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稲田朋美とLGBT

2021 7/15



マツコ・デラックスについて言及する中で、LGBTの話題が出た為、稲田朋美元防衛相とLGBTの関係について、以前から何度かテーマにしてきたが、再度、論じてみたい。


稲田朋美は、安倍首相の秘蔵っ子で、父親が成長の家頑張れ日本全国会議委員会の京都本部代表を務めている関係もあって、成長の家の創始者である谷口雅春の教えについて若い頃から学んできたと思われ、実際、谷口雅春が書いた「生命の実相」を掲げる姿が写真に収められている。


谷口雅春の成長の家と言えば、信者たちが、日本会議の中心メンバーで、憲法を旧憲法に戻そうと考える保守勢力である。


日本会議が安倍政権を陰で支え、その安倍政権の中で、防衛相まで務めた人物が、LGBTに理解を示し、LGBT法案の成立に向けて熱心に取り組んでいるというのは、不思議に思える。


然し、これはチャートを見れば明らかであり、稲田朋美の8室に在住する太陽と水星、そして、双子座に在住するラグナロードでヴァルゴッタマの月が、その原因である。


蟹座ラグナで、金星が魚座で高揚し、木星が蠍座に在住して、水の星座が強いため、保守論客なのだが、何故か、アンバランスに水星と太陽が、8室の水瓶座に在住している。(※因みに稲田朋美は出生時間が分からないが、以前、検証の結果、蟹座ラグナに修正している)







従って、稲田朋美は、パーソナリティー的に純粋に保守で、5室支配の火星が5室にアスペクトバックし、蠍座に在住する木星にアスペクトされているように思想的にも保守なのだが、知性を表わす水星が、水瓶座の8室に在住している為、LGBTの人権に理解を示し、その権利の拡大に配慮するのである。



一見、矛盾するように見えながら、一人の人格の中にこうした思想、行動傾向が共存しているのである。



月から見ると、ラグナロードで4室支配の水星が9室水瓶座に在住している為、稲田朋美はリベラルな左翼的な価値にも共感し、そこに価値を見出すのである。



水瓶座は、多様性(ダイバーシティー)を尊重する星座であり、マイノリティー(少数民族、LGBTなどの性的少数者、障害者、病人、女性、子供、老人、貧困層、宗教的少数派)などの権利の保護に熱心な星座である。



博愛性というのは、水瓶座を説明する言葉であるが、広く分け隔てない配慮を意味している。




トランジットの木星が2021年4月から水瓶座に入室してから、稲田朋美は、LGBT法案の成立に向けて努力してきた。



然し、自民党内に保守の立場からすると理解出来ない稲田朋美の振る舞いに対して、造反だとする意見や、強い反発が起こり、LGBT法案は先送りされて、国会への法案提出はならなかったという。



稲田朋美の変節とは、自民党内でも全く理解できないことのようであり、これを理解するには、やはり占星術によらなければ不可能である。




このように人間とは非常に奇妙に出来ている。



一人の人間の中にも相矛盾する思想や行動パターンが共存して、それが時期を変えて、表面化するのである。



それは本人にも制御不可能である。



人間とは星の描いたカルマの赴くままにその役割を演じるしかない存在である。




因みに木星は6月半ばから水瓶座で逆行を開始し、9月半ばには山羊座に戻ってしまい、山羊座と蟹座軸で、ダブルトランジットを形成する。



従って、再び、保守が優勢な状況に戻ってしまう。



稲田朋美の法案成立への努力は頓挫する可能性が高い。



稲田朋美自身のチャートを調べていないが、8室に在住する水星というのは、反対に遭って頓挫する運命を表わしている。



再び、木星が水瓶座に移動するのは、11月半ば頃だが、木星が単独で、水瓶座を通過する状況では、何かリベラルな理念を現実化させる力に乏しいかもしれない。



やはり、土星の力も必要であり、土星が水瓶座に入室するのは、2022年4月である。



ところが、土星が水瓶座に入室すると同時に木星は魚座に移動してしまう。



木星と土星が共に水瓶座に留まってくれないのである。



そして、土星は2022年7月半ばから逆行して、山羊座に戻ってしまい、魚座にアスペクトして、魚座に滞在する木星との間で、魚座にダブルトランジットを形成する。



従って、再び、保守が優勢となる。



土星は再び、2023年の初めに水瓶座に入室するが、その時は木星は魚座を通過中で、水瓶座にはダブルトランジットは成立しない。



その後、木星は2023年4月末に牡羊座に移動してしまい、その後、牡牛座に移動して、双子座まで進めば、水瓶座にアスペクトして、水瓶座にダブルトランジットするが、木星が双子座に移動する前の2025年4月半ばに土星は、魚座に移動してしまうのである。



つまり、土星と木星のどちらかが水瓶座を通過する形で、水瓶座で、ダブルトランジットを形成することは無さそうである。



水瓶座プロジェクトは、不完全な形でしか顕現しないように見える。





既に述べたが、水瓶座-双子座-天秤座の風のトライアングルのうち、水瓶座の支配星である土星と双子座の支配星である水星は、中性の惑星である。



従って、性別や異性愛というものに拘らない星座である。



因みに保守派は、もしLGBTの人ばかりになったら、子孫が作れない為、どうやって、人類は繁殖していけるのか、人類は滅亡してしまうと反発する。



然し、LGBTがもし主流派になったら、その時は、子供が試験管の中で、人工授精によって生まれて育てられるというディストピア小説の一場面のような未来もあり得るのである。



双子座は、そこまで進むことにも動じることはない。



何故なら、双子座とは理性と科学の星座であり、自然を改変するからである。



自然を改変することに全く恐れを抱くことはない。





金星/土星期


もし蟹座ラグナであれば、稲田朋美は、現在、金星/土星期(2021年5月~2024年7月)である。



金星/土星期は、王になるか乞食になるタイミングと言われるが、稲田朋美の場合、もし蟹座ラグナで正しければ、土星も金星も機能的凶星で、金星から見て、土星は、11、12室支配のマラカである。



従って、金星/土星期に上昇した田中みな実の土星や金星の質と比べると、違いは明らかである。



稲田朋美にとって、LGBT法案の働き掛けで、自民党内でも反発され、また野党内でも稲田朋美は、信用できないという評価になってしまった可能性があり、非常に痛手であった。



これはまさに金星/土星期が言う所の乞食への転落を象徴している。



今、株式市場が下落の兆しが見え始めているが、株式市場が暴落して、稲田朋美が保持する株式の資産価値が吹き飛ぶとすれば、これは本当に乞食への転落になってしまう。気をつけた方がいいかもしれない。





(参考資料)

安倍氏周辺が稲田元防衛相を批判 LGBT法案での「左傾化」を懸念
2021/6/18 19:05 NEWSポストセブン

 安倍晋三・前首相のメディア露出が増え、キングメーカー説や再々登板説が喧しい。そうした安倍氏の“復権”に向けた動きと軌を一にして、保守派論壇からは自民党の“反安倍”政治家を批判する論調が強まっている。

批判のターゲットとなっているのが、「保守派のジャンヌ・ダルク」と呼ばれ、安倍氏の“後継者候補”とみられていた稲田朋美・元防衛相だ。

 稲田氏が野党と協議しLGBT(性的少数者)への理解増進法案とりまとめの立役者となったことが、保守派を刺激した。

 安倍氏に近いことで知られる産経新聞の阿比留瑠比・論説委員は5月27日付のコラムで、稲田氏がかつて人権擁護法案を「率直に意見を言う愛すべき政治家の活動すら、この法案が通れば非常に危うい」と反対していたことを取り上げたうえで、

〈同様の危険性と弊害がある2つの法案に対し、稲田氏の見解がここまで違う理由が理解できない。いつどうして宗旨変えしたのか〉

 と“変節”を批判し、

〈リベラル全体主義に取り込まれ、左派活動家に利用されるようでは、自民党は存在意義を失う〉

 と断じた。保守論壇の重鎮、櫻井よしこ氏も産経新聞のコラム「美しき勁き国へ」(6月7日付)で「自民左傾化 危うい兆候」と題して〈私も将来を期待する稲田氏はなぜ変身したのか〉と指摘し、自民党にこう警鐘を鳴らした。

〈日本の価値観の神髄を守りながら新しい時代のより良い価値観を受け入れていくのが保守である。根幹はしっかりと維持するものなのだ。それを忘れての左傾化ならば保守層の自民党への支持は着実に消えていくだろう〉

 そうした声が高まり、潮目が変わった。

 LGBT法案は、自民党保守派の反対で国会での成立が見送られた。与野党が合意しながら成立しないなど異例中の異例であり、稲田氏のメンツは丸つぶれになった。

 安倍側近議員が語る。

「安倍さんはこれまで稲田さんに期待して引き立ててきたが、最近は、『彼女は変わってきた。違う方向にいっているね』と残念がっている」

稲田氏の“変節”

 稲田氏が保守派の“虎の尾”を踏んだきっかけは、「選択的夫婦別姓」を掲げたことだ。昨年11月、稲田氏が衆院法務委員会で結婚後も旧姓を使用できる法改正を提案すると、安倍氏が会長を務める保守派の有力議連「神道政治連盟国会議員懇談会」の事務局長を更迭され、安倍氏の“後継者候補”の座を追われた。

 その経緯を稲田氏は『月刊日本』(5月号)でこう語っている。

〈更迭のきっかけは、法務委員会での発言だと思います。(中略)おそらく自民党議員で初めて選択的夫婦別氏について見解を述べたんです。それが神政連の中で問題になったようです〉

 神政連や保守派の有力団体「日本会議」は、選択的夫婦別姓は「日本の伝統的な家族観の破壊につながる」と反対し、安倍氏も反対派として知られる。背後には「男系男子による皇位継承」を揺るがすという考え方がある。神道政治連盟国会議員懇談会の議員が語る。

「LGBT法案と夫婦別姓と女系天皇の主張はつながっている。国連の女子差別撤廃委員会は日本に選択的夫婦別姓の導入を迫り、男系男子による皇位継承を定めた皇室典範は女子差別だと典範見直しまで言及した」

 それが“左傾化”という疑いを生んだようだ。当の稲田氏は本誌・週刊ポストの取材に、

「産経新聞の記事では、人権擁護法案を例に挙げて宗旨替えとしていますが、事実誤認です。人権擁護法案は『差別禁止』の名のもとに立ち入り調査など強い措置をとれるもので、この法律は認められないという私の考えは全く変わっていない。一方で、LGBT法案は理解増進を求めるものです」

 と反論し、「安倍総理とは、機会に応じてお話ししております。安倍総理はいろんな方のお話をよく聞かれる方ですから、偏った判断をされる人ではないと思っています」と語った。

※週刊ポスト2021年7月2日号
参照元:安倍氏周辺が稲田元防衛相を批判 LGBT法案での「左傾化」を懸念
2021/6/18 19:05 NEWSポストセブン
稲田朋美とLGBT法案 人の痛み 向き合う覚悟あるか
06/22 09:00 北海道新聞

性的マイノリティーへの理解増進のためのLGBT法案が、与野党間で合意案ができたにもかかわらず国会への提出が見送られた。その過程で、一部の自民党議員から「種の保存に反する」といった差別発言が相次いだ。

 この法案を自民党内でけん引したのは稲田朋美衆議院議員。彼女はこれまで歴史認識問題などでタカ派的発言を続け、イデオロギー的に安倍晋三前首相と近しい関係にあった。そのため、稲田がLGBT法案に熱心に取り組むと、支持者から「変質した」という批判が相次ぎ、支持団体・神道政治連盟の国会議員懇談会事務局長のポストからも外された。近年の稲田は、旧姓使用に法的根拠を与える「婚前氏続称制度」の導入やシングルマザー支援などに取り組んできたが、この変化はなぜ起きたのか。

 『文藝春秋』4月号に掲載された「女性差別反対はサヨクですか」の中で、稲田は防衛大臣辞任が大きなきっかけになったという。彼女は「人生最大の深い挫折感を味わい」、その中で「人の痛み、弱い人の立場を自分ごととして感じることができるようになった」と語る。そして、「保守の真骨頂は『寛容さ』」であるとし、多様性を認め、「他人の生き方を尊重」することが重要だという。「一方的な正義を振りかざし、議論を封じ込める態度は、保守とは決して言えません」

 2月に森喜朗・前東京五輪・パラリンピック大会組織委員会長が同委員会の女性理事について評した「わきまえておられる」という言葉が問題になると、稲田はツイッター(2月4日)で「私は『わきまえない女』でありたい」と発言した。「女性も少々空気読めないと思われても、臆せず意見を言うべきだから」というのがその理由だ。

 インターネットサイト「ビジネスインサイダー」は、3月8日に稲田のインタビュー(「稲田朋美氏が語る『わきまえていては突破できない』離れる支持層との間で抱える葛藤」)を掲載し、彼女の現在に鋭く迫っている。「女性で政界でポジションを上げていくと、発言の一つひとつが男性以上に批判にさらされるという実感はありましたか?」という質問に対して、稲田は「あるところまでは応援されるけど、ある一線を超えると急に批判が多くなると感じました。その一線はやはり大臣なのかなと」と答えている。

 防衛大臣時代、稲田はことあるごとに服装や装飾品について批判された。少し目立つ衣装をまとうと、インターネット上には冷笑の言葉があふれ、批判がエスカレートした。このことは精神的にこたえたと振り返っている。

 稲田は次のように率直に語る。「虚構の部分も含めて、保守の中のジャンヌダルク的な存在を担わされていましたが、等身大の私はそういう感じはなかったんです」。タカ派の論客として踏み込んだ発言を繰り返し、右派の男性たちの期待に沿った主張を叫んだ過去には、「虚構」があったと述べているのだ。

 「虚構」を捨てて、本当の姿に回帰したと言いたいのだろう。しかし、それは甘い考えだと言わざるを得ない。稲田はかつて、国歌斉唱に反対する学校教員に対して「そこまでして自分の信念を通したいのなら、教壇を去ってからにすればよい」と述べている(「偏向判決相次ぐ 司法の甘えた土壌を断ち切れ!」『正論』2006年12月号)。多様性を否定し、一方的な正義を振りかざして異論を抑え込もうとしてきた自己を、いまどう振り返るのか。

 彼女は「わきまえている女」として、右派男性たちの期待に応えてきた。虚構のジャンヌダルクを演じた結果、寛容な精神を破棄し、高圧的な言論を振りかざしてきた。稲田の激烈な発言によって、深く傷ついた人たちの痛みと向き合う覚悟はあるのか。そうできない限り、稲田の言論や行動は空転し続ける。

 これは稲田個人の問題ではなく、男性優位社会に過剰適応してきた女性に共通する苦悩だろう。その意味で、彼女が背負っているものは大きい。
 稲田は真摯(しんし)に自己の過去の発言と向き合い、深い内省を通じて現状を打破することができるのか。注視したい。

(なかじま・たけし=東京工業大教授)
参照元:稲田朋美とLGBT法案 人の痛み 向き合う覚悟あるか
06/22 09:00 北海道新聞
LGBT法案、稲田氏「私はまだ諦めない」 自民見送りでツイート
毎日新聞 2021/5/29 20:29

自民党が今国会への法案提出の見送りを決めた「LGBT理解増進法案」を巡り、自民党の稲田朋美元政調会長は29日、自身のツイッターに動画と文章を投稿し、「私はまだ諦めていない」と訴えた。稲田氏は党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」委員長を務め、超党派議連で法案の交渉役を担った。野党議員からも「国会閉会まで2週間以上あり、諦めるのは早い」との声が上がっている。

 法案を巡っては、自民党が作成した条文案に「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言を追加することなどで超党派議連が合意。今国会成立を目指すとしていたが、自民党内で「訴訟が多発する」など反対意見が相次ぎ、議論が紛糾。28日の総務会では今国会の会期末が6月16日に迫っていることや、法案が付託される予定の衆参内閣委員会は別の法案審議が立て込んでいることから了承されず、「党三役預かり」となった。佐藤勉総務会長は記者会見で「今国会への提出は難しく、成立は不可能」などと述べた。

 稲田氏は29日午後2時過ぎに自身のツイッターに文章と動画を投稿。動画ではLGBT法案についてこれまでの経緯を説明した上で、「国会が終わるまであと2週間以上あり、まだ法案を提出するチャンスはあると思う。野党のみなさんも審議したいと言っており、与野党が合意して審議すれば成立させることができる」などと強調。「オリンピック、パラリンピックの年に、自民党で5年以上審議してきたLGBT理解増進法をぜひ成立させたい」と語った。

 与野党の国会議員からも同様の発信が相次いだ。超党派議連メンバーの公明党の谷合正明参院議員が29日、ツイッターで法案の条文を紹介した上で「私は法案の成立を諦めておりません」と投稿。立憲民主党の辻元清美副代表も28日夜にツイッターで「諦めるのは早い。残り2週間以上ある国会、立法府の知恵と工夫で十分通せる」などと訴えた。【藤沢美由紀/デジタル報道センター】
参照元:LGBT法案、稲田氏「私はまだ諦めない」 自民見送りでツイート
毎日新聞 2021/5/29 20:29
自民・稲田朋美氏「党内の反発は予想外」 LGBT法案提出できず「反省」
2021年6月19日 06時00分 東京新聞 TOKYO Web

◆もっと当事者の声を聞く機会あれば…

 「多様性と調和」を掲げる東京五輪・パラリンピックを前に、成立を目指して与野党が合意していた「LGBT理解増進法案」が、自民党内の了承を得られず国会提出に至らなかった。党の特命委員会で5年以上も議論を重ね、野党も大幅に譲歩した案でさえ、反対意見が噴出、自民の案を自らつぶす形になった。なぜ、法案は提出できなかったのか。稲田朋美特命委員長に聞いた。(奥野斐)

いなだ・ともみ 1959年、福井県生まれ。早稲田大法学部卒。弁護士。2005年に衆院議員に初当選し5期目。自民党政務調査会長だった16年に「性的指向・性自認に関する特命委員会」を設立、現在委員長を務める。第2次安倍政権で防衛相、幹事長代行などを歴任した。

―率直に、なぜ自民党内の了承を得られなかったのですか。

 「理解増進法もいらない」という人も、かつてはいらっしゃいましたが、5年かけて理解増進法は必要だとなりました。ただ、もっと当事者の声を党内でも聞く機会があれば、誤解は生じなかっただろうと。私自身も反省点はあります。

 与野党合意案に慎重な意見はありましたが、自民党原案の理解増進法には誰も反対していない。5年間の議論も無駄ではなかったし、前進していると思います。

 ―法案のどういう点に反発が出たのでしょう。

 議員立法なので、与野党の合意が必要です。自民党案を1ミリも変えないというのはできなかったので、法案の目的と基本理念に「差別は許されないものであるとの認識の下」と加え、「性自認」の用語を使いつつ、自民党の(従来示してきた「性同一性」の)定義を入れるなど、工夫して与野党合意ができました。非常に狭い道を、何とか合意にたどり着けたという気持ちでした。

 しかし、修正点について慎重な意見が相次ぎました。「この文言が活動家に利用される」とか「差別禁止法になる」「人権擁護法案と一緒だ」と不安の声が湧き起こってしまったのです。

 ―党内の反発は予想外だった?

 予想外でした。自分自身も法律家なので、総理答弁の「不当な差別はあってはならない」は、法的には「差別は許されない」と同じだと思いました。しかし、そこを変えたことへの反発がありました。「あってはならない」と「許されない」は違うと。議員立法ですから、法文の表現ぶりは、もう一度考える余地はあるのではと思っています。

◆「保守」とは多様性を認めること

 ―もともと「保守」の稲田議員がLGBT法案成立へ動く姿は「変節」とも言われました。

 「保守」とは何かという問題だと思うのです。私は保守とは多様性を認め寛容であること、そして他者の生き方を認めるあたたかさや謙虚さだと思います。人権に関する法律は、イデオロギーではなく、目の前の困っている人や傷ついている人に希望を与えるものでなくてはなりません。右や左の問題ではないと思っています。ただ、もう少し慎重派の方々に言葉を尽くして説明していくべきだと、あらためて感じました。

 私については、表面上は変わったと思われるかもしれないですが、保守政治家の立ち位置、自分の中にある核は変わっていません。自分の国は自分で守る気概のある国、そして人と人との信頼関係や家族、地域の絆、みんなが社会から大切にされていると思える国、つまり「強くて優しい国」をつくりたいと思っています。

 自分が大切にされていると感じることで、人にも社会にも貢献する力が湧いてくるんです。多様性を認めること、すべての人を大切にすることは、むしろ国や家族や故郷を守ることにつながります。決して解体運動ではありません。

 婚前氏続称制度の提唱やLGBT問題、女性活躍など、従来の保守が取り組んできた課題ではないかもしれませんが、私が守りたいものはぶれていません。やさしさやあたたかい心を持つことが国を強くすることですから。

―安倍晋三前首相がLGBT法案を止めていたという話もありました。

 私はそうは思っていません。ただ、安倍前総理はご自身が人権擁護法案と闘ってこられた経験から、「差別」という言葉は人権擁護法案に通じるものがあると考えておられたようです。ここはしっかり説明する必要がありました。

 ―今回の法案を「奇跡的なガラス細工の合意案」と表現していました。

 野党はすでに差別解消法案を国会に提出していましたので、与野党協議は5月の連休までずっと平行線でした。野党からの提案は、差別解消のための措置を入れてほしいなど、なかなか受け入れられないものばかりでした。こちらから別の角度からの提案をしないと合意にはたどり着けないと思い、目的や理念に憲法一四条の趣旨を入れることを思い付きました。  一四条は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない」とあります。自民党の考えでは性的指向・性自認による差別も憲法一四条の趣旨に入ると整理していました。そこで「差別は許されない」という文言を入れたのです。

 野党の交渉担当者の(立憲民主の)西村智奈美衆院議員は、修正案を黙ってじっとみて「これでまとめてみます」と持ち帰り、結果、まとまったのです。

◆次の国会でしっかり通していく

 ―しかし、自民党の総務会で了承されませんでした。執行部の対応に怒りや反発はありますか。

 怒りはないですね。総務会長は国対委員長も務められた公平な方で事情もよくわかっておられました。むしろ私の足らざるところを反省しました。私は審議日程の問題だと思って「何とかならないか」と、さまざま考え、国会が閉まる直前まで動きました。しかし、日程だけではなく、党内の空気や外部からの働きかけがあったのだと思います。

 ―そこまでしても、法律は必要だと思いますか。

 LGBT理解増進に関する理念法は必要です。政府が基本計画を作り、実態調査をし、ガイドラインを作ることで、理解は進みます。組織も内閣府にできますので、当事者の要望もしっかり受け止めることができます。「差別だと訴える訴訟が増える」との批判がありましたが、法律ができることで、訴訟しなくてもいい社会が実現すると思いました。

 今回、法律はできませんでしたが、LGBTを巡る課題について国民的な関心は深まりました。そういう意味では、LGBT理解増進が必要だという認識も多くの人に共有できたのではないかと思います。自民党の中にも、合意案に賛成する人がたくさんいらしたので、希望を持っています。

 私は人権に関する法律は、対立構造ではなく、与野党で合意して作った方が良いと思っています。自民党は選挙公約でもLGBT理解増進法の議員立法を実現すると書いています。理解増進法は国民との約束でもありますから、次の国会でしっかり通していきたいと思います。
参照元:自民・稲田朋美氏「党内の反発は予想外」 LGBT法案提出できず「反省」
2021年6月19日 06時00分 東京新聞 TOKYO Web
自民のLGBT法案見送りに経済界「法整備重要」 IOCも差別否定の声明
2021年6月4日 22時11分 東京新聞TOKYO Web

LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案を巡り、自民党が今国会での提出見送りを決めたことを受け、経済界や大使館などからも、法整備の重要性や支援を表明する声が上がっている。国際オリンピック委員会(IOC)は、LGBT差別を否定する声明を出した。

 新経済連盟(三木谷浩史代表理事)は3日、理解増進法案を「あらゆる人々が社会で活躍できる環境整備という点で大変重要」とする声明を公表。「与野党の枠を超え、あらゆる性的指向・性自認の人々が安心して暮らし、活躍できる社会づくりに全力を尽くしていただきたい」と求めた。

 在日オランダ大使館・総領事館は4日、公式ツイッターに「差別なく、誰もが自分らしくいられる社会を目指し、これからも現地のパートナーを支援していきます」などと投稿した。

 IOCは2日の声明で「差別禁止はオリンピック・ムーブメントの主要な柱」とし、トーマス・バッハ会長の「いかなる種類の差別も受けることなくスポーツをすることは、人権の一つであり、ムーブメントの根本原則だ」とのコメントを紹介した。

 3日夜に当事者団体などの呼び掛けでツイッターデモがあり「#今国会でLGBT新法の制定を求めます」との投稿が相次いだ。NPO法人「東京レインボープライド」と「プライドハウス東京」は4日、自民党都支部に法案の今国会での成立を訴える要望書を提出。各地の当事者団体も自民党支部に要望書を出した。(奥野斐)
参照元:自民のLGBT法案見送りに経済界「法整備重要」 IOCも差別否定の声明
2021年6月4日 22時11分 東京新聞TOKYO Web

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