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ノーベル文学賞受賞・作家 カズオ・イシグロのチャートについて

2019 10/24

2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロのチャートについて、その直後にラグナの特定に励んでいたが、決定的なことが分からず、そのまま放置していた。


作家としての創造性を発揮するには、5室や5室の支配星に水星、木星、金星などの生来的吉星が絡んでいることが重要で、また5室で良いヨーガを形成していたり、5室が強調されている必要がある。


木星が古典的知識や作品の歴史検証に耐えるだけの博識な周辺知識をもたらし、水星がジャーナリズムや評論家的なセンス、金星がユーモアやストーリー性、物語としての面白さを提供する。


作家になるために特に重要なのは、木星や金星の影響であり、水星だけだと、ジャーナリズムや評論文、随筆になってしまう。


カズオ・イシグロは、青年時代にミュージシャンを志していたことを考えると、5室に金星が絡んでいたことも考えられる。


そうした観点から、ラグナは蟹座もしくは双子座ではないかと考えていたが、作風などを研究する為に『日の名残り』を読むなどして、情報を収集していた。


そして、暫く放置したまま忘れてしまっていたが、再び、思い返してみた所、やはりカズオ・イシグロは双子座ラグナで正しそうである。


今回は、ラグナを双子座プナルヴァス第3パダに設定した。ナヴァムシャのラグナも双子座である。





双子座ラグナに設定すると、ラグナロードの水星が創作の5室に在住し、9室支配で高揚する土星とコンジャンクトし、3室支配で5室で減衰する太陽ともコンジャンクトしている。


太陽は減衰しているが、高揚する土星とコンジャンクトして、ニーチャバンガラージャヨーガを形成し、また3室の支配星が減衰している為、パラシャラの例外則によるラージャヨーガ的な効果が期待できる。


3室は手を使った仕事、文筆を表わし、5室に在住することは、やはり文筆活動を作品の創造に生かす配置である。




カズオ・イシグロは、作品の登場人物たちの感情の機微、揺れ動きを描くのが非常に上手いのであるが、それは5室支配の金星が蠍座の水の星座に在住しているからである。


金星は牡牛座にアスペクトバックして強く、また蟹座で高揚する木星からのアスペクトも受けている。



この木星は月から見て、ラグナロードで5室で高揚し、5室支配の月と星座交換している。




1913年に『ギタンジャリ』でノーベル文学賞を取得したラビンドラナート・タゴールも魚座ラグナで、木星が5室で高揚していた。



木星が5室で高揚する配置は、作家のポテンシャルとしては、最高の配置である。




カズオ・イシグロの場合、この月から5室で高揚する木星が更にラグナから見た5室支配の金星にアスペクトすることで、作品の登場人物たちの感情の繊細な動きを表現できるのである。



海洋学者の父親

wikipediaには、カズオ・イシグロの父親は、1920年4月20日に上海で生まれ、明治専門学校で電気工学を学び、1958年のエレクトロニクスを用いた波の変動の解析に関する論文で東京大学より理学博士号を授与された海洋学者であると記されている。

9室を父親のラグナとすると、ラグナロードの土星が9室で高揚し、5、8室支配の水星とコンジャンクトし、更に7室支配で減衰する太陽とコンジャンクトしている。


5室と強い水星、土星、太陽の絡みは、物理学に興味を持つ配置である。


5室支配の水星にテクニカルプラネットの土星と太陽が絡んでいることから、理系に適性があることが分かる。


そもそもラグナロードの土星が9室で高揚している配置は、宗教家にならないとすれば、学問の世界に興味を持ち、大学教授などになる配置である。





そして、9室支配の金星が10室で水の星座に在住しているが、これが海洋学者としての職業を表わしている。


金星が5室に絡む場合、植物学など、自然の草花、生態系についての博識な知識を表わす配置である。


アーユルヴェーダも金星が表示体となるが、薬草についての豊富な知識を必要とする。


海洋学者というのは、海の動植物の生態系について研究する仕事である為、おそらく10室の水の星座に金星が在住している象意で正しいと思われる。


父親は、高円寺の気象研究所勤務の後、1948年長崎海洋気象台に転勤となり、1960年まで長崎に住み、長崎海洋気象台で副振動の研究などに携わったほか、海洋気象台の歌を作曲するなど音楽の才能にも恵まれていたということである。


そして、1960年に父親が国立海洋研究所所長ジョージ・ディーコンの招きで渡英し、暴風によって発生し、イギリスやオランダの海浜地帯に深刻な害をもたらした1953年の北海大洪水を、電子回路を用いて相似する手法で研究するため、同研究所の主任研究員となったと記されている。

父親が北海で油田調査をすることになり、一家でイギリスのサリー州・ギルフォードに移住し、カズオ・イシグロは、現地の小学校・グラマースクールに通ったそうである。

このように父親が海洋学者として、海や油田の調査など、常に液体に取り組んでいたのは、9室から見た10室(職業)に金星が在住しているからである。


それで、その仕事で、海外勤務となり、油田の採掘など地下をドリルで採掘する調査を行なったのは、3、10室支配の火星が12室(海外、地下)で高揚しているからではないかと思われる。

また音楽の才能に恵まれていたのは、5室支配の水星が金星の星座に在住していたからである。




音楽活動、創作学科に進学

因みにカズオ・イシグロは、イギリスのサリー州・ギルフォードに移住した後、現地の小学校・グラマースクールに通い、卒業後にギャップ・イヤーを取り、北米を旅行したり、音楽のデモテープを制作しレコード会社に送ったりしていたとwikipediaには記されている。

この時期、カズオイシグロは、おそらく、20歳前後であると思われるが、1970年11月(16歳頃)以降にマハダシャー金星期に移行している。


金星は5室の支配星で、金星は音楽の表示体で、5室も音楽の表示体である。


5室が音楽の表示体であるというのは、ニーチェも指摘するように音楽というものが芸術の最高の形式だからである。





双子座ラグナで金星が5室の支配星であるため、この時期、ミュージシャンを目指し、音楽のデモテープなどを制作して、レコード会社に送るなどしていたのである。


そして、1974年にケント大学英文学科、1980年にイースト・アングリア大学大学院創作学科に進み、批評家で作家マルカム・ブラッドベリの指導を受け、小説を書き始めたと記されている。


1974年は金星/金星⇒太陽期であり、1980年は金星/ラーフ期である。


いずれにしても5室支配の金星が大学の英文学科や創作学科などへの進学をもたらしたことが分かる。



結婚

因みにカズオ・イシグロは、ロンドンのホームレスを支援する団体で働いていた時にスコットランド人のローナ・マクドゥーガル(Lorna MacDougall)夫人と出会い、1986年に結婚している。


1986年は、金星/土星 もしくは金星/水星期である。





マハダシャーの金星は5、12室の支配星であるが、6室(奉仕)に在住し、12室(病院、ボランティア施設)にアスペクトバックしている。


12室に金星がアスペクトバックして12室が非常に強い状態になっている。この12室にトリコーナの支配星がアスペクトしていることが慈善活動を表わしている。


金星は月から見ると3、8室の支配星でもあり、金星自体が結婚の表示体であるが、8室の支配星であることで、生活を支えてくれるパートナー(結婚生活)を意味している。


またアンタルダシャーはおそらく水星期だったと思われるが、水星は、ラグナロード(7室から見た7室の支配星)であり、月から見た7室の支配星である。


従って、金星/水星期は結婚のタイミングとして、説明できる。



今回、ナヴァムシャのラグナを双子座に設定したが、マハダシャーの金星は5、12室支配で結婚生活の2室に在住して、2室支配の月と相互アスペクトしている。





また月から見て金星は7室に在住している。従って、マハダシャーの金星期は結婚の時期を示している。


またこの金星期は、英文学科や創作学科で学んだ時期であり、それは5室支配の金星ということで説明できている。


また12室の支配星であることから、この時期にホームレスを支援する団体で働いていたのである。



そして、アンタルダシャーの水星はラグナロードで6室に在住しているが、ラグナの支配星(7室から見た7室)の時期は、結婚のタイミングである。



つまり、金星/水星期に結婚したことを説明することが出来る。



因みにカズオ・イシグロの出生図の10室には、月が在住しており、木星と星座交換しているが、これもホームレスを支援する団体での仕事を表わしている。



月は、医師の周辺の仕事である医療補助業務(看護師も含む)を表わすが、社会的弱者を支援する母性的な仕事を表わしている。



木星が星座交換しているため、ホームレスを支援して、社会復帰を手伝うなどの教育的な要素も含まれていたと考えられる。



結婚した年のトランジットを見ると1986年1月1日時点で、木星は8室山羊座、土星は6室蠍座を順行していたが、木星は8室から7室支配の木星にアスペクトし、土星は特に7室にアスペクトもトランジットもしていなかったが、その前年度の1985年4月1日から、土星は逆行して、同じく7室支配の木星にアスペクトして、7室にダブルトランジットしていた。



また8室に木星がトランジットして、土星が逆行して8室にアスペクトした為、8室にもダブルトランジットが成立している。



1986年に入ると、1986年4月1日の時点で、木星はラグナとラグナロードにアスペクトし、土星は逆行して、ラグナロードに絡み、7室と7室の支配星にアスペクトしている。



ラグナにダブルトランジットが成立していることが分かる


また木星はラグナから見た8室の支配星にアスペクトし、土星は8室にアスペクトしている。


また木星は月から見た8室にもアスペクトして、土星は月から見た8室の支配星とコンジャンクトし、逆行して8室にも絡んでいる。


従って、ラグナと月から見た8室にダブルトランジットが成立している。



この結婚した年の前年度からの木星と土星の動きを追っていくと、このタイミングで結婚したことが説明できる。



1986年時点で、木星が8室、土星が6室を通過していること自体、6室、7室、8室は結婚相手のハウスであり、基本的にパートナー関係上の重要な時期であったことを物語っている。






娘・ナオミイシグロの誕生


カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞した2017年時点で、25歳であったということから、1992年生まれである。


1992年は、太陽/ラーフ期であるが、出生図で、マハダシャーの太陽は5室に在住し、アンタルダシャーのラーフはディスポジターの木星が月から5室に在住している。





サプタムシャを見ると、太陽は5室の支配星で、ラーフは5室の支配星とコンジャンクトし、ラーフのディスポジターはラグナロードの木星で9室にアスペクトしている。





トランジットを見ると、土星は5室にアスペクトし、木星は逆行して、5室の支配星にアスペクトして、5室にダブルトランジットが成立している。







2017年度 ノーベル文学賞の受賞





ノーベル賞文学賞を受賞した2017年10月は、ダシャーは、ラーフ/木星/金星期辺りである。





マハダシャーのラーフのディスポジターである木星は高揚する11室の支配星と相互アスペクトしており、また月から見ても11室で高揚する9室支配の火星と相互アスペクトしている。


アンタルダシャーの木星は同じく、高揚する11室の支配星と相互アスペクトしており、また月から見ても11室で高揚する9室支配の火星と相互アスペクトしている。


プラティアンタルダシャーの金星は逆行して、11室にアスペクトし、またディスポジターの火星は11室の支配星で高揚し、月から見ても11室で高揚している。


ナヴァムシャでは、ラーフのディスポジターの太陽は11室で高揚し、木星は11室にアスペクトしている。





この時、トランジットを見ると、木星は11室にアスペクトし、土星は11室の支配星にアスペクトしていた。


また火星は少なくとも75日以内に11室の支配星にアスペクトし、月は10月5日4:00から遡れば、72時間以内に11室の支配星にトランジットしていた。


日本のメディアでカズオ・イシグロ氏の受賞が伝えられた5日には、トランジットの月は双子座から10室を通過しており、世間の注目を浴びたことを表わしている。






カズオ・イシグロの人物と作風




カズオ・イシグロの見た感じは、冷静で落ち着いて淡々としており、寡黙で自己主張する気があるのか不明な野心のないキャラクターである。


これはおそらく双子座のプナルヴァスにラグナが在住し、ラグナにケートゥが在住している為ではないかと思われる。




カズオ・イシグロの傑作と言われている『日の名残り』は、1989年の英国の世界的に権威のある文学賞であるブッカ―賞を受賞している。


内容的には、時代の変化に対応できず、古い伝統やしきたりの中で、執事という職務を愚直なまでに厳格に遂行する男の物語であるが、主人公は、執事という自らの役割に拘るあまり、恋愛の機会を逃したり、自分が仕える主人が第二次世界大戦での対独宥和主義者であること、その主人の執事であり続けることの社会的意義などを考えるような政治意識や視野の広さ、主体性なども持ち合わせていない。ただ愚直に執事という自らの役割の中に納まり続けるのである。

所謂、精神の不具とでも呼びうるような執事のスティーブンスを読者は、可哀そうに思ったり、憐れみを感じる。


カズオ・イシグロの作品は、弱者に対する繊細な感受性、思いやりを示す一方で、その運命に従うしかない人間の哀しみなどを冷静に描き出している。


その辺りは、5室支配の金星が蠍座6室に在住し、蟹座から高揚の木星(月から5室)がアスペクトして、非常に高い感受性、共感力があるが、一方で、双子座は冷静で分析的なのである。


蟹座の木星、蠍座の金星は、水の星座であり、伝統社会に固執する星座である。


従って、古き良き執事が輝いた黄金時代というのを懐かしむ主人公スティーブンスに非常に共感できるのであるが、然し、そのスティーブンスの行き先が狭められていく縮小する運命に対して、冷静に見つめてもいるのである。


ラグナが双子座であることは、そうした運命に飲み込まれる人間を冷静に見つめる所があるが、その運命を変えることが出来るとは決して考えない。


この『日の名残り』は、アンソニー・ホプキンス主演、エマ・トンプソン共演で映画化もされているが、原作が深い人間心理を描いたものであるだけに映画ではその全てを描ききれていない。




またカズオ・イシグロのもう一つの代表作『わたしを離さないで』があるが、これは私は原作は読んでいないが、2010年にキャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演で映画化された作品を見た。


こちらの作品でも臓器提供者という社会的弱者の日常を描いた作品であるが、友情、恋愛、嫉妬や裏切り、陰謀、悪意、謝罪、希望と絶望、哀しみ、諦めなど、あらゆる人間の感情が描き出されている。

カズオ・イシグロは、逃亡の物語を描きたい訳ではなかったと述べており、最終的に主人公たちは、自らの運命を受け入れていくのであるが、やはり、カズオ・イシグロはどちらかと言えば、運命論者である。


巨大な運命に立ち向かう人間を描くのではなく、巨大な運命に飲み込まれる人間の心の機微を描きたかったのである。


この辺りは、蠍座に在住する5室支配の金星、月から蟹座5室に在住する高揚する木星で表される保守性が現れている。


蟹座、蠍座、魚座は、社会を変えようとする革新性はないのであり、むしろ、変わらない社会を受け入れていく、そして、変わらないカースト制度を受け入れていく。


因みにインドの建国図で蟹座に惑星が集中しているが、そのインド人たちは、カースト制度を受け入れ、バラモンたちの唱える教えに従順に従って自らの運命を受け入れている。


蟹座とはそうした星座である。


視野が狭く自らの小さな世界の中で、豊かな感情や愛情を持って、人々との人間模様を生み出していく、そうした星座が蟹座である。


その世界の外側に何があるかには興味を持たないし、そこまで見るだけの視野の広さを持たない。



従って、カズオ・イシグロの小説は、個人の力ではどうにもならない運命の残酷さ、そこでの人間同士の感情の機微を見つめながら、その弱く傷ついた人間を慈しみのある眼差しで見つめた作品である。


カズオ・イシグロが、影響を受けた作家/クリエーターとして『東京物語』の小津安二郎監督を挙げているのも興味深い。



小さな家族の中での感情の機微を描くことがカズオ・イシグロのテーマであることがよく分かる。


またドストエフ・スキー、チェーホフ、トルストイ、ジェイン・オースティンなど、まさに登場人物たちの豊かな感情の交錯を描き出した作家から影響されていることも興味深い。




またカズオ・イシグロは、20世紀の歴史を作品の背景として描き出すことにも定評がある。


カズオ・イシグロのインタビューでは、近現代史を描いた歴史書を愛読しているようである。


そうした作品を読むことで、歴史的な視点を養ったり、時代背景の設定に役立てているようである。



こうした時代考証的な歴史家としての視点は、5室でラグナロードで4室支配の水星と、9室支配の土星がコンジャンクトして、ラージャヨーガを形成する配置に現れている。


水星と土星のコンビネーションは、優れた歴史家、歴史の研究者を生み出す絡みである。


歴史家は古い文書や資料から事実の掘り返して、歴史を再現するセンスが要求されるが、具体的な事実とそこからの分析を重んじるのが土星と水星の絡みである。



イシグロ・カズオのラグナの可能性として、生来的吉星の影響を受けた強い5室という観点から、双子座ラグナ、蟹座ラグナ、蠍座ラグナ、魚座ラグナなどを想定していたが、やはり、種々検討した結果、結婚のタイミング、また子供の誕生のタイミング、そして、ノーベル賞受賞のタイミングから、双子座ラグナでなければ説明出来ないように思われる。


然し、もう少し他の様々なエピソードで更に検証を重ねたい所である。





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