世界興収100億を超えた話題のインド映画『ロボット』を視た。
『ムトゥ踊るマハラジャ』でおなじみのラジニカーントが主演しており、この映画でラジニカーントのファンになった私としては期待して見に行ったのだが、期待通りの作品で、アクションシーンが凄く、またロボットがフォーメーションを組んだりといった発想も独創的で面白かった。
善悪がはっきりしており、悪人がヒーローに殴られて風船のように飛ばされるのが壮快である。
何よりも非常にストーリーが分かりやすい大衆が楽しめる映画である。
インドの建国図を見ると、ラグナが牡牛座で、3室にはラグナロードの金星、4室支配の太陽、2、5室支配の水星、9、10室支配の土星、3室支配の月が在住して、3室に惑星集中して、ラージャヨーガ、ダナヨーガを多数形成している。
3室はメディアを表すため、この配置がインドで映画産業が盛んであることの印である。
そして、3室の惑星群は、宗教、精神性を表す9室にアスペクトしている。
従って、インドは霊性大国であり、霊的教師(グル)を多数輩出する国でもある。
また3室は映画産業を表す他、通信、コミュニケーションも表すため、ソフトウェアの開発や、世界の有名IT企業のカスタマーサポートセンターなどのアウトソーシング先としても発展している。
インドということで思い浮かべるイメージは、映画やIT産業(ソフトウェア開発)、グルが住む巡礼地といったイメージだが、全てその象意は3室やその対向の9室が関わっているように思われる。
またインドに行くと、インフラ整備が進んでおらず、オートリキシャーと呼ばれるバイクに客車をくっつけたような乗り物(タクシー)があるが、そうした乗り物で中央分離帯などはほとんど関係なしに運転手が各々の目的地に縦横無尽に走り回る姿は、非常に大衆的な蟹座の特徴を示している。交通の3室蟹座に惑星が集中するインドならではと思わせる交通事情である。
インドでは、古代から現代まで多くの霊的教師を輩出してきた霊性大国であり、それは宗教、精神性を表す9室へのラグナロードやヨーガカラカのアスペクトで理解できるが、一方で、グルが逮捕投獄されたりもしており、ジョーティッシュを非科学的であるとするような伝統文化を理解しない人々もいるようであり、そうした伝統的な精神性、宗教の文化に敵対的な人々もいるのは、木星が8、11室支配で6室に在住しているからではないかと思われる。
9室の象意については吉凶が混合しており、非常に複雑である。
また7室にケートゥが在住しているが、インドはどちらかと言えば、外交に積極的ではなく、内に閉じている国家である。
このようにインドの建国図はインドの特徴をよく示している。
インドは多民族国家で、全体としての統一が取れないで、個々の民族が地域ごとにまとまって、様々に活動している様子が、特に蟹座らしいのである。
蟹座というのは基本的に個人主義で、リバタリアンで、自分の好きなように行動する人々であり、それがインドの大衆である。各々が個人主義者であるだけに公共のインフラ整備など国全体の統一的な整備の方は進んでいないように思われる。
話がだいぶ脱線したが、この3室蟹座への惑星集中がインドの映画産業を表しており、ボリウッドスターというのは大衆から愛好されるスターなのである。
インドの映画では必ずヒーローやヒロインがデュエットで歌ったり、踊ったりするのであり、ほとんど全てがミュージカル仕立てになっている。
これは映画が写実的なのではなく、空想の中の世界を描いているからである。
踊りや歌によってヒーローとヒロインに芽生えた感情などを象徴的に描いているので、リアリズムを追求している訳ではない。
何故、インド映画は突然、普通の現実的なシーンから踊りのシーンが始まるのかといった疑問を持ち、インド映画が理解できない人は、やはり蟹座や水の星座のロマンチックな空想や夢の世界を理解できないのである。
ネットの掲示板などでインド映画を見て、全然、インド映画の踊りを理解できない人の意見が掲載されていたが、そうした人は水の星座に惑星が少なく、現実的な人ではないかと思われる。
ハリウッド映画もミュージカルを時々創るが、米国はキリスト教徒が多い国であり、若干、ミュージカルを理解する土壌があるからである。
ところが、例えば、フランスとか、ロシアで、ミュージカルが創られたかというと、私は今まで見た記憶がない。怒りや喜びなど情緒を理解する国民性でないと、ミュージカルは受け入れられないし、また理解されない。
私自身は蟹座に月と太陽が在住して、ラグナロードの火星も魚座に在住しているせいか、インド映画の踊りや歌のシーンが大好きである。
また『ムトゥ踊るマハラジャ』でラジニカーントが演じた単純な分かりやすい正義のヒーローなどにも共感する。
ラジニカーントやインド映画の大ファンだという人たちは、皆、このタイプではないかと思うのだ。
前置きが長くなったが、そろそろ本題として、今回の『ロボット』に出演したラジニカーント、アイシュワラー・ライのホロスコープを作成して検証した結果について書いてゆきたいと思う。
まず最初に冒頭のタイトル画面に『SUPER STAR RAJINI』(スーパースターラジニ)の文字が出てくるのだが、これはラジニカーントの愛称である。
ラジニカーントの出生図は獅子座ラグナのため、生まれついてのスターなのである。
主演しか演じれないのが獅子座である。
1981年2月26日にラタ夫人と結婚した時、木星と土星が2室を逆行していたため、ダブルトランジットが、1室、7室(7室の支配星)、2室、8室に形成されており、おそらく出生時間は正しく獅子座ラグナで問題ないと思われる。
常に主演で冒頭のタイトルに”SUPER STAR RAJINI”と出る程、存在感があり、自己主張をしており、獅子座ラグナということでしっくりとくる。
3、10室支配の金星が5室で2、11室支配の水星と接合し、11室にアスペクトしており、メディアに関係する創作活動が仕事であることを表している。
5室支配の木星は7室に在住し、5室や5室の支配星には全く凶星は絡んでいない。
従って、創作活動において全く順調で障害がなく質が高いことを表している。
5室の金星は11室支配の水星と絡み、11室にアスペクトし、11室には木星、金星、水星、土星の4つの惑星がアスペクトして強くなっている。
従って、創作活動が高い評価を受け、成功することを表している。
ラジニカーントが褐色の肌で、おっさん顔にもかかわらず、スターになれたことに驚く人も多いが、これはやはり5室や11室が主に吉星と絡んで強いからである。
また惑星が完全ではないが、一つ一つのハウスに連続して配置していることや、月の両側に吉星が在住(ドゥルダラヨーガ)していたり、太陽からの2室に吉星が2つ在住している(ヴェシヨーガ)ことなども特徴的である。
ラジニカーントのプロフィールを見ると、父親が警察官で3人兄弟の三男である。獅子座ラグナで火星が高揚している場合、父親の9室をラグナとすると仕事の10室でラグナロードの火星が高揚するため、父親が警察官となる典型的なケースである。
このことからも獅子座ラグナであることが確認できる。また3室(兄弟)の支配星が11室(獲得)の支配星と5室で接合し、11室の支配星が11室にアスペクトバックして、木星や土星も11室にアスペクトしている配置は、兄に恵まれることも表していたと思われる。
3室の支配星が11室に在住したり、11室の支配星が3室に在住することに近いためである。
次はヒロイン役のアイシュワラー・ライである。
アイシュワラー・ライは海外サイトのデータによれば、1973年11月1日 AM 5:00 Mangalore, India 生まれである。
このデータでチャートを作成すると、ラグナは乙女座になったが、乙女座ラグナでは全く、あの美貌や容姿が理解できないため、おそらくラグナは天秤座で出生時間は5:25:19以降である。
ラグナロードの金星が3室で10室支配の月と接合し、4、5室支配のラージャヨーガカラカの土星と相互アスペクトしている。この配置がインドのトップ女優として華麗な踊りを披露して来たことを説明するものである。
『ジーンズ 世界は2人のために』や『デーヴダース』などの踊りはこの配置が表しているのである。
3、6室支配の木星も4室で減衰して、ラージャヨーガ的に働く特別な法則を示している。減衰している惑星がある場合、それでも社会的にパワフルに活躍している人であれば、まず、この特別な法則やニーチャバンガなどが形成されていることを推測してみることは有効である。
彼女は子供の頃からモデルとして活躍して多くの広告に登場していたようだが、10歳ぐらいまで、マハダシャー金星期であり、金星の配置を見れば、早熟で幼い頃からメディア・広告業界と縁があったことを表している。
この金星が在住する3室にはラーフが同室しているが、ラーフはトリコーナとケンドラの支配星と絡んでおり、完全にラージャヨーガの条件を満たしている。彼女は生まれつき、メディア・広告業界で成功することが約束されていたと言える。
そして、1994年にミス・ワールドに選ばれて、この時期は月/土星期であったが、月は10室の支配星で3室に在住していることから、この月期にメディアに関係する大舞台に立ち、社会的地位が上昇したことは理解できる。
1997年の月/金星期にスクリーンデビューし、1999年に最優秀女優賞を受賞しているが、この頃が、月/太陽期である。
太陽は減衰しているのに何故、受賞して高い評価を受けることができたのかと考えると、太陽は「減衰する惑星が高揚する星座の支配星がアセンダントや月からみてケンドラに在住している」という条件を満たしており、この場合、太陽が高揚する牡羊座の支配星である火星がラグナからみてケンドラの7室に在住していることから、ニーチェバンガラージャヨーガを形成しているからであると考えることができる。
太陽は11室の支配星であり、月から見た場合も、9室支配で11室に在住し、受賞のハウスと絡んでいる。
更にナヴァムシャを見ても、ラグナは天秤座にあるべきで、何故なら、ラグナロードの金星や10室支配の月が3室支配の木星と7室で絡んで、出生図で示された象意を繰り返すからである。
太陽もラグナと月から見て、11室支配で5室に在住して、11室にアスペクトバックしていると考えると、何故、月/太陽期に最優秀女優賞を受賞したのかが、説明できる。
従って、出生図のラグナは、天秤座チトラーの第3パーダであり、ナヴァムシャのラグナもおそらく天秤座である。
ラグナがヴァルゴッタマで強いため、天秤座の化身のようにして、その典型的な職業であるモデル業や女優業で活躍している。
そして、更にナヴァムシャのラグナを天秤座にすると、4、5室支配のラージャヨーガカラカの土星と9室支配のヨーガカラカの水星が相互アスペクトして、4室と10室でラージャヨーガを形成する。彼女ぐらいの国際的スタートともなればこの位、強いチャートを持っていることは十分考えられることで逆に持っていないとおかしいということになるのである。
結局、この配置にすればナヴァムシャではケンドラに4つの吉星が在住することになり、4室では土星が定座にあってシャシャヨーガを形成していることになる。
非常に強力なチャートになるが、彼女の国際的な活躍を考えると、ナヴァムシャのラグナは天秤座で正しいように思われる。
このように月期の最後のアンタルダシャーで栄誉ある賞を受賞し、名声を確立するのであるが、その後で、マハダシャー火星期に突入している。
火星は7室でムーラトリコーナの座にあり、パンチャマハープルシャ・ルチャカヨーガを形成している。従って、彼女自身、戦闘的で行動力があると同時にパートナーも戦闘的で血の気の多いタイプと縁があることを示している。
1999年6月に入り、ほぼ火星期に入ると同時にボリウッドスターのサルマン・カーンと交際をスタートしている。しかし、2001年の火星/木星期に別れている。
彼女は分かれた理由として、サルマンカーンの言葉の物理的及び、感情的虐待・不倫と屈辱を挙げている。
サルマン・カーンの出生図を作成すると、ラグナが牡羊座であるため、まさにアイシュワラー・ライの7室に在住する火星の表示体となっている。
火星は逆行しており、この火星はルチャカヨーガで力も発揮するが問題も引き起こしている。
また7室にアスペクトする火星は妻虐待の配置である。
火星はナヴァムシャで7室支配で8室に在住し、8室支配の金星と星座交換しているので、パートナーの不倫による三角関係で悩む配置をしている。
サルマンカーンの出生図を見ると、ラグナロードの火星が7室支配の金星と10室で接合している。これはアイシュワラー・ライとの交際がメディアに報じられたりして、その後、暴力沙汰なども取上げられるなど、よくもわるくも、パートナーとの関係が、誰も知らない人がいない位にまで社会的に知れ渡ってしまうことを表している。
9室支配の木星が3室に在住し、5室支配の太陽が9室に在住して、3室にヨーガカラカが絡んでいることが俳優としての活躍を表している。
アイシュワラー・ライは、サルマン・カーンと交際をスタートさせた1999年頃、木星と土星が牡羊座7室をトランジットして、7室にダブルトランジットが生じていた。
その後、不倫や暴力が原因で別れるに至った2001年には木星と土星は8室に移動して、
・パートナーからの支配
・パートナーの不倫による三角関係
・パートナー関係の中断、行き詰まり
を示していた。
そして、この時、火星/木星期だったが、木星は3、6室支配で、別離、離婚の6室を支配しているため、ダシャー、トランジット共にこの時期に別れるに至った状況をよく説明している。
その後、彼女は2007年4月20日にアミッタ・バッチャンの息子、アビシェーク・バッチャンと結婚している。
アミッタ・バッチャンは、ボリウッド映画界で最も人気のある大スターで、プロデューサーでもあり、その家は、一家で映画産業に携わっている名門である。
アイシュワラー・ライは名門の家に嫁いだということになる。
このアビシェーク・バッチャンと結婚した時、ダシャーはラーフ/ラーフ期であり、ラーフは出生図で3室、ナヴァムシャで8室に在住し、7室支配の火星と絡んでいる。
ラーフ期はしばしば結婚をもたらす時期である。
この時、木星は2室をトランジットしており、土星が10室から2室の支配星にアスペクトして、2室にダブルトランジットが生じると共に木星が逆行して7室へアスペクトしており、土星が7室にアスペクトしていたので、7室へのダブルトランジットも生じていた。
従って、この時期の結婚のタイミングをよく表している。
乙女座ラグナだと、このようには説明できないため、やはり天秤座ラグナで正しいと思われる。
やはり、結婚というのは7室も大事だが、2室が非常に重要である。7室の象意はパートナー・交際であって2室が絡むことで相手の家族とのつながりが生じてくる。
彼女の結婚とはもちろん、アビシェーク・バッチャンとの結婚ではあるが、アミッタ・バッチャンという父親が背後に控えた名門一家との結婚なのである。それが2室への木星のトランジット(ダブルトランジット)ということで、よく表れている。
またラーフ期が結婚をもたらすということも、よく実感できる実例である。
因みにアイシュワラー・ライは学生の頃は建築学を学び、母語であるトゥル語の他に英語、ヒンディー語、カンナダ語、タミル語、マラティー語などの言語を話すことができる(wikipedia)才女であるが、5室支配の土星が9室でケートゥと接合していることがこの語学の才能を表している。
天秤座ラグナで問題ないと考えた理由の一つである。
建築学は土星が表示体となるため、5室の支配星が土星となることで納得できる。
彼女の美貌は2室に在住する9室支配の水星が表しており、特に目(瞳)がパッチリとして大きく知的で目鼻立ちが美しい顔立ちをしている。
これは9室を支配して機能的吉星化した水星の働きによるものだとよく分かる。
木星が表示体となる9室の支配星が2室に絡んでいるため、上品で優美な印象を与えている。
以前から木星が2室に絡む人の顔は品がよく高貴で優美な顔つきになるものだと思ってきたが、アイシュワラー・ライの場合、水星と9室の支配星がもたらした容貌だと分かるのである。
一方で、スタイルや身体の全体的な特徴は、ヴァルゴッタマの天秤座や、ラグナロードが絡む射手座、水星、ラーフが表している。
最後に話題のインド映画『ロボット』だが、ラジニカーントと、アイシュワラー・ライが歌ったり、踊ったりする場面が、日本公開版では大幅にカットされてしまっている。
これはインド映画ファンとしては非常に残念なことであり、あちこちで残念がる声が聞かれる。
インドの映画といったらまずヒーローとヒロインの踊りと歌なのである。
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