先日、トヨタ自動車の豊田章男社長が、2023年4月1日付で、社長の座を降り、執行役員の佐藤恒治氏を抜擢する人事をメディアに発表した。
自らは会長に就任する模様である。
佐藤恒治氏は、技術畑出身で、3人の副社長を飛び越えての異例の抜擢となったとニュースが伝えている。
トランジットの土星が2023年1月18日に水瓶座に移動した直後のこの人事の発表を見て、豊田章男社長は、蟹座ラグナではないかと思った。
豊田章男社長は、自らモータースポーツやマスメディアに登場して、積極的にアピールすることを好み、最近、流行の社長自ら広告塔となって、会社の宣伝を行なうというスタイルを実践している。
例えば、テレビ通販で、自ら商品説明をするので有名だったジャパネットたかたの髙田明元社長のようなスタイルである。
蟹座は、自営業、個人プレーの創業社長に向いているが、2009年1月20日に豊田章男氏が社長に就任することが決まった時、創業家である豊田家系の社長就任は、1995年8月に退任した豊田達郎以来14年ぶりとのことであった。
蟹座ラグナは、会社を自分の個人所有の商店のように扱う為、小さな会社がこれから大きく成長していく時の創業社長のスタイルに戻ったと言えるかもしれない。
豊田章男氏は、2019年にトヨタ自らが情報発信をするためのメディアである『トヨタイムズ』を立ち上げたが、自分の独自メディアを起ち上げるというのも蟹座的に思えた。
外部の第三者に頼ろうとせずに全て自前でやろうとするのが蟹座である。
土星が蟹座から見て、8室水瓶座に移動した為、蟹座ラグナだろうと思ったのだが、上記のような日頃から豊田章男氏は、そうした蟹座のパーソナリティーの特徴をよく表していた。
豊田章男氏は、昭和60年(1985年)に三井物産副社長田淵守の長女・裕子と結婚している。
この時のトランジットを見ると、土星が蠍座をトランジットして、7、8室支配の土星にリターンし、7室支配の土星とコンジャンクトした上で、7室にアスペクトしている。
木星は、7室をトランジットして、7室にダブルトランジットしており、更にラーフ/ケートゥ軸が7室の支配星にトランジットしている。
従って、このタイミングでの結婚を完璧に説明している。
ダシャーは、ちょうど木星/木星期に移行したタイミングである。
木星はラグナ(7室から見た7室)に在住し、7室と7室の支配星にアスペクトしているが、月から見て、7室にも在住している。
そして、この結婚のダシャーのタイミングと後で述べる種々の理由から、ナヴァムシャのラグナは水瓶座ではないかと思われる。
ナヴァムシャのラグナは、蟹座から魚座までの9通りであり、木星が7室やラグナの支配星となる乙女座、射手座などが考えられたが、おそらく結婚生活のハウスである2室に在住する2室支配の木星期に結婚したと思われる。
理由はいくつかあるが、まず、豊田章男氏は、大学卒業後に渡米して、当初、語学習得が目的であったが、バブソン大学(マサチューセッツ州)のビジネススクールに入学し、1982年に経営学修士(MBA)を取得している。
大学卒業が、22歳頃だとすれば、渡米したのは、1978年のラーフ/金星期である。
出生図では、ラーフは5室(学習)に在住し、金星は月から見た5室の支配星で、ラグナから見て、12室に在住し、12室の支配星と星座交換している。
ナヴァムシャでは、水瓶座ラグナであれば、金星は留学を表わす9室の支配星で、マハダシャーのラーフはディスポジターの火星が5室(学習)に在住して、5室の支配星である水星と3-5の星座交換をしている。
通常、5室の火星は、マーケティングや販促などの学習を表しており、水星は商業、ビジネスの表示体であり、5室における水星と火星の絡みは、典型的な経営学の絡みである。
この時期に語学目的で、渡米したものの結局、経営学の勉強をして、MBAを取得したというのは、この絡みが活性化した為である。
アンタルダシャーの金星は、9室支配で9室に在住しているが、5室支配の水星と相互アスペクトして、この水星と火星の星座交換に絡んでいる。
従って、ラーフ/金星期に渡米して、経営学を学んだのである。
出生図では、ラーフは土星と共に5室に在住しているが、5室支配の火星が山羊座に在住して、土星と火星が星座交換している。
従って、ここでも火星が星座交換によって5室で定座に在住しているかのような効果を発揮し、それで経営学の特にマーケティングや販促といった営業の分野の知識に興味が向くことを示している。
因みに豊田章男氏は、MBAを取得した後、最初は、アメリカの投資銀行に就職したが、自分が豊田家の人間であるという周囲の目に悩み、1984年に投資銀行を辞めて、トヨタに入社している。
この時はちょうど結婚する前年であり、ラーフ/火星期から木星/木星期への移行期である。
木星がナヴァムシャで、2、11室支配で2室で定座に在住している配置は、家業を継いで、自ら経営することに向けて、歩みを始めたことを意味している。
また豊田家という家系の恩恵で、将来の経営者候補として、仕事に就けたことを意味している。
11室の支配星が2室で、強い配置は、最初から幹部候補で、肩書き、評価が与えられていたことを意味する。
父である章一郎は「(章男を)部下に持ちたいと思う人間は今のトヨタにはいない」と戒めたうえで、特別扱いはしないと言い渡したそうだが、そんなことはないと思われる。
父親は戒めを与えたとしても豊田の創業家の人間として、社員たちからは、将来、社長になる人物とみなされたことは間違いないのである。
出生図では、木星は9室支配で、ラグナに在住しており、師匠としての父親の保護と、監督をしっかりと受けたことを表わしている。
そして、普通の社員から実績を積み上げていくが、豊田章男氏は、2000年に同社取締役、2002年に常務取締役、2003年に専務取締役、2005年に副社長に就任して、順調に出世畑を歩んで来ている。
そして、2009年頃には、国内営業の担当役員に就任し、自ら各地の自動車ディーラーへ飛び込み営業して各店で頭を下げて回るなど積極的に営業していたようである。
この2000年以降に昇進を積み重ねた時期は、ちょうどマハダシャー土星期に入った頃から始まっている。
出生図では、5室支配の火星と星座交換しており、それで、この時期、積極的に営業を行っていたことが分かる。
wikipediaには、以下のように記されている。
2000年に同社取締役、2002年に常務取締役、2003年に専務取締役、2005年に副社長に就任した。役員に就任以降は「GAZOO」や「G-BOOK」など情報事業、中国事業で第一汽車や広州汽車との合弁会社で社長や副社長、世界戦略として推進した「トヨタIMVプロジェクト」統括、調達部門、などで力量を発揮し、国内営業の担当役員に就任以降は自ら各地の自動車ディーラーへ飛び込み営業して各店で頭を下げて回るなど積極的に営業している。 (wikipedia 豊田章男より引用抜粋) |
最初は情報事業から始まって、調達部門などでも力を発揮して、その後、国内営業の担当役員に就任したと記されている。
5室に在住するラーフと土星、そして火星との星座交換は、自動車の技術的な知識についてもある程度、詳しくなった可能性を示している。
調達部門などにいたことから推測できるが、ラーフ、土星、火星などのテクニカルプラネットの5室への絡みは技術的知識を表している。
因みに学生時代(おそらくラーフ/水星⇒ラーフ/ケートゥ期)は、法学部を卒業しているが、5室や5室の支配星に木星がアスペクトしている為である。
土星/金星期の試練
因みに2009年1月20日にトヨタ自動車は、豊田章男氏を社長に昇格する人事を発表している。
この時は、ちょうど土星/金星期であり、国内営業の担当役員に就任して、全国のディーラーに飛び込み営業していた時期とも重なっている。
社長に就任してから、2010年に世界的にリコール問題が発生し、米国に呼び出され、トヨタはバッシングを受けた。
社長就任直前の2008年にもリーマンショックで71年ぶりの連結営業赤字転落している。
この時、トヨタは、危機的状況にあったようである。
wikipediaには以下のように記されている。
章男が社長に就任した当時は、2008年にリーマンショックで71年ぶりの連結営業赤字転落、2010年に世界規模でリコール問題(トヨタバッシング)、2010年はトヨタのマスターテストドライバーの成瀬弘が事故死、2011年は3月に東日本大震災と7月にタイ洪水被害による操業一時停止、歴史的な円高などでトヨタは危機的状況であった。 (wikipedia 豊田章男より引用抜粋) |
蟹座ラグナの場合、金星も土星も機能的凶星になり、特に土星は7、8室支配で、8室の支配星になる為、困難である。
因みに金星は、4、11室支配で、12室に在住し、3、12室支配の水星と11-12の星座交換をしている。
これは、評価や収益を失う配置であり、この時期、トヨタは多大な損失を生み出したのである。
通常、11室と12室の星座交換は、稼いだ富を一夜にして失う配置である。
姉の存在
因みに3室の支配星が11室に在住したり、11室の支配星が3室に在住する配置は、兄弟姉妹の中で、最年長か最年少という配置である。
豊田章男氏には、姉がいるようであるが、3、12室の支配星と4、11室の支配星が星座交換して、3-11の絡みが生じている。
その為、姉がいて、兄弟姉妹の中で、最年少なのである。
因みにドレッカーナにおいて、11室の支配星が11室にアスペクトバックする配置は、姉兄が存在する配置である。
また木星が11室の支配星にアスペクトしている。
木星は兄姉の表示体だが、ドレッカーナのラグナに在住する場合、カラカ・バーバ・ナシュヤに相当する。
ラグナで、木星がハンサヨーガを形成する配置は、姉に恵まれるという配置かもしれないが、兄弟姉妹という表示を破壊する配置であり、姉との関係において、何らかの問題を抱えている可能性もある。
オウンドメディアである『トヨタイムズ』の立ち上げ
豊田章男氏は、2019年にオウンドメディアである『トヨタイムズ』を立ち上げている。
社長就任以来、メディアにはバッシングを受けることが多く、それで、自分でメディアを起ち上げて、以後は、メディアの取材は受けないようにしたようである。
wikipediaには、以下のように記されている。
情報通信技術の活用 情報通信技術の活用に積極的な姿勢を示している。業務改善支援室で働いていた頃、同僚らと中古車画像検索システム「UVIS(Used car Visual Information System)」を開発し、これをもとに店舗用端末ネットワーク「Gazoo」を実用化した。さらにインターネットを通じトヨタ自動車のみならず自動車に関連する情報を提供しようと、後述の友山茂樹と共にウェブサイト「GAZOO.com」を立ち上げ、その拡大に力を注いだ。また、車載端末を通じた情報提供を行うサービス「G-BOOK」の立ち上げにも尽力した。これらの事業は立ち上げ当初から現在まで豊田章男が一貫して担当している。 オウンドメディアによる情報発信 情報の発信手になりやすい現代の環境を最大限に活かし、大手メディアを通さず、自ら情報を発信することにも力を入れている。先述のGAZOO.comやYouTubeの『GAZOO Xチャンネル(現在廃止)』、トヨタイムズなどを次々に立ち上げている。また豊田自身もDJとして毎週自動車の話をする『DJ MORIZO HUNDLE THE MIC』も、ZIP-FMやYouTubeを通じて配信していた(詳細後述)。 (略)2020年6月11日に開かれた株主総会での質疑応答の席上、寓話の「ろばを売りに行く親子」の話を引用し、「要は『言論の自由』という名のもとに、(自分たちが)何をやっても批判されるということだと思います。最近のメディアを見ておりますと『何がニュースかは自分たちが決める』という傲慢さを感じずにはいられません」と公言、マスメディアの「ネガティブに報道する」「結論ありき」の態度を批判した。実際、オウンドメディアのトヨタイムズが発足して以降、大手メディアから取材申し入れがあってもほとんど応じていないという。 (wikipedia 豊田章男より引用抜粋) |
元々蟹座ラグナであり、メディアの3室と12室を支配する水星が、12室に在住する金星と星座交換している為、メディアによって損失を被ることが多かったと思われる。
その為、『トヨタイムズ』を立ち上げて、メディアをシャットアウトすることで、メディアとは決別したと考えられる。
この『トヨタイムズ』を立ち上げたのは、2019年だが、ちょうど3、12室支配の水星/水星期に移行した頃である。
水星は、メディアの3室を支配し、月から見ても5室に在住して5室支配の金星と星座交換している。
またナヴァムシャを水瓶座ラグナに設定すれば、水星は5室支配で3室に在住し、3、10室支配で5室に在住する火星と3-5の星座交換をしている。
従って、このタイミングで、メディアを起ち上げたことが分かる。
また自らメディアに出演して、DJとして毎週自動車の話をするそうであるが、そうした活動もこの配置が物語っている。
その他、情報通信技術の活用に積極的であり、店舗用端末ネットワーク「Gazoo」を実用化して、販売網の構築に貢献するといったことも豊田章男が一貫して担当して来たようであり、この配置がもたらしたことが考えられる。
何故、このタイミングで社長交代なのか?
まず、土星が水瓶座に移動して、蟹座ラグナから見た8室(中断、変化)へのトランジットを開始したことが原因である。
木星は、現在、魚座を通過中で、魚座から蠍座にアスペクトし、土星は水瓶座8室から蠍座にアスペクトして、8室の支配星に木星と土星がダブルトランジットしている。
従って、土星が水瓶座に移動して、急に中断の象意が出たのである。
まだ会長として人事権などは掌握し続けるようだが、現在、ラーフが10室をトランジットしていることもあり、まだ経営に対する未練があるのかもしれない。
然し、今年2023年の4月22日から木星が牡羊座に移動するが、その牡羊座には、月から見た8室の支配星が在住している。
そして、土星も牡羊座にアスペクトして、月から見た8室支配の太陽に対して、ダブルトランジットが生じることが分かる。
4-8の絡みが生じている為、社長の座(4室)の変化(8室)が生じ、社長室を明け渡したり、色々と社内的な引っ越しが生じるのかもしれない。
但し、その太陽は、2室支配で10室に在住している為、半分は会社の売り上げや営業に関心を持ち続け、会長として、会社のかじ取りを行いたいという状況なのである。
おそらく、現在は、そうした社長から退くという気持ちと、会長として、会社の経営に参画したいという気持ちが、拮抗した時期ではないかと思われる。
然し、その後、ラーフが9室に移動していくと、やはり、これまでの会社の経営からは、フェイドアウトしていくと考えられる。
社長からの辞任を表明したのは、今年に入った2023年1月13日だが、ダシャーは、水星/金星/金星期である。
マハダシャーロードの水星は、アンタルダシャーロードの金星と11-12の星座交換をしており、肩書き(11室)の損失(12室)を表している。
金星は、ナヴァムシャでは、9室支配で9室(10室から12室)に在住しており、仕事の損失を表している。
但し、幸福な9室の支配星で、9室に在住している為、幸福が失われた訳ではない。
ダシャムシャでは、金星は12室の支配星で、9室(仕事の損失:10室から12室目)に在住しており、やはり仕事の損失を表している。
ただこちらもやはり職場の幸福が失われた訳ではなく、仕事の最前線から退くという意味である。
因みにこうした社長からの辞任を表明した後、2月14日に社長辞任に呼応するかのように父親である豊田章一郎氏が死去している。
豊田章一郎氏死去、97歳 トヨタ名誉会長、元経団連会長 2023年02月14日20時13分 JIJI.COM トヨタ自動車名誉会長で、経団連会長を務めた豊田章一郎(とよだ・しょういちろう)氏が14日午後4時48分、心不全のため死去した。97歳だった。名古屋市出身。葬儀は近親者で行う。喪主は現社長の長男章男(あきお)氏。後日、お別れの会を開く。 トヨタの創設者である豊田喜一郎氏の長男として名古屋市で生まれた。自動織機を発明した豊田佐吉氏は祖父に当たる。 章一郎氏は1947年名古屋大工学部を卒業後、52年に取締役としてトヨタ自動車工業(当時)入社。以後、豊田家のプリンスとして帝王学を学び、82年にトヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売が合併した「工販合併」でトヨタ自動車社長に就任した。 社長時代には米国工場建設や独フォルクスワーゲンとの提携など業務のグローバル化を推進。住宅事業の立ち上げにも力を注いだ。92年に弟の達郎氏に社長ポストを譲り、自らは会長に就いた。 経団連では94年、自動車業界から初めて会長に選任された。規制緩和や税制改革など日本経済の構造改革推進を政府に強く働き掛けるとともに、米国や欧州、アジアを相次いで訪れるなど「世界に開かれた経団連」を目指して活動した。 経団連会長退任後は、2005年日本国際博覧会(愛知万博)協会会長などを歴任した。桐花大綬章を受章。 |
このタイミングは、水星/金星/太陽期である。
父親の9室(魚座)をラグナとすると、マハダシャーロードの水星は、4、7室支配のマラカで、アンタルダシャーロードの金星は、3、8室支配で、マラカの水星と星座交換し、プラティアンタルダシャーの太陽は、病気の6室を支配して、マラカの2室に在住している。
因みに太陽は、ラグナからは両親の2室を支配し、火星と、逆行の8室支配の土星からアスペクトされている。
ナヴァムシャでも金星は、9室の支配星で、アンタルダシャーロードの水星は、8室の支配星で、金星と相互アスペクトして8-9の絡み(父親の不幸、父親の損失)が生じている。
プラティアンタルダシャーロードの太陽は、父親の表示体で、8室に在住して、12室の支配星とコンジャンクトしている。
父親の9室(天秤座)をラグナとしても、金星は、8室支配でラグナに在住し、水星はマラカの7室に在住し、太陽は、12室に在住して、土星とコンジャンクトし、火星からアスペクトされている。
念の為、ドワダシャムシャ(D12)を見て、9室(山羊座)を父親のラグナとすると、金星はマラカの7室に在住し、水星は6室の支配星で、太陽は、8室の支配星で、4、11室支配の火星と星座交換している。山羊座ラグナにとって、傷ついた4、11室支配の火星はマラカとなり得る。
また太陽(蠍座在住)を父親のラグナとすると、水星は8、11室支配のマラカで、金星は、7室支配のマラカ、太陽は、6室支配の火星と星座交換し、土星、火星によってアスペクトされ、ラーフ/ケートゥ軸と絡んで傷ついている。
ドワダシャムシャ(D12)でも父親の死が十分に説明できることから、ダシャムシャのラグナは、蠍座で正しいと思われるが、水星は、8、11室支配で、6室に在住し、減衰する10室支配で12室に在住する太陽と相互アスペクトしている。
10-8の絡みがあり、仕事の中断を表わす配置である。また水星自身が、ダシャムシャにおける8室の支配星として仕事の中断を表わしている。
この配置があるために今回の突然の社長辞任劇となったと考えられる。
後に述べるが、水星期は、もし豊田章男氏がトヨタ自動車の経営に留まり続けるとすれば、今後の水星期は、トヨタ自動車にとって良さそうには見えないのである。
このように見て来ると、豊田章男氏の出生図のラグナは、蟹座アーシュレーシャ第3パダ、ナヴァムシャのラグナは水瓶座、ダシャムシャのラグナは蠍座、ドヴァダシャムシャ(D12)のラグナは、牡牛座ではないかと思われる。
今後のトヨタはどうなるか?
この豊田章男氏が、2019年からマハダシャー水星期に移行したというのは、トヨタ自動車にとっては問題のある時期である。
既に述べたように水星は、3、12室支配で、4、11室支配の金星と11-12の星座交換をしており、これまで得て来た利益を全て吹き飛ばすような巨額の損失を表わす配置でである。
そして、その水星には、7、8室支配の土星がアスペクトし、ラーフ/ケートゥ軸が絡むことで、より深刻さを増している。
豊田章男氏にとって、マハダシャー土星期というのは、非常に良い時期だったと分かる。
何故なら、5、10室支配のヨーガカラカの火星が、7、8室支配の土星と星座交換して、強力な5-7のラージャヨーガを形成し、土星は、高揚するヨーガカラカの火星の力を得ているからである。
また月から見ても火星は4、11室支配で、1、2室支配の土星と、1-11の星座交換をして、強力なダナヨーガを形成している。
従って、豊田章男氏が、2000年から役員として、社長に昇り詰めるまでのこの19年間は、土星/金星期の試練を除けば、トヨタにとって非常に良い時期だったのである。
然し、水星期は、豊田章男氏にとって、損失の時期であり、月から見て6、9室支配の水星が、5、10室支配の金星と5-6の星座交換をする時期で、奮闘の象意が見られる。
水星は金星と星座交換し、ラージャヨーガを形成し、ナヴァムシャでも、水星と金星は3-9室の軸で、相互アスペクトして、ラージャヨーガを形成している。
然し、土星期に発揮したような高揚したルチャカヨーガの火星がもたらす営業力などを発揮することは出来ない。
水星は、『オウンドメディア』の立ち上げなどには貢献したが、トヨタ車を世界に普及するような力強さを発揮できそうな時期にはなっていない。
従って、このマハダシャー水星期に入って、社長を引退するというのは、自然な流れである。
水星は12室を支配し、12室の支配星と星座交換しているが、これは12室は引退を示唆する配置である。
現在、AI搭載の自動運転の電気自動車(EV車)が登場し、こちらへの乗り換えが遅れたトヨタは、非常に危機的な状況にある。
今は、円安である為、海外への販売によって、大きな営業利益が出ているが、今までのガソリンエンジンの車を販売して、得られている利益であり、まだ本格的に電気自動車への移行が起こっていない為にこれまでの余韻で、得られている利益である。
トヨタの自動車の有能さが評価された訳ではない。
例えば、堀江貴文などのyoutuberは、電気自動車という自動車の概念を換える技術革新が起こっている為、今後、トヨタは危ないと主張している。
こうした状況は、『イノベーションのジレンマ』クレイトン・クリステンセン (著)に詳しいが、かつて巨大なカメラやフィルムを扱っていたコダックという会社が、デジタルカメラの登場によって、跡形もなく消え去ったことについて述べられている。
自動車産業界の成功企業であるトヨタ自動車は、その成功体験が捨てられず、電気自動車というイノベーションへの対応が遅れている。
自動運転の電気自動車は、自動車単体が重要ではなく、自動運転などをスムーズに行なうためのビッグデータとAIによる機会学習などにより大きな価値が生じてしまう。
そうした意味で、豊田章男氏のマハダシャー水星期は、それ程、良さそうには見えない。
例えば、情報の活用は昔から行って来た為、水星期は、今後、ビッグデータやAIの活用をしていくということを意味すると考えることも出来るが、損失の象意を持っていることは確かである。
水星期は、2036年まで続き、その後、2036年からケートゥ期が来るが、ケートゥのディスポジターは、12室に在住し、12室の支配星と星座交換する金星である。
従って、豊田章男氏が経営から退き、速やかに後任の人にバトンタッチしたのは良いことであり、また自然な流れだと言える。
現在、日本の建国図で、日本はマハダシャーケートゥ期に移行しており、日本経済の衰退が現実化して来ている。
それに呼応するかのように日本の旗艦産業である自動車産業が、今、危機的状況に入ろうとしているのかもしれない。
豊田章男氏の水星期からは、若干、そうした状況を予感させるのである。
一国の国王のようなチャート
トヨタ自動車は、売上高が、27兆円で、純利益1兆円ぐらいの巨大企業で、小国の国家予算ぐらいの規模を持つ会社である。
その創業家の御曹司である豊田章男氏は、一国の国王の跡取り息子といった存在である。
その出生図は、非常に興味深いが、チャートのポテンシャルを見ると、やはり、非常に強力だということが分かる。
まず、木星がラグナと月から見て、ケンドラで高揚して、ハンサヨーガを形成し、火星もラグナと月から見て、ケンドラで高揚して、ルチャカヨーガを形成している。
この木星と火星が、グル・マンガラヨーガを形成し、叡智と実行力のコンビネーションを結び、更に月と木星はケンドラの位置関係にあり、ガージャケーサリヨーガを形成している。
そして、2室支配の太陽が10室で高揚し、5、10室支配でヨーガカラカの高揚する火星からアスペクトを受けている。
また火星と土星は、星座交換して、5-7のラージャヨーガ、月から見て、1-11のダナヨーガを形成し、火星も土星も高揚する木星からのアスペクトを受けている。
そして水星と金星も星座交換して、両方は定座に在住するかのような強さを得ている。
従って、高揚する3つの惑星、そして、その2つはマハープルシャヨーガで、2つの星座交換を持つという極めて、強力なチャートである。
そして、ナヴァムシャでも木星と金星が定座にあり、火星と水星が星座交換し、月と木星は、再び、ガージャケーサリヨーガを形成している。
惑星の支配や在住、絡みによっては、厳しい状況にも直面するチャートだが、そもそも惑星のポテンシャルが非常に強く、やはり、非凡なチャートだということが出来る。
但し、蟹座ラグナである為か、自動運転や電気自動車への投資が遅れており、豊田章男氏自身が、自分は古風な人間であると語るようにビッグデータと人工知能を駆使した未来の自動車業界に対応出来ていないのかもしれない。
豊田章男氏が社長を務める間、トヨタ自動車は、『トヨタイムズ』というオウンドメディアを開始したり、自分の殻にこもる蟹座的な経営を行っていたかもしれない。
やはり、企業は、会社の経営者のパーソナリティーや考え方などに色づけされていくものだが、蟹座ラグナだと、風の星座というものがモクシャハウスとなり、8室や12室だとドゥシュタナハウスとなって、物質的な繁栄という意味では、あまり、プラスにならない。
だから、豊田章男氏の12室双子座に在住する金星は、アメリカに呼び出されてリコール問題で多大な損失を出す表示体として機能したのである。
人工知能やビッグデータの時代は、風の星座と親和性が高く、風の星座が富を生み出すようなチャート配置をしている経営者でないと難しいかもしれない。
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