詐欺師との闘い 2

昨年の4月頃から実家が詐欺の被害に遭った為、詐欺師に対して、不当利得返還請求訴訟を提起して、裁判で戦っていた。


被害金額がそれ程、大きくない為、弁護士などを雇っていたら弁護士代の方が高くついてしまうような案件である。


その為、訴訟の起こし方などを簡易裁判所に問い合わせて、書類の書き方なども逐一教えてもらいながら、自分で、原告として、訴訟を起こした。


その辺りについては、以前の記事『詐欺師との闘い -詐欺師の仕掛けたイリュージョンを打ち破る-』に詳しく書いている。


結局、昨年の4月から年をまたいで、最終的に判決が出たのは、今年の3月末頃である。


その間、準備書面で、請求の原因などを列挙して、詐欺の証拠となる資料を証拠説明書と共に裁判所に提出した。


そして、相手が提出してきた異議申し立てに対して、再び準備書面で反論するなどして、最終的に計5回、準備書面を書いて提出することとなった。


被告は、当初、裁判の結果が出るまで絶対に示談はしないと意気込んでいたが、徐々に終盤近くになって形勢不利であることに気付くと、最後の段階で、示談を申し出て来た。


然し、その示談の内容は、詐欺で騙し取った金額の3分の1程度の金額を月賦で支払うというものだった。


当然、そんな条件を受け入れるわけにはいかず、また示談を受け入れてしまえば、そのはした金で相手を罪と責任から解放してしまうように思われ、それは出来なかった。


また警察からもお金の返金があれば、刑事事件としての捜査もそこで打ち切りになるといった話を聞かされていた。


そうしたことで、示談という線はあり得なかった。


裁判で、決着をつけ、最終的にどちらが正しいかを裁判所に判断してもらい、判決を出してもらうという形しか納得出来なかった。



裁判所の判決は、100%原告の主張を認めたものとなり、こちらが被告に支払った金額を全て、原告に支払うように命ずるものであった。


そして、この判決が出て、被告に通知されてから2週間たっても上告が為されなかった為、判決は確定し、判決に基づく、債権は確定した。



この判決が出るまでの公判中、被告は異議申し立てにおいて、ありとあらゆる虚偽の捏造した文章を提出してきた。


然し、被告は、私たち原告が支払った自動車修理代金を実際に修理事業者に支払って修理をしたという事実を証明する資料を何一つ裁判所に提出できないのであった。


領収書もなければ納品書も示すことが出来ないのを、被告は友人である修理事業者に現金で支払い、そういた類の書類は受け取っていないと嘘ぶいたが、修理を行なったとする修理事業者からの証明書のような紙切れ1枚を提出してきた。


ところが、その紙切れに修理事業者の名前と印鑑はあるものの、住所も連絡先もなく、また当然、その人物は、裁判所に証人として出廷することも出来ない。



また近隣住民が監視カメラで収録したというビデオテープも結局、警察には提出されておらず、おそらくそれは存在していないのである。


近隣住民からの怪文書や駐車場内を撮影したとするビデオテープは、結局は存在していなかったのである。


公判中にまたしても近隣住民から届いたとされる文書を提出して来たが、それによれば、別の警察署にビデオテープを届けたと主張していた。


私は早速その別の警察署に連絡をして確認したが、そのようなビデオテープは届いていないということだった。


実際、詐欺師は、修理事業者や近隣住民など、実際に存在するのかどうか分からない架空の人物が作成したとする手紙類を全て、自作自演で、自分で作成しているのではないかと思えた。


公判が進めば進むほど、詐欺師は苛立ちを募らせ、原告を感情的に中傷したり、非難する調子が文章に現れ始めて、冷静さを失っているのが分かった。


詐欺師は、実際、自動車に傷が付いたので修理代金をもらって自動車を修理したとする嘘を本当のように見せかけるために近隣住民による怪文書や修理事業者からの手紙類など、あらゆる架空の人物の手紙の文面なども自分で考えて書いているのだ。


そのような芸当が出来るだけの狡賢い頭は持っているようだが、本当の意味での知恵や知性がないようだった。


従って、それらは小手先のテクニックに成り下がり、自分が付いた嘘を嘘で上塗りしていくことによって、自分を徐々に雁字搦めにして、最後には辻褄が合わない箇所が沢山出て来て、破綻したのである。


私は詐欺師が偽造した資料類に現れる矛盾などを準備書面の中で指摘し、裁判所にそうした論点が認められたが、そもそも裁判官は、詐欺師が全く、領収書も納品書も振込明細も示せず、修理事業者が全く表に出て来ず、住所も連絡先も示せないといったことに呆れ果てていた。



詐欺師は、狡賢く立ち回り、平然と嘘をつき通す、図々しさを持っていて、言うこと為すことが全て嘘であり、頭は悪くないのだが、自分がそれを繰り返すことによって最終的にどこに行きつくかを知るための叡智、知性に欠けていた。



その場を取り繕う為の怪文書や偽の証明書などを発行して、それらを発行した結果、自分がどこに追い込まれていくかが理解出来なかったようである。


嘘は嘘を隠すための更なる嘘を必要として、徐々に嘘の巨大な構築物が出来あがる。


その嘘の構造物を全部記憶しておくのは不可能である。


この詐欺師が嘘を貫き通す図々しさは、ウクライナ戦争で、ロシアが軍事施設以外は攻撃していないとか、住民を殺害していないと、嘘をつき通すのに似ている。


浅ましく恥ずかしげもなく平然と嘘をつくのである。


然し、私が非常に危機感を覚えたのは、家族の者が、詐欺で被害に遭ったことに最初のうちは全く分からなかったことである。


詐欺師の詐欺を見破り、詐欺師に対抗できるだけの知性がなければ、詐欺師に騙されてしまうようだ。


今回、裁判で100%原告の訴えが認められ、勝訴した形になったが、ただそれは主張が認められ、債権が確定しただけで、実際に被告が騙し取った金を取り戻したことではない。


これから、その債権の回収が待っている。


被告に金がなければ回収することが出来ず、これがまた大変な作業で、回収することが出来るかどうかは不明である。こちらの方がむしろ難しいと言える。


然し、裁判で、勝訴することで、大変な満足感が得られた。


現在、刑事事件としての捜査は、継続しており、詐欺師が最終的に何らかの刑事罰を受けて、詐欺の代償を負うことを希望している。


また被告である詐欺師に対して騙し取った金銭を返金せよと命令する裁判所の判決を用いて、今後も債権の回収を行っていく予定である。


私にとって、今回、経験した公判は、土星が私の10室をトランジットする中での一つの大きな仕事であった。


私の出生図の10室には9室支配の木星が在住しており、10室の木星には教師やカウンセラーや法律家という象意がある。


実際、詐欺で騙された実家の家族を保護しなければならないという必要性に駆られて、その裁判を起こしたが、弁護士の業務に似たようなことを行なったのはその為である。


弁護士となって代理権を持つと、日々こうした業務を行なうのだということがよく分かった。


10室に土星がトランジットしている今、この10室に在住している9室支配の木星が示す行為を行なう責任が生じたのである。


詐欺の基本は、言葉によって、イリュージョンを生み出して、相手に信じ込ませることである。


相手の思考に何らかのイメージを植え付けるのである。


詐欺で騙される人は、単にイメージに過ぎないにも関わらず、それが実際の現実だと信じ込まされてしまう。


然し、世間では、詐欺で騙されたにも関わらず、最後まで詐欺だと気づかないで、過ごしてしまう人も多いと思われる。


あらゆる人が人生において多くの詐欺に直面していると思われる。


ビジネスの世界では、意識的、無意識的にイリュージョンを生み出し、イリュージョンを与えることが仕事である。


ビジネスの世界には、必ず詐欺師がいて、詐欺師は決していなくなることはないのだ。


それは人間が取引きしたり、経済活動を行ない始めたことと同じくらい古い起源を持つと思われる。


詐欺を見破り、詐欺に引っ掛からないようにするには、詐欺師の知性を凌駕し、その上を行かなければならない。



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