4000億円)必要-



パキスタンで、6月から続くモンスーンの影響で、国土の3分の1が水没し、復興に莫大な費用が掛かると見積もられている。


パキスタン、洪水死者1100人超 国土の3分の1水没
2022/8/30 4:52 AFP BB NEWS

【AFP=時事】パキスタンで6月から続くモンスーン(雨期)の洪水で、同国の国家防災管理局(NDMA)は29日、死者が1136人に上ったと発表した。シェリー・レーマン(Sherry Rehman)気候変動相は、国土の3分の1が水没しており、「想像を絶する規模の危機」が生じていると述べた。

NDMAによると、北部の山岳地帯では河川の増水により道路や橋が流され、数百の村が孤立しているため、死者数は増加する可能性がある。今年の洪水では人口の7分の1に当たる3300万人以上が被災しており、2000人以上が死亡する過去最悪の被害が出た2010年に匹敵する規模となっている。

 レーマン氏はAFPに対し「辺り一面が一つの大きな海になっている。水をくみ出す陸地がない」と説明。甚大な経済損失が生じていると語った。

 政府は非常事態宣言を発令し、国際社会による支援を要請。28日には、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)から最初の救援物資が到着した。


パキスタンの建国図を見ると、牡羊座ラグナで、国土の4室が水の星座である蟹座で、惑星集中している。


パキスタンは毎年、モンスーンで洪水に見舞われるようだが、それ自体は、4室が水の星座で、凶星や凶ハウスの支配星によって傷ついているからだと考えられる。


然し、今回の大洪水は、怪物級であるようである。





ちょうどトランジットの火星が2022年6月27日から牡羊座に移動し、蟹座にアスペクトし、また土星が7月13日から山羊座に逆行して、魚座をトランジットしている木星と共に蟹座にアスペクトして、ダブルトランジットを形成している。







これを見て、思い出したのは、以前、西日本で起こった記録的豪雨である。(参照:『西日本の記録的豪雨について―土砂崩れ、河川決壊の表示体は何か?―』)




この時のトランジットを見ると、ラーフと水星が蟹座をトランジットし、そこに山羊座から高揚した火星がアスペクトしていた。




パキスタンの場合、蟹座は建国図の国土を表わす4室で、やはり同じように出生の水星が在住し、土星が傷つけており、トランジットの火星が牡羊座から蟹座にアスペクトし、更にダブルトランジットも形成していたタイミングである。




傷ついた4室の象意が顕現するタイミングである。




そして、パキスタンのダシャーは、現在、金星/土星期で、金星も土星も蟹座に在住している。







プラティアンタルダシャーまで見ると、金星/土星/太陽(2022/6/25~8/22)⇒月(2022/8/22~11/26)である。




プラティアンタルダシャーの太陽も4室蟹座に在住し、月は4室支配で、3室に在住し、火星とコンジャンクトして傷ついている。




今の国土の3分の1が水没したパキスタンの状態はこの3室(国土の損失:4室から見た12室目)に在住する月のプラティアンタルダシャーによって表されているかもしれない。



月はラーフを支配星とするアールドラーに在住し、アールドラーは、「涙の滴」、「浄化のための抑圧」といった象意があり、「濡れた、湿った」という意味があるようである。



パキスタンのシャリーフ首相は、記者団に対し「気候変動がもたらした我々の苦しみは、決して自ら招いたものではない」と発言した。



洪水は、地球温暖化の影響によるもので、温室効果ガスの排出量が1%にも満たないパキスタンはこのことに対する責任はなく、責任があるのは、地球温暖化を招いた西側諸国であるという意味である。




ここで分かることは、傷ついた水の星座に火の惑星である火星がアスペクトすると大雨や洪水に見舞われるというパターンである。




パキスタン wikipediaによれば、パキスタンは、6月~9月が高温多雨・モンスーンの夏で、洪水と旱魃がしばしば生じるそうである。



気候

パキスタンには四季があり、12月から2月が冷涼乾燥な冬、3月から5月が高温乾燥の春、6月から9月が高温多雨・モンスーンの夏、10月から11月が移行期の秋である。この時期は地域によって若干異なり、洪水と旱魃がしばしば生じる。

(wikipedia パキスタンより引用抜粋)


以前から、大規模な洪水なども度々起こっていたようである。



2010年7月末、カイバル・パクトゥンクワ州で大規模な洪水が起こり、パンジャブ州、シンド州にも広がった。被災者1400万人、死者1200人以上の大災害になっており、少なくとも200万人が家庭を失っている。国連人道問題調整事務所(OCHA)は、被災地の一部では下痢などの疾病が広がっているとしている。欧米メディアが2010年8月16日、大規模な洪水により飲料水が汚染され、伝染病の流行の可能性が高まり、約350万人の子どもが感染の危機にさらされていると国連人道問題調整事務所(OCHA) の報道官の話として報道した。

北澤俊美防衛大臣は8月20日夕方、国際緊急援助隊派遣法に基づく派遣命令を発出した。8月23日以降陸上自衛隊第4師団を主力とした部隊が派遣され、復興活動を行った。10月10日(現地時間)をもって活動終結。

7月の洪水で、国土(79.6万平方キロ)の約2割が被害を受け、死者約2千人、家屋174万軒損壊(国家災害管理庁)た。12月時点でも一部地域が冠水している。シンド州の約4200平方キロ(福井県に相当)が冠水19万人が国内避難民と成っている。

(wikipedia パキスタンより引用抜粋)


そして、金星/土星期は、通常は、個人のホロスコープの場合、王が乞食になったり、乞食が王になるといった形で、明暗が大きく分かれるが、国家の建国図においてもそれは言えるのかもしれない。




またパキスタンの建国図では、4室に在住する土星、金星、太陽、そして、冥王星などは、皆、アーシュレーシャ(水星)に在住している。







水星は、3、6室支配で4室に在住して、4室を傷つけており、その水星をアンタルダシャーロードの土星が傷つけており、そして、トランジットの土星や火星もそこにアスペクトして傷つけていた。



つまり、マハダシャーロードの金星とアンタルダシャーロードの土星は、アーシュレーシャ(水星)に在住しているので、3、6室支配で、土星によって傷つけられ、トランジットの土星や火星からも傷つけられた水星が大きな役割を果たしたということである。


水星は、3室(交通、通信、運輸)を支配しており、そして、コミュニケーションや情報伝達、あるいは、国家の経済活動なども表わしているが、それらが機能麻痺に陥ったということである。



金星/土星期(2020/10/25~2023/12/26)の次は、金星/水星期(2023/12/26~2026/10/26)で、4室で傷ついたアンタルダシャーの水星期が続くことから、パキスタンは暫く復旧が困難で、交通、運輸、経済的な麻痺状態が続くということである。



国家の3分の1が水没してしまったら、郵便事業なども出来ないし、交通網は遮断され、まともな経済活動は出来そうもないのである。



そして、このパキスタンの傷ついた4室には、木星がアスペクトしていない為、たいして、他の国々の支援なども当てにならないことを示している。



他の国々も自分の国のことで手一杯であり、欧州もアメリカもそうで、ロシアとウクライナでは戦争も起こっている。



他国の人道支援事業を行なう余裕がない状態である。




因みにインドとパキスタンの建国については、パキスタンが独立した時、インドは、ハルデオ・シャルマ・トリヴェディらの占星術師が、初代大統領のラジェンドラ・プラサード氏に助言して、月がアールドラーからプシュヤに移動するまで、パキスタンよりも建国時間を遅らせたという、非常に興味深い逸話がある。







但し、インドの建国図でも4室支配の太陽は水の星座である蟹座に在住し、凶星から傷つけられている為か、インドのアッサム州などでは、やはり、同じように洪水の被害が発生している。



しかし、アッサム州はインドの東のはずれにあり、大部分のインドは洪水を免れていることを考えると、明らかにパキスタンよりも被害は少ないのである。



ケンドラで、国土の4室が傷つくよりも3室が傷ついていた方が、明らかに被害は小さいように思われ、その辺りの違いが出たと考えられる。




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コメント

コメント一覧 (5件)

  • 秀吉先生、

    ケンドラの4室よりも3室が傷ついたほうがまだ良い…

    とのことですね。


    秀吉先生が他の記事でも、3室は弱いハウスで、そこが恵まれていたとしても大したことはない…と書かれてましたが、ウパチャヤで、影響力が少ない部屋だと言うのは分かるのですが…

    一方で、3室は8室からの8室で8室(生命)の本質のハウスなわけではないですか?
    それで、2室や7室が生命を失うマラカのハウスになると。

    そこが私はよく分からないのですね。
    生命を洗うとハウスであるけれども、弱いハウスだと言う部分が。

    先生はどういう風にお考えですか?
    • 普通の個人のチャートを考える場合、ケンドラに在住した惑星は、吉星であれ凶星であれ、強くなり、チャートに大きな影響を及ぼす為、凶星が在住した場合、ダメージが大きくなります。


      従って、ケンドラに吉星が入ることは良いが凶星が在住することは悪いという考え方をします。


      それは健康で良い人生を送るための条件として、チャートを保護する条件として知られています。


      一方で、3、6、11室などのウパチャヤハウスは、凶星が在住していても良いとされます。


      ウパチャヤハウスはトリシャダハウス(欲望のハウス)でもあり、凶星が欲望を破壊する為、3室に凶星が在住すれば、欲望に流されず、忍耐強く、努力できるようにし、6室に凶星が在住すれば、集中力を発揮し、障害や敵との戦いにおいて勝負強さを発揮するなど、様々な良い面が出て来ます。これはトランジットの惑星を考える場合にも言えます。


      そうした個人の出生図を見る時の考え方を国家の建国図にも拡大適用したということです。


      個人のチャートと国家の建国図は基本的に同じであり、チャートを保護する要素といったハウスについての考え方なども同じように適用できると思います。


      マンデン占星術で、建国図に適用した場合、例えば、4室は教育施設やホテルや商業ビルなど、街を構成する建物、畑や田んぼなどの農地を意味しますが、また国会とか民主主義といった意味もあります。


      4室が破壊される場合、国民の幸福な生活にとってダメージが大きいと思います。


      一方で、3室は、テレビ、ラジオ、電話などの通信インフラや道路、鉄道、飛行機などの交通インフラなどを表わしているとすると、


      3室の方は元々負荷が高く、使いこんでいるものであって、そこが傷つけられたとしてもそれに耐えられると思います。


      レジリエンス(復元力、回復力、弾力)は高いと思います。


      元々商業活動、経済活動自体が、欲望を支える活動であって、それが無くても暫く我慢して生きていけます。



      3室は国民の経済活動を支えるハウスですが、4室は国民の生活そのものを支えるハウスです。


      道路が混雑したり、破壊されていても生きていけるし、郵便が届かなくても生きていけますが、家がないと生きていけません。


      家がないと睡眠したり、休息したり、食事をして、排泄をするなどの生活に必要な基本的な活動が出来ません。


      農地がないと食料を作ることが出来ません。ですからより深刻度が高いです。



      3室の交通インフラや通信インフラが破壊されても経済活動には困りますが、生活自体は、継続できます。


      4室よりもより深刻度は低いかもしれません。


      個人のチャートに適用出来るチャートを保護する要素(条件)という考え方が、国家の建国図に適用できるかどうか、この考え方が機能しているかどうかを検討したということです。
  • 秀吉先生、

    >3室の方は元々負荷が高く、使いこんでいるものであって、そこが傷つけられたとしてもそれに耐えられると思います。

    レジリエンス(復元力、回復力、弾力)は高いと思います。

    すごく腑に落ちました…

    6室は3室から3室で3室の本質のハウスですよね?
    また、11室は6室からの6室ですし…

    これらのハウスは、自己消費、消耗型なんですね…元々。

    ありがとうございました。
    • 3室から3室目のハウスは5室だと思います。

      3室に凶星が在住する場合、人間で言えば、ストイックに忍耐し努力できる人を意味しますが、

      それが社会であってもストイックに頑張れるんじゃないかというのはイメージできます。

      例えば、運送する荷物の量が多くなってもトラックの運転手が時間外労働で24時間体制で処理するといったイメージです。

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