天才フォン・ノイマンのチャート



先日の2021年2月20日に出た新刊『フォン・ノイマンの哲学-人間のフリをした悪魔』高橋昌一郎著を本屋に平積みされていたのを見つけた。






フォン・ノイマンがいかに恐るべき天才で、20世紀の科学史に巨大な影響を与えた人物であるかといったことが、私生活も含めて、詳細に記されている本である。


その序文には以下のように記されている。


はじめに 人間のふりをした悪魔

二〇世紀を代表する天才のなかでも、いときわ光彩を放っているのが、ジョン・フォン・ノイマンである。

彼は、わずか53年あまりの短い生涯の間に、論理学・数学・物理学・化学・計算機科・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学に関する150編の論文を発表した。

天才だけが集まるプリンストン高等研究所の教授陣のなかでも、さらに桁違いの超人的な能力を発揮したノイマンは、「人間のフリをした悪魔」と呼ばれた。

彼は「コンピューターの父」として知られる一方で、原子爆弾を開発する「マンハッタン計画」の科学者集団の中心的指導者でもあった。

彼の死後、生前の論文を集めて出版された英語版『フォン・ノイマン著作集』は、全六巻で合計三六八九ページに及ぶ。第一巻「論理学・集合論・量子力学」、第二巻「作用素・エルゴート理論・群における概周期関数」、第三巻「作用素環論」、第四巻「連続幾何学とその他の話題」、第五巻「コンピュータ設計・オートマタ理論と数値解析」、第六巻「ゲーム理論・宇宙物理学・流体力学・気象学」というタイトルを眺めるだけでも、彼の論文がどれほど多彩な専門分野に影響を与えたか、想像できるだろう。

プログラム内蔵方式の「ノイマン型コンピュータ」、量子論の数学的基礎に登場する「ノイマン環」、ゲーム理論における「ノイマンの定理」など、二〇世紀に進展した科学理論のどの研究分野を遡っても、いずれどこかで必ず何らかの先駆者として「ノイマン」の導いた業績に遭遇する。ネットで検索すると、「ノイマン集合」、「ノイマン・ボトルネック」、「ノイマン・モデル」、「ノイマン・パラドックス」など、彼の名前が冠された専門用語を五〇種類以上発見することができる。(略)

(『フォン・ノイマンの哲学-人間のフリをした悪魔』高橋昌一郎著より引用抜粋)


上記のまえがきや本文にも記されているが、ノイマンは、ノーベル賞を受賞していないせいか、地味で、それ程、知られていないようだが、アインシュタイン級の天才で、コンピューターの父として知られ、原子爆弾を開発するマンハッタン計画の中心人物で、ゲーム理論の生みの親でもあり、ロシアへの先制核攻撃を主張した人物である。


アメリカの軍の要職に就き、日本に原爆を落とすことの意思決定にも参画し、京都への原爆投下を強く主張していたという。


ノイマンはヒトラーのナチスが台頭し始めた頃、ヨーロッパで戦争が起こることを予測して、アメリカに移住し、市民権を得て、その後、ヨーロッパがナチスに蹂躙されるのを見て、憤りを感じて、アメリカ合衆国陸軍兵器局予備役士官試験を受ける。


試験には最優秀で合格したが、幸運か不運か、試験の延期などがあって、年齢制限にひっかかって陸軍に入れなかったようである。


日本に原爆投下が決定された際、ロスアラモスで開かれた「標的委員会」でノイマンは、科学者を代表して出席し、空軍が目標リストとして、「皇居、横浜、新潟、京都、広島、小倉」を提案する中で、戦後の占領統治まで見通して、皇居への投下に強く反対したという。


もしノイマンが陸軍に採用されていたら、ヨーロッパの任地に赴き、原爆は、広島や長崎ではなく、東京に落とされていた可能性も高かったというのである。


この本は、著者の高橋昌一郎氏が、フォン・ノイマンの悪魔的な天才性について批判的に記した本であるかと思っていたが、実はそうではなく、あとがきを読むと、ノイマンの合理主義を多少肯定するような記述となっている。




(略)もしノイマンが生きていたら、「だからアメリカが圧倒的優位な1950年代初頭に、ソ連を原始時代に戻しておくべきだったと何度も言ったじゃないか!」と叫んでいたかもしれない。犠牲を最小限にして最大利得を求める「ミニマックス戦略」を生み出した超合理主義ノイマンならば、朝鮮戦争では北朝鮮への原爆投下、ベトナム戦争では北ベトナムへの原爆投下を躊躇なく大統領に進言したに違いない。

第二次世界大戦直後、仮にアメリカやヨーロッパの自由主義諸国がノイマンの思い通りに動いていたら、もしかすると世界地図から独裁国家や共産主義国家は消え去り、今頃は民主的な「世界政府」が樹立されていたかもしれない。

「世界政府」では文化の多様性が尊重され、多彩な経済活動が起こり、何よりも科学の進歩が優先される。二十一世紀の今頃には、量子コンピューターが開発され、大半の仕事はロボットが実行し、火星に人類の基地が設置されているとも空想できる。人類は、太陽エネルギーを超効率的に獲得し、世界の天候を支配し、ヒト遺伝子を自由に操っていた可能性もある。おそらく、それがノイマンの夢見た未来の世界像だっただろう。(略)

(『フォン・ノイマンの哲学-人間のフリをした悪魔』高橋昌一郎著 「おわりに」より引用抜粋)


ノイマンの先制核攻撃理論で、ソ連を攻撃していたら、東西冷戦などというものは起こらず、より速やかに新世界秩序がもたらされていたのではないかというのである。


大量の非人道的な殺人が行なわれたら、その後に築かれる「世界政府」による統治は正当化されないので、その考え方も極端に思える。


東西冷戦のドラマ、葛藤などがあって、その後に統合があるのが、歴史弁証法であって、先制核攻撃などによって、矛盾を一夜にして解消しようとするゼロかイチかの短絡的な思考は非常に危険である。「中庸」という態度は優柔不断に思えるかもしれないが大事である。


共産主義諸国と資本主義国の敵対関係があり、共産主義諸国が、経済的合理性の欠如によって、長い時間かけて自ずから解体したという歴史で、良かったのではないかと思うのである。


今現在、シリコンバレーの技術革新などを見ていると、このノイマンが夢見た未来の世界像に近づいていると思えるが、東西冷戦の過程を経て、それが今実現しつつあるということでいいのではないかと思うのだ。


例えば、ランド研究所と、ゲーム理論と言えば、東西冷戦を主導したシンクタンクとして悪名高いが、道徳の問題まで合理的な計算で、答えを導き出そうとする所がある。


ノイマン的な合理主義とは、まさにそうした知性である。



このマンハッタン計画に参画した天才科学者たちの物語というのは、非常に興味深く、例えば、アリスベイリーの秘教文献によれば、枢軸国側が先に原爆を開発する懸念があった為、連合国側がサナットクマラに願い出て、核兵器の使用の許可を得たということになっている。


それが実際の具体的な人間レベルの話では、どのような出来事を意味していたのか、フォン・ノイマンは明らかにそうしたやり取りに近い所にいた人物である。



そうしたことで、フォン・ノイマンのチャートがどのようなチャートなのか自ずと、興味が沸いてくる。




フォン・ノイマンのラグナ


ノイマンは、出生時間が分からない為、ラグナを導き出す必要があるが、この本を読んでいて、フォン・ノイマンの私生活について非常に興味深い記述があった。



フォン・ノイマンは、運動が苦手で、また車の運転が下手で、毎年のように車をぶつけて破壊しては買い替えていたというのである。


何度も事故を起こしたプリンストンの交差点は、「フォン・ノイマン・コーナー」と呼ばれたそうである。




(略)ちなみに数年間のトラブルだけを取り上げても、1950年11月16日に衝突事故で車体修理、51年10月23日に交通違反で罰金10ドル、53年5月19日にスピード違反、7月15日に再び衝突事故、といった記録が続く。

1934年に清家に戻った際には、ジェノヴァからブタペストに向かう高速道路で事故を起こした。ノイマンは、高等研究所のオズワルド・ヴェブレンに次のように報告している。

「土砂降りの雨になりました。車のスピードは、その悪天候で走るには少し速すぎたらしく(結果的に判明したことですが)、突然車が横にスリップして、木に衝突してしまったのです。私たちはフロントガラスに鼻をぶつけて、酷いことになりました。・・・・・あまり強調したくないのですが、歴史的事実として報告しておきますと、運転していたのは私でした」


(『フォン・ノイマンの哲学-人間のフリをした悪魔』高橋昌一郎著 「おわりに」より引用抜粋)


この天才的な頭脳を持ちながらも運動音痴で、毎年、車の事故を起こして、車を破壊しているという事実は、はっきりとチャートに示されていなければならない。



その結果、分かったのは、フォン・ノイマンは、双子座ラグナで以下のようなチャートである。






双子座ラグナに設定すると、4室にラーフ/ケートゥ軸が絡み、4室支配の水星が8室に在住して、6室支配の火星、8室支配の土星とコンジャンクトしている。



月から見た4室にも火星と土星、6室支配の水星がアスペクトし、乗り物の表示体である金星をラグナとしても4室に土星、火星が在住している。




それ以外にも結婚や、娘の誕生、離婚、再婚なども全て、この双子座ラグナで説明することが出来る。





強力な8室 -研究:マインドの集中-



そうした細かい検証についてはまた後で行なうが、双子座ラグナに設定した場合、8室で8、9室支配の土星と6、11室支配の火星、1、4室支配の水星がコンジャンクトしている配置が、重要である。


9室の支配星が8室で定座に在住しており、11室支配の高揚する火星とコンジャンクトして、9-11のダナヨーガを形成している。






火星は6室の支配星であるが、8室に在住することで、ヴィーパリータラージャヨーガ(逆転のラージャヨーガ)を形成している。



そして、ラグナロードで4室支配の水星と、土星と火星は、1-9、4-9、1-11のラージャヨーガ、ダナヨーガも形成し、月から見ると、10室で土星と火星はそれぞれ定座と高揚の座にあるため、シャシャヨーガとルチャカヨーガを形成し、1-10、1-11のラージャヨーガ、ダナヨーガを形成している。



因みにノイマンが、マハダシャー月期や火星期にかけた人生の晩年で、米軍関係の仕事をしたのは、月から見て火星が10室でルチャカヨーガを形成し、火星は月から10室で高揚しているからである。


ここで非常に興味深い点は、8室で土星や火星、水星といった惑星が非常に強力なヨーガを形成しており、土星や火星は定座や高揚しており、星位も強いということである。




ノイマンは、睡眠は、4時間で、一日のうち20時間のほどんどを考えることに費やしたというが、それは一日のうち、ほとんどを研究に費やしたということである。



マインドを駆使して、考え続けることは、瞑想などに集中することと全く同じである。



8室は瞑想、ヨーガのハウスであるが、研究という象意も持っているが、研究においてはマインドの集中を伴うため、それは結局の所、瞑想の一種と考えられる。



科学者の研究というものは、宗教家の瞑想に比較される行為である。





ノイマンの知性、マインド -金星と水瓶座の木星の役割-


またノイマンの知的な能力を評価する際に非常に興味深いのは、5室で定座に在住する5室支配の金星である。



この金星は木星のナクシャトラに在住しており、その木星は水瓶座に在住し、金星にアスペクトしている。



通常、金星は音楽とか芸術方面の才能を表わしそうで、月のアスペクトもあるため、尚更そうである。



然し、ここで、金星は全く芸術の才能というよりもむしろ、数学とか科学の才能に向かったということが重要である。



これは極めて興味深いことである。(何故ならアリスベイリーの7種光線論などでは、金星は具体的科学の第5光線の影響下にあるとされているからである)



通常の素朴な意味での占星学では、金星は、芸術の惑星であり、文学や芸術を表わすことはあっても論理や科学は表さない。



おそらくこの金星が、水瓶座に在住する木星と、山羊座で定座にある強い土星からのアスペクトを受けていることが、金星が科学の分野の知性として発揮された理由なのである。






また月から見た5室支配の太陽は、射手座9室に在住しているが、ムーラ(ケートゥ)に在住しており、ケートゥは数学やプログラミング、言語などを表わす表示体である。



この配置もノイマンの知性を形成する一要素である。



また知性の表示体である水星が、そのそも強い土星や火星とコンジャンクトしていることや、知性の表示体から見た5室の支配星は再び、金星で、金星は水瓶座の木星や定座の強い土星のアスペクトを受けている。



これらの惑星の影響が、ノイマンの超人的な知性をもたらした配置である。




ノイマンのラグナの詳細な検証については、別の記事で取り上げたいと思うが、5室支配で5室天秤座に在住し、ヴィシャーカー(木星)に在住して、水瓶座に在住する木星のアスペクトを受けている金星の配置は、極めて重要である。




木星はラグナから見た5室と5室の支配星、月から見た5室にアスペクトし、月から見た5室支配の太陽は、射手座に在住している為、木星の影響を受けている。




ノイマンの水瓶座の木星というのは、極めて重要である。




今、この木星にトランジットの木星がリターンしようとしており、ノイマンのラグナから見た10室、月から見た10室にダブルトランジットが生じている。




従って、ノイマンが今、注目されているのである。




惑星のトランジットは、既に過去の歴史上の人物にも有効であることの一つの事例にもなっている。





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