チューリップバブル　－その発生と崩壊の条件－

先日、映画『ウォール街』を久々に見たが、主人公の強欲な投資家ゴードン・ゲッコーが、「金を稼ぎたければバブルが生じている所にありったけの金を突っ込め」といったセリフを吐いていた。



誰よりも先にこれからバブルが起こりそうな所にありったけの金を突っ込むということである。



そして、バブルが崩壊する前に誰よりも先に逃げ出さなければならない。





2023年11月20日にアメリカの建国図では、ラーフ/土星期に移行した。



そのことで、アメリカが不況に入るということを前から書いている。



純粋に占星術のロジックから考えて、アメリカの建国図を検討した時に過去の土星期には、アメリカは、深刻な不況に突入している。



例えば、1929年にブラックマンデーにより、世界恐慌に入っていったが、この直後にアメリカはマハダシャー土星期に移行している。



土星は、６、７室支配で財政の２室に在住して、アメリカが深刻な財政危機に直面することを示している。



土星は、戦争を意味する６室や７室を支配している為、この土星期に第二次世界大戦が行なわれている。



戦争が終わった後も1950年6月25日 – 1953年7月27日まで、朝鮮戦争が行われたが、ちょうど土星期から水星期に移行するタイミングである。



またアメリカは、次の水星期の途中、1955年11月にベトナム戦争を開始し、ケートゥ期に入ってからも1975年4月まで続けるが、この20年間で、アメリカは、深刻な財政危機に陥った。



土星期の後の水星期やケートゥ期もアメリカは、経済的にはよくない時期である。



実際、ケートゥ期は、まだベトナム戦争が行われており、ケートゥのディスポジターが、６、７室支配の土星であり、土星は２室に在住する為、やはり、財政的な危機が生じる時期である。



そうしたことで、ラーフ/土星、ラーフ/水星、ラーフ/ケートゥ期は、アメリカは不況に入っていくと考えられる。



2030年ぐらいまで、これは続くのである。



そうしたことで、既に2023年11月20日にラーフ/土星期に移行し、アメリカではこれから深刻な不況に入る兆しが見え始めている。



今、まさにアメリカの株式市場は暴落しそうになっており、これから深刻な不況に入りそうである。



既にそのことが分かっている人は、真っ先に株式市場から逃げ出して、リスク資産である株式を売却し、大量に現金を保持している。



株式市場が暴落した後のバーゲンセールで、安く株を購入する為である。



例えば、ウォーレン・バフェットは、1300億ドル（日本円で19兆5000億円）の大量の現金を積み上げており、長期米国債は買わず、短期の米国債しか買っていないという。



最近、アメリカの銀行は債務超過に陥って、支店をどんどん閉鎖しており、中間層が消滅して、富裕層と貧困層に分裂し、インフレで苦しむ貧困層が、集団で窃盗、強盗する事件が多発している。



アメリカの若者は、最近は、社会主義を支持しているという。



この状況は、2008年-2009年にサブプライムショックで、株式市場が暴落した時の状況よりも深刻かもしれない。




2024年にアメリカの株式市場の大暴落があると予想される。



そして、その不況が世界的に拡大し、各国で経済危機が生じる為、預金封鎖のような強引な手法で、国民資産を凍結し、そこに課税していくことによって、その不況を乗り越えようとする動きさえも生じるかもしれないのである。




そうしたことで、今は、株式市場から真っ先に逃げ出すタイミングである。



「金持ち父さん、貧乏父さん」のロバートキヨサキ氏が、youtube動画で、もう直ぐ、暴落が起こると警告していたり、多くの識者がそのことを警告している。





バブル発生の条件


ここで、何故、バブルが起こるかについて、オランダで起こったチューリップバブルを参考に検討してみた。



調べた所、チューリップは、神聖ローマ皇帝フェルディナント1世が、オスマン帝国のスルタンのもとに派遣した大使オージェ・ギスラン・ド・ブスベックが、1554年にオスマン帝国からウィーンにチューリップの球根と種子を送ったのが、最初だという。


チューリップの球根は、ウィーンからアウクスブルク、アントウェルペンおよびアムステルダムに広まったという。


チューリップの人気が出始めて、チューリップバブルは、バブルが崩壊する1637年2月までの20年間で、暴騰し、1634年には、フランスにおいても需要が高まり、投機のために投資家がチューリップ市場での取引を開始したという。



そして、チューリップバブルは、1636年～1637年の冬にピークを迎えて、それで崩壊したのである。





そのバブルが崩壊した日（1637年2月2日）のトランジットを見ると、山羊座に太陽、水星、ラーフ、土星が集中して、木星が乙女座からアスペクトして、山羊座にダブルトランジットも生じていることが分かる。



土星は山羊座の00°47’であり、まさにちょうど山羊座に入った直後のタイミングで、ピンポイントに山羊座に入ったタイミングである。



山羊座を土星がトランジットする時期は、マンデン占星術的に自然災害や食糧飢饉、経済崩壊、戦争、疫病などが発生するタイミングであることは、以前に調べて分かっていたが、このタイミングも全く同じである。



この時も実際、ペストが流行していた時期のようで、そのことが、チューリップバブル崩壊の一因だと考えられてもいる。



一つ考えられるのは、山羊座は制限や縮小を意味する土星が支配する星座で、しかも拡大発展の木星が減衰する星座である。



従って、信用収縮が起きやすい星座である。



実際、コロナ下では、全ての経済活動がストップし、経済が拡大発展する時期では全くない。



国民経済がストップする為、政府が巨額の資金を給付しなければやっていけなくなった。




土星が山羊座に入る直前までは、チューリップバブルはそのピークを迎えていたのであり、たった１つの球根に今で言う１億円の値段が付いたりしていたのである。



そして、球根の転売によって稼いで一夜で、巨額の資産を築いた成金が登場した。



それは土星が射手座を通過していたタイミングである。



思い返せば、ビットコインが、1ビットコイン、10万円台の値段から急騰したのが、2017年の年初からで、土星がちょうど射手座に入ったタイミングである。



しかし、チューリップバブルと違うのは、チューリップバブルの最後の取引が行われた後では、その後、誰も買おうとする者が現れなかったという点である。



ビットコインの場合、土星が山羊座に入ってからも更に高騰し、水瓶座に入ってからも一旦、1ビットコイン300万円ほどに下落した後、再び、600万円ぐらいに高騰している。



今現在、株式市場が暴落する瀬戸際にあって、リスク資産を売却して、金や仮想通貨に投資しようとする人が多い為だと考えられるが、ビットコインにはまだ値段が付いている。



以前からビットコインにはどのような実質的な価値があるのか分からないと伝統的な古風な投資家は主張していたが、ビットコインは既に多くの人が利用して、マイニングに参加しているという点など、その利用者の規模、ネットワーク効果自体が、価値を生み出しているという考え方もある。



例えば、沢山の記事や写真が投稿されたfacebookやtwitterなどのSNSに価値が付くのと同じ仕組みによって、多くの人がそれに参加し、労力をかけているという点に価値がある可能性がある。



チューリップバブルの時代と、インターネット環境などが充実している現在は、環境的な条件が異なる為、比較にならないかもしれないが、チューリップバブルが、山羊座への土星のトランジットで崩壊したことは、ビットコインには当てはまっていない。



しかし、一つ言えることは、射手座というものが投機熱を煽り、バブルをもたらすということである。



そして、山羊座で信用収縮が起きるということである。




但し、株式市場にしても山羊座に土星が入ったタイミングで、一旦、株価は暴落したが、再び、持ち直して、高値を維持している。



従って、やはり、チューリップバブル崩壊の理論では単純に説明出来ない。



今は、インターネット環境が充実していて、誰でも家から出なくても、ネットで、株や仮想通貨を取引できる環境も影響しているのかもしれない。



経済活動が停滞して、実体経済が縮小しても、その影響を受けにくいのである。




チューリップバブルの時代は、ペストなどが流行れば、外に出かけられないのであり、経済活動が一切できなくなり、市場での取引もそうである。



市場への参加者も少なく、インターネットで誰でも参加できる今とは全く異なっている。



従って、チューリップバブル崩壊の後は、一人も市場に姿を表さず、誰も球根を買わないということが起きたのである。







このチューリップバブルが崩壊した時のトランジットは重要である。



土星がトランジットするばかりでなく、太陽、水星、ラーフなども山羊座をトランジットしており、更に木星も山羊座にアスペクトして、ダブルトランジットが形成されているからである。



これはチューリップバブル崩壊が、山羊座の象意で引きこされたことは間違いないと考えられる。



山羊座は現実主義で、冷徹な合理性から、チューリップバブルに実質的な価値がないと、一気に冷めた見方が広がっていったのかもしれない。



逆に射手座は、拡大発展の木星が支配星で限りなく、夢やロマンを追いかける理想主義者となり、市場での取引に対して、投機的な情熱を傾けてしまうのかもしれない。








アメリカの建国図を見た時に双子座に集中する惑星群が、射手座にアスペクトしている。




水星が支配する双子座が合理的な計算を表わすとしても、そこには射手座も強いため、アメリカンドリーム的な投機熱を煽り立てる国民性があるのではないかと思われる。




射手座の象意である自己啓発セミナーなどに狂うのもアメリカの国民性である。





例えば、私は以前、勝間和代が推奨していたフォトリーディングのセミナーに参加したことがあるが、参加費が、2日間で10万円もするセミナーだった。




内容的には全く意味がないほど、貧弱で、ただ視点を集中しないでぼんやりと全体的に見て、ぱらぱらと本の文字を絵を見るかのように見ていくということを教えるだけのセミナーである。



読んだ内容は潜在意識に入っているので、ある時に思い出したりするということであった。




そこには、100人以上の参加者が参加しており、あのような実質的な価値のないセミナーにあれだけ沢山の人間が参加しているというのは、はっきり言って今、考えればバブルである。



自己啓発セミナーには、そのような内容のない高額セミナーが多い。





しかし、そのセミナーを主催するのも射手座ラグナであったり、射手座が強い人であり、そのセミナーに参加しているのも射手座が強い人である。




バブル経済は、射手座が作り出しているのである。




山羊座が強い人であれば、そうしたものには見向きもせず、射手座の投機熱を冷めた目で眺めることになるかもしれない。




山羊座の人は、そうした射手座の熱狂を見ながら、自分はせっせと実際的な技術や物質的な富など、実体のある価値を築いていくことになる。




私が何故、間違ってそうしたセミナーに参加してしまったかと言えば、私の出生図で、射手座にラーフが在住し、水星、土星がアスペクトして、射手座に若干の影響があるからである。




しかし、それで得られたものはほとんどないのである。





従って、おそらく、バブルが起こりそうな所に真っ先に資金を投入して、バブルが崩壊する前に真っ先に逃げ出して巨額の富を得るのは、射手座が強い人で、しかも射手座（あるいは射手座-双子座軸）にラージャヨーガやダナヨーガなどの有利な配置がある人だけである。




バブルという祭りは、その人たちの独壇場なのである。





チャートにはその人がどんな分野で勝利し、成功するかということが描かれているが、どんな分野で敗北し、失敗するかということも描かれている。





例えば、アメリカの建国図を見て、双子座にラージャヨーガやダナヨーガが形成されている図柄からは、アメリカが金融業で、勝利し、成功することが描かれている。





米ドル基軸通貨を世界に採用させ、そして、米国債を売って、世界中の資金の還流を受けている。





しかし、いよいよアメリカの株式市場が暴落しようとしており、このことは待ちに待っていた出来事である。






ヤン・ブリューゲル作 『A Satire of Tulip Mania』（1640年）