奉仕することと奉仕されること ― 6/8理論の覚書 ―

以前、水瓶座ラグナで4室牡牛座で6室支配の月が高揚しているケースに遭遇したが、この配置自体、非常に興味深い配置である。

case1_chart

母親の4室に母親の表示体である月が在住していることから母親との密接な(親密な)関係性が示唆されるのだが、表示体である月が高揚しているため、母親がパワフルで母親の恩恵が考えられるのである。

そして、ここが興味深い所なのであるが、この月は更に6室の支配星で機能的凶星なのである。

こういう場合、この配置によりこの水瓶座ラグナのチャートの持ち主にとって母親はどういった存在であるのか?

この母親との関係性は?


私は以前から構築してきた6-8理論により、この水瓶座ラグナのAさんにとって、この母親はあたかも部下かペット、あるいは、奴隷のような存在であり、このAさんとの間に主従関係が成立しているのではないかと考えた。(※これは表現上の慣例ですが分かりやすくする為に極端な表現を使っています)

そこで私はAさんに「母親はまるで奴隷か部下であるかのようにAさんに尽くして来ますか」と聞いてみた。

するとAさんは笑いながら、確かにそうであると同意し、母親が異常なまでの熱意をもってAさんに奉仕するという、その数々のエピソードを語ってくれた。
例えば、同居している母親が食事の支度をして待っている等々のことである。

Aさんはこの奉仕をしてくる母親の奉仕を受け入れて、母親に付き合うことによって母親に対して奉仕をしているのである。

つまり、女王様に奉仕をしたい部下に女王様が奉仕を許すことで、女王様が部下に奉仕しているといった様に明確な主従関係が存在し、あたかもSMの世界であるかのような人間関係を演出するのである。

このような場合に6室は奉仕、部下を表すので、通常のテキスト通りにAさんに「母親に奉仕していますか?」と聞いてもAさんはピンと来ないのである。

Aさんには「母親が異常なまでの熱意でAさんに奉仕して来ますか」と質問することで初めて共感が得られるのである。

6室が強い場合、「敵からの利益」という象意があるが、この古典的な文字通りの説明だけでは何のことか分からないのである。


まず、月が6室の支配星である時点で、母親との関係性が6-8の主従関係となったと見るべきである。

あるいは6室の支配星が4室に在住した時点で、そのように解釈するべきである。

このケースでは母親が二重の意味で6室に関連付けられている。


その後でその6室の支配星が強いのか、弱いのかを見るが、このAさんのケースでは月が高揚して強いので、母親がAさんに尽くす関係性となった。

Aさんは母親からエネルギーを得て、恩恵を受けた。


つまり、6室に惑星が在住している人の特徴としては、相手に尽くし、尽くさせる関係性となるのである。

これは経営者が従業員に尽くす一方で、従業員に自分に尽くさせるというのと同じである。

どちらがどちらに尽くすことが強調されるかが問題である。


例えば、このケースで、6室支配の月が弱かったり、傷ついていたら、Aさんは母親の面倒を見なければならず、母親に振り回され、消耗し、そして母親から批判を受けるといったように母親から奉仕を受けるのではなく、逆に母親に奉仕する、あるいは、奉仕するというのでもなく、消耗し、奮闘するといった感じとなるはずである。

つまり、母親でエネルギーを消耗するのである。


まず、最初に6-8理論によって関係性が構築され、その後で、その表示体となる6室の支配星(あるいは、別の事例であれば8Lでもいいが)が、強いのか、弱いのかで、エネルギーがどちらからどちらに流れるかが決まるのである。

つまり、惑星が弱い場合、エネルギーを奪われる。

強い場合、エネルギーが与えられる。


イメージとしては、惑星が高揚、ムーラトリコーナ、定座などで、平均以上の強さを誇っていれば、それらの力強い惑星からエネルギーを受け取り、敵対、減衰など、惑星が弱い場合は、それらの弱い惑星の表示体にエネルギーを奪われるというイメージである。


惑星の位置関係によって人間関係の性質が決まるが、どちらからどちらにエネルギーが流れるかは、惑星の強さによって決まると考えられる。


例えば、6-8の関係においても必ずしも主人から部下にエネルギーが流れるとは限らず、部下が強力であれば、部下から主人にエネルギーが流れるのである。

但し、主人-部下という人間関係のフレームは同じままである。


但し、当事者たちは、全く人間関係を別のように感じていることがある。

上記の例では、部下が強力で主人にエネルギーを与えているので、部下は主人の方を支配していると体感している場合がある。

自分の立場を部下の立場、従の立場であると感じていないのである。


然し、よくよく話を聞いてみると、確かに主人-部下というフレームがあり、支配しているのは主人の側であるということがある。


例えば、支配されていると思われる人にそのことを聞いてみると、

相手が自分に完全に支配されることによって逆に自分のことを支配したという感想を伝えてきた人もいる。

 

人間関係によって関係性のフレームが決まり、エネルギーがどちらからどちらに流れるかは惑星の強さなどで判断しなければならない。

また当事者たちの体感というのは全く違う場合があるので、質問しても共感が得られない場合もあるのである。

 


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