
2025/6/27付の記事「2025年度 都議会議員選挙結果について」の続きの話になるが、この度の2025年6月22日に行なわれた東京都議会議員選挙において、参政党が3議席獲得したことには驚きの声が上がった。
れいわ新選組が0議席だったこととは対照的だった。
この結果は、参政党に思いの外、草の根の市民の支持が広がっていることを示している。

参政党は、2020年4月11日に結党され、当初、政治団体としてスタートしたが、2022年7月10日実施の第26回参議院議員選挙において、比例区および選挙区の両方で得票率2%以上を獲得し、党代表の神谷宗幣氏が比例代表で当選した為、政党要件を満たした。
しかし、その後、NHKと民放5社主催による日本記者クラブや党首討論会に呼ばれず、テレビから締め出しを食らって来た。
そして、2024年10月の衆院選で比例3議席を獲得し、地方紙やローカル局での露出が顕著になってきたが、民放キー局での露出はやはり少なかった。

この頃、参政党は、日本民間放送連盟とフジテレビに対し「国政政党の公平な取り扱いに関する要請書」を提出していた。
そして、都議選が近づいて来た頃から2025年6月頃から地上波や全国紙で「参政党」の露出が急増していた。
今回の2025年都議会議員選挙で、参政党は当選者を3名出したにも関わらず、NHKは代表である神谷宗幣への生インタビューを行わず、事前録画の映像を放送した。
都議選で3議席獲得 参政党・神谷宗幣代表 テレビの開票特番に不満「またまた地上波でのLIVEインタビューなし」 2025/6/23 15:41 よろず~ 東京都議選(定数127)が22日、投開票され、4人を擁立した参政党は世田谷区、練馬区、大田区で3人が当選。都議会で初めて議席を獲得した。 都議選の結果を受け、党が23日、談話を発表。「都民の意識改革と政治参加を通じて『東京から日本の再生を始める』ことを目指し、一人でも多くの方に参政党の名前と政策を知ってもらうため全力を尽くした。投票先を決めていない有権者が約半数を占める中、候補者の地道な街頭活動と精力的なSNSでの情報発信が相乗効果を生み、若年層を中心とした支持を獲得することができた。初めての都議選で3名の候補者が当選を果たし、都民の期待に応えられるよう全力で取り組む決意だ」とした。 神谷宗幣代表(47)は、都内の党本部で開票を見守った。「知名度がない政党なので、認知を上げていこうと、本部で企画をして認知度が上がるような活動を重ねてきた。批判もあったが、賛否両論が巻き起こって、ネット上で認知度を高めることができた。SNSの検索では、参政党が圧倒的に他の党よりも検索数が多いというデータもある。それがうまくいって、当選のひとつのきっかけではないかと思っている」などと述べた。 躍進した参政党だが、神谷氏は23日のXで、22日夜に放送されたテレビ各局の都議選開票特番で生のインタビューはなかったと指摘した。「おかしいなあ。私、開票センターにいるのに、なぜ録画を流す?インタビューできますけど?初議席獲得だから普通インタビューしませんか?おーい」と疑問視した。 別の投稿では「開票センターを開きましたが、またまた地上波でのLIVEインタビューはなし。議席を得られなかった党のインタビューはあるのになぜ参政党はないのか?」と主張。「その辺もしっかり胸に刻んで参議院議員選挙に向けてより闘志を燃やしていきます」とした。 (よろず~ニュース編集部) |
ここに来て、メディアもこれ以上、偏向報道で、参政党を恣意的に取り上げないことは難しいと判断したのかもしれず、一斉に参政党を報じたり、その公約を報じ始めたものの、やはり、参政党への扱いは、少し及び腰なのである。
そして、参政党は、2025年7月に予定されている参議院選挙における選挙公約を発表した。
参政党「食料自給率100%」 参議院選挙の公約発表 2025年6月6日 20:30 日本經濟新聞 参政党は6日、夏の参院選公約を発表した。コメ価格高騰を受け、コメの増産や輸出を奨励する。農林水産業従事者の公務員化で担い手を確保し、食料自給率を100%に引き上げるとした。減税と社会保険料削減で給料の3分の2を手取りとして残すと主張。消費税の段階的廃止を掲げた。 神谷宗幣代表は記者会見で「間違った農政を考え直す。増税するほど国民生活が苦しくなり人口が減るという負の流れを変えたい」と訴えた。 公約は、子どもに平等な教育機会を提供するため、0〜15歳に1人毎月10万円支給と明記。自国への誇りや家族愛を育む教育を進めるとした。 70歳以上の健康な人への旅行クーポン配布、予防医療の保険適用拡大などで最大4兆7千億円の医療費削減を目指す。 外国人労働者の課題に取り組む「外国人総合政策庁」設置を盛り込んだ。単純労働者の受け入れを制限し、外国人の土地購入、生活保護受給を厳格化する。憲法では「自らの手で作る創憲」をうたった。〔共同〕 |
日本人ファーストといったスローガンを掲げ、農林水産業従事者の公務員化で担い手を確保し、食料自給率を100%に引き上げると公約に明記している。
減税と消費税の段階的廃止も訴えており、外国人労働者の課題に取り組む「外国人総合政策庁」設置を盛り込み、外国人の土地購入、生活保護受給を厳格化すると明記している。
また憲法に関しては、日本人自らの手で作る創憲をうたっている。
どれも今の日本に必要な政策だと思えて来る。
日本国憲法は、GHQ(連合国軍総司令部)の民生局スタッフによってわずか1週間程で起草され、交渉の末、日本が受け入れた憲法である。
それを戦後、今日に至るまで、改憲論者と護憲論者が、議論を重ねて来た。
しかし、ここに来て、護憲と改憲という選択肢だけではなく、憲法を一から作るという創憲という概念を生み出した辺りは創造的で素晴らしいと思った。
日本がいつか自分たちの手で憲法を創らなければ、バイデン元大統領が、「(トランプは)日本が核保有できないように私たちが日本の憲法を書いたということが、理解できていないのか?」と述べたようにいつまでも憲法は我々が日本人に与えたということにされてしまう。
それがある限り、やはり、対米従属的な呪縛からは逃れられない。

因みに日本の各政党のイデオロギーマトリクスによれば、最も右寄りで、権威主義的であり、国家社会主義に近いのが、参政党である。
私はこの街頭演説で、沖縄戦について、日本は沖縄を見捨てたのではなく、救おうとしたと熱く語った神谷宗幣を見て、戦前に生まれていたなら、2.26事件を起こした青年将校に近い高潔さと熱意を持った人物であると感じた。
つまり、NHKや民放5社が作る日本記者クラブなどが、参政党を締め出していたのは、参政党がまだ泡沫政党だったということもあるが、参政党の本質が、ファシズムだからである。
ファシズムである為、あまりメディアに露出させて、国民的な盛り上がりを得させたくない為であり、海外にも国内でこうした国民運動が起こっていることを知られたくないのである。
参政党に集結する草の根の市民たち、その中には女性も多く含まれるが、戦時中に例えると、大日本婦人会、愛国婦人会、国防婦人会といった組織で、日本軍の勝利を信じて、自らを捧げた愛国的な人々に例えられる。
日本会議に支えられていた自民党の旧安倍派のグループ、その安倍晋三の遺志を引き継いだ高市早苗のグループは、裏金議員ばかりで、薄汚れている。
愛国であっても、もっと高潔な人物が求められている所で、その国民のニーズを満たしているのが、参政党ではないかと思われる。
日本が欧米のグローバリゼーション、新自由主義の猛威により、日本国民が疲弊して、貧困化し、弱体化しており、外国人に水源や土地や不動産などをどんどん買いまくられている状況の中で、遂にこうした運動が生まれ始めた。
これは神谷宗幣の個人技だけで出来たことではなく、同じような想いを持つ日本人が大勢いて、参政党の元に集結していると見るのが正しそうである。
現在のリベラル化した自民党も含め、立憲民主党を中心としたリベラル左翼勢力が、民主主義と自由主義の理念の中で、外国人の資本家が、経済的に日本を侵略して、やりたい放題やっていて、日本人がどんどん貧困に追い込まれ、日本の存続が危ぶまれているという、そのことに対して、何も出来ないし、解決策がないことに対する答えが、参政党なのである。
私は「2025年の日本と世界」の中で、今年、日本と中国が台湾有事で軍事衝突するなど危機的な状況が起きることで、日本の魂が目覚めると予想していたが、その日本の魂の目覚めというのが、参政党の中に体現しているのではないかと考え始めた。
ファシズムというのは、国家社会主義という名のごとく、反グローバリゼーションであり、反資本主義、反市場原理である。
グローバリゼーションと資本主義の猛威に対抗するには、やはり、これしかなかったのかと思わざるを得ない。
既存のリベラル左翼の政党は、民主主義、人権といったリベラルな価値観の為、外国人資本家の経済的侵略に対して、無抵抗だからである。
だから国民が本能的に国家社会主義に集結しているのである。
因みにれいわ新選組の山本太郎も反グローバリゼーションで、新自由主義の猛威により、日本人が貧困化していることを批判し、消費税廃止、減税、生活支援金の一律給付などを打ち出している。
むしろ、参政党よりも先にこうした政策を打ち出していたのだ。
山本太郎も天皇に対して、赤坂御苑の秋の園遊会で、手紙(直訴状)を渡したぐらいなので、天皇を慕ってのことだと思われる。
しかし、山本太郎は、基本的に欧米からもたらされた自由、平等、博愛、民主主義、人権といったリベラルな理念を尊重しており、おそらく、GHQの民生局が起草し、押し付けられたリベラルな憲法はそのまま護憲でいいと考えている。
それが良いのか悪いのかは別として、参政党のように日本人の伝統、歴史観、民族といった日本人の根本的な土台を形成するような明確なイデオロギーがないのである。
その辺りで弱いのかもしれない。
れいわ新選組には、消費税廃止、一律給付金、国債による財源の確保(MMT理論)といったテクニカルな政策しかない。
元々グローバリゼーションと新自由主義で、貧困に追いやられた社会的弱者や貧困者への共感や反原発のリベラル左翼的な活動から生まれた運動である。
参政党のような歴史、伝統、民族といった理念から生まれた明確なイデオロギーというものがない。
その点で、国民運動として、盛り上がるまでの力強さに欠けているのかもしれない。
れいわ新選組のある一定の支持層が、参政党に流れ込んでいるという情報がある。
山本太郎は、都議選で0議席だったことに関してのメディアからの質問に答えて、「都議選の失敗は参院選には影響しない」と表明しているが、おそらく参政党と同じ有権者層の支持を競い合う関係となっており、参政党が、同じように消費税廃止を訴えている為、危機意識は持たざるを得ないと思われる。

神谷宗幣のチャートを見ると、出生図を見ただけでは、どこに国家社会主義やファシズムといった思想の兆候が出ているのか全く分からない。
むしろ、5室支配の火星が、双子座で、木星とコンジャンクトしているので、リベラル思想への理解を表している。
おそらく、この配置が、欧米の国際金融資本家、グローバリストのやり方を詳しく知ることに繋がったのではないかと思われる。

改めて見ると、ナヴァムシャに知性の表示体である水星、そして、ラーフや冥王星が、愛国民族主義の蟹座に在住し、伝統や家父長制的秩序を重んじる山羊座から金星と木星からアスペクトされている配置が、愛国民族主義に傾倒する理由だと分かる。
特に蟹座における水星、ラーフ、冥王星の絡みは強烈である。
(時々、神谷宗幣が街頭演説中に興奮して、こんなことでこの国が取り戻せるわけがないだろ!!と喝を入れる場面によく表れている)
蟹座は、個人主義者で、自分の家や家族を愛好する星座であり、自分の家→地域社会→国家・民族という形で、その対象を広げていくが、蟹座にとって、国の為に何かをすることは、自分の為でもあるのである。
蟹座は、自分自身と国家が、一体化してしまうからであり、それが愛国民族主義者を生み出すのである。

愛国民族主義者は、私心無く国家の為に何かをするとしても、国と自分との境界がないのだから、それは結局、自分の為に行なっているのである。
しかし、自分の為に行なっている活動だからこそ、その活動には尽きることのないエネルギーや情熱、他の国民(同胞)に対する愛情や熱意が生み出される。
神谷宗幣の本質とは、この魂のチャートであるナヴァムシャの蟹座に表されていることがよく分かる。

この配置が、上記に引用したような沖縄戦について熱く語るような情熱を生み出すのである。
しかし、蟹座というのは、個人主義者の集合体なので、しばしば仲間割れを起こし、分裂してしまう。
だから、参政党立ち上げの時のボードメンバーの人々は、辞めてしまって、武田邦彦が除籍になり、吉野敏明も思想が異なるとして、新しく「日本誠真会」を立ち上げている。
そして、蟹座の欠点は、熱しやすく冷めやすい点である。
感情的に共感して、メンバーが続々と増えていくが、それは世界情勢が不穏な情勢になり、国民が貧困や苦境に追いやられて、危機的状況に陥った時である。
一たび、そうした状況が落ち付くと、急速にメンバーは冷めてしまう。
そうなると、他国との戦争を煽っていた指導者などは、今度は、手のひらを返して、激しく凶弾されることになる。
(イタリアのムッソリーニが、戦時中は、皇帝のように振舞っていたが、敗戦後にパルチザンに捕まって吊るし首になった末路は、世間の知るところである)
従って、あまり、過激化せずに穏やかな国民運動として、盛り上げていくのが理想的である。
そして、それが一時的な現象であったとしても、今の厳しい安全保障環境や、グローバリゼーション、市場原理で、資本の猛威に晒されている危機的な状況においては、日本人ファーストの一通りの政策を打ち出すことは有益である。
グローバリゼーションや資本主義に対抗するには、むしろ、それしかないかもしれない。
それでは、私はどうかと言えば、私も蟹座に月と太陽が在住しており、ラグナロードは魚座に在住し、ナヴァムシャでもラグナロードの金星が蟹座に在住している。
蟹座と強いつながりがある為、参政党には、共感を覚える。
特に神谷宗幣の街頭演説などをyoutubeなどで聴いていると、話の内容に引き込まれるのを感じる。
しかし、私は、欧米から輸入された哲学や宗教、理性の原理、自由、平等、博愛、民主主義、人権といった理念などは、非常に素晴らしいものだと考えている。
確かにグローバリゼーションと資本主義を帝国主義的に拡大することによる弊害も大きかったが、そうした間違いも正されて、過去の歴史の遺物になっていくかもしれない。
創憲の内容を見たが、私は元々天皇を神聖な存在として崇め奉り、天皇の下で、一つにまとまるという考え方がピンと来ない。
第一章 天皇 (天皇) 第一条 日本は、天皇のしらす君民一体の国家である。 2 天皇は、国の伝統の祭祀を主宰し、国民を統合する。 3 天皇は、国民の幸せを祈る神聖な存在として侵してはならない。 |
私は、トマス・ペインなどの理神論や啓蒙思想の影響を受けたアメリカ合衆国憲法の前文の方にむしろ共感する。
前文で、主権が人民にあるとして、民主主義を宣言し、絶対的に不可侵な天皇のような存在を必要としないアメリカ合衆国憲法の方が、ピンとくる。
参政党が創憲した案では、天皇が国民統合の象徴であるとする文言が消えており、天皇は祭祀を司る僧王のような存在になってしまっている。
また主権が国民にあるとする文言がどこにも見当たらない。
これがもし参政党の憲法案であるなら、これはかなりぶっ飛んでいて、イデオロギー的に狂信的な産物である。
これこそは、まさに神谷宗幣のナヴァムシャで蟹座に在住して、ラーフや冥王星とコンジャンクトする水星が生み出した狂信的な愛国民族主義者の思想ではないかと思われる。

日本人自身の手で憲法を作成するという創憲というアイデアは良いが、創憲というアイデア自体が、憲法を与えられたことに対する屈辱として、出て来た考え方ではないかと思われる。
歴史の過程で、日本人は、日本国憲法をGHQの社会主義者たちに起草され、それを受け入れることになった。
創憲というアイデアは、その事実をひっくり返そうとする考え方で、歴史修正主義のニュアンスが感じられる。
日本人が、戦争に敗北し、日本国憲法を与えられたという現実を直視し、それを日本人の手で修正しながら使っていくという考え方の方が、現実的である。
しかし、日本人が、日本国憲法を自らの手で作り直すという位の心意気は、持つべきなのかもしれない。
その際、戦前の明治憲法を参考にして憲法草案を作成するのではなく、合衆国憲法を参考にして、日本国憲法を作成して欲しいのである。
そうした意味で、私は愛国者であったとしてもそれほど天皇を尊重してはおらず、むしろ、アナーキスト、リバータリアンであると言えるかもしれない。
天皇は憲法に記載する必要のない伝統的な宗教的権威という位置づけで良いと思っている。
参政党が出て来た背景やその考え方や政策に共感するところはあったとしても、私自身が参政党員として、積極的に活動したいとまでは思わない。
私にとっては、日本の歴史、伝統、民族などのイデオロギーは必要なく、リベラルなれいわ新選組で十分だ。
ただ現状の日本の存続が危ぶまれる厳しい状況の中で、腐敗した自民党や公明党の代わりに参政党が支持を増やすことは良いことだと思っている。
「外国人総合政策庁」を設置し、外国人の土地購入、生活保護受給を厳格化するとか、消費税の段階的廃止とか、個別の政策については共感できることが多い。
国家観、歴史観という所になって来ると、やはり、狂信的過ぎるきらいがあり、また反グローバリゼーションの考え方には、陰謀論も少し入っていると思うのである。
しかし、参政党が勢力を伸ばしていくと、自民党や他の野党も、安全保障や、外国人問題にもきちんと取り組もうとする姿勢が生まれてくると思われる。
現在、土星が魚座をトランジットしている為、おそらく、2025年7月に予定されている参議院選挙において、参政党が、再び、議席を伸ばして来ると考えられる。
今は、そういう時期なのである。
【補足】
私はトマスペインの理神論を好ましいと思っているが、理神論によれば、イエス・キリストは「神の子」でも「救世主」でもなく、道徳的な教えを説いた優れた人間の一人という位置づけである。それと同じように天皇も現人神ではなく、神聖な人間でもなく、一人の人間に過ぎない。
現在、天皇は、その立場上、国民の幸福を願い、祈るという公務に励んでいるのであるが、それでも一人の人間であることには変わりない。
古において、天皇は、アトランティス文明において、かつて僧王として人類の上に君臨していた霊的覚者の名残りであるとする説を知人から聞いたことがあるが、その霊的覚者もまた人間である。理神論(Deism)は、フリーメーソン(Freemasonry)や神智学(Theosophy)のベースにある考え方である。
但し、理神論であったとしても、愛国民族主義的な価値観と両立は可能である。
《自民・れいわ・維新の票を食った》都議選で大躍進「参政党現象」の実態 「流れたのは“無党派層”ではなく“無関心層”」で、単なる「極右勢力の台頭」と言い切れない本質 2025/6/27 16:15 NEWSポストセブン 参院選の前哨戦とされた東京都議選は自民党が歴史的大敗を喫し、石丸伸二氏の「再生の道」をはじめ、れいわ新選組、日本保守党などのミニ政党や日本維新の会が軒並み議席ゼロだった。 一方、“大勝利”ともいえる成果をあげたのが都議会に初めて議席を得た「参政党」だった。一体、何が起きているのか。 参政党は都議選に4人を擁立して3人が当選。75%の当選率だ。しかも、世田谷区(定数8)では2位、練馬区(定数7)では3位の高得票だった。 国民民主党は参政党より多い9人を当選させたものの、候補者18人の半数を落選させている。その意味で、参政党は“数立てれば当たる”式の選挙戦術ではなく、票読みをもとに候補者を擁立させたことが窺える。 参政党は現代表の神谷宗幣氏(元大阪府吹田市議)らが2020年に結成、コロナ禍の2022年参院選では「反ワクチン」や「ノーマスク」を主張して神谷氏が比例代表で当選、2年で国政進出を果たした。統一地方選などで全国に約140人の地方議員を誕生させて地方組織をつくり、昨年の総選挙では比例代表から3人当選させるなど躍進が続く。 7月の参院選にも、全国45選挙区すべてに候補者を擁立する。 選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏の分析だ。 「都議選の得票を見ると、参政党は参院選でも比例代表で2~3議席、東京選挙区(補選含めて定数7)で議席を得る可能性が出てきた。国民民主党が中道寄りの自民支持層の票を奪っているのに対し、参政党は右寄りの自民票を食って伸びている。参政党の躍進は自民党を苦しめるのではないか」 自民党を敗北に追い込む“台風の目”になるかもしれないという指摘だ。 「自民が支持を失い受け皿に」 都議選では「日本人ファースト」「行き過ぎた外国人受け入れ反対」「外資によるインフラ買収反対」などナショナリズムに訴える主張を掲げた。 神谷代表は「外国人が無制限に土地を取得できる現状は、外国人自治区の形成や日本人の居住環境の悪化、物価上昇など多くの社会問題を引き起こしている。このままでは、日本の領土の相当部分が外国人に所有される可能性も否定できない」(今年4月2日提出の質問主意書)と外国人による土地取得の厳格な規制を声高に主張する。 それだけに「安倍晋三・元首相の死後、自民党から離れた保守層もうまく取り込んで支持を急速に伸ばしているのではないか」(自民党保守系議員)と見られている。 経済的な停滞への不満とナショナリズムが結びつく現象は、世界中で起きている。すでに欧州諸国では「移民排斥」や「自国第一主義」を掲げる政党が台頭。イタリアでは右派政党「イタリアの同胞」党首のメローニ首相が登場、フランスではマリーヌ・ルペン氏らが率いた極右政党、ドイツでも移民排斥を訴える極右政党が選挙で大躍進した。 米国ではトランプ大統領が「アメリカファースト」を掲げて移民排斥を進めているのは言うまでもない。 「日本でも物価高騰が止まらないなか、不満の受け皿となった参政党が支持を広げ、欧州の極右政党のように大化けする可能性がある」(同前)といった声も出ている。 実際、神谷代表は本誌『週刊ポスト』の取材に、都議選での躍進を「世田谷、練馬については都議選を目指して2年前から活動を積み上げてきた。そこに自民党が支持を失い一定その受け皿になった。都民税減税や移民受け入れと外資へのインフラ買収に対する問題提起が支持を得た」と文書回答した。 れいわの票も食った!? ただ、単なる「極右勢力の台頭」と言い切れないところに、“参政党現象”の本質があるとする見方もある。 神谷代表を10年以上前から知り、参政党支持者への聞き取りもしてきたという保守論客の文筆家・古谷経衡氏の指摘は興味深い。 「参政党の支持層には、ゴリゴリの保守系の人というのはほとんどおらず、どちらかというとオーガニックとかスピリチュアルが好きな人が多い印象です。“無党派層”が流れたという言い方もされますが、私は違うと思う。参政党の支持層のほとんどは右と左の違いもよく分からず、政治についての知識もない人が多い。“無党派層”というより、“無関心層”なんです。そういう人たちがYouTubeなどで参政党が掲げる分かりやすい主張を見て、それに惹かれている。“神谷さんの動画を見て初めて選挙に行った”と話す人もいました」 さらに古谷氏は、参政党が議席を獲得した練馬区と世田谷区に着目する。 「この2選挙区は、れいわ新選組と候補者が重複していましたが、参政党の候補が当選し、れいわの候補がいずれも落選した。2つの党は国家観や原発問題をめぐる主張は正反対と言っていいが、積極財政や消費税廃止を掲げているところが重なる。私は今回の都議選での参政党の躍進は、分かりやすくて極端な主張に惹かれるれいわ支持の票を食った現象でもあると見ています」 古谷氏は「“無関心層”は支持政党をコロコロ変える」とも指摘して拡大には限界があるとの見方を取ったが、れいわ新選組が昨年の衆院選で9議席を獲得したことは記憶に新しい。その意味では直近の参院選で“旋風”を巻き起こす可能性は十分にありそうだ。 自民党を支持していた右派票を食ったとする見方と、左派政党の票を食ったという正反対の評価がある参政党は、どこへ向かおうとしているのか。 神谷代表は今後の展望について、「参政党は全国に287の支部をつくっていて、党員の皆さんが自発的に地方での活動を積み上げられる仕組みにしている。さらに認知度が上がり良い候補者が手を上げてくれるようになれば、党勢は拡大していけると考えている」とも回答している。 日本の政治は自公政権が衆院で過半数を失い、参院選でも過半数を失えば連立組み替えが必要になる。政治が不安定化し、欧州のように選挙のたびに連立が変わる時代に入る可能性があるのだ。 そうなった時、参政党が国会で一定の勢力を持てば、連立参加で政治の主導権を握ることすらあり得るシナリオだ。 ※週刊ポスト2025年7月11日号 |
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