結婚において、決定的に重要なのは、7室、そして8室である。
特に8室というのは、パートナーとその結婚生活を表わすハウスである。
結婚生活とは、パートナーの財産(お金)、家族との融合を表わしている。従って、8室が傷ついていると結婚生活が成立せず、従って、結婚できないようである。
結婚できないというと悲壮感が漂うが、結婚(生活)に興味がなく、仕事や趣味(自己実現)などに生きがいを見出している人もこれに該当する。
だから積極的に結婚しない人と肯定的に言い換えることもできる。
従って8室が傷ついている人は、パートナーとの結婚生活から得られるものがなく、従って、結婚生活に期待もしておらず、結果として、結婚以外の仕事などに人生のエネルギーを投入していく人である。
結婚とは、実は7室ではなく、8室が表わしているようである。
最近、結婚した友人のR君によれば、パートナーと出会ったのは、7室に木星がトランジットしている時で、結婚したのは8室に木星が移動した後であったようだ。
8室に木星と土星のダブルトランジットが生じている時に結婚したのであるが、その時、対向の2室にもダブルトランジットが生じていた。
つまり、7室とはパートナーを表わすが、7室でパートナーと出会った後で、結婚により相手の家族と融合して、家族間の交流が始まり、姻族関係が成立するのである。
この姻族関係を巻き込んだ結婚生活というものが8室である。
だから、パラメーターとして重要なのは、
7室、8室、そして、その対向の1室や2室である。
これらの1室、2室、7室、8室やその支配星のダシャーやアンタルダシャー、そして、これらのハウスに木星がアスペクトしたり、ダブルトランジットが生じる時が、最も結婚しやすい時ではないかと思われる。
そして、12室はベッド上の快楽、性生活のハウスであるとされ、このハウスも結婚にとって重要であるとされているようだが、この12室は、上記4つのポイント程には重要ではないと思われる。
それは12室は7室から見て6室であるため、離婚や別離を表わすため、結婚を促進するとは思えないのである。
もし結婚における役割という点から考えると、12室には惑星が在住してはいけないのである。特に凶星が在住してはいけないのである。
凶星が在住すると7室から6室目の凶星、ウパチャヤの凶星となり、敵を粉砕する暴力的なパーソナリティーになるからである。
そうするとパートナーの関係性(性的関係も含めた)に悩むこととなる。
逆に12室に吉星が在住すると、パートナーの7室からみて6室の吉星となるため、パートナーの献身的なパーソナリティーを形成するのである。
だから結婚生活がうまく行くためには12室に吉星が在住していたり、アスペクトしていなければならないという考え方は成立するかもしれない。
そうした観点からは12室も結婚にとっての役割を持っていると言えるかもしれないが、
然し、いずれにしても12室に在住する惑星は7室からみた6室であり、離婚を表わすため、積極的な役割を果たすとは思えないのである。
やはり、決定的に重要なのは、1室、2室、7室、8室である。
これらのハウスに在住している惑星、あるいは、これらのハウスの支配星のダシャーが結婚にとって、大きな役割を果たすのではないかと思われる。
上述のR君も1室に在住する2室の支配星のダシャーの時期に結婚したのであり、更に2室と8室に木星と土星がダブルトランジットしていた時期であったことを考えると、上記のパラメーターを2重、3重に満たしていることが分かる。
更に5室をパラメーターに含める考え方があるが、それはおそらく結婚すると子供が生まれるため、5室が絡むようなダシャーの時期やトランジットの時期は結婚しているはずだという考え方から来ている。
おそらくインドのような伝統社会などではそうなのかもしれない。
然し、都市型の近代社会においては、男女が結婚しても必ずしも、子供をつくるとは考えられず、結婚しても子供をつくらない選択をする夫婦も多いと思われる。
従って、パラメーターとしての5室は、
文化や習俗の影響を大きく受ける為、あまり重要ではないと思われる。
従って、これらのことから考えると、優先順位の低い12室や5室を除外した1室、2室、7室、8室こそが、結婚(生活)にとっての最も重要なハウスである。
つまり、パートナーの7室、そしてパートナーとの結婚生活を表わす8室というこの2つのハウスから全てのパラメーターが理論的に派生していくのである。
7室がパートナーを表わし、8室が結婚生活を表わすのである。
非常にシンプルで単純である。
8室が結婚生活を表わし、結婚生活を損失するハウス(8室から12室目)が7室である。
従って、7室は単にパートナーそれ自身を表わしている。
7室だけであれば結婚せずにただ交際しているだけでいいのである。
全く2人だけの問題である。
然し、そこに結婚によってお互いの家族が介入して、家族ぐるみの付き合いになった時が8室である。
だから結婚とは8室なのである。
7室はただの交際である。
だから8室が傷ついている人は結婚生活はしないで交際だけを続けていくのである。
お互いの家族まで巻き込んでの結婚生活をする気もないし、現実的にそれらが出来そうにないという状況もあるかもしれない。
そういう人のライフスタイルは特定の相手との結婚生活に踏み切らずに、適当に交際相手と付き合い、また相手を変えながら独身生活を継続していくというあり方である。
「Single Women and Astrology」からの一節を借りれば、
She had multiple love affairs and sexual adventures but never had any sacramental marriage which is not unusual in western societies.
という表現がそれである。
伝統社会であれば、直ぐに結婚し、家庭を築いて子供をつくるというのが、文化的習俗的に、一般的であり、それから逸脱する選択肢はあまりないのである。
従って、伝統社会では総じて早婚の傾向があり、特に女性には結婚しか選択肢がないので、ある年齢に達すると、結婚相手を探すことに一生懸命になる。このような文化では、占星術的な条件が整うと、直ぐに結婚がもたらされるのである。
然し、都市型の近、現代社会においてはそうではなく、必ずしも結婚という形を取らない交際というものが非常に多いのである。
だからインドでは結婚に該当する占星術的な条件が整っても、日本や欧米の社会においては結婚しないというケースがしばしば見られるようである。
これはインドはより封建的な伝統社会の性質を残しており、日本や欧米は、インドよりも先に近代化、民主化した結果、封建社会から脱皮して女性の社会的権利が法的に保障され、女性が社会進出が進んだ、より理性的な社会であるからだろうと思われる。(然し、近年、現代インドでも結婚の晩婚化や結婚しない女性といった現象が増えているらしく、インド社会自体も変化して来ていると思われる)
こうしたパラメーターは、ヴァラーティアヴィディアヴァヴァンで、発案され、研究のパラメーターとして利用されているが、これらのパラメーターはインドの文化的背景の中で、考案されているので、必ずしも、日本や欧米社会には適用しないようなのである。
私は占星術の同僚たちからそうした検証結果を聞いている。
こうしたことは、最近、ヴァラーティア・ヴィディア・ヴァヴァンが発刊した二冊の書籍、
「Delayed Marriage of Girls」
「Single Women and Astrology」
を読んでから、理解することが出来た。
特に「Single Women and Astrology」の研究成果は、
上記に書いてきたような結婚とハウスの関係に関するメカニズムを
より深く理解することに役立ったのである。
特に8室の役割についての深い理解をもたらした。
今まで、結婚に関する記事(例えば、Z.アンサリの「TIMING MARRIAGES I, Ⅱ」(JOA 1998年 4-6月号, 7-9月号)を読んではいたが、あまりその意味がよく分からず、読んでもほとんど頭に残らなかったものが、この上記のシンプルな理解に還元してから、改めて見てみると、非常にスムーズに頭に入ってくる。
原理原則は非常に簡単だったのである。
それは、
7室はパートナーのハウスであり、
8室は結婚生活のハウスである
というこの単純な原理である。
そこから全てのパラメーターが派生するのである。
そして、お互いの家族が一同に会する結婚式というものは、
8室の象意である。ここから8室の象意がスタートするのである。
従って、結婚とは8室が表わしており、8室が結婚にとっての最も重要なパラメーターである。
もちろんパートナーそれ自身を表わす7室も重要であるが、8室もそれ以上に重要なのである。
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コメント
コメント一覧 (2件)
教えてください。結婚について調べています。
私は「蟹座」で8室に月がありますので月が傷ついているから独身の方が向いているという解釈でよろしいのでしょうか
ちなみに7室はラーフです。
よろしくお願いします。!!
パートナーからの経済的援助や恩恵に恵まれる面はあると思いますが、
ラーフは凶星ですから7室は傷ついています。
結婚に向いていないということはないと思います。
ここでは鑑定は行っておらず、またチャートの一部分を切り出して見るだけでは、一概に言えませんので、
やはり鑑定に来て頂くしかないと思います。
宜しくお願いします。