ディーパック・ビサリア氏来日セミナーに参加して、
田中角栄のラグナ検証に衝撃を受けたが、もう一つ、
興味深かったのが、アマール・シンというインドの汚職政治家の
ホロスコープのリーディングである。
http://en.wikipedia.org/wiki/Amar_Singh_(politician)
その解説を聞きながら、私は一つ思いついたことがあった。
アマールシンは政党に入って金の力で政治家を買収したり、
手段を選ばないやり方で首相よりも権力を持った人物だそうである。
それで金星期に主に彼は経済的、政治的実力を身につけ、
そして、金星/木星期に病気になり、金星/土星/太陽期に逮捕監禁されたそうである。
司法当局はアマルシンが病気であるにも関わらず、容赦なく刑務所に送ったそうである。
このアマール・シンの解説を聞いていて、主に彼の金にまみれたサクセスストーリーは、マハダシャー金星期に生じている。
そして、金星は5、10室支配で2室に在住し、4、11室支配で定座に在住して、土星、ラーフと接合する火星と、3、12室支配の逆行して8室に在住する木星からアスペクトされている。
金星の質を論じる場合、主に登場人物は凶星と絡んだ火星と8室在住の木星である。
ただ金星期に何故、そんなに賄賂による買収など汚い手段をつかって成り上がったのかを説明する場合、11室支配の火星からのアスペクトだけでは弱い感じがしたのである。
この金星期に何故、そんなに汚いことをしたのかということを考える場合、
金星のディスポジターである土星が11室に在住し、11室支配の火星や減衰するラーフと接合したことが大きかったのではないかと思うのである。
以前にもコラムの中で論じたことがあったが、惑星の質を論じる場合、惑星が在住するハウスのディスポジターや在住するナクシャトラの支配星が、どのハウスでどんな惑星と絡んでいるかどうかで、その惑星の質が分かり、そのことが実はかなり重要なことなのではないかということをいくつかのケースで体感している。
惑星の質とは実際のところ、このディスポジターの絡みや在住するナクシャトラの絡みを見なければ分からないのではないかということである。
そして、ラーフやケートゥの場合、その質を検討する場合に、ディスポジターが特に重要になり、ディスポジターが在住したり、絡む惑星やハウスの象意が非常に大きく影響するようである。
ラーフ、ケートゥは実体がないため、絡む惑星やハウスの影響を強く受けると同時にディスポジターが絡むハウスや惑星の影響も強いという考え方がある。
然し、この考え方はラーフやケートゥに限られる訳ではなく、普通の惑星においても、応用され、きちんと見ないと見逃される場合が多いが、実はかなり決定的に重要であるのではないかと考えられるのである。
例えば、このアマール・シンの場合、金星はヨーガカラカで5室の支配星であり、これは機能的に吉星でよいのある。精神的で楽しいことを追求するハウスである。
この金星期にアマール・シンはボリウッドの映画俳優たちと交流することでそれを政治的な力にもしていったようである。
金星は機能的凶星の火星や木星からアスペクトされて傷ついているが、さらに金星のディスポジターである土星が11室で火星や土星と絡んでおり、さらに金星が在住するナクシャトラ(シャタビシャー)の支配星であるラーフはやはり11室で減衰して土星と火星と絡んでいる。
これらの影響が実はかなり重要なことなのではないかということである。
ラーフ、ケートゥで使えるディスポジターの理論が、その他の惑星の場合でも十分に決定力を持つくらいに働いているのではないかということである。
金星はヨーガカラカで強くて吉祥だが、その大家(ディスポジター)である土星が11室で減衰するラーフや11室支配の火星と絡んでいる。そのことが金星は吉祥でも金と権力欲など獲得への執念を生み出したのではないかと思うのである。
そして傷ついた11室というのは収入や肩書き、評価の獲得において手段を選ばないことを表し、金星のディスポジターが11室で2つの凶星と絡んでいることが、そのような収入や肩書き、評価における貪欲な賄賂などの汚い手段を用いての取得につながったと思われる。
アミッタバッッチャンや、アイシュワラーライなどのボリウッドスターと並んで写っている写真を見ると、そう思うのである。
アマール・シンは逮捕されたが、アミッタバッッチャンや、アイシュワラーライは逮捕された訳ではない。彼らはヨーガカラカとしての金星の表示体である。
彼ら自身が腐っていて汚かった訳ではない。だから金星自身が何か機能的凶星である訳ではない。
11室支配で11室に在住する火星が金星にアスペクトしているので若干、アマール・シンから彼が手段を選ばないで稼いだお金をもらうことで、若干の影響を受けたかもしれないが、彼らはアマール・シンから汚れたお金をもらったかもしれないが、根本的に彼ら自身が汚れていた訳ではない。
然し、金星が在住するハウスの大家である土星が11室で敵対星座に在住して敵対惑星と接合し、更に減衰するラーフなどとも絡んで、ひどく傷ついていた為に富や評価、肩書きの取得において汚職などの手段を選ばない行為に及び、そして、一時的に躍進して富と地位を得たが、然し、最終的に逮捕されて評価が下がり、富を失った。
これが傷ついた11室である。
金星期はボリウッドのスターたちのパトロンみたいになって栄華を経験したが、
金星のディスポジターは11室で凶星に絡んでいる為、金星期の間も、常に彼自身は野心を燃やして貪欲に自分の地位や名声を追求する人物であったのである。
惑星が機能的吉星で配置もいいにも関わらず、ディスポジターがひどく傷ついて配置もわるいが為に、その惑星のダシャーの期間はそれほどよくなく、むしろ、ディスポジターの絡みによる象意が目立って現われていたというような事例をもっと見てみたいものである。
このアマール・シンの事例では、例えば金星はヨーガカラカで機能的吉星であり、2室に在住して配置もわるくなく、ディスポジターも中立星位に位置している。
然し、金星は機能的凶星の火星と、機能的凶星の逆行する木星からアスペクトされて傷ついている。
それ以外にディスポジターの土星が火星、ラーフと接合して傷ついている。
仮にこのディスポジターの土星の配置がわるくなく、凶星との絡みもなかったとして、
ただ機能的凶星の火星と、機能的凶星の逆行の木星からアスペクトされて傷ついているのみであったとしたら、マハダシャーの金星はそれ程、ひどく傷ついているとは言えないのではないかと思ったのである。
ただ単にアンタルダシャーの土星が傷ついているから、逮捕監禁されたということではなく、ディスポジターが土星であることによって、マハダシャーの金星自体が、傷ついた11室に深く関わりを持っていたことが、意味を持ったのではないかと思うのである。
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