先日、大江健三郎のチャートを見て、ラグナを双子座であることが分かったが、ナヴァムシャのラグナは、1-11の星座交換が生じ、兄姉が多いこと、そして、華麗な受賞歴を説明することが出来る蠍座ラグナに修正した。
出生図が双子座ラグナであれば、ナヴァムシャのラグナは天秤座~双子座までの9通りである。
それぞれのラグナに設定した場合、水星と火星の星座交換はどのハウス間に生じるかを検討すると以下のようになる。
天秤座ラグナ:2-12の星座交換 蠍座ラグナ:1-11の星座交換 射手座ラグナ:10-12の星座交換 山羊座ラグナ:9-11の星座交換 水瓶座ラグナ:8-10の星座交換 魚座ラグナ:7-9の星座交換 牡羊座ラグナ:6-8の星座交換 牡牛座ラグナ:5-7の星座交換 双子座ラグナ:4-6の星座交換 |
このうち、11室が絡み、兄姉が多いことや華麗な受賞歴などを表わしているのは、1-11の星座交換が成立する蠍座ラグナや、9-11の星座交換が成立する山羊座ラグナぐらいである。
星座交換は重要であり、星座交換が存在するのであれば、それが何らかのそのチャートの持ち主の顕著な特徴として反映されていなければならない。
特に11室の高い評価、受賞、称号の象意が、強く顕現しているのであれば、星座交換が11室に関係していると考えるのが自然である。
実際、受賞した時のダシャーは、1-11の星座交換を形成する火星や水星のダシャーやアンタルダシャーの時期であり、ナヴァムシャのラグナが蠍座である可能性を示していた。
ナヴァムシャのラグナが山羊座ラグナでも11室に惑星集中し、9-11の星座交換が成立して、11室が強くなるが、山羊座ラグナだと、11室に在住する金星と水星のダシャー、アンタルダシャーの時期に結婚したことが、説明しにくくなる。
11室は6室から見た6室目のハウスであり、通常、結婚をもたらすハウスではなく、また水星は6、9室支配で、金星は5、10室支配であり、結婚のハウスと関係していない。
またナヴァムシャのラグナを山羊座に設定すると、サプタムシャ(D7)のラグナが、獅子座か、乙女座になる。
1963年6月13日の太陽/火星期に長男が誕生したことは、サプタムシャが乙女座ラグナでは、太陽が12室の支配星となり、火星が3、8室の支配星でラグナに在住しているが、子供の誕生が全く説明出来ない。
獅子座ラグナである場合、太陽がラグナロードで、火星が9室の支配星となり、かろうじて、子供の誕生を説明できるが、やはり、サプタムシャのラグナロードよりも5室や9室の支配星や在住星の時期の方が、圧倒的に確率は高い。
また既に述べたようにナヴァムシャのラグナが山羊座だと、金星/水星期に結婚した理由が説明出来ないことから、ナヴァムシャのラグナは蠍座である可能性が高くなる。
つまり、ナヴァムシャを蠍座ラグナとし、サプタムシャのラグナを蟹座ラグナであるとすると、上手く説明出来るのである。
因みに大江健三郎には、1963年6月13日生まれの長男の大江光の他にも1967年に生まれた長女の大江菜摘子、1969年生まれの次男・大江桜麻がいる。
しかし、作品にもしばしば登場させる知的障害を持って誕生した長男の大江光が、やはり、大江健三郎にとって特別な存在であったようである。
何故なら、サプタムシャを見ると、ラグナロードの月が5室で減衰し、新月であるが、5室は子供一般を表わすが、特に子供が3人いる場合、最初の5室は長男を表わしている。
長女は、その妹である為、そこから3室目の7室山羊座がラグナとなり、次男は、その更に弟である為、そこから見た3室目の9室魚座がラグナとなる。
月と太陽が在住する蠍座は、長男の大江光を表わしている。
5室の蠍座を長男のラグナとすると、そこから5室の魚座には、8、11室支配の水星と、3、4室支配の土星、7、12室支配の金星が在住しており、高揚する金星と減衰する水星がコンジャンクトして、ニーチャバンガ・ラージャヨーガを形成している。
また8室の支配星が減衰している為、パラシャラの例外則によるラージャヨーガ的な効果も発揮する配置である。
5室は音楽のハウスであり、また金星は音楽の表示体である。
5室の金星は音楽の才能を表わしており、それは長男の大江光が、作曲家である理由ではないかと思われる。
金星が高揚し、またニーチャバンガやパラシャラの例外のような二重否定もある為、非凡な才能をもたらす配置である。
実際、大江光は、「幼少時から野外の鳥の声を正確に聞き分けて鳥の名前を当てたり、クラシック音楽に極めて強い関心を示したり」(wikipediaより)するなど、音楽に関して、非凡な才能を示し、11歳でビアノレッスンを開始し、13歳で作曲を始めている。
そして、作曲した音楽が、日本ゴールドディスク大賞を受賞したり、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞するなど、その才能は本物のようである。
しかし、その5室は同時に8、11室支配の水星や3、4室支配の土星によって傷つけられ、1、6室支配の火星によっても傷つけられている為、先天的な知的障害が生じたことも同時に表している。
8室の支配星が絡む場合、遺伝や生まれつきの障害や疾患を意味している。
つまり、サプタムシャのラグナが蟹座であれば、ラグナロードの月が蠍座5室に在住し、それは大江健三郎の長男に対する強い思い入れを表わしており、また長男自身も非凡な音楽の才能と共に知的障害を患ったことをよく表しているのである。
1967年生まれの長女・大江菜摘子は、おそらく、直前まで土星が水瓶座をトランジットして、5室にアスペクトし、木星は蟹座で逆行して、5室にアスペクトし、5室にダブルトランジットしていたタイミングに誕生している。
ダシャーは、太陽/ケートゥ期、あるいは、太陽/金星期辺りである。
太陽は、サプタムシャの5室に在住し、ケートゥのディスポジターである土星も9室に在住し、金星も9室に在住している。
また1969年生まれの次男・大江桜麻は、月/月 or 月/火星 or 月/ラーフ期辺りに生まれている。
月は、サプタムシャのラグナロードで5室に在住し、火星はサプタムシャの5室の支配星で、ラーフはディスポジターの太陽が、5室に在住している。
トランジットを見ると、誕生した年の2ヶ月前の時点で、土星が魚座で逆行して、5室と9室の支配星とコンジャンクトし、木星が獅子座から5室と9室の支配星にアスペクトして、5室と9室にダブルトランジットしている。
これらの長女と次男の誕生のタイミングを調べると、長男の場合と同じようにサプタムシャの5室や9室の在住星や支配星のタイミングで誕生するのである。
そうした意味で、長男の誕生のタイミングと全く同じ見方をする。
しかし、長男とそれ以外の長女、次男などを区別する場合に第一子が5室、そこから3室目の7室が第二子、そこから更に3室目の9室が第三子のラグナとするのである。
まとめると、以下のようになる。
まず、子供が三人誕生した場合において、出生図においては、第一子も第二子も第三子も、誕生したタイミングに5室や5室の支配星、9室や9室の支配星にダブルトランジットが生じている。
ダシャーの支配星は、出生図においては、何らかの形で、軽く5室や5室の支配星、9室、9室の支配星に絡んでいればよしとする。
サプタムシャにおいては、第一子も第二子も第三子も誕生するタイミングは、5室や9室の在住星や5室や9室の支配星の時期である。
しかし、これらの子供の間の才能の違いや運命の違いを見る場合には、5室を第一子のラグナとし、7室を第二子のラグナとし、9室を第三子のラグナとするのである。
子供が1人しかいない場合は、5室が子供一般のハウスとなり、5室が子供のラグナとなる。
つまり、サプタムシャの5室を第一子のラグナとし、7室を第二子のラグナとし、9室を第三子のラグナとする考え方は、第一子とそれ以外の子供の特徴や才能、運命などを区別する為に用いるのである。
このような結論にならざるを得ない。
それは上述したように大江健三郎のサプタムシャを見た場合に長男である大江光が音楽の作曲家であり、長女や次男が、音楽の作曲家ではないのは、この考え方が適用される為である。
もし全ての子供がサプタムシャの5室をラグナとして検討できるのであれば、長男も長女も次男も音楽の作曲家になっていなければならないが、そうではないのである。
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