渡辺謙の太陽について

2010/8/18の13:16からスークシュマダシャーが3室支配の水星期に移行したからか以前からあたためていた渡辺謙のチャートのラグナ特定というテーマで調べ始めたのである。

そして2010/8/19付占星コラム『国際映画俳優・渡辺謙について』の中に内容をまとめたのであるが、いつものことであるが、やはりコラムを書く時には、大抵、水星期が関わっているのである。

Ve/Su/Ju/Sa/Ju 2010/8/17 12:35
Ve/Su/Ju/Me/Me 2010/8/18 13:16
Ve/Su/Ju/Me/Ke 2010/8/19 12:43
Ve/Su/Ju/Me/Ve 2010/8/19 22:23

この渡辺謙について書いている時に気づいた事は、渡辺謙の太陽が3室支配でヴァルゴッタマで減衰しており、
太陽の状態が非常に個性的であることである。

3室や6室を支配する惑星や3室や6室に在住する惑星が減衰している時、ラージャヨーガ的に働くという特別な法則があるのである。

渡辺謙の太陽もこれに該当するのであるが、彼のラグナを双子座ラグナに設定し、過去の出来事の時系列をたどっていくと、アンタル太陽期には演技の分野において活躍をしていることが確認できる。

従って、渡辺謙の太陽はやはりラージャヨーガ的に働いていることが確認できるのである。


太陽が強い場合、おそらくそれは獅子座ラグナを考えればいいかと思われるが、演技は下手である。とにかく目立つし、存在感は発揮するが、獅子座の俳優は、どんな作品のどんな役柄を演じたとしても、自分でいることしか出来ないのである。

何か別の人間になり切るような技巧的なことは一切できない。
例えば、木村拓也などを見るとそうである。
どんな作品に出ても、あのぼそぼそとした特徴ある話し声のキムタクであり、いつもキムタクでしかない。

然し、渡辺謙は単に獅子座の主役を演じれる俳優というだけではなく、脇役も演じられるし、どんな役柄にもなり切ることができる演技派なのである。

これはおそらく天秤座で減衰する太陽のなせる技である。

ラグナが双子座であるということもあるかもしれないが、渡辺謙は演技が上手である。

単に主役しか演じられない、毎回、自分であることしかできない獅子座のスターとは違うのである。

彼はカメレオンのように環境に合わせて、観客や監督が求める役柄を演じわけることができる客観性を持っているのである。

またハリウッドの同僚達から渡辺謙の人柄について高く評価されているのも、彼が自己主張をほどほどにし、人との調和を図ることができるからであろうと思われる。

従って、彼の場合、減衰する太陽の性質が逆に長所に転換されて生かされていると言えるのである。

そして、渡辺謙が出演する作品のテーマは、太陽が減衰していることをまさに象徴するようなものが多いことに気づくのである。

例えば『独眼流正宗』は天下を狙いながらも結局、天下を取ることが出来ず、徳川家により天下が安定する中で、将軍の前で、舞を舞って最大限かぶいてみせることしか出来なかった地方の戦国大名の物語である。

あるいは『ラストサムライ』で演じたのは、欧米の近代化に抵抗し、天皇に忠義を尽くすも、最後まで刀を捨てず、武士としての魂を守り通し、反政府軍のリーダーとして散っていった藩主の物語である。

西郷隆盛がモデルになっているようであるが、ほろびの美学というものが見られる傷ついた太陽の物語である。弱くなりつつある太陽が自らの尊厳を守る為に必死で抵抗するのである。

また映画『明日の記憶』も若年性のアルツハイマー病にかかり、記憶を失って自らのアイデンティティーや尊厳を失っていくことと格闘する男性の物語である。

あるいはクリントイーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』で主役を演じているが、内容は、日本の本土爆撃を許すか否かの重要な戦略的意義のあった硫黄島において、アメリカ軍に相当なダメージを与えつつも、情勢が次第に不利となり、残る300名の部下と共に最後の攻撃をかけて玉砕した栗林忠道中将(戦闘終結直前に大将に進級)の物語である。

ここにもやはり、太陽が傷つき、弱まりながらも最後まで必死に努力して、大将としての尊厳を保とうとする男の物語が見られるのである。


また、山崎豊子原作の『沈まぬ太陽』で主役を演じているが、内容は恩地元という国民航空社員が、労働組合委員長として経営陣と対立し、カラチ、テヘラン、ナイロビといった僻地への足掛け8年に渡る左遷人事に耐えながら、最後に国航ジャンボ機墜落事故が発生したのを機に本社での改革に乗り出す物語である。

ここでも僻地に左遷されて、自らの尊厳を奪われた主人公が最後までプライドを捨てずに戦い抜くというテーマから傷ついて弱くなっているが努力する太陽がよく表現されているが、3室を支配する太陽が減衰するという2重否定の効果がよく表れている。太陽は減衰しているが、故に自らの尊厳を取り戻そうと必死に努力し、そのことがよい結果をもたらすのである。

この『沈まぬ太陽』は日本航空の「日航ジャンボ機墜落事件」をモデルとしていたために日本航空は映画化に反対し、角川映画に警告文を送って、名誉毀損の裁判も辞さない構えを示したため、航空機が飛んでいるシーンなどに日航の協力が得られなかったりなど、撮影現場は厳しかったようである。

従って、撮影や制作の過程で、実際の俳優達の実生活に政治的、社会的な影響が及んだような、そんな作品なのである。

渡辺謙は映画公開初日の舞台挨拶で、作品や撮影の厳しさについて語り、男泣きに泣いたとwikipediaに記されている。実際、ネット上に彼が舞台挨拶で泣いている写真を見つけることができる。

この作品に関しては、『沈まぬ太陽』というタイトル自体が、同様のテーマを物語っているのである。
これは渡辺謙が演じた経営陣と必死で戦う、傷ついた主人公(恩地元)のことを表わしているのである。

それ以外にも先に触れた『明日の記憶』の撮影中に白血病の治療中に受けた輸血が原因でC型肝炎に感染しており、その副作用と戦いながらの撮影だったという逸話もあるようであり、渡辺謙の俳優としての活動にはたえず、努力した痕跡が見られるのである。


このように見てくると、彼が出演する作品には減衰する太陽が努力して自らの尊厳のために格闘するというテーマが頻繁に見られるのであり、それは彼の創作活動を表わす5室に3室支配の太陽が減衰して在住しているからだと考えられる。

そして、彼は単に映画の役柄だけではなく、作品を生み出す過程でも常に努力し格闘しているのである。

彼にはおそらく涙ぐましい撮影秘話がたくさんあるに違いないのである。

『明日の記憶』の主役を得る際にも、彼は原作者である荻原浩に映画化を熱望する旨の手紙を直接送り、それで渡辺謙を主演として映画化されたようである。

『ラストサムライ』に出演した際も、彼は当初通訳を必要としていた英会話を猛勉強して身につけ、今ではインタビューなど全て自分でこなせるようである。

この猛勉強の末に身につけた英会話が、彼が現在、ハリウッドという国際的な舞台で世界基準の評価を受ける基礎になっていることは間違いないのである。

従って、渡辺謙は努力によって、あらゆる成功のチャンスを切り開いて来たのであり、それこそが、3室支配の太陽が5室で減衰する意味なのである。

 


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