メルマガ読者の方から、ゴルバチョフの頭のアザは、ラグナにケートゥが在住し、土星がアスペクトしている為ではないかとの考察について連絡を頂いた。
最近、ゴルバチョフがメディアの取材を受けて、プーチンのウクライナ侵攻について発言したこともあり、注目が集まっている。
メルマガで配信しているが、ジャータカタットヴァ(Jataka Tatva)のスティカタットヴァ(Sutika Tatva)の章の153節には以下のようなシュローカがある。
153. The limb denoted by the sign occupied by Rahu and Saturn will have a black scar. (訳)ラーフと土星が在住する星座によって示された手足には、黒い傷跡(あざ)があるでしょう。 |
ラーフと土星が在住すると手足に黒いあざが出来るとする言及だが、それを応用すると、頭は1室である為、ラグナにこれらの惑星の影響があるので、頭にアザがあるのではないかということである。
実際、アストロデータバンクのデータを利用して、ミハイル・ゴルバチョフのチャートを作成すると、乙女座ラグナでラグナにケートゥが在住して、土星がアスペクトしている。
従って、頭にアザがある理由は、この為ではないかというのである。
ゴルバチョフのデータは、Rodden Ratingのカテゴリーが、DD(Dirty Data)になっており、あまり信用できないデータであるが、結婚したタイミングや子供が誕生したタイミングを検討すると、この出生データで良さそうである。
少なくともナヴァムシャのラグナまでは、この出生データで使えそうであることを示している。
結婚のタイミング
例えば、ゴルバチョフは、1953年9月にライーサ・チタレンコ(ライサ夫人)と結婚している。
トランジットを確認すると、1953年9月1日の惑星配置を確認すると、土星が天秤座に移動した直後であり、木星は双子座に移動する直前であった。
これを10日ほど遡らせると、土星は乙女座をトランジットし、木星は牡牛座をトランジットし、乙女座にダブルトランジットしていた。
ゴルバチョフのチャートの7室支配の木星は、10室双子座に在住しているが、土星は乙女座からアスペクトし、木星は双子座に移動する直前である為、既に双子座に移動した効果を発揮している。
従って、ラグナと7室の支配星にダブルトランジットしている。
また9月1日に木星は双子座に移動し、土星は天秤座に移動するが、木星は7室の支配の木星にコンジャンクトし、土星は天秤座に移動してしまったが、少なくとも1ヶ月は、乙女座への影響が残存する。
従って、1953年9月に入ってからも暫く7室の支配星に対して、ダブルトランジットを形成していた。
また木星は双子座から2室にアスペクトし、土星は2室をトランジットしている為、2室(結婚生活)にダブルトランジットが生じている。
ダシャーを見ると、金星/ラーフ期であり、金星/ラーフ期はしばしば無条件で結婚をもたらす時期である。
出生図では、金星は結婚生活の2室を支配し、ラーフは7室に在住している。
ナヴァムシャでは、金星は5室支配で9室に在住し、結婚生活を表わす2室の支配星とコンジャンクトしている。
ラーフは結婚生活の8室に在住し、ディスポジターの土星は7室に在住し、ラグナロードの水星(7室から見た7室の支配星)とコンジャンクトしている。
従って、結婚をよく表している。
ナヴァムシャのラグナは双子座で良さそうである。
因みにナヴァムシャのラグナが双子座であれば、10室支配の木星は10室でハンサヨーガを形成し、太陽(政治権力)とコンジャンクトしており、政治家としての仕事を表している。
子供の誕生のタイミング
因みに1957年1月に娘のイリーナが誕生している。
トランジットを確認すると、木星がラグナから5室にアスペクトし、土星が蠍座から5室にアスペクトして5室(子供)にダブルトランジットしている。
5室には9室支配の金星が在住している為、9室の支配星にもダブルトランジットし、また木星と土星は9室にもアスペクトして、9室にもダブルトランジットを形成している。
従って、5室、9室の支配星、9室に木星と土星がダブルトランジットしており、子供の誕生のタイミングを完璧に表わしている。
娘が誕生した1957年1月は、金星/木星期であり、サプタムシャで、金星は5室の支配星で、木星は5室に在住している。
従って、このタイミングで、子供が誕生したことをよく表している。
ゴルバチョフの出生データのRodden Ratingは、DDだが、少なくともナヴァムシャまでは使用できる正しいデータであると考えられる。
頭にアザがある理由
従って、読者の方が、ケートゥがラグナに在住し、土星がラグナにアスペクトしているから、頭にアザがあるという指摘を頂いたがおそらくその通りである。
更に言えば、土星はラグナロードの水星にもアスペクトし、また1室の表示体である太陽にもアスペクトしている。
またラグナロードの水星と太陽は、3、8室支配の火星からのアスペクトも受けている。
おそらくゴルバチョフが頭にアザがあるだけでなく、頭髪がない(禿げている)こともラグナやラグナロード、太陽にケートゥや6室支配の土星、8室支配の火星が絡んでいる為である。
またゴルバチョフは10室支配の水星に太陽が絡んでいる為、政治家として活躍したが、常に右派と左派の中間のポジションにいてバランスを取ることで権力を維持しており、政治権力は不安定であり、権力基盤は盤石ではなく、右派と左派の対立が武力闘争という形で激化した時に軟禁状態にされ、書記長としての政治権力を失う結果となった。
このようにソ連の書記長にまで就任した人物であるが、10室の支配星と太陽が6室(奮闘)に在住し、6室支配の土星や8室支配の火星からアスペクトされている為、不安定な権力基盤の中で、書記長に就任したことがよく分かる。
ミハイル・ゴルバチョフの再登場
今回、私が驚いたのは、プーチンのウクライナ侵攻という危機的状況の中で、ペレストロイカ、グラスノスチで、ソビエト連邦の崩壊と民主化をもたらしたミハイル・ゴルバチョフ氏が担ぎ出されたことである。
ゴルバチョフ財団が声明「一刻も早い停戦を」 ロシアのウクライナ侵攻で 2022/3/13 12:17 琉球新報 東西冷戦を終結に導き、ノーベル平和賞を受賞した元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(91)が総裁を務める「ゴルバチョフ財団」は、ロシアのウクライナ侵攻について「一刻も早い戦闘行為の停止」などを求める声明を発表した。2月26日付。 声明は「世界には人間の命より大切なものはなく、あるはずもない。相互の尊重と、双方の利益の考慮に基づいた交渉と対話のみが、最も深刻な対立や問題を解決できる唯一の方法だ。我々は、交渉プロセスの再開に向けたあらゆる努力を支持する」として早急な平和交渉を求めた。 ゴルバチョフ氏の母と、妻の故ライサさんはウクライナ人。ライサさんの多くの親戚がまだウクライナにいるという。ゴルバチョフ氏は「ロシアとウクライナの間に敵意をあおり、両国の関係悪化に並々ならぬ関心を持ち、この地域に不安定さを必要とする誰かがいる」とコメントしている。ゴルバチョフ氏は過去に3度来沖している。 |
ソ連の崩壊や東西ドイツの統一などの一連の雪解けをもたらした時代の英雄が再び担ぎ出されたのだが、まだゴルバチョフ氏が生きていたことに驚いた。
ゴルバチョフには、ロシアには、民主主義という未来があるのみであるという固い信念がある。
然し、ゴルバチョフがもたらしたソ連の崩壊の中で、ロシアを再び、独裁的な強国として復活させたのが、プーチンである。
ゴルバチョフの再登板は、歴史の正統な流れは、民主化であり、プーチンの治世は、一時的に時代の流れに逆行したものであることを印象づけるものである。
オノヨーコのチャートとの共通点
因みにこのゴルバチョフのチャートで興味深いのは、オノヨーコのチャートと似ている点である。
ビートルズのジョンレノンの妻であったオノヨーコもラグナロードで10室支配の水星が太陽と共に6室に在住しているが、この配置は、彼女が、反戦運動家、黒人解放運動家、女性解放運動家と交流し、政治運動に傾倒していったことを示す配置である。
アメリカでの活動であった為、共産主義イデオロギーなどは掲げていなかったが、リベラル左翼的な反体制的な活動であった。
オノヨーコは、1971年までの金星/土星期には、前衛芸術家として活動していたが、金星/水星期になってから、急に反戦運動、黒人解放運動、女性解放運動に参加するようになった。
つまり、ラグナロードで10室支配で6室(暴力、闘争)の水瓶座(共産主義)に在住し、太陽(政治)とコンジャンクトした水星は、反体制的で左翼的な政治運動を表しているのである。
ゴルバチョフは、書記長という形で、ソビエト連邦のトップに就任した人物だが、グラスノスチ(情報公開)とペレストロイカ(政治体制の改革)という2つの重要な政策により、表現の自由、集会の自由、信教の自由、出国の自由、選択肢のある選挙、複数政党制、市民の権利と自由などがもたらされ、冷戦の終結、東西ドイツの統一、核軍縮などがもたらされ、結果として、ソビエト連邦の崩壊をもたらした。
従って、自由や平等、民主主義などを求める反体制的指導者が、ソビエト連邦の権力の座に就いたようなものだったのである。
その為、グラスノスチ(情報公開)とペレストロイカ(政治体制の改革)という重要政策によって、全体主義的なソビエト連邦を内部から突き崩したのである。
この1990年代に人類の歴史を推進するのに役割を果たしたソビエト連邦の英雄的人物が、メディアに再登場したことは感慨深かった。
1990年代から続いてきた民主化の流れは、新自由主義(ワシントンコンセンサス)やブッシュ政権のイラク戦争、ロシアのプーチンの台頭などによって、時計の針が逆回転し、巻き戻されていたのである。
然し、今、プーチンの最後のあがきによって膿を出し、再び、新世界秩序に向けて、歴史は大きく変化しようとしている。
ゴルバチョフのその後の歩み
ゴルバチョフには、冷戦の終結、東西ドイツ統一、ソ連統治下の人々に自由や民主主義をもたらした人物として、普遍的な評価も受けているが、右翼や民族主義者からは、ソビエトを解体し、国難をもたらした失政者としての評価もある。
然し、ゴルバチョフの顔には、精気がなく、決して若き日のような朗らかさはない。(単に歳をとっただけではないと思われる)
ソビエトの全体主義体制下の国民に自由や民主主義をもたらす意図で、グラスノスチ、ペレストロイカを推進したことは善意に満ちていたが、それによってソビエト連邦は崩壊し、急速に市場経済を導入したことによって、国内経済は混乱状態に陥った。
西側は、崩壊したソビエト連邦に対して、手を差し伸べず、それを黙って見ていたと、ゴルバチョフは、恨み節で回想している。
西側の資本家たちが、火事場の泥棒的に旧ソビエト連邦の関係国から、ロケットや兵器をクズ値で買い取って持ち去るようなことも行なわれた。
ちょうど多重債務者が家を差し押さえられて、債権者たちが、家からあらゆる金目のものをハイエナのように持ち去るような状況であった。
善意に満ちていたゴルバチョフに対して、西側の指導者たちは、悪意に満ちていた。
その後、この西側指導者たちは、新自由主義という形で、アメリカによる第二の植民地政策、経済的な帝国主義政策を行なった。
そして、NATO加盟国を拡大し、ロシアを標的としたミサイル基地なども建設してきた。
その西側の貪欲な新自由主義に対して、プーチンが民族指導者として、国民を保護したという側面も持っていた。
プーチン政権下でのゴルバチョフの人生とは、決して、安易なものではなかったと思われる。
国内の右翼、民族主義者から常に白い目で批判に晒される立場であり、またアメリカが進める新自由主義、イラク戦争などの時計の逆回転を苦々しい思いで見ていたと思われる。
そうした苦渋の人生が、このゴルバチョフの憮然とした精気のない虚ろな顔つきに現れている。
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