先日、橋下徹が政界引退しそうだということを私の友人が電話で教えてくれたのだが、私は特に驚くこともなく、「ああ、そうなんだ・・・」と気もない返事をしたものだった。
何でもその友人によれば私の予想が当たったというのだが、私は以前、橋下徹が政界引退すると記事に書いていたのをすっかり忘れていた。
その後、「橋下徹に関する、恐怖の予言」などというおどろおどろしいタイトルで、橋下徹の政界引退が予言されていたといって、yahoo知恵袋という掲示板に誰かが投稿したようである。
その掲示板を見た方が何名か鑑定の依頼をして来られたので小さな反響があったようである。
実際、特に橋下徹の政界引退を予言してやろうなどという気負いは全くなく、橋下徹がマハダシャーラーフ期に移行することによって必然的に政治に興味を失うだろうということを何気なく書いておいただけである。
まず、ラーフは5室に在住しているので、5室の支配星のように振る舞うが、5室は10室からみて8室目(中断)であるため、仕事や職場にとっては苦悩のハウスである。
橋下徹は公の仕事には興味を失ない、自分の趣味や娯楽に走るだろうというのが一つの理由であった。
もう一つは、ラーフのディスポジターである木星は11室に在住し、3室や5室、そして、7室にアスペクトしている。
11室は社交、評価、称号のハウスであり、3室は芸能、メディア、5室は趣味や娯楽、創作、7室は配偶者のハウスである。
従って、ラーフ期にはディスポジターの木星の11室の配置により、政治家時代に築いた高い評価、称号によって、非常に有力な著名人となると共に再び、文化人として、メディアに出演し、趣味や娯楽に打ち込んで、配偶者との生活なども充実させていくに違いないということなのである。
但し、橋下徹が政界引退して出来ることは大体、その辺りではないかと占星術を使わなくても何となく予想できる。
記事を書いた2012年当時、木星は牡羊座をトランジットし、土星は天秤座をトランジットして、6室にダブルトランジットが形成されていることから、橋下徹は絶好調であった。
橋下徹の強さの秘密として6室で減衰する土星の存在があり、この配置が敵を惨めなまでに粉砕するという象意をもたらす。
木星と土星が6室にダブルトランジットしていたこの当時、橋下徹は、論敵を次々に論破して、徹底的に叩きのめす常勝の人であった。
敵を粉砕することが仕事であり、改革を妨げる人間を粉砕するのが仕事であったと言ってもよい。
そして、この当時、私の観点としては、トランジットの木星が双子座8室に入室した時に橋下徹には停滞、中断がもたらされるだろうという予想をしていた。
8室は中断、変化のハウスであり、木星が8室に入室すると、木星は守護の力を発揮できない。
予想通り、維新の党は木星が8室に入室すると、減速し、停滞したが、それでも橋下徹は、石原慎太郎を党首に擁立してその力に頼りながら政治活動を継続した。
これは橋下徹の10室支配の太陽が8室に在住している為であり、石原慎太郎の力に頼って、石原慎太郎を党首に立てることによって、自らは後ろから政治を行ったということができる。
この木星が8室に入室した後、橋下徹は、政治活動を継続してきたが、以前のような勢いはなかった。
それでマハダシャー火星期が終わってラーフ期に移行した今、政界引退を表明したのである。
当初は木星が8室に入室した時点で、私は橋下徹の政治活動が中断に追い込まれると考えていた。
その為、むしろ、ラーフ期に移行した時に政治活動が終わっているのは当たり前のことだと考えていたのである。
少なくともラーフ期になった時には政治活動が終わっていなければならないと考えていた。
従って、私の予想では本当はもっと前に橋下徹は政治活動が上手く行かなくなるのではないかと考えていた。
然し、実際には橋下徹はしぶとく政治活動を継続したのである。
これはやはりトランジットよりもダシャーを優先しなければならないという教訓である。
マハダシャー火星期の間は強い火星が10室支配の太陽に対して、アスペクトして絡んでいる為、政治活動を継続するが、ラーフ期になると、太陽との絡みがなくなるため、政治活動を辞めてしまうのである。
従って、火星期の間は政治活動が継続すると理解すべきであった。
例えば、それと全く似たものとして、石原慎太郎のチャート検証がある。
私は石原慎太郎のことを最初に検証した際にまさか石原慎太郎が4選するとは思っていなかったが、10室で太陽と接合してバドラヨーガを形成する強い水星期の間は都知事として留まり続けると解釈しなければならなかったのである。
この水星期の間に辞めることは、インド占星術的に考えて、むしろ、不自然なことだったのである。
従って、インド占星術は決して裏切らないし、人間の常識が混じってしまった判断よりもより正確である。
石原慎太郎の政治活動についても太陽と絡む強い水星期の終わりの期間を参考に検討すれば、何選できるか、いつ頃まで都知事を務めるか、予想できたはずなのである。
これもトランジットなどの一時的なことよりもダシャーの方が優先されることを示している。
橋下徹よりももっと野心的に予想したのが、小沢一郎の権力が失墜するタイミングである。
ラグナを特定し、ジャイミニのチャラダシャーを適用することによって、この小沢一郎が、2013年5月23日以降のチャラダシャー蟹座の時期から権力の座から失墜することを予想した。
まず、その前に2011年の終わりから2012年にかけたタイミングで、マハダシャー土星期に移行している。
土星期に移行してから、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反の疑いで、検察や検察審査会から執拗に攻撃を受け、そして、妻の和子夫人から離縁状を突き付けられた。
これは全くヴィムショッタリダシャーの流れ通りである。
土星は6、7室支配で他者との闘争を表しており、訴訟を起こされることを表している。
土星はラグナロードで10室に在住する太陽に接合して傷つけており、小沢一郎の権力に傷がつけられることを示していた。
また6、7室支配の土星は妻から離婚訴訟(6室)を起こされることも示していたのである。
つまり、小沢一郎が検察や検察審査会から攻撃を受けたり、妻から離縁状を突き付けられたのはカルマである。
今生で生まれた時に既に決まっていたということである。
この頃はまだ小沢一郎には権力があり、政治力があった。
然し、2013年5月23日以降、チャラダシャーが蟹座に移行してからは、小沢一郎のAmkの火星は12室に在住している。
この為、完全に政治の表舞台から姿を消した。
安倍政権になった今は話題にすらのぼることはないのである。
最近では山本太郎が「生活の党と山本太郎となかまたち」に党名を変更するのと引き換えに生活の党入りし、政党交付金を受けて、何とか政治活動を続けている状況である。
この小沢一郎の権力の失墜は、ラオ先生のジャイミニの技法によって正確に予測が可能である。
占星術師がもっとその地位を高めて、ジョーティッシュ(インド占星術)がスーパーサイエンスとしての認知度を高めていくには、やはり予言をしていかなければならないと思われる。
ジョーティッシュの基本法則を理解して、それを適切に適用すれば、予言をすることは可能である。
但し、日本の有名人は出生時間が分からない人がほとんどである。
その為、最初にwikipediaの過去の経歴情報を精査して、ラグナを特定し、ナヴァムシャのラグナぐらいまでを特定し、そして、その上で、マハダシャーやアンタルダシャー、チャラダシャーの変化を解読して、有名人の未来、あるいは、マンデン図によって国家や社会の近未来を予言する必要がある。
そして、5年、10年経過して、その検証に耐えた時に初めて、占星術にスーパーサイエンスとしての認知が与えられるのである。
その為にはまず、出生時間の分からない有名人のラグナを特定しなければならない。
もし占星家として大成したければ、予言を仕込まなければならないのである。
それも1つか2つではなく、沢山の予言を仕込まなければならない。
そして、それが5年、10年後に当時の状況と比較して、当たったのか当たっていないのか検証し、(的中した予言の数)÷(全予言数)× 100という計算式によって、予言的中率を出さなければならない。
予言をするには、ラグナを正確に特定できなければならない。
従って、ラグナが特定できなければ予言をすることはできない。
だからジョーティッシュでは最初にラグナが正しいかどうかを過去の出来事から検証するのである。
そのスキルがないと予言を行う前提条件がないことになる。
ラグナが正しいかどうかは、ジョーティッシュの理解についての総合力が問われるため、従って、ある程度、多くの出生図からジョーティッシュを検証して確かめた人でないと難しいと思われる。
従って、そういう意味で、鑑定の冒頭で、過去の出来事のタイミングからラグナを検証し、正しいと納得するか、あるいは、修正するかして、正しいラグナを導き出すことができるかどうかで、その占星術師のスキルが判定されてしまう。
それがおそらく判定の基準になるはずである。
私はと言えば、出生時間の分からない有名人のチャート検証を繰り返したおかげで、出生図のラグナの特定はできるようになってきた。
結婚、出産、事故といった分かりやすい過去の経歴がないチャートの場合は、難しいが、こうした分かりやすい経歴がある場合は、ラグナを特定できるようになってきた。
問題はナヴァムシャの修正が正確にできることである。
最近、考えていることは、ナヴァムシャ(D9)の分割幅は3°20’であるが、ダシャムシャ(D10)は3°である。
従って、ナヴァムシャのラグナを移動すると、ダシャムシャのラグナもほぼ連動して移動する。
従って、ダシャムシャのラグナの整合性と、ナヴァムシャのラグナの整合性を同時に満たすような調整をしていけば正しいナヴァムシャのラグナを導き出せるのである。
例えば、仕事上で昇進した時期のダシャーの支配星が、ダシャムシャで、ケンドラやトリコーナに在住しておらず、ドゥシュタナに在住しているような場合はおかしいと思わなければならない。
そして、ダシャムシャのラグナを移動して、それに連動して移動したナヴァムシャのラグナが正しそうだと思えるなら、それは一つの正しい解答の可能性と言える。
あるいは、ダシャムシャ(D10)だけでなく、ドヴァダシャムシャ(D12)やサプタムシャ(D7)も比較的、ナヴァムシャとそれ程、分割幅が離れてはいない分割図である。
これらの分割図の性質を知り、事象がこれらの分割図でどのように現れるかを熟知することが、ナヴァムシャのラグナの特定をより容易にすると思われる。
橋下徹の落選の予測について話が遡るが、橋下徹の記事を書いたのが2012年2月である。
そして、橋下徹のその後についての結果が出たのが2015年である。
この間、3年かかっている。
予言や予測の検証には時間がかかることが分かる。
ジョーティッシュやその他の運命学の実践者は、予測が当たってこそ評価されるのである。
とすれば、早めに予言を仕込んでおかなければ評価される材料がないのである。
実際、個人鑑定などで、マハダシャーが切り替わる時期は何年も先であり、それが検証される時には、もうその人とは疎遠になっている。
従って、その後の検証も難しいのである。
確かに過去の事象が当たったことを検証することはいくらでも出来るが、ジョーティッシュの実践者としてのキャリア形成(業績)は、対面鑑定などで何らかの予測をした時からスタートし、結果が出るまで時間の経過を待たなければならない。
私の場合は2002年ぐらいからジョーティッシュを実践しているので、13年が既に過ぎている。
そうすると、その間でマハダシャーが切り替わった人がかなり沢山出てきている。
「あの時、あのように言われたことが当たっていました」と言われる機会が最近、多くなっているのである。
そうすると、俄然、評価も上がってくるのである。
今回、橋下徹の政界引退が当たった、インド占星術は恐ろしいと言って、知らない方から評価を受けたのも予言を仕込んでいたからに他ならない。
従って、占星家として評価されるには、予言を仕込んでいなければならないということを考えさせられたのである。
つまり、運命学の実践者は、運命学のスキルを習得するのに5年~10年、そして、その間に予測したことが的中して評価を受けるのが、更に5年~10年かかるということである。
従って、学習をスタートしてからキャリアを形成するのに20年かかると言ってもいいかもしれない。
然し、それでも、もしその運命学自体がそれ程、当たらない運命学だったら、その20年は無駄になるのである。
そういう意味では、ジョーティッシュを選択し、ジョーティッシュの基本的なスキルを猛烈に短時間に集中して習得し、その後、実際の鑑定において検証を繰り返し、自信が出てきた所で、社会的な発言として予測(予言)をしていくことが、運命学実践者としての成功法則である。
私も2002年からジョーティッシュを初めて、たった12年程で、大物有名人の未来を予測するなどといった大胆なことが出来るとは全く思っていなかったが、これはジョーティシュが分かりやすくシンプルで、それでいて精度が極めて高く、運命学として飛び抜けて優れているからに他ならない。
私の力とは全く思わないのである。
但し、ジョーティッシュを選択し、またその基本法則を忠実に実践して、ラグナを特定するといった活動は、多くの検証を繰り返して、事象と占星学的構成要素の一致を確認した人のみに可能である。
ジョーティッシュを選択したこと、そして、その検証に時間を割いたことのみが私に依拠している。
然し、それは私にとってジョーティッシュが面白くいくら時間を費やしても飽きないものであったからに他ならない。
もし皆さまが、ジョーティッシュを学ぶ運命で、最短で、最高の運命学を身に付けたいのであれば、是非、インド占星術マスターコースにお越し下さい。
皆さまのお申し込みをお待ちしています。
鑑定家 秀吉
コメント
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ラーシと他の分割図が違う場合、どのように読めばいいのでしょうか?
たとえば、ラーシだと恋愛運が悪いのにナヴァムシャでは良い場合などです。
ラーシ優先であるのは分かるのですが、それならわざわざナヴァムシャを見る必要もないのでは?と思ってしまいます。
ですから、特定のテーマについてより詳しく見るためのものです。
分かりやすくするために恋愛運をパートナー運と解釈しますが、
ナヴァムシャはパートナー運を見る分割図ですから、
ナヴァムシャの配置がそのパートナー運について詳しく拡大し、強調していると考えます。
従って、もし出生図で良いパートナー運が、ナヴァムシャの配置が悪かった場合、
出生図で示された良いパートナー運が実はそれほどでもなかったということになります。
然し、いくらナヴァムシャでよい配置があっても出生図で基本的な約束が示されていなければそれは成就しないと考えます。
また実際、観察していくと、大抵、出生図で示された傾向がナヴァムシャで繰り返される傾向にあります。
従って、出生図で悪い配置だが、ナヴァムシャで良い配置の場合、出生図では約束がないのがナヴァムシャの配置で改善されているということになりますが、それには限度があります。
ナヴァムシャだけでパートナー運が良いからといって良いということは出来ません。
結局、出生図とナヴァムシャの両方を吟味しなければなりません。
どちらか一方だけ見て何かを言うことはできません。
結局の所、私は足し算の論理と名付けていますが、出生図の配置もナヴァムシャの配置も現象化します。
それらが打ち消しあって、中和するということではありません。
それらの両方を現象化するものとして扱わなければなりません。
然し、分割図を見ていくと分かることですが、分割図は特定のテーマに関しては非常によく表していると思います。
従って、特定のテーマに関しては、最終的には分割図を精査することになります。
例えば、子供運などもそうです。
まず、出生図で5室や5室の支配星が激しく傷ついていたら約束自体がないことになりますが、
出生図で5室や5室の支配星が可もなく不可でもないといった場合に次にサプタムシャ(D7)を詳細に見ることになります。
またナヴァムシャにはパートナー運を見る分割図という役割もありますが、出生図を補って全てのテーマを見るための役割もあります。
従って、出生図とナヴァムシャの両方の配置を見て、そこに出てくる吉凶を総合することが必要です。
出生図で恋愛運、パートナー運が激しく傷ついているのにナヴァムシャでの配置が良い場合、それは結局、出生図の悪い配置を完全に改善するものにはならないと思います。
従って、「ラーシ優先」というよりも、それらは両方を見る必要があります。
とても丁寧に分かりやすく答えて頂き感謝いたします。
>また実際、観察していくと、大抵、出生図で示された傾向がナヴァムシャで繰り返される傾向にあります。
>結局の所、私は足し算の論理と名付けていますが、出生図の配置もナヴァムシャの配置も現象化します。
それらが打ち消しあって、中和するということではありません。
それらの両方を現象化するものとして扱わなければなりません。
とても府に落ちました。そういえば以前、胎児の取り間違えのニュースがありましたね。
同じ誕生日で、出生時間が微妙に違うだけでした。
ナヴァムシャは大事な分割図ですね。
ありがとうございました。