「悪魔の詩」著者 サルマン・ラシュディ氏 刺される





「悪魔の詩」著者として有名なサルマン・ラシュディ氏が、ニューヨークの講演会場で、刃物を持った男に襲撃されたとニュースが伝えている。


ラシュディ氏は、搬送先で手術を受け、人工呼吸器を装着しているというが、会話ができず、片方の目を失うおそれがあり、腕の神経が切断され、肝臓を刺されて損傷を受けたという。





サルマン・ラシュディ氏が、1988年に「悪魔の詩」を出版し、イラン革命の指導者ホメイニ師が死刑を宣告したことはよく知られているが、もうずいぶん昔の話である。


それを今頃、蒸し返しているように思われる今回の事件は、今の時代が、1990年代から進歩しておらず、過去の封建的な価値観に退行していることを感じさせる。


日本では、「悪魔の詩」を翻訳した筑波大助教授の五十嵐一氏が何者かに殺害されたことは衝撃である。


翻訳しただけで殺害されるというのは、余程のことで、イスラム圏の闇を感じさせる。



イラン・イスラム革命で、アメリカによる傀儡政権を排除して、国を取り戻した保守の国イランは、まさに蟹座的な国であり、建国図もラグナが蟹座で、木星が蟹座に在住して、逆行する土星と合わせれば、蟹座にダブルトランジットが生じている。





そして、蟹座から見て9室の魚座(キリスト教、イスラム教)に太陽、水星、火星が惑星集中して、宗教的原理主義の国家であることは一目瞭然である。


国全体で、アラーの神、ムハンマド、イスラムの伝統を信奉しているような国家である。


つまり、魚座や蟹座などの水の星座が強い、封建的な価値観の国である。


私は、サルマン・ラシュディ氏の「悪魔の詩」は読んでいないが、ムハンマドの日常生活を批判的に風刺したもので、ムハンマドの12人の妻たちと同じ名前を持つ12人の売春婦が登場するといった内容であるという。




イスラーム批判

イスラームの聖典クルアーン中に神の預言として、メッカの多神教の神々を認めるかのような記述がなされている章句があったとの伝承がある(ガラーニークの逸話)。伝承では、後に預言者ムハンマドは、その章句を神の預言によるものではなく悪魔によるものだとして取り除いているが、ラシュディはこれを揶揄したとされる。

(wikipedia 悪魔の詩より引用抜粋)



その他、上記のようにイスラムの聖典クルアーンの記述の矛盾なども指摘している。



サルマン・ラシュディ氏の著書「ジョゼフ・アントン」によれば、ラシュディ氏は、ホメイニ師から死刑宣告を受けてから、偽名を使い、武装警官の警護を受けながら、友人や出版社のつてを頼って、20カ所もの「隠れ家」を転々とする約9年間に及ぶ逃亡生活を余儀なくされたようである。



アストロデータバンクのデータを調べると、Rodden Ratingが、A評価で、まず信頼できるデータである。






このデータでチャートを作成すると、牡羊座ラグナで、4室に10、11室支配の土星が在住していることが分かる。


これが、転々と居場所を変えて、逃亡生活を余儀なくされた配置である。


いつ殺されるか分からない中で、同じ場所に長く住み続けることが出来ず、心安らぐ暇なく、次々と居場所を変えなければならない。


おそらく住み続けるうちにラシュディ氏が住んでいるといったうわさが段々広まって、周辺が不穏な雰囲気になって来て、それで引っ越しを余儀なくされるのではないかと思われる。


4室の土星は、居場所が居心地が悪くなる為、引っ越しが多くなる配置である。


これまで4室に土星が在住している人たちのチャートを見て来たが、2~3年ぐらいに1度ぐらいの頻度で、人生で十回とか数十回の引っ越しをしている人の事例なども何度か見たことがある。




事件があったのは、2022年8月12日で、おそらく襲撃された時の映像が昼まであることから、ケートゥ/ラーフ/水星/金星/水星期である。


まず、サルマン・ラシュディ氏のチャートは、ラグナに1、8室支配の火星が在住し、10、11室支配の土星がアスペクトして傷つけている。


この土星は10、11室支配の機能的凶星だが、11室の支配星は、最悪の機能的凶星である。


敵対的で、暴力的で、競争心旺盛で、人を利用しようと悪意を持って近づいて来る人間を表わしている。


この土星が蟹座から牡羊座ラグナにアスペクトしていることから、この土星のラグナ、ラグナロードへのアスペクトは、極右民族主義者からの攻撃と解釈すべきである。


こうした民族主義者が、懸賞金を求めて、彼を暗殺しようと追いかけまわす為、ラシュディ氏は、転々とした逃亡生活を余儀なくされたのである。







8室の支配星がラグナに在住し、11室支配の土星がアスペクトしている為、これが彼の身体に危害が及ぶ配置である。


ラグナロードがラグナでルチャカヨーガを形成している為、体力があり、タフであるが、然し、8室と11室が絡んでおり、悪意のある暴力に晒される可能性を示唆している。


但し、9室支配の木星がアスペクトしてラシュディ氏の身体を守っており、それが今まで生きて来られた理由かもしれない。



まず、マハダシャーロードのケートゥは8室に在住しているが、ディスポジターの火星は、1、8室支配で、ラグナに在住して、11室支配の土星からアスペクトされている。



従って、ケートゥ期は、身体が暴力に晒される可能性を示唆しており、傷ついた8室の支配星は、マラカとなり得る配置である。



アンタルダシャーロードのラーフは、2室に在住して、2、7室支配のマラカの金星とコンジャンクトして、2室を傷つけている。



因みにラシュディ氏は、片方の目を失うおそれがあると言うが、右目は2室支配の金星、左目は12室支配の木星に該当するが、ケートゥのディスポジターである火星は、12室支配の木星を傷つけており、この場合、左目が損傷した可能性を示唆している。


ラーフは2室の支配星を傷つけているが、この場合は、右目の損傷を示唆している。



またラシュディ氏は、肝臓も刺されたというが、肝臓の表示体は木星である。



火星は木星にアスペクトして、肝臓の表示体を傷つけている。



プラティアンタルダシャーとプラーナダシャーの水星は、3、6室支配で3室に在住しているが、ナヴァムシャでは、ラグナロードでラグナに在住し、6、11室支配の火星のアスペクトを受けており、ナイフで身体を刺されるような配置をしている。このラグナには木星の保護も見られない。








事件のあった2022年8月12日のトランジットを見ると、まずラーフ/ケートゥ軸が、1-7軸にトランジットしている。



ラーフとケートゥは、マハダシャーロードとアンタルダシャーロードである為、このトランジットは重要である。



身体に何かが起こることを示している。火星は2日前まで牡羊座に留まっていたが、事件のあった日は牡牛座に移動している。



この場合、牡羊座にも牡牛座にも影響を及ぼしている可能性がある。



牡牛座には、アンタルダシャーロードのラーフと、スークシュマダシャーの金星が在住し、トランジットの火星は、この出生のラーフと金星を傷つけている。



従って、火星のトランジットからは、右目を損傷した可能性を示唆している。



また身体を表わす太陽や、2室支配の金星は、4室に在住する10、11室支配の生来的、機能的凶星の土星の上を通過していたが、これも重要である。



そして、現在、木星は12室魚座をトランジットし、土星が10室から魚座12室にアスペクトして、12室にダブルトランジットしている為、今回、入院したのである。



出生の木星に対して、トランジットの火星、土星がアスペクトして、ラーフ/ケートゥ軸がコンジャンクトしていることも肝臓や左目を損傷した可能性を表わしている。






サルマン・ラシュディ氏の事件の本質






サルマン・ラシュディ氏のチャートを見ると、双子座に月、太陽、水星が惑星集中しており、天秤座から木星のアスペクトを受け、定座の水星はヴァルゴッタマで、ナヴァムシャではラグナでバドラヨーガを形成している。



双子座はフリーメーソンの星座であり、理性や近代科学を推進した双子座の特質を強力に打ち出している人物である。



そういうラシュディ氏から見ると、イスラム教のクルアーンなどに示されている矛盾は、封建的なイスラム教の無知、迷信を表わすものとして許せないものだったに違いないのである。



そういう意味では別にイスラム教でなくてもかまわなかったのであり、ヒンドゥー教でもキリスト教でも宗教的原理主義の中にある無知、蒙昧、封建性というものを理性の立場から論駁したくてたまらない人物なのである。







そして、ラシュディ氏が、しばしば辛辣な風刺で、露骨にイスラム教を揶揄したのは、ナヴァムシャにおいて、ラグナから見て、6室蠍座に月、太陽、土星が集中しているからである。



それが宗教的原理主義的な人々を多少上から目線で、批判し、こき下ろす配置である。



3室に惑星集中し、5室の支配星も3室に在住している為、ラシュディ氏は、自分の知性が捉えた真実を書かずにはいられなかったに違いない。



それを書けば、命を狙われることを分かっていたにも関わらず、書かずにはいられなかったのである。



3室は文筆のハウスであり、また欲望のハウスでもある為、メディアや書籍などの媒体を通じた表現欲というものが抑えられないのである。



私も同じような配置があるので、そうした感覚がよく分かるのであるが、自分の頭が把握し、理解したことは何でも書きたくなって書かずにはいられないのが、この配置の性(さが)である。




このラシュディ氏の著作を巡る騒動は、本質的に西側世界の理性や近代という原理と、イスラムの封建的伝統的価値観のぶつかり合いであり、それが表現の自由の擁護などと相まって、当時、イランと西側諸国との間の政治問題にも発展したのである。



報道では、今だったら、サルマン・ラシュディ氏の「悪魔の詩」は出版出来なかっただろうと結んでいる。




確かに歴史が逆回転し、世界的に右翼民族主義者が跋扈し、戦争まで起こっている今では、イスラム原理主義者を刺激する本は出版できそうにない状況である。




まだリベラルが力を持っていた当時でさえもイスラム世界に大きな物議を醸したのであるから、今では尚更である。




現にサルマン・ラシュディ氏が、あたかも当時のことを思い出したかのようなイスラム信奉者から今頃になってしつこく襲撃されたことがそれを物語っている。




因みにサルマン・ラシュディ氏は、これだけ国際社会に大きな物議を引き起したにも関わらず、しっかりとリベラル派の人々から守られたのは、西側世界の価値観を代表していたからである。



9室支配の木星が天秤座からラグナ、ラグナロード、月、太陽にアスペクトして保護する配置がそれを物語っている。



サルマン・ラシュディ氏を英雄にしたのは、著作そのものの完成度や価値といったものよりも、イスラム世界に物議を醸し、死刑宣告を受け、その後、転々と9年間にも及ぶ逃亡生活をするといったスリリングな生を生きたことではないかと思われる。



そうした誰も真似のできないユニークな生を生きたという意味で、ラシュディ氏の人生には非常に輝かしい価値がある。



まさに牡羊座でルチャカヨーガを形成することから来る力強い人生である。




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コメント

コメント一覧 (2件)

  • たまたま五十嵐一さんについて昨晩調べていたので、こちらの記事に驚きました

    五十嵐さんの生年月日が1947年6月10で、サルマン・ラシュディさんが1947年6月19日というわずか数日しか生年月日が変わらないというのが興味深いです
    • 五十嵐一氏のチャート見ましたが、土星と火星の相互アスペクトで激しく傷つけ合っていたり、火星が牡羊座で強い辺りは同じです。


      ただ五十嵐氏の場合、火星はバラニーに在住して、より凶暴であり、また水星もアールドラーに在住しており、かなりナクシャトラの象意が異なっています。


      サルマン・ラシュディ―氏の場合、火星はクリティッカーで、水星は、プナルヴァスで、ヴァルゴッタマでした。


      また五十嵐一氏は、月がケーマドルマで、土星と星座交換しており、太陽が強い敵対星位で、敵対惑星のラーフとコンジャンクトして傷ついています。


      サルマン・ラシュディ―氏の場合、ラグナ、ラグナロード、月、太陽に9室支配の木星がアスペクトして保護していることが大きいと思います。



      五十嵐一氏は、ラグナは分かりませんが、出生時間を何時に設定したとしても刺殺された1991年は、マハダシャー土星期です。


      土星は強い火星と相互アスペクトしており、この土星が、五十嵐一氏やサルマン・ラシュディ氏を苦しめたと言っていいと思います。


      この土星は、蟹座プシュヤに在住しており、愛国民族主義者で、プシュヤに在住している為、真面目な印象ですが、


      冥王星とコンジャンクトして、火星からアスペクトされて、盲目的な意志で、凶暴化しているように思います。


      イスラム教を真面目に信仰する純粋な右翼に殺されたといっていいかもしれません。



      本文には書かなかったですが、サルマン・ラシュディ氏が死刑宣告された時(1989年2月14日)は、土星/ケートゥ期(土星/ケートゥ/金星)で、土星期は、2002年まで続きますが、


      逃亡生活をしたのが、9年間であるという為、ちょうどこの土星期の残りに一致します。


      この土星期の間中、ずっと暗殺未遂が繰り返され、居場所を20回も変えて、転々と逃亡生活をしなければならなかったということが、4室に土星が在住し、火星からアスペクトされていることが物語っています。


      このケンドラに在住する火星と土星が、非常に困難な人生を物語っています。


      火星がルチャカヨーガで、土星が10室定座にアスペクトバックして強い為、非常に大きな影響力をもたらし、イスラムの暴動や襲撃事件などで、他にも大勢、死者が出ています。


      一個人がこれだけ大きな騒動の引き金になり、しかもそれが、不穏な出来事であるというのは、凶星がケンドラに在住して強いからであると思います。



      今回の事件では、サルマン・ラシュディ氏の出生の火星にラーフ/ケートゥ軸がトランジットし、そして火星も2日前に牡牛座に移動してますが、牡羊座をトランジットしていたと見なしていいと思います。


      また土星も10室から出生の土星にアスペクトしていました。そして、魚座と蟹座に木星と土星がダブルトランジットしていました。


      まさに牡羊座と蟹座で相互アスペクトする2つの凶星が、活性化したタイミングであったと思います。


      ダシャーもケートゥ/ラーフ/水星期で、まさにこうした配置を活性化するものでした。


      ケートゥのディスポジターは、火星で、ケートゥはアヌラーダに在住していますが、アヌラーダの支配星は、土星です。


      そして、ラーフのディスポジターは、ラーフ/ケートゥ軸に傷つけられる2、7室支配のマラカの金星で、ラーフは、クリティッカー(太陽)に在住しています。


      これは、今、気づいたことですが、太陽は、ムリガシラー(火星)に在住し、火星はクリティッカー(太陽)に在住している為、火星と太陽は、ナクシャトラ交換しています。


      従って、クリティッカーに在住するアンタルラーフ期は、結局、土星と相互アスペクトする火星の結果を表わしたと考えることが出来ます。


      水星は、プナルヴァス(木星)に在住していますが、木星は、火星からアスペクトされて傷ついています。


      木星から見て、ケンドラの位置に火星と土星が在住しており、木星は傷ついていると言えます。


      然し、木星は、ラグナ、ラグナロード、月、太陽にアスペクトして保護している為、それが助かる要素なのかもしれません。


      サルマン・ラシュディ氏は、ひどくやられましたが、報道によれば、命は助かったようです。


      プラティアンタルダシャーの水星が、プナルヴァス(木星)に在住し、機能的吉凶とコンジャンクトし、木星からアスペクトされていることが助かった要素に見えます。

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