ミャンマーの国軍が2月1日にクーデターを実行し、アウン・サン・スー・チーと大統領を拘束した。
1年間の非常事態宣言を発令している。
ミャンマーでクーデター 国軍が全権掌握 スー・チー氏らを拘束 2021年2月1日 8:18 (2021年2月1日 11:48更新) 【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー国軍は1日、クーデターを実行した。国軍系テレビは1年間の「非常事態宣言」が発令されたと伝えた。国軍出身のミン・スエ副大統領が大統領代理として署名した。立法・行政・司法の全権はミン・アウン・フライン国軍総司令官が掌握。与党、国民民主連盟(NLD)の広報担当は同日、国軍が事実上の政府トップで党首のアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相、ウィン・ミン大統領を拘束したと明かした。 国軍はNLDが大勝した2020年11月の総選挙(上下両院選)について「不正があった可能性がある」と批判していた。1日には首都ネピドーで総選挙後初めて、連邦議会下院が招集される予定だった。 NLD広報担当によるとほかにも拘束された党員がいる。首都ネピドーにいる連邦議会議員の安否は不明だという。警察関係者によると、NLD出身の地方政府幹部らも拘束された。 ミャンマー国営放送(MRTV)は1日朝、フェイスブック上で「コミュニケーション上の問題でテレビ・ラジオの放送が止まっている」と説明した。その後、同日午前に国営放送のテレビは放送を再開した。 最大都市ヤンゴンでは1日午前、携帯電話回線が利用できなくなった。ネピドーでは1日未明からインターネットや電話が不通になっているもようで、ヤンゴンから連絡できない。 ヤンゴンの中心部では1日午前の時点で国軍部隊の大きな展開は確認されていない。ヤンゴン市庁舎の敷地には国軍の車両が止められ、約20人の兵士が警戒にあたった。報道によると、ヤンゴン国際空港への道路が警察によって遮断されている。 1日午前には銀行やATMの前に多数の市民が列を作った。預金者が殺到したため、一部の銀行は窓口業務を停止した。ヤンゴン証券取引所は「通信環境が確保できない」との理由で、1日は取引を停止すると発表した。 NLDは20年11月の総選挙で改選議席の83%を得て圧勝。軍政の流れをくむ国軍系の野党、連邦団結発展党(USDP)は議席を大きく減らした。だが、USDPと国軍はそれぞれ、選挙に不正があった可能性を指摘し、選挙管理委員会などに詳細な調査を求めていた。 国軍関係者によると、国軍と政府の代表者は28日、ネピドーで事態収拾に向けて話し合ったが、合意できなかった。現地報道によると、国軍側は票の数え直しや議会の開会延期を求めたが、政府側は拒否した。 国軍は1月26日の記者会見でクーデターを示唆。ミャンマーのメディアはミン・アウン・フライン国軍総司令官が27日に「法律を守らない人がいるのならば、それが憲法であっても廃止されるべきだ」と訓示したと報じた。同国駐在の欧米外交団や国連は29日までに、国軍に民主化プロセスを守るよう相次ぎ声明を出した。国軍の広報担当は31日「(軍政下で制定された)2008年憲法に定められている自由で公正な選挙の民主的規範を守るために、可能なことをすべて実行する」という内容の声明を発表していた。 ミャンマーでは11年、前年の総選挙でのUSDPの勝利を受け、軍出身のテイン・セイン氏が大統領に就任。形のうえでは軍政から民政への移管が実現した。スー・チー氏は10年11月の総選挙後に自宅軟禁を解かれ、12年4月の連邦議会補選で下院議員に当選。同氏は15年の総選挙でNLDを率いて圧勝し、歴史的な政権交代を果たした。だが、憲法の規定で同氏は国家元首の大統領になれず、国家顧問兼外相として事実上の政府トップになった。 |
国軍は、与党、国民民主連盟(NLD)が大勝した2020年11月の総選挙について「不正があった可能性がある」と批判していたという。
与党、国民民主連盟(NLD)は、アウン・サン・スー・チーが党首を務める民主化後の第一党で、リベラルな政党である。
それに対して、国軍というものは、つい最近まで、軍事政権として、政府を掌握していた右翼保守政党的な勢力である。
そして、クーデターを起こした後、アウン・サン・スー・チーを汚職の疑いで、取り調べを行なっているという。
この「不正があった可能性がある」というセリフは、どこかで聞いたことがあると思ったら、アメリカ大統領選挙で、トランプ陣営が、主張していたこととそっくりである。
もしトランプ大統領の勢力が巨大であったら、連邦議事堂に支持者たちがなだれ込むだけで終わらずに実際にクーデターにもなっていたと思えば、状況は限りなく似ている。
違いと言えば、ミャンマーは、軍事政権が依然として強く、簡単にクーデターで政府を転覆させる力を持っていたということである。
山羊座に木星や土星がダブルトランジットする場合、経済崩壊、疫病、飢饉、戦争などが生じ、また右翼、民族主義者、ポピュリズムが台頭し、独裁者が台頭して、国家緊急事態宣言などを発令したりする。
ちょうど、クーデターが起こった2021年2月1日は、以下のようなトランジットで、山羊座に土星、木星、太陽、金星、冥王星などが惑星集中している。
そして、火星は牡羊座のバラニーをトランジットしているが、アウンサンスーチーが乙女座ラグナで、3、8室支配の火星が牡羊座に在住していると考えると、この火星のトランジットも意味深い配置である。アウンサンスーチーのチャートについてはまた別の記事で述べるが、山羊座に惑星集中しており、こうした非常事態宣言が発令されて、クーデターなどが起こりやすいタイミングである。
新型コロナウィルスが再び、活性化し、感染者が拡大し始めたタイミングでもある。
2021年のヒンドゥーニューイヤーチャート(新月図)をミャンマーの旧首都であるヤンゴンで作成してみると、双子座ラグナで、8、9室支配の土星が8室に在住する配置となる。
9室は、マンデン占星術では、法律、司法制度などを表わすハウスで、8室に在住することは、8室は9室を損失するハウス(9室から12室目)であるため、民主主義的な法律に則った正しい手続きが否定される配置である。
8室にトランジットの惑星が集中して、8室にダブルトランジットする形になるが、8室はマンデン占星術では、大統領、首相など国家指導者の死や失脚を表わすハウスであり、国家の破壊、大臣の死や政府の挫折、行き詰まりを表わし、また飢饉、疫病による民衆のトラブル、死亡率の上昇などを表わしている。
従って、与党第一党の党首で事実上のミャンマーの政府のトップであるアウンサン・スー・チーや、ウィン・ミン大統領が拘束されたことは、この8室の象意に該当し、その後のクーデター反対デモで、デモ参加者が70名以上死亡しているという事態は、国家が人為的災害に直面しており、国民が大災害を被っている状況で、まさしく8室の象意である。
現在、ミャンマー国内は、電話線なども全て切断され、国内では、インターネットで通信ができるのみであるという。
ミャンマーは、元々英国の植民地として、イギリスインド帝国の一州とされていたが、第二次世界大戦で、英国の植民地体制が崩壊する中で、1948年に英連邦に参加せずビルマ連邦共和国として独立した日を持って、ミャンマーの国家の成立時とするのが妥当に思われる。
wikipediaによれば、その後、1962年にクーデターがあり、ビルマ社会主義計画党のネ・ウィンの独裁政権となり、1974年に国名をビルマ連邦社会主義共和国と改名したり、1988年に民衆の民主化運動でネ・ウィン体制は崩壊し、ミャンマー国軍がクーデターを起こして軍事政権を開始し、国名をミャンマー連邦に改名するなど、国内で混乱が続いていくが、基本的に大きな流れの中では、1948年の英国からの独立が重要ではないかと思われる。
astrothemeによれば、ビルマの独立は、1948年1月4日4:20 Rangoon(Burma)となっている。
このデータで、作成した所、以下のようなマンデン図となった。
ダシャーの流れを見ると、独立からずっとマハダシャー火星期で、火星は、1954年3月28日まで続いている。
独立は、アウンサン・スー・チーの父親であるアウンサン将軍の愛国ビルマ軍によって進められ、1947年1月27日、英国首相クレメント・アトリーと、1年以内の完全独立を約束する「アウンサン・アトリー協定(Aung San-Attlee Treaty)」に調印したことで実質的に成就している。
その後、アウンサン将軍は暗殺されて、実際に独立を見ていないが、この愛国ビルマ軍が、国家の独立に大きな役割をもたらしたという意味で、軍が国家の誕生時から強いのである。
火星は、ラグナロードで、10室獅子座に在住しており、これは軍人が独立を勝ち取ったように見える配置である。
1954年から1972年まで、マハダシャーラーフ期だが、ラーフのディスポジターである火星は、10室に在住しており、依然として、軍人が力で統治する国家のように見える。
そして、1961年にクーデター後、ビルマ社会主義計画党のネ・ウィンの独裁政権となっている。
そして、1972年から蠍座に在住する木星期に移行するが、ちょうどこの頃の1974年に国名をビルマ連邦社会主義共和国と改名しているのは興味深い。
水瓶座は、共産主義の星座であるが、水瓶座から見た10室は、水瓶座の行為のハウスであり、またケンドリヤ効果で、水瓶座と関連性の強い星座である。
またダシャムシャを見ると、木星は、ラグナロードで水瓶座(共産主義)に在住しており、ラグナに在住する土星と星座交換している。
1988年に民衆の民主化運動でネ・ウィン体制は崩壊したが、これを危惧したミャンマー国軍がクーデターを起こして軍事政権を開始している。
この1988年は、ちょうどマハダシャーが土星期に切り替わるタイミングである。
土星は、蟹座に在住し、この配置は、ミャンマーが、北朝鮮と同じように軍人による独裁的な社会主義体制であることを意味する配置と考えられる。
蟹座は、個人主義で、独裁体制を意味するからである。
蟹座は基本的に右翼で、保守思想を代表する星座である。
2007年移行の水星期は、水星が8、11室支配で2室に在住して、2-11のダナヨーガを形成しており、国家の財政状態は良さそうである。
文末に引用した『「日本人はスーチーさんを誤解」ミャンマー取材27年の記者が読むクーデター』(朝日新聞)によれば、ミャンマーの国軍も民主化によって、経済的に非常に潤ったいうことである。
記事によれば、タイ、ミャンマー、ラオスの国境地帯に広がる「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」での麻薬生産は有名であり、ミャンマー軍部の腐敗した一部の幹部は、年間で数千億円規模の利権を手にしているという。
ミャンマーの国軍の経済的利益とは、政府の財政をカバーするものである為、こうした取引で国家の軍事費が生み出されているとすれば、8、11室支配の水星が、10室支配の太陽と共に2室(国家財政)に在住している配置として表されているかもしれない。
アウンサン・スー・チーが軟禁を解除されたのは、2010年11月13日は、水星/金星期で、その後、2015年11月8日(水星/火星)に実施された総選挙で、国民民主連盟(NLD)が圧倒的な勝利を収め、マハダシャー水星期にミャンマーンで民主主義が発展する裏で、ミャンマー国軍は、麻薬取引でせっせと経済的に潤っていたことを意味しているかもれない。
現在、水星/木星期で、水星は機能的凶星で、木星は、トリコーナの支配星であるが、マハダシャーの水星から見て、12室に在住している。
また木星はジェーシュタ(水星)に在住している為、水星の配置の結果が現れたと考えることが出来る。
8-10の絡みで、政府の行き詰まりと解釈できる。
次に2021年7月18日から水星/土星期に移行するが、マハダシャー土星期に移行した時には、民主化運動で、ビルマ社会主義計画党のネ・ウィンの独裁体制は崩壊している。
もしデモが効果を上げるなら、水星/土星期かもしれず、それは土星は4室支配で9室に在住しており、4室は国会や民衆のデモ活動などを意味し、9室は法律や司法制度などを意味する為、民衆による社会正義を求める大衆的な動きを示している。
そして、2024年3月27日からマハダシャーがケートゥ期に移行するが、その頃には、ミャンマー情勢も大きく変わっていると考えられる。
ケートゥは出生図で、12室に在住し、ナヴァムシャでは6、11室支配の金星と共に7室に在住し、ダシャムシャでは8室に在住しているが、あまり良さそうに見えない。
国際社会から孤立していたり、7、12室支配の金星が3、4室支配の土星からアスペクトされて傷つけられている為、外交的に苦労したりしているかもしれない。
ダシャムシャを見ると、マハダシャー土星期は、土星はラグナロードの木星と星座交換しており、ナヴァムシャにおいても土星と木星は星座交換している。
従って、惑星のポテンシャルは非常に高く、また水星期に移行した場合でも水星は、ナヴァムシャで、7、10室支配で、9室支配の太陽と7-9、9ー10のラージャヨーガを形成し、バドラヨーガを形成して、ミャンマーの政治状況は良さそうに見える。
ダシャムシャでも7、10室支配の水星と9室支配の太陽が7室で、7-9、9-10のラージャヨーガを形成し、同様にバドラヨーガを形成している。
従って、水星期は、ミャンマーにとって良い時期だったことが分かる。
然し、ケートゥ期はそうではないことが分かるのである。
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