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ウクライナ戦争の本質 -善悪はどちら側にあるか-

2022 3/26
ロシアによるウクライナ侵攻を見ていて、どちらが正義で、どちらが悪であるかということは単純に判断するのは非常に難しい。


プーチンのロシアが始めた戦争であり、ロシアが悪いのは当然であり、またプーチンは、プトラ―と呼ばれているようにヒトラーにそっくりになってきた。


手法としては、親ロシア系住民が迫害を受けているとか、ジェノサイド(民族浄化)が行なわれているといって難癖を付けて、親ロシア系住民の保護の名目で軍隊を派遣して、駐留させ、住民投票などで、独立を可決させ、分離独立を承認するという手法である。


ヒトラーがチェコスロバキアを解体し、ドイツ人が多く住むスデーテン地方の併合を1938年のミュンヘン会議で英仏に認めさせた事件などと同じである。


最初はそのようなことから始まり、徐々にエスカレートして、最終的に侵略戦争に発展する。


その時、戦争をしたくない英仏は、ヒトラーの要求を呑んで、スデーテン地方の併合を認めてしまう。


プーチンのグルジアへの侵攻や、ウクライナのドネツク州、ウガンスク州の親ロシア系住民の多い地域へのロシア軍の侵攻や、クリミア併合、グルジア戦争など、この数年間で、プーチンは色々やって来て、その兆候は示していたが、遂にウクライナに軍事侵攻した。


プーチンが、ユーラシア主義というイデオロギーを掲げ、クリミア併合記念コンサートなどで演説し、ロシア民族の愛国心を喚起している姿は、ヒトラーに非常に似ている。


















ロシア軍に記されているZのシンボルなどもナチスの卍のシンボルのように見えてくる。


ウクライナの首脳部をネオナチと呼び、ウクライナに非武装化、非軍事化を名目にウクライナに侵攻したが、実際には前線のロシア兵は、ここ最近では、住民を無差別に殺傷するように指示を受けているようである。


既にどちらがネオナチだか分からなくなっている。


プーチンこそが、ネオナチそのものになって来ているのである。



ロシア軍の戦車が、ウクライナ軍によって次々に大量に破壊されて、ロシア軍の侵攻は上手く行っていない。


西側のNATO諸国やアメリカが、対戦車ミサイルなどを次々に軍事援助し、CIAの諜報部門などが、ロシア軍の動きなどを監視して、逐一、ウクライナ軍に情報提供していることが大きいようである。


つまり、間接的にはアメリカやNATOとロシアは既に戦争していると言える。



西側メディアの報道によって、プーチンのロシア軍の戦争犯罪はひどいことが報じられていて、それは実際、その通りで、映像に記録されている。



ロシア軍を迎え撃つ、ウクライナ軍も非常に好戦的で、士気が高いことに驚く。



ロシアの将官6名をウクライナの狙撃手が狙い打ちして殺害し、非常に効果的に戦っており、戦争に慣れているのに驚く。



ゼレンスキー大統領も各国の国会で演説し、日本の真珠湾攻撃や9.11のことを思い出させるような巧みな演説を米議会で行なったり、英議会に対しては、英首相チャーチルの有名な議会演説を引用して、巧みに第二次世界大戦の記憶を引き出している。



西側の支援が得られなければ、ウクライナは消滅してしまう為、必死なのは分かるし、自国民なら国が侵略されたら最後まで戦うのは当然である。



然し、2014年ウクライナ騒乱では、デモ参加者の暴力的衝突の結果、当時の親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が失脚し、隣のロシアへ亡命している。



この騒乱はマイダン革命と呼ばれ、警備員たちが、ウクライナの右翼、民族主義者に銃で狙撃されて殺害されているようである。



ウクライナは、ソ連の圧政下にあり、第二次世界大戦の時に侵攻してきたナチスドイツを敵の敵と認識して手を結び、ソ連に対抗しようとしたウクライナ民族主義運動のリーダー、ステパン・バンデラが、国の英雄ということになっている。



ウクライナには、アゾフ大隊という極右、民族主義者のネオナチの民兵組織があり、この組織が拠点とするのが、アゾフ海に近いドネツク州マリウポリである。



ロシア軍の軍事侵攻で、このマリウポリが徹底的に空爆されて破壊されているのは、このアゾフ大隊の拠点だからである。



このアゾフ大隊のロゴが、ナチスの卍のシンボルに酷似している。



また民兵が、しばしば、ナチスのオカルト的な秘儀に使われたとされる「黒い太陽」のシンボルを身に付けている。



黒い太陽は、聖書の黙示録の解釈として中世から提唱されてきた理想の国家「第三帝国」の紋章として、ナチス親衛隊SSが神聖視していたと見られ、ナチスの第三帝国が滅びた後も極右の間で受け継がれてきたという。

(ニューズウィーク日本版『NATOが慌てて削除、ウクライナ女性民兵の紀章「黒い太陽」はなぜ問題か』より引用抜粋)


また最近、ロシアが、ウクライナのゼレンスキー政権が、米国防総省(ネオコン)と共に生物科学実験や中性子爆弾の実験を行っていた証拠が見つかったと主張している。



それが本当である場合、ロシアが悪いのか、ウクライナが悪いのか、判断することは難しくなる。



つまり、これは極右、民族主義者同士の戦いである。




またこれにアメリカの極右、民族主義を体現している米国防総省(ネオコン)やCIA(ネオコン)が関わっているのである。



NATOを拡大し、ロシアを封じ込める作戦をウクライナの極右、民族主義者と共に行っていたということになる。




神智学や秘教を学習している人間なら、物質性の勢力と光の勢力という対立概念があるのは知っている。



いわゆる善と悪の戦いである。



物質性の勢力が顕現しているのは、東ヨーロッパとイスラエル、そして、ペンタゴン(米国防総省)であるということは以前から聞いていた。



バルカン半島などは第一次、第二次世界大戦でもヨーロッパの火薬庫と呼ばれ、民族が入り交じり、交差するポイントである。



物質性の勢力とは、民族主義を通して、顕現するのである。



アリスベイリーによれば、ヒトラーとその側近を通じて、物質性が顕現したと言われている。



ヒトラーに至っては、2人の物質性の大主によって憑依されていたということである。


それで、ヒトラーは飛んできた砲弾をよけることができ、未来の世界を知ることも出来たのである。



東ヨーロッパとイスラエル、ペンタゴン(米国防総省)で物質性が顕現するとはどういうことなのかを考察してまとめた資料が以下である。







ここで東ヨーロッパというのは、今のウクライナのことだと言っていいかもしれない。



ヒトラーがスデーテン地方の併合を要求したチェコスロバキアも含まれている。



またチェチェン紛争などでもそうだが、民族問題が度々起こる地域である。



チェチェン共和国には、第三代首長であるラムザン・カディロフというプーチンの犬と呼ばれている危険な人物もいる。



この男が、ウクライナのゼレンスキー大統領の暗殺の為にウクライナ入りしたとニュースが伝えられている。




この東欧の辺りは、非常に物騒である。



ネオナチのような極右、民族主義者が溢れている地域で、悪の巣窟といった印象である。




もう一つは、イスラエルであり、パレスチナ人の迫害や強制的な入植などに見られるシオニズム運動がそうである。



ここでもイスラエルの極右、民族主義者が暗躍している。



第二次世界大戦後、潜伏しているナチスの残党を見つけ出して、イスラエルに強制連行するなどしたモサドなどはまさにイスラエルの愛国民族主義者である。



基本的に国家の為に諜報部門で働いている人間は、極右で、愛国民族主義者である。




そして、ペンタコン(米国防総省)やCIA(米中央情報局)、NSA(米国家安全保障局)などは、ネオコンであり、アメリカの愛国民族主義者で、アメリカの力で世界を統一するという思想を持っている。



愛国民族主義者といってもアメリカは移民の国で多民族国家であるため、支配者階級であるWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)を意味している。



つまり、ネオコンが進める武力による世界の統一は、アメリカの右翼、民族主義者が進めている政策と考えることが出来る。



これは、最近の流行の言葉で言えば、ディープステイト(闇の政府)である。





今回のロシアによるウクライナ侵攻とは、東ヨーロッパやペンタコン(米国防総省)やCIA(米中央情報局)などのネオコン、ディープステイトなどの要素が揃っている。




民族問題に敏感な地域があり、そこに軍産複合体が、武器を供給したり、ミサイル基地の建設など、好戦的なあらゆる活動をする為に起こってくる危機である。




私がアリスベイリーの著作から学んだことは、物質性の勢力とは、ヒトラーなど枢軸国側に見られたように右翼、民族主義を通して顕現するということである。




そして、物質性の勢力は、第三次世界大戦を起こしたいのである。





第三次世界大戦となり、核戦争となったら、そこに勝者はいないのだが、それを食い止められるかどうかである。




今の所、アメリカやNATOは、ウクライナに戦闘機などは提供しておらず、また軍を送るなどして参戦もしていない。




もし参戦したら、追い詰められたロシアは、核を使ったり、もっと本格的な第三次世界大戦に発展してしまう。




従って、ウクライナ上空を飛行禁止区域にも設定できない。




これは、弱腰なのではなく、理性的な対応でもあるとも言えるかもしれない。




米議会の中からは、ウクライナに米軍を派遣するべきではないかという声も上がって来ているらしいが、第三次世界大戦になる懸念がある為、こうした声を抑え込んでいるようである。





キューバ危機の時もペンタコン(米国防総省)の高官は、キューバのミサイル基地を爆撃することを主張したようである。




然し、そんなことをすればソ連と核戦争が始まってしまう為、ケネディ大統領は、そうしたタカ派の好戦的な意見を押さえて、偵察に向かうパイロットに決して、ロシア軍から撃ち落されないようにして欲しいと依頼するのである。(戦闘機のパイロットはミサイルに撃ち落されない為に大気圏から離脱して犠牲となる)



もし撃ち落されでもしたら、好戦派の意見が通って、ミサイル基地への爆撃の主張を抑え込むことが出来ず、第三次世界大戦が始まってしまう。




ケビンコスナー主演の『13デイズ』という映画で、その辺りの駆け引きを描いているが、タカ派、好戦派の主張というのは常に危険をもたらすことが分かる。




このロシアによるウクライナ侵攻は、NATOやアメリカがこれに参戦せずにウクライナに武器を供給するぐらいに留めて、経済制裁だけで何とか無難に停戦交渉の合意にこぎつけることが求められる。




ウクライナ戦争は、ウクライナもロシアもアメリカも三者とも好戦的で原因を作り出したのである。




ここで、ロシアのプーチンをディープステイトと戦う英雄と見なす考え方をする人もいるかもしれないが、プーチンも愛国民族主義的な行動を喚起して、戦争を始めた諜報人であり、全く英雄ではないのである。




プーチンは、残忍な手口で裏切り者を暗殺してきた人殺しで、ウクライナへの侵略戦争を始めた戦争犯罪人なのである。




それは右翼、民族主義的なスタンスから生じた結果である。




日本で、このロシアのウクライナ侵攻を見て、米国とのニュークリア・シェアリング(核兵器の共同運用)の議論が行われているが、そのようなことをすれば、周辺諸国の愛国民族主義を刺激して、安全よりもむしろますます危険になっていくのは明らかである。



今回のロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナのゼレンスキー政権と、ペンタコン(米国防総省)とCIAなどからなるネオコン、ディープステイトが、NATOを拡大し、ロシアを封じ込め戦略を取った為に起こったことだとする意見が多い。



ニューワールドオーダー(新世界秩序)でもグレートリセットでもいいのだが、米国と西側諸国が推し進める新しい世界というのは、情報技術と人工知能などを駆使して、個人を監視し、管理していく未来社会である。



外交問題評議会とダボス会議のメンバーがほとんどかぶっており、そうしたメンバーが目指す世界政府の権力と軍事力を中心的に担うのは、NATOとペンタコン(米国防総省)、CIAなどである。



そうしたアメリカと西側諸国中心で進められているグレートリセットにプーチンは反発している。



従って、スピ系の人たちから、プーチンは、ディープステイトと戦っている英雄と考えられている。



然し、プーチンがやっていることを見ると、プーチン自身が、侵略者であり、ネオナチのようになってしまっている。




ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンが大統領選で戦って、トランプが大統領になったが、その後、トランプとバイデンの大統領選で、バイデンが当選し、不正選挙なども取り沙汰された。


バイデンは、バラク・オバマ政権時代に副大統領の地位に長く留まり、ヒラリークリントンが国務長官の時代にも副大統領を務めてきた人物である。



こうしたロシア封じ込め政策を行なってきた中心人物と言えるかもしれない。



ただ私は、バイデンのチャートを見て、ナヴァムシャの9室に惑星集中している配置からバイデンがそれ程、悪い人間には見えない。



バイデンのアフガニスタンからの撤退も正しいものであり、また今回のロシアの侵攻についても米軍を派遣しないという冷静な判断を行なっている。




国際情勢において、何が悪で何が善なのか、そうした善悪や真偽を見極めるのは、非常に難しくなっている。



これからやってくるグレートリセットが、善なのか悪なのかも非常に分かりにくい。



然し、超国家的な統治機関がなければ、侵略戦争などを行なう無法者を取り締まることも出来ないし、またアマゾンの森林伐採など、環境破壊も止めることが出来ない。



グレートリセットが人類にとっての災厄なのか、それとも問題解決なのかは極めて分かりにくい。



今の時代、善悪の判断は、非常に難しいのである。



それともそもそも善悪などはなく、力が強い者が勝利するという現実があるだけなのか。



正しい者が報われるのではなく、力が強いものが正しくなるような社会では、人々は、理想や目的を失い、ニヒリズムが生じてくる。



ここ最近の時計の逆回転で、理想や目的を見失った人も多いのではないかと思われる。



ニヒリズムに陥らないように善悪や真偽を見極めていかなければならない。






(参考資料)

NATOが慌てて削除、ウクライナ女性民兵の紀章「黒い太陽」はなぜ問題か
NATO Says It Didn't Notice Ukraine Soldier's Apparent Nazi Symbol in Tweet
2022年3月10日(木)18時46分 ニューズウィーク日本版

トム・オコナー

<問題となった紀章が示すように、ウクライナにも極右やネオナチはいる。旧ソ連から独立するためナチスを頼った過去もある。ではプーチンが侵攻の口実にした「ウクライナの非ナチ化」も本当なのか>

3月8日の国際女性デーにNATOの公式ツイッターにアップされた画像が波紋を巻き起こしている。

そこにはロシアの軍事侵攻開始から3週目を迎えつつあるウクライナで、必死に生きる女性たちの写真が4点含まれていた。その中の1点に、迷彩服の胸にナチスのシンボルとおぼしき紀章をつけた民兵が写っていたのだ。

この画像は既に削除され、NATO高官は本誌の取材に対し、紀章をうっかり見落としていたと話した。

NATOの公開画像にはウクライナの国旗を表す絵文字と共に、以下のようなメッセージが添えられていた。

「全ての女性たち、少女たちは、自由で平等な世界で生きる権利がある。今年の国際女性デーには、私たちはとりわけウクライナの勇敢な女性たちに思いを寄せている。彼女たちの強さ、勇気、苦境から立ち直る力は、彼女たちの祖国の#IWD2022(IWDは国際女性デーの略)の精神の生きた証である」

問題の紀章は、ドイツ語でシュバルツェ・ゾンネ(黒い太陽)またはゾンネンラート(日輪)と呼ばれるもの。ナチスのオカルト的な秘儀に使われたとされるシンボルで、今では世界中の極右が誇らしげに見せつける図案となり、ウクライナの準軍事組織「アゾフ連隊」の公式ロゴともなっている。

SSエリートの象徴とされ

女性民兵の写真は元々、2月14日にウクライナ政府軍の参謀本部がソーシャルメディアで公開し、通信社などが配信したもので、翌日には英紙ガーディアンの1面に大きく掲載された。ただし、彼女が着用しているカーキの迷彩服の柄に紛れて、紀章そのものははっきり見えない。

NATOがこの写真を使ったコラージュ画像を公開した後、ツイッターの複数のユーザーが気づいて指摘し、急きょ削除されたのだ。

「私たちは国際女性デーに合わせたコラージュに、通信社が配信した写真を使った」と、NATO高官は本誌に説明した。「公式なものと確認できないシンボルが含まれていると気づいて、すぐに削除した」

黒い太陽は、聖書の黙示録の解釈として中世から提唱されてきた理想の国家「第三帝国」の紋章として、ナチス親衛隊SSが神聖視していたと見られ、ナチスの第三帝国が滅びた後も極右の間で受け継がれてきた。

「黒い太陽のコンセプトは、1950年代にナチスの残党やネオナチの間で、SSの秘儀に参加していたナチスのエリートと彼らの持つ超自然的なパワーなるものと絡めて盛んに語られていた」と、このシンボルについて論じた著書があるウィーン大学の助教ジュリアン・ストルーブは言う。

「第2次大戦後に極右とネオナチがこれを重要な意味を持つシンボルに祭り上げたが、問題の写真のようなマークが使われだしたのは1990年代になってからだ」

ナチズムとこのシンボルの直接的な関連性を物語るよく知られた話がある。SSの長官だったハインリヒ・ヒムラーが本拠地としていたドイツ北西部の古城ベベルスブルク城の床にこのシンボルが描かれていたことだ。世界の中心とされるこの城で、ヒムラーはオカルト的な秘儀をしていたと言われている。だがストルーブによると、黒い太陽の図案を極右が好んで使うようになったのはここ数十年のことだ。

ベベルスブルク城の装飾を見ると、このシンボルはSSと関連がありそうだが、ただの文様だったのか、そこに何らかの意味があったのかは不明で、ナチスの思想と結びついたシンボルとなったのは「戦後、それもかなり近年になってから」だと、ストルーブは言う。「今では極右の間で、自分たちの属性を示す印として使用されている」

黒い太陽が何を表すかについてはさまざまな解釈があるものの、今どきこのシンボルを使うのは「極右かネオナチだけだと見ていい」というのだ。

「SSの秘儀のシンボルだったとの解釈もあり、極右と親和性がある北欧とスラブ民族のオカルト的な儀式と関連があるかもしれないが、ただ単にナチスの鉤十字の代わりに使われているのかもしれない。鉤十字は数カ国で使用が禁止されているからだ」

Tシャツやタトゥーにも

ウクライナでは、2015年に制定された法律でナチズムだけでなく共産主義のシンボルも公式に使用することは禁じられている。アゾフ連隊は黒い太陽を紀章にしているので、ウクライナでこのマークを付けている人がいたら、この組織のメンバーかその支持者と見ていいと、ストルーブは言う。

ユダヤ人組織「名誉毀損防止連盟」付属の研究所の上級研究員で、極右やネオナチに詳しいマーク・ピッカベージも同意見だ。

「ゾネンラート、つまり日輪は多くの文明に共通する古代のシンボルで、さまざまなバリエーションがある」と、ピッカベージは言う。だが古代にルーツを持つ卍模様と同様、日輪も「ナチスが独自のバージョンを作り上げ、白人至上主義者たちはそれを採用している」という。「(日輪は)ナチスのシンボルとしてはそれほど広く使われていなかったが、SSが使っていたので、エリートのシンボルと見られるようになった。今ではこれを愛用するのは極右だけだ」

「ナチスの第三帝国が崩壊した後、ネオナチ、そして、その後はその他の白人至上主義者たちが、ナチスが使っていた多くのシンボルを採用した」と、ピッカページは説明する。「ナチス版の日輪もその1つだ。シンボルにはよくあることだが、この5、6年で急に人気が出て、白人至上主義者の御用達のシンボルとなり、(Tシャツなどの)図柄に使われ、日輪のタトゥーを入れる連中も出てきた」

「(この紀章が)軍服についているのも、同じようにネオナチズムや白人至上主義の印象を与える」と彼はつけ加えた。

ウクライナとナチスとの関係は、国内外で大きな議論のテーマになっている。ウクライナは1941年から1944年にかけてナチス・ドイツに占領された。この時、一部のウクライナ人は侵略者に抵抗したが、ソ連からの独立を模索していたステパン・バンデラのようなナショナリストたちは、ナチス・ドイツと協力してソ連と戦うことを選んだ。現在のウクライナでは、ナチス・ドイツによるホロコーストも、その約10年前にソ連の統治下にあったウクライナで起きた人為的な飢饉「ホロドモール」も、ウクライナ人に対するジェノサイド(大量虐殺)だったと見なされている。

1991年に独立を果たした後のウクライナでは、ビクトル・ユーシェンコ元大統領をはじめとする一部の指導者が、バンデラのレガシーを高く評価してきた。それにより、ウクライナ・ロシア間の緊張が深刻化。2014年の反政府デモで西側諸国との関係強化やNATOとの連携を目指す政府が誕生すると、ロシア政府はウクライナを「極右勢力が率いている」と主張した。この西側寄りの政権の誕生が、ウクライナ東部での親ロシア派による武装蜂起、そして南部クリミア半島のロシア併合につながった。

「ナチ化」阻止は本当か

本誌はこれまでにも、ウクライナ軍と民兵組織の中に極右やネオナチの支持者がいると報じ、複数の専門家や元当局者に話を聞いてきた。彼らは軍や民兵組織の中にそうした者がいること、そして彼らが(ロシアによるウクライナ侵攻の前もその後も)西側諸国からの軍事支援を得ることについて、警鐘を鳴らしていた。

一方で彼らは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに対する「特別軍事作戦」はウクライナの「非ナチ化」のためだと正当化したことについては、「プロパガンダ」だとして一様に異議を唱えた。極右は「ユーロマイダン(2014年にウクライナで起きた反政府抗議運動)」で一定の役割を果たしたが、隣国ロシアと地政学的に距離を置くことを求めるウクライナ社会のより幅広い層とも協力した。

ロシアはウクライナ侵攻のせいで、国際社会から政治的にも経済的にも孤立しつつあるが、それでもロシアの当局者たちは、ウクライナ国内で活発に活動する極右の存在を強調し続けている。

「ヨーロッパがつくり出した病的な雰囲気や憎悪が、ウクライナのナショナリストたちを、取り返しのつかない行動に走らせないという保証はどこにもない」と、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は3月9日の会見で述べた。

ザハロワはさらに「ロシアは過激思想から遠く離れており、あなた方の方が近いところにいる」と続けた。「あなた方の国の市民は、その悪影響を受けることになるだろう。このナチズム、ナショナリズム、過激主義というバクテリアは、目覚めさせるのは容易でも、追い払うことは不可能だからだ」

ロシア政府はまた、アゾフ連隊のようなナショナリストたちについて、複数の「疑惑」を主張。ロシア軍の部隊が包囲している複数の都市で「彼らが市民を人質に取っている」、ロシア軍が砲撃したとされている人道回廊を「彼らが塞いでいる」、ロシア軍が空爆したとされている東部マリウポリの産科医院を「彼らが占領していた」と主張した。

本誌はこれらの主張について、ウクライナ国防省にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。しかしウクライナ政府は一連の疑惑を断固否定しており、ユダヤ人である同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、戦闘でもメディアでも、ナチス式の戦術を使っているのはプーチンの方だと主張している。

ゼレンスキーは7日に、アメリカの主要なユダヤ組織の幹部たちとのビデオ会談の中で、「プーチンはウクライナの市民を、国籍が違うというだけで殺している」と主張し、さらにこう続けた。「これはまさにナチスのやり方だ。ほかに表現のしようがない」

解決策を模索

ゼレンスキーは同時に、プーチンとの直接交渉も模索している。ウクライナとロシアの代表団は、ロシアの同盟国であるベラルーシで、今後も停戦交渉を行う予定だ。

ロシア政府はウクライナに対して、1)戦闘を停止すること、2)ウクライナ東部の親ロシア派組織が自称する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を承認すること、3)クリミア半島に対するロシアの主権を承認すること、4)NATOへの加盟申請を取りやめて、中立を保つよう憲法を改正することを要求している。

ゼレンスキーはロシア側の「最後通告」に黙って従うことはないとする一方で、プーチンと直接話すことで、「実現可能な解決策」を見出せるかもしれないと述べている。
参照元:NATOが慌てて削除、ウクライナ女性民兵の紀章「黒い太陽」はなぜ問題か
NATO Says It Didn't Notice Ukraine Soldier's Apparent Nazi Symbol in Tweet
2022年3月10日(木)18時46分 ニューズウィーク日本版

トム・オコナー

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