2015年度のジョーティッシュアカデミー・インド占星術マスターコースを受講した小林さんから以下の指摘を頂いた。
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講座では大変お世話になりました小林です。
米大統領選では、現在はトランプさんが優勢ですが、僕はルビオさんが歴史的なぎりぎり大逆転勝利をするのではないかと見てますね。
その理由は、秀吉先生が以前書かれてましたルビオさんの記事で、ルビオさんのラグナはやはり獅子座ラグナのチャートで正しいと思います。
そうすると、ルビオさんは現在は金星ー月期で、金星は3、10室支配で9室在住。
月は12室に定座にあり、4、9室支配で6室で高揚する火星と相互アスペクトでチャンドラマンガラヨガを形成。
また、4、9室支配で6室で高揚する火星は金星にもアスペクトします。
また、獅子座ラグナで、ラグナロードかつ政治のカラカの太陽は10室に在住。
つまり、トランプさんもルビオさんも獅子座・太陽・10室を始めとした共通点があり、その他9室の絡みを見ても、どちらも大統領候補としては非常に強力と見て間違いないようです。
これは、現在獅子座にダブルトランジットが成立していることと関係あると思います。
ですが、僕はぎりぎりルビオさんが勝利すると思います。
その理由は、トランプさんの1室に火星が、ルビオさんの6室に高揚する火星がいるからです。
1室はその人の特徴を示しますが、トランプさんは火星の通りに過激で情熱的な人。
また、6室は勝てる敵を示します。
つまり、ルビオさんの6室で高揚する火星はトランプさんであり、高揚している為ルビオさんは苦戦を強いられると思います。
しかし、6室は勝てる敵なので、しかし高揚してるのでトランプさんも強く、ぎりぎりルビオさんが勝つと思います。
なので、まだ米大統領選の勝敗は紛れの余地があると思いますね。
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マルコ・ルビオが獅子座ラグナであるという前提で検討すると、現在、マルコ・ルビオは金星/月期か金星/火星期である。
どちらであるかはラグナが獅子座の最初の方の度数(例えば、マガー)に在住している場合か、獅子座の最後の方の度数(プールヴァパールグニー、ウッタラパールグニー)に在住している場合かで変化する。
獅子座の最初の方に設定すると、現在、金星/月期である。最後の方に設定すると現在、金星/火星期に既に入っている。
ラグナを獅子座のプールヴァパールグニー第1パダ(13°20’~16°40’)に設定すると、現在、金星/月期で2016年6月1日~8月8日位の間に金星/火星期に入っていく。
プールヴァパールグニー第2パダ(16°40’~20°00′)に設定すると、2016年3月24日~6月1日位の間に金星/火星期に入っていく。
このように金星/月期から金星/火星期への変化がいつ頃かに拘っているのは、現在、マルコ・ルビオが世論調査などでそれ程、振るわず、ドナルド・トランプに大きくリードを許している理由が金星/月期であると考えると納得できるからである。
月はラグナから見て12室支配で12室に在住して、ケートゥと接合している。ラグナから4、9室支配、月から5、10室支配のラージャヨーガカラカの火星からアスペクトされてはいるが、月自体はラージャヨーガは形成していない。
月ラグナから見ると、月と火星は、1室の支配の月と5、10室の支配星である火星が相互アスペクトして、1-5、1-10室のラージャヨーガを形成している。
その為、最近の2月後半から3月半ばの時点で低迷しているが、まだ選挙戦で撤退せずに頑張っている。
これが金星/火星期に移行した時にどうなるかと言えば、火星はラグナから見て4、9室支配、月から見て5、10室支配のラージャヨーガカラカである。
火星は6室で高揚し、3、10室支配の金星にアスペクトしている。
月から見ると、金星は10室に在住し、5、10室支配の火星からアスペクトされている。
金星/火星期について要約すると、
ラグナから見ると金星は10室の支配星で9室支配の火星からアスペクトされて片側アスペクトによるラージャヨーガを形成している。
月から見ると金星は10室に在住し、5、10室支配の火星からアスペクトされて片側アスペクトによるラージャヨーガを形成している。
マハダシャーロードの金星をラグナとすると、アンタルダシャーの火星はラグナロードで10室で高揚し、1-10のラージャヨーガを形成している。
このように10室が何度も出てくることが分かる。
この10室が出てくる頻度は、ドナルド・トランプのラーフ/火星期よりも多いのである。
人が一国の大統領に就任するような出来事は、「昇進」という出来事の中で最も純粋な「昇進」であり、最も地位が高い10室がその表示体となるハウスである。
従って、マルコ・ルビオの金星/火星期に何度も10室が絡んでくることは火星期が地位が高くなることを意味している。
小林さんが指摘するように確かにドナルド・トランプの火星はラグナに在住しており、それはパーソナリティーの表現としては有効であるが、必ずしも地位が高くなるという事象を意味してはいない。
火星は月から見て10室に在住しているが、マルコ・ルビオのように火星が10室の支配星となったり、10室の支配星にアスペクトしたり、マハダシャーロードから見て10室に在住してはいないのである。
ドナルド・トランプの火星はラーフから見て7室支配で4室に在住し、10室にアスペクトしているが、10室そのものとの絡みは弱いと言える。また火星はラグナから見て10室や10室の支配星にアスペクトはしていない。
10室との絡みは月から見て10室に在住していることと、ラーフから見て10室に火星がアスペクトしているというその2点のみである。
圧倒的にマルコ・ルビオの方がダシャーにおける惑星と10室との絡みが多いことが分かる。
因みにマルコ・ルビオは金星/火星期の次に金星/ラーフ期が続くが、ラーフはラージャヨーガカラカの火星と接合して、ラージャヨーガを形成している。月から見てケンドラに在住し、トリコーナの支配星と接合しているので、ラージャヨーガである。またラージャヨーガカラカの火星と絡むこと自体がラーフにとってはラージャヨーガの条件を満たしている。
つまり、金星/ラーフ期は、ラグナから見ても月から見てもマハダシャーロードの金星から見てもラージャヨーガである。
マルコ・ルビオは2017年5月前後から金星/ラーフ期に移行するため、大統領に就任した後の地位の高さを象徴しているということが出来る。
そして、その次の金星/木星期、金星/土星期、金星/水星期においてもアンタルダシャーの木星や土星や水星はラグナや月から見て10室に絡み続けることが分かる。
マルコ・ルビオの高揚する火星であるが、ディスポジターの土星はラグナから見て10室に在住し、ラグナロードの太陽と接合している。
この配置もアンタルダシャーの火星期に起こることを象徴している。
ディスポジターの分析というのはラーフやケートゥの場合だけでなく、全ての惑星の場合に有効である。
通常、ラーフやケートゥはディスポジターがその結果を表し、ディスポジターの惑星が形成するハウスの絡みやヨーガなどがそのままそのラーフ期やケートゥ期に起こる出来事を意味している。このことは重要である。
然し、ラーフやケートゥばかりでなく、全ての惑星期において、そのディスポジターの評価は重要である。
マルコ・ルビオの場合は、火星のディスポジターの土星が10室に在住し、土星や太陽のディスポジターの金星が9室に在住し、金星のディスポジターが火星で6室に在住している。
つまり、ラグナから見て、6室、9室、10室で、ディスポジターが連鎖しており、月から見て7室、10室、11室でディスポジターが連鎖している。
これはこれらのハウスが強力に結合し、関連していることを表している。
マルコ・ルビオで言えば、法律事務所を開設したり、フロリダ国際大学での法学博士としての教鞭など教育の活動(9室)と政治活動(10室)、選挙(6室)というのが相互に関連して起こっていることを表している。
このようにマルコ・ルビオと、ドナルド・トランプを比較すると、マルコ・ルビオの方が圧倒的に大統領になれる10室の象意に満ちていることが分かる。
ドナルド・トランプは、2016年11月14日からラーフ/火星期から木星/木星期に移行してしまう。
まず、マハダシャーラーフ期から木星期への変化は人生観が一変してしまうような大きな変化をもたらすタイミングである。
木星はラグナから見て5、8室支配で2室に在住し、月から見て2、5室支配で11室に在住している。
このことは大統領に当選するのではなく、むしろ、子供(5室)や両親、家族(2室)と過ごすことを重視する人生に移行することを意味していたと考えるべきである。
子供の5室が2回出てくることが分かる。また木星は子供の表示体である。
木星には太陽や10室の支配星などと絡んでおらず、木星をラグナとした場合にラグナロードの水星が10室に在住しているので、ビジネスを表しているかもしれないが太陽の絡みなどが全くないため、政治は表していないようである。
水星がアールドラーに在住しているので、アールドラーの支配星のラーフが太陽と絡んでいるというのは、絡みとしては薄い線である。
マハダシャー木星期には子供や家族と過ごすことを重視し、11室で土星や金星がダナヨーガを形成しているので社交界に影響力を持ち、10室で水星がバドラヨーガを形成しているのでビジネスをしながら過ごすことを意味しているように思う。
火星が木星から12室に在住しているため、今後はあまり過激な表現は抑えることになりそうである。
冷静に見ていくと、ドナルド・トランプのマハダシャー木星期は政治とは全く関係が無さそうである。
小林さんが指摘するように1室の火星は過激で情熱的なパーソナリティーを表現はしているのである。
従って、ラーフ/火星期の現在、ドナルド・トランプは確かに過激で情熱的なパーソナリティーを表現しているが、おそらくパフォーマンスだけで終わってしまうだろうということなのである。
2016年11月14日と言えば、共和党の大統領候補が決まって、民主党と共和党の大統領候補のディベートなども終わって、最後の投票をしている段階である。
この頃に木星期に移行してしまうというのは、その前の共和党の候補者選びの段階で撤退したからだと考えるのが自然である。
ラグナロードの太陽と接合するマハダシャーラーフ期の総決算として大統領選挙に挑戦して過激なパフォーマンスをしてそれで気が済んで木星期に入っていくのである。
私の当初の考えでは共和党の大統領候補に選ばれていく段階でドナルド・トランプに何か心境の変化があり、発言の内容(2室)が精神的、霊的(木星)になり、アメリカの理想を模索するようになるのではないかと考えたが、それはファンタジー(空想)であった。
私の中でこの解釈に関して明らかに論理飛躍があったと思われる。
5室支配の木星が2室に在住しているのだから空想やファンタジー、希望的観測を排除して、子供(5室)と両親、家族(2室)と解釈すべきであったのである。
ジョーティッシュで判断をニュートラルにして緻密に論理を積み上げている間は、間違いはないが、何か自分が希望する結果をチャートの中に見たいと思って、自分の中の結論をチャートの中に探すようになると説明のこじつけやファンタジーの創作が生まれるのである。
私の中で、「ドナルド・トランプが大統領に当選してアメリカが没落する」というストーリーを予測したいという願望が生じた時点で、間違いが生じたのである。
ジョーティッシュの分析では、願望や期待などを一切排除して、自分が見たくないものでも、チャートの中に現れた事実を客観的に見ていかなければならない。感受性や感情が繊細で人に影響されやすい人は、冷静に事実を見ていくことにおいて失敗するのである。
マルコ・ルビオの大統領の当選可能性についてもう少し検討していきたいと思うが、
wikipediaを調べた所、マハダシャー金星期になると同時にマルコ・ルビオは合衆国上院議員に当選している。
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合衆国上院議員
選挙戦
2009年5月5日、ルビオと同じヒスパニックであるメル・マルティネス(英語版)上院議員の引退宣言により上院選への出馬を宣言し、発表に先立ちフロリダ州の支持者に対し資金調達を行った。
当初は、副大統領候補にも一時名前が挙がったフロリダ州知事のチャーリー・クリストの出馬宣言で泡沫候補と見られていたが、クリストがバラク・オバマ大統領の政策に融和的なことから、ジム・デミント上院議員やマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事らがルビオを支持、2010年に入るとクリストを20ポイントリードした。
共和党の公認候補は8月に実施される予備選で決定されるが、形勢不利と見たクリストは4月28日、共和党を離党し無所属に転じた。クリストは離党後、8月までは選挙戦を優位に進めるものの、それ以降はクリスト寄りだった地方議員の抱きこみに成功したルビオが逆転し、選挙戦終盤には支持率を50%にまで拡大させた。 11月2日の本選挙で49%の得票を獲得、29%に止まったクリスト、20%の民主党・ケンドリック・ミークを破って当選した。
上院選での大差を付けた当選により、ルビオは周囲から次期大統領候補として期待を集めるようになった。また、財政・社会問題に対し保守的な立場をとり、ティーパーティー運動から支持を集めており、「ティーパーティー運動のプリンス」と呼ばれている。
一方で、米大統領選挙の候補者の中で他候補を圧倒して最もウォール街からの献金が多い。この事はルビオが国際金融資本の代弁者であるとも言え、ウォール街を敵視するティーパーティー運動の方針とは異なっている。
(wikipedia マルコ・ルビオより引用抜粋)
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合衆国上院議員に立候補した2009年5月5日にメル・マルティネス上院議員の引退宣言により出馬を宣言し、最初のうちは泡沫候補として見られていたのが、2010年に入ると副大統領候補にも一時名前が挙がったチャーリー・クリスト氏を追い抜き、形成不利とみたクリスト氏が共和党を離党し、無所属に転じて、2010年8月までは選挙戦を優位に進めたが、それ以降は、クリスト寄りだった地方議員の抱き込みに成功したマルコ・ルビオが選挙戦終盤で大逆転し、2010年11月2日の本選挙で49%得票して大逆転したということである。
このマルコ・ルビオの選挙戦の大逆転劇は、出生図に記されたカルマであるから、同じようなことが繰り返されるはずである。
そして、その逆転劇のカルマは金星、そして、そのディスポジターである火星によって表されているのである。
マルコ・ルビオが上院議員への出馬を宣言した2009年5月頃は、ケートゥ/水星期であったと思われる。
それが翌年の2010年6月付近から金星/金星期に移行したのである。
最初、泡沫候補だった、マルコ・ルビオが上院議員に当選した理由は、金星/金星期に移行したからである。
10室支配の金星から見てそのディスポジターである火星がラグナから6室で高揚して、金星にアスペクトバックする配置の強さが金星期の勝利をもたらしたと考えられる。
これは小林さんの指摘にもあるが、6室で高揚する敵は「勝てる敵」であるが、敵も強いことを表しているのである。
従って、上院議員選挙で、マルコ・ルビオは大接戦を演じたようであり、最後の終盤で大逆転勝利を得たようである。
おそらく、ドナルド・トランプとの共和党の候補者選びにおいても同じような大逆転劇が繰り返されるのではないかというのである。
私もそのように思う。
何故なら以前、ジョージ・ブッシュのナヴァムシャを見て同じように思ったからである。
ジョージ・ブッシュはナヴァムシャにおいて蠍座ラグナで6室で太陽が高揚している。
共和党候補のジョージ・ブッシュと、民主党候補のアルバート・ゴアの大統領選における戦いは、アメリカ史上最も接戦となった選挙戦であったそうである。アルバート・ゴアが一般投票でブッシュの得票を50万票ほど上回っていたが、選挙人投票でブッシュが5票多く得票しているという大接戦である。フロリダ州で不正選挙の疑いがあり、ゴア側が抗議して開票作業のやり直し(再集計)を求めたが最終的にゴア側が断念して、ジョージ・ブッシュが大統領に就任した。
このナヴァムシャにおいて敵も強いが最終的に勝つというドラマが見事に現われていた。
通常、6室で惑星が減衰する場合は敵を完膚なきまでに粉砕するのであるが、6室で惑星が高揚する場合は、敵も強くなってしまう。従って、苦労し奮闘することになる。然し、最終的には勝つという風に考えることが出来る。
確かにマルコ・ルビオのチャートにおいても6室で高揚する火星によって接戦の末に最終的に勝利するというドラマを既に一度、上院議員選挙において演じているのである。
従って、今回、金星/火星期にもっと大きなレベルでそのドラマが再演される可能性が高いと言える。
これはマルコ・ルビオにとっては金星/火星期はマハダシャー金星期における大きなクライマックスの時期である。
以上のように大統領選において、ドナルド・トランプとの共和党の大統領候補者選びにおいて、マルコ・ルビオが今年の6月前後から支持率を伸ばし、大統領に当選するものと考えられるのである。
小林さんが指摘してくれたマルコ・ルビオの6室で高揚する火星は「勝てる敵」であり、但し、強い敵であるため、接戦となり、接戦の末にマルコ・ルビオが勝利するという予想は当たりそうである。
私が当初、予想したドナルド・トランプの大統領就任はおそらく間違いである。
因みにマルコ・ルビオのナヴァムシャのラグナについてであるが、獅子座ラグナではないかと思われる。
獅子座ラグナに設定すると、出生図のラグナは獅子座のプールヴァパールグニー第1パダである。
金星はナヴァムシャで減衰しているが、ナヴァムシャのラグナを獅子座にすると、ラグナから見ても月から見ても金星は3室を支配して2室で減衰しているため、パラシャラの例外則が働いて、ラージャヨーガ的に機能している。
また減衰する金星はディスポジターの水星と星座交換しているので、ニーチャバンガラージャヨーガである。
金星期に上院議員になっているので、やはり金星は10室の支配星でなければならないのである。
10室支配の金星は5室支配の木星とコンジャンクションしているので、法学博士や法律の仕事をしている理由が分かる。
また2008年のマハダシャー金星期の直前(ケートゥ/木星期 もしくはケートゥ/土星期)に自らの法律事務所を開設しているが、金星は2室に在住しており、2室は起業のハウスであり、自ら経営し、自営業を行うハウスである。
そして、4、9室支配の火星が11室から10室支配の金星にアスペクトする形となる。
マハダシャー火星期に10室との絡みが生じることになる。
ラグナがプールヴァ・パールグニー第1パダで正しければ、金星/月期から金星/火星期に移行するのは、2016年6月1日~8月8日ぐらいの間である。
従って、マルコ・ルビオは金星/火星期に移行する前の予備選の段階では低迷を続け、それ程、力を発揮することが出来ない。
共和党全国大会(7月18日-21日)の直前ぐらいから、影響力や支持率を増し、またドナルド・トランプと張り合うようなカリスマを発揮し始めると考えられる。
マルコ・ルビオ当選の可能性(アメリカ大統領選予測の新説)
2016.03.16
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