メタ株急落 - 時価総額 約26兆4200億円が一瞬にして吹き飛ぶ -



マーク・ザッカーバーグが、昨年2021年10月28日付で、社名をフェイスブック(facebook)からメタ(Meta)に変更し、メタバースという仮想空間上の世界の構築に注力している。


その事業については賛否両論あり、既に2003年にアメリカのサンフランシスコに本社を置くリンデンラボ(Linden Lab) 社が、セカンドライフという事業を行なっており、仮想空間上に人々がコミュニケーションしたり出来る世界を構築する事業を行なっており、そのユーザーが100万人前後いるようである。


2009年末時点で、同時ログインユーザー数は最大6~7万人、一週間あたりのログインユーザー数は40万~60万人程度であるということから、それ程、規模が大きい訳ではない。


フェイスブックの利用者数が29.1億人いることと比べると圧倒的に少ない数である。


そもそもSNSというものは、現実のリアルな世界での豊かな交流を促進する為に人々とリアルな世界でつながる為に補助的に利用するのであって、仮想空間上でのコミュニケーション自体が目的ではない。


仮想空間上でのコミュニケーション自体を目的としてしまうのは、一部のオンラインゲームマニアとか、ネット廃人などの不健全な人々であり、圧倒的に人数は少ないのである。


従って、この事業に社運をかけるぐらいに投資してしまって大丈夫なのかという認識が出てくる。


そして、ここに来て、投資家が、メタバース事業の先行き不透明感から、大規模な売りを行ない、メタ株が27%安となって、時価総額約26兆4200億円が一瞬にして吹き飛んだ。



史上かつてない急落、メタ株27%安-見通し「ひどい」との分析
Bloomberg 2022/02/04

(ブルームバーグ): 3日の米株式市場では、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が急落。一時27%安となり、時価総額にして2300億ドル(約26兆4200億円)余りが一瞬にして吹き飛んだ。この規模の企業としてはウォール街やシリコンバレーで経験したことのない歴史的な下げだ。

メタが2日発表した2021年10-12月(第4四半期)決算ではユーザー数の伸びが足踏み状態となった。また今年1-3月(第1四半期)の見通しは市場予想を下回った。

メタ株急落、10~12月ユーザー伸び停滞-1~3月見通し予想未達 (1)

メタの決算を受けた市場のコメントは以下の通り。


JPモルガン:

投資判断「中立」に下げ(従来「オーバーウエート」)、目標株価は284ドルに下方修正(同385ドル)
「広告分野の伸びが著しく減速する一方、多額の費用と長い期間を必要とする先行き不透明なメタバースへの移行を開始している」
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」との競争とアップルのプライバシー方針変更の「両方が2022年に想定以上の大きな影響を与える」

ループ・キャピタル・マーケッツ:

投資判断「ホールド」に下げ(従来「買い」)、目標株価は230ドルに下方修正(同380ドル)
「(10-12月期の)決算内容はひどくはなかったが、見通しはひどかった」
ユーザーの伸び停滞はメタ株にとっては深刻な問題だ。「投資家が抱える多くの懸念が近く解消される可能性は低く、当面は厳しい状況が続く見通し」


レイモンド・ジェームズ:

投資判断「アウトパフォーム」に下げ(従来「強い買い」)、目標株価は340ドルに下方修正(同410ドル)
投資判断の引き下げは「広告収入の見通し鈍化」を反映
広告収入の伸びは4-6月(第2四半期)に底を打ち、下期には緩やかに再加速すると見込まれる
株価のバリュエーションと長期的な成長の可能性を踏まえ、レイモンドとしては明るい見方を維持


モルガン・スタンレー:

投資判断「オーバーウエート」、目標株価は360ドルに下げ(従来395ドル)
フェイスブックの機能「リール」はティックトックとの競争にさらされ、広告収入の面ではアップルの方針が向かい風となっている
ただ長期的に見れば、メタはリールの収益化が可能と予想される
近い将来の不確実性は高まっているが、高い業績を実現するメタの能力にはなお強気

原題:Meta Faces Historic Stock Rout After Facebook Growth Stalled (2)(抜粋)、Meta Has Biggest Drop Ever on ‘Terrible’ Outlook: Street Wrap(抜粋)


マーク・ザッカーバーグが事業の方向性を間違えていることが、明らかになって来ていると言える。



ヴァーチャルリアリティー(VR)の今後の発展には、2つの方向性があり、一つは、サーバー上の仮想空間に構築された3次元の世界(メタバース)である。


これは全くの架空の世界であり、オンラインのロールプレイングゲームに参加する感覚である。


身体に装着するVR機器が発展していけば、それを装着すると、本当のリアルな世界と同じような体験が仮想空間上で出来る可能性があり、ゲームなどに熱狂する人々にとっての夢の実現である。


もう一つは、ミラーワールドといって、最近、これについての分かりやすい解説が、『5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる』という本で、著者のケヴィン・ケリーが行っている。







ケヴィン・ケリーは、テクノロジーによる新しい文化を先取りして紹介する米『WIRED』の創刊編集長を務め、GAFAなど巨大企業による「勝者総取り」現象など、テクノロジーによる変化を的中させてきた人物である。


この本によれば、ミラーワールドとは、仮想空間上に構築された全く地球と瓜二つのコピーであり、それは現実の地球上の変化に対応して更新されていく世界である。


マイクロソフトなどが開発したスマートグラスなどを装着すると、そのミラーワールドが見えるようになり、例えば、旅行である場所に訪れると、その場所にはかつてはこんな建物が存在したとか、以前、建っていた建物の映像が見えたり、様々なメタ情報が確認できるのである。


つまり、現実の地球上に様々なメタ情報が付加されて、それらが活用できるようになるということである。


例えば、リアルな世界での旅行者をミラーワールド上のAIプログラムがツアーガイドしたり、あるいは、リモートから誰かがアバターを使って、ガイドしたり出来るし、またある場所を訪れると、スマートグラス上に周辺の街の情報とか、様々な情報が、表示されたりといったサービスが考えられる。


この場合、あくまでも主役は、リアルな地球それ自身であり、その地球上での生活を豊かに送るためにミラーワールドが活用されるのである。



私は、昨年の秋頃、長崎県の原城の遺跡を見に行った。


1637年の島原の乱で、天草四郎とキリシタンたちが立て籠もった城の跡地である。


跡地があるだけで、何も建物は建っておらず、その土台の石などが、転がっているだけである。


ただそこで、VRメガネを貸し出して、かつての原城が建っていた場所の方角を見ると、原城の建物を見ることができるというサービスが行なわれていた。


これはまさにミラーワールドである。



ミラーワールドは、現実の地球上での生活を豊かにしてくれる現実の地球に瓜二つに対応しているメタワールドである。


今後、地球の環境問題を解決して、地球上での豊かな生活を楽しみたいと思ったら、ミラーワールドの方が役に立つし、健全であり、またこのサービスを利用した人が、世界の現状を知るにつけて、環境問題を解決したいと思ったりするかもしれない。


世界の歴史や地理などを深く学習し、体験することが出来るツールとなり、現実の世界での経験に反映されていく為、その体験は、あくまでもリアルな体験である。


メタバースで、何らかの仮想世界を作った場合、そこで人間の交流は生まれるが、そこでは匿名を貫きたい人とか、2チャンネルに匿名で書き込みをするような人、あるいは、オンラインのロールプレイングゲームに浸りきるようなそうしたネット廃人が多く、現実の人生や人間関係を避けているような人々が多い。


そうすると、メタバースは、現実世界で生きることからの逃避となり、社会的に見て、不健全なものになってくる。



おそらく大多数の人間は、現実の世界をより深く体験し、生産的でいる為にヴァーチャルリアリティー(VR)をミラーワールド上で体験することを望むのである。



例えば、ミラーワールドの構築に非常に近いのが、Googleが行っているGoogle EarthというサービスやGoogleの地図のサービスである。


これらのサービスは、現地の地図をクリックすると、その現場の写真が映し出されるが、これは過去において、写真撮影された映像である。



然し、現実の地球の環境的地理的状態が、リアルタイムで、ミラーワールドに反映されるようになったら、非常に役立つツールとなる。



例えば、どこかで山火事が起こったとしたら、その映像がリアルタイムで、ミラーワールドに反映されて、それを確認し、仮想空間上で、アバターが現地に行ってみたりも出来るのである。


ミラーワールドというのは、はるかに壮大なプロジェクトで、メタ社だけで、作り上げるのは難しいかもしれない。



メタ社が開発しているメタバースの技術は、ミラーワールドにも応用できるかもしれないが、今作っているものは、あくまでも仮想世界であり、3Dになったオンラインロールプレイングゲームと変わらない世界である。



そのオンラインロールプレイングゲームに一日中、浸りきっているとすれば遥かに不健全である。




然し、ミラーワールドが、現実の地球それ自身の状態を正確に複製するようなものになって来ると、現実のリアルな地球での体験と、ミラーワールドでの体験の区別がつかなくなってくる。


現実の地球での生活体験をある程度、ミラーワールドで、補うことが可能になるのである。



例えば、エジプト旅行などが、ミラーワールド上で出来て、しかもほとんど現実の旅行体験と変わらないようなものにさえなってしまう。




そうしたことで、ヴァーチャルリアリティー(VR)の技術がどのような目的に使われるかが問われている。



地球上での現実の生活をより豊かにする為か、それともオンライン上の仮想世界での現実逃避になるのか。




マークザッカーバーグは、フェイスブックを作成した時には、人々がつながることを助けるとか、アカウントは本名で作成し、しかもアイデンティティーは一つだけという方針を打ち出していた。



ハーバード大学出身であるだけに民主主義的な理念を打ち出していた。



実際にアラブの春などでは、人々が団結して、デモに繰り出すのに利用されたりもし、現実の人生に利用された。



つまり、フェイスブックとは、ネットの匿名の掲示板とか、そのような類の現実逃避ではなく、実際のリアルな人間関係であり、現実なのだと謳っていた。



バーチャルリアリティー(VR)上で、3Dでコミュニケーションすることはそれほど重要ではない。



これまでのフェイスブックで十分であり、フェイスブック上で補助的にコミュニケーションした後は、実際にリアルで会ったり、交流したりする訳だから、わざわざ現実逃避的な態度を生み出すような仮想世界とその世界へのインターフェースを作る必要はないとも思える。



然し、その技術の精度が高まって、現実と区別できないぐらいに高まれば、それもまた有効かもしれないが、ヴァーチャルリアリティー(VR)は、ミラーワールド上で使用した時に現実の世界での経験をより深める為に役立つと思われる。




現在、マークザッカーバーグがこのような投資家たちからの売りという形で、批判にあっているのは、現在、天秤座にダブルトランジットして、6室の支配星にダブルトランジットが生じているからである。







また土星はずっと6室を通過して、木星も6室山羊座を通過していた時には、6室と12室にダブルトランジットが生じていた。



従って、マークザッカーバーグは、価値があるかどうか分からない先行きの見えない投資に手を出し、そして、投資家から批判を受けているのである。



マークザッカーバーグのチャートについては、まだラグナの検証も含めて、別の記事で、検討してみたい。





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