統一地方選挙 2023年の結果について -維新の躍進の理由-



統一地方選挙の結果が出て来たが、非常に興味深い結果が出ている。


統一地方選、止まらない投票率下落 市議選は立憲と維新が議席伸ばす
2023/4/24 21:30 朝日新聞DIGITAL

統一地方選の後半戦は23日、128市区町村長選と551市区町村議選で投票が行われ、24日までにすべての開票結果が出そろった。投票率は市議選、町村長選、町村議選で、過去最低を記録した。かつては8~9割もあった投票率の下落傾向が止まらない。

朝日新聞の集計によると、市長選の平均投票率は47・7%で、過去最低だった前回の47・5%をわずかに上回った。市議選は44・3%(前回比1・3ポイント減)、町村長選は60・8%(4・2ポイント減)、町村議選は55・5%(4・2ポイント減)で、いずれも過去最低を更新した。東京の特別区の区長選は45・8%(1・6ポイント増)、区議選は44・5%(1・9ポイント増)だった。

 市議選の獲得議席数を国政政党ごとにみると、自民党は710で、前回より12増えた。公明党は国政政党で最多の891だったが、前回を10下回った。立憲は269で72増、維新は154で108増と、いずれも勢力を大きく伸ばした。

 一方、共産は560(55減)、国民民主は65(30減)、社民は30(23減)と退潮が目立った。参政は国民を上回る67議席を獲得した。れいわは25、政治家女子48は1だった。

 このほか統一選では、25市長選、14市議選(237人)、70町村長選、123町村議選(1250人)、東京の中央区長選はそれぞれ、告示日に無投票で当選者が決まった。このうち21市町村議選は、候補者が定数に届かない定数割れだった。(二階堂友紀、林将生)

【選挙結果】

自民党:710獲得(12増)
公明党:891獲得(10減)
立憲:269獲得(72増)
維新:154獲得(108増)
共産:560獲得(55減)
国民民主:65獲得(30減)
社民:30獲得(23減)
参政:67獲得
れいわ:25獲得
政治家女子48:1獲得


まず、自民と公明は、現状維持といった形である。


公明党は、支持母体が創価学会だが、創価学会は高齢化が進んでいると言われている。


新しい信者が増えない限り、日本の人口が緩やかに減少している状況と比例して、得票率は減っていくのではないかと考えられる。


公明党は今回の選挙で、10議席を減らしたが、依然として、党としては最大の891議席を獲得している。



自民党の最大派閥、安倍派の支持母体は、「日本会議」で、神道連合であり、公明党の支持母体は、創価学会であり、宗教右派といってもいいかもしれない。


日本は、水の国であり、魚座、蠍座、蟹座が強いため、保守勢力が元々強い国家である。


従って、自民党と公明党が、ある程度の票数を維持するというのは、日本においては自然と言えるかもしれない。



そして、立憲民主党は、リベラルで、元民主党の議員たちが流れ込んで出来た政党である。


土星が水瓶座(共産主義)をトランジットしていく今、立憲主義に基づいて、国を治めていこうとする勢力もまたある程度、存在する。


ジャーナリズムや教育界などにおいて、高学歴で、しかも理性主義の人々は、一定数いて、憲法改正への動きを牽制したり、国家権力の強化を警戒し、監視している。


昔、マルクス主義全盛の時代に学生運動などに身を投じて、後に社会に出て、資本主義に適応していった人々である。


しかし、こうしたリベラル勢力は、資本主義の隆盛の中で、富の再分配に関する感受性が低下している。


立憲主義を標榜できるだけの知的な勢力であるだけにメリトクラシー(業績、功績主義)の盛んな現在では、社会階層の中で上層部を占め、そのことに自己満足している。


貧富の格差の是正といったことにあまり熱心でなく、LGBTの権利擁護とか、外国人参政権などを検討したり、普遍的な高い理想があるだけに国益を犠牲にしかねない。


国家主権がぶつかり合い、隣国に中国や北朝鮮などの全体主義国家が存在する状況下では、立憲主義や普遍的な人権や民主主義の理念は、他国に隙を与える可能性がある為、非常に心もとない。


しかし、戦争を経験した世代にとっては、国家主権の行政府こそが最も恐ろしい機関であり、これを立憲主義によって制御しなければならないとする考えが強固である。


またリベラルな理想に共鳴する知的で、合理的な若者を引き付ける為、保守に対抗して、ある程度の勢力を維持するのが、立憲民主党である。


土星が水瓶座をトランジットしていく中で、立憲民主党が72増の議席を伸ばしていることは、リベラルな価値観が強くなっていることを示している。



そして、今回の統一地方選で、最も目立つのが、維新が154議席を獲得し、108議席が増えた事実である。


維新の政策の本質は、国家財政の無駄を削減し、行政をよりスリムにまたトップダウンの仕組みを導入して、より低コストで、管理運営していくという思想である。


道州制の実現などの政策にそれはよく現れている。


現在の都道府県を廃止して、6つぐらいの州を設置するという考え方だが、これをすると、現在のように各都道府県がそれぞれ独立して、行政を行なう地方自治の原則が奪われてしまう。


その代わりに複数の旧都道府県を統括する州が、トップダウンで、行政を行なう為、行政の効率は増すかもしれない。


基本的に行政を効率化し、税金の無駄遣いをしないようにするには、無駄な都道府県の小さな地方公共団体を廃止し、国民を直接統治するという考え方になる。


つまり、中間管理職を撤廃するという考え方である。


これはより中央集権的であり、トップダウンの全体主義国家を招く危険性がある。


維新が、自民党よりも右翼であると言われる所以である。


つまり、維新は、国家社会主義であり、トップの知的エリートが、中間管理職をなるべく立てない形で、効率よく、国民を統治するという思想なのである。


そのことによって、税金の無駄遣いなどを防ぐことが出来ると考えている。


しかし、リベラル派としては、維新が効率性ばかりを推進する結果、民主主義の根幹である、話し合いをして、非効率であっても時間をかけて物事を決定していくというあり方は失われることについて、警戒する必要がある。



確かに日本社会は縦割り行政であり、各省庁が予算配分を確保するために競争し合い、必要ない公共事業などを行って、無駄に予算を消耗し、そのツケを国民に回して来た。


日本が世界一、公共サービスの料金が高い所以である。


日本の水道料金も高速道路利用料なども決して、無料にはならないし、また安くさえもならない。


そして、各都道府県の地方公共団体は、予算の配分を受ける為にやはり無駄な公共事業や行政サービスなどを行なう。


必要だから行なうのではなく、予算が欲しいから行なうのである。


その結果、日本の行政は肥大化し、民業を圧迫し、巨大な官僚の利権だらけになった。


日本には、様々な省庁の利権やその外郭団体や地方公共団体の利権が渦巻いていて、予算の確保を競って、各々が自己利益を追及している。


そのため、中々、国益に適うようなグランドデザインを描くことが出来ない。


こうした現状を改善するために日本の指揮系統をトップダウンにして、無駄な行政、都道府県の地方公共団体を丸ごと廃止しようというのは、思想的には理解できる。


そうすれば、各省庁と地方公共団体が、結託して進める無駄な公共事業や行政サービスなどを廃止して、もっと高い観点から少数の哲人エリートが意思決定を行なうことができる。


こうしたトップダウンの全体主義的な体制によって、効率的に意思決定していくという、あり方は、国家社会主義、ファシズムの思想である。


しかし、こうした国家社会主義、ファシズムの思想は、アリスベイリーの著作の中でも、神聖な思想として、高く評価されていた。


独裁者は、神の神性を体現した人々であると評価されている。


縦割り行政によって全体としての方向性が定まらず、各利権団体が自らの利権を追及するだけで、税金の無駄遣いや公害や環境破壊をまき散らす、衆愚政治よりは、一部の哲人エリートが、国益や民衆の為になる行政のグランドデザインを行なう方が、より優れているように思えてくる。


現状、メリトクラシーの社会は、ますます、巨大なテクノロジー企業の中の一部の知的エリートが、民衆の為に社会のグランドデザインを行なうような社会に向かいつつある。


以前から他の記事の中でも書いているが、スマートシティー構想などがその表れである。


維新の躍進は、そうした社会の潮流を背景としている。



またこうした国家社会主義や、ファシズムのような力の思想は、牡羊座や蟹座が生み出す傾向である。


2023年4月現在、ラーフ/ケートゥ軸が牡羊座をトランジットし、4月22日から木星が牡羊座に移動して、水瓶座から土星が牡羊座にアスペクトして、牡羊座にダブルトランジットしている。



牡羊座が活性化している為、維新が躍進しているのである。



これは、私は以前の記事で何度も書いているが、維新は、国家社会主義政党である為、牡羊座が強調されるタイミングに躍進するのである。



今回、牡羊座へのダブルトランジットで、維新が躍進してきた為、改めて、この考え方が正しかったことを確認した。



結局、自民党などの保守勢力が行ってきた古い政治は、各省庁と地方公共団体が結託して、国民の為にならない無駄な公共事業や行政サービスなどを拡大し、民業を圧迫し、無駄な規制を行って、税金の無駄遣いをし、官僚の天下り先を増やしてきた。



これを改革するのには、二つの方法があり、一つには、立憲民主党のような立憲主義に基づいて、民主主義を重視したリベラルなアプローチである。



しかし、これは非効率であり、話し合いに時間をかけることになり、スピーディーに問題解決できず、中々成功しないのである。



特に大衆のレベルが低ければ低いほど成功しない。



大衆は、お上に何でもやってもらうという姿勢であり、自己中心的に振る舞うからである。



地域社会の為にと思って活動する人と、自分の利益を追及する人の間で、中々意見がまとまらないのである。



プラトンは、民主主義は、劣ったシステムだと考えていたのはその為である。



民主主義は、衆愚政治に陥り、お上に全てを託してしまう態度により、独裁者の台頭を招くのである。



つまり、民主主義と、独裁制は、コインの裏表である。




そうして、民主主義が挫折した状態の中では、一部のエリートに社会改革の権限を託す、国家社会主義が登場する。



それが維新の隆盛の理由である。



維新が票を伸ばしているというのは、牡羊座のアプローチで、トップダウンで、速やかに問題解決することに期待をする人々が増えているのである。




日本社会の問題については、オランダのジャーナリストであるカレル・ヴァン・ウォルフレンが、『日本/権力構造の謎』という本の中で明らかにしている。




また日本の特別会計の問題に切り込み、暗殺された石井紘基氏の『日本が自滅する日―「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす! 』の中でもよく示されている。






日本は、縦割り行政で、各利権集団が、予算の配分を確保する為に国民の税金を使い放題に使って、無駄な公共事業や行政サービスを行うが、官僚は、全く責任を取ることはないのである。



そうした社会であり、石井紘基氏の言葉によれば、日本は、官制経済の国であり、計画経済の社会主義国なのである。



そして、ソビエト連邦と同じように支配階級である官僚たちは、好き放題行って来たのである。




こうした現状を改革するために民主的なアプローチを信じていないのが、維新の人々であり、牡羊座の勢力である。



一応、選挙で第一党になるまでは、民主的なプロセスに従うが、第一党になって権力を握った途端に独裁者の権限で、何でも実行するようになるのである。



その辺りは、橋下徹が、大阪府知事や大阪市長に当選した時にどのように振る舞ったかを見れば、よく分かる。



2016年のブレグジットや、ドナルド・トランプが台頭した頃から、天王星が牡羊座に移動することで、特にこうした国家社会主義的な独裁的な手法が好まれている。



直近で、天王星が牡羊座をトランジットした1930年代は、かつてファシズムやナチズムが台頭し、日本においては2.26事件などが起こって、軍部主導の全体主義的体制に急速に道を開いた時期に該当する。




立憲民主党の人々は、特に戦争経験者であれば、日本の軍部が、日本を無謀な戦争に突入させた経験を苦い経験として、記憶に残している。



また軍部主導の体制下では、公安当局などによって、人権が抑圧されたことも覚えている。



従って、維新の極右的なアプローチを警戒しており、民主主義の敵だと考えている。




まとめると現在の政治状況は以下のようになっている。



自民党・公明党による国家運営というものがあり、これらの勢力が保持している利権に群がっている人々は、この勢力に賛成する。



この勢力は、着々と、利権を拡大し、国民の税金を懐に入れて来た。



しかし、こうした利権の温床となる各省庁の外郭団体、特殊法人などに群がっている人々は相当な数にのぼり、一大勢力を形成している。



そして、こうした日本の既得権益のグループに反対する野党勢力として、維新や立憲が存在するが、維新は、トップダウンの国家社会主義的アプローチで、立憲は、リベラルで民主主義的なアプローチを特徴とする。




しかし、この2つの勢力は全く水と油であり、野党共闘が難しくなっている。



菅直人が、維新のことを自民党よりも右寄りの勢力であると主張して、問題となったことも記憶に新しい。



ヒトラーのドイツでも長引く国内の不況について、国家社会主義的アプローチでの解決を求め、共産党や、社会民主党を目の敵にしていた。




自民党に対する批判は大きいにも関わらず、立憲民主党が、72しか議席を伸ばせなかったのはそうした意味なのである。



立憲民主党が72議席増やしたというのは実は少ないのであり、本来、立憲民主党が吸収すべきだった票が、維新に流れたと言ってもいいかもしれない。




そして、今回、参政党が67議席獲得したが、自民・公明に代わる第三の国民の健全な草の根保守として、台頭してきている。



参政党の掲げる政策は、国民目線の教育や食の安全、環境保全、安全保障などであり、まだ権力の座に就いていないことから、官僚と癒着しておらず、親米従属的な悪影響を受けていない。



そうした意味で、国民の期待も大きくなっているのである。




こうした躍進の一方で、共産、国民民主、社民が議席を大幅に減らしている。


共産:560獲得(55減)
国民民主:65獲得(30減)
社民:30獲得(23減)



共産党に関しては、現在、維新が躍進する状況の中では、厳しい戦いを強いられている。



また共産主義イデオロギーを捨てられず、暴力革命理論を捨てたのかどうかも明らかでない。



ソビエト連邦の崩壊で、共産主義が経済的には機能しなかったことを考慮していない。



ヨーゼフ・シュンペーターの理論によれば、資本主義は、イノベーションを繰り返して、最終的に社会主義になっていくのである。



そして、ソビエト連邦が経済的に機能せずに崩壊したことを考えると、資本主義は、後の歴史検証においては、必要悪だったということになり、暴力革命理論は必要ないのである。



そうしたことで、共産党は、シーラカンスのような古いイデオロギー組織になりつつある。



国民民主は、与党寄りなのか、野党なのかはっきりせず、存在意義が感じられないので、票を減らしたと考えられる。



現在の党首も、政治的理想よりも、自分が生活する為の糧を得るための道具として活用しているようにしか思えない。



そして、社民党の政治的主張もはっきりしないものであり、その理想や政策が、明確でなく、国民によく伝わっていない。




このようにこれらの党は、魅力がなく、票を減らすだけの理由があったと考えられる。



れいわ新選組が、25議席獲得したのは、富の再分配や国民の生活に対して、山本太郎が最も激しく切り込んでいることによるものである。



しかし、れいわ新撰組の政策では、公務員の数を増やすということを主張している。



MMT理論に基づき、必要な財源は、全て国債の発行で賄うべきだと主張している。



山本太郎の理想的な国家のモデルは、2000年頃の小泉純一郎や安倍晋三、竹中平蔵といったプレーヤーによって、推進された規制緩和の動きの中で、新自由主義が猛威を振るい、国民の生活が圧迫された状況を何とかする為、2000年以前の金丸・竹下・小沢の時代の日本を取り戻そうとしているように見えてくる。


ゼネコンなどに対するばら撒きなどではなく、貧しい国民への再分配をしていくという点で、以前とは、違うのかもしれず、また公務員を増やすと言っても、天下り官僚を増やして、無駄な公共事業や行政サービスを増やしていくということではないかもしれないが、実現可能性があるのか不明である。


企業の減税の為に消費税が利用されているという主張などはもっともであり、個別的な主張は正しいと思われる。


また山本太郎の人物としての魅力に支えられていると言ってもいいかもしれない。


本来、共産党は、イデオロギー的には無効となったかもしれないが、社会の貧困層、社会的弱者の味方として、その役割を果たしてきた。



れいわの登場で、共産党の影が薄くなったかもしれない。


これは単純に共産党の政治家と、山本太郎の人物としての魅力に関係してくる。


山本太郎が主張していることは、本来は、共産党が主張すべきものだが、共産党に流れるべき票は山本太郎のれいわに流れて行ったのではないかとも考えられる。


そうしたことで、れいわは、政策の実現可能性は不明だが、山本太郎の富の再分配に対する激しい主張や、国会での活躍に対して、25票を獲得したと考えられる。



また維新は、トップダウンや効率性を求める為に民主主義を軽視すると考えられるが、れいわの場合は、そうしたことは無さそうである。




今回の統一地方選挙のポイントは、共産、国民民主、社民などのよく主張が分からない政党が大量に票を失い、その票を維新と立憲と参政党とれいわで分け合ったということである。



その時に最も議席の伸び率が大きかったのが、維新であり、それは、現在、天王星が牡羊座をトランジットして、牡羊座に木星と土星がダブルトランジットし、更にラーフも牡羊座をトランジットしているからである。


自民、公明などの保守勢力は現状を維持し、野党再編という意味合いが、大きかったと思われる。



そして、今回の選挙では、投票率が下がったようである。


選挙で自ら政党を選び取り、社会を変えていくことに期待する国民が減っているのである。


それは、実際の所、政治などではなく、経済の方が社会の改革を推し進めている点もあるのかもしれない。



実際、人々の生活、文化、ライフスタイルに革命をもたらすのは、GAFAなどが推進する技術革新(イノベーション)なのである。


そして、国民は、ますます、こうした知的エリートに依存し、トップダウンで、改革を推し進めてくれることに期待する。







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