最近、日本マクドナルド創業者の藤田田氏の著作全6冊を復刊するプロジェクトが実施されたようである。
中でも『ユダヤの商法 世界経済を動かす』(1972年/KKベストセラーズ)は総計82万7000部を売り上げるベストセラーとなったようだが、中古市場で2万円の値に吊り上がってしまい、容易に入手できない本になっていた。
例えば、この本を座右の書にする実業家も多く、たかの友梨も愛読書として、この本を挙げている。
この伝説の書が復刊したのを目にした為、以前から読みたいと思っていた私は、思わず、Amazonでワンクリックで購入した。
(新装版)2019年4月25日 初版第一冊発行
私の動機としては、ビジネスに生かすというよりもユダヤ人の考え方を知りたいと思ったからである。
ユダヤ人の商人の考え方についての興味深い話が載っているのではないかと思えたのである。
実際、読んでみると、藤田田氏が学生時代にG.H.Q(連合国軍最高司令官総司令部)で通訳のアルバイトをしていた時にユダヤ人米兵の軍曹が、給料前に破産状態になった同僚に高利で金を貸して、給料日になると容赦なく金を取り立てて、取り立てが難しい時には配給物資を担保として巻き上げ、金の力で同僚たちを支配し、逞しく生きている姿に感銘を受けたことについて綴られている。
その軍曹は、車を二台も買い込み、軍曹であるにも関わらず、G.H.Q.の上層部以上の豪勢な暮らしぶりだったという。
その時以来、藤田田氏はユダヤ人に接近し、一緒にビジネスを行なうようになり、いわばユダヤ人商人の見習いに入り、ユダヤ人から商売のやり方を直に学んだのだという。
そして、ユダヤ人たちの商売のやり方から学んだ経験について色々綴っているのだが大変興味深い話ばかりである。
藤田田氏は、ユダヤ人貿易商たちとの取引で、身を立ててゆくが、ユダヤ人は契約を絶対守り、契約を守らない人間は信用しない為、ある時、納期に間に合いそうになかった品物を届けるのに赤字覚悟で、飛行機をチャーターして納期に間に合うように相手に届けたエピソードを記している。
藤田田氏は、ある時は損をしてまでユダヤ人との契約を守った結果、ユダヤ人商人たちから「銀座のユダヤ人」と呼ばれて、世界のユダヤ人から信頼されるようになったのだという。
この藤田田氏のチャートについて当然、興味が沸くが、チャートを作成してみて、獅子座ラグナではないかと思った。
何故なら、まず、最初の印象として、藤田田氏は、創価学会の池田大作に雰囲気が似ているのである。
おそらく池田大作は、獅子座ラグナである為、藤田田氏も獅子座ラグナである。
獅子座ラグナに設定すると、ラグナロードの太陽が7室に在住しているが、7室は貿易相手や海外の契約先を表わすハウスである。
そして、この太陽に12室支配(海外)の月がコンジャンクトしており、海外のビジネスパートナーを表わす配置である。
また海外のビジネスパートナーを表わすと共に海外との貿易で、しばしば出費をすることも表わしている。
従って、上述したようにある時は、契約を守るために損をするようなエピソードも経験したのである。
また獅子座ラグナにすると、ラーフ/ケートゥ軸が6-12室の軸に在住し、木星、金星、火星が6室から12室(海外)にアスペクトしている。
これは藤田田氏が、海外の取引先から受注した商品を納期に間に合うように奔走して、海外に船便や飛行機で送り届けることを表わしている。いわば海外の取引先に対するサービス(6室)を意味している。
とにかく、こうした納期を守り、約束を守る藤田田氏を世界のユダヤ商人たちは信頼したのであるが、これはこの6室に木星や金星など吉星が在住して、充実したサービスを提供したことを物語っている。
藤田田氏は、海外から色々な物を日本に持ちこんできた人物でもあり、日本マクドナルド、日本トイザラス(おもちゃ)、日本ブロックバスター(レンタルビデオチェーン)など、ヒット商品、ヒット事業を日本に持ち込んだ。
従って、創業者と言っても、純粋に新しいアイデアの事業を創業したというよりも、海外のアイデア、ヒット商品を日本にいち早く持ち込んだパイオニアであり、その本質は、輸入販売業者といった方がいいかもしれない。
つまり、藤田田氏の本質的な肩書きは、貿易商人である。
だからラグナから見た12室に木星、金星、火星などの惑星がアスペクトするばかりでなく、月、太陽から見ても12室に木星、金星、火星などが集中しているのである。
藤田田氏のビジネスにとって、海外とのやり取りというのは、欠かせないのである。
そして、藤田田氏は、意外にも太宰治と酒を酌み交わすような親交があったのは、6、7室支配の土星が4室蠍座(水の星座:酒場)に在住しているからである。
太宰治のラグナは蠍座ラグナであるから、この4室に在住する6、7室支配の土星の表示体になっている。
今、藤田田氏が脚光を浴びる理由
そして、今、藤田田氏の著作全6冊を復刊するプロジェクトが起こり、にわかに注目を集めているのは、何故かと言えば、現在、土星が射手座で逆行し、木星も蠍座で逆行し、牡牛座10室にダブルトランジットが生じているからである。
また月、太陽から見た10室にもダブルトランジットが生じている。
そして、土星は5室(出版)をトランジットし、また月、太陽から見た5室(出版)に土星と木星がダブルトランジットし、また土星と木星は、11室(高い評価)にもダブルトランジットしている。
藤田田氏は、既に亡くなっているのであるが、亡くなった後もダシャーが進行していたと考えると、現在、月/土星期である。
月から見ると、土星はラグナロードで10室に在住し、その土星に現在、木星と土星がダブルトランジットしている。
月と土星の組合せは、カリスマの組合せであることにも注目である。
またチャラダシャーを見ると、現在、牡牛座/射手座であり、牡牛座は10室(有名、高い地位)で、射手座は5室(出版)である。
そして牡牛座にはAmKとDKがアスペクトし、牡牛座から10室にはAKとPKが在住して、ジャイミニラージャヨーガを形成している。
ヴィムショッタリダシャーや、チャラダシャーでも、既に亡くなった藤田田氏がこのタイミングで、社会の注目を浴びる理由を示しているように思われる。
金星/土星期
藤田田氏は、1971年に日本マクドナルドを創業したのであるが、2000年頃からマクドナルドの業績が低迷し、2002年7月頃に業績不振や自らの体調不良などにより社長を辞任している。
この時期は、金星/土星期であるが、金星/土星期は、ウッタラカーラムリタによれば、王が乞食に転落する危険な時期とも言われており、この時期に藤田田氏が、業績不振や体調不良で社長を辞任していることを説明することが出来る。
この金星/土星の条件面について、もう少し精査が必要である。(この詳細なリサーチは今回は省略)
マハダシャーの金星は、3、10室支配で6室に在住し、ラーフ/ケートゥ軸や火星、土星と絡んで傷つけられており、この晩年におけるマクドナルドの業績低迷は、この配置が物語っている。
そして、藤田田氏は、2004年4月21日、心不全のため亡くなっている。
この時期は、金星/土星/ラーフ辺りである。
マハダシャーロードの金星は、マラカの6、7室支配の土星からアスペクトされ、土星は6、7室支配のマラカである。
そして、ラーフは12室に在住し、ディスポジターの月はマラカの7室に在住している。
12室は優先順位としては、マラカの次に死を表わすハウスである。
従って、もし藤田田氏が獅子座ラグナで正しく、またダシャーバランスが正しいなら、金星/土星期になってから、藤田田氏は、業績不振と体調不良、社長の辞任、そして、死も迎えたことになる。
為替(FX)や株式のトレードにおける損切りの考え方は、ユダヤ商人のビジネスに対する姿勢そのものである
私が、『ユダヤの商法 世界経済を動かす』を読んで興味深かったのは、以下の箇所(P.50)である。
辛抱よりは”見切り千両” ユダヤ人は、相手の気持ちが変わるまで、辛抱強く待つ反面、ソロバン勘定に合わないと分かれば、三年はおろか、半年と待たないで手を引いてしまう。 ユダヤ人がある商売に、資金、人力を投入しようと決めたとすると、彼は、一か月後、二か月後、三か月後の三通りの青写真を準備する。 一か月経ち、事前の青写真と現実の間にかなりのズレがあったとしても、不安そうなそぶりや動揺はまったく見せない。どしどし資金と人力をそそぎ込む。 二か月経って、同じように青写真と実績の間に開きがあったとしても、ユダヤ人は一層補強投資をするだけだ。 問題は三か月目の実績である。 ここで青写真通りに行かない場合は、将来、商売が好転するというはっきりとした見通しがつかめない限り、思い切りよく手を引いてしまう。 手を引くということはそれまで注ぎ込んだ資金と人的努力を一切放棄してしまうことだが、たとえそうなったところでユダヤ人は泰然自若としている。商売はうまく行かなかったが、手を引くことで、ガラクタは一切背負い込まないですんだと考えて、むしろサバサバした顔をしているのだ。 ユダヤ人は、最悪の場合に三カ月で注ぎ込む資金は、あらかじめ予測している。その許容限度内の予算で勝負したのだから、クヨクヨすることはない、というのが彼らの考え方である。 「ダルマさん」は商売知らず ところが、日本人の場合は大変なことになる。 「せっかくここまでやってきたのだから、もうひとふんばりしなくちゃ・・・・」 「今、ここでやめたら三か月の苦労が水の泡になる」 と、未練を残し、生半可に迷いながら商売を続ける。そして、結局、深みにはまり、再起不能のダメージを受けてしまう。 (略) |
このユダヤ人の”見切り千両”の合理性は、FXや株の売買などにおける損切りの考え方と全く同じである。
しかも一定の損切り幅を決めて、その損切り幅を超えた途端に一切の感情に流されずに機械的に損切するという損切りルールの考え方と全く同じである。
FXや株のトレードにおいて、最も大事なことはこの損切りであり、損切さえしっかり出来ていて、防御さえしっかりしていれば、資金は増えていくと教えられている。
私自身、これは痛感しているが、素人は小さい勝ちを積み上げて、資金を増やしていくが、一度の大きな敗北を喫して、その全ての利益を失ってしまうのである。
それが素人の負けパターンであり、一度に全ての利益を吹き飛ばすリスクを損切りによって回避できれば、資金は増えていくのである。
ユダヤ人のビジネスに対する姿勢が、全くこの損切りの考え方と同じであることは非常に興味深い。
つまり、FXや株式のトレードに関しても、ユダヤ人商人と同じマインドを身に付ければ勝てるということである。
資本主義や株式市場を生み出したのがそもそもユダヤ人である為、これらを上手く扱う合理性もユダヤ人が有していても不思議ではない。
逆に日本人の場合、ダメなビジネスに見切りを付けられないで、再起不能のダメージを受けてしまうと、記されているが、これはFXや株式のトレードにおいて損切り出来ない人が損失を拡大して破産してしまうパターンである。
藤田田氏の著作の中で、最も有名なのは、『ユダヤの商法 世界経済を動かす』だが、この他にも『勝てば官軍』などの本も有名である。
資本主義を生み出し、世界経済を支配するユダヤ人のマインドや行動規範について知りたければ、これらの本はお勧めの本である。
【その他のエピソード】
藤田田氏が獅子座ラグナであることを物語るその他のエピソードがいくつかあるが、例えば、自分の息子たちに王様の名前を付けたことなどもいかにも獅子座らしいエピソードである。
藤田田氏には2人の息子がいるが、長男は、藤田元氏で、 次男は、藤田完氏である。
『ユダヤの商法』を書いた当時、成城大学1年と成城高校1年の息子(現在は、藤田商店の代表取締役、取締役副社長)がいて、長男に『元』(ゲン)、次男に『完』(カン)という名前を付けたが、これらは外国人には呼びやすい名前で、”ゲン”は英語で書くと、”Gen”で、将軍という意味であり、”カン”は、英語でカーンと発音し、”王様”を意味する。
藤田田氏の田(デン)という名前も外国人にとって呼びやすい名前らしく、そのことで随分得をしたといった話題の中で、外国人に親しみやすい名前を付けるべきだといった意見を綴っている。
獅子座は、”王室”の星座であり、自分を王様としてイメージする星座である。
そして、獅子座は子煩悩で、子供たちに自分の王様としての自己イメージを投影して、子供たちに王様の名前を付けたのではないかと思われる。
藤田田氏の出生図では、牡羊座や射手座、獅子座には全く惑星が在住していない為、せめてラグナは獅子座でないと、王様という自己イメージは生まれそうもない。
従って、獅子座ラグナで正しいと思われるのである。
またもう一つ、藤田田氏は、海外の悪徳商人から騙されて契約履行の直前に契約をキャンセルされ、損害を負わされそうになったことがある。
この時にケネディー大統領に手紙を書いて、この理不尽な商行為について直訴したようである。
ケネディー大統領は、商務長官を通じて、問題を解決するように指示し、場合によっては悪徳商人の海外渡航を禁じるような措置を取ることを伝えて来たという。
この大統領にまで直訴して、勝利を勝ち取った藤田田氏を海外のユダヤ人商人たちは、見直し、本物の信用を与えるようになったという。
このエピソードを読んで、更に獅子座ラグナで正しいと思われるのは、ラグナロードの太陽が7室に在住し、海外の契約相手に積極的にアプローチしていく配置であるが、7室の太陽は権力者を表わしているからである。
この配置が、ケネディ大統領のような権力者に自ら手紙を書いて、貿易問題の解決を直訴した配置であると言える。
最後に藤田田氏は、通訳をするほど、語学が堪能であったが、最低三か国語を話せることを推奨している。
もし獅子座ラグナだとすると、5室支配の木星にケートゥがコンジャンクトしており、語学の才能を表わしている。
このように様々な細かいエピソードを検討してみても、藤田田氏は獅子座ラグナで正しそうである。
後はナヴァムシャのラグナであるが、ナヴァムシャでは、木星と火星が高揚し、蟹座に惑星集中している。
創業社長の場合、2室が強調されるため、今回は、ラグナを双子座に設定してみた。ナヴァムシャのラグナの取り得る範囲は、牡羊座から射手座までである。
ナヴァムシャを双子座ラグナにすると、出生図のラグナは、マガーの第3パダである。
コメント
コメント一覧 (2件)
1950年4月に藤田商店
土星ー水星期
1971年5月に日本マクドナルド
水星ー太陽期
1989年11月に日本トイザラス
金星ー金星期
を設立してますが、
で、起業の2Lの水星があったり、デヴューの金星のダシャーですね。。
また、水星から見て、太陽は2Hにあります。
更に、
1986年 紫綬褒章受章
ケートゥー土星期?
1999年 経済界大賞 敢闘賞
金星ー木星ー土星期?
に受章してます。
仮に上記ダシャーだとすると、土星はケートゥや木星のダシャーラグナから見て11Hに在住し、1-11の星座交換をします。
11室が強調されるので受章と理解できます。
このような検証をしていくと、やはり藤田さんは獅子座ラグナであっているように見えます。
それと、金星はD1のみならず、D9でも土星・火星・ラーフ・ケートゥによって傷ついています。
ですから、金星ー土星期は金星ー金星期のように働く法則からすると、金星ー土星期は厳しいものと分かるので、これは合点がいきます。
唯一残る疑問は、藤田さんの金星ー金星期は本当のところはどうだったのかという疑問です。
果たして、金星ー土星期のような厳しいこともあったのかという疑問ですが、今のところはそのような情報は出てきてません。
起業時の2Lのダシャーや受賞の時期がダシャーラグナから見た11室であることなどは獅子座ラグナで説明できますね。
問題はマハダシャー金星期の途中までは特に問題なさそうであった事業活動が何故、金星/土星期になっていきなり停滞したのかということです。
金星/土星期は、金星/金星期のように働くという理論を一度、脇に置いて考えると、
金星/土星期に何故、業績不振、体調不良で社長を辞任など、不幸が続いたのかということです。
金星のディスポジターは、土星で、土星は月から10室に在住してますが、火星と10-12の星座交換をしています。
ラグナから見ると、金星のディスポジターの土星は、6、7室支配で4室に在住し、4、9室支配の火星と4-6の星座交換しています。
ラグナから見ても月から見ても土星は、ケンドラを深く傷つける10-12と4-6の星座交換をしています。
マハダシャー金星の傷を考える場合、このディスポジターの土星の火星との星座交換などを考える場合に初めて、それが凄まじい凶意を発揮すると分かります。
3、10室支配の金星とコンジャクトする木星は5室の支配星であり、火星は4、9室支配のヨーガカラカであり、それらのトリコーナやケンドラと絡むケートゥもラージャヨーガとなるため、金星は6室に在住しているというだけではそれ程、傷ついていません。
6室に在住しているので、奮闘し、サービスに努めるという象意は出て来たとしても、ラージャヨーガを形成して、良さそうな配置であったりもします。
従って、金星のディスポジターの土星が火星との間に10-12と4-6の星座交換を形成し、土星自身もマラカで、機能的凶星で、敵対星座に在住し、逆行もしており、また月から見てもラグナから見てもケンドラに在住することで凶意が拡大し、もう一方のケンドラも激しく傷つけているといった土星の凶意が、藤田田氏の業績不振、体調不良、社長の辞任などに役割を果たしたと思います。
マハダシャーの金星は、生来的吉星で、機能的には凶星ですが、5室支配の木星やヨーガカラカの火星とコンジャンクトして、ラージャヨーガを形成しているため、全体としてマハダシャーの金星は、”吉”として考えて良いと思います。
その場合には、マハダシャーが”吉”であり、その金星と絡んでいないアンタルダシャーの時期も主にマハダシャーが結果を与えるため、良かったと考えることが出来ます。
そのため、金星/金星⇒金星/太陽⇒/金星/月期などは、太陽や月などが金星と絡んでいないため、主にマハダシャー金星の吉意が表現されたと考えることが出来ます。
次の金星/火星期ですが、火星はヨーガカラカで、マハダシャーの金星と絡んでいる為、この時期も良い時期と考えることが出来ます。
そして、その次の金星/ラーフ期や金星/木星期なども金星と絡んでおり、この時期も良いと考えることが出来ます。
そのように考えると、マハダシャー金星期の頭から途中まで、事業が順調に見えた理由が説明できます。
然し、金星/土星期になって、何故、急に悪くなったのかを考えると、
マハダシャーの金星は、アンタルダシャーである土星の星座に在住して、土星から一方的なアスペクトを受けています。
この場合、セシャドリアイヤーの理論によれば、アンタルダシャーの土星がマハダシャーの金星よりも優勢に働くと考えることが出来ます。
金星は土星の星座に在住して、土星の影響下に入り、土星から一方的にアスペクトされる場合も土星の影響下に入ります。
つまり、アンタルダシャーの土星の影響下に入ることによって、金星/土星期だけは、主にアンタルダシャーの土星の凶意が噴き出したのかもしれません。
アンタルダシャーの土星は、生来的凶星で、6、7室支配の機能的凶星で、マラカでもあるため、これは完全に”凶”です。
マハダシャーの金星とアンタルダシャーの土星が絡んでいるかどうか検討すると、金星と土星は3-11の関係にあり、特に星座交換もコンジャンクトも相互アスペクトもしておらず、ケンドラやトリコーナの位置関係にもない為、絡んでいないと見なすことが出来るかもしれません。
その場合には、主にマハダシャー金星が結果を与えるため、特にこの金星/土星期は問題ないはずです。
そして、金星/土星期は、金星/金星期のように働くという理論によっても、この金星/土星期は問題ないはずです。
然し、そうした理論に優先して、マハダシャーの金星がアンタルダシャーである土星の星座に在住して、土星から一方的なアスペクトを受けていることによって、アンタルダシャーの土星が結果を与えたと考えることが出来ます。
また仮にマハダシャーの金星とアンタルダシャーの土星が絡んでいると考えたとしても、マハダシャー金星の吉意とアンタルダシャーの土星の凶意が吉凶混合して結果を与えたと考えることができ、その場合、アンタルダシャーの土星の凶意がかなり強かったと考えることが出来るかもしれません。
然し、その場合はマハダシャー金星の吉意も土星の凶意と同じように出るはずである為、それよりもむしろ、アンタルダシャーの土星の凶意の方が強かったという事実が説明出来ません。
やはり、「マハダシャーの金星がアンタルダシャーである土星の星座に在住して、土星から一方的なアスペクトを受けていることによって、アンタルダシャーの土星が結果を与えた」と考えるのが一番、すっきり説明できます。
金星/土星期は、金星/金星期のように働くという理論を機械的に当てはめるのは避けた方がいいかもしれません。
その前にダシャーとアンタルダシャーのコンビネーションを検討し、両者の絡みなどを検討した上でのオーソドックスな方法を先に適用した方がいいかもしれません。
今回のケースでは、金星/土星期を金星/金星期のように考えると、全く説明できない訳です。
然し、そもそも金星/土星期は、金星/金星期のように働くという理論は、金星と土星が絡んでいない場合に主にマハダシャーの金星が結果を表わすという通常のオーソドックスな理論の変形バージョンではないかと思います。
実際に金星と土星が絡んでいるのか、絡んでいないのか、両者の位置関係や、一方が一方の星座に在住しているかどうか、一方が他方に対して、一方的にアスペクトしているかどうかといった観点を先に検討しないと使えない理論かもしれません。
然し、そもそも根本的な問題として、私はある惑星のダシャーの時期においては、その惑星のディスポジターの配置の質が半分ぐらいは顕現するという理論を提唱していますが、今回のケースだと、マハダシャー金星のディスポジターである土星の凶意は、マハダシャー金星期全体を通して現れたというよりもむしろ、金星/土星期に特化して現れたように見えます。
その辺りは、再度、確認しなければならないと思っています。