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ドナルドトランプ当選 歴史的勝利

2016 11/10
2016年11月9日未明(日本時間9日午後)、共和党候補のドナルド・トランプがニューヨークの陣営本部で支持者に向けて勝利宣言を行った。



投票日の前日、ニューヨーク株式市場はヒラリークリントンの勝利を予想して、株価が上昇していたというので、最後の最後まで、一般人には誰にもこの勝敗は分からなかった模様である。


米株式市場は上昇 クリントン氏優勢で
2016.11.9 07:44 産経ニュース

 【ワシントン支局】米大統領選の主要メディアによる世論調査で、民主党候補のヒラリー・クリントン氏が優勢を維持しているとの情勢判断を受けて、8日のニューヨーク株式市場は、ダウ工業株30種平均は0・4%上昇するなど、主要指標が値上がりして終えた。

 ロイター通信によると、幅広い銘柄で構成するSP500種株価指数は0・38%の上昇。ハイテク株主体のナスダック総合指数も0・53%上がった。

 米連邦捜査局(FBI)が10月28日、クリントン氏の私用メール問題の再捜査を開始したことが明らかになって以降、米株式市場は一時、下落基調が続いていた。

私は朝の8時からリアルタイム選挙速報で、選挙の動向を見守っていたが、開票中でさえ途中まで、全くどちらが勝利するのか分からず、コメンテーターや評論家は様々に憶測を交えて意見を述べていた。

そしてドナルドトランプに勝利の見込みが出てきたのはドナルドトランプが選挙人を200人以上獲得してからである。

選挙人が短期間で増加していくトランプに対して、ヒラリークリントンの選挙人獲得数は思うほど伸びない。


ヒラリー陣営に焦りが出ている一方、トランプ陣営は熱狂して沸き立っていた。


ドナルド・トランプの勝利確率が80%に到達し、93%に到達した時点で、私は用事があって出かけた。


米国民がドナルドトランプを選択した歴史的瞬間だった。


ほとんどの人に開票中さえ、ヒラリーとトランプのどちらが勝利するか分からない中、それが分かっている人も少数いたのである。


ネット上でドナルド・トランプの勝利を予想していた人々についての言及がある。

(参照元:Hotキーワード情報局:今話題急上昇のトレンド情報を解説!


問題はいつ頃、当選を予想したかである。


例えば、ジャーナリストの木村太郎氏は昨年末から「トランプ勝利」を明言していたようである。

木村太郎氏はトランプが嫌いだが、「今のアメリカは過激な発言で国民を牽引するくらいのリーダーシップが必要な状況になっている」と分析しており、アメリカの状況をよく熟知した優れた分析である。

これは時期的にも非常に早期であり素晴らしいと言える。



また映画監督のマイケル・ムーアが2016年9月27日の時点で、ドナルド・トランプが勝利したとツイートしたという。
これはかなり直近になってからである。マイケル・ムーアは米国民であり、前回のバラクオバマの選挙の時も活発に選挙協力し、アメリカの政治状況なども熟知しているため、かなり有利な立場であるが、それでも予想できたのは9月27日の時点である。


またアメリカン大学の歴史学者アラン・リヒトマン氏がドナルドトランプの勝利を予想していたというが、その分析手法は過去30年の大統領選挙のデータを駆使して共和党と民主党のどちらが勝つか予想するといった分析であり、他の識者とは観点が違うようである。これについてはよく分からない。予想したのは2016年10月のようであり、つい最近である。

(参照元:グローバル引きこもりブログ 【翻訳】 30年間大統領選の結果を的中させ続けた教授はトランプの勝利を確信する)


政治評論家で、アメリカ現代政治思想研究で有名な副島隆彦氏は2016年5月22日に「次の米大統領はトランプで決まりだ」と決めたそうである。

そして、最新刊『トランプ大統領とアメリカの真実』(日本文芸社)を7月1日に発刊し、その中で、ドナルド・トランプが大統領になることを予想している。

氏が運営する学問道場のサイトにそのように書いてある。

元々副島隆彦氏は次の大統領はヒラリークリントンだと主張していたが、確かに大手メディアがヒラリーを後押しし、金融業界などが多額の講演料を支払って、ヒラリーを大統領にしようとしていた。


然し、副島隆彦氏は5月22日の時点で考えを変更したようである。


因みに私は以前、副島隆彦氏のアメリカ政治思想研究や政治経済分析本など氏の著作を何冊も読んで講演にも何度も通った程の副島隆彦ファンであったが、最近は全く読んでいなかったので、そうしたことを主張していることも知らなかったが、最新刊『トランプ大統領アメリカの真実』(日本文芸社)を見かけたのは2016年9月前後だったと思われる。


氏がドナルド・トランプが大統領になると予想しているのを知って心強く思ったが、特に今回の私の大統領選の予想には影響を与えていない。


私は最初にドナルド・トランプが大統領になると予想したのは2016年2月8日の記事『米大統領選の行方-ドナルド・トランプ旋風について-』の中でである。この段階ではトランプは勢いがあるだけで共和党の泡沫候補に近い状態で、共和党の大統領候補に選ばれるかも一般的には全く分からないタイミングであった。



この時点で、私はサンダースやヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプのチャートを一通り見て、また他のもっと支持率の低い候補のチャートも念のため見て、この時点で、もしドナルド・トランプがヒラリー・クリントンと大統領選でぶつかるなら、ドナルド・トランプが勝利すると予想した。


そして基本的な線はこれ以降も変わっていない。


2016年3月6日の時点で『ドナルド・トランプの大統領就任とアメリカの没落』を書いたが、米国の建国図の観点からもドナルドトランプが大統領に当選するという論旨を加え、基本的には2016年10月26日の(最終確認)で行ったロジックとほぼ同じである。

但し、3月16日に共和党候補のマルコ・ルビオが共和党の大統領候補に選ばれる可能性を採用して、一旦、トランプ大統領当選の線からぶれたが、その後、再び、5月6日に訂正して、トランプが大統領に当選する予想一本に絞っている。

最初から最後まで、ヒラリークリントンが大統領になるとは一度も予想していない。



以上が私のドナルドトランプ大統領当選予想の全経過である。



2016年2月8日の時点で、ドナルド・トランプが大統領になると予想できたのは、21世紀のスーパーサイエンス、ジョーティッシュの力である。



因みにトランプ勝利を予想できた勝ち組、できなかった負け組(評論家、著名人など)

(参照元:Nikkei225オプション日記)という記事によれば、錚々たる評論家、著名人が、ヒラリー・クリントンの当選を予想していたようである。


そして、その人数も拮抗しており、この今回の米大統領選の予想がいかに難しい案件であったかが分かる。



それを特に大学教授やプロの評論家でもない私が、多少の政治思想の知識と、ジョーティシュの知識を駆使して、


ドナルド・トランプの大統領当選を2016年2月8日の時点で予想していたというのは、スーパーサイエンス・ジョーティッシュの偉大な勝利であり、手前味噌になるが、またその運用者としての私の勝利である。



ジョーティッシュは正規の学問では解くことのできない真実(リアリティ)に迫ることの出来る驚異のスーパーサイエンスである。




【ドナルド・トランプ大統領当選のポイント】

ドナルド・トランプが大統領になることを予想したポイントは何点かあったが、一つは、まず、ドナルド・トランプのチャートが強いということである。


DonaldTrump_Chart
ラージャヨーガやダナヨーガを形成しており、そして、大統領選の投票日直後からマハダシャー木星期に移行して、ラグナから見ても月から見ても機能的吉星で良い配置にある。

そして、木星をラグナとすると11室で5-11室、9-11室、5-9室のダナヨーガを形成しており、10室でバドラヨーガを形成していることである。

キャリア上の上昇をする人のチャートにおいて、10室と11室が強いことは典型的に高い地位に就任する配置である。


但し、ドナルド・トランプがマハダシャー木星期に移行することは大統領に当選しなかった後で何か事業をやるとか、大統領に挑戦したという意味での著名人として活動していくに過ぎないとも考えられ、これだけでは不安要素はあった。

私は木星期になったら、2室(スピーチ)に在住する木星によってドナルド・トランプは大統領としてアメリカの理想を語りだすと頭にストーリーを思い描いたが、それはストーリーに過ぎず、外れた時には大きく外してしまう場合もある。


もう一つは、ヒラリークリントンのチャートが弱いことである。

ヒラリークリントンは月/木星期であり、月も木星もラージャヨーガを形成していないのである。

これは非常に重大である。そして、8月12日から木星が乙女座に入室して、8室と12室にダブルトランジットが生じる。

これはヒラリークリントンに何か中断やスキャンダル、損失が生じることを意味している。

しかし、これもこれだけでは決定要因にはならない。

苦しみながら大統領に当選する場合もないとは言えないからである。


そして、もう一つはアメリカの建国図では2018年10月14日からマハダシャーラーフ期に移行することである。


アメリカ合衆国は1776年7月4日のマハダシャー火星期にフィラデルフィアで独立宣言をして建国されたが、2年後にマハダシャーラーフ期がスタートしている。

そして、イギリス軍が降伏したのは1781年である。

その間、20年程、国内が混沌として海外に目を向けられなかった時期であるが、その期間がマハダシャーラーフ期に該当している。

12室に在住して、2、11室支配の水星と接合するラーフ期である。


米国の建国図の蟹座12室に在住するラーフはこうした国内に閉じこもって国内問題に悪戦苦闘していた時期に該当している。


そして、米国はその後、ヴィムショッタリダシャーを2サイクル終えて、現在、建国した時と同じマハダシャー火星期を終わろうとしている。


つまり、これからアメリカは建国した後、イギリス軍が降伏するまでの混沌とした時代と似たような時期を経過していくのである。


蟹座は民族主義者、愛国者、保守の星座であり、国内問題に集中して海外には目を向けない共和党の伝統的な保守を表している。



従って、アメリカ合衆国をマハダシャーラーフ期に指導していくのは、ドナルド・トランプだと考えたのである。


もしヒラリー・クリントンが大統領になったら、民主党タカ派であり、ネオコンの思想に近くなるため、海外に積極的に出て行って帝国主義的な政策をとるはずなのである。

そうした米国の建国図の観点からドナルド・トランプが大統領になるのではないかというのが一つの観点としてあった。


そして、最後の決め手になったのは、ドナルド・トランプのダシャムシャ(D10)の配置である。


trump_d10_chart
ドナルド・トランプのダシャムシャ(D10)で、まずマハダシャーのラーフがラグナに在住している。

ダシャムシャのラグナに在住する配置はキャリア上の上昇の配置である。


大統領選でドナルド・トランプはこの強いラーフ期にいたことがまず重要である。

そして、3、6室支配の木星がディスポジターと星座交換してニーチャバンガラージャヨーガとパラシャラの例外則が成立している。

その木星をラグナとすると、8室支配の太陽が10室で減衰して、パラシャラの例外則が成立している。


こうした配置で、ニーチャバンガラージャヨーガやパラシャラの例外則などが成立している場合は、出生図だろうと分割図だろうと、

例外なく何か普通でないことが生じると考えるのは重要ではないかと考えられる。


今回、このダシャムシャ(D10)を見て、何か二重否定により普通でない形での勝利がもたらされると考えたのである。


因みに8室支配の太陽が10室で減衰している配置を考えると、本来、米国の支配者階級が決して、大統領の地位に就かせたくなかったのが、ドナルド・トランプである。


例えば、ワシントンポストは、ドナルド・トランプを大統領にしてはいけないと盛んに主張してきた。


ドナルド・トランプは太陽が減衰しているので本来は政治権力からの引立てを受けない配置をしているが、その太陽は8室の支配星(支配者)であるため、


返って、それによって支配されないことによる恩恵を得るという配置になっているということである。


従って、支配者階級からお金ももらわず、票ももらわずにほぼ全てのメディアを敵にした状態で、一般有権者の票だけで当選した。


つまり、支配者階級から恩を受けたり、何も援助されなかったことが彼を権力者の支配から自由にするのである。


そして、マハダシャー木星期の間、米国の支配者階級の人々とはこのような関係であり続けると思われる。


そのことによって、ドナルド・トランプは自分の自由に政治を行うことが出来るのである。


これが天秤座で減衰する太陽の意味ではないかと思われる。



そして、実際にマハダシャー木星期になった後で、どのような政治運営をしていくかはまた注目である。


おそらくマハダシャー木星期こそ、まさにドナルド・トランプのニーチャバンガラージャヨーガやパラシャラの例外則などが発現する時期であるため、


米国の支配者階級がトランプのことを支配することが出来ないという状況になることが考えられる。


まず3、6室支配で減衰する木星期は敵が勝手に敗北していく配置である。


そして、木星から見て8室の天秤座で減衰する太陽は支配者が力を発揮できず、ドナルドトランプ自身も支配力を発揮しないハト派の平和外交を表していると考えられる。

天秤座の平和という理想が、普通でない形で、彼の政治運営に表れるのではないかと考えられる。



まもなくドナルド・トランプは11月14日からマハダシャー木星期に移行する。


それと同時にこれまで暴言を続けていたトランプはアメリカの理想や正義などについて語りだすと思われる。


全く別人のように清々しい人物になることは間違いない。


そして、今まで敵対していたメディアや共和党議員などが我先にと有効な関係を求め始めるはずである。


何故なら木星から11室の蟹座で、5-11室、9-11室、5-9室のダナヨーガが形成されているからである。






(参考資料)

トランプ勝利予想の木村太郎氏、優勢報道に「当然」
2016/11/9 13:00 デイリースポーツ/神戸新聞社

ジャーナリストの木村太郎氏が9日、フジテレビ系「バイキング」で、米大統領選でトランプ氏が票 を伸ばしている状態に触れ「初めからこうだったんですね」と、トランプ有利を改めて訴えた。

 番組では、朝から続く米大統領選の速報を放送。日本時間正午時点では、フジテレビの速報ではク リントンが109、トランプが150と、トランプ氏が票を伸ばしていた。

 これを受け、MCの坂上忍は「さあ、木村さん、大善戦というか木村さんにとっては、善戦でもな んでもないですか?」と質問され、木村氏は満を持してコメント。トランプカラーの赤いネクタイを 締め「初めからこうだったんですね。実は。だけど日本の識者と言われる人は何をやっているかとい うと、ニューヨークタイムスとワシントンポストとCNNを見てそれで判断している。だがその3つ は全部ヒラリー支持。こんなにえげつなく攻撃するのかというぐらい、ヒラリーを支持してトランプ をたたいている」と説明。

 その一方で「ネットなどはトランプ支持が広がっている。それを見れば今日のトランプ優勢は当然 考えられた」とコメント。ただ途中では「トランプが勝つと言っているだけで、トランプが好きと言 っているわけではない」とも説明していた。

木村氏は、同局「とくダネ!」にも出演。小倉智昭キャスターから「様々な番組でずっとトランプを 押し通して…」と紹介され「もうずっとトランプです」と断言。そして「ヒラリーの腐敗」と書いた フリップを掲げ、「トランプのせいではなく、ヒラリーの問題。今回は腐敗政治家どちらを選ぶかと いう問題。ところがヒラリーさんの腐敗はとてつもない」「アメリカ国民は許さない。勝たせてはい けないと思っている」とコメントしていた。

 これを聞いたデーブ・スペクターは「まったく理解できない」と木村氏の考えに嫌悪感を示したが 「理解できなくてもこの腐敗はすごいよ」と、ヒラリー氏攻撃の手を休めることは無かった。
参照元:トランプ勝利予想の木村太郎氏、優勢報道に「当然」
2016/11/9 13:00 デイリースポーツ/神戸新聞社
中国とロシアは、なぜ「トランプ支持」なのか 日本と米国の関係は非常にデリケートになる
2016/11/9 18:00 東洋経済オンライン

 米大統領選の開票が日本時間の11月9日午前8時から始まった。激戦州のフロリダ州などを共和党の ドナルド・トランプ候補が制するなど、民主党のヒラリー・クリントン候補優勢とみられた事前予想 を覆す、波乱の展開となった。ここに至った背景には何があるのか。作家で元外務省主任分析官の佐 藤優氏が週刊東洋経済11月7日発売号『日米関係の大不安』に寄稿した分析記事を一部転載する。

 米大統領選挙でのゲームのルールは非常に簡単だ。既存の秩序が維持されたほうがいいと思う人は クリントン候補を支持。秩序が変わったほうがいいと思う人はトランプ候補支持だ。特に、「自分た ちは社会に虐げられている」と考えている製造業従事者や米国中・南部で白人がトランプ候補を支持 した。

 世界各国で見ると日本やEU、韓国はクリントン候補が大統領になればいいと思っている。一方、ロ シアや中国、北朝鮮はトランプ候補になればと思っている。

「トランプ嫌い」では本質は見えてこない

 私が日本国内での米大統領選の見方でとても気になるのは、二重の意味での大きな偏見があること だ。一つは、米国のエスタブリッシュメントの見解が入ってくること。そして、「トランプは嫌だ」 という短絡的な思いから、トランプ候補がカリカチュア化(人物の性格や特徴を際立たせるため、グロ テスクに誇張したり歪曲を施したりすること)されすぎていることだ。それゆえに、なぜトランプ候補 が共和党候補として支持を集めたのかが見えてこない。

 トランプ候補の唱える孤立主義は、米国の底流にあるもので、それが彼によって顕在化したことを 過小評価してはいけない。米国が孤立主義から脱却したのは第2次世界大戦後のことだ。自分の国に害 が及ばないかぎり、ほかの国に何があっても関係ない。そんな孤立主義の考え方は、やはり今の米国 人にとって魅力のある思想なのだろう。

 一方のクリントン候補は弁護士出身であり、それゆえに「折り合い」をつけたがる。実際に選挙戦 では、TPP(環太平洋経済連携協定)批判などトランプ候補寄りの主張もした。どちらにしても孤立主義 的な傾向が米国で強まっている。

 このような見方は、日本でも英語やフランス語、ドイツ語空間だけに触れているとわからないかも しれない。私のようにロシア語空間に触れている人間ならすぐわかる。あるいは、中国語やアラビア 語空間の人でもわかるだろう。これらの語学空間の人は、トランプ候補をカリカチュア化しない。そ の分、彼らのほうが冷静に米大統領選を分析していると思う。

 本稿執筆時点(10月下旬)ではクリントン候補が優勢だが、彼女が勝利したとしても、トランプ的な 孤立主義は残る。日本が気をつけなければいけないのは、米国との関係が非常にデリケートになると いう点だ。日本側から大きな変更を仕掛けると、それがとんでもない連鎖を引き起こし大嵐となって 日本に押し寄せてくるかもしれない。現段階で最大の懸念は、北方領土の問題だ。

 現在、1956年の日ソ共同宣言をベースに日ロがまとまるという観測が強まっている。歯舞(はぼまい )諸島・色丹(しこたん)島の二島返還か、あるいは択捉(えとろふ)・国後(くなしり)両島を含めた四島 返還かが交渉の焦点だ。また日ロ間の経済協力強化で返還交渉が前進するという観測もある。だが、 この過程で重要なファクターが日米関係であることが忘れられている。

 日米安全保障条約第5条は「日本国の施政の下にある領域における、(日米の)いずれか一方に対する 武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続 きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」となっている。すなわち、日本の 施政が及ぶすべての領域で、日米は共同で防衛に当たるということだ。

歯舞・色丹が返還されたら?

 現在の歯舞・色丹には日本の施政が及んでいない。だから、米軍が展開する場所ではない。返還さ れれば、日本の施政が及ぶことになり、日米安保条約上、米軍が展開できるようになる。こうした場 合、ロシアのプーチン大統領は素直に北方領土を日本に引き渡すだろうか。

 仮に安倍晋三首相が歯舞・色丹を非武装地帯化・非軍事化することを一方的に宣言するとしよう。 そうなると、ここに日米安保条約の適用除外、いわば空白地域ができることになってしまう。「日本 のどこでも守る」と米国が言っても、「いや、ここはいいです」と日本が言わざるをえないことにな る。「だったら尖閣諸島は守らなくてもいいのか」と米国は言うだろう。そして、「中国との関係を 考えると、われわれは尖閣諸島を守りたくない」という事態もありうるのだ。

 安全保障を日米同盟によって担保しているという日本の戦後レジームが、ここで崩れてしまう。「 戦後レジームからの脱却」をうたってきた安倍首相は、日ロ関係を通じて無意識的にそこから脱却し てしまうように動いているのだ。

 首相はじめ官邸はかなりロシアに前のめりだが、日米関係の最大のカギはロシアなのだ。日本を取 り巻いてきた地政学的な環境が、ロシアとの関係強化で大変化を起こすという構図を誰も見ていない 。北方領土に関する日ロ交渉は、「二島か、四島か」といった次元ではなく、「日ロ提携か、日米同 盟か」という重大な選択の問題だ。

 安倍首相が「日米同盟はわが国の根幹であり、米軍が歯舞・色丹に来ることが原則的にありうる」 と言って返還を実現できるのか。これなら日米同盟派としては満点だが、プーチン大統領がそれをの むかどうか。

 「プーチンの狙いは経済だ」と日本では思われているが、それはまったく違う。ロシアを相手に経 済的利益を得られるなら、日本企業はとっくの昔にやっているはずだ。しかも、ロシアは先進国で ODA(政府開発援助)の対象でもない。ハイリスク・ノーリターンの可能性もありうる国で、日本企業が ロシアとの関係改善を錦の御旗にして進出するのか。日本は社会主義の国ではない。

プーチン大統領の現実的な狙い

 プーチン大統領には、もっと現実的な狙いがある。現在、アジア太平洋地域では米国が圧倒的な力 を持っている。その力の源泉が日米同盟と米韓同盟だ。今回の日ロ交渉次第でその一方が崩れ、ゲー ムが変わってくれば、プーチン大統領にとってしめたものとなる。実は、これこそプーチン大統領の 一番の狙いなのだ。

 日本を属国と表現する向きもあるが、「属国」というのは米国の言うとおりにやるということだ。 であれば、北方領土交渉なんてできない。オバマ政権はロシアが米国の選挙干渉のためにハッキング をしていると言っている。日本はそんな国と友好関係を築いていいのか。本当に米国の属国ならば、 プーチン大統領を日本に呼べないはずだ。そういう意味で、日本は主権国家なのだ。

 ただ、米国の死活的な利益に抵触するようなことを日本がすれば当然、干渉するはず。少なくとも 今の日本とロシアの接近はそこまでのレベルではない。「どうぞお好きに」という感じでとりあえず 傍観している。もっとも米国の内心は「日本がロシアと距離を縮めるのであれば、そういうものとし てわれわれも付き合うよ」ということ。

 同盟国を不快に思わせていることを安倍政権はどこまで認識しているのか。同盟とは、条約を結ん で終わりではなく、それを維持するために双方が努力するものだ。日本はそれを忘れている。北方領 土交渉の結果次第では、今後の日米関係にきしみが生じる可能性は当然ある。
参照元:中国とロシアは、なぜ「トランプ支持」なのか 日本と米国の関係は非常にデリケートになる
2016/11/9 18:00 東洋経済オンライン
焦点:トランプ勝利で不確実性と円高圧力増大、対応に難しさ
2016/11/9 19:00 Reuters

[東京 9日 ロイター] - 米大統領選で共和党のトランプ候補が勝利した。新政権が保護主義的な政策を前面に打ち出せば 、世界経済の不確実性が一段と高まるという懸念が、国内企業やエコノミストなどの間で浮上している。

また、国内企業の保護と雇用確保を優先する観点からドル高/円安を嫌い、円高圧力が増大する可能性が高いとみられ、日本政 府は対応が難しくなるとの指摘も出ている。

<為替介入はご法度か>

新政権がドル高を嫌うスタンスを鮮明にして円高が進んだ場合、日本側は対応に苦慮することになるとの見方が政府・与党関係 者の中で広がりつつある。

自民党中堅議員の1人は「トランプ政権のスタンスは、明らかにドル安政策だ。仮に新政権への不安から、ドル/円(JPY=EBS) が90円台へと円高になっても、当面、日本は為替介入は絶対にできないだろう」と述べる。

その理由として、その議員は「あえて新政権に対し、最初から刺激するようなことは控えるべきだ。もし、介入したら新政権に 日本を攻撃する口実を与えることになってしまう」と語った。

また、同議員は「トランプ氏はFRB(米連邦準備理事会)批判を続けるだろう。ただ、だからといってイエレン議長の解任と いう事態はありえない」と予想する。

しかし、金融・資本市場は「大荒れになり、経済に影響が出る。そうした経済的な理由で、12月の米利上げは延期になるだろ う」とみている。

一方で「為替政策に関し、主な批判対象は中国だ。円安に対する圧力が極端に強まるということにはならないだろう」(大和総 研ニューヨークリサーチセンター、エコノミストの橋本政彦氏)といった声もある。

<排他的政策の可能性、企業は懸念強く>

中長期的にみれば、日本経済にとっての脅威は、米国が保護主義やポピュリズムに傾斜する展開だ。ニッセイ基礎研究所・主任 研究員の窪谷浩氏は「個人・法人に対する大型減税、インフラ投資拡大、移民抑制、保護主義といった反グローバル政策を採る 可能性がある」とみている。

こうした点は日本企業にとっては大きな不安材料となっている。10月ロイター企業調査の結果をみると、主要400社にトラ ンプ氏が米国大統領となった場合の展開を聞いたところ、対米貿易環境が「悪化する」との回答が57%、対米投資意欲は63 %が弱まると回答した。

具体的には「米政権運営、特に議会対策で難航が予想され、結局のところ、何事も決まらない状況が生まれるのではないか」( ゴム)といった不確実性や、「安保、円高、輸入関税、対日本への圧力は高まる」(金属製品・一般機械)といった懸念が提起 されていた。

また、日米の安全保障関係は84%が弱まると答えた。各企業からは「米国の日本防衛義務を希薄化させる動きを見せれば、西 太平洋での覇権をもくろむ中国がその力の空白域に軍事作戦を展開することが十分予想される。東アジアでの地政学的リスクは 格段に高まり、日中関係は極度に緊張が高まって、日本経済に極めて悪い影響をもたらすことを懸念している」(電気機器)と いった声もある。

その一方で「保護主義的な政策で貿易面での悪影響が考えられるが、米国で稼ぐ日本企業は、輸出で稼ぐというよりは現地に進 出して利益を出しているところが多い。悪影響は比較的限定的だろう」(第一生命経済研究所・経済調査部主任エコノミストの 藤代宏一氏)との見方もある。

<TPP合意は破棄へ、世界経済の不確実性高まる>

環太平洋連携協定(TPP)については、トランプ氏は選挙戦で破棄を明言してきた。大統領に就任次第、その方向で対応する とみられている。

ニッセイ基礎研の窪谷氏は「本来、TPPはアジアにおける中国の台頭に対して、貿易ルールの策定などで主導権を取るといっ た安全保障上からの要請があった。しかし、大統領選で米国民が内向きになったこともあり、そのニーズは無視された」と解説 する。

日本国内の多くの識者は、トランプ新大統領の打ち出す「体系的な」マクロ経済政策が不透明であるとみている。

大規模な減税や規制緩和策を打ち出せば、それを好感して世界中のリスクマネーが米国へと向かい始め、レーガン政権時代のよ うにドル高になる可能性を指摘する声が少なくない。

一方で、国内の雇用確保を優先するなら、ドル安政策を採用する可能性もかなりあるとみられており、どちらの政策を優先する かで、日本経済への影響も大きく変わることになる。

この点に関連し、大和総研の橋本氏は「強硬な移民政策や保護貿易は、ある種のポピュリズム的政策と言えるが、共和党全体と してはそこまで極端な政策を志向していないため、やはり極端な政策は実現されづらい」とみている。

(中川泉 編集:田巻一彦)
参照元:焦点:トランプ勝利で不確実性と円高圧力増大、対応に難しさ
2016/11/9 19:00 Reuters
「隠れトランプ支持者」大統領選に影響か
日本テレビ系(NNN) 11/9(水) 20:06配信

 アメリカ大統領選で共和党のトランプ氏が歴史的な大接戦を制した。番狂わせの「勝利」には背景 には、世論調査などに出てこなかった“隠れトランプ支持者”が影響した可能性がある。

■日本時間午後5時ごろ、大歓声に迎えられ、家族とともに会場に姿を現したトランプ氏。クリント ン氏優位との予測を覆し、「大逆転」で大統領選に勝利した。

■「アメリカに来るイスラム教徒の入国を一時的に禁止する」「最悪のオバマケアを撤廃し、置き換 えるべきだ」―選挙中、過激な発言がたびたび話題になったトランプ氏。一方で、その率直な発言は 、アメリカ国民の抱える不満を「代弁」してきたとも言える。

■不動産業を営む父のもとで生まれたトランプ氏は、1980年代以降、有名ホテルを買収し、自ら の名を冠したカジノなどを次々と建設。「不動産王」として名をはせた。

■その資産、日本円にして約3800億円。「敏腕経営者」としてのトランプ氏に、アメリカ経済の 立て直しを期待する声もある。

■さらに注目されるのが、日本に対する外交姿勢。貿易自由化を目指して、日米など12か国が大筋 合意したTPPについても、トランプ氏は反対し、就任したその日に離脱すると表明している。

■さらに日米同盟をめぐっても「もし相当な負担を負わないのであれば、我々は日本を守ることはで きない。たくさんの車を売りつける大国を」などと、駐留米軍の経費など、日本のさらなる費用負担 を求めている。

■トランプ氏が、ここまでの支持を集めた背景には「隠れトランプ支持者」の存在があった。選挙前 に取材した人物は「(戸別訪問先には)トランプ支持者も多いが、彼らは『リベラルな考え方の友人 が多く、怖くてトランプ氏支持だと言い出せない』と言う」と話す。

■こうした、世論調査などに出てこなかった「トランプ支持者」などが、今回の選挙の行方に影響し た可能性がある。

■トランプ氏は、アメリカをどこへ導いていくのか。世界が固唾をのんで見守っている。

詳しくは動画で。
参照元:「隠れトランプ支持者」大統領選に影響か
日本テレビ系(NNN) 11/9(水) 20:06配信
トランプ氏「すべての米国人のための大統領になる」
AFPBB News 11/9(水) 19:27配信

【11月9日 AFP】米大統領選で9日、共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利宣言 を行い、米国が負った深い傷に手当てをすると述べ、「すべての米国人のための」大統領になると演 説した。また、敗北した民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官について 、公職を長年にわたって務めてきたことを称賛した。

 トランプ氏はニューヨーク(New York)で行った勝利宣言の演説で「ヒラリー氏は、長年にわたっ て、非常に熱心に働いてきた。彼女の米国への貢献に対し、われわれはとても感謝している」と語っ た。

 さらにトランプ氏は「私は、われわれの国土に住む全市民に対し、すべての米国人のための大統領 になることを誓う」と述べた。(c)AFPBB News
参照元:トランプ氏「すべての米国人のための大統領になる」
AFPBB News 11/9(水) 19:27配信

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