天才数学者エドワード・O・ソープ - 確率論でラスベガスとウォール街を制した男 -


最近、エドワード・O・ソープの自叙伝『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す 上下合本版――偶然を支配した男のギャンブルと投資の戦略』(上下巻)という興味深い本を読んだ。



以前、購入していたが、積読で、全く手を付けていなかったが、ようやく読む時間が出来たので読んでみたが、非常に面白い本だった。

詳しくは、本書を読んで頂くと分かるが、エドワード・O・ソープは、1930年代の大恐慌の最中に生まれ、幼少期は、化学の実験やアマチュア無線などに取り組み、自分の部屋の実験室で、爆弾を製造して爆破を試すなど、色々冒険的な活動、いたずらなどもよくやったようである。

理系の才能を幼少時から発揮し、優秀で頭脳明晰であった為、飛び級で、進学し、化学や物理学のコンテストで優秀な成績を得た結果、奨学金を得て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などに進み、数学科で講師の職に就くのである。


その時にカジノで、ブラックジャックに興味を持ち、ブラックジャックでディーラーに高い確率で勝つカードカウンティングという方法を編み出すことに成功するのである。


カードカウンティングとは、既に出たカードを数えて、残りのカードで次に出るカードの確率を計算し、エッジ(勝算)が高い場合にだけ掛けるという方法である。


この戦略を取ると、長い目で見ると、必ず勝利するようである。


確率論というものは、一回一回は、偶然が左右するかもしれないが、エッジ(勝算)がわずかであってもパーセンテージで示されていれば、長い間、それを繰り返せば、必ず勝てるという考え方である。


実際、プロのギャンブラー、投資家というものは、この確率論を駆使して、常に安定して勝つことが出来るからプロなのである。


そのことが本書を読むとよく分かった。


エドワード・O・ソープが、自分のブラックジャックの戦略を『ディーラーをやっつけろ!!』という書籍で出版した所、真似をして、大勢がラスベガスに押しかけて、この手法を駆使して儲ける人が続出したため、カジノは、カウンティングを禁止し、やっている疑いのある人物がいると店から締め出すようになったようである。





実際、エドワード・O・ソープがカジノで勝ち始めると支配人が来て監視したり、酒に薬を混ぜて、思考力を低下させたり、イカサマをして、稼げなくしたり、理由なく店から負い出し、立ち入り禁止にしたり、その為、エドワード・O・ソープも変装してゲームをしたりなど、色々、カジノ側とのやり取りが面白いのである。


カードカウンティング以外にも、ルーレットで勝つ方法を情報理論の父と呼ばれるクロード・シャノンと研究し、ウェアラブル・コンピュータ(装着もしくは着用出来る小型コンピュータ)を開発して、ルーレットで、残り4回転ぐらいになった時にある基準点から1周するまでの時間を計測して、どの番号の穴に球が入るかも予測したようである。


実際、ピンポイントで球が入る番号を予想するのは難しい為、その前後の番号にも掛けると、エッジ(勝算)が上がり、ルーレットでも高い勝率を出したようである。



然し、カジノというのは、常に情報弱者的な一般の人々が、負け続けてくれることを期待するビジネスである為、勝ち始める人が現れると直ぐに出入り禁止にするようである。


以前、パチプロの知人が、店から出入禁止になったと言っていたので、パチンコなどの世界と同じかもしれない。



話が脱線するが、私が最近、読んだ本として面白かったものとしては、株式投資の短期トレードで、230億を稼いだcisという人が書いた『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』という本がある。





この人も株式投資をする前は、パチプロをしていた人である。


この人が株式投資を始めた時、最初の頃は、長期トレードで全く勝てないで、資金を減らしたが、短期トレードをするようになって、勝ち始めたという。


つまり、1回1回のエントリーをエッジ(勝算)が優位な時に行って、その直後に勝敗を決定するという形に変更し、カジノでのディーラーとの勝負のようなやり方に換えたということである。


負けた時は、即、損切である。


そうしたらエッジ(勝算)が少しでも優位ならば、それを何回も繰り返していると、やがて必ず勝つということなのである。


それを実践した結果、cisという人は、230億円も勝つことが出来た。


これは結局の所、確率論を駆使したギャンブルでの必勝法であり、そういう意味では、株式投資でもFXでも先物取引でもカジノでも全て同じである。




エドワード・O・ソープの出生データ(1932年8月14日 15:50 PM イリノイ州シカゴ)は、アストロデータバンクで、AAで、かなり信頼できるデータである。


従って、早速、チャートを作成してみた。







5室支配の木星がケートゥ、水星と絡んでいるのが分かる。



エドワード・O・ソープは、数学の研究者でもあるが、数学の才能は、5室と論理を表わす太陽が、強い水星や火星の影響下にあること、そして、ケートゥも数学を表わす惑星である。


知性の表示体である水星をラグナとすると5室支配の木星が再び、ケートゥ、水星と絡んでいる。



水星は強い友好星座に在住しており、また5室の支配星は、獅子座(太陽)に在住しているので、太陽の影響も受けていると言ってもいいかもしれない。



またラグナロードと月から見た5室支配の金星が6室双子座のアールドラーに在住していることにも注目である。



以前、数学の天才グレゴリー・ペレルマンのチャートを調べた時、木星と水星が双子座のアールドラーに在住していたが、アールドラーの支配星はラーフである為、物理や工学、数学などに興味を持ちそうな配置である。








このエドワード・O・ソープが、一世を風靡し、有名になるのは、ブラックジャックの戦略をワシントンDCで開かれたアメリカ数学会の年次総会で発表した時である。



総会の会場に数百人のマスコミが殺到して、エドワード・O・ソープの発表に聞く耳を立てたという。



その中には、「サングラスにハデハデでバカでかい小指の指輪」、ついでに「葉巻を咥えた連中」なども混じっていたそうである。



ギャンブルで勝つ方法を数学的に証明したというのだから、業界関係者も含めて、様々な人の注目が集まったのかもしれない。



この発表を行なう前に情報理論のクロード・シャノンに研究内容について精査してもらった所、「どうやら君はこの分野で大きな理論的発見をしたようだ」とお墨付きを得ている。



このエドワード・O・ソープが全米デビューした時は、1960年の冬で、ダシャーは、ラーフ/金星期である。








ラーフ/金星期は、デビューの時期であり、その後の躍進の最初のタイミングである。



ダシャムシャを見ると、ラーフは9室に在住して、10室支配の火星とコンジャンクトして、ラージャヨーガを形成し、更に2、11室支配の木星とコンジャンクトしている。



またアンタルダシャーの金星は、ラーフのディスポジターとなっており、4、9室支配のヨーガカラカで、10室に在住し、ラグナロードの土星とコンジャンクトしている。



4、9室支配の金星と3、10室支配の火星は、9-10の星座交換をしている。




従って、ラーフ/金星期は、ダシャムシャで見る限り、飛び抜けて良いことが分かる。






このエドワード・O・ソープが、ブラック・ジャックの後、ルーレットやバカラなどにも挑んで、同じように勝てることを証明した後、次に選んだ舞台が、掛け金で上限値なしの地上で最大のカジノ・ウォール街である。



ここで、ソープは、今日、ブラック=ショールズのオプション公式(ブラック–ショールズ方程式)として知られる金融工学の先駆けとなる理論を発見したようである。



これは1973年にフィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズにより公式化され、この業績により1997年のノーベル経済学賞を受賞しているが、それよりも早くにエドワード・O・ソープがもっと単純なやり方でこの公式を導き出していたという。




私の理解した所によれば、ワラント(当該企業の株式を予め定められた価格で購入することができる権利)などのオプションの価格というものが、物理学の熱伝導方程式の一種で説明できるという理論で、株価は、幾何ブラウン運動のように表されるため、この方程式があれば、株価の値動きを予測し、完全にリスクヘッジが出来るという理論である。




これが現代金融工学の先駆けとなる理論であるということは、エドワード・O・ソープがそれよりも先にこの原理を理解し、投資に応用していたということは、この業界での第一人者であるということである。


つまり、ヘッジファンド、金融工学の先駆けが、エドワード・O・ソープであると言ってもいいかもしれない。


数学を駆使して、初めて、ギャンブルの世界や投資の世界で、勝つ方法を理論的に明らかにした人物が、エドワード・O・ソープである。





ヘッジファンドの”ヘッジ”とは、リスクヘッジの”ヘッジ”を意味する為、こうした金融工学でリスクをヘッジして運用する投資ファンドという意味のようである。



エドワード・O・ソープのやり方は、通常よりも安値になっているワラントを購入し、それと価格がある程度、連動している株式を売って、リスクヘッジを行なうという手法である。


先物取引で行なわれるサヤ取りと同じやり方である。


サヤ取りとは、石油とガソリンなど、ある程度、価格の動きが似たような銘柄を一方は売り、一方は買うということで、+-ゼロにして、急激な価格の変動によるリスクをヘッジするやり方である。


利益というものは、その2つの銘柄の価格差(鞘)が拡大したり、収縮することによってもたらされる。


その2つの銘柄の価格差の歪みを上手く利用するのである。



何らかの市場の錯誤などによって、2つの銘柄の間の価格差に歪みが生じている場合、最終的には、その歪みが解消されていく方向に収束していくが、その歪みが生じている時にエントリーし、歪みが解消した段階で、利益が出るので、そこで決済するというやり方である。



エドワード・O・ソープの場合、これを株式と、その株式を予め決められた価格で取引できるオプション(ワラント等)で行なう方法である。


ワラントを買って、同額の株式を売って、リスクヘッジを行なうような手法で、株式に対して、ワラントが安すぎるような場合にチャンスが生まれるようである。


それで、29年間で、1四半期も損を出さず、株式市場が暴落しているような時にも利益を出し続けたという。




この方法については『市場をやっつけろ』という本で一般に公開している。



エドワード・O・ソープの興味深い所は、ブラックカードの必勝法でも、投資での勝ち方についても、何でも公開して一般に教えてしまう所である。



やはり、強い木星が10室に在住している為、根っからの教育者であるからである。




私は、30代の時に先物取引のサヤ取りについて勉強したが、実際にそれで稼ぐまでには至らなかったが、このサヤ取りと同じような考え方で、ヘッジファンドが運用しているということが今回、よく分かった。(実際には、稼げるかどうかは、更に運命というものが決定するのであるが、そこまで理解している人は数少ない)




エドワード・O・ソープが、活動の舞台をカジノからウォール街に移した時が、ちょうどマハダシャー木星期に移行した直後であった。



具体的には、1969年にプリンストン・ニューポート・パートナーズ(PNP)というヘッジファンドを創業しており、木星/土星期の頃で、マハダシャー木星期のセカンド・アンタルダシャーの時期である。






木星は2、5室支配で10室に在住し、11室支配の水星とコンジャンクトして、2-11、5-11のダナヨーガを形成している。



この木星や水星のディスポジターの太陽も9室に在住して、9室の支配星で満月の月と相互アスペクトしており、良い配置である。




そして、もう一つ、良い配置は、ラグナロードで6室支配の火星が8室に在住し、7、12室支配の金星も8室に在住して、8室で、1-7のラージャヨーガを形成している配置である。



この配置がカジノで女性のディーラーたちとブラックジャックの勝負をして、勝ち続けた配置である。



火星は6室支配で8室に在住して、ヴィーパリータラージャヨーガを形成し、金星は12室支配で8室に在住しているので、ヴィーパリータラージャヨーガを形成している。



8室で、ラグナロードの火星と7室支配の金星がコンジャンクトする配置は、カジノで女性のディーラーと勝負をして、イカサマをされたり、無料で振る舞われる酒やコーヒーの中に麻薬などを入れられて、ゲームに集中できなくさせるなど様々な悪意のある妨害を受けたことや最終的にカジノへの入店禁止などなったことに現れている。



また女性のディーラーからゲームに集中できなくさせる為か、誘惑を受けたことも自叙伝では綴っている。



金星や火星がアールドラー(ラーフ)に在住しているが、アールドラーは詐欺師やイカサマ師、ギャングなど、その筋の人々を表わす配置である為、




然し、それでもその間、勝ち続けたのは、8室(不労所得)で、ヴィーパリータラージャヨーガや通常のラージャヨーガが形成されている為である。







ウォーレンバフェットや投資家BNF氏などもそうだが、蠍座ラグナで8室双子座に木星などが在住しているケースが、最も株取引などで利益を得る配置である。



木星が入らなくても8室双子座に有利な配置が少しでもあれば、株式市場から莫大な不労所得、キャピタルゲインを得られる配置である。



それが、エドワード・O・ソープのチャートでも確認することが出来る。




ナヴァムシャでは、木星は2、11室支配で5室の双子座に在住している為、やはり株式市場でキャピタルゲインが得られる配置である。



エドワード・O・ソープは、マハダシャーが木星期になって、ヘッジファンドを創業してから、億万長者になり、それで大学の数学の講師の職も辞めてしまうのだが、その後も数学の研究発表などは行ない続けたようである。




このエドワード・O・ソープの自叙伝一冊で、確率論によるカジノでの必勝法、リスクのない投資戦略など、そして、その歴史などが全て分かる。




やはり、ギャンブル、投資などの世界を表わしているのは、水瓶座、天秤座、双子座である。




特に双子座は、ウォール街の株式市場、天秤座はカジノやパチンコなどの賭博場、水瓶座は銀行システムを表わしていると考えられる。



双子座は支配星が水星であり、水星はコンピューター上で数字として高度に抽象化され、負債として市場に供給されている現代のマネーを表わしている。



天秤座は支配星が金星である為、娯楽の要素が出て来て、カジノやパチンコなどの賭博場、ゲームセンターなどの遊技場を表わしている。



水瓶座は支配星が土星であるため、公共性があり、確実性があり、堅牢な銀行システムを表わしている。





そして、これらの風の星座の世界で、優位に立てるのは、数学の能力であり、確率論などである。



コンピューターサイエンスやプログラミングも数学である。





エドワード・O・ソープのチャートでもこれらの風の星座が際立って強いことが分かる。




例えば、エドワード・O・ソープが、大学で数学の講師を始め、ブラックジャックで勝てる方法などを研究していた時は、マハダシャーラーフ期であった。



ラーフは、水瓶座に在住しているが、水瓶座のラーフは、定座もしくは、ムーラトリコーナに該当する強い配置である。



そのラーフに対して、2、5室支配の強い水星と、教育の表示体の8、11室支配の強い友好星位の水星がアスペクトしている。



水星は8、11室支配で機能的凶星であるが、この場合、強い木星の影響で、吉星化していると考えられる。



またラーフをラグナとした場合に3、10室支配の火星と4、9室支配の金星が5室の双子座で、4-5、5-10、5-9、9-10のラージャヨーガ、ダナヨーガを形成している。



火星と水星は、アールドラー(ラーフ)に在住している為、マハダシャーの強いラーフの影響下に入っており、基本的にラーフの吉意が優勢だったことが分かる。



ナヴァムシャでも3、10室支配の火星と4、9室支配の金星が水瓶座ラグナに在住し、5室に2、11室支配の木星が在住している。





ダシャムシャでも木星、ラーフ、火星が9室の天秤座に在住している。





更に5、8室支配の水星が8室で高揚の座に在住しているが、8室の水星はファイナンスにおいて良い配置である。



彼がヘッジファンドを創業し、多くの出資者から運用資金の提供を受けられたのは、この配置の為である。









このようにエドワード・O・ソープのチャートは風の星座が強いので、ギャンブルや投資の世界で確率論を駆使して、その第一人者になれたのである。



こうした本が出てきて、その歴史を一望できるということは、その歴史が一段落ついたということである。




今後の世界では、AIなども出てきて合理的に取引を進める為、人間の誤謬や認知の錯誤などによる市場の価格差の歪みなども中々発生しにくくなってしまう。



またカジノ業界も監視カメラやマシーンを導入して、カードカウンティングが出来ない状況を作り出している。



パチンコなども遠隔操作で、出る台などがコントロール出来てしまうようになっている。



従って、こうした歴史は、人間がまだプレイヤーとして活躍していた古き良き時代を思わせるものになっていく可能性もある。





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