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先日、youtubeを見ていたら、横浜スタジアムでビールの売り子として勤務して「可愛過ぎる売り子」として、デビューし、タレントとして活動しているグラビアモデルの「ほのか」を担当するマネージャーが、担当している「ほのか」よりも目立ってしまい、グラビアデビューしたというエピソードを見た。
番組で「ほのか」と池田マネージャーの対決といった演出で、歌唱力なども披露して、圧倒的に池田マネージャ―の方が、カリスマ、魅力があり、番組出演者全員から、池田マネージャーの勝ちと評価されていた。
本来、主役であるはずの人間が、脇役に食われるというのは、何が原因なのかというテーマに興味を持った。
仮説としては、カリスマや魅力を司るのは、金星である為、脇役の方の金星が強いのではないかと思ったので、実際にチャートを作成して調べてみた。
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そうすると、やはり、池田マネージャー(池田桃子)の方が、圧倒的に金星が強いことが分かった。
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チャンドララグナは、乙女座で確定で、乙女座から見ると、2、9室支配の金星がケンドラの7室で高揚し、マラヴィアヨーガを形成している。
しかも高揚度数の27°の手前で、非常に強い度数にもある。
月は、木星との間で、ガージャケーサリヨーガを形成し、名誉や評判を高めており、木星は魚座にアスペクトバックして、強く、高揚する金星を更に強めている。
芸能マネージャーをする前に歌手デビューもしていたというので、全く芸能界に縁がない人間ではないが、その後、裏方で、芸能マネージャーという固い仕事に就いたようである。
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月から見ると、1、10室支配の水星が6室に在住し、5、6室支配の土星とコンジャンクトし、12室支配の太陽ともコンジャンクトしている。
仕事の10室の支配星が、労働、サービスの6室に在住し、ムーラトリコーナの強い土星とコンジャンクトしており、また10室には3、8室支配の火星が在住して、マネジメント(管理)の仕事を表わしており、また火星は、3、8室支配の為、安定しない様子である。
仕事の表示体である太陽と水星が公共の場や制度、機構を表わす水瓶座で、サービスの6室に在住し、ムーラトリコーナの強い土星とコンジャンクトしているというのは、組織人間であり、組織の中に適応して上手く活動できる人間であることを示している。
だからこそ手堅い会社組織の中で、サラリーマンの立場を選んでおり、その立場に固執しているのである。
然し、歌唱力を披露すると、圧倒的な声量で、番組出演者たちを魅了していた。
これは2室(スピーチ、声)を支配する金星が高揚し、マラヴィアヨーガで、木星からのアスペクトを受け、ガージャケーサリヨーガに参加しているからである。
地味な裏方のマネージャーをしていたが、グラビアの編集長からオファーがあって、グラビアデビューが決まったという。
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これはやはり圧倒的な金星の力が働いたということである。
金星が強い時、多少、顔かたちが整っていなくても存在の全体にカリスマ(魅力)が滲み出てしまう。
それで、結局は、スカウトされることになるのである。
一方、ほのかのチャートを見ると、金星は牡羊座のバラニー(金星)に在住し、天秤座にアスペクトバックし、満ちてゆくフェイズにある生来的吉星の月とコンジャンクトし、射手座で定座の木星からアスペクトされて、決して悪くはない配置である。
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然し、金星の強さという点で見れば、金星は、友好星位であり、平均以上だが、飛び抜けて強いとは言えない。
ナヴァムシャを見ても、池田マネージャーは、金星が土星と星座交換しており、定座以上の強さを持っていると見なすべきであり、木星のアスペクトも受けて吉祥である。人気を表わす月も定座に在住している。
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然し、ほのかのチャートを見ると、金星は、牡牛座にアスペクトバックしているものの、友好星位であり、池田マネージャーの金星が星座交換により定座以上の強さを持っていると考えると、やはり、出生図でもナヴァムシャでも金星の強さでは負けているのである。
更に分割図を見ると、他の観点も出て来るが、出生図とナヴァムシャを見た限りでは、池田マネージャーの方が金星が強いことが分かる。
上記の番組で、出演者から、池田マネージャーの方が、ほのかよりも「華がある」という核心的な評価も下されており、その「華がある」状態をもたらすのが金星の強さではないかと思われる。
こうした脇役が主役よりも目立ってしまうという現象は、映画などでも度々、起こることである。
私が知っている最近の例では、女優・黒木華が、山田洋次監督、松たか子主演の『小さいおうち』で、映画デビューし、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞し、主演の松たか子よりも目立ってしまったエピソードである。
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この映画で、黒木華は、完全に主役の松たか子を食ってしまったと言われている。
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チャートを作成すると、おそらく月は乙女座で、月ラグナから見て、2、9室支配の金星が5室に在住している。
火星、ラーフとコンジャンクトしており、火星の情熱、ラーフの過剰性なども加わって、5室の金星は表現者としては、より魅力を増したと思われ、またナヴァムシャでは金星は、牡牛座で定座に在住し、生来的吉星の水星とコンジャンクトしている。
また黒木華の分割図を見ると、D3では、金星が牡牛座で定座に在住し、高揚する月とコンジャンクトしている。
またD7でも金星は、天秤座で定座にあり、D30では金星は魚座で高揚し、D60でも牡牛座で定座に在住している。
他にもD4、D16、D40などで、金星は、定座にアスペクトバックしている。
出生時間が分からない為、高分割図になると、必ずしもその配置であることは確実ではないが、出生図、ナヴァムシャ、他の分割図においても金星が強いことが分かる。
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一方の松たか子のチャートを見ると、金星は、アシュビニーに在住し、天秤座にアスペクトバックはしているが、星位としては、敵対星位である。
ナヴァムシャでも金星は、中立星位である。
ダシャムシャ(D10:仕事)でも金星は、蟹座に在住しており、減衰する火星とコンジャンクトして、強い敵対星位にある。
黒木華のダシャムシャの金星は、中立星位であり、仕事の分割図においても、黒木華の金星の方が強いことが分かる。
従って、金星が放つカリスマ性という点で、松たか子は、黒木華に力負けしたのである。
もう少し古い事例では、オードリー・ヘプバーンが、ウィリアム・ワイラー監督の「噂の二人」(1961年)でシャーリー・マクレーンと共演した時に脇役であったシャーリー・マクレーンに食われたというエピソードがある。
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シャーリー・マクレーンは、1983年に刊行した著作『アウト・オン・ア・リム』で、自身の体外離脱や神秘体験を語り、世界的なベストセラーとなり、ニューエイジの旗手とされ、映画女優という枠組みを超えたカリスマ性があるが、女優としても1983年に『愛と追憶の日々』でアカデミー主演女優賞を受賞している。
1934年生まれで、1983年の受賞である為、49歳、つまり、かなり人生の後半になってからの受賞である。
オードリー・ヘプバーンはハリウッド黄金時代に活躍した女優の一人で、ファッション界のアイコンでもあり、アメリカン・フィルム・インスティチュート の「最も偉大な女優50選」で3位にランクインする程のカリスマ的女優である。
そのオードリー・ヘプバーンの脇役を務めた時にオードリー・ヘプバーンよりも存在感を放ってしまった。
これは何故なのか、やはり、好奇心が高まる事例である。
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オードリー・ヘプバーンのチャートを見ると、ラグナが水瓶座で、チャンドララグナも水瓶座であり、4、9室支配のヨーガカラカの金星が2室で高揚しており、金星はナヴァムシャでも高揚して、ヴァルゴッタマにもなっており、吉星の水星とコンジャンクトして、水星は、ニーチャバンガラージャヨーガを形成している。
月と金星、火星がヴァルゴッタマである。
これだけ見ると、オードリー・ヘプバーンの金星は圧倒的に強いように見える。
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シャーリー・マクレーンのチャートを見ると、出生図では、金星は水瓶座で、中立星位にあり、ナヴァムシャでは、定座に在住し、ラグナと月からケンドラに在住しているため、マラヴィアヨーガを形成している。
そして、ダシャムシャを見ると、金星はラグナから見て4室でムーラトリコーナの座にあり、マラヴィアヨーガを形成している。
確かにオードリー・ヘプバーンの高揚して、ヴァルゴッタマの金星は強いのだが、シャーリー・マクレーンの金星は、ナヴァムシャやダシャムシャで、マラヴィアヨーガを形成しており、シャーリー・マクレーンと良い勝負をしているのである。
オードリー・ヘプバーンのダシャムシャの金星は、獅子座に在住して、ディスポジターの太陽が天秤座で減衰し、天秤座と獅子座で、星座交換している。
星座交換しているので、定座以上の強さがあると見なすべきだが、ディスポジターの太陽は減衰し、土星からのアスペクトを受けている。
シャーリー・マクレーンのダシャムシャの金星は、友好惑星のケートゥとコンジャクトし、他の凶星からのアスペクトは受けていない。
従って、シャーリー・マクレーンのダシャムシャの金星は、正統的な強さを持っており、オードリー・ヘプバーンの金星と良い勝負をしている。
正統的な意味では、オードリー・ヘプバーンの金星よりも強いと見なす必要がある。
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そして、シャシティアムシャ(D60)を見ると、シャーリー・マクレーンの金星は、ラグナから見て7室、月から見て4室で高揚しており、マラヴィアヨーガを形成し、高揚した木星からのアスペクトを受けている。
この木星は月と星座交換しており、ムクタヨーガを形成していると考えられる。
従って、非常に強い木星である。
オードリー・ヘプバーンの分割図を更に見て行くと、金星は、D7で高揚し、D16やD20、D27でも高揚している。
従って、この辺りの所では、シャーリー・マクレーンの金星よりも強いことが分かる。
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但し、肝心なD60では、金星は、中立星位となっている。ラグナロードの土星が、4、9室支配のヨーガカラカの金星と2室で、ラージャヨーガを形成している為、決して、悪い配置ではないが、シャーリーマクレーンの金星が高揚して、マラヴィアヨーガを形成し、同じく高揚し、ムクタヨーガにある強い木星からのアスペクトを受けている金星と比べると、それ程、強い配置とは言えない。
D60は、ナヴァムシャと同じで、深いレベルのその人自身を表しており、高分割チャートの解釈は、ナヴァムシャと同じように人生の後半でより輝き出ると解釈すべきである。(人生の後半でより魂が顕示すると考えられるため)
但し、オードリー・ヘプバーンの金星は、D150では、高揚し、木星からのアスペクトを受けている。
そして、木星と月は、蠍座でコンジャンクトし、ガージャケーサリヨーガを形成している。
然し、シャーリー・マクレーンの金星は、D150では、獅子座に在住し、中立星位である。
従って、オードリー・ヘプバーンと、シャーリー・マクレーンの金星は、どちらが強いとは一概に言えず、良い勝負をしている。
但し、ダシャムシャ(D10:仕事)での配置や、D60の配置が、シャーリーマクレーンの方が良く、マクレーンは、ナヴァムシャやダシャムシャ、シャシティアムシャ(D60)で、金星がマラヴィアヨーガを形成しているという点で、金星に底力がある。
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シャーリー・マクレーンの出生図は、ラグナロードの水星が7室で減衰しているが、木星と1-7の星座交換をして、ニーチャバンガラージャヨーガを形成している。
星座交換した上で更にお互いに定座にアスペクトバックするという配置でもあり、強力である。
そして、太陽が高揚し、火星がムーラトリコーナの座にあり、土星もムーラトリコーナの配置である。
金星以外の惑星の星位も強く、ポテンシャルが高いことが分かる。
そして、月は、主役しか演じられない獅子座で、プールヴァパールグニー(金星)に在住している。
オードリー・ヘプバーンも太陽は高揚しているが、獅子座には何も惑星は在住していない。
そうしたことで、オードリー・ヘプバーンのカリスマ性は凄いのだが、シャーリー・マクレーンのカリスマも強く、存在感の上で、ヘプバーンを上回っていたと思われる。
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シャーリー・マクレーンの『アウト・オン・ア・リム』を読むと、英国の政治家と交際して、相手を振り回すといったエピソードが出て来るが、非常にパワフルで、強力なパーソナリティーをしているのは確かである。
このように見て来ると、カリスマ性とは、主に金星の強さで表され、またそれ以外にも惑星全体の星位の強さや、主役しか演じられない獅子座といった要素がポイントではないかと思われる。
存在感という意味では、金星以外の惑星の星位の強さ、太陽の強さも大事ではないかと思われる。
出生図、ナヴァムシャ(D9)、シャシティアムシャ(D60)などが主に重要で、それ以外の分割図での、金星やその他の惑星の強さも重要である。
因みに今回、私は、カリスマという言葉を表現力や魅了する力という意味で使ったが、辞書を引くと、本来、カリスマという意味は、以下のように違う意味であった。
カリスマ 超人間的・非日常的な、資質・能力。英雄・預言者・教祖などに見られる、民衆をひきつけ心酔させる力。 |
カリスマの本来の意味は、超人間的な民衆をひきつけ心酔させる力であり、ジョーティッシュで言えば、月と土星のコンビネーションである。
従って、用語を間違えたが、ここでは、カリスマという言葉を表現力、魅了する力として、読み替えて頂きたい。
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