ホリエモンこと、堀江貴文(ライブドア社長 33歳)が逮捕された。
出生時間が分からないため、12:00で彼のチャートを作成すると、以下のような配置である。
氏名:堀江貴文
生年月日:1972年10月29日
出生地:福岡県
出生時刻:不明
月:蟹座
太陽:天秤座
水星:蠍座
金星:乙女座
火星:乙女座
木星:射手座
土星:牡牛座
ラーフ:射手座
ケートゥ:双子座
現在、サディサティでトランジットの土星が蟹座13°50’付近を逆行している。
出生時間が分からないため、彼の月の配置が正確には分からないが、おそらく蟹座10°前後をそんなに大きく離れていない度数に位置しているように思われる。
従って、結論を言えば、彼はまさにサディサティの最も厳しい時期にいることになる。
以前、私はコラムの中で、堀江氏が何故、土星が双子座にトランジット中で実質的にサディサティに入っている(土星が月の前後のハウスを運行)にも関わらず、彼に日本テレビ買収やフジテレビとの和解による1400億円の資金獲得などの財政的躍進があるのか分からなかった。
そのため、その時は彼が躍進したのは月の在住する蟹座のサルヴァアシュタカヴァルガの点数が高得点であることがその原因ではないかと考えたのである。
しかし、今、堀江氏が大変な苦境に遭遇しており、現にライブドア社の社長を辞任するところまで追い詰められたことを考えると、今まで調子が良いように見えたのは単に土星のトランジットの影響がまだ弱かったことが理由のように思えてきている。
今まで彼はマスコミに叩かれたにせよ、結局は1400億という資金の獲得とフジテレビとの和解を勝ち取った。そのマスコミに叩かれていたことが土星の試練であったのが、だんだん月の度数にトランジットの土星が緊密に接近するにつれて、今回のような究極の試練が訪れたのかもしれない。
堀江氏率いるライブドアがニッポン放送株を35パーセント夜間取引で電撃的に入手したのは2005年2月頃で、その時、トランジットの土星は双子座の27度付近を逆行中だった。
従って、この頃はサディサティの最中といっても土星が月に緊密にコンジャンクトする厳しい時期ではなく、まだ余裕があったのかもしれない。
しかし、今回、彼は虚偽公表と粉飾決算の疑いを受け、地方検察庁の強制捜査を受け、直後に逮捕され、現在、東京拘置所内の暖房の無い、狭い独房に収容されたのである。
これはまさに土星の象意である拘束、監禁であり、地方検察庁の強制捜査は厳しい懲罰であり、まさに土星を象徴している。
従って、これこそがサディサティの恐るべき試練であり、過去のカルマの噴出と考えられる特別な出来事である。
チャンドララグナで検証すると、彼のチャートの特徴が色々見えてくるが、一つに月から見て、3室に在住する金星と火星がある。
3室は自己表現、踊り、パフォーマンス、情報媒体の活用(露出)を表している。彼は2000年4月6日に東京証券取引所マザーズに株式を上場した時に、一回、上場会見の模様がテレビで放送されたが、その時は一回、テレビに映っただけで、その後、暫くはマスコミに登場することはなかった。
12:00で作成したチャートではこの時、彼はマハダシャーケートゥ期であり、ケートゥは月から12室に在住している。彼はまだこの時はじっと力を蓄えて静かにしているべき時だったようだ。この時の映像を見ると、彼の風貌は社会に適応できない工学系の大学院生か、アニメや機械に詳しいオタク的な人物のような風貌をしており、ケートゥの象意と一致する質素で風変わりな特徴を示していた。
しかし、2005年前後から、彼はインターネット上で、サイバーエージェントの藤田氏らと共にIT長者として露出することが多くなり、若き成功者として講演の依頼を受けたり、雑誌の対談などさまざまな情報媒体に露出し始めたと思われる。(もっと以前からだったかもしれないが比較的最近のことである)
そして、テレビの女優がIT長者とお見合いをするバラエティー番組などへの出演を契機に(?)その後、番組出演の機会が多くなり、近鉄バッファローズ買収を名乗り出たところでそれが頂点に達した。彼はニュース番組で連日取り上げられ、常にマスコミに注目される存在になっていく。
そして、近鉄バッファローズ買収に失敗した後でもライブドアはニュースに取り上げられた宣伝効果で、株価が上がり、グループ全体の時価総額が急速に上昇していくのである。
その後、2005年2月にニッポン放送株を夜間取引で電撃的に35%取得し、フジサンケイグループの経営権の取得を目指し、その動きの中でも連日にマスコミに取り上げられ、賛否両論の物議を醸し出した。
彼はホリエモンというあだ名をつけられ、ワイドショーやニュース番組で常に放送され、お茶の間のアイドル的存在、IT時代のヒーローに祭り上げられ彼の意見や発言自体が注目されるような状況にもなった。
また彼は「100億稼ぐ仕事術」や「稼ぐが勝ち」などの書籍を出版し、彼が非常に情報媒体を活用することに長けていることが分かる。
これらの現象すべてはチャンドララグナで検証した場合、月から見た3室の金星、火星が表している。3室の金星はアイドルを表しており、3室で減衰しているため、特別な法則で、金星のマハダシャーにはラージャヨーガ的に働く可能性がある。実際、彼のマスコミへの露出は大成功と言える程、成功したのではないかと思われる。
11室支配の金星と5、10室支配の火星が3室でコンジャンクトして、ダナヨーガを形成しており、マスコミ、情報媒体の仕事を通じて、利益を上げる配置を示している。
この彼がマスコミに露出し始めた2005年前後はおそらくマハダシャー金星期に入った頃である。
12:00で作成のチャートだと2004年4月10日頃からマハダシャーが金星にシフトしているが、おそらくそれ程、このタイミングとずれはしないと思われる。
3室の金星の時期に入った頃から、彼はテレビに連日登場するようになったのである。
彼はフジテレビと業務提携を結ぶ時にインターネットのポータルサイトの工夫や女子アナをコンテンツとして活用することを条件としたが、それは堀江氏の兼ねてからの願望であったようだ。
彼がフジテレビを買収したのは女子アナと合コンしたかったからという噂も囁かれたぐらいである。
11室支配で3室で減衰する金星は女子アナとの交流を表しており、彼が基本的に清楚な感じのアイドル的な女性を好んでいることが伺える。
火星と金星のコンジャンクトは恋愛や性的な関係を表しており、3室自体が欲望の部屋である。彼がフジテレビを買収したのはアイドルと合コンしたかったからという洞察はあながち間違っているとは言えず、実際に合コンした内田恭子らのフジテレビの看板アナ達は、皆、乙女座の特徴を示す、繊細で清楚な美人である。ライブドア広報担当の乙部綾子氏も清楚でスレンダーな美人であり、非常に乙女座的な女性である。
従って、彼が女子アナに特別な欲望を抱いていたことが良く分かる。
彼が強制捜査を受ける直前に吉川ひなのと自家用ジェットでパラオ諸島に行っていたことも発覚しており、堀江氏は携帯の待ちうけ画面を吉川ひなのにする程、彼女を気に入っていたようである。
吉川ひなのも幼い感じのタレントであり、彼の女性の好みが乙女座金星的な女性であることが分かる。
この辺りの3室の象意は相互に繋がっているのであり、これらは彼の欲望なのである。
3室=テレビ出演、出版、講演、女子アナとの合コン
また、もう一つ大きなチャートの特徴として、月から見て、木星が6室でムーラトリコーナで強く、ナヴァムシャでも高揚しており、非常に6室が強い点である。木星とラーフが同室しているが、ラーフは木星と同室し、木星が支配する星座に在住することによって、吉星化しており、またウパチャヤへの凶星在住で敵を粉砕する配置をしている。
この強力な6室が彼の数々の買収戦略での強さを示している。
6室は強い敵をもたらすが、その強い敵に負けない強さももたらすのである。
また敵からの利益も示している。従って、フジテレビは買収合戦で競い合う敵であるにも関わらず、最後にはフジテレビからの妥協を誘い出し、フジテレビ側から利益を引き出したのである。
またフジテレビ買収のために800億の資金を調達できたのも彼の6室が非常に強いからである。強い6室は借金できる能力を示している。
そして、株式市場で利益を得るということは逆に損をする人がいるからであって、基本的にゼロサムゲームであり、何も価値を生み出していないのであり、勝つか負けるかの勝負の世界なのであり、この株式市場というもの自体が6室の象意で動いている世界である。
従って、もし勝負に勝って利益を生み出したとしても6室の支配星というものは必ず、今生でカルマを作り出すのである。
従って、6室で自室で強い木星は吉凶混合しているのである。
実際、彼は買収を仕掛けた相手には恨みを買っており、フジテレビ買収の際にライブドアー株を買った多くの個人投資家はリーマンブラザーズがライブドアから購入した転換社債を株式化して空売りして儲けたことで、全く株価が上昇せずに損したのである。つまり、堀江氏の手法は多くの個人投資家を損させ、恨みを買うようなことも多々引き起こしているのである。
然し、彼は買収を繰り返して、企業を拡大してきたのであり、まさに6室で強い木星が象徴する象意である。
木星は拡大傾向、理想を示すのであり、彼は”時価総額世界一の企業”を目指していた。これは射手座の木星が示すとてつもなく高いステータス、目標を現している。
また彼は宇宙旅行を企画し、宇宙に出て行くという人類の最も高い、理想、目標を先取りして、取り組む姿勢を示していたが、宇宙旅行も地球の引力圏の拘束から抜け出し、宇宙へと自由に飛び出していくという意味で、拡大傾向の強い木星が表しているのである。
また六本木ヒルズのライブドアのテナントは38階に位置しており、25-28階のヤフー株式会社や18-21階の楽天などよりも高い場所を賃貸しているのも彼の”世界一”へのこだわりが見られる。
これらは皆、彼のとてつもなく高い地位、目標を目指す射手座の強い木星が表している。
そして、その強い木星が6室に在住していることから、”世界一”を目指す彼の手法は何らかの闘争的、攻撃的手法になることが予測されるのだが、それが買収戦略である。従って、買収戦略は彼の生き方そのものである。
これはインド独立に貢献し、初代首相になったジャワハルラル・ネルーのチャートにも言えることで、彼は蟹座ラグナで、堀江氏と同じように6室射手座に木星が在住して非常に強い配置をしている。彼は英国という強い敵を持っていたが、その敵を打ち破るだけの強さをもっていたと言える。
また英国はガンジーよりもネルーの方をイギリス統治における危険人物と見なしていたことが当時の文献から明らかなようである。
また、キューバ革命の指導者、フィデロ・カストロにしても天秤座ラグナで、6室魚座に木星が在住し、非常に6室が強いことが分かる。
彼は若き日には弁護士として活動し、その後、革命家として、バチスタ独裁政権との間に革命闘争を繰り広げるのだが、最終的に独裁者が逃亡し、キューバ革命は成就するのである。
このように6室が強いことは敵を粉砕する力があり、決して敵に負けないのである。従って、堀江氏が今回の逮捕劇で、終わりを迎えるという見方が強いが、彼はまだまだ戦う力を残しており、簡単には負けないのである。
彼は逮捕前に最強の弁護団を結成し、手付けを支払ったらしく、彼が法廷闘争で、強い力を発揮するかもしれないのである。
現に彼は容疑を否認し、調書への署名をかたくなに拒否しているというが、そんな態度にも彼の強さが見られる。
通常の日本人なら、世間一般の意見や考えに逆らわずに争いごとを避けて生きていく(事なかれ主義、争いを避けたい気持ち)のに対し、堀江氏のように「金で何でも買える」という露骨な信念を主張すること自体が世間に敵を作ったといえるが、そういった正直な主張は事なかれ主義とは違う強い生き方とも言える。
つまり、ネルー首相やフィデル・カストロの例に見られるように、革命などを成し遂げる時にはそのくらいの強さは必要なのである。
この場合、日本人は革命を経験していない為、歴史的に見て、敵を倒して、理想を実現するというカルマを形成している人が少ないという見方もできる。
そういった意味では堀江氏は通常の日本人とは全く違う感覚を有しており、むしろ、革命を経験した欧米人に近い発想を持っている。
これは何故かということを考えたときに彼の生誕地が福岡県であることが一つのヒントになるかもしれない。福岡県は歴史的に多くの超人を輩出している地域であり、それは幕末維新の頃からの伝統なのかもしれない。
福岡県に生まれる市民の中に幕末維新の時代に倒幕運動に関わった人々が転生してきているかもしれず、また福岡にはかつて玄洋社というサークルがあり、非常にスケールの大きな活動を展開していたという話もあり、その辺りの系譜が非常に興味深い。(小林よしのり氏の著書に書いてある)
堀江氏が逮捕された時、護送する車をヘリコプターで中継して、スーパースターのような扱いであり、逮捕された後も彼はマスコミに取り上げられ続けている。
それだけ、マスコミに対しての売り込みがたくみで、エンターテイナーだったのだと言える。
彼はおそらくマハダシャー金星期に入ったばかりであり、もし、マハダシャー金星期が彼のメディアへの露出を表しているのであれば、今後もずっとマスコミに取り上げられる日々が続くことが予想されるが、ラグナとの関係でアンタルダシャーが表していたのであれば、彼のメディアへの露出は終わるのかもしれない。
秀吉
–(資料)————————————————
<ライブドア>堀江社長ら逮捕 証取法違反容疑で東京地検
ライブドア(東京都港区)グループによる証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は23日、同社社長の堀江貴文容疑者(33)ら4人を同法違反(偽計、風説の流布)容疑で逮捕した。関連会社の株価をつり上げる目的で、会社買収発表などで虚偽事実を公表した疑い。特捜部は同日、堀江社長から初めて事情聴取し、虚偽事実の公表が堀江社長らの主導で行われたと判断。今後、グループの粉飾決算疑惑も追及する。株価や東京証券取引所のシステムに大きな影響を与えた事件を受け、堀江社長の辞任は避けられない情勢だ。
関係者によると、堀江社長はこの日の調べに対し、事実関係を認めながらも、違法性の認識については否定したという。ほかに逮捕されたのは財務担当取締役の宮内亮治(38)▽関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM、港区)社長を兼ねる取締役の岡本文人(38)▽金融子会社「ライブドアファイナンス」(LDF、港区)社長を兼ねる執行役の中村長也(38)の各容疑者。
調べによると、4人は共謀し04年10月、ライブドアが支配する「VLMA2号投資事業組合」が既に買収済みの情報誌出版会社「マネーライフ社」を、LDM(当時バリュークリックジャパン)が株式交換で子会社化すると公表。この際、マネーライフの企業価値を著しく過大に評価してLDMに大量の株を発行させ、株式分割などで株価をつり上げ、売却益を得ようと計画した。
これに伴い(1)株式交換の目的を「LDMの広告事業に大きな相乗効果が見込める」(2)交換比率算出はLDF従業員が行ったのに「第三者機関が算出」(3)既に両社はライブドア傘下だったのに「資本・人間関係はない」――と虚偽事実を公表した。
さらに同年11月、LDMの第3四半期の決算短信で、架空売り上げを計上して、本来は赤字だったのに黒字と虚偽事実を公表。特捜部はこれらが「偽計」と「風説の流布」に当たると判断した。
株式交換で発行されたLDM新株1600株(発表時)は、その後の100分割公表と決算短信での虚偽の黒字公表で高騰。投資組合が海外のファンドに約8億円で売り抜け、約6億6000万円がスイスの銀行などを通じて、ライブドアに還流していた。
特捜部は押収したメールなどから、こうしたシステムを宮内取締役が発案し、堀江社長が了承・指示したうえ、岡本取締役と中村執行役らが深く関与したと判断した。堀江社長は22日、自身のブログ(日記風の簡易型ホームページ)で容疑を否定していた。
特捜部はこのほか、グループ会社2社の預金など約14億2000万円をライブドアに付け替え、本来は赤字だったのに黒字と公表した04年9月期決算などに粉飾の疑いがあるとみている。
◆謝罪、反論なし…ライブドア
ライブドアは23日夜、同社のホームページ上に「(4人が)逮捕された事実を確認しましたのでお知らせします。今後の取締役会等の運営については会社の業務に影響がないよう速やかに決定し、お知らせします」とするコメントを発表した。コメントの冒頭には「堀江貴文」の名前が記され、謝罪や容疑に関する反論などはなかった。【川辺康広】
(毎日新聞) – 1月24日0時21分更新
パトカーに挟まれ、拘置所に=堀江社長らの車、カーテン引き
ライブドア社長堀江貴文容疑者(33)らを乗せた東京地検のワゴン車4台が23日夜、サイレンを鳴らしながら走るパトカーに挟まれ、次々と東京・小菅の東京拘置所に入った。正門前では約100人の報道陣が待ち構え、ライトやフラッシュで昼間のように照らし出された。
午後9時半ごろ、宮内亮治容疑者(38)と堀江容疑者を乗せた銀色のワゴン車が相次いで拘置所に。一斉にフラッシュがたかれたが、後部座席はカーテンが閉ざされたままで、中の様子はうかがえなかった。
(時事通信) – 1月24日1時0分更新
「金のため」豪語の末、IT錬金術で墓穴…堀江容疑者
「ライブドア」グループに対する強制捜査から1週間。東京地検特捜部は23日夜、同社社長・堀江貴文容疑者(33)の逮捕に踏み切った。
自らのブログで「身に覚えがない」と潔白を主張してきた堀江容疑者に対し、捜索で入手したメールの分析や同社幹部らの聴取結果などから、一連の不正に堀江容疑者が関与したと判断した特捜部。
「ホリエモン」の愛称で呼ばれ、時代の寵児(ちょうじ)としてもてはやされてきた堀江容疑者の“IT錬金術”が暴かれた。
「みんな金のために働いているんでしょ」。2002年にグループに買収された会社の元取締役は、堀江容疑者の素っ気ない言葉を今も覚えている。
その当時、ライブドアの前身の「オン・ザ・エッヂ」は社員150人、売り上げ10億円ほどの企業だったという。「300人、30億円にしたい」と自信満々の堀江容疑者に対し、元取締役は、社員に愛社精神がないことが気がかりだった。
元取締役は堀江容疑者に向かい、「大きな企業になるには、愛社精神を育てなければ」と説いた。その答えが「みんな金のため――」という堀江容疑者の言葉だった。
「違う。みんな金以外のもの、自己達成欲求を持っている」と反論すると、「そんな甘いことを言っているから、会社がなくなっちゃったんでしょ」と言われ、「それなら給料いらないの」とたたみかけられた。会話は平行線だった。
「何でも金の力で解決しようとする。今の取り巻きは金に群がっているだけだ」と元取締役は冷ややかに話す。
堀江容疑者が「オン・ザ・エッヂ」を立ち上げたのは1996年。その後、企業の合併、買収を繰り返し、わずか10年で40社を超える企業を抱える有力グループにのし上がる。
04年にプロ野球の大阪近鉄バファローズの買収に名乗りを上げ、05年にはニッポン放送株の大量取得でフジテレビと対立、同年の衆院選に広島6区から出馬し落選するなど、常に世間の耳目を集めた。
堀江容疑者がいつも口にする目標は、「時価総額世界一」。「時価総額」とは、発行済み株式に株価を掛け合わせた額で、会社の価値を計る物差しとして使われる。最近の著作で「株価を上昇させて株主に報いることが、株式会社の使命」と記し、昨年暮れのライブドアの忘年会では、男性歌手が「大きな古時計」の替え歌で、「大きく伸びたライブドア 時価総額8000億円」と歌い、堀江容疑者らが歓声を上げる姿がネットに流れた。
(読売新聞) – 1月24日0時53分更新
ライブドア経営、重大局面 外資ファンドが買収検討
ライブドアは23日、東京証券取引所のマザーズ市場に上場している株価が最安値を更新。東証は堀江貴文容疑者が逮捕されたことを受けて、上場廃止を視野に同社株の監理ポストへ移す検討を始めた。堀江社長ら首脳陣の辞任も取りざたされており、一部の外資系投資ファンドはグループ企業の買収を検討、水面下で打診を始めたもようだ。同社の経営は重大局面を迎えた。
ライブドアの株価は23日も下落、256円となり比較可能な2004年8月の株式分割以降、最安値を更新した。企業買収の力の源泉となっていたグループの時価総額は株価の連日のストップ安で、強制捜査前の16日の1兆円強から約4000億円となり、6割以上も減少した。
(共同通信) – 1月23日21時13分更新
フジテレビ所有のライブドア株、含み損98億円
23日の東京株式市場で、ライブドア(東証マザーズ)の株価が前週末比80円安の256円で取引を終えた結果、フジテレビジョンが保有するライブドア株(1億3374万株、発行済み株式総数の12・75%)が、約98億円の含み損を抱えたことが明らかになった。
フジテレビは昨年5月、ライブドア株を1株329円で取得。同社株は昨年12月には一時794円まで上昇し、フジテレビの含み益は600億円超まで膨らんだ。しかし、16日の東京地検特捜部による強制捜査以降は株価下落が続き、23日終値は16日の3分の1にまで下落した。
(読売新聞) – 1月23日21時35分更新
直前、投資組合名義に変更 ライブドア事件
偽装買収の隠れ蓑
契約主体2度書き換え
ライブドアが投資事業組合を通じて出版社のマネーライフ社を買収した偽計取引事件で、当初はライブドアを主体とする契約書が作成されていたことが二十四日、関係者の話で分かった。しかし、ライブドア側は自社株の売却益を還流して利益を得るため、二度にわたって契約主体を書き換え、買収直前に匿名性の高い投資事業組合名義に変更。ライブドア側はこうした偽装工作で数億円の利益をあげていたとみられる。
こうした偽装工作は最高財務責任者の宮内亮治容疑者(38)が計画を立案し、社長の堀江貴文容疑者(33)も了承していた。東京地検特捜部の調べに対し、宮内容疑者らは「株式交換による企業買収は、一連の経緯を社長に報告し、了承を得ていた」と供述。ライブドアはこれまで、「自社による買収ではない」と主張していたが、投資事業組合を隠れ蓑(みの)にしてマネー社を買収した実態が明らかになった格好だ。
関係者によると、ライブドアは平成十六年二月ごろ、マネー社の親会社と買収交渉を開始。一度はライブドア本体を買収の主体とする契約書のひな型を作成し、マネー社側にも送付していた。
しかしその後、買収の主体をライブドアファイナンスに変更した契約書を作成。さらに契約の二日前になって、買収の主体を投資事業組合に変更していた。
契約書は、宮内容疑者の部下でライブドア子会社のライブドアファイナンス幹部が作成し、結果を宮内容疑者にメールで報告していた。
宮内容疑者は一連の経緯について「(堀江)社長が出席した幹部会でも説明していた」と供述。特捜部は堀江容疑者も了承していたとみて調べている。
その後、子会社だったバリュークリックジャパンは同年十月、投資事業組合が保有するマネー社株と自社株との株式交換により、マネー社を子会社化すると発表。その直後、バリュー社株の百分割を実施し、同組合は高騰したバリュー社株を約八億円で売却。売却益をライブドアに還流させていた。
≪東京地検に苦情殺到 テレビ局、書店にも波紋≫
東京地検に寄せられたのは激励ではなく、苦情だった。「IT時代の寵児(ちょうじ)」と呼ばれた堀江貴文容疑者らが逮捕されたライブドア事件の波紋は株式市場にとどまらない。大阪の書店でも“堀江本”に関心が集まり、テレビ局は番組変更に追われた。
関係者によると、特捜部がライブドア本社などの家宅捜索に乗り出した十六日以降、東京地検に電話が殺到している。
強制捜査翌日、ライブドア関連株だけでなく、東京証券取引所の平均株価が大きく下落し、東証の売買が一時停止に追い込まれた“ライブドアショック”への投資家からの苦情がほとんどで、検察関係者は「特捜部を応援するような電話はほとんどない」と半ばやけ気味に話す。
二十三日の堀江容疑者らの逮捕を受け、テレビ各局は特別番組などを放映したが、堀江容疑者はバラエティーの常連。フジテレビは、二十一日に放送予定だった番組で、堀江社長が出演していたコーナーの放送を中止し、テレビ朝日とテレビ東京もライブドアの女性広報担当者の出演を急遽(きゅうきょ)取りやめた。
一方、堀江容疑者はこれまで、自身の経営手法を綴った著書を十冊以上出版。著書を並べる各書店では、逮捕をうけて改めて経営に興味を持つ市民も増える可能性もあるとみて反応を探っている。
紀伊國屋書店梅田本店(大阪市北区)では、昨年から堀江容疑者の著書を固めて展示。「経営手法を説明した著書はこれから売れるかもしれない」と予測している。
また、ジュンク堂書店大阪本店(同)では、昨年から堀江容疑者の著書約十冊を三階ビジネス書コーナーでまとめて展開している。最近も売り上げに大きな変化はないというが、今回の事件が、今年に入って取締役最高財務責任者の宮内亮治容疑者との共著で出した「ライブドアの世界一になるキャッシュフロー経営」の売れ行きに関係するとみている。
同店では「入荷を増やすかどうかを今後、考えていきたい」と話している。
(産経新聞) – 1月24日15時42分更新
<ライブドア>世界一狙い「虚業」 違法も二人三脚
時代の寵児(ちょうじ)が、頂点から転げ落ちた。ライブドア(東京都港区)グループによる証券取引法違反事件で23日、同社社長、堀江貴文容疑者(33)が逮捕された。出頭直前の午後3時、記者が携帯電話にかけると堀江社長は「あの、取材は受けかねます」と丁寧に答えて切った。「人間を動かすのはお金です」。自著でそう言い切った起業家の「株の時価総額世界一」という野望は、道半ばでついえた。
関係者によると、堀江社長の聴取は午後4時前から東京都内のホテルで始まった。6時半ごろ東京・霞が関の東京地検に移送され、その後、右腕の取締役、宮内亮治容疑者(38)ら他の3人とともに逮捕状が執行されたという。
「迷惑をかけるかもしれない」。堀江社長はグループが強制捜査を受けた16日深夜、うわずった声で知人の女性社長に電話をかけ、弱気な一面を見せたという。
しかし、22日のブログでは「疑いをかけられている件につきましては私は身に覚えがない」と容疑をきっぱり否定してみせた。関係者の事情聴取が進む中、連日深夜まで、会社と自宅がある六本木ヒルズで対策会議に追われた。
堀江社長は福岡県八女市出身。市立岡山小学校時代は「5分で100点満点を取る神童」と呼ばれた。進学校として知られる久留米大付設中・高校に進学。ソフトバンクの孫正義社長は高校の先輩にあたる。中学で物理を教えた深山重行さん(82)は「生徒に電動モーターで推進する木製の模型ボートを作らせたら、彼だけはかじを無線制御できるよう改造していた。当時からみんなより頭一つぬきんでていた」と振り返る。
高校の時、下から10番目まで成績が落ちながら「東京に行く」と決めた。1日10時間の勉強を課し、現役で東大文3(文学部)に合格した。だが、高校では目立たなかった。同級生たちは「いたかいないかもよく分からないやつだった」と言う。
在学中の96年、ホームページを制作する有限会社「オン・ザ・エッヂ」を設立した。資本金600万円は当時の恋人の父親から借りた。六本木の7畳しかない雑居ビルの一室に事務所を構え、社員はわずか数人だった。
宮内取締役は高校野球の名門、横浜市立横浜商業高校(Y校)の元野球部選手。外野手だったが、ベンチ入りはできなかった。卒業し、税理士になった。28歳の時、インターネットのサイトが縁で知り合った堀江社長から同社の顧問税理士に迎えられ、二人三脚が始まる。株式分割やM&A(企業の合併・買収)を一手に仕切り、99年7月に取締役に就任した。00年4月に果たしたマザーズへの上場を勧めたのも宮内取締役だ。
「株の時価総額で世界一の企業を目指す」。これが2人の目標だった。交友のあったIT関連会社社長は「M&Aなどは、堀江さんの大まかな指示を受けた宮内さんが具体的に実現させた。多少違法行為があっても、宮内さんが黙って推し進めていく形だった」と明かす。昨年9月時点で、グループ会社は49社に上った。
こうした経営方針が批判される一幕もあった。
昨年12月25日、東京都内のホテルで開かれた株主総会に株主ら約8000人が出席した。一部の株主が、上場以来配当がない同社の経営戦略を巡り、退任を要求した。堀江社長は涙ながらに持論を展開した。「株主への利益還元は会社を成長させ、時価総額を上げること」
その夜、都内であったグループの忘年会で堀江社長は「3年で世界一の栄冠をもぎ取りましょう」とこぶしをつき上げ、社員も「おー」と声を張り上げて応じた。
しかし、ライブドア本体の時価総額は1月23日時点で約2686億円。強制捜査直前の16日終値の約7300億円から3分の1近くまで減った。
宮内取締役は知人に「悪いことをしたつもりはない。だが、責任は取る」と話し、逮捕を覚悟していたという。
23日午後9時29分。堀江社長は東京地検のワゴン車で東京拘置所に入った。集まった報道陣や見物人は異例の200人を超えた。
(毎日新聞) – 1月24日5時42分更新
ライブドアの堀江社長ら4人逮捕…証取法違反容疑
堀江容疑者を乗せ、東京小菅の東京拘置所に入る車(23日午後9時30分)
インターネット関連企業「ライブドア」グループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は23日夜、同社社長の堀江貴文容疑者(33)ら4人を同法違反(偽計、風説の流布)容疑で逮捕した。
関連会社「バリュークリックジャパン」(現ライブドアマーケティング)の企業買収に伴い、虚偽の発表をした疑いが持たれている。堀江容疑者は容疑を否認しているという。同グループを巡っては、ライブドア本体の粉飾決算疑惑も浮上しており、特捜部は不正な株取引や利益操作の全容解明を進める方針だ。
ほかに逮捕されたのは、グループ財務責任者でライブドア取締役・宮内亮治(38)、バリュー社社長・岡本文人(38)、ライブドア子会社「ライブドアファイナンス」社長・中村長也(おさなり)(38)の各容疑者。
特捜部の調べによると、堀江容疑者らは2004年10月25日、バリュー社の出版社買収について、株式交換と株式分割を組み合わせ、バリュー社の株価をつり上げて売却して利益を得る目的を隠し、通常の企業買収を装って発表した疑い。
また、赤字だったバリュー社の同年1~9月決算を黒字に粉飾し、11月12日、「7200万円の経常黒字」などとウソの決算発表をした疑いも持たれている。
堀江容疑者らは、ライブドアが支配する投資事業組合を通じてバリュー社株を手に入れた後、高値で売り抜け、約7億円をライブドア本体に還流させていた。こうした仕組みは、宮内容疑者が考案し、堀江容疑者も了承していた。
また、中村容疑者は株式交換比率を決めるなど不正取引の実務を指揮していた。
同グループを巡っては、ほかにも、ライブドア本体が04年9月期決算で、傘下会社の利益を自社の利益に付け替え、10億円前後の経常赤字を約14億円の経常黒字に粉飾していたことが判明。計5社の買収に伴い、バリュー社と同様の手口で、株式交換を利用して自社株を売り抜け、利益を得ていた疑いも出ている。
特捜部はこうしたライブドア本体の不正経理についても、今後、証取法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)容疑で、堀江容疑者の関与を調べる方針。
特捜部はこの日午後4時前から、都内で堀江容疑者を事情聴取。同6時半過ぎ、東京地検に同行し、容疑が固まったとして、同7時半過ぎに逮捕した。
堀江容疑者は東大在学中の1996年、ホームページ制作などを請け負う「有限会社オン・ザ・エッヂ」(現ライブドア)を設立。2000年、東証マザーズに上場を果たすと、M&A(企業の合併・買収)を繰り返し、40社以上を傘下に収める企業グループを形成。04年にプロ野球への参入を表明して注目を集め、05年には、フジテレビジョンとニッポン放送株の争奪戦を繰り広げた。
同年9月の衆院選では、広島6区から無所属で出馬したが、落選した。
(読売新聞) – 1月24日3時14分更新
社長逮捕時、不安げな社員…自社サイト内で“速報”
ライブドアがサイト内で配信する「ライブドアニュース」は23日夜、堀江容疑者逮捕後の社内の様子を報じた。
それによると、同社幹部が午後9時45分、堀江容疑者の社長席を囲む約150人の社員を前に逮捕の事実を報告した。不安げな表情で説明を聞いた社員からは、雇用や上場廃止などを心配する声があがったが、同幹部は「会社はつぶれない。安心してほしい」と答えたという。
一方、堀江容疑者のブログ「社長日記」には、「聴取」のニュースが流れた同日午後4時ごろ以降、24日午前1時までに1700件以上のコメントが寄せられた。「だまされた! こんなにも中身のない会社だったとは」など手厳しい批判の声の一方で、「負けるな、堀江さん!」と支援する声も飛び交った。
(読売新聞) – 1月24日3時14分更新
<ライブドア>関係者から詳細資料 堀江社長追い詰める
捜査は、家宅捜索から1週間で頂上に達した。ライブドア(東京都港区)グループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は23日、同社社長、堀江貴文容疑者(33)を逮捕した。堀江社長をはじめ、企業買収を絡めて巨額の利益を生むシステムを発案した側近で財務担当取締役の宮内亮治容疑者(38)も容疑を否認しているとされるが、法務・検察幹部は「容疑は揺るがない」と自信を見せる。【小林直、高島博之】
◆昨年秋に捜査班…東京地検
「事件で東証(東京証券取引所)までパンクした。これで捜査に失敗すれば、責任問題になる」。逮捕前日の22日、法務・検察幹部は言葉を選びながら語ったが、口調に自信がのぞいていた。
東京地検特捜部は、成田国際空港を巡る官製談合事件の強制捜査に着手した昨年秋ごろ、極秘に捜査を本格化させた。官製談合事件に特捜部外からの応援検事を投入しながら、特捜部内に数人の検事を残す専従班態勢を維持した。
端緒はマスコミなどからの情報提供で、その後、グループ会社の元幹部から重要な証言を引き出した。“動かぬ証拠”である幹部間の電子メール、財務諸表なども入手して、強制捜査の準備を進めた。その保秘は厳重を極めた。ライブドア側がサーバーからメールなどのデータを消去することを恐れたからだ。ライブドアは重要な決定や連絡も文書によらず、メールを活用する。文書は廃棄・処分に時間がかかるが、電子データのメールは一瞬で消え去る。このため、特捜部は上級庁にもほとんど情報を漏らさないほどの保秘を貫いた。
1月16日午後、特捜部は事件を東京高検、最高検に報告し、家宅捜索のゴーサインを得た。家宅捜索が始まったのは、その数時間後の午後6時半。約15人の係官がライブドア本社に乗り込んだ。
半日にわたる捜索では、サーバーのデータをコピーし、堀江社長のノートパソコンなどを押収。捜索で得たメールは計約10万件に達した。
◆消去メール復元へ
「メールがない」。万全の態勢で捜査に着手したはずの特捜部だったが、押収物の解析によって予想外の事態に直面した。サーバーに残っているはずの電子メールの一部が削除されていた。
地検サイドが最初に疑ったのは、午後4時過ぎにNHKが放映した「強制捜査に乗り出しました」という速報ニュースだった。この時にはまだ、捜索には着手していなかったが、NHKを見たライブドア側が、実際に捜索に入るまでの約2時間半の間に、慌ててデータを削除した――というストーリーだった。
だが、後に“真犯人”が判明する。関係者によると、特捜部が昨年参考人聴取したライブドア関係者が、会社側に事情聴取を受けた事実を伝えていた。特捜部が「内部通報者」と信じた関係者が、実はライブドアグループ側の人間だった。特捜部は現在、専門家の協力を得て削除されたデータの復元に努めている。
18日夜に飛び込んだエイチ・エス証券副社長(38)自殺の情報も、特捜部を驚かせた。ライブドアグループの子会社社長を務め、宮内取締役と関係が深い副社長が、那覇市のホテルで失血死していた。19日朝、地検幹部らは普段より早い時間に出勤して対策を協議したが「副社長は事件に深くは関与していなかった」と判断した模様だ。
とはいえ、堀江社長の逮捕にはまだ、時間がかかるはずだった。「もう少し時間をかけたい」というのが現場の本音だ。メールなどのデータ復元や関係者の供述の食い違いの検討などに時間を要するからだ。だが、東証で全銘柄の売買が停止したライブドアショック(18日)を受け「経済の混乱を早期に収拾させたい」との意向が強く働き、当初の設定より10日ほど、逮捕日を前倒しした。
◆二つの容疑
堀江社長らには、大別して二つの容疑がある。ライブドア本体や関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM、当時バリュークリックジャパン)が買収済みの企業6社を「これから買収する」と発表して市場をあざむいた証券取引法違反(偽計、風説の流布)と、粉飾決算を行った同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いだ。
■虚偽公表=逮捕容疑
虚偽公表の疑いがあるのは、03年11月19日~04年10月25日に発表された6社の買収。まず、グループが出資・支配する投資事業組合が、現金で安価に相手先の全株式を買い取り、買収を完了。この事実を隠したまま数カ月後、グループ側が多数の新株を発行し、この新株と組合が持つ買収先の株式を交換する――と発表していた。
なぜ、これで巨額の利益が転がり込むのか。
情報誌出版会社「マネーライフ社」の買収では「VLMA2号投資事業組合」が買収の際に支払った現金は4200万円。ところが、LDMは発行した新株16万株を、同組合経由で海外のファンドに売り、手数料などを差し引いた約6億6000万円を還流させた。4200万円が15倍超になったわけで、他の5社の還流分と合わせ、計約100億円がライブドア本体に流れ込んだという。
「株券をどんどん印刷して、組合を通じて海外に売り払う。お札を刷っているようなもの」。関係者は「錬金術」をこう解説する。
■粉飾決算=今後捜査
粉飾決算容疑はライブドアの04年9月期と、LDMの04年12月期の決算が対象で、いずれも買収を終えた企業の預金などを自社に付け替え、利益として計上する手法を取った疑いがある。
このうち、ライブドアは消費者金融「ロイヤル信販」(現ライブドアクレジット)と結婚仲介サイト運営「キューズ・ネット」の利益約14億2000万円を3回に分けて自社に付け替え、本来は利益がないのに、約14億2000万円の経常黒字と公表していた。LDMも、キューズ・ネットから1億1000万円余の利益を付け替え、2億2000万円余の経常黒字と公表した。
(毎日新聞) – 1月24日5時42分更新
「社内に混乱ない」ライブドア広報…逮捕から一夜
ライブドアの堀江社長らが逮捕され、24日朝、六本木ヒルズに向かう人にインタビューする報道陣
ライブドア社長の堀江貴文容疑者(33)らが証券取引法違反容疑で逮捕されてから、一夜明けた24日。東京・六本木の本社内では、多くの社員がいつも通り、仕事に就いたが、今後の方針を説明する幹部に対して「“堀江後”を意識しているのでは」と、冷ややかに話す社員も。
カリスマ経営者が不在となった影響が強まりつつある。
ライブドア本社では、広報担当者が「社内に混乱はない」と話した。しかし、これまで堀江容疑者らの陰に隠れて目立たなかった幹部が、突然部下に「これからもよろしく」とあいさつして回る姿も見られ、社員の間からは「今後の主導権を握りたいのでは」と冷めた声があがった。
別の社員は、「捜索の後、逮捕が近いと薄々感じていた社員も多かった」と話した上で、「若い社員ばかりなので、こうした事態にどう対処したらいいか、誰も分からない。これからどうなるんだろうと、みんなで話している」と、不安をのぞかせた。
グループ企業は次々に、「我が社は事件とは無関係」との広報文をインターネットなどで公表し、事件の“火の粉”を振り払おうと必死。
データセンター運営会社「メディアエクスチェンジ」は、「弊社はライブドアとは別個の企業であり、事件による弊社上場への直接的な影響はないものと認識している」と強調した。また、ソフトウエア開発会社「ターボリナックス」も、「弊社は、ライブドアとは独立した会社としてのコーポレートガバナンス(企業統治)体制を確立している」と訴えた。
しかし、東京都内のグループ会社の社長は、「16日の強制捜査以降、取引停止が相次いでいたが、これからはもっと厳しくなるだろう」と厳しい口調。24日の朝になってもライブドア本社から、今後の経営方針などについて一切説明がなく、「ニュース以外のことが分からない。社員や取引先も心配していると思う」といらだった様子で話した。
東京・日本橋兜町のライブドア証券本店営業部の玄関には、中西寛社長の名前で「(ライブドアの)経営陣が逮捕されることに至りましたことは誠に遺憾」と謝罪の紙が張り出された。男性社員(50)は「ここ数年、プロ野球球団買収やニッポン放送株取得などの騒動で社員は振り回されてきた。今回を機に、ライブドアの看板を外した方がいい。本音では社員は皆そう思っている」と話した。
一方、提携先企業などでも困惑が広がった。フジテレビジョンの日枝久会長は24日朝、都内の自宅前で「どうってことないよ。ただ、こんなことになるとはなあ。結果的に、うちはだまされた」としたうえで、資本提携の解消や損害賠償請求については「検討しなくてはならない」と語った。
(読売新聞) – 1月24日14時37分更新
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