出生時間が分からないチャートのラグナ修正に関する私独自の手順が、最近、確立して来たので、それをまとめてみたいと思う。
以下のような流れである。
(フェイズ1)
まず、00:00:01と23:59:59で、チャートを作成してみて、月が在住する星座が変わるかを確認する。
もし星座が変わらないのであれば、チャンドララグナは確定である。
因みに00:00:01と23:59:59で、チャートを作成すると、ほぼ24時間の差がある為、00:00:01と23:59:59のチャートでは、
月のナクシャトラは、1日分移動して、隣のナクシャトラに移動することとなる。
つまり、ナクシャトラが移動するのは最大でも隣のナクシャトラである。
従って、2つのナクシャトラの中から正しいナクシャトラを選択する必要が出てくる。
ラグナのナクシャトラ、月のナクシャトラを数多く経験し、ナクシャトラの象意に精通していれば、これもどちらのナクシャトラが正しいか分かることが多い。
特に有名人の場合だと、完全にその人のキャラクターや行動パターンに月のナクシャトラ(ジャンマナクシャトラ=出生のナクシャトラ)の特徴が現れてくる。
もし星座が変わるのであれば、とちらの星座にチャンドララグナが在住しているのが正しいのかを検討することになる。
これは割と、簡単に分かることが多い。
例えば、才能豊かなのに5室の状態が良くないということはあり得ないので、その方がどんな分野の専門家なのかか分かっていれば、
2つのチャンドララグナを比べて、どちらがその専門知識を表わす5室/5室の支配星であるかを判断することができる。
通常は、出生図のラグナで見えることが、チャンドララグナでも繰り返されている場合も多く、そうでない場合もあるが、大抵は同じ象意が繰り返されていることが多い。
従って、ラグナから見える5室/5室の支配星とは全く異なる象意を展開しているとはあまり心配する必要はないのである。
つまり、その方の才能や趣味趣向など、様々な特徴が、通常のラグナから見た惑星配置にだけ現れており、チャンドララグナにはそれが現れていないのではないかという心配をする必要はほとんどない。
月ラグナから見た支配と在住などにも、その方の才能や趣味趣向など、様々な特徴が現れてくるはずである。
もし時々ラグナとチャンドララグナが、全く象意として一致しないようなチャートがあったとしても、別の切り口から考えればいいため、それはあまり気にする必要はない。
(フェイス2)
(フェイズ1)によって、チャンドララグナが確定し、また月のナクシャトラが判明したら、そのことによって、ラグナの範囲が絞り込まれてくる。
つまり、12通りのラグナから正しいラグナを探す必要はなくなるのである。
これは非常に有利なことである。
例えば、ラグナは24時間で12の星座を移動する為、もし総当たりで調べるなら、12通りのラグナが正しいかどうかを検討しなければならない。
これを一つずつ行なって過去の出来事が起こった事をダシャーで説明出来るかを調べるのは、大変なことである。
但し、これはたったの12通りなので、出来ないことはないのであって、時間をかけて、1つずつ根気強く調べていけば、最後には正しいラグナに突きあたることができる。
然し、そんなにそれを行なう時間があるかどうかという話である。
私は最初の頃、有名人のラグナをどうしても特定したくて、ほぼ総当たりに近い形で、片っ端から調べていったこともある。
然し、月のナクシャトラが分かった場合、かなりのラグナの可能性を排除することが出来るため、残りのラグナから正しいラグナを見つけることはより容易になってくる。
今は、その方の性格やパーソナリティー特徴から、2~3つのラグナの見当を付けて、その中に正しいラグナが含まれていることが多い。
その2~3つのラグナから正しいラグナを見つけ出すのは、総当たりに比べると、非常に楽な作業になってくる。
場合によっては、性格やパーソナリティー特徴から予想したラグナが、そのまま正しいことも多い。
私はこれを普通に行っているが、他の方の意見によれば、それが難しいとのことである。
従って、この最初の選別作業で、ロジックだけでは説明の付かない経験や直観を用いていることになる。
内的には、これまでに経験したパーソナリティー特徴の経験から知識を引き出しているのは間違いないが、全て意識化できているかは分からない。
なるべく自分が行った判断を言語化出来るようにしているが、言語化が全て出来ず、意識下で、働いている選別判断もあるかもしれない。
(フェイズ3)
そして、その次にダブルトランジットを調べて、過去の出来事、それも結婚や子供の誕生などの分かり易い出来事が、その2~3つのラグナで説明できるかをやってみるのである。
そうすると、性格やパーソナリティー特徴だけでは完全にラグナを確信できていなかった時であっても、2~3つの中から、ダブルトランジットで、過去の出来事が全て説明できるラグナを見つけ出すことは容易である。
これで、ラグナを過去に何度も特定出来た為、これがラグナ特定の手順として、確立してきた。
ナヴァムシャのラグナ特定の手順
出生図のラグナが導き出せたら、次にナヴァムシャのラグナ特定が必要である。
ナヴァムシャのラグナから見た支配と在住や、それらの解釈は、そのチャートの持ち主の人生を出生図と同じぐらいの明確さで、はっきりと説明できる。
私は以前、シュリ.K.N.ラオがナヴァムシャのラグナを特定した途端に次々と出来事についての予言を当て始めたと聞いたことがあったが、今ではそれは私の経験にもなって来た。
例えば、ナヴァムシャのラグナが間違っている方がいて、ラグナを修正できた途端にその方のこれまでの出来事などが全てすっきりと説明することができ、そういう時は感動の瞬間である。
出生図のラグナが正しければ、ナヴァムシャのラグナは9通りである為、9つのラグナから選別することになる。
これは実は、出生図のラグナの12通りから選択するよりもより数が絞り込まれており、楽になっている。
そして、出生図のラグナのナクシャトラが分れば、更にこの9つのラグナを4つに絞り込むことができる。
この4つのラグナの中から、ダシャーを使って、過去の出来事が説明出来るラグナを特定するのは、それ程、難しいことではない。
私は当初、ナヴァムシャのラグナの特定など、ジョーティッシュの達人でなければ難しい作業だと思っていた。
然し、ナヴァムシャのラグナの特定までのタスクというものは、実は、上述したようにいくつかの工程に分かれており、それを順序を追って、解決していくことで、着実にゴールに辿り着けるのである。
それぞれの工程におけるタスクは、それ程、難易度が高いとも言えないのである。
試行錯誤で行っているうちに出来てしまうことが多い。
そして、粘り強く検討することで、いつの間にか正しい答えが導き出せてしまうのである。
そうした工程を飛ばして、出生図のラグナも分からないうちから、いきなり、ナヴァムシャのラグナを特定しようとすることは全く不可能である。
然し、ナヴァムシャは、魂のチャートと呼ばれており、その方の本質が現れる重要なチャートで、出生図を見ただけでは分からない情報が沢山詰まっている宝庫である。
その方の本質を知りたい時には、ナヴァムシャの検討は必須である。
私は最近では、出生図のラグナを特定しただけでは気が済まず、ナヴァムシャのラグナを特定しなければ、気持ちが悪くなって来ている。
ナヴァムシャのラグナが特定できなければ、その方のかなり重要な情報が抜け落ちてしまい、出生図だけで検討したのでは、かなり、いい加減な鑑定になってしまう。
ナヴァムシャのラグナを特定することが当たり前の状態になって初めて、世界のジョーティッシュのプロたちと互角に渡り合うことができ、あるいは、一つ頭抜きん出ることも可能である。
沢山の技法を知っていることよりもむしろ、このスキルの方が、本質的に重要である。
このスキルを偶然、成功したというレベルから、毎回、確実に当たり前のようにこなすというレベルにまで洗練させなければならない。
ナヴァムシャ以降の分割図のラグナの修正
ナヴァムシャのラグナの修正に成功すると、それよりも分割の数が少ない分割図、例えば、ドレッカーナ(D3)やチャトゥルシャームシャ(D4)、サプタムシャ(D7)などは全て修正できたことになる。
またダシャムシャ(D10)も分割の幅が同じぐらいであるため、ナヴァムシャのラグナが特定できれば、ほぼダシャムシャのラグナも特定できたことになり、もし間違っていたとしても隣の星座に位置しているため、一つ分修正すれば済む。
然し、それ以上のもっと細かい分割図のラグナの修正に関しては、それらの分割図のテーマと、実際のチャート配置の関係性についての細かい経験が必要になってくるかもしれない。
但し、そうしたことも細かく調べていけば可能に思える。
そうした分割図のラグナが修正できると認識して、初めて可能になるため、まずは、そうした高次の分割図に興味を持たなければならないし、その高次の分割図のラグナを修正したいという強い願望も持たなければならないのである。
そうした興味と願望があって初めて、それらの高次分割図のラグナを修正しようという発想になるし、またその時に初めて修正が可能になる。
例えば、ドヴァダシャムシャ(D12)は、両親運を見る分割図だが、更に出生時間を絞り込むツールとしては重要である。
そして、その次は、D45、D60などが重要になってくると思われる。
これらは、全てのテーマを見ることが出来るため、出生図で説明できたことが、この分割図でも説明できるかを検証することができる。
私は、現時点では、ナヴァムシャのラグナの特定しか行っていないため、こうしたナヴァムシャ以上の高次分割図のラグナの修正に取り組んだりはしていないが、私自身の出生時間に関しては、ナヴァムシャのラグナを修正する過程で、D60だけでなく、D150のラグナの修正まで出来てしまったようである。
この修正を行ったのは、マハダシャーケートゥ期であり、ケートゥは、私のナヴァムシャでは5室水瓶座に在住しており、微細な識別を現している。
また今、この記事を書いているのもスークシュマダシャーがケートゥ期である。
因みにD45やD60は、確かに出生図のように分析できるチャートであるが、これらを使うのは、それはまずナヴァムシャのラグナが特定できてからの話である。
これらを使って分析をしている人がいたが、ナヴァムシャのラグナが妥当かどうかを検討できないうちにこれらの高次分割図を使うことは順序が間違っており、不可能である。
ラグナ修正の手順の妥当性
このように上記のようなラグナ修正の手順が私の中で確立してきたので、それを書いてみたが、ナヴァムシャ以降のラグナの修正についてのアイデアも提示してみた。
但し、途中でも言及したが、こうした手順について意見を聞くと、私が日頃、行っている手順の中で、性格やパーソナリティー特徴から、2~3つのラグナの見当を付けるということが、まず難しいということなのである。
だからこれを科学的に再現可能な手順として確立するとなると問題が出てきてしまう。
これは、経験と、勘や直感をフル稼動させて行っている真似の出来ない芸であり、これは科学や手順には出来ないというのである。
ただラグナ特定を行っていた最初の頃、有名人のラグナをしょっちゅう間違えて、後から正しいラグナに修正したことも多く、初期の頃のブログに記した有名人に関しては、間違っているものも多い。
今、性格やパーソナリティー特徴から、ラグナの見当をつけるスキルがが、以前よりも上達したように思えるのは、これらを訓練によって身に着けたということははっきりと言えることである。
経験や勘、直感とされているものは、訓練によって身につくのである。
通常は、時刻修正といえば、ナヴァムシャのラグナが一つずれているのを修正するとか、そうしたことが多いのである。
私は、有名人のラグナが、ジョーティッシュの有名な専門家の間でも意見の分かれるのを見て、当時、四苦八苦して、時には総当りさえ使って、有名人のラグナを特定などして、上手く行った成功体験などもあったので、この分野での腕を磨けば、世界に通用するとその時、思えた。
ちょうどインターネットの普及と共に有名人の出生データと、過去の経歴が、wikipediaなどを使って、簡単に手に入るようになり、昔では得られなかった情報が今は活用できるようになった。
その結果、全く出生時間の分からない有名人のチャートを過去の出来事と日付データを使って、ラグナを修正するという作業を繰り返した結果、ラグナ特定の手順が、ここに確立した。
私のナヴァムシャの水瓶座5室に在住するケートゥは、そうしたデータサイエンスを表している。
水瓶座は、半導体、ICチップなどを生み出し、コンピューターの登場をもたらした星座であり、インターネットの普及をもたらした星座でもある。
今は、人工知能やビッグデータによるデータサイエンスが有力である。
その中で、データの価値というものが、非常に重要になってきている。
それは、人工知能に機械学習させるのに膨大なデータが必要だからである。
私のこうした技能もwikipediaなどのビッグデータを活用して訓練することが出来た。
その辺りは、水瓶座5室のケートゥなのかもしれない。
本当は、もっと生物学的事実(バイオロジカルファクト)などを活用した洗練されたやり方があるのかもしれないが、私のやり方は、wikipediaに掲載されている有名人の過去のあらゆる経歴情報を使って、それらのエピソードが、ダシャーで説明できるかを検討することで、生物学的事実に限定せず、その方のあらゆる情報を扱っている。
現在、ブログ上で手作業で行っている有名人のデータ収集やロジックの適用による検証作業などが、全て自動化出来たら、それはビッグデータによってラグナを修正する人工知能となる。
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