最近、中国の内部事情について詳細に報告する非常に興味深い本を読んだ。
川島博之氏の「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」(講談社+α新書)である。
著者の川島博之氏は、農林水産省や東京大学農学部で、世界の食糧生産について研究して来て、中国の農村をこの20年の間に40回ほど訪問して、中国の現状にについてその体験から語っているという所から非常に信頼性が高い。
中国を外から眺めて、単に思弁的に語っているのではなく、実際に中国の農村の人々とコミュニケーションし、現地の人々の本音などを探ったという点が秀逸である。
この川島氏によれば、中国の人口は13億人いるとされているが、中国の人口は都市に住む4億人と残り9億人に別れるのだという。
そして、日本に旅行に来て大量に買い物をして帰ったりするのは、まず、この都市に住む4億人を指しているのだという。
まず、川島氏は中国の農村を訪れて、何故、こんなに中国の農村が貧しいのかに驚いたと語っている。
都市戸籍を持つ4億人と農民戸籍を持つ9億人には決定的な経済格差があり、それは戸籍アパルトヘイトと呼ぶことが出来るような支配と服従の関係性があるという。
中国の経済成長は、この農民戸籍を持つ9億人の犠牲の上に成り立っているというのである。
そして、この9億人の農民戸籍の人々の内、3億人ぐらいが都市に出稼ぎに来ている農民工であり、この農民工が非常に安い賃金で、サービス労働に従事していることで、都市戸籍の人々の生活が成り立っているのだという。
中国は既に過剰生産設備を抱えており、都市はこれ以上の経済成長が見込めなくなっており、農民戸籍を持つ9億人の貧しい生活という国内の矛盾に対処せず海外拡張政策を取っており、それが南沙諸島の埋め立てであり、また最近、空母を建造するなどの軍事力増強であると述べている。
この海外拡張路線は、習近平が率いる共産党指導部の誤りであり、こうした政策が返って、中国の崩壊を早めていると主張している。
ソビエト連邦が崩壊した時もソ連がアメリカに対抗して空母を建造したことが、財政的負担になり、それが崩壊につながったという。
空母を作り始めた中国も今、全くソビエト連邦と同じことをしようとしているというのである。
著者によれば、土地バブルの崩壊が既に起こっており、当局は、何とか財政出動によって、崩壊を食い止めているが、いずれ崩壊は避けられないという。
その時に中国の体制も変化せざるを得ないというのが、著者の主張である。
そして、本書の前書きにおいて、「(略)・・・崩壊が目前まで迫っている2020年の中国の姿が、明確に浮かび上がってくるのです。(略)」と綴っている。
この川島博之氏が本書で示した体験やデータに基づく考察は、非常に客観的で冷静な分析である印象を受けた。
実際に現地に入り込んで、原住民と暮らし、フィールドワークを通して、その原住民の文化や習俗について深く理解する文化人類学者のような視点で書かれている本である。
中国に関する本と言えば、右翼によって書かれた本は、中国がまもなく崩壊するという希望的観測から書かれていたり、もしくは、政治経済学者による中国が覇権国として台頭することを主張する本のどちらかである。
それらは経済や政治の動きだけを追っており、現地の民衆の生活などを深く体験した考察に基づいていない。
然し、川島氏の本書は、フィールドワークによって得た現地の生々しい情報から判断している。
中国の建国図を作成すると、現在、マハダシャー土星期であり、まもなく2019年9月24日からマハダシャー水星期に移行する。
この水星は9室の支配星で9室で高揚している。
従って、私は、以前、このマハダシャー水星期に移行したタイミングで中国が、経済主義、軍事拡大路線から精神主義に移行すると考えた。
9室は、高等教育や宗教、司法、思想環境を表している。
従って、中国指導部において思想的に大きな転換が行われるかもしれないのである。
そして、以前、読者の方からも様々な意見を頂いていたが、例えば、その中には中国で、大暴動が起こるというような観測もあった。
それは水星は6室支配で、8室支配の太陽と接合して、6-8室が絡み、更にラーフ/ケートゥ軸が絡んで傷つけているからである。
6室は労働者や社会的弱者、軍事などを表しており、8室は国家指導者の暗殺や失脚などを表わしたりする。
太陽は権力者を表している。
習近平には信頼できる側近は少なく、今にも体制内部で権力闘争が起こる可能性があり、それを海外への拡張路線によって、そうした体制内の不満が外に向かうように仕向けている。
独裁者の政治体制というものは長くは続かないのである。それは歴史的に見ても短命に終わる。
水星はMK(マトリカラカ)であり、4室の支配星に相当する。
この水星は8室支配の太陽やラーフ/ケートゥ軸によって傷ついており、傷ついた4室の支配星に相当する。
その水星のマハダシャーがこれから始まるということが重要である。
そして、中国の建国図では、2017年10月1日から2020年9月30日まで、双子座のメジャーダシャーに移行する。
そうすると、4室にMK(マトリカラカ)が在住し、太陽、ラーフ、ケートゥによって傷つけられている配置である。
4室は国土や土地を表しており、傷ついた4室は不動産バブルの崩壊を表しているかもしれず、また農業に従事する農民の異変を表しているかもしれない。
また4室は大衆による民主化運動も表わすようである。
ジャイミニメソッドで見ると、双子座をラグナとすると、4室の支配星が、太陽、ラーフ、ケートゥによって傷つけられており、更に水星はマトリカラカ(4室の支配星に相当)でもある為、二重の意味で4室が傷ついている。
またマトリカラカにはGKがコンジャンクションして傷ついている。
もし4室が大衆による民主化運動であるならば、太陽は8室を支配しており、それを支配者の失脚として見ることが出来る。
ナヴァムシャ(D9)を見てもそれが繰り返されている。
水星は3、6室支配で、4室(土地、不動産、民主化運動)に在住しており、8室支配の火星からアスペクトされている。
4室に6室の支配星と8室の支配星が絡んでおり、ここでも
土地、不動産、農業、民主化運動に関係する異変の象意が読みとれそうである。
中国は世界経済を牽引しており、その中国で、農民の暴動が起こり、現共産党指導部の体制崩壊などが起これば、それは世界にも多大な影響を及ぼすはずである。
そして、現体制が崩壊すれば、新しい思想に基づいた新しい体制となるはずである。
そのことが、9室支配の水星が9室に在住している意味なのではないかと思うのである。
中国の現状について <忍び寄る体制崩壊>
2017.12.26
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