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リベラル派の逆襲 ―ハリウッドセクハラ告発パンデミックの理由―

2018 1/12
昨年2017年10月5日に『ニューヨークタイムズ』紙が、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが、複数の女優や会社の女性社員にセクハラ行為で訴えられ、少なくとも8件の示談に応じたとのスクープを報じた後、アンジェリーナ・ジョリーやグウィネス・パルトロウなど大物女優が被害者として名乗りを上げ、twitterやfacebookなどのSNS上で、同じような体験をした人に「#me too」として、過去のセクハラ体験を告発するよう呼びかけられ、全米に「#me too」でツィートする人が後をたたない状況が続いている。



1月7日に行われた米ゴールデン・グローブ賞の授賞式もオバマ大統領の当選に大きく貢献した人気テレビ司会者のオパマ・ウィンフリーが、受賞スピーチの中で、シドニー・ポワチエというアフリカ系アメリカ人が第36回アカデミー賞授賞式で最優秀男優賞を受賞し、セシル・B・デミル賞を受賞した時の感動を語り、リーシー・テイラーというアフリカ系アメリカ人が性的暴行を受けた事件を取り上げて、全米黒人地位向上協会のローザパークスが主導して事件を捜査したが、犯人が裁かれることはなかったと語った。

オプラ・ウィンフリーはスピーチの終盤で「男性たちの力に対し、女性が真実を語っても、誰にも聞いてもらえず信じてもらえない。そんな時代はもう終わりです。タイムズアップ!彼らの時間はもう十分なのです。」と発言し、女性のための「新しい時代」が来ると呼びかけてスタンディング・オベーションで称賛を浴びたのである。


ローザパークスは、1955年にアラバマ州モンゴメリーで公営バスの運転手の命令に背いて白人に席を譲るのを拒み、人種分離法違反の容疑で逮捕され、これがきっかけで、モンゴメリー・バス・ボイコット事件が勃発し、アフリカ系アメリカ人による公民権運動の導火線となった人物である。

後にマーチン・ルーサー・キング牧師の人種差別の終焉を呼びかけた「I Have a Dream」(私には夢がある)の演説に繋がって行く。

マーチン・ルーサー・キング牧師の演説とは、人種差別に限定されない、リベラル派の理想主義の体現であり、象徴である。


オプラ・ウィンフリーは、昨年の10月のハーヴェイ・ワインスタイン氏のセクハラ告発で、高まっている人権意識の高揚の中で、このアメリカ公民権運動を思い起こさせるようなスピーチをしたのである。

オプラ・ウィンフリーが大統領選に出馬するのではないかという憶測は、そうしたこのセクハラ告発で高まっているリベラル派の高揚感が関係していると考えられる。


そうしたことで、今年のゴールデン・グローブ賞の授賞式は、性的暴力や抑圧に抗議する式典になったようである。

出席者たちは、黒い服装で出席し、連帯を示したようである。





何故、このような米国のハリウッド発のセクハラ告発が全米に広がり、更には世界に飛び火したのかを考えると、これは、昨年2017年10月26日から射手座に入室した土星が関係していると考えられる。


土星は射手座から水瓶座と双子座にアスペクトし、木星は天秤座から水瓶座と双子座にアスペクトしている。


従って、現在、水瓶座と双子座にダブルトランジットが形成されている。


水瓶座―双子座―天秤座の風のエレメントは、新しい時代の理念を代表するグループで、民主主義や平等、博愛などはこの星座のグループからもたらされたものである。


特に水瓶座は、人種、性別、年齢などで人を差別せず、少数民族の人権も考慮し、性的マイノリティーなどの権利(同性婚)にも気を使う星座である。



土星は星座に入室する2か月前に入室の効果を発揮する為、実際には10月26日になる2ヶ月前の8月26日ぐらいからこのような傾向が高まっていたのである。


それで、実際には土星は10月26日から射手座に入室した訳であるが、ハーヴェイ・ワインスタイン氏を告発する『ニューヨークタイムズ』紙のスクープ記事が出たのが、10月5日で、その直前であった。


10月5日であれば、既に十分に水瓶座と双子座へのダブルトランジットの効果が発揮されていたタイミングである。




この現在のセクハラ告発の連鎖は、『パンデミック』とメディアから表現されているようにやや狂信的、戦闘的、熱狂的な様相を呈している面もあると思われる。


告発合戦が続いており、それに賛同しない人は裏切り者と評価される空気も生じているという。



リベラル左翼、つまり、共産主義といってもいいかもしれないが、水瓶座というのは、しばしばその理念に狂信的になる場合に非常に残酷な面も発揮するのである。


例えば、狂信的で熱狂しすぎるとあさま山荘事件で、裏切り者を粛清するようなことが事件が起こったりする。


言葉狩りと言われるような過度の言論統制なども行われる。



水瓶座というのは、平等という理念を戦闘的に他人に押し付ける場合がある。


例えば、共産主義の時代に裕福な資産家の家に労働者が押し入って、ピアノや家具調度類を奪い去っていくといった暴力を映画の中で見た人もいるかもしれない。


また中国の文化大革命などもそうだが、紅衛兵が芸術家や文化人などを吊し上げて、酷い暴力を働いたりもしたのである。



SNSで「#me too」で過去の男優たちのセクハラを暴露するようにうながされて、それに従って、熱狂的に暴露合戦をしている人々は、この中国の文化大革命に似ていると言えなくもない。


ある意味、理性を欠いたリベラル左翼的な熱狂に支配された行為の連鎖である。


今、米国のハリウッドで、吊し上げられているのは、ハーヴェイ・ワインスタイン氏や、ダスティンホフマン、スペイシー、ベンアフレック、オリバーストーン監督、ケビンスペイシーなど広範囲に渡る。



おそらく彼らは、やはり過去に女性たちに恨まれることをしたのだろうと思われる。


人間が受けた屈辱、そして、屈辱感というものは、どれだけ時間が経過しても忘れ去られることはないのである。


そして、ある時、何かをきっかけにして、それらが噴出してくる。


彼らが吊し上げられたのも、またカルマと言えるのかもしれないが、然し、かなり熱狂的で、狂信的な傾向が見られる。



おそらく、それは私は、昨年2017年の冒頭からドナルドトランプ大統領誕生というリベラル派にとっては、大きな屈辱的な出来事が起こった。


その為、今回のセクハラ告発の連鎖は、リベラル派の狂信的な反動なのではないかと思われる。




因みにこうしたセクハラ告発は日本の芸能界には全く飛び火している様子がない。


若干、あったかもしれないが、全く大きな騒動には発展していない。


日本の芸能界は保守的であり、セクハラは日常的な出来事である。


日本は基本的に保守の国であり、こうした米国のリベラル左翼の狂想曲を冷めた目で見ているのである。


そして、『米国ハリウッドでセクハラ告発続出も日本芸能界では沈黙 セクハラが「常態化」か』と題する記事が掲載されてもあっという間に提供者の都合で削除されている。


米国ハリウッドでセクハラ告発続出も日本芸能界では沈黙 セクハラが「常態化」か
2017年12月14日 10時25分 @niftyニュース

米ハリウッドのセクハラ問題ではケビン・スペイシー、ダスティン・ホフマンまでも告発

日本でも「共演女優とやらないでどうする」が石原裕次郎さんの口癖だったと週刊誌報道

音楽グループ出身の俳優で、当時40代のタレントがグラビアタレントをあわやレイプとも

提供社の都合により、削除されました。
概要のみ掲載しております

その代わりに日本では、日本相撲協会の古い体質が批判されている。


この辺りで、水瓶座のリベラル左翼の理念の影響が出てきているようである。




因みにハーヴェイ・ワインスタイン氏と金正恩がキャラクター的に非常に似通っている。



ハーヴェイ・ワインスタイン氏がハリウッドから排除されたように金正恩が世界から排除されるのだろうか。









(参考資料)

米セクハラ問題 映画人沈黙のワケは… 米アカデミー賞選考への影響懸念? 女優ら抗議計画
2018.1.7 21:20 産経ニュース
【ロサンゼルス=住井亨介】多数の女優やモデルへの不適切行為が報じられた米ハリウッドの大物映 画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏を契機に拡大したセクハラ疑惑が、米映画界最高の 栄誉とされるアカデミー賞に影を落としている。前哨戦の映画賞が発表される中で当の映画人らが疑 惑に触れるのを避け、「非難することでアカデミー受賞を逃すのを懸念している」との批判が上がる 一方で、一部の女優たちが沈黙を破ろうと抗議の意思を表明する動きを見せており、賞レースへの影 響が注目されている。

 「別世界の賞」

 「まるで別の世界で開催されているかのようだ」

 セクハラ疑惑のまっただ中にある状況に誰も触れなかった昨年11月のアカデミー名誉賞授賞式に ついて、こう皮肉ったのは米紙ニューヨーク・タイムズだ。

 今年3月のアカデミー賞に至る、映画賞シーズンの到来を告げる「ゴッサム・インディペンデント 映画賞」授賞式(昨年11月)でも、奇妙さはぬぐいきれなかった。司会者は「(映画界は)必死に 正しいことをしようとしている」と婉曲(えんきょく)に述べたものの、疑惑そのものには言及せず 、多くの受賞者もありきたりのスピーチを繰り返した。

拡大する一途の疑惑。主なものでも、ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」で主演したケビ ン・スペイシー氏、オスカー俳優のダスティン・ホフマン氏のほか監督、大物代理人など、映画界全 体に蔓延(まんえん)していたことが明らかになっている。

 「沈黙」の背景にはハリウッド独特の力関係がある。大手の映画会社や代理人、ワインスタイン氏 に代表される大物映画人らの意向に逆らうことはご法度とされる。そうした悪弊が長らく疑惑発覚を 抑えつけてきたともいえ、「ハリウッド批判をすれば、アカデミー賞の発表で(受賞者が書かれた) カードに他人の名前が載ることになる」(同紙)のが現状なのだ。

 思い惑う関係者

 アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーは危機感を覚えたのか、昨年12月、「会員は 、人の尊厳などを尊ぶアカデミーの価値観に基づき、倫理的に行動しなければならない」などとする 「行動指針」をアカデミー会員に送付。さらに特別チームを組んで疑惑を調べているという。

 こうした疑惑追及と賞選考とを切り離すべきではないとする意見の一方で、純粋な作品評価の観点 から疑惑と関わりのある作品を選考から除外することへの抵抗もある。ワインスタイン氏が設立した 会社が制作に関わった作品にも受賞の期待がかかるなど、関係者の逡巡(しゅんじゅん)は深まるば かりだ。

沈黙破る動き

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、アカデミー会員の72%が男性、87%が白人で、2016 年は演技部門の候補者が全員白人だったことから「白すぎるオスカー」と批判を浴びた。こうした中 、女性陣が声を上げる動きが出ている。

 アカデミー賞の行方を占う上で重要視される第75回ゴールデングローブ賞の授賞式(現地時間7 日)で、ノミネートされているメリル・ストリープさん、エマ・ストーンさんら女優30人以上が、 セクハラや男女不平等に抗議するため黒色ドレスを着て出席することを計画しているという。

 ストリープさんは昨年1月の同賞授賞式で、大統領就任前のトランプ氏の差別的な発言を痛烈に批 判した経緯がある。新たなアピールは同賞以後も続けられるといい、今年は再び社会問題がクローズ アップされるアカデミー賞となりそうだ。

 ■米アカデミー賞■ 米国の映画業界団体「映画芸術科学アカデミー」が映画産業の発展を目的に 、優れた作品や俳優らに贈る賞。ベルリン国際映画祭など3大映画祭より歴史が長く、業界人の投票 により毎年独特の傾向が表れることから、世界で最も注目される。受賞者に贈られる像は「オスカー 」という愛称で知られる。第90回の発表・授賞式は3月4日(現地時間)。
参照元:米セクハラ問題 映画人沈黙のワケは… 米アカデミー賞選考への影響懸念? 女優ら抗議計画
2018.1.7 21:20 産経ニュース
ゴールデングローブ賞、性的暴力や抑圧に抗議する式典に
2018年01月8日 NEWSJAPAN

米ロサンゼルスで7日、ハリウッド外国人映画記者協会がテレビと映画の優秀作品を選ぶ第75回ゴール デングローブ賞の授賞式が開かれた。ハリウッドを揺さぶる性的暴行問題が噴出し始めて以来、初の 主要な授賞式。出席者の多くは黒い服で被害者に連帯を示し、受賞者の多くも、声を上げる女性たち に共感を示した。

式典では、性的暴力の被害者と連帯する「#MeToo(私も)」運動や、性的暴力をこれ以上容認しない 、沈黙していられる時間はもう過ぎたという「Time’s Up」運動への連帯が、事実上のテーマだった 。

映画界への長年の功績を称える「セシル・B・デミル賞」を、黒人女性として初めて受賞した人気司会 者・女優・実業家・プロデューサーのオプラ・ウィンフリーさんは、「新しい日がもうすぐ明ける」 と述べ、式典の空気を総括した。

出席者の多くは黒い服装で連帯を示し、司会のセス・マイヤーズ氏は冒頭のあいさつで開口一番、「 淑女と、まだいる数少ない紳士の皆さん」と切り出し、「今年は2018年。マリフアナがついに許され 、セクハラがついに許されなくなりました」と続けた。

「今日この場にいる男性の候補者の皆さん、3か月ぶりのことですが、今日は自分の名前が呼ばれても 脅えなくて大丈夫です」

マイヤーズ氏はさらに冗談めかして、オプラ・ウィンフリー氏に大統領選に出馬するよう促した。

2011年のホワイトハウス特派員協会晩餐会で当時のバラク・オバマ米大統領が、ドナルド・トランプ 氏が大統領になれるはずがないと満座の中で嘲笑したのが、トランプ政権発足につながったという意 見に触れ、「もしそれが本当なら、オプラ、これだけ言わせてください。あなたが大統領になれるは ずないから。ぜんぜん能力不足だから」と逆説的に促した。

そのウィンフリー氏が功労賞を受賞すると、会場の大勢が立ち上がりスタンディング・オベーション を送った。

ウィンフリーさんは受賞スピーチで、現在の米国では報道や真実が攻撃されていると述べ、「自分の 真実を語ることこそ、私たちの最強の道具です。あまりに長いこと女性たちは無視されてきた。ある いは、自分たちを虐げる残酷なほど強力な男性たちの権力を前に、真実を語ろうものなら、聞いても らえず、信じてもらえなかった。けれどもその男たちはもう時間切れ。連中はもう時間切れです!」 と強調した。

「なので今これを見ている女の子全員に、新しい日がもうすぐ明けると知ってもらいたい。その新し い夜明けがついに来たら、それは大勢の素晴らしい女の人と、今晩この会場にもその大勢がいます、 かなりすごい男の人たちのおかげです。もう二度と誰も『私も』などと言わなくて済む時代に、私た ちを連れて行ってくれる、そんな指導者になろうと一生懸命戦っている人たちのおかげです」

映画「ビッグ・リトル・ライズ」で助演女優賞を受賞したローラ・ダーン氏も、今まで女性は発言し ないよう抑え込まれてきたとスピーチした。

「私たちの多くは、告げ口をするな、秘密を漏らすなと教えられてきた。沈黙の文化で、それが普通 だと言われた (中略)仕返しの恐怖なく発言してもいい、それが私たちの文化の新たな指針だと、 子供たちに教えられますように」

歌手、女優、映画監督のバーブラ・ストライサンド氏は、プレゼンターとして登壇し、ゴールデング ローブ賞で監督賞を受賞した女性はまだ自分だけで、しかもそれは1984年のことだったと強い憤りを 表した。

ストライサンド氏は、「皆さん、時間切れです。もっと多くの女性監督や女性を、監督賞にノミネー トしないと」と呼びかけた。

映画(コメディ・ミュージカル)部門で作品賞に選ばれた「レディ・バード」を撮りながら、監督賞 にノミネートされなかったグレタ・ガーウィグ監督は、ストライサンドさんのこの発言を聞き、主演 女優賞を得たシアーシャ・ローナンさんと客席で抱き合っていた。

さらに、監督賞を発表した女優ナタリー・ポートマンさんは、監督賞の「男性候補たち」とあえて発 言し、ガーウィグ監督を外した候補選定に暗に苦言を呈した。

映画(ドラマ)部門では、マーティン・マクドナー監督・脚本、フランセス・マクドーマンド主演の 「スリー・ビルボード」が、最優秀作品賞と脚本賞、主演女優賞、助演男優賞の4部門で受賞した。

主演のマクドーマンドさんは、娘を殺害した犯人が見つからず、警察と対立する母親を演じた。

「自分自身が物語を書く」

テレビドラマ部門での最多受賞は、「ビッグ・リトル・ライズ」。出演のニコール・キッドマンさん 、ローラ・ダーンさん、アレクサンダー・スカースガードさんが主演賞や助演賞を受賞したほか、限 定シリーズ最優秀作品賞も受賞した。

テレビドラマシリーズ部門では、女性が一切の人権を奪われ「産む機械」にされる近未来の神権独裁 国家を描き、社会現象ともなっている「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」が、最優秀作品賞と主 演女優賞を獲得した。

モスさんは受賞スピーチで、原作者の作家マーガレット・アットウッドさんに賞を捧げた後、「私た ちはもはやページの余白や物語の隙間に生きているわけではありません。私たちこそが出版される物 語で、私たち自身がその物語を書いているのです」と、立ち上がり発言する女性たちにエールを送っ た。

男性の束縛から逃れようとする女性2人を描いた1991年映画「セルマとルイーズ」で共演したジーナ・ デイビスさん(左)とスーザン・サランドンさんは、映画から27年後に舞台上で「再会」。

ドラマの最優秀男優賞を発表するにあたって、デイビスさんは、候補男優たちは「みんな報酬の半分 を返上すると約束したんですよ。自分より女性が多く稼げるように」と述べ、映画業界で長年続く男 女の賃金格差を皮肉った。

ゴールデングローブ賞の映画部門は、アカデミー賞の前哨戦とみられている。今年のアカデミー賞授 賞式は3月4日に開かれる。

(英語記事 Golden Globes 2018: Sexual harassment scandal dominates ceremony)

参照元:ゴールデングローブ賞、性的暴力や抑圧に抗議する式典に
2018年01月8日 NEWSJAPAN

ハーベイ・ワインスタイン事件:ここまでの経緯をおさらいしてみる
猿渡由紀 | L.A.在住映画ジャーナリスト
2017/10/17(火) 6:30

ハーベイ・ワインスタインについての暴露記事がハリウッドに衝撃を与えてから、11日が経った。事態は刻一刻と先に進んでいるが、状況に着いていけていないという人のために、彼という人物や、これまでの経緯を、ここで簡単に説明しておこうと思う。

 この機会にお伝えしておくが、正しい発音は、ワインスティンである。しかし、日本では長年ワインスタインと表記されてきたため、混乱を防ぐために、筆者はワインスタインで通すことにしている。

ワインスタインとはどんな人なのか

 ハーベイ・ワインスタイン(65)は、ハリウッドで強力なパワーを持つ映画プロデューサーである。ニューヨーク出身の彼と弟ボブ(62)は、70年代末に、映画会社ミラマックスを創設。社名の由来は両親の名前で、小規模だった頃は、母が受付に座っていたりしたそうである。

 80年代末から90年代にかけて、ミラマックスは、「セックスと嘘とビデオテープ」「クライング・ゲーム」「パルプ・フィクション」など、大人向けの良質で個性的な作品を次々に送り出し、批評面でも、興行面でも大成功を納めた。「イングリッシュ・ペイシェント」では、初のオスカー作品賞を獲得。これをきっかけに賞に貪欲になったワインスタインは、毎年その時期になると、強引すぎるほどのオスカーキャンペーンを展開するように。そのことから、彼は、現代のオスカーキャンペーンの基礎を作った人とも言われるようになった。ミラマックス時代には、ほかに「恋におちたシェイクスピア」と「シカゴ」が、作品賞に輝いている。

 無名俳優だったマット・デイモンとベン・アフレックを「グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~」で大ブレイクさせてあげたのも、ジョージ・クルーニーに監督デビューのチャンスをあげたのも、ワインスタイン。グウィネス・パルトロウ、クエンティン・タランティーノなど、彼に恩がある人は、ほかにも多数いる。

 ミラマックスは、93年、ディズニーに買収されたが、その後も、実質的な経営は、ワインスタイン兄弟が以前と同様に行ってきた。しかし、ディズニーのトップとの間に摩擦が強まり、2005年、兄弟は自分たちが作った会社を離れ、ザ・ワインスタイン・カンパニー(TWC)を創設する。TWC時代になってからも、「アーティスト」「英国王のスピーチ」がオスカー作品賞を受賞した。

 結婚歴は2回。最初の妻は元アシスタント 。2007年に再婚した相手は、ファッションブランド、マルケッサのデザイナーであるジョージナ・チャップマン。あまり表に出ず、 主に関連レーベルのディメンション・フィルムズの経営にたずさわる弟ボブと違い、ワインスタインは出たがりで目立ちたがりや。多くの才能を発掘した一方で、監督と編集についてもめることもたびたびあり、皮肉を込めて「シザーハンズ」(ハサミをもつ手)とも呼ばれてきた。「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」では、自分の気に入らないバージョンを監督とプロデューサーがカンヌ映画祭に出品したことに怒り狂い、カンヌをボイコットしただけでなく、アメリカで劇場公開をしないという仕返しに出ている。怒りっぽく、気に入らないと大声で怒鳴ったりすることでも有名だ。

 長年の民主党支持者で、オバマ、ヒラリー・クリントンをはじめとする民主党の政治家に、多額の寄付をしてきている。ロバート・デ・ニーロと組み、レストランに投資もする。彼の資産総額は、3億ドル(約336億円)とされる。

彼のセクハラはどのように明るみに出たのか

 ワインスタインについての大きな記事を書くべく、「New York Times」と「New Yorker」が別個に動いているという噂は、少し前から出ていた。ワインスタインも把握しており、なんとか阻止しようと策を練ったそうである。

 先に出たのは、「New York Times」。今月5日に出たこの記事には、ワインスタインが20年以上にもわたって、若い女優や社員らにセクハラをしてきたことが、詳細に書かれていた。仕事のミーティングを装って狙った相手をホテルに呼び出し、自分の部屋に上がって来させて、バスローブ姿の自分にマッサージしてほしい、あるいは自分がシャワーを浴びるのを見ていてほしい、などというのが、彼がよく使った手口。記事の中では、アシュレイ・ジャッドが実名を出して告白している。また、彼が、最低でも8人の被害者と示談に応じていたことも明かされた。

 10日に出た「New Yorker」の記事は、さらにショッキングだった。彼は、セクハラだけでなくレイプもしていたというのである。被害者のひとりは、イタリア人女優アーシア・アルジェント。この記事ではまた、2015年、ニューヨーク警察が録音していた証拠音声も公開された。これと同じ日に、「New York Times」が続報記事を発表。こちらの記事では、グウィネス・パルトロウ、アンジェリーナ・ジョリーら複数の女優が、被害者として名乗り出た。

「New York Times」と「New Yorker」の記事が立て続けに出たのは、偶然である。「New Yorker」の記事を執筆したローナン・ファローは、10ヶ月かけて取材を行っており、もともとは、テレビ局NBCで放映するつもりだったのだ。しかし、NBCが最終的にこれを取り上げないと決め、彼は「New Yorker」に持ち込んだのである。一方、「New York Times」は、2004年にもワインスタインの行動について記事にしようとしたことがあったのだが、実現しなかった。これらの背後にワインスタインからのプレッシャーがあったのかどうかは、今のところ、はっきりしない。ところでファローは、女優ミア・ファローとウディ・アレンの息子である。彼は父と険悪な関係で、昨年、自分の娘に性的虐待をしたアレンがまだ堂々と仕事をさせてもらえているハリウッドの実情を非難するエッセイを、「The Hollywood Reporter」に寄稿している。

発覚後、彼はどうなったのか

 5日の「New York Times」の記事が出た直後、ワインスタインは謝罪の声明を出し、更生のため休職をすると発表した。しかし、言い訳に満ちたその声明は、逆にもっと批判を呼ぶことになる。ワインスタインの弁護士は、「New York Times」を訴訟すると宣告した。

 記事に出たワインスタインの行動についてまったく知らなかったと主張するTWCは、独自の調査を始めると発表。8日には、役員会議でワインスタインをクビにする決定を下した。この直前、ワインスタインが、ジェフリー・カッツェンバーグを含む業界の大物に、「クビになりたくない。自分を助ける手紙を書いてほしい」とメールを送っていたこともわかっている。

 英国アカデミーは、ただちに彼を追放。ハリウッドのアカデミーも、14日の会議で、彼の除名を決めた。プロデューサー組合も、アメリカ時間本日16日に投票にかける。彼が常連だったカンヌ映画祭も、批判の声明を発表。マクロン仏首相は、レジオンドヌール勲章を剥奪すると発表した。この流れに逆らうのは無理と悟ったのか、「New York Times」を訴訟すると言った弁護士は、それを行動に移さないまま、15日にワインスタインの弁護を辞めている。

どうしてこれまで表に出なかったのか

 2013年のオスカー授賞式で、ホストを務めたセス・マクファーレンは、助演女優部門の候補5人の名前を読み上げた後、「おめでとうございます。あなたたちはもう、ハーベイ・ワインスタインが好きだというふりをしなくてもいいですよ」とジョークを言っている。彼は、親しい女優から話を聞かされていたのだ。パルトロウも、被害の直後に家族や友人に話しているし、決して、これまで誰も知らなかったわけではないのである。

 だが、ワインスタインは、社員たちに、会社やトップの不名誉になることを言ってはいけないとの契約書にサインさせていた。言うことを聞かないとキャリアを潰してやると、被害者を脅すこともしている。

 業界の男たちも、何かを耳にはしても、知らん顔をして彼とのビジネスを続けていた。ローズ・マッゴーワンは、アマゾン・スタジオズのトップに、自分がワインスタインにレイプをされたことを伝え、「彼とはビジネスをしないで」と言ったが聞いてもらえず、逆に自分のプロジェクトを潰されたとツイッターで打ち明けている(このトップもまたセクハラ加害者であったことが判明し、先週、アマゾンを停職処分になった)。

 今になって明るみに出たことには、社会の変化も関係しているだろう。昨年は、フォックス・ニュースのトップでテレビ界の大物ロジャー・エイルズが、セクハラで辞職に追いやられた。それとは別に、フォックス・チャンネルに出ていたビル・オライリーも、15年にわたって複数の女性にセクハラをしていたことが判明して、番組を追いやられている。女性たちの間で、黙っていてはいけないとの風潮が高まってきていたのだ。

 アリッサ・ミラノは、15日、ツイッターで、セクハラを受けたことのある女性たちに、「#Me Too」のハッシュタグをつけてメッセージを投稿しようと呼びかけた。ソーシャルメディアは、今、このハッシュタグで溢れかえっている。

果たして彼のこれからは

 ワインスタインは、セックス依存症の更生のためとして、アリゾナ州スコッツデールで時間を過ごしている。だが、アメリカ時間明日17日のTWCの会議には、電話で参加する予定だ。解雇は契約違反だとする彼は、断固として闘うつもりのようである(ボブは、解雇はゆるぎがないと『The Hollywood Reporter』に対して語っている)。ワインスタイン兄弟はTWCの42%を所有しており、彼の持ち分をどう取り戻すかも焦点になりそうだ。

 ロンドンとニューヨークでは、警察の捜査が進められている。かなり昔の出来事とあって、刑事事件として起訴する上では障害が大きいだろうというのが、専門家の見解だ。だが、被害者たちによる民事裁判が起こる可能性は、十分ありえる。その裁判は、映画でもめったにないほど、多数の女性たちが登場するものになるだろう。そしてそのドラマが始まる時、ワインスタインは、カメラの後ろでのんびりするのではなく、みんなが見つめる主人公の役を担うことになるのだ。

参照元:ハーベイ・ワインスタイン事件:ここまでの経緯をおさらいしてみる
猿渡由紀 | L.A.在住映画ジャーナリスト
アメリカで起きているセクハラ告発“パンデミック”が意味するもの
2017年11月21日 ニュース HARBOR BUSINESS Online

今、米国でセクハラ告発スキャンダルが連鎖的に続発している。それはハリウッドを中心とした芸能 界から政界、スポーツ界、マスコミ業界などあらゆる分野に広がり、まるで「セクハラ告発“パンデ ミック”」といった様相だ。

 ハリウッドでは、大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏が多くの女優たちから セクハラ被害の告発を受け、大きな騒動になった。イタリア出身女優のアーシア・アルジェントや英 国出身の女優リセット・アンソニーは駆け出しの若い頃に彼にレイプされたと暴露したのをはじめ、 20人以上の女優からレイプ被害や性的行為の強要を受けたことを赤裸々に暴露されている。

 俳優であり映画ディレクターとしても活躍しているベン・アフレックはかつてテレビ番組で共演し ていた女優ヒラリー・バートンからセクハラを受けていたと槍玉に挙げられ、米国の人気テレビ番組 「スタートレック」のヒカル・スールー役で有名な日系二世俳優ジョージ・タケイは、知人男性から 36年前に性的暴行を受けたと告発された。スポーツ界では、元女子サッカー米国代表で人気スター選 手だったホープ・ソロが、2013年のFIFA授賞式で当時の国際サッカー連盟会長ゼップ・ブラッター氏 にセクハラを受けたことを明かしている。

 政界では、父ブッシュことジョージ・H・W・ブッシュ元大統領は93歳の今になって少なくとも8人の 女性から昔のセクハラ被害を告発され、元芸能人で現在民主党上院議員のアル・フランケン氏は、ラ ジオの女性司会者から10年以上前にキスを強要され性的いたずらをされたと暴露され、証拠写真も公 開されたため謝罪に追い込まれた。元アラバマ州最高裁判事で共和党上院議員候補のロイ・ムーア氏 は6人もの女性にセクハラ被害を暴露され、そのうちの1人の女性はメディアの集まるニューヨークで 会見を開き、16歳のときに車の中で同氏に性的暴行を受けたことを告発している。

米国社会に深く根ざす「セクハラ問題」

 米国でこれだけセクハラ告発が頻発している背景には、セクハラ問題が社会全体に根深く蔓延って いる実態がある。ワシントン・ポスト紙では、一般社会、特に職場でセクハラに苦しめられている読 者の生の声を集め電子版に掲載しているが、その告白の数々はどれも深刻なものだ。(参照: 「Washington Post」)
参照元:アメリカで起きているセクハラ告発“パンデミック”が意味するもの
2017年11月21日 ニュース HARBOR BUSINESS Online

性犯罪を女性が告発するSNSキャンペーン「#me too」世界に拡大中
2017年10月20日 06時00分更新 文● 福原麻希(ダイヤモンド・オンライン)

アメリカ市民に“衝撃”をもたらした事件が、ちょうど先週末に起こった。10月14日、ハリウッドの 大物映画プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタイン氏の性的スキャンダルが暴露され、映画 芸術科学アカデミー(*)から追放されたニュースは、日本でもすでに多くの媒体で報道された。今 週、SNSを通じてその余波が大きなうねりとなって、世界を駆け巡っている。(医療ジャーナリスト  福原麻希、取材協力・英語翻訳/西田匡吾)

ハリウッドの有名女優たちの

告白がSNSで全米に拡大

 ワインスタイン氏の長年のセクシャルハラスメントやレイプに関する証言を次々と伝えたのはニュ ーヨークタイムズ紙と、ニューヨーカー誌。ほぼ同時期だった。

 ニューヨーカー誌では、1990年代から2015年までに、ワインスタイン氏から性的嫌がらせやレイプ を受けたとする13人の女性からの証言が報道されている。記事では詳細が赤裸々に語られ、女優たち が「(仕事を盾にした権威によって)キャリアを失うのがとても怖かった」と告白している。

 だが、スキャンダル爆弾は、これだけで終わらなかった。

 15日日曜、アメリカでは、さらにSNS上に大きなムーブメントが起こった。日本でも2001年からNHK のBS2放送されたテレビドラマシリーズ「チャームド」に出演していた女優のアリッサ・ミラノがツイ ッターで、こんな投稿をしたからだ。

 “If you've been sexually harassed or assaulted write 'me too' as a reply to this tweet, ”(「もし、あなたが性的な嫌がらせを受けたり、暴行を受けたりしたことがあるなら、このツイー トに『私も』と書いて返信して」)

 数時間後、「悲しくつらい経験をしたことがある女性が、こんなに多くいたのか」と驚くほど、SNS 上は「#me too(#Me Too)」(私も)の文字であふれかえった。ツイッターも、フェイスブックも。 インスタグラムには写真も並んだ。

 例えば、アメリカ人女性らは、こうツイートしている。

「2012年の選挙速報を祝った後、家までつけられて。医者の最初の質問は、“酔ってたの?”」

「2度目にレイプされたのは大学院最終年。報告なんてしなかったし、ケガは隠したし、次の日の朝は 普通に学校へ行った」

 日本でよく知られる女優たちも、すぐ#me tooと声を上げた。映画「ピアノ・レッスン」に出演した アンナ・パキン、クェンティン・タランティーノ脚本の映画「トゥルー・ロマンス」に出演したパト リシア・アークェット、エヴァン・レイチェル・ウッド……。先日、線維筋痛症の痛みと闘う姿が話 題になったレディガガも声を上げた。

映画「サーティーン あの頃欲しかった愛のこと(原題:Thirteen)」でセックスやドラッグに溺れる 13歳役で衝撃を与えた女優エヴァン・レイチェル・ウッドはツイッターでこうつぶやいた。

「恥ずかしい気持ちと、パーティー人間って思われてたから、仕方ないと。あの場所にいなければよ かった。(でも)自分が悪いって思うべきではなかった #metoo 」

CNNは「翌日の16日月曜には、ツイッターに#me too(#Me tooも含めて)が50万回以上ツイートされた ことを確認した」と報道している。

複数のメディアによると、アリッサはワインスタインの悪癖の報道以降、批判的な発言を繰り返して いたという。このソーシャルメディア(SNS)を利用するというアイデアは、友人から「性被害(嫌が らせや暴行等)に遭った人が、ただ“me too”と書くだけで自分も言いやすくなる。社会にこの問題 の重大さを伝えることができるかもしれない」と提案されたことがきっかけになったそうだ。

*映画芸術科学アカデミー:アメリカを中心とする映画業界の関係者で結成されている団体で、アカ デミー賞の選考や授与を主催している。

アメリカのつぶやきが世界に飛び火

フランスでは政府が法整備に向けて動き出した

 SNSへの#me tooの書き込みには、性的な嫌がらせ、痴漢、および強制わいせつや強姦・未遂も含め た自分自身の経験(エピソード)から、このキャンペーンを支持している人まで見られる。#me tooは 瞬く間に女性の心をつかみ、世界中の大きなムーブメントへと広がりつつある。

 フランスを代表する日刊紙ル・モンドでは16日、マルレーヌ・シアパ男女平等(公式発表では「女 男平等」と記載されている)担当副大臣が「性差別や性暴力に対する法整備」に向けて動きだしたと 発表した。特に、未成年に対する性行為の合意と、公共の場でのハラスメントが対象となっている。

 さらに、フランス人女性たちはSNS上でアリッサの呼びかけに対して#Balancetonporc(「あの豚野 郎を炙り出せ」という意味)と返信し、セクハラや性的暴行を受けた経験を語った。

 イギリスでの#me tooは、「数年前に発覚したジミー・サビル事件の影響やカトリック教会による児 童虐待に対してのデモ抗議などの背景もある」と現地在住の日本人女性は言う。ジミー・サビル事件 とは、2011年に亡くなったBBC(英国放送協会)の人気司会者が、死後、5~75歳まで100人以上の男女 に性的暴行を加えていたことが発覚したニュースのこと。

 イギリスでは、2010年にもカトリック教会における性的虐待の一連の事件に抗議するデモがあり、 「事件当時、被害者が話すことができない権威による関係に置かれていたため、より深刻さと周りの 理解が共感を呼び、今回の#me tooにつながったのではないか」と前述の女性は説明する。

 アメリカをはじめ、グローバルで展開する日本企業にも影響が出ている。トヨタ自動車は17日、ワ インスタイン氏による今回のセクハラ問題を受けて、ワインスタイン氏が弟と設立した映画会社ワイ ンスタイン・カンパニーと高級車「レクサス」との契約関係を見直すと発表している。

 この一連の現象は、日常で身近に起こるセクハラ、あるいは、誰にも言えなかったレイプ(強制わ いせつや強姦)を、実は、テレビや映画に出てくる憧れの人たちも体験していたと知ることで、急に ソーシャルでリアルな問題となりつつある。

 最初に声を上げた人の気持ちと呼応した女性の心の動きについて、心理士の栗原幸江さんはこう説 明する。

「これまで自分の心の中に封印されてきたものを最初にSNSへ書いた人には、それなりの覚悟があった ことでしょう。不特定多数への発信には個人攻撃される可能性もあるというリスクがともなうからで す。でも、腹をくくった上で『発信せねば』『社会に知らしめなければ』という動機に突き動かされ て、その体験をカミングアウトしたとき、その語りには『力』が込められます」

 その力(パワー)と勇気に心動かされる人たちが#me tooと発信したり、応援メッセージを送ったり することで、時には今回のように「社会が動く・変わる」「人々の意識が変わる」という動きにつな がる。「保育園落ちた、日本死ね!!!」などと同じような現象だろう。

 このうねりは、過去に数々のセクハラ疑惑が尽きない日本や韓国などでの芸能界をはじめ、一般の 日本人女性の間でも急速に広がる可能性がある。

日本では#me tooが

どう受け止められるか

 実際、日本でも17日火曜には「#me too」と書き込む人だけでなく、過去のつらい記憶を語る一般女 性の投稿も見られるようになった。

 18日水曜、東京都内で複数の女性に#me tooについてインタビューしたところ、「私にも経験がある 」と次々と語り始めた。20代女性は2年前に強制わいせつ未遂に遭ったことを話し、自分も被害に遭っ たとき、すぐ周囲の友人に向けて「こういうことがあったから注意して」とSNSへ書き込んだという。

 30代女性は小学生の頃、性被害に遭ったとき「誰にも言うな」と口止めされたことで、できごとが 心のシコリとして残っていた。だが、「こんなふうに話すことで、主観的な出来事に距離を置くこと ができ、客観的なストーリーとなっていく感じがしました。今回の#me tooはいいきっかけになった」 と言う。

 ネガティブなストーリーに価値が付いたことでポジティブに変わり、自分自身で肯定できるように なったといえる。

「これまで“封印されてきた何か”が語れるようになるということは、語りを分かち合う相手やその 場に、ある程度の信頼を寄せられるということです。その支えのもと、自分なりの言葉で体験を語る とき、それまでモヤモヤとしていたものが形となり、自分自身の気付きへとつながります」と前述の 栗原さんは説明する。

 だが、SNSに限らず、メッセージの読み手はそれぞれ自分が読みたいように解釈する。つまり、伝え たいことが伝わらず失望することになったり、顔が見えないことで読み手が書き手の気持ちをまった く無視して揶揄され傷ついたりすることもある。

 すでに、アメリカでも大衆紙のイラストやフェイスブックのグループページで、そんな悲しい絵や 文字も並んでいる。

 SNSに書き込むときの注意として、前述の心理士の栗原さんはこう助言する。

「自分の体験を書くか書かないかは個人の選択ですが、読み手には様々な考え方の人がいることを認 識したうえで、『自分は何を伝えたいのか』『何のために書き込むのか』を意識してほしい」

 カミングアウトすることで、二次的な傷をつくってしまうことだけは避けたい。

 今回はアメリカの社会の暗部を改めて浮き彫りにしたで出来事だったが、その内容は日本でも、ど んな職場でも同じ。だからこそ、世界で共感が集まった。

 このムーブメントを17日、いち早くフェイスブックで伝えた、ミモザの森法律事務所代表で、NGOヒ ューマンライツ・ナウ事務局長の弁護士の伊藤和子さんはこう言う。

「相手を拒絶できなかったことや沈黙を守ってきたことを責める人がいますが、そうではなく責めら れるべきは権力や腕力を行使して性的ハラスメントをする側なのだということを、今、女性たちは語 り合い、共感し合っています。それが#me tooの連鎖です」

 日本では女性に限らず、被害に遭っても自分が悪かったと語りたがらず、そのできごとを忘れよう として生きている。また、被害者が告発しても孤立しがちなところもある。

「でも、私たちも誰かがカミングアウトしたら『私たちも同じ経験をしてきた』と呼応し、不当な現 実を変える社会に変わってほしいですよね」とも伊藤さんは言う。

 セクハラや性的暴行だけでなく、どんなことにも、その気持ちと行動はあてはまる。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。

参照元:性犯罪を女性が告発するSNSキャンペーン「#me too」世界に拡大中
2017年10月20日 06時00分更新 文● 福原麻希(ダイヤモンド・オンライン)

カトリーヌ・ドヌーヴのセクハラ告発非難に物議 当事者の女優が批判「内に秘めた女性嫌悪がある」
ドヌーヴは「男性への憎悪を掻き立てている」と訴えていました。
2018年01月10日 14時13分 JST | 更新 3時間前

女優カトリーヌ・ドヌーヴをはじめとするフランスの女性100人が1月9日、ルモンド紙に書簡を寄稿し、セクハラなどの性暴力を告発する「#MeToo」運動は行き過ぎで、「ピューリタニズム」(潔癖主義)であり、「浄化の波」だとし、「全体主義の風潮を作り出している」と批判した。

書簡に署名した100人の女性には、ジャーナリスト、映画監督、作家、その他の有識者が名前を連ねている。この寄稿では、MeTooは「魔女狩り」で、性の自由を妨害するものだと非難している。

MeToo運動のきっかけとなったハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ウェインスタイン氏のセクハラについては、「男性、そしてセクシュアリティへの憎悪」を掻き立てたものであり、不公平な処罰を引き起こしたとしている。

「男性たちは制裁を受け、辞職を迫られている。彼らがやった悪事といえば、膝を触ったり、唇を奪ったり、仕事がらみの食事の場で性的関係を求めたり、好意を持っていない女性に性的なニュアンスのメッセージを送ったりといったことでしかない」と、書簡には書かれている。

女性たちはさらに、MeTooはフランスで「屠畜場に『豚』を送り込め、という熱狂」を引き起こしたと述べている。これは、フランス版MeTooといえる#BalanceTonPorc(「豚を非難しろ」)という運動について言及したものだ。

イタリア人女優で映画監督で、ウェインスタイン氏を告発した女性の1人アーシア・アルジェントは、この書簡について「デプローラブル」(嘆かわしい)と批判し、ドヌーヴや書簡に署名した女性たちには「内に秘めたミソジニー(女性嫌悪)」があると述べた。

カトリーヌ・ドヌーヴや他のフランス人女性たちは内に秘めたミソジニーが刷り込まれ、後に引けなくなっていることを世の中に示した。

ドヌーヴは2017年10月にも、MeTooについて「行きすぎだ」と述べ、「物事を変える正しいやり方ではない」と批判していた。

「『豚を非難しろ』のあとには、何をするの? 『ふしだらな女を非難しろ』でもやるの?」と、ドヌーヴは語った。

ドヌーヴはまた、13歳の少女をレイプした罪に問われた映画監督ロマン・ポランスキーを擁護している。ポランスキーは1977年、ロサンゼルスでパーティーの最中に13歳の少女をレイプした罪で逮捕され、「未成年との違法な性行為」の罪を認めたが、判決直前に1978年にアメリカからフランスに逃亡し、以来フランス国内に居住している。

「いつも思うのだけれど、『レイプ』という言葉は言い過ぎです」と、ドヌーヴは語っている。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

参照元:カトリーヌ・ドヌーヴのセクハラ告発非難に物議 当事者の女優が批判「内に秘めた女性嫌悪がある」
ドヌーヴは「男性への憎悪を掻き立てている」と訴えていました。
2018年01月10日 14時13分 JST | 更新 3時間前

ハリウッドのセクハラ騒動:女性たちが次々名乗り出たのには「トランプのアメリカ」も関係している
猿渡由紀 | L.A.在住映画ジャーナリスト
2017/11/21(火) 11:01

またひとつ、連続ドラマが主役を失った。「トランスペアレント」で2度のエミー賞に輝くジェフリー・タ ンバーが、共演のトランスジェンダー女優ふたりからセクハラで告発され、降板に追いやられたのである。 ドラマは現在、第4シーズンが配信中。 タンバーは、「自分の行動は誤解されている」と、セクハラをした ことは否認しながらも、「撮影現場に政治的な雰囲気が出てしまった今、『トランスペアレント』に戻るこ とは考えられない」と声明を発表した。降板は自主的であるとはいうものの、番組のクリエーター、ジル・ ソロウェイは、次のシーズンは彼をはずして進めることを考え始めていたようで、今のハリウッドの状況を 考えれば、避けられない事態だったと思われる。

 ほかにも、この2日の間に、ベテランのテレビインタビュアーのチャーリー・ローズ、音楽界の大物ラッセ ル・シモンズの名前が挙がった。シモンズの被害者は、1991年、17歳の時に被害を受けている。ローズの被 害者は8人に及び、彼はテレビ局から降板させられた。政界では、共和党のロイ・ムーアが1979年、当時14歳 だった少女に性的虐待をしたこと、民主党のアル・フランケンが2006年にラジオ番組の女性ホストにセクハ ラをしたことが、世間を騒がせている。

 なぜ、今、過去のセクハラ被害告発が爆発しているのかについては、以前もここで書いた(ハリウッドの セクハラ騒動:なぜ今、急に爆発したのか)。しかし、あまりにも次々に出てくるせいか、その後にも、日 本の方々から、「目立ちたいから名乗り出る女性もいるのではないか」「そんな昔のことを今さら言うなん て、ずるいのでは」という声を、その後も何度か耳にしている。そう聞くたびに、もう少し突っ込んで語る べきだったかと思う。

 前回の記事では、昨年夏から今年春にかけてフォックス・ニュース・チャンネルの複数の女性たちがセク ハラ被害を訴える事態が起きていたこと、そもそも昔は今よりもっと性暴力の被害者が警察に届けにくい社 会的風潮だったこと、被害者が未成年で加害者は圧倒的に力があったことなどに触れた。今回は、ハリウッ ドを越えた、もっと広い視点から、ここに至るまでに、無意識ながらどんなふうに女性たちの中では準備が 進んでいたのかを語ってみたい。

トランプ就任式直後のウーマンズマーチ、タイムリーな「The Handmaid’s Tale」

  大統領選挙を控えた昨年秋、トランプによる、過去の下品な発言の音声が公開され、大きなニュースとな った。「Access Hollywood」のキャスター、ビリー・ブッシュとの会話で、トランプは、ある女性について 、彼女とセックスをしようと試みたのにだめだったと、非常に下品な言葉使いで言っている(この音声暴露 でブッシュは職を失った)。それとは別に、トランプが、自分のリアリティ番組「The Apprentice」に出演 した女性をホテルの部屋に呼び、胸を触るなどしたことも明らかになっている。選挙期間中にも、トランプ は、特定の女性に対し、ルックスをばかにする発言を何度も行った。それらの話を聞いた女性たちは、こん な男が大統領になるはずはない、してはいけないと怒りを覚えた。

 それなのに信じられない結果が出てしまった時、全米の女性たちはすぐに、猫の耳のような形をしたピン クのニット帽「プッシーハット」を、せっせと編み始める。就任式翌日のウーメンズマーチにこれをかぶっ て参加し、女性の権利を訴え、抗議の姿勢を示すためだ。「The Washington Post」の試算によると、このウ ーメンズマーチには全米で320万人から520万人が参加したとのことで、史上最大規模のものとなっている。

就任するやいなや、トランプは、中絶手術も行う非営利団体プランドペアレントフッドに資金援助をしない という大統領命令に署名。テレビ番組「Morning Joe」の女性ホスト、ミア・ブルゼジンスキーのルックスに ついて、侮辱的な発言をするなど、女性に対するひどい態度も変わらなかった。テレビドラマ「The Handmaid’s Tale」は、そんなふうに、白人男性の権力者が、女性の体について決めたり、勝手な評価をし たりすることへ女性たちが不満を高める中で始まっている。

 今年のエミー賞で、作品部門、主演女優部門、脚本部門を含む8部門を受賞した「The Handmaid’s Tale」 の舞台は、クリスチャンの白人男性らが政治を取り仕切る近未来のアメリカ。この社会では女性の多くが不 妊で、妊娠できる女性は、権力者の男たちにあてがわれ、彼らの子供を生むことを強要される。衝撃的なこ のドラマに現実との共通点を見て、警告を感じた人は少なくなく、だからこそ絶賛され、社会現象にもなっ たのだ。シーズン最終回には、主人公をはじめとする女性たちが、静かながら抗議の姿勢を示す感動のシー ンがある。テレビの中の彼女らに、「そうよ、立ち上がらないと!」と呼びかけた女性たちの心の中で、何 かが起きていたことは、十分考えられる。

ハリウッドの前に、シリコンバレーでセクハラ暴露が起きていた

 セクハラ暴露で男性が職を失う事態は、ハリウッドよりひと足先に、シリコンバレーで起きていた。ライ ドシェアリング会社Uberの元エンジニア、スーザン・フォウラーが、上司から性的関係を強要されるなどセ クハラを受けたことを、今年2月、ブログに投稿し、大きな反響を呼んだのだ。

 調査の結果、セクハラは社内に蔓延していたことがわかり、6月には20人以上のエグゼクティブが職を失う 。この件以外にも多数の問題に直面していたCEOで創設者のトラヴィス・カラニクも、追放された。この出来 事の後、シリコンバレーでは、さらに多くの女性が、メディアに対して自分のセクハラ体験を告白している 。

「New York Times」がワインスタインについての最初の暴露記事を出す直前には、L.A.の名門私立女子高校 在学中に教師から性的暴力を受けていた現在33歳の女性チェルシー・バーケットが、学校に対して起こした 民事裁判に決着がついたことが報道されている。この教師の長年にわたる行為が発覚したきっかけは、高校 時代に教師から性的暴力を受けていたことを告白する、匿名のブログだった。教師の名前は伏せてあったの に、バーケットは、読んですぐ、それが誰のことかわかり、自分の過去の被害について警察に届け出る。こ れを受け、さらに大勢の元生徒が名乗り出て、この教師は、ずっと隠してきた昔の罪をつぐなうべく、1年の 実刑判決を受けたのだ。

 この教師がしたことを聞いたら、誰もが、彼は悪者だ、許せない、どんなに遅くなっても裁かれるべきだ と言うだろう。教師という、圧倒的に年齢が上で、立場の強い男が、10代の若い女生徒に迫ったのである。 ならば、ハリウッドの権力者であるプロデューサーなり、大スターなりに性的関係を迫られた、当時の駆け 出し女優やインターン、新入社員の女性たちも、今からでも事実を言っていいのではないか?Uberのエグゼ クティブや、あの監督、あの俳優が、昔の罪がばれて窮地に陥っているのに、自分に被害を加えたあの男を 、どうして守ってやる必要があるのだろう?

 今、起きているのは、そういうことなのだ。膿が全部出てくるまで、きっとまだ、これは続くだろう。そ れは、ハリウッドかもしれないし、政界かもしれないし、ほかの業界かもしれない。どこであったとしても 、今となっては必然で、避けられないことなのである。

参照元:ハリウッドのセクハラ騒動:女性たちが次々名乗り出たのには「トランプのアメリカ」も関係している
猿渡由紀 | L.A.在住映画ジャーナリスト
2017/11/21(火) 11:01

【全文公開】オプラ・ウィンフリーが第75回ゴールデングローブ賞で3回称賛されたスピーチ

2017年セクハラ事件を発端にあらゆる膿が出てきたハリウッド、そしてアメリカ。ハリウッドがこの難局を乗り越えるかに注目が集まった第75回ゴールデングローブ賞で、功労賞であるセシル・B・デミル賞を黒人女性として初めて受け取ったのは女優、司会者でありジャーナリストでもあるオプラ・ウィンフリー。彼女が計3回スタンディング・オベーションを受けたスピーチで語ったこととは? 全文を公開!

ありがとう。(もう既に泣きだしているリース・ウィザースプーンに)ありがとう、リース。1964年、まだ私が少女だったころ、ミルウォーキーの母の家でリノリウムの床に座りながら、アン・バンクロフトが第36回アカデミー賞授賞式で最優秀男優賞を発表するのを見ていました(注1)。彼女は封筒を開け、文字通り歴史を作った5つの言葉を発したのです。「 The winner is Sidney Poitier.(受賞者はシドニー・ポワチエです 注2)」。

ステージに登場したのはそれまで私が見てきた中で一番エレガントな男性でした。今でも覚えています。彼はホワイトタイ姿で、肌は黒人のものでしたーそして彼は皆から称賛を受けていました。私はそれまで黒人の男性があのように称賛されるのを見たことがありませんでした。少女だった私に、あのような瞬間がどれほどの意味をもたらしたのか、これまで何度も何度も説明しようとしてきました。人様の家々を掃除して、骨の髄まで疲れ切った母親が家に入ってくるのを見ていた、そのひとりの子どもにとって。ですが、私ができることは映画『野のユリ』でのシドニーの演技、「アーメン、アーメン、アーメン、アーメン(注6)」を引用し、それを私なりの説明とすることです。

1982年、シドニーはまさにこの場所で、セシル・B・デミル賞を受賞しました。その当時も、そして今この瞬間、私が初の黒人女性として同賞を受賞する姿を見ている少女たちがいることにも、大きな意味があると痛感しています(拍手が起こる)。これは本当に光栄なことですーーーこの会場の皆様、そしてここに至るまでの私の旅路を導き、支え、挑戦を与え、触発し続けてくださった素晴らしい男性たちと女性たちとこの宵、分かち合うことができるのもこの上ない栄誉であり、特権です。『A.M. Chicago』(注3)で私にチャンスを与えてくれたデニス・スワンソン、それを見てスティーブン・スピルバーグ本人に「彼女が『カラー・パープル』のソフィアだよ」と言ってくれたクインシー・ジョーンズ、友情とはどんなものかをいつも教えてくれるゲイル・キング、そしてステッドマン・グラハム、あなたはいつも私の心の支えです。名前を挙げられるのは少しですが、本当にありがとう。

ハリウッド外国人記者協会にも感謝したいと思います。近ごろ、報道機関が厳しい包囲戦を戦っているのは皆さんもご存知の通りです。私たちはまた、報道機関の皆様が、汚職から不正・腐敗まで、私たちが見て見ぬふりを決め込まないように、飽くことのない献身を、まぎれもない真実を掴むために費やしていることも知っています。独裁者から被害者、そして秘密から嘘までも。この難しい時代を生き抜くために私たちが努力しているいま、私はこれまでにないほど報道の力に価値を見出しています。そして私はこう思うのです:自分自身にとっての真実を語ることこそ、いま私たちが持てる最も力強い手段なのだと。そして私はとくに、ごく個人的な話を分かち合い、声をあげるまでに自身を強いと感じ、そうする権利が十分にあるのだとするすべての女性たちを誇りに思い、また大いに触発されています。この部屋にいる私たちひとりひとりは、私たちが語った物語のために称賛されているのです。そして、今年は私たち自身が物語となるのです。

この物語はただ単に、エンターテインメント業界だけに影響を及ぼしている話ではありません。文化、場所、人種、宗教、政治、あるいは職場など、あらゆるものを超越する物語です。ですから、私は今夜、たとえば私の母のように、養うべき子供たちがおり、支払わねばならない請求書があって、そして追及すべき夢があるというだけで、何年も何年も虐待と暴行を耐え忍ばざるを得なかったすべての女性たちに感謝を捧げたいと思います。私たちがその名を知ることのない女性たちはたくさんいるのです。家事や農業に勤しむ女性たち、工場で働き、レストランで働き、そして学術、エンジニアリング、医学、そして科学の分野で働く女性たち。彼女たちはテクノロジー、政治、そしてビジネスの世界を形作っています。彼女たちはオリンピックに挑むアスリートでもあり、私たちの軍に加わる兵士たちです。

  他にもあります。リーシー・テイラー。私も名前を知っていますし、皆さんにも是非知っていただきたいのです。1944年、若き主婦であり母であったリーシー・テイラーは、アラバマ州アビヴィルで、教会から歩いて帰る途中、6人の武装した白人男性たちに捕らわれ、レイプされ、目隠しされたまま、その教会から家へと続く道に打ち捨てられました。彼女は男たちから誰かに話したら殺すと脅されていましたが、彼女の物語は、当時ローザ・パークス(注4)という名の若い女性が働いていた全米黒人地位向上協会に報告され、ローザ・パークスが主導してこの事件を捜査し、一緒に司法による正義を追い求めました。ですが、ジム・クロウ法(注5)がまだ有効だったこの時代、司法による正義は選択肢になかったのです。彼女を踏みにじろうと目論んだ男たちが罪に問われることはついにありませんでした。リーシー・テイラーはほんの10日ほど前、98歳の誕生日の直前にこの世を去りました。彼女は私たちが生きてきたのと同じ年月を生き抜きました。あまりにも長い間、力を持つ男性たちに残酷なまでに打ちくだかれた年月を。そういった男性たちの力に対し、女性たちが勇気を出して真実を語っても、誰にも聞いてもらえず、信じてももらえない。そんな時代があまりにも長く続きました。ですが、そんな時代はもう終わりです。タイムズアップ! 彼らの時間はもう十分なのです。(スタンディング・オベーション)

彼らの時代が終われば、私はただこう思うのです――ーリーシー・テイラーが彼女の真実を知りつつその命を終えたのだと。他のたくさんの女性たちの真実のように、苦痛に苛まれ続けたここ数年、そして今でももがき苦しみながら、この世を去った女性たちがいたのだと。ローザ・パークスは心のうちにリーシー・テイラーの真実を11年間胸に抱え続け、そしてある朝、モンゴメリーのバスで座り続けることを決めたのです。そしてその真実は、ここにいる「MeToo(私も)」と言うことを選んだすべての女性たち、そしてすべての男性たち、聞くことを選んだ男性たちのうちにあるのだと。

私は、キャリアでは常に自分のベストを尽くしてきました。テレビであれ、映画であれ、どうすれば男性たち、女性たちが本当に自制することができるのかについて話してきました。私たちがどのように恥を経験し、そしてどのように愛し、怒り、失敗し、後退し、屈することなく、克服していくのかということについても。私は人生が与えうる中でも最も醜い物事において、それに抗い、耐え忍ぶひとたちをインタビューし、その姿を描き続けてきました。たったひとつ、そういったひとたち全員に共通している資質があります。それは私たちにとっても最も暗い夜においてさえ、より明るい朝を希い続けることのできる力です。ですので、これを見ている少女たちには知っておいてもらいたいのです。新しい日々は、もう地平線のすぐそばまで来ているのだと!そしてその新しい一日がついに夜明けを迎えるとき、それはすべて、今宵、この場所にいる女性たちと、何人かの驚くべき才能を持つ男性たちを含め、私たち誰も、もう二度と「MeToo」と言わなくてもいい時代へと確実に導くリーダーたるべく、激しく戦い続ける沢山の素晴らしい女性たちによってもたらされるのだということを。

参照元:【全文公開】オプラ・ウィンフリーが第75回ゴールデングローブ賞で3回称賛されたスピーチ
【イタすぎるセレブ達】ダスティン・ホフマンに新たなセクハラ告発 娘の友人も被害に
2017年12月15日 18時27分 Techinsight

10代のインターンに対するかつてのセクハラ行為や共演女優に対する破廉恥極まりない行動などを暴 露され、善良で明朗だと思われていたダスティン・ホフマン(80)のイメージがついに地に落ちた。

過去には17歳インターンのヒップを触る、卑猥な話をするなどして困らせていたダスティン・ホフマ ン。その後、彼は「私は女性を尊敬しています。不快な思いをしたのなら、申し訳なく思います」「 ごめんなさい。(でもそのような行為が)私の人間性を反映しているわけではありません」という声 明を発表したが、今度は「尊厳を踏みにじられた」「ももの内側や性器を触られた」と元共演者に暴 露され、人柄が良いというイメージは完全に崩壊した。

そんなダスティンについて、またしてもセクハラ被害者が2人現れた。まずトーマスさん(Cori Thomas)なる女性は、ダスティンの娘が仲良くしていた友人(当時16歳)とのこと。しかし「1980年 にダスティン親子と出かけ、ダスティンのホテルで母が迎えにくるのを待っている際に‟ある出来事” があった」という。

「ダスティンはバスルームに行きタオルだけを巻いて出てきたのです。」

「最初はタオルを巻いていたのに、それを落とし、素っ裸で立っていたんです。」

ダスティンはローブを纏ってベッドに腰掛け「足をマッサージしたいか」などと聞いてきたそうだ。 どう反応すべきか分からずマッサージをしてあげたという彼女に、ダスティンはなんと「僕の裸が見 たいか」と言い出したのだ。この件をトーマスさんは何年も両親にすら相談できず、ダスティンの娘 にも話せなかったという。

そしてもうひとりの女性ケスターさん(Melissa Kester)は、映画『イシュタール』のオーディオ収 録に参加。2人は腰から下の見えぬサウンドブースに入り作業に取り組んだそう。しかしその後、再び あるカットの撮影準備に入り、スタジオ内に顔を向けた状態で仕事をしたが、ダスティンはスタジオ にケスターさんの恋人がいたにもかかわらず彼女をハグ。また歌の最中にケスターさんのズボンに指 を入れ、挿入されたという。非常に驚いたケスターさんはショックで固まり、ただ立っているしかな かったそうだ。

その後泣きながら部屋を出たというケスターさんは恋人には何も言えず、代わりに友人にその日の出 来事を聞いてもらったという。

仕事先で知り合う大人達のみならず、10代の子供、しかも娘の友人にまでセクハラしてしまったダス ティン。長い間かけて築き上げてきた素晴らしいキャリアだが自制できぬ愚かさゆえに、善人たるイ メージや評価も台無しになってしまった。

(TechinsightJapan編集部 ケイ小原)
参照元:【イタすぎるセレブ達】ダスティン・ホフマンに新たなセクハラ告発 娘の友人も被害に
2017年12月15日 18時27分 Techinsight

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