相模原で障害者施設の障害者が元職員から刺されて19人が死亡するという衝撃の事件が起こっている。
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相模原の障害者施設、刺され19人死亡 26歳の元職員逮捕 「障害者なんていなくなってしまえ」供述
2016.7.26 08:30 産経ニュース
26日午前2時45分ごろ、相模原市緑区千木良の障害者施設「津久井やまゆり園」に「刃物を持った男が侵入してきた」と110番通報があった。神奈川県警や相模原市消防局によると、男に刺されるなどして19人が死亡、26人が負傷した。うち13人が重傷とみられる。県警は殺人未遂と建造物侵入の疑いで、現場近くに住む元職員、植松聖容疑者(26)を逮捕した。
県警によると、植松容疑者は午前3時ごろ、津久井署に「私がやりました」と車で出頭した。所持していたカバンから複数の包丁やナイフが見つかり、血痕が付いたものもあった。「ナイフで刺したことは間違いない」などと認め、「障害者なんていなくなってしまえ」という趣旨の供述もしているという。
死亡した19人は19~70歳で男性9人、女性10人。負傷者は男性21人、女性5人。東京医大八王子医療センター(東京都八王子市)によると、重傷者のうち同センターに搬送された男女4人はいずれも意識不明。首に刺し傷があり、胸や腕などにも複数の傷があった。北里大病院(神奈川県相模原市南区)にも13人が運ばれ、首に傷があった。
県警によると、入所者がいた居住棟1階の窓ガラスが割られ、近くにハンマーが落ちていた。植松容疑者が出頭した際に乗ってきた車の後部座席には、血の付いた結束バンドのようなものが複数本あり、施設からの通報には「縛られている人がいる」との内容も含まれていたことから、植松容疑者が犯行時に被害者を縛っていた可能性もある。県警は、詳しい経緯や動機を調べ、事件の全容解明を進める。
神奈川県などによると、植松容疑者は平成24年から同施設に勤務し、今年2月に「自己都合」を理由に退職した。在職時は入所者の生活支援を担当していたという。
現場はJR中央線の相模湖駅から東へ約2キロ。山に囲まれた住宅地で、近くに市立小学校もある。
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「後悔していない」 職員緊縛して入所者襲撃 計画的犯行か 植松容疑者を送検
2016.7.27 09:47 産経ニュース
相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刺殺された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された元職員、植松聖容疑者(26)が襲撃の際、少なくとも2人の職員を縛って身動きを取れなくした上で、入所者を相次いで刺していたことが27日、捜査関係者への取材で分かった。複数の刃物や結束バンドはあらかじめ準備しており、「後悔していない」とも供述。神奈川県警津久井署捜査本部は、強い殺意に基づく計画的な犯行とみて動機の解明を急ぐ。
捜査本部は同日午前7時半ごろ植松容疑者を送検。警察車両に乗り込む際はジャケットを頭からかぶり、表情はうかがえなかった。捜査本部は今後、遺体を司法解剖して死因を調べるほか、植松容疑者の自宅などを家宅捜索する。
捜査関係者によると、植松容疑者は施設東棟の東側窓ガラスをハンマーで割って侵入。鉢合わせとなった職員少なくとも2人を結束バンドで縛ったうえで、一カ所に集めて抵抗しないよう脅した一方、入所者を次々と刃物で襲ったとみられる。
施設では19人が死亡し、職員2人を含む26人が負傷。入所者の遺体の傷は首など急所に集中しており、被害者の多くは、複数の障害や重い障害があり、抵抗ができないまま、何度も刺されたとみられる。植松容疑者は出頭時、血が付いた包丁など刃物3本を所持。乗ってきた車には、血のようなものが着いた結束バンドが複数あった。
植松容疑者は事件前、障害者の大量殺害を予告する言動を繰り返していた。2月には衆議院議長公邸を訪問。持参した手紙では、人の少ない夜間を狙い、職員が抵抗しないよう結束バンドで緊縛したうえ、障害者を殺害する計画などが具体的に記されていた。
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この事件の恐ろしい所は、その犯人の思想性である。
犯行に及んだ青年は「障害者なんていなくなってしまえ」と供述し、「後悔していない」と供述しているという。
また青年は衆議院議長宛の手紙の中で、「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」とか「障害者は不幸を作ることしかできません」と主張し、自らの犯行を作戦と呼んでいる。
この事件に対して、各国首脳が声明を発表しているのは、この思想がナチスの思想と類似しており、犯人が迷いなく確信犯的に行っている点に衝撃を受けたからである。
ヒトラーは弱肉強食の思想を唱え、劣っているもの弱いものは生きるに値しないと考えていた。
第一次世界大戦での経験によって、そのような思想に帰結したようである。
ヒトラーは最も優れた民族のみが生き残るべきであると考えていた。そのため、優秀なゲルマン民族を生み出すために優生学の思想によって、ユダヤ人や障害者などの社会的弱者を抹殺しようとしたのである。
全体主義国家では全ては国家の繁栄が目的となり、国民はその部品にしか過ぎなくなる。
そして全体主義国家では、優生学の思想を元により優秀な国民を生み出そうとするのである。
国家を繁栄させるのに最も貢献する国民を生み出すという目的の元に合理性、生産性、効率性の観点から、最も優秀な国民を優生学的に作りだそうとしたのである。
力(意志)、そして合理性を極端にまで追求する社会というものは、全体主義体制に帰結するのである。
恐ろしいことにこの思想は、西洋思想の出発点であり、当時の最高の知性であったプラトンの『国家編』の中にも登場する。
当時のギリシャの諸ポリスは戦争で生き残るために常に強い軍隊を養成する必要があり、国民には強さが求められた。
国家を繁栄させるためには国民は優秀でなければならない。
そのため、以下のように障害者や病弱なものは生きるに値しないといった思想が示されている。
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「身体の面で不健全な人々は死んで行くにまかせる」
「生まれついての病気持ちで不摂生な者は,本人にとっても他の人々にとっても生きるに値しない人間であり,医療の技術とはそのような人々のためにあるべきでもないし,またそのような人々には,たとえミダスよりもっと金持であったとしても,治療を施すべきではない」
(『国家』藤沢令夫訳,岩波文庫)
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国家の繁栄と合理性というものが結びつくと、このような思想に辿り付くことになる。
ヒトラーの思想は、元々西洋にある合理主義を個人の幸福よりも国家の繁栄に重きを置く全体主義の中で、積極的に極限まで推進した結果なのである。
今回の犯人の思想は、こうした西洋世界にある合理性を突き詰めた結果であり、本人の中では首尾一貫性があり、それだけに恐ろしい事件なのである。
西洋の歴史の中では、精神病者たちを診断して、精神病であるとラべリングして刑務所のような精神病院に社会から隔離してきた歴史があり、それが現在の精神医療である。
障害者に対峙した人が一度は頭に思い浮かんだかもしれないその思想を実行したという点で、戦慄の事件なのである。
然し、それを考えることは恐ろしいことであるが、確かにその思想は徘徊しているのである。
各国の首脳が、声明を発表したのはこの思想と戦わなければならないため、単なる一事件として扱っていない訳である。
この犯人の犯行が人類に対する挑戦であると受け取った訳である。
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障害者施設殺傷事件 ドイツ首相が弔電
7月27日 4時39分 NEWS WEB
相模原市の知的障害者の施設に刃物を持った男が侵入して入所者などを次々に刺し、19人が死亡、26人が重軽傷を負った事件を受けて、ドイツのメルケル首相は安倍総理大臣に弔電を送りました。
この中で、メルケル首相は「大変な事件が起き、心を痛めています。亡くなった人の家族の皆さんに心からお悔やみを申し上げるとともに、けがをした人たちの一刻も早い回復を願っています」と述べています。
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遺族に哀悼の意=米国務長官
2016/07/26-17:54 JIJI.COM
【ビエンチャン時事】ケリー米国務長官は26日、相模原市の知的障害者施設で19人が刺殺された事件について、「遺族に深い哀悼の意を表明する」と述べた。ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議出席のため滞在中のラオス・ビエンチャンでの記者会見で語った。
ケリー氏は事件について「一種のテロだ」と述べた上で、「われわれの思いは日本の人たちとともにある」と日本との連帯を強調した。
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安倍首相に哀悼メッセージ=ロシア大統領
2016/07/26-17:49 JIJI.COM
【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は26日、相模原市の障害者施設での殺傷事件を受け、安倍晋三首相宛てに哀悼の意を表明するメッセージを出した。
大統領府によると、メッセージは「無防備な障害者を狙って実行された犯罪の残忍さに動揺している」と表明。犠牲者の家族に同情を示すとともに、負傷者の早期回復を願うと述べた。
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こうした思想に関連するエピソードが現在の安倍政権及び、その周辺で見られるのである。
例えば、以前、石原慎太郎は、障害者施設(府中療育センター)を視察した体験について「1999年9月18付 朝日新聞」と「1999年9月18付 東京新聞」の記事で以下のように発言しているようである。
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「ああいう人ってのは人格あるのかね」「ショックを受けた」「僕は結論を出していない」「みなさんどう思うかなと思って」 「絶対よくならない、自分がだれだか分からない、 人間として生まれてきたけれどああいう障害で、ああいう状況になって…。 しかし、こういうことやっているのは日本だけでしょうな」「人から見たらすばらしいという人もいるし、 恐らく西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないかと思う。 そこは宗教観の違いだと思う」「ああいう問題って 安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」(「安楽死」の意味を問われた知事は)「そういうことにつなげて考える人も いるだろうということ」「安楽死させろといっているんじゃない」 (と否定した。)「自分の文学の問題にふれてくる。非常に大きな問題を抱えて帰ってきた」
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「行政者というより物書きをする人間として考えさせられた」「こんにちわ」「環境庁長官として(熊本県の)水俣を 訪れたときを思い出す」「生まれた時から同じような 症状なのか」「どういう治療をしたのか」(知事)「これだけ手厚い手当をしながら入所者の症状に可逆性(回復可能性)がない。徒労感は?」(院長)「時々あります。でも、それを乗り越えなければ仕事はできません」「入所者は自分がだれだか分からない。(彼らに)人生がない、というくくり方を する人もいるが、それなりの人生があるんだという一つの確信を持って仕事をしているのは、 素晴らしいことだ」(「外国にはこういう施設がない」と説明を受けた こともあって、都庁に戻っての記者会見では)「ああいう人(入所者)は人格があるのだろうか。 僕は自分の結論を出してないのだが、おそらく西洋人なんか切り捨てるんじゃないか。 (西洋人は)すぐに安楽死などを考えるのでは…」「ほかの(都立)病院はひどいからね。大改革をやろうと 思ったけど、『それなら、採算度外視で崇高な仕事をしている医師や看護婦もいるのを 見たほうがいい』と側近に言われた」。
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上記のように非常に正直に自らの感情について語っている。
然し、石原慎太郎は1999年第3回定例本会議で、植木こうじ議員の代表質問に対して、以下のようにも語っているようである。
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次に、府中療育センターの視察の感想を述べた私の発言についてでありますが、私の発言の真意は、行政の長というよりも一人の人間として、みずからも思い悩むことを感じさせられ、そのことを自分自身にも、及び記者の皆さんにも問いかけたものであります。
ある新聞が、現場にも同行せずに、この発言を意識的に曲解し、あたかも私が障害を持つ方々の人格を傷つけた──多くの読者に印象づけたことは、報道の正確性にもとり、許せぬ行為でもあります。これは卑劣なセンセーショナリズムであり、アジテーションであり、社会的には非常に危険なことだと思います。
府中療育センターで、重度の障害を持つ入所者と触れ合い、懸命に介護する医師や看護婦と意見を交換して感じたことは、人間の生きることの意義と奥深さであり、また、これに携わる仕事の崇高さであります。
私は、この視察で感じたことを知事としてしっかり胸に受けとめ、福祉の問題に取り組んでまいりたいと思っております。
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こちらはあまりにも自分の感情を正直に吐露してしまったことを弁明した内容である。
因みに障害者について語った内容とは異なるが、自民党の麻生太郎が以下のような発言をしている。
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いつまで生きるつもりだ…高齢者について講演会で
毎日新聞2016年6月17日 23時54分(最終更新 6月18日 08時05分)
麻生太郎財務相(75)は17日、北海道小樽市で開かれた自民党支部大会で講演し、「90になって老後が心配とか、訳の分からないことを言っている人がテレビに出ていたけど、『お前いつまで生きているつもりだ』と思いながら見ていました」と述べた。高齢者らの反発も予想される。
麻生氏は講演で国内の消費拡大などが必要と指摘したうえで、「お金を何に使うかをぜひ考えてほしい。金は使わなきゃ何の意味もない。さらにためてどうするんです?」と述べた後に発言した。【一條優太】
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こうした発言も国家の繁栄のために合理性、効率性を追求する結果であり、根っこを同じくする思想である。
因みに私は、今回の事件は安倍政権やその周辺に顕現している思想的エネルギーと同じエネルギーにこの青年が憑依された結果ではないかと考えている。
この青年が「神からお告げがあった」と語っていることからそれが伺える。
それで、以前は「人を助ける仕事をしたい」と語っていたのが180度、思想が変わったようである。
かつてナチスや日本の軍国主義の中で顕現したエネルギーが安倍政権やその周辺においても顕現し、更にこの青年に憑依して、それを決行させているように見えてくる。
因みに安倍政権は明らかに全体主義国家に向かっており、憲法改正において検討している緊急事態条項などはその一つである。
この条項は、ドイツのワイマール憲法の「国家緊急権」と酷似しており、これを悪用してヒトラーは独裁者になったようである。
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安倍首相が目指す目標、ヒトラーのナチスドイツとこんなにも酷似していた!
ビジネスジャーナル 7/26 6:50
株式会社サイゾー
先月、放送界の大きな賞のひとつで、優れたテレビ・ラジオ番組や放送文化に貢献した個人・団体を顕彰する、第53回「ギャラクシー賞」の発表があった。注目のテレビ部門大賞は、『報道ステーション』(テレビ朝日系)の2本の“特集”が受賞した。大賞を、ドキュメンタリーやドラマではなく、報道番組の特集が獲得するのは極めて珍しい。
1本目の特集は3月17日放送の『ノーベル賞経済学者が見た日本』だ。その“主役”は、経済学の世界的権威、米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授。政府会合の場で安倍首相に消費増税延期を進言したことが報じられた直後に、番組では教授への単独インタビューを放送したのだ。
しかもその内容は、日本国内の格差問題、法人税減税の効果(トリクルダウン)への疑問、さらに新たな税制改革の検討など、安倍政権の経済政策が抱える問題点の指摘や提言となっていた。ともすれば増税先送りにばかり目が向く状況のなかで、有効な判断材料となる専門家の知見を伝えたことの意義は大きい。
●ワイマール憲法と憲法改正
2本目は、翌18日の『独ワイマール憲法の“教訓”』である。1919年に制定されたドイツのワイマール憲法は、国民主権、生存権の保障、所有権の義務性、男女平等の普通選挙などを盛り込み、当時、世界で最も民主的と讃えられていた。しかし、その民主主義憲法の下で、民主的に選出されたはずのヒトラーが、独裁政権をつくり上げていったこともまた事実である。
この特集では、古舘伊知郎キャスター(当時)が現地に赴き、ワイマール憲法とヒトラー政権の関係を探っていた。背景には、安倍首相が目指す憲法改正がある。特に、大規模災害などへの対応という名目で、「緊急事態条項」を新設しようという動きだ。
番組のなかで、ワイマール憲法の研究者が自民党の憲法改正草案について語る場面が圧巻だった。草案に書かれた「緊急事態条項」について、ワイマール憲法の「国家緊急権」と重なると証言したのだ。さらに、「内閣のひとりの人間に利用される危険性があり、とても問題です」と警告した。この「国家緊急権」を、いわば“悪用”することによってナチスが台頭していったことを踏まえると、こちらもまた、私たちにとって大いに参考となる専門家の知見だった。もちろん時代も状況も異なるが、痛恨の歴史から学べることは少なくない。
2本の特集はいずれも、そのテーマ設定、取材の密度、さらに問題点の整理と提示などにおいて高く評価できるものだった。4月にキャスターが交代した『報道ステーション』をはじめ、各局の報道番組にも、こうした積極的な“調査報道”が増えることを期待したい。
(文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授)
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背後に控える日本会議の要請を受けて「男女共同参画」の代わりに「能力主義」を重視するなどの方策は、国家の繁栄のために有能な人物を登用するという全体主義的な発想である。
また有能な人間だけが生き残ればよいとする適者生存の考え方であり、優生学の思想にも辿り付く考え方である。
また経済分野における市場原理主義というものは、競争に勝ち残ることを奨励する思想である。
競争に負けたものは消えていくことが正しいとする発想である。
例えば、マイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』というコロンバイン高校銃乱射事件を扱った映画があるが、その映画では何故、それが起こったのかについてその深い原因について迫っている。
この映画が明らかにしたのは、「カナダはアメリカ以上に銃の普及率が高いのに、銃犯罪の発生率が低い」という事実である。
この映画の結論としては、アメリカの社会の激しい競争(市場原理主義)が、そうした事件を引き起こしているというものであった。
そのエネルギーに憑依された高校生が拳銃乱射事件を起こしたのである。
それはその高校生の責任ということで終わらせるのではなく、社会の問題として考察する必要がある。
今回の相模原の障害者殺傷事件もそうである。
市場原理主義も、結局、経済において合理性を極限まで追求する思想である。
全体主義、市場原理主義、能力主義、適者生存、弱肉強食こうした論理は、今、安倍政権が進めている方向性である。
そして、これは日本会議が推進している明治憲法の復活という目標とも関連している。
全てにおいて合理性を極限まで追求することには問題があり、中庸が大事である。
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植松容疑者の衆議院議長公邸宛て手紙の全文 障害者抹殺作戦を犯行予告
2016/7/26 15:52 Breaking News Japan
神奈川県相模原市緑区千木良の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人を殺傷した連続殺人・殺人未遂事件で、逮捕された元職員の植松聖容疑者(26)が、衆議院議長公邸に「障害者が安楽死できる世界を」とする手紙を渡していたことがわかりました。
発表によると植松容疑者は今年2月14日、東京都千代田区永田町にある衆議院議長公邸を訪れ、手紙を渡そうとしたということです。
しかし受付で手紙を受け取ってもらうことはできず、翌2月15日になって再度訪れたとのこと。そこで座り込みを行ったことなどもあり、警備にあたっていた警察官が衆議院事務局に確認したうえで、しかたなく手紙を受け取っていました。
渡した手紙はA4サイズのリポート用紙複数枚(合計で10枚にもわたるという情報もあり)で、手書きで書かれていたといいます。
そのなかには犯行予告ともとれる内容が含まれていたことなどから、管轄する警視庁麹町署はその日のうちに、神奈川県警津久井署に情報提供していました。
以下、植松容疑者が衆議院議長公邸に渡した手紙のうち3枚の全文です。
植松容疑者が書いた手紙(全文)
以下は1枚目の内容。
衆議院議長大島理森様(1枚目)
この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。
私は障害者総勢470名を抹殺することができます。
常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。
理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。
障害者は人間としてではなく、動物として生活を過しております。車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在し、保護者が絶縁状態にあることも珍しくありません。
私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。
重複障害者に対する命のあり方は未だに答えが見つかっていない所だと考えました。障害者は不幸を作ることしかできません。
フリーメイソンからなる●●●●が作られた●●●●●●●●を勉強させて頂きました。戦争で未来ある人間が殺されるのはとても悲しく、多くの憎しみを生みますが、障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えることができます。
今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです。
世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでしょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。
私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます。
衆議院議長大島理森様、どうか愛する日本国、全人類の為にお力添え頂けないでしょうか。何卒よろしくお願い致します。
以下は2枚目。
植松聖の実態
私は大量殺人をしたいという狂気に満ちた発想で今回の作戦を、提案を上げる訳ではありません。全人類が心の隅に隠した想いを声に出し、実行する決意を持って行動しました。
今までの人生設計では、大学で取得した小学校教諭免許と現在勤務している障害者施設での経験を生かし、特別支援学校の教員を目指していました。それまでは運送業で働きながら●●●●●●が叔父である立派な先生の元で3年間修行させて頂きました。
9月車で事故に遭い目に後遺障害が残り、300万円程頂ける予定です。そのお金で●●●●の株を購入する予定でした。●●●●はフリーメイソンだと考え(●●●●にも記載)今後も更なる発展を信じております。
外見はとても大切なことに気づき、容姿に自信が無い為、美容整形を行います。進化の先にある大きい瞳、小さい顔、宇宙人が代表するイメージ
それらを実現しております。私はUFOを2回見たことがあります。未来人なのかも知れません。
本当は後2つお願いがございます。今回の話とは別件ですが、耳を傾けて頂ければ幸いです。何卒宜しくお願い致します。
医療大麻の導入
精神薬を服用する人は確実に頭がマイナス思考になり、人生に絶望しております。心を壊す毒に頼らずに、地球の奇跡が生んだ大麻の力は必要不可欠だと考えます。何卒宜しくお願い致します。私は信頼できる仲間とカジノの建設、過すことを目的として歩いています。
日本には既に多くの賭事が存在しています。パチンコは人生を蝕みます。街を歩けば違法な賭事も数多くあります。裏の事情が有り、脅されているのかも知れません。それらは皆様の熱意で決行することができます。恐い人達には国が新しいシノギの模索、提供することで協調できればと考えました。日本軍の設立。刺青を認め、簡単な筆記試験にする。
出過ぎた発言をしてしまし、本当に申し訳ありません。今回の革命で日本国が生まれ変わればと考えております。
以下は3枚目。
作戦内容
職員の少ない夜勤に決行致します。
重複障害者が多く在籍している2つの園【津久井やまゆり、●●●●)を標的とします。
見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡をとれなくします。職員は絶対に傷つけず、速やかに作戦を実行します。
2つの園260名を抹殺した後は自首します。
作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。
逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。
新しい名前(●●●●)、本籍、運転免許証等の生活に必要な書類、美容整形による一般社会への擬態。
金銭的支援5億円。
これらを確約して頂ければと考えております。
ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。
日本国と世界平和の為に何卒よろしくお願い致します。
想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。
植松聖(うえまつ さとし)
内容に一貫性がなく支離滅裂な内容になっているものの、標的を名指ししたうえで具体的な犯行計画が記載されていることなどから、国民からは「どうにかして防ぐことはできなかったのか」といった悔やむ声が多数みられました。
また、手紙には植松聖容疑者の名前や住所などの連絡先も記載されていたということです。
法定刑と関連リンク
植松聖容疑者は今後、以下のような法定刑によって裁かれることとなりますが、死刑になる可能性が極めて高いとみられます。
関連する犯罪の法定刑
殺人罪…死刑または無期もしくは5年以上の懲役
建造物侵入罪…3年以下の懲役または10万円以下の罰金
銃刀法違反…2年以下の懲役または30万円以下の罰金
衆議院議長公邸に植松聖が手紙、犯行予告に障害者抹殺作戦…Twitterでの反応
前代未聞の殺傷事件を起こした植松聖容疑者が今年2月、衆議院議長公邸に異常な内容の手紙を渡していたニュースについて、Twitter上でも大変な話題となっていました。
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石原慎太郎もネットも障がい者排除支持
障がい者抹殺思想は相模原事件の容疑者だけじゃない! 石原慎太郎も「安楽死」発言、ネットでは「障がい者不要論」が跋扈
2016.07.27 LITERA
19人もの犠牲者を出し戦後最悪レベルの事態となった、相模原の障がい者施設での大量殺人事件。
植松聖容疑者は「障害者なんていなくなればいい」「障害者はすべてを不幸にする」「障害者には税金がかかる」などと、障がい者を排除するべきという主張を繰り返していたことがわかっている。
戦後最悪レベルのとんでもない凶悪な事件だけに、容疑者の異常性に注目が集まるが、残念ながら容疑者の“弱者を排除すべし”という主張は現在の日本社会において決して特殊なものではない。
たとえば、昨年11月に茨城県教育総合会議の席上で教育委員のひとりが「妊娠初期にもっと(障がいの有無が)わかるようにできないんでしょうか。4カ月以降になると堕ろせないですから」「(特別支援学級は)ものすごい人数の方が従事している。県としてもあれは大変な予算だろうと思った」「意識改革しないと。生まれてきてからでは本当に大変です」などと発言し、さらに橋本昌・茨城県知事までもが「産むかどうかを判断する機会を得られるのは悪いことではない」と擁護・同調するような発言をするという騒動があった。
教育行政にかかわる人物が公然と「金のかかる障がい児は産むべきではない」という見解を開陳するなどおぞましいが、それを容認してしまう空気がいまの日本社会にはある。
石原慎太郎は、都知事に就任したばかりの1999年9月に障がい者施設を訪れ、こんな発言をした。
「ああいう人ってのは人格があるのかね」
「絶対よくならない、自分がだれだか分からない、人間として生まれてきたけれどああいう障害で、ああいう状況になって……」
「おそらく西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないかと思う」
「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」
ほとんど植松容疑者の言っていることと大差ない。舛添のセコい問題などより、こういった石原の差別発言のほうがよほど都知事としての資質を疑いたくなる。しかし、当時この発言を問題視する報道は多少あったものの、そこまで重大視されることはなく、その後、4期13年にわたって都民は石原を都知事に選び続けた。
「障がい者は生きていても意味がない」「障がい者は迷惑だ」「障がい者は税金がかかる」
これらは基本的にナチスの重度障害者を本当に抹殺していったナチスドイツの政策のベースになった優生学的思想と同じものだ。
ところが、恐ろしいことに、こうした差別的発想を、あたかもひとつの正論、合理性のある考えであるかのように容認してしまう、さらに言えば勇気ある正直な意見と喝采すら浴びせてしまう“排除の空気”が、明らかにいまの日本社会にはある。
実際ネット上では、植松容疑者の主張に対しては「やったことは悪いけど、言ってることはわかる」「一理ある」「普段同じこと思ってる」「筋は通ってる」などという意見は決して少なくない。
絶望的な気持ちにさせられる事態だが、こうした弱者排除の空気に重要な視点を与えてくれる小説がある。それは、山崎ナオコーラ氏の『ネンレイズム/開かれた食器棚』(河出書房新社)所収の「開かれた食器」だ。
山崎は『人のセックスを笑うな』(同)で文藝賞を受賞し、同作や『ニキの屈辱』(同)、『手』(文藝春秋)、『美しい距離』(文藝春秋)で4回にわたって芥川賞候補に挙がったことのある実力派作家だが、同作は、障がい者の子どもをもつ親の苦悩や出生前診断に踏み込んだ作品だ。
舞台は、〈関東地方最果て〉の場所で営業する小さなカフェ。幼なじみだった園子と鮎美というふたりの女性が38歳のときに開店し、すでに15年が経つ。その店で、鮎美の娘・菫が働くことになるのだが、菫は、染色体が一本多いという〈個性を持って〉いた。小説は母親・鮎美の目線で娘・菫を取り巻くさまざまなことが語られていく。
〈生まれてから生後六ヶ月までは、とにかく菫を生き続けさせることに必死だった。菫はおっぱいを吸う力が弱いらしく、鮎美は一日中、少しずつ何度も飲ませ続けた。家の中だけで過ごした。外出は怖かった。人目につくことを恐れた。友人にさえ娘を見せるのをためらった。今から思えばそれは、かわいそうに思われるのではないか、下に見られるのではないか、というくだらない恐怖だった。〉
〈他の子たちよりも菫は多めの税金を使ってもらいながら大きくなり、自分が死んだあとは他人にお世話になるだろうことを思うと、社会に対する申し訳なさでいっぱいになった。〉
そうやって社会から閉じこもっていく母子に、風を通したのは、友人の園子だった。園子は菫を〈ちっとも下に見なかった〉。そればかりか、一緒にカフェをやらないか、と鮎美にもちかけた。そして、「菫のことに集中しなくちゃ……」と鮎美が言いかけると、園子は3歳の菫にこう話しかけた。
「ねえ、菫ちゃんだって、カフェで働いてみたいよねえ? コーヒーっていう、大人専用のおいしい琥珀色の飲み物を提供するお店だよ。菫ちゃん、コーヒーカップを、取ってきてくれる?」
何かを取ってくることなんて娘にはできない。鮎美はそう決め付けていたが、そのとき、菫は食器棚に向かって歩き出し、棚のなかのカップを指さす。菫は、理解していたのだ。園子は言う。「ゆっくり、ゆっくりやればいいのよ。成功や達成を求めるより、過程で幸せにならなくっちゃ」。
社会は、障がいがあるという一点だけで「その人生は不幸だ」と思い込む。母親はそれを背負い込み、かつての鮎美のように身体を丸めてうつむき、子どもの可能性を小さく捉えることもある。だが、生まれてくる命、育つ命が幸せか不幸かは、社会が決めることなどではけっしてない。そして、社会が開かれていれば、その人の幸福の可能性はぐんと広がる。──そんなことを、この小説は教えてくれる。
しかし、今の社会が進んでいる方向は逆だ。たとえば、出生前診断。出生前診断によって障がいがあることが判明すると、中絶を選択する人が圧倒的だという現実。こうした結果が突きつけている問題は、この小説が言及しているように、多くの人びとが「障がいをもった子を産んでも育てる自信がない」「障がいがある人生は不幸せなのでは」「育てるにはお金がかかる」「社会に迷惑をかけてしまう」などと考えてしまう社会にわたしたちは生きている、ということだ。
この現実を目の前にして、鮎美はこう考える。
〈もし、自分も「菫に税金を使うべきではない」と考えるようになったら、それはやがて、「社会にとっては菫のような子はいない方が良い」という考えに繋がっていくのではないだろうか。菫だけではなく、他の菫のような子たちに対しても、自分がそう考えている、ということになってしまうのではないか。〉
〈「強い国になって周りを見下す」というようなことを目標にする社会が持続するとは思えない。「多様性を認めて弱い存在も生き易くする」という社会の方が長く続いていくのではないか。「国益のために軍事費に金を充てて、福祉をないがしろにした方がいい」なんて、鮎美には到底思えない。この国を「弱い子は産まなくて良い、強い子だけをどんどん産め」という社会にするわけにはいかない。〉
しかし、現実には、前述したように、今回のような事件が起きても、容疑者と同じ「障がい者は生きていても意味がない」「障がい者は迷惑だ」「障がい者は税金がかかる」といった意見が平気で語られている。この国はすでに「弱い子は産まなくて良い、強い子だけをどんどん産め」という価値観に支配されているのかもしれない。
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相模原殺傷:容疑者「ヒトラーの思想が降りてきた」
2016/7/28 22:10 毎日新聞
相模原市の障害者施設殺傷事件で、植松聖容疑者(26)が緊急措置入院中、病院のスタッフに「ヒトラーの思想が2週間前に降りてきた」と話していたことが、相模原市への取材で分かった。ナチス・ドイツは障害者を「価値なき生命」と決めつけ、「国家的安楽死」と称して大量に殺害したことで知られる。
市は2月19日、植松容疑者の措置入院の是非を判断するために神奈川県警津久井署で面談。植松容疑者は「世界に8億人の障害者がいて、その人たちに金が使われている。それをほかに充てるべきだ」などと話した。時折、いら立つような様子もみせながら淡々と述べたという。市によると、ナチス・ドイツを肯定する言葉は20日にあり、これが措置入院の決め手の一つとなった。
植松容疑者は22日、専門医によって「大麻精神病」「妄想性障害」と診断された。入院中の検査で大麻の使用を示す結果が出たことも明らかになっている。その後の3月2日に専門医の診察に対して「入院前の自分はおかしかった」と反省し、大麻による症状が消えたなどと判断されたため、市は措置入院の解除を決定したという。【水戸健一】
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相模原殺傷事件について
2016.07.27
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