イーサリアムの創始者ヴィタリック・ブテリン氏について


最近、仮想通貨イーサリアムの創始者ヴィタリック・ブテリン氏が脚光を浴びているようである。


ブルームバーグ社が2017年12月30日に世界の影響力のある50人に選んだこともあり、メディアにも取り上げられて、にわかに注目を集めている。


弱冠19歳でイーサリアムを開発した“神童”ヴィタリック・ブテリンが目指す「ウェブの未来」とは
2018.2.16 Finacial Post (Canada)  フィナンシャル・ポスト(カナダ)
Text by Claire Brownell

19歳のときにブロックチェーン技術を土台とするプラットフォーム「イーサリアム(Ethereum)」を立ち上げ、その仮想通貨「イーサ(Ether)」をビットコインに次ぐ市場規模にまで成長させた“神童”ヴィタリック・ブテリンとは、いったいどんな人物なのか。
地元カナダの有力経済紙が、本人や家族、関係者らを徹底取材し、イーサリアムによって実現する「ウェブ3.0」の世界を明らかにする。

ニキビの残る仮想通貨の天才児

2012年11月のある土曜日の午後。カナダ・トロント市にあるポーパーズ・パブで、同市初のビットコインのオフ会が開かれていた。この集まりの発起人であるアンソニー・ディ・イオリオは、当時すでにいくつもの事業を立ち上げたシリアル・アントレプレナーとして名を馳せていた。

彼はまた、当時ほとんど知られていなかった仮想通貨の信者でもあった。健全な金融システムの構築に関心があったディ・イオリオは、トロントに持っていた賃貸物件の所有権を売却してビットコインを購入し、新たな情熱を共有できる仲間を探していたのだ。

オフ会の参加者はごくわずかだったが、いずれもディ・イオリオが一度も会ったことがないような個性的な人たちばかりだった。

なかには、まだ頬にニキビが残る色白の少年もいた。彼はビールやおつまみに手を付けようとせず、社交的でもなかった。

だが、そのひょろっとした少年こそ、後にブロックチェーンのプラットフォーム「イーサリアム」を生み出すヴィタリック・ブテリンだった。そのとき、彼はオンタリオ州南西部にある名門ウォータールー大学で、コンピュータ科学を学んでいた。

「彼はあまりしゃべらず、参加者と会話らしい会話もしていませんでした。でもオフ会を続けているうちに、私たちは彼の天才的な発想を知るようになったのです」とディ・イオリオは当時を回想する。

世界放浪の末に見出した「分散型インターネット」

ブテリンは単なる内気な10代の“パソコンおたく”ではなかった。オフ会が開催される1年前、ブテリンはルーマニア出身の友人と共同で「Bitcoin Magazine(ビットコイン・マガジン)」という紙の雑誌を創刊しており、仮想通貨業界ではすでに名の知られた存在だった。

ディ・イオリオと初めて会った数ヵ月後にブテリンは大学を中退し、世界中を旅しながらフルタイムで自分の雑誌に記事を書き続けた。それから1年後、ディ・イオリオが再びオフ会を開いたときには、すでに有名人になっていたブテリンを一目見ようと集まった多くの聴衆のために、もっと広い会場を用意しなければならなくなっていた。

そのときのオフ会で、ブテリンは新しいアイディアを披露した。ビットコインは手数料不要で銀行や政府を介さずに世界中に送金することを可能にするが、ブテリンはその仕組みをほかのあらゆるものに応用することを思いついた。

それは無限の可能性を秘めた「分散型インターネット」の先駆けであり、「ウェブ3.0」の到来を予感させるものだった。

ビットコインの創始者であるサトシナカモトが何者であるか分からない為、時価総額2位のイーサリアムの産みの親、ヴィタリック・ブテリン氏が脚光を浴びることになるのは自然な流れである。

イーサリアムは他の仮想通貨(ERC20系)のプラットフォームとなっており、現在、次から次へと仮想通貨が誕生し、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)が行われている。


ICOとは、新規公開株(IPO)の仮想通貨版であり、取引所に上場する前に新しく誕生する仮想通貨(アルトコイン)を割安の価格で買える仕組みである。


上場すれば、数倍、数十倍に値上がりするので、2017年度は、ICOに投資するだけで、億万長者になった人が続出したようである。


この新規に公開される仮想通貨が、イーサリアムのプラットフォーム上で動作する(ERC20系)ものが多いため、そうしたことで、今のアルトコインブームというのは、ヴィタリック・ブテリンが大きく貢献していると言ってもいいかもしれない。


ヴィタリック・ブテリンは、2011年(17歳)の時にビットコインに出会ったらしく、コンピュータアナリストである父親が「面白い仮想通貨があるぞ!」と興奮して話したのが最初だったということである。


そして、ビットコイン関連のWEBサイトの記事を書くアルバイトをしたりして過ごしていたが、大学を中退して、世界でビットコインがどのように使われているか調べる旅に出て、そして、様々な出会いがあり、イーサリアムのアイデアを考え付いたようである。


イーサリアムでは、ブロックチェーンという技術を仮想通貨のプラットフォームとして使うばかりでなく、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で自動的に行われる契約)などで、使用するなど、ブロックチェーンの新しいアイデアが盛り込まれていた。


従って、現在、ビットコインが注目されると同時にブロックチェーンがもたらす自律分散型の社会という考えが注目を集めているが、そのようにブロックチェーンの概念を拡大したのが、ヴィタリック・ブテリン氏の貢献によるものである。


自立分散型の社会とは、どこにも中央の管理者が存在しない社会である。


従って、全体主義のように1つの中心が全てを管理するような社会の正反対である。


これから、IOT(Internet of Things:物のインターネット)と呼ばれるようなあらゆるデバイス、機械類が全てインターネットに接続されて、人工知能によって制御するような社会が訪れようとしており、そうした社会の到来に合わせて、孫正義などの企業家が、半導体設計図の大手企業を買収し、こうした社会の発展の過程で、自社のチップを大量に普及させたいと考えているのである。

その時に例えば、スマートコントラクトのようにブロックチェーン上で、契約を管理すれば、全ての人に可視化されて、誰にでも見えるようになる。


その為、それを管理する役所や中央政府の役割は必要なくなっていくのである。もし将来的に必要であったとしてもそれは最小限の機能に留まると考えられる。


こうした自律分散型の社会というのは、私が以前から紹介しているノームチョムスキーのリバタリアニズム社会主義という概念にも通じる重要なものである。


つまり、自由と平等が実現された社会であり、しかも中央に管理者が存在しない、あるいは、極力政府の機能などが縮小された社会である。


おそらく、最小限の軍事、警察、水道、ガス、電気などのインフラ関係などを管理する機能が残ったとしても、公務員というものが、あまり重要でなくなる社会である。


公務員とそのサービスを受ける一般市民という二文法が成り立たなくなる社会である。


あるいは、ブロックチェーンや人工知能などのテクノロジーを使って、公務を一般市民が協力して負担していく社会と言ってもいいかもしれない。


これまではリベラル社会主義の発想では、社会福祉を充実させようとすると政府の機能を大きくしなければならず、大きな政府となって、政府の権能が強化され、税負担が大きくなり、その結果、不平等が促進され、管理社会となり、全体主義に行きつくという矛盾をはらんでいたのである。


つまり、社会福祉によって平等や富の再分配を推進しようとすると政府が強大化し、逆に不平等になってしまうという矛盾をはらんでいた。


そして、政府の規制などもきつくなって、自由のない社会になってしまうのである。


今でも日本の役所(各省庁)などは、自分たちの存在意義を守るために様々な必要のない規制や法律を考案するが、そうすることによって一般市民の自由というものが脅かされていく。



一方で、ミルトン・フリードマンやハイエクが主張したように個人の自由を推進していくと、その自由競争の中で勝利した少数の者たちが、市場を独占して、他の人々を労働力として、どんどん資本を増やしてしまう。

トマ・ピケティーが『21世紀の資本』の中で「r>g」という不等式で示したように資本収益率の増加は所得の成長率よりも大きいため、資本はどんどん大きくなり、資本を使ってビジネスをしている人と自分の労働力を売り物にしている人との間に格差がどんどん広がってしまうという真実を明らかにしている。



従って、野放しの自由も非常に危険であり、資本が市場を独占して全ての他者の経済的自由や経済的自立を阻害してしまうのである。


またノームチョムスキーが明らかにしていることであるが、自由競争で勝利した資本家はしばしば政府から手厚い保護を受け、経営が危ない時には政府によって補助金で(つまり税金で)救済されてきたという。


つまり、最初は自由競争であったものが、資本家が政府を取り込んでしまうために自由はなくなり、統制経済になってしまう。


従って、資本の一人勝ちは、また全体主義や管理社会につながってしまうのである。




それで、今までは自由を取るか、平等を取るかという2つの選択の狭間で揺れているのが、リベラルと保守という現在の2つの政治状況なのである。


どちらの政治政党によっても自由と平等を両方とも実現する社会、すなわち、リバタリアニズム社会主義を実現するアイデア、実現手段が欠けている状況であった。



そこで、今、ヴィタリック・ブテリン氏のような天才が世界に登場して来ているのである。



結局の所、資本主義というこの効率の良い社会システムを共産主義システムなどという非効率なものによって置き換えることはソ連の崩壊によって歴史的に失敗しているのである。



何故なら、ハイエクの言うように共産主義による統制経済では、中央の管理者が商品の生産量や価格を決定するのに莫大な人員の労力やコストがかかってしまう。



従って、商品の生産量や価格の調整は、資本主義の需要と供給による自律的なメカニズムでないと維持継続できないのである。



そんなことで、資本主義の方がより経済政策としては自然なものであった。



人々が商品を欲しがったり、儲けたいという欲望が存在することを性悪説的に認め、そうした自然状態の人間の現実を尊重しているからである。




むしろ、共産主義の方が不自然である。



平等という理想に向けて、中央による計画経済とか、配給などといった不自然なことを行なっているからである。



この不自然で無理な理想を実現するために巨大な官僚組織や全体主義的な中央政府の統制力を必要としたのである。



リベラル(左翼)は、平等や自由を重んじるにも関わらず、逆説的にこの巨大な中央政府と全体主義的な方向に人々を導いてしまう。




そこで、問題の解決は、やはり資本主義が洗練され進化していくという方向性しかなかったのである。



それが、今、ヴィタリック・ブテリン氏が進めているような自律分散型のプラットフォームや、人工知能などのテクノロジーである。




こうしたテクノロジーによって無駄な公務員の仕事を削減し、政府の機能を縮小して、税金を少なくし、更にあらゆる人が経済活動に参画できるような機会を提供するのである。



そして、更に自由競争の中で、どうしても勝ち負けが出てきてしまうが、そうした勝ち負けによって基本的な人権が奪われないようにベーシックインカムのような直接的な福祉制度によって、その格差の穴埋めをしていくのである。



そのことによって、資本主義の枠内の中で、ある程度の社会的平等を実現し、しかも自由競争もそれ程、制限しないで、他人の自由を制限しないレベルの自由を保障することが出来る。




確かにリベラル社会主義は、巨大な利権を握って環境破壊を起こすような巨大多国籍企業に対する反対運動などとしては有効である。



然し、リベラル社会主義は、反対運動としてしか存在意義を見出せないのであって、何も積極的に作り出すことは出来ない。



これまで人類の中に生み出されてきた積極的なものは、皆、資本主義のシステムの中で生み出されて来たのである。





従って、資本主義を高度に進化させ、自律分散型の社会を創っていくことは重要である。



ヴィタリック・ブテリン氏のように新しいイノベーションを起こそうとしている人物は、資本主義に対する否定形という形を取らずに着々と自由や平等を実現するための基盤を作り上げている。



非常に実際的で、実務的なワーカー(worker)であるということが出来る。



そのことによって、水瓶座の時代における監視社会や管理された全体主義的な社会という悪夢を回避することが出来る。




ヴィタリック・ブテリン氏は、ブロックチェーン技術をあらゆる社会活動に応用され、中央の管理者を必要としない自律分散型の社会を推し進めようとしている。



そのパイオニア的な立場にあるのが、ブテリン氏である。



私は水瓶座の時代は、水晶世界であり、全てが透明でガラス張りに見える社会であると以前から学んでいた。



つまり、隠されているものは全てなくなるのである。



それを推進するのは、やはり、ブロックチェーンなどのテクノロジーではないかと考えている。



現在は、税金がどれだけ集められて、どこにお金が流れているか、そうしたことが一切、秘密であったり明らかではない。



秘密にされていることが多く、一か所に集められた情報は、一部の権益者しか見ることが出来ない。



そして、そうした一部の権益者によって管理社会が営まれている。



管理社会は全体主義と同義語である。





前置きが長くなったが、そうしたことで、ヴィタリック・ブテリン氏は、世界に新しいイノベーションを起こしつつある非常に重要人物である。



イーサリアムの時価総額は3兆円に達し、ブテリン氏は、プライベートジェットで世界を飛び回っているという。



このヴィタリック・ブテリン氏は、会社を設立するのではなく、イーサリアム財団という財団法人を創設し、イーサリアムが一部の株主の所有物になるのを避けたかったと述べている。



NGOやNPOなどと同じようにパブリックな利益を重んじる人物であることが分かる。



実際、仮想通貨は、世界中のボランティアのプログラマーたちが、アイデアを出し合って、改良が重ねられている。



初期のインターネットが世に出てきた時と同様にボランティア精神によって運営されているのである。




このヴィタリック・ブテリン氏のチャートがどんなチャートであるのかは、作成する前から興味深く思っていた。








実際、作成してみると、やはり、水瓶座に土星と水星が在住しており、木星がアスペクトしている。



やはり水瓶座の時代を切り開く人物の一人であり、地球全体の経済活動のプラットフォームの構築という公共の利益を追求するという意味でのスケールの大きい活動が特徴である。



そして、山羊座に金星、太陽、火星が集中しており、蟹座にアスペクトしている。



従って、水瓶座の特徴となる公共の利益の追求的な発想が強く出ているが、山羊座-蟹座軸も強いので、個人主義的な所も強く出ている。



実際、イーサリアム財団とは、ヴィタリック・ブテリン氏の創業した会社のようなものであり、全てのアイデアを所有する唯一の独裁的なプログラマーとして、ヴィタリック・ブテリン氏が財団を管理していると言ってもよい。



従って、創業の2室に土星と水星が在住している配置が正しいのではないかと予想している。従って、ラグナは山羊座ではないかと推測している。



つまり、水瓶座に在住する土星や水星は、イーサリアムのブロックチェーンであり、それを開発し、育成していくことでどんどん時価総額が大きくなってゆき、自ら保有するイーサリアムの価値が上がっていく。


そのことで莫大な富を得ることが出来るのである。




山羊座ラグナで、山羊座に惑星集中していることは、リバタリアン的な中央政府の管理統制を受けないで自由に生きたいという発想ももたらすはずである。



従って、その辺りの部分では、徹底的に自由主義者であり、資本主義的であり、ハイエクの思想に近いと言うことが出来る。



というよりもハイエク自身が、貨幣は自由化すべきだと言っていたのであり、仮想通貨の登場は、ハイエクの理想でもあるということもできる。




プログラミングのスキルは、5室のケートゥが表わし、木星が10室に在住している為、世界各地に飛んで、講演や啓蒙活動的なことも行っているのだと思われる。



因みに服装のセンスなども良く、自己顕示欲もそれなりにあるのは、金星、太陽、火星がラグナに在住しているからではないかと思われる。




現在、世界から注目を浴びているのは、おそらく、トランジットの木星が10室を通過し、土星が射手座で逆行して、10室支配の金星にアスペクトして、10室にダブルトランジットが生じているからではないかと思われる。



またヴィタリック・ブテリン氏は頻繁に外国を訪れており、2018年3月には、日本にも来日し、外務大臣の河野太郎氏との三者で会談していたようである。



現在、土星が12室(海外)をトランジットして、木星が12室支配の木星にリターンしているので、12室(海外)にダブルトランジットしている。



従って、注目を浴びて、世界のあちこちで、講演をしたり、自らの考えをメディアに向けて表明する機会が増えているのである。




またヴィタリック・ブテリン氏は、2013年に世界中でビットコインがどう使われているかを調べるために旅行をしているが、2013年はトランジットの土星が10室を通過し、12室支配の木星にコンジャンクトし、またトランジットの木星は双子座6室から12室にアスペクトして、12室にダブルトランジットが形成されている。




従って、山羊座ラグナであると考えると、この時期に海外を訪れたことが分かるのである。




因みに写真を見ると、無骨で、素朴で野卑な感じが出ており、山羊座ラグナの特徴がよく出ている。







この海外旅行で、ブテリン氏は、重要な人物との出会いがあったと書いており、つまり、この時期に10室の高揚の座で、土星がトランジットしていたこととも状況が一致する。



つまり、この旅は、ブテリン氏にとって仕事の一部であり、重要な旅であったということである。




今回は、ヴィタリック・ブテリン氏のチャートを簡単に示すだけにとどめるが、また何か出来事があった際には、ヴィタリック・ブテリン氏のラグナについて検証してみたい。





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