エリザベス女王 亡くなる -ラグナ修正の考え方-




エリザベス女王が2022年9月8日、96歳で、亡くなった。


このような重要人物の死は、政治的な一つの区切りであり、例えば、オーストラリアなどでは立憲君主制を廃止して、共和制に移行する議論も上がっている。


つまり、女王が生きている間は一切出来なかった議論が活発化しているのである。


最高権威者の死というタイミングは、それまでの継続してきた法や規則、慣例の変化が可能になるタイミングであると言える。


エリザベス女王は、元々皇位継承権がなく、父のアルバート王子の兄であるエドワード8世が退位して、米国人女性ウォリス・シンプソンとの結婚を選択したこと(王冠を賭けた恋)で、突如、父親がジョージ6世としてイギリス新国王に即位し、その結果、弟のいないエリザベス女王が、王位継承権者第1位となったのである。


それは全く思いがけない棚から牡丹餅的な状況である。


そして、父王ジョージ6世が1952年2月6日に冠状動脈血栓症で死去した結果、女王としてイギリスの君主に即位する。


1953年6月2日に世界各国の元首級の賓客らを招待してウェストミンスター寺院で戴冠式が行われている。


エリザベス女王の広く知られている山羊座ラグナのチャートであれば、8室支配の太陽が玉座の4室で高揚して、10室にアスペクトしており、この配置は、まさに突然、皇位を相続するといった配置で、自分ではコントロールできない突然の出来事(エドワード8世の退位や父の死)によって、王位を継承したことをまさに表している。



然し、エリザベス女王の出生データは、アストロデータバンクによれば、「1926年4月21日 2:40 ロンドン(メイフェア―)」となっている。


この時間で、チャートを作成すると、以下のように射手座ラグナのチャートとなる。






従って、エリザベス女王のチャートは時刻修正が施されたものである。



誰が最初に時刻修正したのか分からないが、BVBのシュリK.N.ラオが、チャラダシャーを使って、エリザベス女王のラグナを検証している記事が、ジャーナルオブアストロロジーの記事として掲載されている。




この記事の中で、結婚や子供の誕生、即位のタイミングなどをチャラダシャーで検証しているが、出生時間を2:48:40とした、山羊座ラグナのチャートで検証している。







因みに2:40で作成したチャートは、射手座ラグナで、射手座の9番目のナヴァムシャに在住して、ラグナがウッタラパールグニー第1パダになっている。



この場合、ナヴァムシャのラグナも射手座となる。



従って、出生図のラグナが、ナヴァムシャ1つ分(3°20′)進めば、出生図のラグナは、山羊座となり、ナヴァムシャのラグナも山羊座となる。



このように出生図のラグナが、射手座ヴァルゴッタマから山羊座ヴァルゴッタマへ移行するそのような境界線付近にあったのである。




この場合、結婚のタイミングで何か分かりそうである。



実際、結婚のタイミングを調べてみると、エリザベス女王が、海軍大尉であるフィリッポス(フィリップ・マウントバッテン)と結婚したのは、金星/金星/月期である。


この結婚は、wikipediaによれば、フィリッポスは、ギリシャから亡命した現役のイギリス海軍士官であり、資産を所有していなかったこと、外国生まれであることのほか、フィリップの姉がナチスとの関係を持ったドイツ系貴族と結婚していた為、当初、エリザベスの母である王妃は、結婚に反対したという。

そうしたことで、フィリップ・マウントバッテンは、肩身の狭い形での結婚であったようである。







もし出生図のラグナが射手座である場合、金星は出生図でもナヴァムシャでも6、11室の支配星で、出生図では3室、ナヴァムシャでは5室に在住しているが、6、11室の支配星である金星は、相手との相性は悪く、意見の不一致があり、通常は6室の支配星の時期は離婚の時期である。


プラティアンタルダシャーの月が重要だが、月は出生図では8室支配で8室で定座に在住している。



これはエリザベス女王が海軍大尉フィリッポスの実家や財産から何か棚から牡丹餅的な恩恵を得るような配置であるが、フィリッポスは、ギリシアから亡命して来て、資産を所有していなかったことから、全くそうした解釈が当てはまらない。



山羊座ラグナで、2室に金星が在住していれば、フィリッポスの方が、エリザベス女王の実家や財産から恩恵を受ける配置である。



この場合、エリザベス女王の方が、優位な立場になり、夫を婿養子として自分の実家に迎え入れたような形となる。



ナヴァムシャでも月が8室支配でラグナに在住し、ケートゥとコンジャンクトしている配置は、結婚のタイミングとしては説明は出来るが、金星は6室の支配星になってしまい、説明出来なくなる。



山羊座ラグナであれば、金星は5、10室支配のヨーガカラカとなり、4室に在住する形となるが、4-10軸の在住星というのはしばしば結婚が生じる時期とされている。(おそらく結婚すると住む家を持ち、また配偶者の一方が定職を持っているからであると考えられる)



もし山羊座ラグナであれば、プラティアンタルダシャーの月は出生図では7室の支配星で7室に在住して、結婚を表わしており、またナヴァムシャでも月は7室の支配星で、結婚を表わすが、12室でケートゥとコンジャンクトしている。



12室の配置はあまり良くないが、この場合、夫のフィリッポス海軍大尉(フィリップ・マウントバッテン)がギリシアからの亡命者で、財産が無かったりといったことが関係しているかもしれない。



肩身が狭く、エリザベス女王とは対等でなく、実際、日陰の存在で、全く目立っていないということかもしれない。




王位の継承


エリザベス女王が即位して戴冠式が行われたのは、1953年6月2日だが、金星/火星/土星期である。



もし射手座ラグナだと、金星は6、11室支配の機能的凶星で、3室に在住して、3室は、王座(4室)を損失するハウスである為、全くピンと来ない。



またアンタルダシャーロードの火星とプラティアンタルダシャーロードの土星は、2室と12室で星座交換しており、何故、この時期に即位して、権威を得たのかが全く説明出来ない。






山羊座ラグナであれば、金星は5、10室支配のヨーガカラカで2室(両親、家族)に在住して、8室にアスペクトし、王座を父親から継承するような配置をしている。



そして、火星と土星は、1-11の星座交換をしている為、称号を得て、高い地位に就いたことを示している。




ナヴァムシャを見ても土星はラグナロードで、7室(10室から見た10室)に在住し、火星は、4、11室支配で9室に在住して、9-11の絡みが生じており、称号に恵まれる配置である。



射手座ラグナだと、2室支配の土星が8室に在住し、5室支配で10室に在住する火星にアスペクトして、高い地位を阻害をしているように見えて、全く説明が出来ない。





ダシャムシャ


因みにダシャムシャを見ると、この場合は、出生時間が2:40でも2:48:40でも同じ乙女座ラグナである。







乙女座ラグナに設定すると、金星はダシャムシャのラグナに在住し、ニーチャバンガを形成し、火星は木星、太陽と共に10室に在住し、土星は5室支配で11室に在住している。



この世界で最も権威ある地位と言ってもいい英国王の地位に就いたこのタイミングが、ダシャーの支配星が、ダシャムシャのラグナや10室の在住星、そして、11室の在住星になっていることは、高い地位に就いたタイミングとして納得できる。




然し、出生時間をもう少し進めて、2:53:31にすると、ダシャムシャのラグナは、天秤座に移動してしまう。



従って、出生時間は少なくともラグナが山羊座に移動する2:44:22以降であり、ダシャムシャのラグナが乙女座に留まる2:53:30迄の間である。




ラグナの取り得る範囲:2:44:22~2:53:30の間



従って、シュリK.N.ラオが、出生時間を2:48:40に修正しているということは、別の更に高次の分割図で、更に微調整したことを意味している。





子供の誕生


因みに子供の出産のタイミングを見てみると、1948年11月14日に第一子・長男チャールズ王子を出産し、1950年8月15日には第二子・長女となるアン王女が誕生している。


そして、1960年2月19日、第三子・次男アンドルー王子を出産し、1964年3月10日、第四子(末子)・三男エドワード王子を出産している。



1948年11月14日 第一子・長男 チャールズ王子・・・金星/金星/木星

1950年8月15日 第二子・長女 アン王女・・・金星/太陽/木星

1960年2月19日、第三子・次男アンドルー王子・・・金星/土星/土星

1964年3月10日、第四子(末子)・三男エドワード王子・・・金星/水星/月





第一子・長男 チャールズ王子の誕生は、金星/金星/木星期だが、



サプタムシャを見ると、マハダシャーロードの金星は12室に在住しているが、ディスポジターの水星は5室に在住している。





プラティアンタルダシャーロードの木星は、9室の支配星で、5室支配の火星とコンジャンクトして、ニーチャバンガラージャヨーガを形成している。




第二子・長女 アン王女は、金星/太陽/木星期に誕生している。



金星と木星は既に述べたため、太陽について見るが、太陽はラグナロードで高揚する月とコンジャンクトし、5室にアスペクトしており、9室支配の木星からアスペクトされている。




第三子・次男アンドルー王子は、金星/土星/土星期に誕生している。



土星は、7、8室の支配星で問題を生み出す惑星だが、ラグナロードで高揚する月とコンジャンクトして、5室にアスペクトしている。



そして、月から見てもヨーガカラカであり、表示体の木星から見て5室に在住している。




第四子(末子)・三男エドワード王子は、水星は5室に在住し、月は11室で高揚するラグナロードで、5室にアスペクトしている。





因みに金星がサプタムシャの12室に在住し、ラーフ/ケートゥ軸と絡んで傷ついていることは、子供が誕生したタイミングとして不可解である。



然し、月ラグナから見ると、金星はラグナロードであり、表示体の木星から見ると5室の支配星である為、子供の誕生のタイミングとして解釈していいのかもしれない。



実際、この配置があった為、サプタムシャは間違っているのではないかと考えて、ラグナを進めてみたが、サプタムシャが獅子座ラグナにするには、出生時間を2:57:19にしなければならず、そうすると上記に設定したラグナの取り得る範囲(2:44:22~2:53:30)を超えてしまう。



またサプタムシャのラグナを双子座に移動して、金星をラグナに持ってくると、サプタムシャのラグナが双子座に移動するのと同時に出生図とナヴァムシャのラグナが射手座に移動してしまう。



従って、サプタムシャのラグナは、蟹座でしかあり得ないことが分かった。




子供が誕生したロジックとしては、上記の解釈で全く正しいのである。






エリザベス女王の頭を悩ませた王女と王子たち


因みにエリザベス女王の子供たちは、4男のエドワード王子を除いて、皆、エリザベス女王の頭を悩ませる存在である。




長男 チャールズ皇太子(即位して、現在、国王になった)は、カミラ・パーカーとの不倫と、ダイアナ妃へ敬意を欠いた言動などで、新聞の一面を度々飾ったようである。



そして、長女 アン王女は、ボディーガードと不倫し、次男アンドルー王子は、エプスタイン事件で、児童買春に関与が明らかになり、公務が停止されている。



三男エドワード王子は、タブロイド紙の一面を飾ったこともなければ、離婚騒動もなく(離婚経験自体ない)、「問題児」の子どもがいるわけでもなく、派手な素行も見られず、エリザベス女王の秘蔵っ子だとされている。





このことはこれらの王子や王女が誕生した時のダシャーを見ると興味深いが、主に4人とも12室でケートゥとコンジャンクトして傷ついた金星期に誕生している。



1948年11月14日 第一子・長男 チャールズ王子・・・金星/金星/木星

1950年8月15日 第二子・長女 アン王女・・・金星/太陽/木星

1960年2月19日、第三子・次男アンドルー王子・・・金星/土星/土星

1964年3月10日、第四子(末子)・三男エドワード王子・・・金星/水星/月



月ラグナから見ると、金星は6室の支配星であり、また木星から見ると、5室支配で6室に在住して、ケートゥとコンジャンクトしている。






これはエリザベス女王にとって、子供による失望と裏切りを表わしている。


この中で、特に酷いのは、次男のアンドルー王子だが、金星/土星/土星に誕生しており、アンタルダシャーとプラティアンタルダシャーロードの支配星が8室支配の土星で、ラグナロードの月とコンジャンクトして傷つけ、更にラグナや5室にアスペクトして傷つけている配置が考えられる。


エリザベス女王にとって、次男のアンドルー王子の誕生は、災難、あるいは、深い前世のカルマ(業)の結果だったと言ってもいいかもしれない。



そして、長女のアン王女は、金星/太陽/木星期に誕生しているが、アンタルダシャーロードの太陽が、7、8室支配の土星とコンジャンクトしている。



三男エドワード王子が特に何もないのは、アンタルダシャーロードの水星が5室に在住し、プラティアンタルダシャーロードの月が11室で高揚しているからである。


土星や太陽といった凶星に傷つけられてはいるが、プラティアンタルダシャーロード自体が高揚したラグナロードであったことが大きい。



長男のチャールズ王子(現、国王)は、プラティアンタルダシャーの木星が6室の支配星で減衰しているが、ニーチャバンガを形成しているので、その後の公務などで汚名挽回しているのかもしれない。






死のタイミング


このように見てくると、エリザベス女王は、山羊座ラグナのようで、出生時間は、2:44:22~2:53:30の間で正しそうだが、何故、シュリK.N.ラオが、出生時間を2:48:40としたのか、その辺りは更に検討してみたいと思っている。


一つだけ腑に落ちないのは、亡くなった2022年9月8日は、木星/ラーフ/水星期で、山羊座ラグナにとって、木星はマラカでなく、ラーフも6室に在住してマラカでなく、水星もマラカでない点である。







マラカの惑星やマラカと絡む惑星の時期に亡くならない場合、12室の支配星や在住星、それらと絡む惑星の時期や、8室の支配星や在住星、それらと絡む惑星の時期、また3、6、11室の支配星や在住星と絡む惑星の時期といった形で、より優先順位が低い条件が適用されかどうかを検討することになるのだが、様々な事例を見ると、ほとんどがマラカと絡む惑星の時期に死亡しているのが常である。


あまり、こうした分かりにくいダシャーの時期に亡くならない為、何故だろうかと考えていた。


確かに木星は傷ついた12室の支配星で、ラーフは6室に在住して、ラーフ/ケートゥ軸という形で、12室を傷つけており、水星は月から見た減衰した12室の支配星である。


従って、12室が度々登場する為、この優先順位が低い条件で、死が訪れたと考えることはできるかもしれない。



然し、よく考えてみると、現在、エリザベス女王は、木星/ラーフ期であり、マハダシャー木星期の最後のアンタルダシャーであり、マハダシャー土星期に移行する前のダシャーチッドラに入っていた。


従って、マハダシャー土星期の影響も受け始める時期である。



土星は、ラグナロードで、マラカの2室も支配しており、4、11室支配の火星と星座交換しているが、シュリK.N.ラオのフォーマットによれば、山羊座ラグナにとって、傷ついた4、11室支配の火星はマラカに該当する。



従って、ラグナロードの土星は、マラカの火星と星座交換していることになる。


また土星は2室を支配しているが、通常は、ラグナロードでトリコーナの支配星でもある為、2室支配の土星はマラカとして扱わない。


然し、トリシャダヤハウスの11室の支配星と星座交換で絡んでいる為、この場合は、2室の支配星としての土星はマラカとしての凶意を発揮すると考えることが出来る。


また土星は、月から見ると、7、8室支配のマラカである。



更にナヴァムシャを見ると、土星は、ラグナロードだがマラカの2室に在住しており、ディスポジターの月も12室に在住して、ラーフ/ケートゥ軸や8室支配の太陽、4、11室支配のマラカの火星(土星から傷つけられている)からアスペクトされて激しく傷ついている。



従って、エリザベス女王は、今のタイミングで亡くなったというのは、土星期が死をもたらしたと考えていいのである。





チャールズ三世(チャールズ皇太子)




アン王女





アンドルー王子






エドワード王子






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