
中国の習近平が、2025/7/6~7にブラジルで開催されるBRICS首脳会議に欠席したことで、健康不安説や失脚説が囁かれている。
「中国で権力の移行が起きている」”独裁”強めた習主席”失脚”あるのか【7月8日(火)#報道1930】|TBS NEWS DIG
7月8日に放送されたTBSの報道から以下のことが分かる。
台湾の国防安全研究院の沈明室氏によれば、現在、習近平は中国で実権を失いつつあるという。
その理由として、まず深刻な健康不安に陥っている可能性を指摘している。
今年の5月下旬から6月に習近平の情報が一時途絶え、心臓病の疑いがあるという。(心臓病の治療をしていた可能性を指摘)
また習近平がベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した際に天安門での閲兵式といった公の場を使わず公邸にした点などを挙げている。
体調が優れず、長時間屋外にいたり、一緒に閲兵したりすることが出来ない為、習近平が住んでいる公邸で、接待したとの見方があるという。
また習近平は、2024年7月15日~18日に北京で開催された「第20期中央委員会第3回全体会議」(略して三中全会)以降に脳卒中を発症した可能性があるという。

2024年8月にベトナム共産党総書記と会談した際の写真で、後頭部に不自然に毛を剃った跡があり、一部の海外メディアが脳卒中に関係する手術の跡ではないかと報じているという。
他に習近平の力が弱まっている兆候として、「習近平を核心とする党中央」といった中国メディアの習近平礼賛の定型句が、減少しているという。
また2025年5月に北京大学の教授が習近平の政策を批判する論文を公表し、論文は削除されたが教授たちの処分はなかったという。
沈明室氏によれば、学者たちが自発的にそうした行動を取ることは絶対にありえず、その背後には必ず、支援勢力が存在するのだという。
それは、反習近平派や上層の元老派(長老)であり、胡錦涛の影響が考えられるという。
胡錦涛は、反習近平派のトップで、前回の共産党大会前に胡錦涛と習近平が会談し、習近平が引き続き総書記を務める代わりに胡錦涛派の胡春華を総理にするという約束を交わしていたが、その約束が反故にされたのではないかという。
2022年10月22日、第20回中国共産党全国代表大会の閉幕式で、胡錦涛が、途中退席させられるという事件があった。
胡錦涛は、付き添われて退席する際に何か抗議するように習近平に語りかける様子が報じられている。

沈明室氏によれば、習近平が、土壇場で、胡錦涛を裏切り、人事名簿を差し替えたのだという。
この前回党大会の後、習近平に近いとされてきた軍の制服組ナンバー1で、中央軍事委員会副主席の張又侠氏が、胡錦涛派の支持に転じたという。

張又侠氏は、習近平が自らを退陣させる動きを察知して、逆襲に転じ、習近平派の将軍の汚職の証拠を掴んで、2名が解任され、1人は消息不明とのことである。
2023年8月の北戴河会議では、胡錦涛派とされる党内長老三人が習近平体制に批判を声を上げたとの報道もなされており、習近平派の将軍の汚職による失脚はその頃からである。
現在、中国の中央軍事委員会の3席が空席となっており、異例の事態だという。
このように軍部の習近平に次ぐナンバー2が、胡錦涛派の支持に回った為、習近平の権力基盤が大きく、揺らいだようである。

火星/太陽期に失脚するという予測の検証 -その予測の大筋は間違いではなかった-
私は、習近平のラグナを乙女座に修正し、2024年2月~6月頃の火星/太陽期の間に失脚するのではないかと予想していたが、そのようにはならなかった。
インドの第12代首相のナラシンハ・ラオが、やはり、乙女座ラグナで、10室に火星と太陽が在住しているが、火星/太陽期に失脚している。
失脚はしなかったものの、2024年2月~6月頃の火星/太陽期の辺りは、既に軍の制服組ナンバー1、中央軍事委員会副主席の張又侠氏が胡錦涛派についた後である。
2022年10月22日の第20回中国共産党全国代表大会の後、中央軍事委員会の習近平派の李尚福氏は、2023年に解任され、苗華氏は、2025年6月に解任されており、何衛東氏が、2025年3月から消息不明であることを考えると、この間、ずっと権力闘争が続いていたことを示している。
つまり、火星/太陽期辺りは、習近平が実質的に権力を失なうような事態が起こっていたのである。
独裁者が、軍を統率する権力を失えば、独裁者の終わりを意味している。
従って、習近平は、健康不安で2025年8月に引退を促されるのではないかという憶測も出ている。

ラーフ期の失脚を予測
2025年1月25日前後から習近平は、ラーフ期に移行している。
ラーフは5室に在住しており、5室は10室(地位、権力)から見た8室(中断、行き詰まり)であるため、地位や権力が行き詰まる時期である。
同時にこの土星は、6室の支配星でラグナ(身体)に在住している為、習近平に健康不安が生じ、また土星は10室にアスペクトして、3、8室支配の火星と相互アスペクトして、6-8の絡みが生じている為、胡錦涛派の支持に回った張又侠氏など政敵が表れて、権力闘争に巻き込まれたことを示している。
因みに習近平は、上述したように脳卒中や心臓病の疑いがあるが、脳卒中は、頭(1室)で生じることから、6室支配の土星がラグナに在住し、ラグナロードの水星にアスペクトしている為、実際に脳卒中に掛かっていた可能性が高い。
また土星は5室の支配星だが、5室は心臓を表し、6室(病気)も同時に支配している為、土星は、心臓疾患を生じさせる表示体である。
これが身体を表すラグナに在住し、3、8室支配の火星からアスペクトされて激しく傷ついていることから、心臓病を生み出している可能性がある。
つまり、今起こっていることは、習近平の乙女座ラグナでのチャートが示す通りである。

習近平は、マハダシャー火星期に入ったばかりの2018年の段階で、9回の暗殺未遂を経験していた。
この暗殺未遂をもたらしたのは、3、8室支配の火星と6室支配の土星が、1室と10室で、相互アスペクトして、6-8の絡みを生じ、そこにラグナやラグナロードが絡んでいる為である。
このマハダシャー火星期を通して、こうした暗殺の危険があったが、ラーフ期に入った今現在も、ラーフのディスポジターである土星が結果を表す為、習近平は、暗殺の危険性がある。
既に軍部が胡錦涛派に握られてしまった為、習近平は、いつ暗殺されてもおかしくない状況にある。
しかし、胡錦涛は、病死して中国国民からその死が惜しまれた李克強のボスであり、中国の指導者の中では、比較的リベラル派であり、暗殺など手荒なことをせず、健康不安などを理由として、習近平に秩序ある退陣を促していく可能性が高い。
私は、習近平が、火星/太陽期に失脚しなければ、ラーフ期に失脚すると予想していたが、軍を統率する権力を失った今、独裁者・習近平が失脚するのも時間の問題である。
ジャイミニスキーム
チャラダシャーでも現在、蟹座/蠍座(2025/6/16~2026/6/16)であり、蟹座から見ると、AmKの水星は12室に在住しており、蠍座から見ると、8室に在住している。
従って、ジャイミニスキームも加味すれば、2026年6月16日までに失脚する可能性が高い。
懸念事項
ただ一つ気になるのは、今年、2025年は、中国と日本が、東アジアで、軍事衝突する可能性が高いのである。
健康不安に陥るなど権力を失う間際にいる独裁者は、国内の不満を外部にそらす為に戦争を始めることも多い。
自分の側近が3人も中央軍事委員会から解任されたにも関わらず、それでも習近平は、中央軍事委員会のトップである。
自分に動かせるルートを使って、台湾への軍事侵攻を仕掛ける可能性も考えられなくもない。
何故なら、現在、マハダシャー土星期だが、6室の支配星は暴力を表すハウスであり、マンデン占星術においては自分から戦争を開始するハウスだからである。
土星は火星と共に6-8の絡みを形成しており、これは犯罪を免れ得ない配置であり、軍事侵攻を開始して、戦争犯罪を引き起こす可能性もある。
プーチンも蠍座ラグナで、8、11室支配の水星期に入って、ウクライナへの軍事侵攻を始めたが、深刻な健康不安説が囁かれている。
独裁者が、健康不安に陥ったり、権力を失いそうになる時は、戦争を起こして、国民の注目を外部にそらすことがあるので要注意である。
台湾侵攻なら「北京爆撃」 トランプ氏発言か【WBS】
アメリカのCNNテレビは7月8日にドナルド・トランプが、中国の習近平に対し、台湾を侵攻すれば、北京を爆撃すると発言していたと報じている。
おそらく、このように発言したことは、習近平が権力を失いつつある為にその危険性がかつてないほど、高まっていることを示している。
長老は政治介入、側近は要職から排除…習近平氏“秩序ある退陣説”(1) 2025/7/8 15:17 中央日報 2012年の執権以降、、中国を鉄拳統治してきた習近平・国家主席(72)の1人権力が牽制(けんせい)を受けている。失脚説が出ている習氏の「秩序正しい退陣」が始まり、習氏と長老・軍部連合が次期指導部を巡り激しく衝突しているという分析が力を増している。 実際に最近中国共産党は習氏の独断を防ぐための長老の政治介入を公開的に制度化した。6月30日、国営新華通信は2カ月ぶりに政治局会議を伝えながら「党中央の『政策決定議事協調機構』を設立した」と公開した。あわせて「新設された議事協調機構は重要な業務をトップレベルで設計し、総体的に協調・推進して、実行を監督および督促することができる」とした。それだけ地位が高い機構ということだ。 通信はまた「該当の機構は『重大な業務(大事)』を企画・議論・推進しなければならない」とし「重大な業務に対して『統括は代行せず、到達は越権せず』を徹底する」とした。事実上、国政を総括する権限を付与したのだ。 このやや短めの345文字の報道は大きな波紋を広げた。香港オピニオンリーダーのコラムを収集・掲載している「灼見名家(Master Insight)」は2日、「(該当の機構は)長老が直接政治に参加する空間を用意したもの」としながら「1982年鄧小平が作った党顧問委員会と似ているように見えるが、法的によって一層強力な権力を付与されている」と解説した。北京のある分析家は「習近平派一色の現中央政治局7人制常務委員会を牽制する装置」とし「長老が常務委員会会議を招集して出席し、発言することができると明文化したもの」とみている。 ◇令夫人と同郷人・馬興瑞氏に職務待機命令 このような報道の直後、習氏側近グループである「習家軍」が要職から排除されて派閥色の薄い人々が躍進し始めた。習氏の夫人、彭麗媛氏(63)と故郷が同じ馬興瑞・政治局員(66、権力序列24位圏)兼新疆ウイグル自治区党書記が1日、待機発令を受けたことが代表的だ。 馬氏に先立ち4月2日、習氏の母校である中国清華大直系である李幹傑・中央組織部長(61)が石泰峰・中央統一戦線部長(69)に職を譲った。過去「キングメーカー」と評価された長老の曽慶紅・元国家副主席(86)と中央党校で長く仕事をした石氏が人事権を掌握した画期的な事件だった。 続いて、1日には石氏と5年間を共にした陳小江・統一戦線工作部副部長(63)は新疆ウイグル自治区党書記に栄転した。このように2人が習家軍の政治局員の席を狙っていることで習主席派閥の退出はさらに加速するだろうとの見方が出ている。これに関連し、台湾聯合報は「待機命令を受けた状態の馬興瑞が統一戦線部長から排除される可能性がある」とし「李幹傑は追加で降格される可能性がある」と伝えた。 |
「習近平、健康不安で8月引退の可能性」 米国で広がる失脚説 2025/7/1 7:34 中央日報 米国官僚社会の間で、最近、中国の習近平国家主席の失脚説が出回っている。中国人民解放軍高位幹部の相次ぐ粛清などが根拠として提示されている。一部では習氏の健康不安説も出ている。 ドナルド・トランプ第1期政府時に最初の大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたマイケル・フリン氏は6月27日(現地時間)、ソーシャルメディアを通じてこのような習氏失脚説を主張した。フリン氏はこの日、X(旧ツイッター)に「中国に注目している人々は中国共産党の核心構成員、特に大衆と国家安保部署の信頼喪失を綿密に注視する必要がある」とし「中国で明らかに権力移動が起きている」と記した。あわせて「中国のリーダーシップ変化は途方もない果を招くことになる」と指摘した。 フリン氏は習氏の後継者を象徴するかのように3人の主要人物の写真を掲載した。中国権力序列6位の丁薛祥・国務院副首相、陳吉寧・上海党書記、張又侠・中央軍事委員会副主席らだった。 これに関連し、6月30日台湾自由時報は最近中国軍部の動きに注目した。習氏の側近であり中央軍事委員会副主席の何衛東氏、苗華氏が失脚した背景に軍部内暗闘の可能性が浮上した。習氏は2人を前面に出して軍部実権者である張又侠氏と側近を粛清しようとしたが、かえって失脚させられて軍事力掌握に失敗したということだ。 自由時報は「習近平は中央軍事委員会主席を維持しているが、名目上にすぎない」と指摘した。続いて「習近平が反対派と交渉し、本人が退く条件として側近である丁薛祥が総書記、胡錦濤前主席の支持を受ける陳吉寧が首相、張又侠が中央軍事委主席を務めて集団指導体制を復元することに合意した」と失脚説を解説した。 一部では習氏の影響を受ける丁薛祥の執権を防ぐために汪洋前政治協商会議(政協)主席、胡春華副主席などが代案として議論されているという。2人は胡錦濤前主席と温家宝前首相らが支持する人物だ。 中国事情に明るい米国の元バミューダ駐在大使グレゴリー・スレイトン氏も習氏の失脚説を扱った記事を28日にニューヨーク・ポストに寄稿した。スレイトン氏は「習近平は健康が不安定で8月党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で引退するか、名前だけ職責を維持する可能性がある」と予想した。あわせて「2022年習近平から屈辱を受けた後、胡錦濤氏ら元老が水面下で権力を掌握した」と主張した。 また習氏の父親・習仲勲を賛える習仲勲記念館が5月に開館して「関中革命記念館」に名称変更し、5月末から6月初めまで党高位幹部が外国高位要人と面会する時、習氏が痕跡をなくしたのはもちろん、党機関紙「人民日報」が習氏関の連ニュースを掲載しない点などを失脚の兆候に挙げた。 |
中国・習近平、BRICSサミット欠席の謎…健康不安説が再燃、相次ぐ幹部の失脚・失踪で権勢弱まり早期引退か 2025/7/8 JBPress (福島 香織) BRICSサミットが7月6日、ブラジルのリオデジャネイロで開催されたのだが、中国の習近平国家主席が欠席したことがいろいろと憶測を呼んでいる。BRICSサミットに習近平が欠席したのはこれが初めて。 米中新冷戦構造が先鋭化してくるなかで、中国が主導力を発揮する新たな国際秩序の枠組みとしてBRICSは注目されている。このタイミングで習近平がサミットに欠席する理由がわからない。一部では、習近平に深刻な健康問題が起きているとか、あるいは党内権力闘争が激化しており北京を離れられない状況であるとか、言われている。 BRICSサミットは2012年に始まった新たな経済体連盟の年度サミット。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを中心に米国ら西側先進国パワーに対抗するグローバルサウス勢力の核心になると期待されている。 実際、中国が一番経済パワーを持っているので、BRICSは中国主導の組織といっていい。2024年1月からアラブ首長国連邦(UAE)、イラン、エチオピア、エジプトが正式加盟しており、今回はイスラエル・イランの戦争後、初めてイラン代表団が出席する国際会議でもある。そんな外交の晴れ舞台で習近平が欠席し、李強首相が代理出席するというのは不可解だろう。 BRICSサミット欠席の謎 中国側は習近平欠席の理由については説明していない。元米国国家安全委員会中国事務主任で、現ブルッキンス学会の中国専門家のライアン・ハスは「習近平が最近、ルーラ・ブラジル大統領と北京で会談しているからだ、と言われている」と指摘している。習近平とルーラは過去1年の間に2回も会談しているので、いまさらわざわざブラジルまで出向いてルーラと会談する必要がない、と考えているのではないか、という。 実のところ、このサミットに欠席した首脳は習近平だけではない。ロシアのプーチン大統領は国際刑事裁判所の指名手配を受けているので、オンラインで会議に参加している。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領もイスラエルとの戦争の余波で欠席することになっている。 習近平としては仲のよいプーチンが欠席しているうえに、インドのモディ首相がブラジルの国賓として出席することも、欠席したくなる要素かもしれない。モディが習近平より格上に扱われるのは、プライドが傷つけられるというわけだ。 だが、もしそういうチンケな理由で、習近平がサミットの出席を見合わせたならば、ホストであるルーラとしては、たまったものではない。ブラジルは今年、BRICSサミット、G20サミット、COP30のホストも務め、国際舞台で十分にアピールしたのち、来年の激烈な大統領選に挑み、史上空前の四期連続大統領の座を狙っているのだから。 では、習近平の欠席が、プライドの問題や習近平の気まぐれでないとすれば、一体何が原因なのか。 どんな健康不安説が噂されているのか まことしやかにささやかれているのは習近平の健康不安説だ。この問題は何年も前からくすぶっていたのだが6月中旬ごろ、再びこの噂が盛り上がっていた。 6月16日、習近平がカザフスタンで開催された第2回中国-中央アジアサミットに出席した時、カザフスタンのトカエフ大統領は、習近平に対し、その誕生日(6月15日)に合わせた訪問であったことにふれ、「習近平氏の健康と家族の幸せ、そして国を治める上でのさらなる成功を祈る」とあいさつした。 ところが、一部チャイナウォッチャーたちの間で、このあいさつの言葉は、尋常ではない、と話題になった。というのも中国の新華社などでは、トカエフの「習近平氏の健康(身体健康)を祈る」という祝辞は報じられていないのだ。カザフ国際通信でのみ、この発言が取り上げられていた。それで、中国公式メディアは、習近平の健康に関する言及はタブーになっているのではないか、という憶測が流れた。 さらに、トカエフ大統領がわざわざ習近平の健康状態に言及したのも、何か含みがあるのではないか、という見方もあった。 習近平の健康問題については、2012年に政権トップの座に就いて以来、ずっとさまざまな噂が飛び交っている。肝臓腫瘍を発症し、手術を受けたとか。また膵臓癌という噂もあった。2024年7月には三中全会会期中に脳梗塞で倒れたという噂が流れた。 私が党内の関係者から聞いた話では、習近平は糖尿病を患っているという。また、文化大革命中に陝西省で下放されていた時、トラクター事故で、頭を負傷し、その後遺症に悩んでいる、という話もある。 習近平は公式行事や外遊のとき、よろけたり、何もないところでこけたりすることがしばしばあり、健康に問題があることは長らく信じられていた。今年5月10日に習近平が河南省洛陽を視察して後、6月3日まで連続14日、公式の場に姿をみせなかったので、習近平軟禁説などの流言があったが、実はこの間も、健康状態が思わしくなかったのではないか、とも言われている。 毎月1回必ず開かれる政治局会議が5月には開かれなかったのも習近平の健康状態が思わしくないので開かれなかったのではないか、という指摘がある。ロシアの有名なテレグラムの政治系暴露アカウント、General SVRは6月9日、クレムリンが対外情報局から受けた報告として、5月25日から26日の夜間、習近平が突然心臓発作を起こし、6月の頭にも2度、心臓発作を起こした、という話を投じている。 だが、6月17日に習近平がカザフスタンを訪問した時、飛行機のタラップを降りた様子は比較的しっかりした足取りで介助も必要としなかったので、この心臓発作の噂はデマだろう、という意見もある。 ただ、こうした習近平不健康説は、党内から意図的に流されているふしもある。なので、こうした噂は習近平の早期引退に筋道を開こうという狙いがあるのではないか、という見方がある。 「早期引退説」の根拠とは 習近平が今年開催される四中全会で引退するという噂は5月ごろから頻繁に流れている。たとえば5月14日に政治局会議が行われ、胡錦涛や張又侠ら長老たちから、引退するように迫られて、習近平が条件付きで引退を承諾した、といった噂が流れた。ただし、そうした噂はフェイクニュースだった。5月に政治局会議は開かれなかった。だが、今年に入ってからの人事をみても、習近平の権勢が衰えてきている、ということは言えるかもしれない。 人事といえば7月1日に発表された新疆ウイグル自治区書記、馬興瑞の突然の更迭だ。後任は中央統一戦線部副部長の陳小江。 政治局会議が6月30日に開催されており、おそらくそこで正式に決まった人事だろう。馬興瑞は、いわゆる軍工系といわれる宇宙航空関連の専門家で、中国航天総公司や中国航天科技集団の幹部を歴任してきた。 習近平は2012年に政権トップになって以降、こうした軍工系と呼ばれるエンジニア出身の官僚を重用してきたが、馬興瑞もその一人だ。陳全国が新疆ウイグル自治区書記だったころ、ウイグル人弾圧をやりすぎて国際的に猛烈な批判を受けたので、その後をうまく処理するために2021年12月に新疆ウイグル自治区書記となった。 当時、馬興瑞は2027年の第21回党大会で政治局常務委員入りすると目される出世株だった。だが新疆ウイグル自治区書記になって3年半という中途半端なタイミングで更迭。新華社は「別の任務にあたる」と説明しているが、これは事実上の失脚と見ていいだろう。 おそらくは、この2年の間に相次いで起きている軍工系高官の失脚、あるいは失踪と関係があるのではないか。2023年からロケット軍幹部、中央軍事委員会装備発展部幹部の大粛清に続いて、軍工企業幹部が次々と失脚した。 たとえば元中国航空工業集団董事長の譚瑞松、中国兵器装備集団副総経理の劉衛東、元中国電子科技集団副総経理の何文忠。また元中国航天科技集団董事長の呉燕生、元中国兵器工業集団董事長の劉石泉、元中国航天科工集団副総経理の王長青、元中国運載ロケット技術研究院院長の王小軍、元ロケット軍装備研究院総工程師の蕭竜旭。元中国航天科工集団董事長の袁潔、元中国兵器装備集団総経理の陳国瑛も更迭されたのち、失踪状態だ。 さらに元中国航天科工集団副総経理から安徽省の常務委員、合肥市書記となった張紅文、元中国航空天科技集団公司副総経理で中国工業情報化部長の金壮竜も解任された後、動静不明だ。 馬興瑞の後任として中国航天科技集団董事長、工業情報化副部長、国家航天局長、国家原子エネルギー機構主任、国防科技工業局長を歴任していた許達哲も昨年11月から8カ月にわたって「失踪」中だ。 これはロケット軍幹部、解放軍ロジスティクス系の汚職事件から取り調べを進めて、軍工系企業幹部や軍工系官僚の関与が芋づる式に摘発されていったと言えるが、彼らは全員習近平や夫人の彭麗媛の推薦で抜擢された習近平人事であり、これは習近平の政治的失策であるということに他ならない。 弱まる習近平の権勢 もう一つ、習近平権勢の凋落を示す人事としては、中央組織部長(党中央人事担当)の李幹傑と、中央統一戦線工作部長(対外工作担当)の石泰峰を入れ替える異例の人事が4月に行われていた。この人事入れ替え理由については、さまざまな憶測が飛んでいるが、ドミノ式に失脚している軍工系官僚に連なりそうな李幹傑に人事を任せるのが不都合ということかもしれない。いずれにしろ、習近平人事の失敗、見直しの必要性に迫られた結果とみられる。 さらに、中央軍事委員会副主席の何衛東の「失踪」問題。3月の全人代閉幕式以降、突如姿を消した何衛東は、おそらく、昨年暮れに失脚した元中央軍事委員で政治工作部主任の苗華失脚に連座して取り調べを受けているとみられているが、苗華も何衛東も習近平が抜擢して中央軍事委員会入りさせた習近平人事だ。彼らの失脚は習近平の失策、ということになる。 オーストラリア在住の華人学者の袁紅冰は、紅二代ファミリー(革命家たちの子孫)が党中央幹部たちと連動して、習近平に引退を迫っている、と党内筋の話として語っている。そういう動きが本当にあるとしても、クーデターといった派手な動きの気配はないので、習近平自身が、健康問題などを理由に穏便に引退する道を模索するのではないかというのが一つの見方としてある。 |
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