村上春樹はどこへ行くのか

先日、村上春樹の作風とチャートとの関係について分析した。

村上春樹の作品の特徴は物語の中に家族や民族、伝統といったものが、全く感じられず、無国籍的で土の臭いが全くしないという所である。

それは彼の創作を表わす惑星集中する5室の射手座から数えると、8室が蟹座になるからである。

村上春樹は蟹座が嫌いでそれをあえて見ないようにして避けているのである。

だから作品の中から蟹座的な世界が全く抜け落ちているのである。

そのことに気づいた時、村上春樹が何故、ああいった作風なのか、はっきりと分かった気がした。

蟹座は民族主義を表わすと以前から分かっていたので、それは明白のことであった。

そして、民族や国民国家といったものを感じさせる土着性が感じられないが故に普遍性があると海外の人からは見なされているようなのである。


射手座がアメリカの価値観そのものだと書いたが、アメリカに新天地を求めて渡った人たちは、自分たちの住まい、土地を求めて、長い船旅をして、あの新大陸に辿りついたのである。

そして、アメリカに渡った後、更に新たな土地を求めて、西海岸を目指して、ひたすら拡大の道を突き進んだ。

西部開拓、ゴールドラッシュ、石油の採掘をして、一代で富を築くといったアメリカに見られる歴史の数々は射手座の物語に思える。

成功哲学やプラグマティズムがアメリカで生まれた理由がよく分かるのである。

おそらくアメリカンドリームというのも射手座の理想なのである。

射手座は快適な土地や住まいを求めるのであるが、アメリカ成立の歴史そのものが、快適な住まいや土地を求めた人たちによって築き上げられたのであり、それは、リスクをとって冒険をして凄まじい跳躍をする射手座のスタイルそのものである。

これらのアメリカで生まれた文化は若々しく力強さには溢れているが、精神的深みはなく、成熟していない。例えばインドのヴェーダ哲学にあるような深みというものは全くない。

これが村上春樹の作品の中に一貫して流れる基調である。


アメリカという国は様々な国から流れ込んできた移民の社会であり、世界の民族が入り混じって、社会を構成している。

非常に新しい国であり、歴史が浅く、民族の記憶とか土着性があまりないのである。

むしろ、アメリカインディアンという土着の人々を追い出して創り上げた社会である。

だから人工的な国家であり、実験的な国家である。

おそらく射手座の人は、8室が蟹座になるため、生まれた土地、家族、民族、伝統といったものを捨てて、遠い所に跳躍して、旅をして、それでそこに自分の新しい住まい、居場所を築くのである。

そして、新しく築かれた居場所は、全く民族、伝統、家族といった民族の記憶とは無縁の新しさがある。

それはアメリカという国家そのものを言い表している。


村上春樹がアメリカの文学やジャズに惹かれているというのはそういう意味なのである。

村上春樹の作品では主人公が遠い遠いどこかに旅をしたりして、私たちの住む国や民族の共同体を離れて行ってしまう。

何か遠い所に幸せを探しに出かけてしまう。それは何故かと、評論家達が問うているが、問うている評論家達の面々を見ると、皆、土臭くて個性的な民族主義者たちなのである。彼らは感受性豊かで、知性も冴えているが、射手座の感覚がよく分からないので、批判をしているのである。

何故なら、蟹座から見ると射手座は批判の6室に該当するからである。


村上春樹に何かインスパイアされる若者たちというのは、皆、おそらく射手座の価値観という点において、刺激を受けるからであると思う。


この村上春樹であるが、今まで村上春樹は全く私には理解できない未知の人物で神秘性があったのだが、ここまで分かってしまうと、未知への畏怖といったものは私の中から全く消えてしまった。

神秘性というものは理解できない対象への畏怖なのである。

村上春樹はもはや私にとって、解いてしまったパズルのように感じられる。

 

村上春樹が現在、マハダシャー水星期であると、既に記事の中で書いたが、水星期にどうしてこれだけ海外で高い評価を得たのか、非常に不思議であった。

マハダシャー水星期というだけでは、水星の分割図での強さということを考慮したとしても、何故、これ程の高い評価を受けたのか、全く理解できなかった。

水星は6室に在住しているので批判を受けたり、批判をしたり、起こっている出来事の象意は、実際の事象と一致している。

然し、海外で、名誉ある団体から授賞し、その授賞式でスピーチをするといった華々しさはこの水星のどこに現れているのか、分からなかった。

然し、チャラダシャーで考えた時にこのマハダシャー水星期に移行するのと同時にメジャーダシャーが牡牛座の時期に移行しているのである。

牡牛座ではAmkの月が高揚している。

しかも月は12室の支配星であり、外国を表わしている。

この12室の支配星である月が、10室で高揚している。

だから、彼は牡牛座のメジャーダシャーになると同時に世界的な大舞台で注目を浴びたのである。


村上春樹はスペインで女性たちにキスを迫られたと言っていたが、それはおそらく月が高揚する牡牛座のメジャーダシャーで起こるべき出来事である。

ところが、それほどの栄華を極めた村上春樹も、チャラダシャーのメジャーダシャーが双子座に移行すると同時に酷評を受けて、今までの高い評価に変化が生じている。

双子座から見ると月は12室に在住し、8室、5室、2室にアスペクトしている。

従って、村上春樹は今後は、高い評価を受けることは難しいのである。


5室にAmkがアスペクトしているため、創作活動は続けていくと考えられるが、評価を受けるような時期ではなくなっていく。


再び評価されるのは2018年頃から2年程、蟹座のメジャーダシャーに移行する時期であり、この蟹座から11室にAmkが在住しているため、この時期はよい時期である。

更にメジャーダシャーが獅子座に移行すると、獅子座からみて10室でAmkの月が高揚している。

おそらく年齢にして71歳ぐらいの時期である。

但し、ヴィムショッタリダシャーを見ると、この直後からケートゥ期が始まるため、トータルで良い時期とは言えない。

やはり、村上春樹は、チャラダシャー牡牛座であったこの7年間に人生で最も名誉に満ちた日々を過ごしたのだと言うことができる。


今回、よく理解できたことは、12室支配の月が10室で高揚して、それがAmkであり、そのAmkが在住している牡牛座のメジャーダシャーの時期であったからこそ、海外で成功したということである。

パラシャラ方式での分析の最中にも、ジャイミニの変動表示体にも気をつけて、それらがどの位の強さで、どのハウスに在住しているかといったことに注目しなければならないとよく分かる。

それがチャートを静的に見た場合でも、人生で成功するのかしないのかということをやはりよく示しているからである。

10室でAmkが高揚しているチャートというのはやはり非凡なチャートであり、その人が人生で成功することは約束されていると言えるのだ。

それはその10室で高揚するAmkの強さが顕現するタイミングに生じる。

パラシャラとジャイミニを使いこなせるようになった後の次のステップとしてはそれらを同時に見ていかなければならないのである。

例えば、ジャイミニのメジャーダシャーから見た10室にAmkが在住する時期が同時にヴィムショッタリダシャーでも、そのAmkの惑星のマハダシャーの時期であり、またトランジットでも、木星や土星、火星などの惑星がそのAmkをアスペクトしている・・・といったジャイミニとパラシャラの垣根を越えた複合的な見方が必要になってくるのだ。

 


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