高市早苗が総理大臣に就任して、初の外交デビューとなった東南アジア諸国連合(ASEAN)、APEC(アジア太平洋経済協力)サミットで、高市早苗は外交の才能を存分に発揮した。
まず、隣の席に座っていたインドネシア首相やマレーシア首相に自分から話しかけ、コミュニケーションを図った。
そして、東ティモールのシャナナ・グスマン首相は、立ち上がって、高市早苗と握手して、その後、手にキスをするという派手なパフォーマンスを行ない、それに笑顔で答えて、注目を浴びた。
チリのガブリエル・ボリッチ大統領には、左肩に手を添えるようにして身を寄せた。
トランプ大統領来日の際には、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地の米原子力空母ジョージ・ワシントンで、トランプと登壇し、米兵に囲まれる中で、手を挙げて、歓声に応えた。
メディアはこうした高市早苗の外交に対して、スキンシップ外交とか、ボディーランゲージ外交と呼んだりしている。
一方で習近平との会談では、トランプとの時とは変わって、握手の際にも距離を示し、また会談時には、習近平が、日本は過去の侵略を反省し、歴代政権が行なった談話の精神を守り続けることを促す発言を行なった。いつものように歴史カードを使って、日本にこれからも反省し続けるように促す発言を行なった。
それに対して、高市早苗は、まず、東シナ海、尖閣諸島問題に対する深刻な懸念を表明した。
他に中国によるレアアース輸出規制問題、中国における日本人の身柄拘束や逮捕問題、中国に在住、もしくは旅行中の日本人に対する安全問題、南シナ海における国際法違反の問題、香港の自由と法治に対する破壊問題、新疆ウイグル自治区の人権問題、そして北朝鮮の日本人拉致問題など、日中間に存在する問題について並び立て、中国側に伝えるべき懸念を全て、伝え切った。
これに対して、中国側は、高市早苗に反論できず、戦略的互恵関係の推進と日中のコンセンサスを述べるに留まり、今年は抗日戦争・反ファシズム世界戦争勝利80周年で、あらゆるメディア、文化作品、宣伝ツールを使って反日情緒をあおりまくっていた一年だったにも関わらず、高市政権を批判することが出来なかった。
習近平は、当初、高市早苗の総理大臣就任に祝電も送らずに無視する方針だったが、ASEANで、各国リーダーたちと積極的にコミュニケーションを図り、人気を博していた高市早苗を無視できなくなり、会わざるを得ない状況に追い込まれたようだった。
また高市早苗は、中国側が嫌がる行為、すなわち、APECの台湾代表と会談し、にこやかなツーショット写真をSNSで拡散した。
今回、高市早苗は、首相就任に当たって、靖国参拝を取りやめたようである。
あまり、重要度が低い所では妥協しておいて、譲れない外交問題においては、きちんと主張すべき所は主張するといったように引いたり、押したりする駆け引きが存分に行なわれていた。
こうした高市早苗の外交的センスは、明らかに7室支配で10室で天秤座のスヴァーティーに在住する月によって発揮されている。
天秤座は、優秀な外交官、または営業マンで、押したり、引いたり、交渉事が得意である。
相手と友好的に振舞って見せて、相手に要求を突きつけるのである。
7室は対人関係、取引、交渉を表し、10室は仕事を表す為、7-10のコンビネーションが優秀な外交的センスをもたらすのである。
以前、天秤座ラグナで、10室支配の月が7室に在住している方のケースを見たことがあるが、その方も優秀な営業マンだった。
10室の月は人気者を表す為か、高市早苗は首相支持率82%をマークし、高市早苗の愛用品に注文が殺到しているという。
ASEANのサミットの中でも人気を博し、中央に立ち、中心的な立場を担った。
高市早苗のトレードマークである真珠のネックレスは、真珠が月を強める宝石であることを考えると、非常に納得できる。
真珠のネックレスで月を強めることは、高市早苗の外交力を高めるかもしれない。
また高市早苗は、飲み会が嫌いで、お酌も嫌いであるというが、飲み会が嫌いなのは、人と交流したいが、人と一体化したり、飲み込まれたくない、自由でいたいという、独立や自由を求めるスヴァーティーの特質である。
スヴァーティーは何よりも束縛を嫌うのである。
このように外交的センスが高い高市早苗には、是非、存分に手腕を振るって欲しいと思うが、来年の春には、その政権運営が行き詰まってしまうと既に予想している。
その可能性として、一つには、健康問題がある。
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高市早苗首相「しんどかった」更年期の症状を告白「急に汗が…」女性の健康課題改善に意欲示す 2025/11/6 16:56 日刊スポーツ 高市早苗首相は6日の参院代表質問で、女性の健康課題への対応を問われた際、自身が経験した更年期の症状のつらさについて振り返る場面があった。 立憲民主党の塩村文夏議員から、女性の健康課題への対応に関する質問を受けた高市首相は「特にホルモンバランスの変化の影響を受けやすい女性の健康については、ライフステージにごとの健康課題に対処することが重要」とした上で、自民党政調会長時代に党内で女性の健康に関する特別の機関を設置するなど、対応に当たったことを振り返りながら、女性が更年期にさしかかった際には特有の症状が出ることに触れた。また「私自身も更年期の時に大変、しんどい思いをした。社会の理解は不十分でございました」と述べ、「急にホットフラッシュで汗が出ても、マスコミにそれをたたかれて写真を撮られて、割とひどい言葉で書かれたこともある」と、自身の経験を振り返った。 「多くの女性がさまざまなライフステージごとに、つらい思いをしている。それなら啓発活動をしたいし、医師の方も専門性に関係なく、更年期の女性が来たら、こういう病気にかかっている可能性もあるといういろいろな情報を持ちながら、女性の健康に携わってほしいという強い思いがあったが、自民党で議論が始まった当初は、男性議員の理解が得られなかったのも事実です」と打ち明けた。 「でも、勉強を重ねるうちに多くの男性国会議員も理解を示してくださり、政策として構築され、昨年10月に『女性の健康総合センター』が設置された」と、これまでの経緯に触れながら「こうした成果を全国に広げるため、センターを司令塔として、診療拠点の整備や研究、情報発信などを進めたい」と、自身の経験を踏まえながら今度取り組む課題にも触れた。 |
通常、天秤座はリベラルであり、相手に譲ったり、妥協することができる星座である。
その為、本当は、天秤座スヴァーティーの月だけで見ると、保守政治家っぽくないのである。
2021年には福島原発の処理水の海洋放出に反対しており、リベラルな思想も所々に見られる。
従って、どこに高市早苗の強硬な保守思想が含まれているかというと、まずは、伝統や家族関係、上司と部下、親と子などの上下関係の秩序やルールを重んじる山羊座ラグナであるということから来ているように思われる。
山羊座は、古風な星座であり、伝統芸能が好きであり、お茶や、生け花や盆栽や着物の着付け、日本舞踊など、様々な伝統芸能をこなす。
それを習う場合、家元制度において習うことが多いが、それは完全に〇〇流と名付けられて、上下関係の秩序や礼儀がしっかりしている世界である。
一度、ある特定の先生の下で、修練したならば、その関係は、ずっと続いていく。
こうした世界で、生きていて、その世界が肌に合うのが山羊座なのである。
従って、高市早苗は、戸籍の廃止につながりかねない夫婦別姓制度の導入に強硬に反対している。
その他、高市早苗の保守思想は、ナヴァムシャにて、月や火星が山羊座に在住し、太陽や金星が牡羊座に在住していることからも来ているかもしれない。
その一方で、水瓶座や天秤座などの風の星座に出生図、ナヴァムシャにおいて多くの惑星が在住している為、国際社会の中で、かなり活発に社交的に振舞って、上手く外交関係を構築する資質を持っている。
これが高市早苗が単純に保守とは言い切れない理由である。
例えば、家族が成長の家を信奉し、創始者の谷口雅春の教えをよく学び、日本国憲法を戦前の明治憲法に戻す活動も推進して来たはずの元防衛大臣・稲田朋美が、風の星座である水瓶座に在住する水星のアンタルダシャーが来た時にLGBTQに理解を示すリベラル思想家に転じてしまうことなどにも表れる。
人間は、占星術的な観点からもその思想や行動を一言では表せない複雑な存在なのである。
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「バッグもペンもバカ売れ」の高市早苗首相…若者から驚異の支持率も「自民党人気」はまだまだ回復せず 2025/11/4 11:00 FRIDAY DIGITAL SNSなどで拡散される“高市動画”の高い再生率 憲政史上初の女性総理となった高市早苗首相(64)が好スタートを決めた。 11月2日にJNNが発表した世論調査で、高市内閣の支持率が82.0%に上ることが明らかになった。これは発足直後の内閣支持率では’01年以降の12政権で、小泉純一郎内閣に続く、2番目に高い数値だという。 また、朝日新聞の調査によると、性別ごとの支持率は男性が73%で女性が63%。30代の支持率が86%に達する一方で、70歳以上は54%になっているという。 高市首相は10月28日、来日したドナルド・トランプ大統領(79)と米軍横須賀基地を訪れ、ハイテンションな姿を披露。米兵を前にトランプ大統領が 「彼女こそ勝者だ」 「日本で初めての女性首相だ」 と紹介すると、高市首相は満面の笑みで腕をあげ、飛び跳ねる仕草をみせた。 トランプ大統領とは終始カラダを密着させ、さながら“カップル”のよう。絶大な権力を誇るトランプ大統領に取り入るための作戦だったのかもしれないが、ネット上ではハシャギっぷりに 「一国の首相がいかがなものか」 という異論も巻き起こった。 だが、これも10~20代の「Z世代」の視点では 〈かわいらしい〉 〈親近感がもてる〉 という評価になる。Z世代の支持率は驚異の90%超えを示す報道も。TikTokなどのSNSでは“高市動画”が拡散され、他の政治家に比べて断トツの再生回数を稼いでいる。全国紙政治担当記者が驚く。 「当初、高市氏が首相になり自民党の古参保守層が戻ってくるかと思いましたが、実は今の勢いを生んでいるのは、これまで政治に無関心だった若年層なんです。むしろ自民党の岩盤保守層は右傾化が加速し、中国との対立が先鋭化することを危惧しています。Z世代からは石破茂前首相の時と比べて『決断力がありそう』『主張がわかりやすい』『何かやってくれそう』という期待の声が多く聞かれます」 高市首相が首班指名され、初めて官邸入りした際に持っていた黒いバッグも“バカ売れ”している。バッグは長野のメーカー「濱野皮革工藝」の「グレース ディライトトート」でお値段は13万6400円。あまりの売れ行きに生産が追いつかない状況という。SNS社会の影響を感じさせる出来事といえよう。 高市人気=自民党人気でないワケ 高市人気の秘訣について、永田町関係者は 「メイクの変化にある」 と指摘する。これまで高市首相は政界入りした時から、定番のメイクを一貫してきたが、自民党総裁選から“仕様”を変えたのだという。 「以前と見比べてもらえばわかりますが、総裁選の頃からナチュラルメイクにしたんです。専門のメイクさんに相談して、眉毛の濃さ、角度も変えた。政治家も外見が重要視される時代。これで表情が一気に明るくなった」(同・永田町関係者) もともとTVキャスター出身の高市首相。“素材”は良いだけにイメチェンの成果は顕著だった。 「仏頂面の多かった石破茂前首相を反面教師に、意識的に笑顔も作っているそうです。プライベートの高市さんはヘビメタ好きの阪神ファン。特に阪神のことになると人格が変わるとか。庶民的な部分も若年層の支持を集める理由なのでしょう」(女性誌記者) この高市人気について、本サイトが政治評論家の有馬晴海氏に取材すると、 「高市首相は昔から女性ということを強調する政治家ではありませんでしたが、ちょっとした時に見せる“乙女らしさ”っていうのかな、それでバッグが予約待ちになったり、使っているピンクのペンが売れるという国民への人気につながり、ひいては海外の首脳にも好印象なのでしょう。 トランプ大統領とドジャースの試合を一緒にテレビ観戦し、首脳会談での挨拶では仏頂面だった習近平国家主席が、APEC控え室での挨拶では笑顔を見せたりしていた。それをお膳立てした外務省も上手いけど、やっぱりそれを引き出した高市首相の人間性は素晴らしい。外交では100点満点でしたが、これからは景気対策や議員定数削減など難しい国内問題が待っている。ただ、支持率が高いと大胆な政策も打てるのは大きいですよ」 と分析する。 自民党の課題だった若年層の支持も取り付けた高市政権はまさに鬼に金棒。野党からは 「今、選挙をやられたら太刀打ちできない」 という声も聞かれる。だが、前出の政治評論家・有馬氏は 「高市内閣の支持率は急上昇しているが、それに比べて自民党の支持率はそんなに上がっていない。多くの国民は『自民党は許さない』というモードだったが、高市首相のおかげでそれが少し“雪解け”した程度でしょう。これから高市政権が国民の期待を裏切らずに政策を進めれば、自民党のイメージも次第と回復してくる。ですので、今はあくまで高市人気であって、これを自民党人気と勘違いしてはダメでしょうね」 と話す。“高市人気”は今後の政治にどんな影響を及ぼすのだろうか――。 FRIDAYデジタル |
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習近平国家主席が高市首相に言われ放題、「高市無視」のはずが日中首脳会談で尖閣・台湾・人権問題などで意見され… 2025.11.6(木)JBpress (福島 香織:ジャーナリスト) 先週は世界が高市外交に刮目(かつもく)した一週間だった。ハイライトは予定されていなかった中国の習近平国家主席との直接会談だろう。 多くのリベラル派の知識人は、対中強硬姿勢で親台湾派の言動を隠していない高市早苗首相が習近平に「会ってもらえる」とは思っていなかった。高市首相は自民党総裁選前の米シンクタンクのハドソン研究所が行った総裁選候補に対するインタビューで、台湾海峡の平和と安定は日本を含む国際社会にとって重要だとの認識を示し「中国のリーダーともしっかり、率直に対話したい」「力や威圧による一方的な現状変更は決してあってはならない」と主張していた。 この発言には一部の日本の学者も反発した。たとえば日本国際問題研究所の小谷哲男氏はXに「ナイーブ過ぎないか。これまでの発言が理由で会ってもらえないとは考えないのだろうか」と批判し「まともな外交アドバイザーがいないのだろう」と指摘していた。この小谷氏の論評は環球時報などでも、翻訳報道されていた。 だが、実際は首相就任一カ月も満たないうちに米国のトランプ大統領やインドのモディ首相らと会談、東南アジア諸国連合(ASEAN)、APEC(アジア太平洋経済協力)サミットに出席し、そして識者の予測を裏切って習近平との会談を実現したのだ。 では、この会談は日本にとって、そして中国にとってどういった意味や影響力があっただろう。 高市首相がズケズケと… 実際、この日中会談は国際世論を驚かせた。高市・習会談は30分に満たず、会談冒頭のメディア向けの握手も10秒未満、双方は張り付いたようなこわばった微笑を浮かべ、ほとんど会話もなかった。背は高くともほっそりした体形の高市が、大柄な習近平と握手したときの微妙な表情や体の距離の取り方は、「高市は少しおびえているようだ」と形容したネット民もいた。 だが会談が始まってわずか2分、つまり挨拶を交わした後、高市は早苗節全開で習近平に向かって次々と鋭く率直な質問、意見を浴びせかけ、日中間の矛盾の核心をついてきたという。こんな日中首脳会談は日中外交史上、見られたことがないと、目撃した外交官たちは口々に言ったという。 NHKの報道などによると、高市首相は日中間の対立問題を次々に指摘した。尖閣諸島と東シナ海情勢、中国によるレアアース輸出規制問題、中国における日本人の身柄拘束や逮捕問題。中国に在住、もしくは旅行中の日本人に対する安全問題、南シナ海における国際法違反の問題。香港の自由と法治に対する破壊問題、新疆ウイグル自治区の人権問題、そして北朝鮮の日本人拉致問題…。 中国共産党が最も触れてほしくない、すべての政治的敏感な問題を高市はずけずけと指摘した。 裏は取れないのだが、在米華人メディア人の石濤の情報によれば、高市が新疆ウイグル人の人権問題や台湾問題について指摘したのち、習近平はいったん席を立ちあがってトイレにいった、という。そして、戻ってきたとき「それぞれがそれぞれの道を行くのだ」と答えたのだという。これが事実かどうかは別として、一部ネット民の間では、習近平は高市が怖くなって尿意を催し、中座した、といった噂が広がった。 中国の公式発表では、習近平は高市に対しこう語ったという。 習近平国家主席が強調した「五つのコンセンサス」とは 「中日両国は一衣帯水であり相互に重要な隣国どうしだ。中日関係を長期的に健康的に安定発展させることは両国人民と国際社会の普遍的な期待である。中国側は日本側が、中日の『四つの政治文書』が確立した原則と方向性にもとづき、相互関係の政治的基礎を維持し、戦略的互恵関係を推進し、新時代の要請に合致した建設的で安定した日中関係の構築に尽力するように望む」 「目下の中日関係はチャンスと挑戦が併存している。日本の新内閣が正確に対中認識を樹立し、両国の先輩政治家と各界人士が中日関係の発展のために注いだ心血・努力を大事にして、中日平和と友好、協力の大きな方向性を堅持してほしい」 そして、「五つのコンセンサス」をしっかり守り実施することを強調した。それは以下の通りだ。 一、戦略的互恵関係を全面的に推進し、相互パートナーシップ、相互に脅威とならない、歴史を鑑に未来を向く、などの政治的なコンセンサスをしっかり実施すること。中日四つの政治文書をしっかり守り、履行し、歴史や台湾などの重大原則問題について明確な規定を守り、実施し、中日関係の根っこに損害を与えず、揺るがさないようにすること。村山談話は日本の侵略の歴史を深刻に反省し、被害国に対し謝罪を行った。この精神は宣揚(せんよう)する価値がある。 二、ウィンウィン協力を堅持する。第二十期四中全会(10月20~23日)が描いた第十五次五カ年計画が示す中国発展の青写真には、中日協力の広い余地がある。中日はおそらくハイエンド製造、デジタル経済、SDGs発展、財政金融、医療・高齢者介護、第三国市場などの分野での協力を強化し、多国間貿易体制と産業チェーン・サプライチェーンの安定かつ円滑な運営を共に維持できる。 三、人々の心の交流を促進する。政府、政党、立法機関などの対話を継続的に展開し、人文交流や地方交流を深化・拡大させ、国民の感情を改善する。 四、多国間協力を強化する。友好的な隣国関係、平等・互恵、内政不干渉の原則を堅持し、真の多極主義を実践し、アジア太平洋共同体の構築を推進する。 五、意見の相違を適切に管理する。大局を見据え、共通点を求め相違点を認め、一致点を集め対立を和らげ、矛盾や対立が両国関係を定義づけることを回避する。 ちなみに中国公式発表では、高市が指摘した日中間の矛盾、問題点など政治的敏感なテーマは省かれ、台湾問題に関しては「日本は1972年の日中共同声明における立場を堅持する」とした発言部分だけが引用された。 「高市無視」で決め込むはずが… 中国の公式発表が、戦略的互恵関係の推進と日中のコンセンサスに紙幅をずいぶん割いたこと、台湾問題について、1972年の立場を継承していることを強調したことをみると、習近平政権の対日姿勢軟化のシグナルははっきりと見て取れる。人民の「対日感情の改善」にも言及している。 会談はわずか30分という短さで、習近平の表情がかなりこわばっているところを見れば、おそらく、この対日軟化の方針転換は習近平自身にとってはかなり不本意なものであったろう。今年は抗日戦争・反ファシズム世界戦争勝利80周年で、あらゆるメディア、文化作品、宣伝ツールを使って反日情緒をあおりまくっていた一年だったのだ。そして習近平は外交儀礼を無視して、高市の首相就任に対する祝電すら送らなかった。これは習近平なりに高市政権無視、そして日本無視を決め込むという意思表示だったのだろう。 それがいきなり「日中互恵関係推進」と言い出したのだから、愛国的人民にしてみれば、習近平は高市になにか弱みでもにぎられたか、という気分になろう。 高市は会談後の記者会見で、「台湾海峡の平和と安定維持が地域の安全にとって重要であるということを明確に伝えた」と語っており、ハドソン研究所のインタビューで総裁選前に語った台湾問題についての考えを中国リーダーに率直に伝えるという「公約」を果たした。 親台派で知られる高市が中国指導者に初めて会った際に、台湾問題に関してこのような言及をしたことで、中国国内的には習近平はメンツをつぶされた、という印象を与えるだろう。しかも高市は日中首脳会談後、APECの台湾代表、林信義・元行政院副院長と会談し、にこやかなツーショットまでSNSで拡散した。これに中国外交部は「こうした行為は悪質で悪影響を及ぼす」「中国は断固反対を表明し、日本側に厳正な申し入れと強烈な抗議を行った」というが、高市はどこ吹く風だ。 今回のAPECで本来予定されていなかった日中首脳会談が急遽行われたのは、高市・トランプ会談のインパクトが大きい。日米トップが意気投合し、野球談議で盛り上がり、そのノリで国防、経済安全保障などでしっかりタッグを組むというメッセージを世界に発信した。 高市・トランプ会談が影響か さらに、ASEAN、APECのサミットでの高市の人気ぶりが国際メディアでも大きく報じられた。これは日本が再びアジア太平洋諸国に強い影響力をもちうることを示唆した。米国に対抗して、アジア太平洋を含むグローバルサウスをまとめて新たな国際秩序構築を主導したいともくろむ習近平としては、東南アジア、アジア太平洋諸国からもてはやされている高市を無視できない、と急遽思い直した、ということだろう。 30日の米中首脳会談については、欧米メディアは習近平のレアアースカードを使った戦略的勝利による米中雪解けムードという印象を報じていたと思う。だが、実際のところは、トランプ・高市の急接近、親密ぶりが習近平を焦らせ、レアアース輸出規制一年延期の妥協を生んだのではないか、と私は見ている。 高市・習近平会談に話を戻せば、日本側にとって大きな意義は、高市外交のインパクトを国際社会に刻み付け、中国に対して、人権、歴史問題、台湾問題などいうべきことは言える日本が戻ってきた、という政治シグナルを発したことだろう。 そして中国にとっては、あれほど対日強硬姿勢だった習近平が、日本初の女性首相に言われ放題である姿を国内外に見せてしまった。 独裁者習近平を表立って非難する声は言論統制、ネット世論統制で封じ込められるだろう。だが、人民の習近平に対する求心力や党内の習近平の権力基盤にひそやかな動揺を、高市・習近平会談はもたらしたかもしれない。 福島 香織(ふくしま・かおり):ジャーナリスト 大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。主な著書に『なぜ中国は台湾を併合できないのか』(PHP研究所、2023)、『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房、2023)など。 |
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