孤独な暗殺犯・山上徹也のチャート -ラグナを特定する- その2
山上徹也のチャートを天秤座ラグナに修正して、過去の出来事も説明出来るため、これで良いと思ったが、例えば、4室を母親のラグナとすると、母親の破産が説明出来なかったり、多少、腑に落ちない点があった。
母親が破産したのは、ラーフ/ラーフ期だが、4室を母親のラグナとすると、ラーフのディスポジターの月は、7室の支配星で、9室に在住し、1、2室支配の土星、6、9室支配の水星とコンジャンクトしており、母親が巨額の金銭を損失したようには見えない。
山上徹也にとっては、母親の損失経験に見えるが、母親自身にとっては、ただ熱心に宗教活動をしていたように見えるだけである。
但し、天秤座ラグナで良さそうに思える事例が見つかった。
ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンの事例がそうである。
暴力における6室の支配星と11室の支配星の役割
マーク・チャップマンは、1980年12月8日(月)22時50分頃、ニューヨークのセントラル・パーク西側の72番通りにあるレノンの自宅であるダコタ・ハウスの前で、到着したジョン・レノンに対して、ピストルを5発ほど撃ち込み、その場で、逮捕されている。
この時のダシャーが、太陽/水星/木星期である。
第5レベルまで出すと、太陽/水星/木星/ラーフ/太陽期である。
太陽は11室の支配星で高揚しているが、11室は暴力を表わす6室から見た6室目のハウスで、6室の本質のハウスである。
高揚している為、凶意が増していることが分かる。
アンタルダシャーの水星は、月から見ると7、10室支配で暴力の6室に在住し、火星と同室しているが、6室の火星は、敵を粉砕する徹底的な暴力を表わしている。
(獅子座ラグナとした場合の北朝鮮の金正恩のチャートを思い出せば、6室の火星が徹底的な暴力であることがよく分かる)
プラティアンタルダシャーの木星は、3、6室支配で、暴力の6室を支配し、高揚している為、ここでも凶意が増していることが分かる。
スークシュマダシャーを見ると、ラーフだが、ラーフのディスポジターは、やはり、暴力を表わす3、6室支配の木星である。
プラーナダシャーは、太陽で、やはり暴力の本質のハウスである11室の支配星である。
従って、マハダシャーからプラーナダシャーまで、5つのレベルのダシャーが全て6室の支配星だったり、11室の支配星だったり、少なくとも6室に絡んでいる。
山上徹也が、安倍元首相を銃で殺害したのは、2022年7月8日午前11時31分頃 (JST)で、私が設定した天秤座ラグナ(ヴィシャーカー)では、木星/土星/水星/木星/太陽期である
。
マークチャップマンと同様にダシャーに6室支配の木星や11室支配の太陽が頻発することが分かる。
まず、マハダシャーの木星は、3、6室支配で、暴力の6室を支配し、暴力の本質のハウスである11室の支配星とコンジャンクトしている。
この11室の支配星は定座に在住して強いことで、凶意を増している。
アンタルダシャーの土星は、4、5室支配のヨーガカラカだが、月から見ると6室の支配星であり、ウッタラパールグニーに在住しているが、その支配星である太陽は、やはり、暴力を表わす11室の支配星である。
そして、プラティアンタルダシャーの水星は、9、12室の支配星で、月から見ても1、10室の支配星であるが、月から見て6室の支配星とコンジャンクトし、またウッタラパールグニーに在住している為、やはり、暴力の11室の支配星と関係している。
プラティアンタルダシャーは、3、6室の支配星で、暴力の6室を支配し、スークシュマダシャーの太陽は、暴力を表わす11室の支配星である。
アンタルダシャーやプラティアンタルダシャーの惑星が、暴力に直接関係していないように見えるが、ナクシャトラの支配星を経由するやり方は、かなり有効に作用している。
またマハダシャーが暴力を表わす3、6室支配の凶星である場合、アンタルダシャーがヨーガカラカであっても、最悪の時期になるという、ダシャー解釈の不可解な例外が有効に機能していると考えられる。
従って、この場合は、マハダシャーの木星が、3、6室支配で、11室支配で定座に在住する強い太陽とコンジャンクトして、6室、11室の絡みが強いことを主に見て行けばいいことになる。
ラグナのナクシャトラ -ナヴァムシャのラグナを検討する-
因みに山上徹也は、安倍元首相の暗殺を決意してから、コツコツと手製の銃を完成させ、派遣先の京都府内の工場を退職して、暗殺に備え、そして、7月7日未明に奈良市内にある家庭連合の施設が入る建物に試し撃ちまでしている。
7月7日の夜に安倍元首相の遊説先の岡山市を訪れたが、警備の厳重さから犯行を断念している。
そして、7月8日午前11:31頃に奈良市の近鉄大和西大寺駅前で犯行に及んでいる。
暗殺を決意してからの山上徹の行動は、目的に対してひたすら集中する目的への強いコミットが見られる。
これは、おそらく行動する場合には必ず目的が必要なヴィシャーカーの行動パターンではないかと思われる。
ナクシャトラの解説によれば、ヴィシャーカーは「目標達成を宿命とする戦士」であり、「目的達成の為には、常識や因習にとらわれず、ねばり強くそれを追求することができ」、「目的に固執するあまり、やや無節操に何でもやってしまう所がある」という。
また「物事を押し切って成し遂げてゆく強さと無類の喧嘩っ早さが同居している」という。
実際、私自身もヴィシャーカーの知人がいるが、ある時、突然電話して来て、何の用事かと思って暫く会話していると、ネットワークビジネスへの勧誘であったり、自己啓発セミナーへの勧誘であったりといったことが何度かあったのを覚えている。
何か最初は、違う用事で、久しぶりに話がしたかったという感じを装っているが、暫くして我慢できないのか直ぐに自分の目的である本題に入ってしまう。
その辺りが、無節操で、結局、目的は、勧誘であったということを露骨に示して、それでも恥じないという性格である。
ヴィシャーカーの人は目的ありきであり、目的を達成する為には無節操に何でもし、長年、連絡を取っていなかった知人にいきなり連絡が出来たりする性格である。
またこのヴィシャーカーであれば、支配星が3、6室支配の木星となり、まさに暗殺という結果をもたらした6室の支配星である。
従って、3、6室支配の木星、暴力の6室が、達成する目標になると考えれば、ラグナが天秤座のヴィシャーカーというパターンは、かなり攻撃的で、手強い組み合わせではないかと思われる。
山上徹也の出生図で、ラグナが天秤座のヴィシャーカーである場合、ヴィシャーカーの第1パダ~第3パダのどれかになり、ナヴァムシャのラグナは、牡羊座、牡牛座、双子座のいずれかになる。
牡羊座の場合、11室に惑星集中するが、社会的な評価が高く、経済的に成功した人のチャートのようになる為、これは合致していない。
双子座の場合、9室に惑星集中するが、その9室に8、9室支配の土星や6、11室支配の火星が在住し、6-8の絡みが見られる。
これは統一教会というカルト宗教で、酷い目にあった配置と考えると、納得できる。
ラグナロードで、4室支配の水星が9室(宗教)で、土星、火星、ラーフとコンジャンクトして、6-8の絡みに巻き込まれている為、母子ともに献金を強制する支配的な宗教で、犯罪的な酷い目に遭うことを表わしているように見える。
7、10室支配の木星が6室に在住しているが、ディスポジターの火星が暴力を表わす6、11室の支配星で、8、9室支配の土星と6-8の絡みを生じているが、まさにマハダシャー木星期に自分を一家を破滅させた宗教団体に対する復讐(犯罪行為)を始めたと考えることが出来る。
6-8の絡みは犯罪を免れない配置である。
これは母親が宗教団体によって強制的に献金させられて一家が破滅したこと自体が犯罪だが、それに対して、暴力で復讐しようとしたこと自体も犯罪であり、2つの意味が考えられる。
両親家族を表わす2室の支配星が、8室に在住する配置は、一家が破滅したことを表わすが、特にこれが月である為、母親が原因で、一家が破滅したこと、あるいは、母親の破滅、そして、母親に対する苦悩として解釈できる。
牡牛座ラグナで、10室に土星、火星、ラーフが集中する配置の可能性も考えたが、それは10室の土星や火星の配置は、悪名を轟かすからである。
然し、土星は9、10室支配のヨーガカラカで、7室支配の火星、2、5室支配の水星と共に10室に在住する配置は、2-9、5-9、5-7、5ー10、7-9などのラージャヨーガやダナヨーガを形成し、ラーフ自体もヨーガカラカ(ラージャヨーガ)となる。
素晴らしい職業運となり、ハードな仕事をし、管理職などを経験し、そこから報酬を得るような配置となり、山上徹也の境遇に合致していない。
10室の火星は、自衛隊に属するような配置だが、然し、自衛隊でも管理職に就くような配置であり、自衛隊に入ったものの、見習い段階で直ぐに辞めた人間の配置とは思えない。
山上徹也は、40歳を過ぎて、家賃4万円弱の6畳1Kの部屋に住み、また逮捕された段階で、60万円の借金を抱えていたことから生活は困窮していた。
それを考えると、やはり、10室支配の木星が6室(奮闘、借金)に在住し、8室支配の土星からアスペクトされる配置で正しそうである。
従って、おそらく山上徹也のナヴァムシャのラグナは、双子座である。
双子座ラグナであると考えると、犯行時に演説をする安倍元首相の背後から様子を伺い、また銃を発射したのも背後からであったことの説明が付く。
安倍元首相のチャートでは、ラグナロードの月が、12室に在住し、ラーフ/ケートゥ軸や火星から傷つけられている配置が、まさに背後から銃で撃たれたような配置である。
木星/土星/水星期に犯行に及んだのは、木星のディスポジターが暴力を表わす6、11室の支配星で、8室の支配星とコンジャクトして、6-8の絡みを生じ、またアンタルダシャーの土星も8室の支配星で6室支配の火星とコンジャンクトして、6-8の絡みを生じ、暴力や犯罪を表わす配置である。
そして、プラティアンタルダシャーの水星もこうした土星と火星による6-8の絡みに参加している。
ラーフはこうした6-8の絡みに油を注ぐ役割を果たし、過激な行動に駆り立てたと考えられる。
従って、おそらく山上徹也の出生図のラグナは天秤座ヴィシャーカー第3パダで、ナヴァムシャのラグナは双子座である。
そうすると、ダシャムシャのラグナも双子座になるが、そこには土星が在住している。
木星は11室に在住しているが、ディスポジターの火星はやはり6、11室の支配星で暴力を表わしており、土星はラグナに在住しているが、これは否定的な意味で、歴史に残るような行為(暗殺)を働いたことを示していると考えられる。
因みにナヴァムシャのラグナを双子座に設定すると、犯行時のダシャーが、木星/土星/水星/木星/ラーフ期となり、プラーナダシャーが太陽からラーフに変わってしまい、冒頭で検証した内容と変わってしまう。
但し、ラーフがナヴァムシャで、6室支配の火星、8室支配の土星とコンジャンクトしていることを考えると、ナヴァムシャによって、このタイミングでの暴力が説明できる。
山上徹也の今後
現在、山上徹也は木星/土星期で、マハダシャー木星期に移行したセカンドアンタルダシャーにいる。
これはマハダシャーの木星の象意が本格的に始まったタイミングを示唆している。
木星は、3、6室支配で、暴力を表わし、暴力を表わす11室の支配星とコンジャンクトしている。
従って、暗殺という暴力的な事件を起こした。
一方で、木星は、月から見て、4、7室支配で12室に在住し、12室支配の太陽とコンジャンクトしている。
従って、それで刑務所(12室)に収監されたのである。
木星期は、16年間、2035年9月まで続くため、今後も暫くは、刑務所の中で過ごすことになりそうである。
木星は、ナヴァムシャでは7、10室支配で6室に在住し、8室支配の土星からアスペクトされている。
もしこの配置が正しければ、刑務所の中で、刑務作業に従事するように見える。
おそらく、普通の社会でも工場労働などで過酷な現場にいたのであり、することはそれ程、変わらないかもしれない。
世間では、山上徹也の境遇への同情論も強く、死刑判決が出るか微妙である。
実際、出生図ではラグナロードの金星は10室でラーフとコンジャンクトしているだけである。
但し、ナヴァムシャで、ラグナロードの水星が、6室支配の火星、8室支配の土星、ラーフとコンジャンクトしているのであれば、ラグナロードは激しく傷ついている。
その場合、暴力的な死を迎える可能性があるが、現在、木星期で、木星を見た感じでは、暴力的な死を意味しているようには見えない。
然し、木星はマラカの7室の支配星であり、また天秤座ラグナにとっても3、6室支配の木星はマラカである。
そして、コンジャンクトする11室支配の太陽もマラカに相当する。
ダシャーロードの木星をラグナとした場合、マラカの2室に惑星集中しており、兄が自殺した理由と全く同じロジックが適用出来る可能性も出てくる。
従って、アンタルダシャーによってはどのような結果がもたらされるか予測できない。
ナヴァムシャのラグナが双子座であれば、統一教会との確執は、まさに9室の激しい傷が物語っている。
コメント
コメント一覧 (4件)
まぁ、こういう人のチャート解釈を読ませていただくと、ほんとに酷いな…やってしまったことは擁護できないけど、あまりに不幸で、可哀想、自分なんか大したことないな…等と誰しも思うと思いますが、
先生は、こういうチャートに生まれてきた人は、
①カルマ(前世からの、解消すべき)による
②(それぞれのオーダーメイド的な運命により)成長するため
③人類全体が学び成長するために、それぞれ個別に与えられた運命を表現してみせるため。つまり、振り分けられた役割。
私は、そんな風にざっくりと考えたりするのですが、どう思われますか?
これらの複合系ですかね?
カルマの法則とは、自ら播いた種を刈り取る法則という意味では、個人的なものですが、民族のカルマとか、集合的なカルマもあると思います。
ルドルフ・シュタイナーなどがそうしたことを書いていたと思います。
興味深いことに秘教によれば、遠い昔にはカルマの法則がなかった時代もあり、ある時点から導入されるようになったという話もあります。
日本人として生まれたことによって、背負わなければならない民族のカルマというものがあると思います。
それは例えば、第二次世界大戦の戦争責任など、諸外国によって今だにそのことを非難されることとして現れているかもしれません。
別に私たちが、戦争に行った訳でなくても、私たちの身に降りかかって来るので、民族のカルマだと思います。
日本人に生まれることによって、その民族のカルマを背負います。
山上徹也の場合、様々な不幸が重なって、必然的に安倍元首相暗殺へ導かれたのであり、そのように導いた社会の罪なども見て行く必要があると思います。
例えば、神道連合である日本会議と強いつながりのある安倍元首相と、統一教会の連携は、国際勝共連合(共産主義に勝利するための国際連盟)として有名で、極右勢力です。
安倍元首相が推し進めたアベノミクスは完全にそうした極右勢力の既得権益を満たすものとして、身分制度、階級社会を推進しましたが、おそらく、山上徹也の人生の苦境は、そうした極右勢力の社会政策がかなり原因していると思います。
6畳1間、家賃4万のアパートに住んでいたといったことがそうです。
統一教会に洗脳されて母親が破産したとしても、普通に働いてそれなりの給料が出れば、もう少し良い生活が出来そうですが、統一教会以外の政府による社会政策の問題もあったと思います。
統一教会に母親が騙されたというのは、宗教団体と個人的な一家としてのカルマですが、政府による社会政策の問題は、もっと民族のカルマとか、そうした大きなスケールの社会全体のカルマだと思います。
その社会のカルマの結果を実演する役割を一個人として引き受けたと言えるかもしれません。
安倍元首相は、暗殺される前からアベノミクスについてかなり批判されており、岸田政権になってからアベノミクスに対する評価が批判されてきていました。
国債を乱発して株価を上げるという操作は、国民にとって自分たちに敵対的で、自分たちを貧しくしている政策だとは中々理解出来ません。
アベノミクスの本質は、株価を上げて、国民を貧しくしたということは知識人以外には中々分かりません。
然し、カルマの法則が厳然として働く、形而上の世界では、きちんとそれは把握されていて、暗殺は、安倍元首相の行為に対する批判の最大の結果かもしれません。
安倍元首相が指導者として推進した社会のカルマと、安倍元首相と統一教会と山上徹也の一家の個人的なカルマが絡みあって、暗殺に結びついたかもしれません。
安倍元首相の暗殺事件で、暗殺者として、山上徹也を断罪するような動きが出ていないのはそういう理由だと思います。
世間は、山上徹也が、不幸な境遇の結果、社会のカルマを実演するために暗殺犯を演じさせられたと見ている訳です。
独裁者とか、暗殺者といった個人は、個人的なカルマと共に社会や民族のカルマを体現する為の駒(プレーヤー)としての役割を演じさせられる面があると思います。
統一教会は以前から行ってきた信者の洗脳や献金の強制などの過去のカルマがぶり返され、安倍元首相は、大勢の貧困者や死者を生み出したアベノミクスという悪政の結果を自らの死という形で引き受け、山上徹也は、過去のカルマの結果、暗殺者となりましたが、これから刑務所で、その結果を引き受けるのかもしれません。
こうした事件として結実したことで、日本社会の罪、カルマがあぶり出されたと思います。
今回の安倍元首相の暗殺は、犯罪であり、良くない行為であるが、考えるきっかけを与えたと評価する人が多いのは、そういう直感があるからだと思います。
なるほど、詳しくありがとうございました。
山上徹也という人が、もしかしたら器の大きい、崇高な魂を持っていて、社会を代表するカルマを引き受けて悪役を演じるために生まれた…かもしれないですよねぇ…