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大坂なおみ - 全米オープン初優勝と波乱の授賞式 -

2018 9/13

大坂なおみが全米オープンで、セリーナ・ウィリアムズ(米国)を破って、全米オープンで優勝した。


但し、試合は気持ちの良いものとは言えず、セリーナ・ウィリアムズのコーチが客席からコーチング(指導)を行なっていると判定され、警告を受けた際に、その主審に対してセリーナ・ウィリアムズが猛烈に抗議して「泥棒」呼ばわりし、またラケットを叩きつけて壊したり、主審と言い争い、たびたび警告を受けるなど、ゲームは荒れた展開となった。


そして、受賞式でもセリーナのファンによるブーイングで、大坂なおみが泣きだすなどして、大坂なおみの初優勝を台無しにしたとして物議を醸している。





大坂なおみに対する扱いに対して米紙が批判するなど、様々な物議を醸した大会となった。


大坂なおみは優勝はしたが、何故、このような試合になったのか、占星術的には非常に興味深いものがある。


それを解明するには、大阪なおみのラグナを特定しなければならないが、種々検討の結果、ラグナは山羊座ではないかと思われる。





まず、出生時間が00:00:01~14:22:08までは大阪なおみの月は魚座である。


14:22:09~23:59:59だと月は牡羊座に移動してしまう。



大坂なおみのチャートの特徴として、減衰する木星と土星の星座交換が挙げられる。



月が魚座ラグナであれば、チャンドララグナから見て、木星と土星は1室-11室で星座交換するため、成功してタイトルを獲得したり、受賞する人物のチャートとなる。



一方で、月が牡羊座だと10室と12室で星座交換してしまうため、大坂なおみのテニスプレイヤーとしての成功に合致していない。



また大阪なおみはメンタルが弱いと言われており、試合中に自分の思い通りにならないと落ち込んでそこから崩れてしまうことが多かったようである。



こうしたメンタルの弱さは、月と土星がコンジャンクトすることでもたらされていたと考えることができる。





従って、月は魚座で間違いないと思われる。出生時間は00:00:01~14:22:08の範囲内である。



木星は減衰しているが、一流の人物のチャートに減衰惑星がある場合は、まず、パラシャラの例外則やニーチャバンガラージャヨーガが形成されていることをまず想定すべきである。



木星はディスポジターである土星と星座交換しているため、ニーチャバンガラージャヨーガを形成している。



山羊座ラグナに設定したのは、それに加えて、3室支配の木星がラグナで減衰して、パラシャラの例外則によるラージャヨーガ的な働きがあったと考えられるからである。



ラグナが山羊座であれば、1-3の星座交換も成立しており、3室はスポーツのハウスであるため、スポーツに縁のあるチャートになる。



また3室はメディアのハウスでもあるため、テレビに頻繁に出演することになる。




全米オープンの決勝とはプロテニスプレイヤーにとって大舞台であり、それには10室が関わっていると考えられ、また優勝したのであれば11室なども関係してくると考えられる。



もし山羊座ラグナであれば、現在、トランジットの木星は10室を通過中であり、まもなく蠍座11室に入室するため、11室への影響も発揮しているタイミングである。



またトランジットの土星は12室を通過中であるが、9月6日までは射手座で逆行していた。





決勝は9月8日であるため、2日前まで逆行していたということである。



現在、まだ逆行の効果が残存していると考えるべきである。



木星と土星は通常、星座入室の2か月前からその効果を発揮し始めるが、星座を移動した後も前の星座に影響が残存するのである。



従って、そのロジックが適用できると考えられる。



そうすると、トランジットの土星は蠍座11室に影響して、11室の支配星に絡んでいる。



従って、11室には5、10室支配のヨーガカラカの金星が在住しているため、その10室支配の金星にも土星が影響して、10室と11室にダブルトランジットが生じている。




全米オープンという大舞台で優勝して賞金や知名度を上げるというこのタイミングはまさに10室や11室にダブルトランジットが形成されるタイミングなのである。



現在のタイミングで、そのような状況をもたらすことができるラグナとして、山羊座ラグナが有効である。




現在、木星と金星が山羊座から10室天秤座をトランジットしているが、山羊座ラグナに設定すると、現在のダシャーは金星/土星期である。



少し前まで金星/木星期であった。




マハダシャーロードの金星は10室を通過しており、アンタルダシャーロードの木星も10室を通過している。



従って、金星/木星期というのは非常に調子が良い時期であったと考えられる。




山羊座ラグナに設定すると、金星/木星期は2015年11月頃~2018年7月頃になるが、この頃、大坂なおみは、サーシャ・ベイジンをコーチとして迎え入れている。





このサーシャ・ベイジンは、セリーナ・ウィリアムズやビクトリア・アザレンカ、キャロライン・ウォズニアッキなどの女子プロテニス界の一流選手たちのヒッティングパートナーを務めていた人物で、この大坂なおみとの契約が、コーチとしての初仕事になる。



このサーシャ・ベイジンと契約した途端に大坂なおみの成績は、急上昇し、全豪オープンベスト16 (2018年2月)、BNPパリバ・オープン優勝(2018年3月)、全米オープン優勝(2018年9月)と成績を上げて来ており、世界ランキングも68位から7位に上昇したようである。



このサーシャ・ベイジンは名コーチで、悲観的で不安定になりやすかった大坂なおみのメンタル面が改善され、本来の実力が発揮できるようになったと言われている。



このサーシャベイジンのチャートを作成すると、月が山羊座に在住している。





従って、このサーシャ・ベイジンは、大坂なおみのチャートの中では、ラグナに在住して、ニーチャバンガラージャヨーガやパラシャラの例外則を形成する木星の表示体になっていると考えられる。



それで、金星/木星期にこのサーシャ・ベイジンをコーチに迎え入れて、成績が急上昇したと考えれば納得が行くのである。



特に木星は月から見て1-11の星座交換を形成しており、大坂なおみが、受賞したり、称号を得る時期を表している。





山羊座ラグナに設定する場合、11室支配の火星が11室に在住しているが、これは姉がいることを説明する配置である。





大坂なおみには姉がいて、姉と共にテニスをしてきたようである。



また5、10室支配のヨーガカラカの金星が11室に在住するが、マハダシャー金星期に大手のスポンサーと契約をしてプロテニスプレイヤーとしての知名度と巨額の契約料を稼ぐようになっている。


それらの金星期の成功は、この配置で説明することができる。



金星はヴァルゴッタマで非常に強い配置である。




因みにコーチのサーシャ・ベイジンは、大坂なおみのことを「完璧主義で自分に厳しすぎる」と評価している。


サーシャ・バジンコーチ「大坂なおみは完璧主義で自分に厳しすぎる」
2018.09.01 11:00 THE TENNIS DAILY

「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月27日~9月9日/ハードコート)で、大坂なおみ(日本/日清食品)は2回戦もユリア・グルシュコ(イスラエル)に6-2、6-0と50分で圧勝しており、今大会でさらなる活躍が期待される。

その大坂を指導するサーシャ・バジンコーチは、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、カロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)のヒッティングパートナーを務めてきており、大物選手の細かい点まで知りつくしている。

現在大坂のチームに入っている同コーチが今回、大坂なおみについて「完璧主義で、自分に厳しすぎる」とした一方で、「素晴らしいのは彼女を強く励ます必要はなく、(大坂は)テニスを愛していて、コートに押し出さなくてもいい。むしろ落ち着かせて、地に足をつけさせないと」と大坂との関係についてWTA公式サイトで語った。

他方でバジンコーチは、大坂の完璧主義についてさらに語る。「泥くさい勝ち方をするつもりはない、という気持ちがあるわけでは無いだろう。上手くいっているポイントではなく、上手くいっていない要素の方にフォーカスしすぎることが時々ある」とした上で、大坂自身が答えを掴みかけているところだと解説した。

大坂は、試合中に動揺しないことが課題だと自身でも語っている。一方で、最近では全員が素晴らしい選手で、100%自身の優位というわけではないといったマインドセットなども胸に、着実に進歩を遂げている様子だ。

今大会でも大坂の成長の数々を目にする可能性もありそうだ。

(テニスデイリー編集部)

完璧主義と言えば、射手座のプールヴァアシャダーやウッタラアシャダーは、無敵や完全性を求めるナクシャトラである。


これらのナクシャトラは無敵、完全無欠でなければ納得できないのである。



従って、これらのナクシャトラの性質が現れたものだと考えると、山羊座ウッタラアシャダーの第2パダ~第4パダがラグナの配置ではないかと考えられる。



ナヴァムシャのラグナは、山羊座~魚座である。



このうち大坂なおみにアスリートとしての歩みをさせたと考えられるラグナは山羊座ラグナである。



ラグナがヴァルゴッタマになり、ラグナロードの土星がラグナに在住して、シャシャヨーガを形成し、フィジカル面で強くする配置である。



金星は出生図と同じように5、10室支配のヨーガカラカで11室に在住しているため、ヴァルゴッタマとして強力な配置となり、金星期の成功を更に強化することとなる。



そして、大坂なおみの大きな特徴として、月、金星、水星、太陽がヴァルゴッタマであることが挙げられる。





9室に在住する太陽のディスポジターである水星は10室に在住し、水星のディスポジターである金星は11室に在住している。




因みに9室に在住する8室支配の太陽は、父親との関係を表していると考えられる。



サーシャ・ベイジンが来る前まで、実の父親がずっと大坂なおみのコーチだったのである。



その父親がつきっきりで、大坂なおみの指導をしてきた為、この配置は父親との強い縁を表している。



8室と9室の絡みは、師匠との寝食を共にするぐらいの濃密な関わりを意味している。



実際、実の父であるからそうした生活をしてきたことは間違いないと言える。




この8室支配の太陽が3室(訓練、練習)に在住するラグナロードの土星と相互アスペクトしているため、父親がある程度、強制的に娘にテニスを教えてきたと言うことが出来る。




因みに大坂なおみの試合後のインタビューが面白いと話題である。



シャイでおずおずとした控えめな喋り方をするのが特徴である。



これはおそらく2室にケートゥが在住しているからだと考えられる。





全米オープンの決勝戦は何故、荒れたのか?

それでは、大坂なおみは全米オープンで優勝したが、何故、試合が荒れて、授賞式で泣かなければならないほど、ブーイングを浴びなければならなかったのか、それがチャートに出ているかどうかが問題である。


まず山羊座ラグナに設定すると、決勝戦が行われた9月8日は、金星/土星期である。



マハダシャーロードの金星は、既に上述してきたように5、10室支配のヨーガカラカで11室に在住しており、彼女の成功を物語っている。



金星には定座の火星がコンジャンクトしており、火星は6室の表示体で競技を通じて対戦相手と激しく闘うアスリートの配置である。




アンタルダシャーの土星は、ラグナロードで3室に在住しており、月から見ると1-11の星座交換を形成している。



従って、この木星と土星の星座交換は重要であり、アンタル木星期から彼女の成績が上昇して来たのはその為である。



そして、アンタル土星期も同様に上昇していく時期であることを明らかにしている。




但し、アンタルダシャーロードの土星は、3室に在住して月とコンジャンクトし、月を傷つけている。







決勝戦の日(2018年9月8日)のトランジットを見ると、土星は12室を通過中である。



月から見ると10室であるが、ラグナから見ると12室である。



従って、彼女は優勝したにも関わらず、授賞式ではセリーナの存在感、威圧感の前(12室)に隅に追いやられた感じがあった。




現在、トランジットの土星と木星が10室と11室に影響して、ダブルトランジットの効果を与えていることは既に説明したが、ダブルトランジットは2室と6室にも形成されている。



6室は批判を受けるハウスであり、その為、大坂なおみは、ブーイングを受けたと言えるかもしれない。




7室をセリーナのラグナとすると、ラグナにはラーフがトランジットして、対向から火星がアスペクトしている。



従って、この配置のためにセリーナ・ウィリアムズは、審判に対して感情を爆発させたと考えられる。




この蟹座に形成されているラーフと火星の絡みが、非常に個人主義的で感情的な反応を呼び起こすのである。



そして、7室をセリーナのラグナとした場合、2室にトランジットの太陽、水星、月などが集中している。



従って、この決勝戦の日、セリーナは口数が多く、審判に暴言を吐いたのである。



獅子座2室を通過する太陽は言葉による自己主張の強さを表している。




また大坂なおみにとって、この獅子座を通過する太陽、水星、月は8室に該当している。




従って、大坂なおみにとっては、授賞式で、皆にブーイングされたり、セリーナの暴言によって困惑したり、優勝したにも関わらず、行き詰まり感があったのはその為である。



基本的にマハダシャーロードの金星が10室をトランジットしており、木星も10室を通過しているので、彼女にとっては栄光の舞台ではあるのだが、月、太陽、水星などの動きの速い惑星が8室を通過していた為、彼女にとっては不吉で、嫌な体験が続いたのである。





そして、アンタルダシャーロードの土星は、ラグナから12室を通過し、月から見て11、12室支配で、12室の支配星でもある。



そして、月とコンジャンクトして、月を傷つけている。



そうした配置があるために彼女は優勝した主人公であるにも関わらず、ブーイングされ、隅に追いやられて、屈辱を味わわされたのである。



このように見て来て、やはり、彼女は山羊座ラグナではないかと思うのである。



2020年頃、木星と土星が彼女のラグナにトランジットするが、それは月から見た11室で、パラシャラの例外則やニーチャバンガラージャヨーガを形成する木星と土星の星座交換のハウスでもある。



ここにダブルトランジットを形成する時、ダシャーは、金星/土星期で、やはり、土星は星座交換の一部であり、パラシャラの例外則やニーチャバンガラージャヨーガを形成している。



従って、大坂なおみは、今後、テニスプレイヤーとして最も活躍できる時期に入っていくと考えられる。



4大大会での優勝など、その実力に相応しいタイトルを取得する時期が来ようとしている。







(参考資料)

「史上最悪のスピーチ」話題の大坂なおみ 今度はセリーナ撃破
2018.03.22.デイリー

 女子テニスの大坂なおみ(20)が21日に米・マイアミで行われたマイアミ・オープン1回戦で、元世界ランク1位のセリーナ・ウイリアムスを6-3、6-2のストレートで破る金星を挙げた。試合後に「セリーナは私の大好きな選手。対戦するのは夢だったのでうれしいし、勝つことができてうれしい」と喜びを口にした。

 大坂は18日にBNPパリバ・オープンでツアー初制覇を果たしたばかり。優勝後のスピーチでは、いきなり自己紹介を始めかけ、さらにスポンサー名に詰まったり、感謝する相手を「誰か忘れてないかな」と不安そうに口にするなど、天然な愛らしい姿に注目が集まった。

 本人が口にした「多分、これは史上最悪のスピーチだと思うわ」との自虐とは正反対に、「最高のスピーチ」とたたえられるなど、大反響を呼んだ。YouTubeにはスピーチ動画が何本もアップされ、日本語字幕付きの動画の視聴回数は14万回を超える人気ぶりとなっている。
参照元:「史上最悪のスピーチ」話題の大坂なおみ 今度はセリーナ撃破
2018.03.22.デイリー
「誰がやってもいけない」、ナブラチロワ氏がセレーナの激高に言及
2018/9/11 17:28 AFP BB NEWS

【AFP=時事】四大大会(グランドスラム)通算18勝を誇る女子テニスの元王者マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏が、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)女子シングルス決勝でのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)に対する罰則について言及し、性別によって二重基準があることを認めながらも、同選手が感情を爆発させたのは間違っていたという認識を示した。

 チェコ出身で米国籍を持つ61歳のナブラチロワ氏は、問題の試合の第2セットにセレーナがカルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審を「盗人」呼ばわりして勝負を左右するゲーム・ペナルティーを受けたことについて、より高い基準が検討される必要があると主張。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の記事で、「自分たちが免れることができるはずと考えていることによって、自分を評価してはならない。実際のところ、これはコート上で誰がやってもいけない振る舞いである」と自身の見解を述べた。

 大坂なおみ(Naomi Osaka)に敗れてグランドスラムのシングルス史上最多記録に並ぶ通算24勝目を逃したセレーナは、自身がペナルティーを科された問題について、男子であればもっと悪質な暴言を吐いても同様の罰則を受けることはないと主張した。

「セレーナ・ウィリアムスの主張は一部正しい。女子が悪い振る舞いをすると罰せられるという大きな二重基準が存在するのは、テニス界に限ったことではない。ただ、彼女の反論については部分的に間違いもある。『男子なら許されることは、女子もそうあるべき』という基準を当てはめるのは適切な考えとは言えない」

「それよりも、私たちが自分自身に問いかけるべきなのは、私たちのスポーツに誇りを示し、対戦相手を敬うための正しい振る舞いとは何か?ということ」

 当日の試合でセレーナは、スタンド席にいたコーチのパトリック・ムラトグルー(Patrick Mouratoglou)氏から指導を受けたとして警告を受けた。同氏もコーチングを認めているが、このコードバイオレーションに不満をあらわにしたセレーナは、ラモス主審に何の合図も受け取っていないと主張。その後、ラケットを破壊してポイント・ペナルティーを科されると、同主審に激しい暴言を浴びせた。

 ナブラチロワ氏の分析では、「ラモス氏は実際、ポイント・ペナルティーを科すしか選択肢はなかった」、「ミス・ウィリアムスは、このときを境にまさに手に負えなくなった。彼女とラモス氏は、互いに話がかみ合わなくなった」、「不正をしていないという彼女の主張は、完全に信じられるものであっても、それはまた別の問題。一方、主審があの時点で行ったコールは、慎重さが欠けていた」とされている。

 そして、セレーナがラモス主審を「盗人」呼ばわりしたことが事態をエスカレートさせ、致命的なゲーム・ペナルティーにつながった。

「ミス・ウィリアムスが男子選手だったら、審判を泥棒呼ばわりしてもおとがめなしだったかどうかは、知る由もないし議論の余地がある。しかし、この点にばかり焦点を当てるのは的外れなこと。仮に同様の問題において、男子には違う尺度が適用されているとすれば、それは完全に精査が必要であり、改善されるべき問題だ」

【翻訳編集】 AFPBB News
参照元:「誰がやってもいけない」、ナブラチロワ氏がセレーナの激高に言及
2018/9/11 17:28 AFP BB NEWS
ウィリアムズ、全米OP決勝戦の暴言で罰金
2018年09月10日 BBC NEWS JAPAN

全米テニス協会(USTA)は9日、女子シングルス決勝で敗れたセリーナ・ウィリアムズ(米国)に対して、主審を「うそつき」や「泥棒」と呼ぶなどした違反行為について1万7000ドル(約189万円)の罰金を科した。ウィリアムズの行為、そして主審の判断について、テニス界でも賛否が分かれている。

ウィリアムズ(36)は、客席のコーチから指示を受けたとして規則違反の警告を受け、その後ラケットを地面に叩きつけてポイント・ペナルティー、暴言を吐いてゲーム・ペナルティーをそれぞれ取られた。ウィリアムズはこの試合で、大坂なおみ(20)にストレート負けした。

ウィリアムズは試合後、ゲーム・ペナルティーを科されたのは「性差別的」だと話した。

USTAが科した罰金は、ウィリアムズの準優勝賞金185万ドル(約2億534万円)から差し引かれる。

BBCのテニス番組司会者、スー・バーカー氏は、「主審は規則に則っていたのだが、セリーナにも一理ある」と述べた。

かつて世界ランキング3位で1976年の全仏オープン覇者のバーカー氏は、8日の決勝戦で「敗れたのはテニスだった」と加えた。

「男子選手が審判に暴言を吐くのを、何度もコートサイドから眺めてきたが、男子は警告されない」とバーカー氏は話した。

「あそこでゲーム・ペナルティーをとったため、第3セットの機会を観客から奪ってしまった」

大坂なおみは6-2、6-4で試合に勝ち、日本勢初の四大大会チャンピオンとなった。

マーガレット・コートが持つ四大大会シングルス最多優勝24回のタイ記録に迫っていたウィリアムズは、試合後にラモス主審との握手を拒んだ。

ウィリアムズは後に、ラムス主審の判断は性差別によるだったと批判し、「『泥棒』呼ばわりされたからと、(ラモス主審が)男子選手にゲーム・ペナルティーを科したことはない」と不満をあらわにした。

バーカー氏はBBCラジオで、「どちらの言い分も一理ある。男子選手は審判に何を言っても許されるという、セリーナの言い分も」と理解を示した。

「今大会の早い段階で、アリーゼ・コルネがコート上でシャツを着替えたとして違反の警告を受けた。一方で、同じ大会でモハメド・ラヒアニ審判はわざわざ審判席から下りてまでして、ニック・キリオス選手に試合を諦めないよう説得している」

「ラモス主審は規則に沿っていた。しかし、規則の修正が必要な時もある」

「特定の規則を一部の選手には適用するのに、それに従わない審判が他の選手をお目こぼしするなど、そんなことはあってはならない。選手に対して公平でないと」

「敗れたのはテニスで、素晴らしいものになったかもしれない試合の機会が、失われた。長年テニスを観戦してきたが、あんな光景は目にしたことがない。テニスにとって悲しい出来事だった」

2013年ウィンブルドン選手権で優勝したマリオン・バルトリ氏も同様に、選手でも男女で扱われ方が違うと考えている。

「主審のしたことは、まったく受け入れがたい。制裁措置を期待する。あのようなことは許されないので」と述べた。

「セリーナは罵ったり暴言を吐いたりなどまったくしていないのに、ゲーム・ペナルティーを科すなど狂っている。そんな真似は、してはいけない。あり得ない」

「男子選手は10倍ひどいことを言っているのに警告さえも受けないとセリーナが言うのは、その通りだ」

ラモス審判はここ2年の間に、ノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダル、アンディ・マリーに違反行為を警告している。2016年の全仏オープンでも、ウィリアムズの姉ビーナス・ウィリアムズをコーチングで注意している。ただし、ペナルティーは科さなかった。

「セリーナは少しだけ、やりすぎたと思う」と言うのは、四大大会シングルス18回優勝のクリス・エバート氏だ。「セリーナがああいうことを言う権利はもちろんあるが、くどくど同じことを繰り返していた」

「しばらくしたら、『もうそれくらいにして』となる」

「すさまじく大事な局面だったというその一点において、主審はセリーナを大目に見てあげるべきだった。なのに、いきなり急所を突いてしまった」

何があったのか

ラモス主審は、ウィリアムズのパトリック・ムラトグルー・コーチの身振りがコーチング(指導)だと判断し、ウィリアムズに最初の警告を与えた。

ウィリアムズはムラトグルー・コーチから戦術について何も指示は受けていないとし、「勝つためにずるなどしたことがないし、そんなことをするくらいなら負けたほうがいい」と主審に反論した。

ムラトグルー・コーチは後に、スタンドから指示を与えていたと認めたが、自分の動きをウィリアムズは見ていないと話した。

ウィリアムズはその後、第2セットで3-2となった時、ラケットを壊して新たな違反警告を受け、ラモス主審はポイント・ペナルティーをウィリアムズに科した。

大坂が4-3でリードすると、ウィリアムズは主審に対し、「あなたはうそつきだ。あなたが生きている限り、私のコートには二度と立たせない。いつ謝るのか。申し訳ないと言いなさい」と叱責した。

この発言で、ラモス氏はゲーム・ペナルティーを科し、大坂は勝利まであと1ゲームの5-3とリードを広げた。

ウィリアムズはプレー再開を拒否し、大会主審の判断を要求した。

やがてベースラインに戻ったウィリアムズは、サービスゲームを抑えたが、続く最終ゲームは大坂が奪い、四大大会で初優勝を果たした。

試合後の記者会見でウィリアムズは、コーチからの「指示は受けていない」と強調し、ムラトグルー・コーチがなぜ指示をしたなどと言ったのか「理解できない」と述べた。

四大大会で12回優勝し、女子テニス協会(WTA)創設者の1人でもあるビリー・ジーン・キング氏は、ウィリアムズを支持した。「女性が感情的になると『ヒステリック』と言われ罰される。男性が同じように感情的になると、『率直だ』とされるだけで、それ以上の余波はない」。

「この二重基準(ダブルスタンダード)を指摘してくれてありがとう、セリーナ・ウィリアムズ。同様の指摘が必要だ」

「大坂なおみがかわいそう」

試合が終わり、ラモス主審が歩いてコートを後にする際、警備員がコートの端に向かって走った。主審は通常な表彰式に出席するが、この日のラモス氏はコートに戻らなかった。

大坂に優勝トロフィーが渡される前、アーサー・アッシュ・スタジアムを埋め尽くした2万4000人の観客からブーイングが起こった。ウィリアムズは自分にとって憧れの人だと言う大坂は、バイザーを引き下げて涙を隠した。

野次は大坂に向けられたものではなかった。そうではなく、観客は自国の人気選手のウィリアムズが不正に扱われたと、不満をあらわにしていたのだ。

準優勝者としてスピーチしたウィリアムズは、観客に冷静になるよう訴え、大坂の偉業を「称える」よう求めると、ようやく優勝者への拍手が響くようになった。

USTAのカトリナ・アダムス会長は声明を発表し、ウィリアムズを「インスピレーション」で、表彰台では「見事な気品とスポーツマンシップ」を示したと称えた。

「非常にがっかりしている」と前出のバーカー氏は言う。「素晴らしい大会だっただけに、夢のようなフィナーレを楽しみにしていた。それがセリーナと審判によってすべて奪われてしまった。本当に大坂なおみがかわいそうだ」

「初めての四大大会優勝に、ある意味で傷がついてしまった。大坂はせっかくの初優勝を自分らしく喜ぶことができなかった」

「ツアー現役の中でも特にわくわくする選手の1人だ。授賞式で泣いている姿を見るのは、とても悲しかった。うれし泣きではなかったので」

「彼女のための瞬間だったはずなのに、観客はブーイング。初の四大大会優勝をそんな風にお祝いしたいはずがない。あんな姿を目にするのは、テニスにとって悲しいことだった」

ルールはどうなっているのか

国際テニス連盟の四大大会ルールによると――、

暴言は、主催者、対戦相手、スポンサー、観客その他の人物に向けて、不正をしたとほのめかしたり、軽蔑的、侮辱的、その他だと告げること

ラケットまたは設備を乱暴に扱うとは、ラケットを意図的に危険で暴力的に破壊または損壊する行為

選手は、試合中(ウォーミングアップ中を含む)にコーチングを受けてはならない。音声であれ視覚的であれ、選手とコーチ間のいかなるコミュニケーションもコーチングと見なされる

かつて男子テニス協会主催のツアー幹部や審判を務めたリチャード・イングス氏は、ラモス氏の行動を支持している。

「カルロス(ラモス氏)は、落ち着きがあり効果的で規則に詳しく、問題となった3つの場面で3回とも、まったく正しく規則を適用した」と、イングス氏はBBCラジオで述べた。

「違反を見つけ、その時点で自分の信念にもとづき違反を指摘する勇気があった。私は彼を110%支持する。あの審判ぶりは、ここ数年で目にした中でも最高級のものだった」

ルールは変えるべきか

「女子の試合でコーチが指示を出すのは変な話だ」とベーカー氏は言う。

「四大大会を除くどの大会でも、コーチはコートチェンジの際に降りてきて選手と話ができる」

「私はそれに反対だった。テニスは戦士と戦士が向き合う、戦いのスポーツ。1対1の対戦だ。試合運びは自分が決めるべきだ」

「けれどもその挙句にこうした事態になるなら、おかげで試合は台無しだ。こんな形で大会を終えるのはただひたすら残念だ」

「規則に従えないのなら、コーチングを許可しないと駄目だ。今回のようにコートで選手がどなる騒ぎは、あってはならない。テニスにとって良くない」

「グレーゾーンはもうあってはならない。ゲーム・ペナルティーを科す前に、最終的な決断を下すスーパーバイザーを置く必要があるかもしれない」

(英語記事 US Open 2018: Serena Williams fined over outbursts during final)
参照元:ウィリアムズ、全米OP決勝戦の暴言で罰金
2018年09月10日 BBC NEWS JAPAN
大坂なおみ、セリーナ破りテニス全米オープン初優勝
2018年09月9日 BBC NEWS JAPAN
ジョナサン・ユレイコ記者

テニスの全米オープン女子シングル決勝が8日、ニューヨーク・フラッシングメドウズで行われ、日本の大坂なおみが 6-2、6-4のストレート勝ちで初優勝した。日本人がテニスの四大大会で優勝するのは、これが初めて。試合は、元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)が審判を「泥棒」と呼ぶなどして、荒れた展開になった。

ウィリアムズ(36)はラケットを叩きつけて壊したり、主審と言い争うなどして、たびたび警告を受けた。この決勝についてはウィリアムズの行動が注目を集めるだろうが、集中を崩さず落ち着いて、品格の高いプレーによって勝利を手にした大坂(20)の功績は十二分に評価されるべきだ。

ウィリアムズは試合後、カルロス・ラモス主審との握手を拒んだが、第20シードの大坂をネット越しに称えた。

表彰式で大坂は涙ながらに、「こんな終わり方になってしまって、ごめんなさい」と言い、それをウィリアムズが肩を抱いて慰める場面もあった。

何があったのか

第2セットの第2試合中に、ウィリアムズのパトリック・ムラトグルー・コーチの客席での動きがコーチング(指導)と判定され、ウィリアムズは警告を受けた。女子テニス協会(WTA)ツアーの試合ではコーチングは認められているが、四大大会では違反行為に当たる。

これに対してウィリアムズは、戦術について指示は受けていないと主審に反論。「勝つためにずるなどしたことがないし、そんなことをするくらいなら負けたほうがいい」と主張した。

しかし、ムラトグルー・コーチは後に米スポーツチャンネルESPNに、客席から「指導していたが、(ウィリアムズは)見ていないと思う」と認め、「(大坂のコーチ、サーシャ・バイン)もやっていた。みんなやることだ」と話している。一方のウィリアムズは試合後の記者会見で、コーチから合図による指導など受けておらず、ムラトグルー氏のなぜそのようなことを言うのか分からないと話した。

ウィリアムズは続いて3-2でラケットをコートに叩きつけて壊したため、2度目の警告を受け、大坂は次のゲームを15-0から始めた。ウィリアムズは激怒し、「前も同じ目に遭ってる。フェアじゃない」と抗議。自分を支持する観客のブーイングを受けながら、主審に怒鳴ったり指差してなじったりした。

ウィリアムズは2009年、キム・クライシュテルス相手の全米女子シングルス準決勝のマッチポイントで、線審に対し暴言を吐いたとして1ポイントのペナルティーを科せられ敗退している。

場内の雰囲気がますます悪化する中、4-3で大坂がリードした状態でのチェンジオーバーでは、ウィリアムズはさらにラモス主審を「あなたはうそつきだ。私が生きている限り、私のコートには二度と立たせない。いつ謝るのか。申し訳ないと言いなさい」などと激しく罵倒した。

これを受けてラモス主審が次のゲームを大坂に与えたため、大坂は5-3とリードを広げ、優勝まで1 ゲームに迫った。

ウィリアムズを支持する激しいブーイングが続く中、ウィリアムズはプレー再開を拒否し、大会主審の判断を要求した。

やがてベースラインに戻ったウィリアムズは、サービスゲームを抑えて5-4にしたが、続くゲームで大坂は見事な集中力を示し、初のグランドスラム・タイトルを手にした。

全米オープン6回を含め、四大大会で23回優勝しているウィリアムズは、国際的なスターであると共に、米国では国民的な存在だ。アーサー・アッシュ・スタジアムを満員にした観客2万4000人の声援を受けていた。しかし、試合立ち上がりから猛攻に出る大坂の姿に、観客は次第に息を呑むようになった。

憧れの大先輩を相手に初のグランドスラム決勝に挑んだ大坂は、積極的な攻めでウィリアムズのミスを次々と誘った。

ウィリアムズの第1サーブ確率は38%に下がり、第1セットで大坂がタイブレークを重ねて2-1、4ー1と勝ち進む一方、ウィリアムズは13回のアンフォーストエラーを重ねた。

しかし場内の観客は大坂のファインプレーに敬意を払いつつも、第1セットですでにウィリアムズへのラモス主審の対応に不服を抱いていたため、第2セットになると不満が怒りとなって爆発した。

ポルトガル出身のラモス主審が試合終了後にコートを離れると、警備員が急ぎコートサイドの警備に走った。主審は、本来なら出席するはずの表彰式に参加しなかった。

表彰式の冒頭でさらに観客のブーイングが続いたため、大坂はかぶっていたバイザーを下ろして涙に濡れる顔を隠した。

準優勝選手としてスピーチをしたウィリアムズは、観客に落ち着くよう呼びかけ、「良いプレーをしてグランドスラムで初優勝した」大坂を認めるようファンに求めた。

観客はブーイングをやめて拍手するようになり、次第に落ち着きを取り戻した大坂は、「全米オープン決勝でセリーナと戦うのがずっと夢だったので、それができて本当に嬉しい」と挨拶した。それでもステージから離れる際には、優勝トロフィーを落としそうになった。

(英語記事  US Open 2018: Serena Williams accuses umpire of sexism after meltdown in final)
参照元:大坂なおみ、セリーナ破りテニス全米オープン初優勝
2018年09月9日 BBC NEWS JAPAN
ジョナサン・ユレイコ記者
大坂なおみ、全米お茶の間に届けた“品格” 国民的番組出演で反響「美しく純粋だ」
2018年9月11日 18時3分 THE ANSWER

NBC「トゥデー」に親子出演で動画は再生70万回、海外ファン「謙虚さはアメージング」

 テニスの全米オープン女子シングルス優勝した大坂なおみ(日清食品)がアメリカの国民的番組に生出演。同じ番組に登場した男子シングルス王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)との“全米王者2ショット”を自身のSNSに公開して話題を呼んでいたが、番組では決勝の表彰式でブーイングを受けたことについて、全米のお茶の間の前で「少し悲しかったけど、共感もできる」と優しさと寛大さを示すと、海外ファンから「あまりに美しくて純粋だ」「謙虚さはアメージング」と称賛の声が上がっている。

 大坂らしさが全米のお茶の間に届いた。20歳で偉業を成し遂げた新女王は、現地時間10日(日本時間11日)に米大手放送局「NBC」の看板番組「トゥデー」に出演。4時間の生放送に堂々登場した。

 番組では、涙の表彰式についての質問も受けた。劣勢のセリーナ・ウィリアムズ(米国)がラケット破壊や暴言などでペナルティを受け、地元ファンからブーイングも巻き起こった。それは表彰式でも続き、大阪は観衆に異例の謝罪を行った。

「私は少し悲しかった。実際に私に対してブーイングしているのか、期待していた結果に終わらなかったからなのか、分からなかった。そして、私は(ファンに)共感もできるの。私も人生ずっとセリーナのファンだった。観衆もどれだけセリーナに優勝してもらいたいのか分かっていた。私にはよく分からなかったけれど、彼女もすごく感情的になっていたから」

 決勝の観衆のマナーは地元メディアからも批判の声も上がっているが、新女王は寛大にも受け止めていた。そして、スタジオには母・環さんも登場し、親子共演が実現。「両親は本当に誇りに思うと言ってくれました。お母さんはすごく泣いていたけど、お父さんは泣かなかった。彼はクールガイ。姉にも電話したけど、すごくハッピーだったわ」と大坂は笑顔で家族の絆も披露した。

ファンの心を鷲掴み「彼女は本当に話も上手いし、可愛い」

「トゥデー」は大坂の出演シーンを公式YouTubeに掲載すると、一気に急上昇ランキングに登場するなど、あっという間におよそ70万回再生に到達。コメント欄には品格と天真爛漫さを見せた新女王に称賛の声が続々と上がっている。

「ナオミは勝利者だ。称賛に値する。ナーバスになるところもすごくキュートなんだ」
「あまりに美しく純粋だ」
「この若き女性の謙虚さはアメージングだ。頑張って」
「ナオミはなんて可愛らしいの。あまりにキュートで誠実。何度でも試合を見たい。ブラボー、小さな天使。みんな愛してるわ」
「いまや彼女のファンです。彼女は本当に話も上手いし、可愛い」
「なんて落ち着いた少女なの。神のご加護あれ」
「彼女は王者。謝罪なんて必要ない」
「みんな彼女のことをシャイだと言う。彼女は日本人。彼らは礼儀正しく、振る舞いも素晴らしい。彼女のことを愛しています」

 アメリカの国民的番組で見せた大坂の人柄に、ファンは心を鷲掴みにされた様子だった。(THE ANSWER編集部)
参照元:大坂なおみ、全米お茶の間に届けた“品格” 国民的番組出演で反響「美しく純粋だ」
2018年9月11日 18時3分 THE ANSWER
大坂なおみ、躍進の陰にあったバヒンコーチの「納得させる力」
内田暁2018.4.3 16:00 dot.

3年前……元世界1位のビクトリア・アザレンカが、セリーナ・ウィリアムズのヒッティングパートナーを自身のそれとして雇ったことが大きく報じられた時、なんとなく不思議に思った記憶がある。トップ選手のコーチの去就や動向は、テニスの世界では何かと話題になりやすい。それがライバル選手間ともなれば、なおのことだ。だが、ヒッティングパートナーがそのような形で話題になることは、滅多に無いと言って良かった。

もっとも、セリーナは姉のビーナス以外の選手と練習することはなく、その女王の練習相手を8年間務めたのが、件のヒッティングパートナーなのだ。その技量や人間的度量、そしてツアー選手の情報量が極めて高いであろうことは、想像に難くはなかった。

 昨年、その人物がやはり元世界1位のキャロライン・ウォズニアッキのチームに加わったことにより、彼への評価は確固たるものになる。何しろ彼がヒッティングパートナーを務めていた間に、アザレンカはケガによる低迷時期を脱してトップ5に返り咲き。ウォズニアッキも昨年は、WTAツアー最終戦を制するなど、キャリア最高と言って良いシーズンを送ったのだ。

 その“若き優勝請負人”サーシャ・バヒンが、初めて“コーチ”の肩書を得て今シーズンから指導にあたるのが、大坂なおみである。セリーナに憧れ、セリーナを彷彿させるプレースタイルを引っさげ頂点への階段を駆け上がる、女王候補の20歳だ。

 ぜい肉の一切ない引き締まった長躯で、形の良い顔の上には、綺麗に櫛の通った金髪が分け目正しく乗っている。爽やかないでたちのバヒンコーチは、テニス会場で「話を聞かせてもらえますか?」と声を掛けると、「もちろん」と笑顔で応じてくれる好人物だ。

 何を尋ねても回答は明瞭で、口調はどこまでも柔らかい。時折冗談も織り交ぜ、場を和ませる話術も巧みだ。そうして話を聞いている短い間にも、多くの選手やコーチから声を掛けられ、その度に短く談笑しては、こちらに向き直り「申し訳ありません」とまた爽やかに笑う。彼には人を惹きつける、人間的魅力が溢れている。

 バヒンが大坂を急成長させたのも、その話術や人心掌握術によるところが大きいだろう。バヒンが昨年末にコーチに就任した時、真っ先に取り組んだのが「ネガティブになりやすい、なおみのメンタリティを変えること」だった。技術や戦術面でも、焦らず打ち合うことや、フォアの打ち方など「多少の助言は与えた」という。ただ彼は、「そのような技術的な助言や、対戦相手の分析ができる人は自分以外にもたくさんいます」という。

「どんなに良い知識や分析力があっても、それを選手に伝え納得させられなければ意味がない」というのがバヒンの持説。人として信頼され、その上で選手を説得するコミュニケーション能力こそが重要だと彼は説いた。そのような彼の資質は、自身も選手を目指していたが、家の事情もあり他の道を模索するしかなかった人生行路の中で、獲得したものかもしれない。

 彼のコーチとしての優れた手腕は、対戦相手の攻略法を立案し、自らラケットを手にその術を教え込める点にもある。先のマイアミオープンで大坂がセリーナ・ウィリアムズを破った時、いつもは饒舌なバヒンが、具体的な“セリーナ攻略法”については一切明かそうとしなかった。ただ、かつて家族同然の付き合いだったセリーナと敵対する側に座る、その「気まずさ」は包み隠さず白状する。

「あの試合で僕は、セリーナ陣営の目の前に座っていたんです。背後から、とても聞き慣れた声が『カモン、セリーナ』と叫んでいる中で、僕は『カモン、なおみ!』と叫んでいる……その居心地の悪さといったら、無かったですよ」

 その時の胃の痛むような心持ちを思い出したか、苦い笑いを浮かべる彼は、こうも言った。

「それでも試合が終わった時には、みんな『おめでとう』と言ってハグしてくれました。コート上では競い合っても、僕らの本質はアスリートです。相手がスポーツマンシップを示してくれたことを、とても嬉しく思います」

 若く活力に溢れ、勝利への策をしたたかに張り巡らせながらも、最後は相手陣営ともハグを交わす――爽やかな佇まいで歴代女王のナイト役を務めてきたこの男が、今は大坂なおみを、自らの手で女王に育てる意欲に燃える。(文・内田暁)
参照元:大坂なおみ、躍進の陰にあったバヒンコーチの「納得させる力」
内田暁2018.4.3 16:00 dot.
大坂なおみがかわいそう 米メディア「全米テニスがしたことは恥ずべきこと」
2018/9/11 5:32 スポーツ報知

◆テニス 全米オープン第13日 ▽女子シングルス決勝 大坂なおみ2―0セリーナ・ウィリアムズ(8日、米ニューヨーク)

 女子第20シードの大坂なおみ(20)=日清食品=が、日本勢初の4大大会シングルス制覇を果たした。決勝で元世界女王セリーナ・ウィリアムズ(36)=米国=をストレートで撃破。日本勢が4大大会に初出場してから102年、ついに歴史を動かした。

 圧倒的アウェーの雰囲気での大一番で、大坂は「走らないといけない覚悟はできていた」と足を動かし、相手のパワーに負けず返球を続けた。第1セット第3ゲームでブレイクした直後。「いいリターンが来るのでサーブが大事」と気を引き締め直し、緩急やコースを使い分けて主導権を握った。

 第2セットはいらだつセリーナがラケットをコートにたたきつける荒れた展開。4―3の第8ゲームは3度目の警告によってプレーせずに大坂が取った。怒るセリーナを後押しするブーイングが起き、異様な雰囲気が漂っても「彼女はどんな状況でも盛り返してくる。自分に集中」と乱されなかった。

 表彰式では「みんなセリーナを応援しているのは分かっている。こんな結果になってごめんなさい」と勝者らしからぬ言葉を発して涙した。

 全米オープン女子シングルス決勝で大坂に敗れたセリーナ・ウィリアムズの主審に対する抗議や、それを甘受した観客や大会関係者を米メディアが酷評。「全米テニスが大坂選手にしたことは恥ずべきことだ」などと批判する記事を一斉に掲載した。

 9日付の大衆紙ニューヨーク・ポストは作家モーリーン・キャラハン氏の論評を掲載。表彰式で観客が大坂にブーイングし、全米テニス協会の会長が「私たちが求めた結末ではなかった」「セリーナは王者の中の王者」と述べるなど、勝者を侮辱するような対応をしたと指摘した。

 セリーナも大坂をきちんとたたえなかったなどとし「これほどスポーツマンシップに反する出来事は記憶にない」とこき下ろした。一方で「キャリアが始まったばかりの若い大坂選手は、コートの内外で闘志や決意、成熟ぶりを示した」と称賛した。

 同紙の別の記事は「ウィリアムズの自己崩壊」と表現。表彰式で泣き続けた大坂にとって「覇者として純粋な喜びの瞬間であるべきだった」と指摘した。ニューヨーク・デイリーニューズ紙も「セリーナのラケット(破壊行為)が大坂を祝福すべき時を奪った」との記事で、主審に謝罪を迫ったセリーナに対し「謝罪を受けるに値するのは大坂だ」と断罪した。ニューヨーク・タイムズ紙は「涙に染められた大勝利」の見出しで「怒りとブーイングと涙が大坂なおみの素晴らしい勝利を曇らせた」と解説した。
参照元:大坂なおみがかわいそう 米メディア「全米テニスがしたことは恥ずべきこと」
2018/9/11 5:32 スポーツ報知
大坂なおみコーチも絶賛、脚立でつながった母と娘
2018年9月10日10時20分 日刊スポーツ

<テニス:全米オープン>◇8日(日本時間9日)◇ニューヨーク◇女子シングルス決勝

世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が、4大大会最多タイ24度目の優勝を狙った元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)に6-2、6-4の1時間19分でストレート勝ち。日本男女を通じて史上初めて4大大会シングルス優勝の快挙を達成した。

大坂は試合後、バイン・コーチや母環さんらが陣取った関係者席に出向いて喜びを分かち合った。かつてセリーナを指導し、今季から大坂を教える同コーチは波があった精神面を安定させ「なおみを本当に誇りに思う。動き続けることが大事で、フィジカル面でも相手より良かった」と絶賛した。決して金銭的に潤沢ではなかった時期も含め、支えてくれた環さんとも熱い抱擁を交わした。
参照元:大坂なおみコーチも絶賛、脚立でつながった母と娘
2018年9月10日10時20分 日刊スポーツ
大坂なおみをコーチした父親は地元・空堀商店街で人気の英語講師
2018.9.11 20:16 dot.

テニスの全米オープン優勝を果たした大坂なおみ選手(20)。日本人で初めて4大大会シングルスでの勝利を飾った。地元・大阪では歓喜の声が上がっている。大坂選手が幼い頃に通っていた「ICT靭テニスセンター」ではくす玉を設置し、優勝を祝福した。弱冠20歳にして全米オープンを制した大坂選手。いったいどのような幼少期を過ごしたのか。同センターの担当者はこう語る。

「大坂選手はご家族でテニスコートを借りて、練習されていました。コーチなどを付けていたわけではないので、指導したスタッフはいません」

 大坂選手の姉・まりさん(22)と共に家族で練習をしていた。

 大坂選手を指導したのはハイチ出身でテニス未経験の父親だった。未経験ながら、ウィリアムズ姉妹の足跡を参考にしていたという。大阪市内で大手語学学校の英語講師をしていたという。父親の元同僚はこう語る。

「大阪弁を喋るひょうきんなアメリカ人とお父さんは人気でした。大坂さんのお母さんも強烈な個性で面白い人。なおみちゃんが強くなれば、きっと人気者になるだろうなとみんなで話していたんです」

 一家は当時、同中央区南東部の空堀商店街近くに住んでいたが、その後、米国へ移住したという。

 前出の靭テニスセンター担当者がこう振り返る。

「大坂選手が最後にセンターに来られたのは世界スーパージュニアの時です。当時、大坂選手のプレーを見た人は印象に残っていると話していました」

 大坂選手は幼い頃からセリーナとビーナスのウィリアムズ姉妹のプレーにあこがれていたという。今回の全米オープンで自身のアイドルとして恋焦がれたセリーナを下したことを問われ、こう語っている。

「コートに入れば私は別人になって、セリーナのファンではなく、一人のテニスプレーヤーになる。でも、試合後に彼女と抱き合った時、(セリーナがアイドルだった)子ども時代に戻ったような気がした」

 大坂選手の優勝を受け、靭テニスセンターには体験希望者が殺到しているという。「通常、テニススクールの体験や入会は春先が多い」と担当者。ここ数日、春先と同じようなピークが来ているという。

「きょうだいで習わせたいという方も多いようです。さっきも兄妹で体験に来られた方がいましたよ」(担当者)

 セリーナが大坂選手にとってのアイドルであるように、大坂選手もまた誰かのアイドルになっているようだ。(AERA dot. 編集部・福井しほ)
参照元:大坂なおみをコーチした父親は地元・空堀商店街で人気の英語講師
2018.9.11 20:16 dot.

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