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イベント前の巡礼の旅 -月、太陽から9室、ラグナから12室にダブルトランジット-

2022 10/10
私は、大阪でセミナーや鑑定を行なう前に岡山、広島、島根、鳥取、兵庫、奈良、京都、和歌山などを車(レンタカー)で走って、厳島神社、出雲大社、鳥取砂丘、天の橋立、伊勢神宮、高野山などを見て回った。

京都の日本海側の海や自然環境が良いことに感動した。また恒例の温泉巡りもした。

20日からイベントが始まる為、9月12日から大阪入りして、当初、和歌山だけを回るつもりであったが、出雲大社など中国地方に行って、日本海側の海岸線を戻ってくる十分な時間があると分かり、もっと大きな旅行計画に変更した。

本当はイベント終了後にミッション完了後のさっぱりした気分で行きたかったが、今回は、連休をセミナーに持ってくる関係で、先に旅行に行く計画となった。

12日、関西空港に夕方着くと、レンタカーを借り、目的地を広島にセットして、ひたすら一般道を走り続けた。大阪駅に着くまでに2時間近くかかった。その後は、ひたすら海岸線沿いを走り続けて広島に着いたのは朝方だった。広島から出雲に北上して山越えするプランである。

この山越えというのは結局の所、長いトンネルを走っていくのである。四国でも経験したが、山を越えるというのは、くねくねと曲がりくねった山道を行く場合と、長いトンネルを突きぬけていく場合の2パターンである。

広島から出雲に抜けていく際も非常に長いトンネルを何度か経由した。


山口県の門司まで行って市場に行ってからぐるっと海岸線を回って、出雲に行くというプランもあったが、300kmほど余計に走らなければならないため、もう1日余計に掛かってしまう為、今回は、山口県は断念した。

朝方、広島に着くと、直ぐに島根・出雲に北上するのはもったいないと思い、厳島神社に向かった。










厳島神社へは学徒時代に行った記憶がうっすらあるが、全く記憶に残っていない。当時、悩んでいたり、幸福とは言い難い状態で、そんな時に経験した出来事の記憶は全くごっそりと抜け落ちている。皆で行ったような記憶がかすかにあるが、それも本当かどうか分からないような微かなものである。そうした過去の経験を呼び覚まし、修復するかのような経験となった。

厳島神社を見て、神社までの途中の土産物屋で、牡蠣や広島名物の焼きそば入りお好み焼きを食べると、もう午後14時頃で、直ぐに出雲に向けて出発した。島根県の出雲の近くまで来ると時間はもう22時で、現地の格安ドミトリーを予約して飛び込んだ。因みに今回、宿泊先は一切、事前に決めておらず、行き当たりばったりで、車で走れる所まで走って、20時ぐらいを回って来たら、booking.comやAgoda.comなどの宿泊予約サイトで、予約をして、宿泊するという方法を取った。

車で移動はしているが、バッグパッカーのようなスタイルで、これが中々楽しくまた移動の自由などが最大限保証されるやり方である。

また最近、流行りのドミトリータイプに泊まるのがまた楽しい。寝る以外は、共有スペースにいるしかないため、宿泊客たちがスペースに出てきて、ベラベラと雑談している。中途半端なビジネスホテルなどに泊まっても宿泊スペースが分離していて各々孤立しているため、誰が泊まっているか分からないし、他の宿泊客の会話などを聞く機会もないので、つまらないのである。余程、高い料金を支払えば、富裕層のコミュニティなどがあって、そこでは横の繋がりなどもあるかもしれないが、中途半端なホテルは全く何も与えない。宿泊料金は最低ランクだが、ドミトリーの良さはその辺りにある。最近、流行のドミトリータイプの格安宿というのは、水瓶座の空間共有の思想が体現されている。

出雲の街中にあった最低ランクの小さな一軒家を改装したらしいドミトリーを予約し、島根ということもあるのか、汚らしい布団の畳の部屋をどうにか確保することが出来た。

共有スペースに行くと若い男4人がつまみと缶ビールで、雑談していた。話を聞くと金沢から来た工業系の大学の2年生で、夏休みを利用して金沢から日本海側を海岸線を車を走らせて来たらしい。色々話し込んだので、実は私は占い師をやっているという話になり、4人の出生データを聴いて試しにスマートフォンで、ホロスコープを作ってみたが、スマートフォンのソフトの使い方に慣れておらず、申し訳ないことにこの時に作成したチャートは後から間違いであることが分かった。


ところが、私は悦に浸って、この間違ったホロスコープで、色々アドバイスをしていたのである。


確かに話している最中で、全く相手の反応が当たっているといった反応ではなかったので、焦りも感じたし、調子が出ない感じがしていた。


その中で、リーダー格で、旅を計画したという大学生の一人のチャートを後から家に戻ってから、作成してみたが、双子座ラグナだった。


双子座ラグナというのは、私とは非常に縁のあるラグナである。





6、11室支配の火星が10室に在住し、魚座のレヴァーティーに在住しており、月ラグナから見ても5、12室支配の火星が4室に在住して、10室にアスペクトしている。


ナヴァムシャでもラグナから見て10室で火星が高揚しており、それで、リーダーであることがよく分かった。


その中の一人が、恋愛に悩んでいるということだったが、戻って来てから作成してみると、牡牛座ラグナだった。





牡牛座から見ると、ラグナロードの金星が7室で、7室支配の火星、ケートゥとコンジャンクトしているが、月から見ると6室であった。


月から見て6室に金星と火星が在住していた為、パートナーは、水商売系の人かもしれないが、そうした類の人との関係には注意が必要だといった話をした。


それはあながち間違ってはいない。


7室のケートゥはパートナーに精神的な理想を抱くが、それが満たされずに失望に転じる配置であり、ラグナロードの金星が7室で火星とコンジャンクトする配置は、非常に官能的な配置ではある。


出雲大社は縁結びの神を祀っていることで有名である。


その大学生の彼らは、昨日、参拝してきたということだったが、もし私の恋愛に関する予想が当たったとしたら私が縁結びの神のメッセンジャーになるのではないかなどと悦に浸って占っていたのだが、チャートが間違っていたという落ちが付いた。


普通だったら、再鑑定だが、旅の余興として行ったのであり、彼らにはもう会うすべもない。


大学生たちもあまり当たっていないと感じたかもしれないが、そんなことはたいして気にしておらず、旅の話で盛り上がった。彼らは、金沢の方から下道を通って、天の橋立や鳥取砂丘を見て来たという。


それで私も帰り道で、そのコースを辿ろうと思ったのである。


私は天の橋立といったものがあることすら知らなかったが、旅の情報を旅先で得ながら、旅行をするというのは、理想的である。


非常に興味深いことであるが、出雲大社に向けて夜中に車を走らせている間、偶々、前を行く車のナンバーが、777であったりした。あたかも深夜に事故に遭わないように神の導きを受けているかのような気持ちになったが、この車の後ろになる人が、数秘術やタロットなどに造詣のある人であれば、色んな感情をその都度、毎回、換気されることと思う。偶然で何の意味もないと言う人もいるかもしれないが、確率論から考えても777のナンバープレートに出くわすことは稀であるため、主観的に前兆学的に吉兆なメッセージであるように感じた。私に与えられたサインである。





出雲大社は広々とした神社であまり人がいないのが良かった。仏教が伝来する前の古代の日本の社会を想起させる貴重な聖地である。









出雲大社の中から三本に束ねた柱が出土し、古代の出雲大社の社が三本の柱を束ねた巨大な柱が計9本で支える非常に高さのある社であったという学説がある。






この古代出雲大社の社の予想図が実際のものであったら、非常にロマンがある。この階段を登って高台の御神体に参拝することは、それ自体が一つの参入儀礼(イニシェーション)の体験である。
加治将一氏によれば、ピラミッドがそのようなイニシェーションの体験を与える道具であったという話である。










どんな旅先でも必ず温泉に行くのが一つの楽しみである。今回も1日に何箇所も回ったが、特に鳥取県の吉田温泉、兵庫県の城崎温泉街はよかった。


城崎温泉は、夜、カップルに着物と下駄を貸し出し、浴衣姿で、各温泉を下駄の音を鳴らしながら歩かせるという演出が際立っていた。城崎温泉は、一つ一つの温泉が客取りを競ってしまうと、全体の城崎温泉街というブランドが映えない。城崎温泉は、チケットを購入すると、どの温泉にも入ることができ、旅館に泊まれば、どの外湯にも無料で入ることが出来る。だから宿泊客たちが、浴衣姿で下駄を着て、温泉街を歩いている。この城崎温泉が取っている戦略は、水瓶座の理念がよく現れている。個々の温泉宿が競ってしまえば、全体としての客足が遠のいてしまう。温泉街が協力して、一つの魅力ある空間を作っているのである。城崎温泉では、個々の旅館が、その大事な顧客データを他の温泉宿と共有しているそうである。個々の温泉宿が競争で消耗するのはやめて、温泉街全体で繁栄していこうという考え方である。こうした戦略が功を奏したのか、コロナ前のデータではあるが、外国人観光客が5年で36倍になったのだという。これは水瓶座の理念の恩恵によるものである。こうした水瓶座の理念は、フリッチョフ・カプラが、『タオ自然学』の中などで明らかにしていた全体は個々の単純な総和ではないとしていたニューエイジ思想そのものである。個々が協力して全体を作る時に生まれるネットワーク効果は、個々の単純総和以上の価値を持っているのである。





吉田温泉の熱い掛け流しの風呂は印象的であった。設備自体も非常に新しく、地元の人が若干、来ているだけで、全く混んでいない。


人があまりいないというのは非常に気分がよい。


温泉の受付の女性は、本来、年配の女性が相場と決まっているが、30代後半から40台に見える比較的若い女性が受付を務めていた。


私が温泉に入っていると、客は一人だけだったが、その受付の若い女性が、「温度を測ります」などと言って、入り口から入ってきた時には戸惑った。


コロナの追跡の為、神奈川出身であることを受付で、記載したのだが、帰り際、その受付の女性から、親しみを込められて話しかけられた。


「神奈川から来たと書いてらっしゃいましたが、どこから来られましたか?」


「横浜です」


「そうですか。私も以前、横浜の〇〇に5年程、住んでいたんですが、人が多すぎるので疲れました。結局、実家のある鳥取に戻って来ました。人があまりいなくてこちらの方がいいです。」


「横浜の〇〇は私の家のすぐそばですね。よく行きますよ。へえ。あまり良くなかったですか?」


5年住んでいたというのは、何か東京や横浜に夢を抱いて上京したということだろうか。


東京や横浜に出て、仕事をして、恋愛し、結婚して、バラ色の人生が開けて来ると夢想して上京したものの、夢破れて、実家のある地元に舞い戻ったのだろうか。


東京に夢を抱いて、一度は上京してみるものの、そのようにして、再び、田舎に帰っていく人は多いのだろうと思われる。


また今は、リモートワークで、自然に囲まれた田舎で暮らすのが、流行って来ている。都会でストレスの多い生活をするよりも自分の本来の田舎の生活の方が価値があることに気付いたのかもしれない。


「もう横浜や東京に行くことはないんですか?」


「もうありません。ここにずっといます。」


「死ぬまでですか?」


「死ぬまでここにいます。」


「そうですか。それは残念ですね。」などと意味不明なことを呟いて、温泉を後にした。




特に神社巡りをするつもりはなかったが、いつの間にか、神社巡り、巡礼の旅のようになっていた。


それは土星が9室支配の木星の上を通過し、月、太陽から見て、9室に木星がトランジットし、ダブルトランジットも成立していたからである。


9室支配で10室に在住する木星は、セミナーや鑑定活動を表すが、9室の支配星のため、巡礼の旅なども表している。


そのようにして、鳥取と兵庫を回った後で、京都の日本海側で、天の橋立などを見たが、この地域の海や自然の豊かさには感動した。










京都に日本海側などあること自体、知らなかったが、こんなにいい所があったことに驚いた。


そして、天の橋立を見た後は、滋賀、奈良を横断して、和歌山の伊勢志摩に向ったが、伊勢神宮が近くにあるので、参拝した。


伊勢神宮は、3回目ぐらいだろうか。


そして、和歌山の先端の温泉に入ってから、翌日、最後に高野山に向かって、巡礼の旅を締めくくった。










特に巡礼の旅をするつもりはなかったが、結局、旅において目的地として、神社やお寺に行くのは自然である。



厳島神社、出雲大社、伊勢神宮、高野山などの巡礼スポットも見て、鳥取砂丘、天の橋立などの観光スポットも見ることができ、日本の近畿、中国地方の良さを味わうことが出来た旅であった。


12日からイベント前日の19日まで8泊9日のバックパッカー風のかなり長い旅となった。


以前は車中泊もしてみたが、今回は1日もしなかった。やはり、寝不足になると車の運転も危なくなる為、寝る時間が来たら、宿泊先を探して、格安のドミトリーを探して、予約し、深夜のチェックインの為、スタッフとは全く会わず、鍵のナンバーなどを伝えられて、勝手に宿泊し、スタッフが出社してくる前に出発してしまうというスタイルが多かった。


こうした旅を経験したのは、木星が私の12室をトランジットし、10室の土星がアスペクトして、12室にダブルトランジットし、更に月、太陽から見て、9室にダブルトランジットしたタイミングであった。


やはり、9室や12室が強調されている為、遠方への旅、長距離旅行、巡礼の旅として現れたのである。




(参考資料)

城崎温泉「まち全体が一つの旅館」宿泊予約データ、一帯で共有 需要「見える化」集客戦略、収益力向上目指す
2022/5/9 19:45 神戸新聞NEXT

「まち全体が一つの温泉旅館」がコンセプトの城崎温泉(兵庫県豊岡市城崎町湯島)で、各宿泊施設の予約状況などのデータを自動収集する事業が始まる。地元の旅館とホテルは、個々の予約状況と全体の動向を比較できる仕組み。需要予測などを可能にして効果的な集客戦略の立案につなげ、一帯の収益力向上を目指す。(丸山桃奈)

 関係者によると、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるエリア挙げての観光振興に向けた取り組みは、全国でも珍しいという。

 城崎温泉の若手旅館経営者や豊岡市などで3月に発足した「豊岡観光DX推進協議会」が事業を担う。同協議会に参画する43の旅館などが6月中までに新システム「豊岡観光DX基盤」を導入し、予約データの共有を目指す。

 新システムは、宿泊施設の個別サイトや旅行会社などを通じて予約が入ると、日程や人数、金額、客室の稼働状況などを自動的に集約。宿泊施設の個々の売り上げや旅行客が特定される個人情報は除く。

 システムを導入する旅館やホテルは、個々で保有する宿泊データと、温泉街全体の当面の予約状況を比べながら、収益アップに効果的な宿泊プランを考案できる。需要動向に即して宿泊料金を変えたり、出勤者の数も調整したりできるという。

 同協議会は、温泉街にある飲食店や土産物店、観光施設などにもシステムの導入を進めていく方針。一帯の宿泊予約状況を共有することで、食材や商品の仕入れ量などをにぎわいの予測に応じて適正にすることが可能という。従業員の態勢も調整できるという。

 これまで温泉街全体の予約状況を即時に把握する仕組みがなく、各宿泊施設は個々のデータと推測に頼ってきた。同市は2021年度当初予算にシステム導入の関連費用として約3400万円を計上した。

 温泉街全体で収益力を高めるとともに、将来的には市中心部や出石、日高などを含めた市内全域の観光データを集約し、市域全体で周遊の促進につなげる考えだ。

 豊岡ツーリズム協議会の高宮浩之会長は「これまでは遅く、粗いデータ集めでプランや料金は経験と勘で決めてきた。データを収集することで、地域で季節ごとの戦略を考えられ、お客さまのニーズにより一層応えられるようになる」と話した。
参照元:城崎温泉「まち全体が一つの旅館」宿泊予約データ、一帯で共有 需要「見える化」集客戦略、収益力向上目指す
2022/5/9 19:45 神戸新聞NEXT
外国人観光客が5年で36倍、城崎温泉の戦略とは
風光明媚な温泉街で浴衣を着て散策する外国人客が急増
2017.8.29 日経ビジネス 宇賀神 宰司

訪日外国人数の増加が続いている。今年1~7月に日本を訪れた外国人旅行者は日本政府観光局(JNTO)の調べによると1643万8800人で、前年同期に比べて17.3%増えた。

 昨今、東京都心の地下鉄の車内やホームで外国人観光客を見かけることは日常のことになった。かつては旅行客を見かけることが少なかった都内の住宅地でも、駅や商店街などで外国人旅行者を目にするようになった。地方も同様だ。日本人にとってもかなり奥深い場所でさえ、外国人の姿を見かけるようになった。人数が増えているだけではなく、旅行する場所もかなり広範囲に広がっているのが最近の傾向だ。

 そうした地方の観光地、兵庫県豊岡市にある城崎温泉も訪日客が急増している場所の1つだ。

 兵庫県と聞くと、神戸市など瀬戸内海側の地域をイメージする人が多いと思うが、豊岡市は兵庫県北部、日本海に面した場所にある。城崎温泉までは大阪からは特急を使っても電車で約3時間もかかる。

 だが、城崎温泉を訪れる外国人観光客の数は直近5年で36倍に増えた。なぜか。

家族経営の旅館が予約サイトに対応

 城崎温泉は川沿いの柳並木、古い街並み、そして浴衣を着た観光客がそぞろ歩く風情のある風景が特徴だ。7カ所ある外湯めぐりが主体の温泉で、旅行者は旅館で浴衣に着替えてげたを履いて、好みの外湯に入りにいく。チェックイン後、旅館での夕食までの時間帯である夕方4時~5時頃と夕食後の8時以降は特に人出が多くにぎわう。

 温泉施設を持つ大型ホテルが軒を連ねる温泉地とは全く雰囲気が違う。城崎温泉の場合、約80カ所ある旅館は小規模で家族経営が主体。1つの旅館の部屋数は10~15室程度。そのため中国人の団体旅行などを受け入れるのが難しかった。

インバウンド(訪日外国人)の潮流に乗れないかに思えた城崎温泉だが、団体旅行客を受け入れられないことを逆手にとって、個人旅行客に狙いを定めた。2013年ごろから、豊岡市は欧州での観光プロモーションを始めた。個人旅行者の割合が多い、欧州のほか、北米、オーストラリアからの集客を狙った。

 13年、フランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に城崎温泉が2つ星の評価を得て掲載された。英語ガイドブック「ロンリープラネット」でも日本のベスト温泉の1つに選ばれた。こうしたことから城崎温泉が欧米人に広く知られることとなる。城崎温泉の外国人旅行者の内、欧州、北米、オーストラリアからの割合は約半数を占める。

外国人旅行者を観光地に呼び寄せるのに問題となるのが、宿泊施設側の対応だ。個人旅行客は直接、ホテルや旅館に予約を入れることが多いため、英語などの外国語で予約できないと来てくれない。

 城崎温泉の旅館の場合、米エクスペディアやオランダのブッキング・ドットコムなど欧米の旅行・ホテル予約サイトとの連携を深めたことで、欧米の個人客の取り込みに成功した。以前は日本語でもオンライン予約に対応していなかったタイプの小規模な旅館でも、かなりの数が欧米のホテル予約サイトに登録している。

 15年には豊岡市も城崎温泉に関する英語の観光情報サイト「Visit Kinosaki」を立ち上げ、宿泊予約機能を装備した。今ではフランス語にも対応する。サイトはトップ画面に大きなイメージ画像を配し、滞在日と人数を選んで予約するためのメニューが中央下部に表示されている。最近の欧米の予約サイトに見られるようなページデザインで利用者にとって旅館の予約がしやすいよう工夫している。

 さらに外国人旅行者を呼び込むために16年6月に発足したのが豊岡版DMO「豊岡観光イノベーション(一般社団法人)」だ。DMOとは「Destination Management/Marketing Organization」の略。観光地経営組織などと訳される。観光地において戦略の策定、各種調査、マーケティング、商品開発、プロモーションなどを一貫して実施する組織体で、欧米の観光地で発展した形態だ。

 日本では地域の観光は、自治体の観光課や観光協会、地域の旅館組合などの組織が情報提供やプロモーションをするケースが多いが、ツアーなどの商品を開発したり、調査を基に戦略的なマーケティングを展開するなど企業的な動きまではこれまでほとんどしてこなかった。

 そこで豊岡市では企業と連携してDMOを組織した。高速バス大手のウィラー(大阪市)や地元のバス会社、全但バス(兵庫県養父市)、豊岡市に本店がある但馬銀行、但馬信用金庫などの企業が基金を拠出、旅行大手のJTBと三井物産はそれぞれ社員を派遣して参画する。観光地としての関連性が強い隣接する京都府京丹後市とも連携する。社員は9人で、7人が企業出身者だ。今年4月からは旅行大手の近畿日本ツーリストも社員を派遣している。

 具体的にはマーケティング事業、現地ツアーの開発・販売、前述の宿泊予約サイト「Visit Kinosaki」の運営などを手掛けている。

 三井物産から加わり事業を統括する田辺茂・事業本部長は「城崎温泉の集客をさらに伸ばすことに加え、豊岡市と京丹後市の城崎温泉以外の観光地への集客に取り組んでいる」と話す。

豊岡市には城下町の出石地区などの観光地が点在する。海水浴ができる風光明媚な海岸もある。

地方観光の課題は交通手段

 問題はそうした観光地を巡る足だ。外国の個人観光客の足はなんといっても鉄道と高速バスだ。城崎温泉はJR西日本山陰本線の城崎温泉駅から10分程度で中心地まで歩けるのでアクセスがいい。ほかには関西の海水浴場として人気が高い竹野浜海水浴場が山陰本線の竹野駅から徒歩20分。夏のシーズンに20分も歩くのはかなり大変だが、なんとか行けないことはない。実際、現地では外国人の姿を目にする。

必要になるのは豊岡市と京丹後市の観光地に特化した現地発の観光ツアーだ。その商品開発のために豊岡観光イノベーションでは外国人を対象としてモニターツアーを実施している。今年4月にはエイチ・アイ・エスと組んでタイ人を対象としたバンコクからの3泊6日ツアーを企画した。

 さらには山間地を探索するなど体験ツアーも地域のガイドと連携して開始している。

 こうした取り組みはまだ緒に就いたばかり。大きな集客が見込めないことからこれまでは大手旅行代理店が手がけてこなかった分野だ。ブルーオーシャンではあるが大がかりにはできない。現地ツアーの必要性は観光業界では声高に叫ばれているが、現実的には儲けを出すのが難しいと言われている。

 地域の人材を改めて発掘し、外部からも人材を結集する。ツアーのマッチングサイトを利用するなどして他地域に先駆けて現地ツアーを強化できた観光地のみが、今後も増加が見込まれるインバウンド消費の恩恵にあずかれるだろう。
参照元:外国人観光客が5年で36倍、城崎温泉の戦略とは
風光明媚な温泉街で浴衣を着て散策する外国人客が急増
2017.8.29 日経ビジネス 宇賀神 宰司

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