先日、『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る
』を書店で手に取って読んでいた。オードリー・タンは、台湾の天才的プログラマーで、2016年10月に台湾の蔡英文政権で、行政院に引き立てられ、政務委員（デジタル担当）を務めている人物である。
台湾の蔡英文政権に引き立てられていることからも中国からの独立派でリベラルな思想の持ち主である。
AIが作る未来について、結局、テクノロジーはその使い方次第だという肯定的な考えを示している。
オードリー・タンは、肉体は男性に生まれてはいるが、女性としての自己意識を持っているトランスジェンダーの人物である。
wikipediaの記載を見ると、執筆者が、”彼女”という人称で呼んでおり、オードリー・タンの認識に最大限の敬意を表しているようである。
最近は、性同一性障害といった言い方はしないようである。
従って、本文中でも”彼女”と呼ぶことにする。
アストロデータバンクに出生データが載っており、Rodden RatingがAとなっており、まず、信頼できるデータだと思われる。
実際、チャートを作成してみると、ラグナが蟹座で、ラグナロードの月が乙女座、そして木星と土星も乙女座に在住している。
水星は魚座で、ラーフ/ケートゥ軸も蟹座と山羊座に在住しており、ラグナ、ラグナロード、月、木星、土星などの主要な惑星群が全て女性星座に在住している。
（天王星が蠍座、冥王星が乙女座である為、トランスサタニアンも含めると更に女性星座への惑星が多くなる）
唯一、火星、太陽、金星、（海王星）のみが、男性星座に在住している。
ナヴァムシャを見ると、ラグナは蟹座で、ラグナロードと月は蟹座に在住し、身体の表示体である太陽も牡牛座に在住している。
従って、ナヴァムシャでも全てパーソナリティーの特徴を形成する主要な感受点が全て、女性星座に在住している。
従って、これだけ女性星座が強調されている為、肉体は男性でも中身、すなわち自己意識は女性なのである。
トランスジェンダーというのは、占星術の観点からは、自明のことであり、それを性同一性障害というようにノーマルではないこと、すなわち”障害”として扱うのは確かに間違っている。
それは占星術の観点からは、完全に正常であり、自然なことである。
チャートを作成してみて、５、１０室支配のヨーガカラカの火星が１０室でルチャカヨーガを形成し、高揚する２室支配の太陽とコンジャンクトしている。
そして１１室支配の金星とコンジャンクトしている。
ラグナはヴァルゴッタマで、ナヴァムシャではラグナ、月から見て、５、１０室支配の火星が同じく１０室の牡羊座で、ヴァルゴッタマで、ルチャカヨーガを形成している。
減衰する８室支配の土星が同室しているが、パラシャラの例外則によるラージャヨーガ的効果、及び、ニーチャバンガ・ラージャヨーガなどの二重否定の効果が期待できる強い１０室を持っている。
この配置から蔡英文政権から重用されてデジタル部門の国家政策の指揮を取ることを任されたのである。
彼女は、中学生の段階で、海外の一流の大学教授とインターネットを通じて意見交換するようなレベルに到達しており、学校で教えていることは、10年遅れていることに気づいたそうである。
その為、中学を中退し、高校に進学せずに自分で、自己学習する道を選んだという。
牡羊座がこのように強い場合、前例のない人生を歩むのであり、また通常の学生が得るような義務教育や大学教育などを飛び越えて、大学教授たちと直接、中学生の段階で交流し、そして中学も中退してしまうことなどが可能になる。
平均的な人々を超越した人生を歩むことになる。
私がオードリー・タンに興味を持ったのは、彼女がトランスジェンダーだからではなく、彼女が柄谷行人の交換の様式に興味を持っており、以下の表の中のXの交換様式をITやAIの力で実現できるのではないかと考えていたからである。
実際、彼女はビットコインやイーサリアムなどが、交換の様式Xを実現できるのかどうかについて、柄谷行人に直接、質問したようである。
柄谷行人の回答としては、相互の信用を生み出す根拠、信用をもたらすことができるかどうかが重要であるといった回答を得たようである。
つまり、テクノロジー自体が重要である訳ではないということである。
このオードリー・タンの柄谷行人への質問は私も考えていたことであり、実際、柄谷行人に会う機会があれば質問してみたいと思っていた事柄である。
地域通貨やビットコインのようなものが、Xの交換を実現することが出来るかどうかを聞いてみたかったのである。
そうした自分が考えていたことと全く同じことを考えていて、しかも既にそれを実行に移している為に私はオードリー・タンに興味を持った。
以前、そのようなテーマで、youtubeに動画もアップしたこともある。
上記の表のAの部分は、家族とか近所づきあいなどで生じる交換の様式で、贈与と返礼に基づく交換の様式である。
お互いによく知っている人同士であるから成立する交換であるが、若干の強制性があるのである。
Bは、国家による税金の徴収と再分配を意味しており、これは知らない人同士が交換をする一つの形式であり、これも強制力がある。
一方で、Cは、自由市場において、貨幣を使って、商品を交換する様式であるが、これは資本主義社会ではお馴染みのもので、知らない人同士が交換をすることが出来る仕組みであり、強制性はない。
それでは、Dのようにお互いに信用があって、交換にも自由がある交換の様式はあるかどうかということを柄谷行人は考察したのである。
それで、オードリー・タンはテクノロジーの力で、Dの交換様式Xを実現できないかどうかを考察していたのである。
柄谷行人の考えでは、お互いに知っている家族や近所づきあいのある人同士が持つような信頼関係を構築する根拠がなければ、テクノロジーだけあっても、この交換様式Xは実現できないと考えているのである。
柄谷行人は、このXは普遍宗教による相互信頼だと考えていた。
実際、何故、キリスト教をベースに持つ西洋社会で、個人主義が発達したかと言えば、同じキリスト教を信奉するという共通の基盤があって、その普遍的な所での一体感があるために個人主義を推進することが出来たとする考え方がある。
日本のように無宗教の国家では、一体感を感じるような深いレベルでの宗教的な相互信頼がないため、相互に冷たく無関心で、部族共同体のように力のある人に服従していく文化であり、部族共同体の掟、慣習などから頭一つ抜け出ることは難しく、個人主義が発達しにくかったと考えられている。
日本人というのは、そういう意味で群れの民族なのである。
私はこの交換様式Xを推進するのは、すなわち、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教など、あらゆる宗教の違いを乗り越えて、一つにする普遍的な宗教、すなわち、神智学のようなものだと考えていた。
つまり、フリーメーソンが普遍宗教をもたらすと考えていた。
フリーメーソンの友愛の精神が、世界に普遍的に行き渡れば、家族や近所の人に感じるような相互的な信頼感を持つことができ、資本主義的な商品の交換でなくても、人に与えるだけで、今度は、自分も人から与えられるということが保証される世界がやってくると考えたのである。
然し、それはあまりにも夢想的であり、貪欲で強欲な人々が徘徊する現実社会に直面した場合に極めて、脆弱な理想主義に過ぎなかったと考えている。
確かにオードリー・タンが考えるようにビットコインやイーサリアムのブロックチェーンテクノロジーなどが社会に浸透すれば、透明度が高く、相互にガラス張りの信用度が高い社会が生まれるとも考えられる為、テクノロジーが直接、信用の基盤を作るのではないが、相互の信用を生み出すためのコミュニケ―ションを発生させるという点では、有効かもしれないのである。
例えば、アメリカ大統領選挙で、投票の不正疑惑が生じているが、そうしたこともブロックチェーンで、自分の投票した表を個々の有権者が追跡できるようにガラス張りにすれば、解決する問題と思われる。
つまり、新しい水瓶座の社会とは、水晶世界と言われており、相互の信頼を生み出すためには全てのプライバシーや個人データなどがガラス張りにならなければならないのである。
そうしなければ世界の人々を身近に家族のように感じることは難しい。
お互いによく相手のことを知らなければとてもではないが信用は出来ないのである。
よく新興宗教や自己啓発のコミュニティーなどで、お互いに親密に家族のようになるのは、個人的な出来事や悩みなどをお互いに暴露して、お互いによく知りあっているからに他ならない。
交換様式Xが成立するには、普遍宗教などの超越的な一体性によって、人々がお互いを家族のように思えると共にお互いに情報がガラス張りで、お互いがお互いのことをよく知っているという状態になることで初めてもたらされると思うのである。
従って、普遍宗教のような共通の精神的基盤と、お互いの情報がガラス張りになるようなテクノロジーが必要である。
フェイスブックやツイッターのようなプラットフォームはそうした相互関係を促進するものではあるが、偽装やフェイクニュースなど、反知性的な行為や情報が錯綜しており、とてもではないが、相互信頼を築く、信用できる基盤とは言えなくなっている。
またフリーメーソンは貪欲なビジネスマンのサークルと化しており、グローバリゼーションで利権を追求する人々の溜まり場になっている。
政治レベルでのフリーメーソンというのは貪欲で汚らしい利権集団である。
アメリカ大統領選挙などで、不正投票やメディアに後押しされた民主党のバイデンに全く魅力も感じず、期待感も持てないのもその為である。
『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』を読んでみて、そのように交換様式Xについて再び考えることになった。
この交換様式Xが浸透した社会とは、リバータリアニズム社会主義ということが出来る。
因みにオードリー・タンは、個人主義的無政府主義者である。
これは極めて蟹座の特徴を示していると思われるが、蟹座は、個人主義者で、組織に属することが嫌いで、自分のやり方を持っている。
従って、リバータリアンと言えば、蟹座もしくは、蟹座の行為のハウス（蟹座から見て１０室）である牡羊座が表わしている。
オードリー・タンは典型的な無政府主義者で、個人主義者で、リバータリアンである。
然し、その彼女が何故、台湾政府の為に働いているのかと言えば、政府から招聘を受けたからである。
リバータリアンは、政府のトップの立場に収まれば、国益を追求したり、世界的なリーダーシップの権限を与えられれば、世界の公益に役立つように行動することは出来るのである。
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