スターウォーズ『最後のジェダイ』の感想 -延々と続くのか?光と闇の戦い-


スターウォーズ『最後のジェダイ』がツタヤでリリースされたので早速見てみた。


前評判で、やや首をかしげる表現があるということだったので、期待外れの内容だったら嫌だなと思いつつ視聴した。


まだ見ていない人がいるのであれば、あまり言うのは良くないが、問題の個所とは、おそらく最後のクライマックスのシーンで、伝説のジェダイ・ルークスカイウォーカーが登場するシーンである。


ルーク・スカイウォーカーが、ハン・ソロ(ハリソンフォード)とレイア姫の息子、カイロ・レン(ダークサイドに落ちてしまった)と対峙するシーンがあるのだが、そのシーンで、ルーク・スカイウォーカーは実際の肉体ではなく、遠隔の隠遁所から瞑想状態で顕した投影で登場するのである。


首をかしげる表現とは、そのシーンでルークスカイウォーカーが空中浮揚していて瞑想状態に入っている姿があたかも何かの宗教団体を連想させるからではないかと思った。


また宇宙船が攻撃を受けて爆破して宇宙空間に投げ出されて気を失ったレイア姫が、覚醒して超能力で飛翔して、宇宙船に戻ってくるシーンがあったがそれも、どことなく最近の映画の影響を受けているように感じられた。


最近はとにかく超能力を持った超人たちが大勢登場する映画が大当たりしている。


例えば、アベンジャーズといったあらゆるスーパーヒーローがちゃんこ鍋のように登場する映画である。





それ以外にもスターウォーズの中で描かれる様々なシーンの表現が、非常に不満が残る内容が多いのである。


例えば、あるシーンで、無人島で暮らしているマークハミルが釣り上げる魚が発泡スチロールかゴムで作られたような質感にリアリティーを感じさせないものだったり、色々と細部の作りに不満が残る内容となっている。


ハンソロの相棒チューバッカが焼いた鳥を食べようとするのを仲間の鳥が悲しそうに見て、チューバッカが鳥を食べるのをためらうシーンがあるが、どことなく漫画的でシリアス感がなかったりするのである。


後にこの鳥がチューバッカが操縦する宇宙船の隣にいるのだが、リアリティーが感じられない。





スターウォーズも第一作の頃には無かったような映像技術が駆使され、登場人物やキャラクターも増えて、映像自体は進歩しているのだが、何か脚本の中で示される人間像、キャラクター像が薄っぺらい感じがしてしまう。



カイロ・レン(ダークサイドに落ちてしまった)とレイが遠隔で対話するシーンなどは、完全に遠隔透視やテレパシーの世界であり、秘教の世界であるが、ジェダイという存在が完全に超能力者になってしまっている。


第一作からのスターウォーズでは、ジェダイが持っているフォースを操る能力はもっと地味で控えめな能力だったはずである。



それがこの第8作では、アベンジャーズに出てくるヒーローたちの超人的な能力のようなものになってしまっている。



この映画で、ルークスカイウォーカーは最後の仕事を終えて、力尽きて倒れるが、最後のジェダイが残されて、物語が振り出しに戻ったことが宣言される。





スターウォーズは世界の歴史の縮図である


このスターウォーズシリーズだが、この物語は、世界中の神話を元に構想されたのである。


従って、オリジナルが存在する。



そのオリジナルとは、人類自身の歴史の中にあると言っても良いかもしれない。


神智学、そして、アリスベイリーを学習した人なら分かると思うが、アトランティス時代の中期に未熟な動物人間の段階から進化を見守り導かれてきた人類の中で、マスターの教えに逆らい、イニシェートの法則から離脱する者たちが現れたと記されている。


これが黒魔術の起源であり、物質性の勢力の起源であるという。


それらの人々は高度に進化している弟子たちの一団であったが、マスターの利他的な教えに逆らった人々である。


そうした人々が、マスターに敵対するようになり、アトランティス時代の末期になると、現在とは比べ物にならないほど貧富の格差が拡大したと記されている。


そして、光の勢力と物質性の勢力の間で戦争になり、アトランティス文明は一旦、滅ぼされ、水中に没したのである。


そのアトランティス文明の水没は、聖書に記されているノアの方舟の物語であり、大洪水と呼ばれている。


世界中の神話には洪水伝説が記されているが、それはアトランティス文明の水没を示しているのである。


アトランティス文明の頃には、公の中で生活し、一般的な人類と共に生活していたマスターたちは、光の勢力と物質性の勢力の戦いによって世界が崩壊した後は、世界の山脈や砂漠などの隠遁地に退くことになり、以後、人類を舞台の背後から見守ることになるのである。


この辺りは、スターウォーズの中で、フォースを操ることが出来るジェダイが、それぞれの隠遁地に退いて、僧侶のように暮らして来たという状況設定の中で示されている。



そして、近代に入ってからの2つの世界大戦は、物質性の勢力と光の勢力がかつて対峙したのと同じメンバーが再び、同じカルマの元で参集して、再び対峙した結果だとアリスベイリーの著作の中で、解説されている。


物質性がヒトラーの世界征服の野望という形で顕現し、枢軸国と連合軍に別れて世界が戦ったこの戦争こそが、スターウォーズのテーマである。




そして、辛うじて光の勢力が勝利したが、戦後、今度は、アメリカ合衆国の中で、ネオリベラリズムや第二の植民地主義という形で、物質性が顕現している。



スターウォーズは、第一作から熱狂的なファンがいることで知られているが、何故、この作品がこれほどまでに人々を熱狂させるかと言えば、人類の歴史そのものの比喩になっているからである。



オリジナルの本物の物語が存在しており、オリジナルを似せて作られた作品である。



然し、少年少女は、このビジュアル的に分かりやすいこの冒険活劇に魅了され、オリジナルの物語があることも知らずに熱狂してきたが、実際、この熱狂していること自体が、深いレベルで、この作品にリアリズムを感じているからであると考えられる。




私自身、新世界秩序という用語を用いながら、このブログの中でも過去において、何度もこうした秘教的なテーマについて紹介して来ている。




最近のクライマックスは2010年~2012年にかけて中東においてリベラル左翼的な人々が、アラブの春で、民主化を勝ち取った頃である。



アメリカではウォール街を囲め運動などが展開されて、リベラル左翼的な活動が、非常に盛んになったのが思い出される。





然し、ここ最近になって2017年から米国のEU離脱やドナルドトランプ大統領の当選など、反グローバリゼーション的な運動が起こっている。



現在の世界は、右翼や左翼が様々な活動を展開して、非常に混沌としている状況であるが、その中で、例えば、マネーシステムを根本から変容させるかもしれないビットコインを初めとする仮想通貨という興味深い現象も起こっている。



非常に不可解なのは、最近、電気自動車が普及していく兆しが見えているが、イーロン・マスクなどの投資家、実業家が世界に打ち出している計画、例えば、ロケットエンジンを搭載した有人ロケットで、宇宙を旅する計画とか、既存の科学の枠組みの中での代わり映えのしない計画である。



例えば、UFOが世界に飛来しているが、UFOの乗組員はこの太陽系の他の惑星からの人々である。


そうした人々が乗船している宇宙船(UFO)は、反重力の推進システムを持っている。


そして、空間からフリーエネルギーを取り出す技術も持っているのである。



然し、UFOの真実が明かされたり、世界の富裕な資本家の力が打倒されるのではなく、旧来の科学の枠組み内でのロケット科学とか、そうしたものをイーロンマスクを初めとした実業家たちが、こぞって取り組んでいる。



そのような旧来の科学のパラダイム(枠組み)の中から少しも脱出することなく、ロケット技術とかそうしたもので宇宙に出ようという発想自体が、非常に物質的であり、違和感を感じるのである。



ロックフェラー石油帝国が今だに強い力を持っている証拠かもしれないと思うばかりである。




2010年~2012年頃、リベラル左翼の活動が盛んになって、世界の革命的な変化が決定づけられると期待したものである。




然し、その期待は頓挫し、代わりに2017年から右翼が台頭して、保守革命が起こっている。



私は保守的な人間なので、特に悪いとも思わないが、現在の仮想通貨などが流行っている状況は、全ての人にチャンスが開かれているので、貪欲にそのチャンスを掴み取れという風潮である。



個人の努力で、実力で、成り上がれ、会社を辞めて、自分で独立して成り上がって、経済的自由を掴み取れという風潮である。




これは完全にミルトン・フリードマンやハイエクの思想の通り、自由市場の中で、自分の実力で成り上がれという風潮である。



そして、その風潮が世界の中で、大変、心地よい感じとなっている。



非常に希望に満ちた状況が生まれてきている。



リベラル左翼的な根暗な感じが全くなく、積極的で希望に満ちている。




アメリカは衰退し、中国が台頭し、そして、ヨーロッパではドイツが理想主義的な政策を打ち出して、EU諸国を牽引してきた。



例えば、原発の廃止や無制限の移民受け入れなどによって、道徳的、理想主義的な政策を行なってきた。



然し、最近、理想と現実の狭間で苦しんでいるようである。





つまり、ここで思うことは、光の勢力と物質性の勢力の戦いは、現在、どのような局面に到達したのかということである。



現在、どうなっているのか?誰か解説できる人はいるのか?ということである。



私は、2020年ぐらいまで様子を見たいと思っている。



その頃には、新世界秩序への行進がどうなっていくのか、その展望が見えると考えている。



地球文明は新しいステージに進めるのか、宇宙文明に突入できるのか、その辺りをまだもう少し見守りたいと思っている。





例えば、日本について言えば、おそらく日本の安倍政権は、日本の明治維新から続く、実力者たちの最後の系譜である。



苫米地英人に言わせれば、安倍晋三はエース級の人物であり、安倍晋三よりも権威のあるプリンスは日本にはもういないのである。



だから安倍晋三が退いた後が、日本の変化の時期であると考えることができる。





スターウォーズを見て感じたこと


スターウォーズも第8作となって、ルークスカイウォーカーも亡くなって、また前作では、ハン・ソロ(ハリソンフォード)も映画の中で亡くなっている。



ダースベイダーや、ルークスカイウォーカーなど第1作からの人物たちが対峙するストーリーが終わり、スターウォーズも完全に世代交代したのである。



実際、第一作の時にレイア姫を演じたキャリーフィッシャーや、ルークスカイウォーカーを演じたマーク・ハミルは高齢であり、完全に引退の年齢である。



(キャリーフィッシャーは2016年12月23日に心臓発作で亡くなっており、この作品が遺作となっている)




然し、ダークサイドに落ちてしまったカイロ・レンや最後のジェダイとして見出されたレイなど、新しい善と悪の役柄が生まれて、対峙する形となっている。




スターウォーズを見て分かることは、また善と悪の戦いが、登場人物が世代交代し、また延々と続いていく兆候を示しているのである。




決して、終わる兆候が見られない。




ゴールがないのである。




延々と善と悪の戦いが続いていく感じなのである。





現在、現実の世界は右と左が入り乱れて、その中でも善と悪が入り乱れて、非常に複雑で混沌としている。




この戦いに終わりは来るのか?


スターウォーズというこの長大なスペースオペラが、第8作において、ルークスカイウォーカーの口からまた闘いは振り出しに戻ったなどと宣言したのである。




このスターウォーズの「闘いは振り出しに戻った」宣言は、私にとっては非常にショックである。疲れがどっと噴き出した感じである。




この戦いがまだ延々と続く兆候を示したからである。





スターウォーズは、さすが世界の様々な神話を元に作られただけあって、その大筋の光と闇の戦いというストーリーは、人々の魂の琴線に触れるリアリティーを感じさせるものであった。



この作品が、シリーズ第8作を経て、完全に世代交代した感じである。



実際に役柄を演じた俳優たちも高齢化してキャリーフィッシャー(レイア姫)のように亡くなったり、またマークハミル(ルークスカイウォーカー)なども今回、映画のストーリーの中で亡くなったのでもはや新しい作品に出ることはないと思われる。



然し、第8作で、闘いは振り出しに戻ったと宣言されるのである。



光と闇の闘いが延々と終わりがないことを物語っており、また第8作以降も作品が作られていくことを予感させる終わり方である。




余談だが、今度、ハンソロの若き日を映画にした作品がリリースされるらしいが、例えば、寺沢武一のスペースコブラは、おそらくハンソロをイメージしていると思うのである。



コブラとその相棒のレディーというコンビは、ハンソロと相棒チューバッカのコンビを元に作られたのではないかとふと思った。




スターウォーズが作られた時、まだ世界は冷戦の真っ只中であった。



ソビエト連邦の東側陣営とアメリカを中心とする西側陣営が対峙していた。



アメリカの目から見て、世界は単純であり、自分たちは正義で、相手側は悪であった。



アメリカはまだ自分たちが正義であると思って自信を持っていた時代である。




これは第二次世界大戦の時にヒトラーの野望をアメリカを中心とする連合国軍が打ち砕いて、世界の自由を守り、世界の王者にアメリカが君臨して以来の感覚である。



自分たちは正義の味方で、世界を守り通したし、今後も自由主義諸国の利益を守るのだという考え方である。




然し、第二次世界大戦後、アメリカこそが裏で陰で、世界の戦争を煽り、国益を推進し、帝国主義国として振る舞ってきた。



1970年代に入ると、ネオリベラリズム(新自由主義)の影響で、貪欲なアメリカの多国籍企業による世界の市場化、植民地化を進めてきたのである。



そして、ジョージ・ブッシュの頃にイラク戦争が行われるに至って、アメリカはとうとう露骨な侵略者、悪の帝国に成り下がった。



もはや秘密裏に行うこともなく剥き出しの露骨さで侵略戦争を行なった。




こんな状況なので、スターウォーズが作られた時とは、世界の状況は全く異なっている。




最近の仮想通貨のICOなどを見ても、アメリカに在住している人は参加できないという条項が多く設けられている。



アメリカは嫌われている証拠ではないかと思われる。




アメリカはもはや世界の警察として正義を行なう力もなく、自ら侵略戦争などを行ない、気候変動条約などからも離脱して、世界への責任も果たさない。



光の陣営であると誇れるようなものは残っていない。



そうしたアメリカの混乱が、スターウォーズの失敗や、つまらなさに反映されている。




第8作の『最後のジェダイ』が酷評されているとはいえ、何故、このスターウォーズシリーズが、こんなに長い間、熱狂的に人々から親しまれ継続して来たのか?



それは秘教的な視点から人類の歴史を俯瞰する物語だからである。



そこには人類の真の歴史物語が含まれている。



だからこそ、人々は感動するし、その人気は衰えないのである。



その歴史物語が今後、どのような筋書きを辿って行くのかは注目に値する。



実際の人類の歴史の展開とも関連しており、そこに参加する我々全てが、スターウォーズの登場人物であると言うことができる。



スターウォーズというこの世界的な人気を誇る冒険活劇に夢中になるのであれば、その元となる真実のストーリーにも興味を抱いて欲しいと思う次第である。



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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 秀吉さん、こんばんは。 

    私は「スター・ウォーズ」シリーズのファンです。Ⅰ~Ⅲ、Ⅳ~Ⅵのどちらの三部作も好きです。
    「スター・ウォーズ」は若者のイニシエーションの物語です。
    ダース・ヴェイダーは、憎しみと恐怖に屈服した堕落したイニシエートです。
    最新作のⅧは、劇場で見ました。話のテンポが速く途中で訳が分からなくなりました。意味の分からない専門用語が多くて、話が分かりづらかったです。
    映像などの技術は進歩していますが、新しい三部作は、ジョージ・ルーカスが指揮していたエピソードⅠ~Ⅵに比べて、映画の面白さや奥深さががやや落ちたように感じます。


    ジョージ・ルーカスは、間違いなく上級のイニシエートです。推定進化段階1.7~2.0.彼自身、間違いなくイニシエーションのプロセスを体験しています。彼は人生の意味と目的を正しく理解していると思います。ジョージ・ルーカスは、「スター・ウォーズ」を作り上げるプロセスで数多くの障害と問題をクリアしていますから。
    ところで、ジョージ・ルーカスのチャートの解説はしないのでしょうか?
    1944年5月14日 アメリカ合衆国カリフォルニア州モデスト

    もし時間があり、関心があるのなら、ぜひ一度彼のチャートを解説してもらいたいですね。
    • コメントありがとうございます。

      ジョージ・ルーカスについてはそのうち検証したいと思います。

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