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パキスタンの洪水について -国土の3分の1が水没し、復興に100億ドル(約1兆4000億円)必要-

2022 9/04


パキスタンで、6月から続くモンスーンの影響で、国土の3分の1が水没し、復興に莫大な費用が掛かると見積もられている。


パキスタン、洪水死者1100人超 国土の3分の1水没
2022/8/30 4:52 AFP BB NEWS

【AFP=時事】パキスタンで6月から続くモンスーン(雨期)の洪水で、同国の国家防災管理局(NDMA)は29日、死者が1136人に上ったと発表した。シェリー・レーマン(Sherry Rehman)気候変動相は、国土の3分の1が水没しており、「想像を絶する規模の危機」が生じていると述べた。

NDMAによると、北部の山岳地帯では河川の増水により道路や橋が流され、数百の村が孤立しているため、死者数は増加する可能性がある。今年の洪水では人口の7分の1に当たる3300万人以上が被災しており、2000人以上が死亡する過去最悪の被害が出た2010年に匹敵する規模となっている。

 レーマン氏はAFPに対し「辺り一面が一つの大きな海になっている。水をくみ出す陸地がない」と説明。甚大な経済損失が生じていると語った。

 政府は非常事態宣言を発令し、国際社会による支援を要請。28日には、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)から最初の救援物資が到着した。


パキスタンの建国図を見ると、牡羊座ラグナで、国土の4室が水の星座である蟹座で、惑星集中している。


パキスタンは毎年、モンスーンで洪水に見舞われるようだが、それ自体は、4室が水の星座で、凶星や凶ハウスの支配星によって傷ついているからだと考えられる。


然し、今回の大洪水は、怪物級であるようである。





ちょうどトランジットの火星が2022年6月27日から牡羊座に移動し、蟹座にアスペクトし、また土星が7月13日から山羊座に逆行して、魚座をトランジットしている木星と共に蟹座にアスペクトして、ダブルトランジットを形成している。







これを見て、思い出したのは、以前、西日本で起こった記録的豪雨である。(参照:『西日本の記録的豪雨について―土砂崩れ、河川決壊の表示体は何か?―』)




この時のトランジットを見ると、ラーフと水星が蟹座をトランジットし、そこに山羊座から高揚した火星がアスペクトしていた。




パキスタンの場合、蟹座は建国図の国土を表わす4室で、やはり同じように出生の水星が在住し、土星が傷つけており、トランジットの火星が牡羊座から蟹座にアスペクトし、更にダブルトランジットも形成していたタイミングである。




傷ついた4室の象意が顕現するタイミングである。




そして、パキスタンのダシャーは、現在、金星/土星期で、金星も土星も蟹座に在住している。







プラティアンタルダシャーまで見ると、金星/土星/太陽(2022/6/25~8/22)⇒月(2022/8/22~11/26)である。




プラティアンタルダシャーの太陽も4室蟹座に在住し、月は4室支配で、3室に在住し、火星とコンジャンクトして傷ついている。




今の国土の3分の1が水没したパキスタンの状態はこの3室(国土の損失:4室から見た12室目)に在住する月のプラティアンタルダシャーによって表されているかもしれない。



月はラーフを支配星とするアールドラーに在住し、アールドラーは、「涙の滴」、「浄化のための抑圧」といった象意があり、「濡れた、湿った」という意味があるようである。



パキスタンのシャリーフ首相は、記者団に対し「気候変動がもたらした我々の苦しみは、決して自ら招いたものではない」と発言した。



洪水は、地球温暖化の影響によるもので、温室効果ガスの排出量が1%にも満たないパキスタンはこのことに対する責任はなく、責任があるのは、地球温暖化を招いた西側諸国であるという意味である。




ここで分かることは、傷ついた水の星座に火の惑星である火星がアスペクトすると大雨や洪水に見舞われるというパターンである。




パキスタン wikipediaによれば、パキスタンは、6月~9月が高温多雨・モンスーンの夏で、洪水と旱魃がしばしば生じるそうである。



気候

パキスタンには四季があり、12月から2月が冷涼乾燥な冬、3月から5月が高温乾燥の春、6月から9月が高温多雨・モンスーンの夏、10月から11月が移行期の秋である。この時期は地域によって若干異なり、洪水と旱魃がしばしば生じる。

(wikipedia パキスタンより引用抜粋)


以前から、大規模な洪水なども度々起こっていたようである。



2010年7月末、カイバル・パクトゥンクワ州で大規模な洪水が起こり、パンジャブ州、シンド州にも広がった。被災者1400万人、死者1200人以上の大災害になっており、少なくとも200万人が家庭を失っている。国連人道問題調整事務所(OCHA)は、被災地の一部では下痢などの疾病が広がっているとしている。欧米メディアが2010年8月16日、大規模な洪水により飲料水が汚染され、伝染病の流行の可能性が高まり、約350万人の子どもが感染の危機にさらされていると国連人道問題調整事務所(OCHA) の報道官の話として報道した。

北澤俊美防衛大臣は8月20日夕方、国際緊急援助隊派遣法に基づく派遣命令を発出した。8月23日以降陸上自衛隊第4師団を主力とした部隊が派遣され、復興活動を行った。10月10日(現地時間)をもって活動終結。

7月の洪水で、国土(79.6万平方キロ)の約2割が被害を受け、死者約2千人、家屋174万軒損壊(国家災害管理庁)た。12月時点でも一部地域が冠水している。シンド州の約4200平方キロ(福井県に相当)が冠水19万人が国内避難民と成っている。

(wikipedia パキスタンより引用抜粋)


そして、金星/土星期は、通常は、個人のホロスコープの場合、王が乞食になったり、乞食が王になるといった形で、明暗が大きく分かれるが、国家の建国図においてもそれは言えるのかもしれない。




またパキスタンの建国図では、4室に在住する土星、金星、太陽、そして、冥王星などは、皆、アーシュレーシャ(水星)に在住している。







水星は、3、6室支配で4室に在住して、4室を傷つけており、その水星をアンタルダシャーロードの土星が傷つけており、そして、トランジットの土星や火星もそこにアスペクトして傷つけていた。



つまり、マハダシャーロードの金星とアンタルダシャーロードの土星は、アーシュレーシャ(水星)に在住しているので、3、6室支配で、土星によって傷つけられ、トランジットの土星や火星からも傷つけられた水星が大きな役割を果たしたということである。


水星は、3室(交通、通信、運輸)を支配しており、そして、コミュニケーションや情報伝達、あるいは、国家の経済活動なども表わしているが、それらが機能麻痺に陥ったということである。



金星/土星期(2020/10/25~2023/12/26)の次は、金星/水星期(2023/12/26~2026/10/26)で、4室で傷ついたアンタルダシャーの水星期が続くことから、パキスタンは暫く復旧が困難で、交通、運輸、経済的な麻痺状態が続くということである。



国家の3分の1が水没してしまったら、郵便事業なども出来ないし、交通網は遮断され、まともな経済活動は出来そうもないのである。



そして、このパキスタンの傷ついた4室には、木星がアスペクトしていない為、たいして、他の国々の支援なども当てにならないことを示している。



他の国々も自分の国のことで手一杯であり、欧州もアメリカもそうで、ロシアとウクライナでは戦争も起こっている。



他国の人道支援事業を行なう余裕がない状態である。




因みにインドとパキスタンの建国については、パキスタンが独立した時、インドは、ハルデオ・シャルマ・トリヴェディらの占星術師が、初代大統領のラジェンドラ・プラサード氏に助言して、月がアールドラーからプシュヤに移動するまで、パキスタンよりも建国時間を遅らせたという、非常に興味深い逸話がある。







但し、インドの建国図でも4室支配の太陽は水の星座である蟹座に在住し、凶星から傷つけられている為か、インドのアッサム州などでは、やはり、同じように洪水の被害が発生している。



しかし、アッサム州はインドの東のはずれにあり、大部分のインドは洪水を免れていることを考えると、明らかにパキスタンよりも被害は少ないのである。



ケンドラで、国土の4室が傷つくよりも3室が傷ついていた方が、明らかに被害は小さいように思われ、その辺りの違いが出たと考えられる。




(参考資料)

パキスタンの洪水、「全土の3分の1が水没」と気候相 復興には莫大な費用
2022年8月30日 BBC NEWS JAPAN

歴史的な洪水に見舞われているパキスタンで、全土の3分の1が完全に水没したと、同国の気候変動相が29日に述べた。復興には100億ドル(約1兆4000億円)以上かかると、計画相が見通しを示した。

壊滅的な洪水は、各地で道路や家屋、作物を押し流している。多数の命が失われており、被害の跡が刻まれている。

シェリー・レーマン気候変動相は、「すべてが1つの大きな海になって、水をくみ出すための乾いた土地がない」、「文字通り、パキスタンの3分の1が現在水没しており、これまでのあらゆる限度、あらゆる基準を超えている」とAFP通信に話した。

また、「想像を絶する規模の危機だ」、「こんなことは見たことがない」と述べた。

当局によると、モンスーンの季節に入った6月以降、少なくとも1136人が死亡している。うち75人は29日までの24時間以内に死亡しており、死者はさらに増える見込みだという。

ビラワル・ブット=ザルダリ外相は、死者の3分の1は子どもだとみられるとBBCに述べた。また、「被害の規模はまだ把握しきれていない」とした。

当局は、国民の7人に1人にあたる3300万人以上が、歴史的な洪水の影響を受けていると推定している。

今夏の雨量は過去10年間で最多となっており、政府は気候変動が原因だとしている。

複数の村が孤立

パキスタン北部のスワート渓谷では、大量の水が橋や道路を押し流し、付近の複数の村が孤立している。

一帯で暮らす数千人の住民には避難命令が出され、当局はヘリコプターも使って避難を支援しているが、身動きが取れない住民への対応に苦慮している。

シャバズ・シャリフ首相は28日、被災地をヘリコプターで上空から視察。「村が次々と破壊された。何百万もの家屋が破壊された」と述べた。

避難できた人たちは、全国各地に多数設置された仮設キャンプに身を寄せている。

北西部カイバル・パクトゥンクワ州の学校には約2500人が避難。その1人のファザル・マリクさんは、「ここでの生活は悲惨だ。自尊心が失われそうだ」とAFP通信に話した。

同州のほか、南部シンド州、南西部バルチスタン州などで被害が甚大となっている。

食料不足の懸念

今年の記録的なモンスーンによる洪水は、2010年のパキスタン史上最大の洪水に匹敵する。当時の死者は2000人を超えた。

今回の災害の復興費用に関する懸念も高まっている。パキスタン政府は、援助機関、友好国、国際支援者に資金援助を求めている。

アーサン・イクバル計画相は、「ごく初期の予備的な見積もりでは、100億ドル(約1兆4000億円)以上の多額に上る」と述べた。

同相はまた、綿花のほぼ半分が流され、野菜や果物の畑、水田なども大きな被害を受けたとした。さらに、今後数週間から数カ月の間に、深刻な食料不足が生じるとの見通しを示した。

シャリフ首相は、今後1年間で約12億ドル(約1660億円)規模となる、国際通貨基金(IMF)による融資が再開されれば、経済復興の大きな助けになると述べた。

この融資は2019年に契約が結ばれたが、IMFが設定した目標をパキスタンが達成できなかったため、今年になって中断されている。

こうしたなか、パキスタンは29日、IMFから11億ドルの緊急援助を受けた。IMFは、同国が債務不履行に陥らないよう支援する。

一方、イギリス政府は27日、パキスタンの支援に最大150万ポンド(約2億4300万円)を割り当てたと発表した。

エリザベス女王は、「(洪水による)悲劇的な人命の損失と破壊を聞き、深く悲しんでいる」、「イギリスは、復興に乗り出すパキスタンと連帯している」と話した。

(英語記事 One-third of Pakistan is under water - minister/Pakistan floods will cost us over $10bn - minister)
参照元:パキスタンの洪水、「全土の3分の1が水没」と気候相 復興には莫大な費用
2022年8月30日 BBC NEWS JAPAN
インド・アッサム州で大規模な洪水、420万人以上が避難
2022年6月21日 BBC NEWS | JAPAN

インドで近年で最大規模の降雨と洪水が続いており、北東部アッサム州では村や畑、住宅などが次々と水没している。当局によると、被害は州内35地域のうち32カ所におよび、これまでに少なくとも45人が死亡。また、470万人以上が避難した。

隣接するメガラヤ州でも被害が出ており、先週だけで18人が亡くなっている。アッサム州政府は避難者のための仮設キャンプを1425カ所設置したものの、被害の深刻さから作業は複雑化しているという。また、こうしたキャンプも決して良い環境ではないという。

アッサムの生命線とも呼ばれるブラマプトラ川は定期的に洪水をおこし、肥沃な川岸に住む何百万人もの人々の生命と生活を破壊している。しかし専門家らは、気候変動や非認可の建設活動、急速な工業化などによって異常気象の頻度が高まっていると指摘する。

この地域では5月にも大規模な洪水が発生し、少なくとも39人が亡くなった。インドの気象当局によると、アッサム州では今月に入り、すでに平均降雨量の109%相当の雨が降っている。ブラマプトラ川も、さまざまな地点で危険水位を超えているという。

BBCが取材した当局や地元住民は、今回の洪水の規模は「聖書級」で、アッサム州の社会や経済の仕組みを変えてしまうほどだと言う。

ランギヤ市のジャヴィル・ラフル・スレシュ地区長は、「今回は特に憂慮すべき状況だ。国家災害対応部隊(NDRF)のチームとは別に、救助活動を支援するために軍隊も配備している」と述べた。

「現時点での優先事項は人命救助だ」

アッサム州の遠隔地にあるウディアナ村に住むロンジュ・チョーダリーさんは、水の流れがとても速かったため、数時間で村が完全に沈んでしまったと語った。

チョーダリーさんの家も18日に浸水。20日時点でも、孤島のように水の中に浮かぶ家で救助を待っているという。

一方、同じ村出身のフスナ・ベガムさんはキャンプへと避難したが、「飲み水がないし、息子が熱を出しているのに医者にも連れていけない」と話した。

15日に自宅に水が迫った際、ベガムさんは急流の中を泳いで助けを求めにいったという。ベガムさんは現在、2人の息子と共に急ごしらえのテントで暮らしている。

洪水の被害は特にカンラップ地域でひどく、数百人もの住民が家に閉じ込められたままだという。

当局も、すべての洪水被害者に飲料水と食料を提供できていないことを認めている。

ランギヤ市のスレシュ地区長は、「完全に寸断されたいくつかの地域には、まだ到達するのが困難な状況だ。道路網も水没してしまっている」と話した。

専門家は、洪水への対応改善に向けた州の長年の努力が、気候変動によって複雑化していると指摘。一方で、他にもいくつかの要因があるという。

アッサム大学のジャヤシュリー・ロウト教授(環境科学)は、「今回の洪水の状況は非常に深刻で、雨の頻度もかなり増えていることは間違いない。しかし、それを完全に気候変動と結びつける前に、森林伐採などの人為的な要因を考慮する必要がある」と述べた。

ロウト教授は、 木の根には水を蓄える大きな力があるため、河川の近くでは特に大木の伐採を止めることが急務だと指摘した。

(英語記事 India floods destroy millions of homes and dreams)
参照元:インド・アッサム州で大規模な洪水、420万人以上が避難
2022年6月21日 BBC NEWS | JAPAN
パキスタン洪水 被害拡大の原因に…多発する「山津波」の脅威
2022/9/3 23:30 テレ朝news

パキスタンでは、洪水により国土の3分の1が水没。これは、本州と四国を合わせたほどの面積です。3300万人が被災し、死者は1200人を超えました。6月からの雨量は、例年同時期の5倍以上となっています。NASAの衛星写真を見ると、インダス川下流に幅100キロほどの大きな湖が確認できます。

なぜ、洪水被害は拡大したのでしょうか。

パキスタン気候変動相 シェリー・レーマン氏:

「通常よりも3倍の氷河湖決壊洪水が発生しました。300%まで増加したのです」

氷河湖決壊洪水、別名、山津波。山の上にある氷河が溶け、まるで津波のように流れだします。

パキスタン政府関係者は、山津波の被害を訴えるため、SNSに幾つもの動画を投稿しています。地元メディアによると山津波は今年に入って、30件以上発生。原因は「前例のない猛暑」としています。

先月28日に投稿された映像では、川の水位が橋まで達しています。2010年の洪水で破壊され5メートル高く再建したそうですが、それでも危険は、回避できなかったようです。

日本のNPOが被災地へ救援活動に入りました。現地の人はどう過ごしているのでしょうか。路肩にテントが張られ、住民にとって高価な財産である牛も避難しています。

被災地では、飲み水不足が深刻だといいます。井戸は4日間も水に浸かっており清潔な水が、汲み出せないのです。

AAR Japan 小柳 勇人 駐在員:

「水がない状態で、すごく暑かった。一刻も早く彼らに清潔な水を届ける必要があるなっていうのを強く感じました」

今後、給水車での支援を計画しているといいます。

AAR Japanイスラマバード事務所 大泉泰 駐在代表:

「本当に大変なのはこれからだと考えています。洪水の影響も数か月とか数年とか、ひょっとしたら10年単位で今後のパキスタンの国家の命運を左右するような洪水になっていると思います」
参照元:パキスタン洪水 被害拡大の原因に…多発する「山津波」の脅威
2022/9/3 23:30 テレ朝news
パキスタンの「洪水」ここまで深刻にした真犯人
再建には推定100億ドル、10年はかかる
東洋経済ONLINE (The New York Times 2022/08/31 14:00)

パキスタン各地で激しい洪水が発生している。洪水が山腹を削り、建物を根こそぎ押し流し、田園地帯で猛威を振るった結果、地区全体が内陸の海と化した。これまでに1100人以上が死亡し、100万棟以上の家屋が損壊・倒壊した。

3カ月以上雨が降り続いたため、パキスタンの農地の大部分が水没し、食料不足のおそれが出てきている。パキスタンにとって近年で最大の被害をもたらすモンスーン期となる可能性が高い。

最悪と言われた2010年の洪水よりもひどい

大きな被害を受けた山間部カイバル・パクトゥンクワ州のファイサル・アミン・カーン公使は、「ボートやラクダなど使える手段は何でも使って、最大の被害を受けた地域に救援物資を届けている」と述べた。「最善を尽くしているが、この州の被害は2010年の洪水の時よりひどい」。

その年の洪水では1700人以上が死亡し、数百万人が家を失った。国連の潘基文事務総長(当時)は、それまで見た中で最悪の災害だと述べた。

しばしば気候変動の被害を最も大きく受ける国の1つだとされるパキスタンにおいては、今年の夏に起きている危機は異常気象災害の最新の例に過ぎない。今年の春にはこの国を記録的な熱波が襲い干ばつが悪化した。

科学者たちはこうした熱波が発生する確率は人為的な地球温暖化によって、温暖化がないとした場合に比べて約30倍に上昇すると結論付けていた。現在パキスタン国土の大部分が水没している。

現在の降雨や洪水がどれほどまで気候変動の影響によるものなのかはまだ科学的に明らかにされていないものの、南アジアを始めとする各地で地球温暖化が集中豪雨の可能性を増大させていることについては、研究者の間で意見が一致している。干ばつと格闘している地域が集中豪雨に見舞われると、極度の渇水と極度の豪雨との間で急速かつ極端に振れ、その被害はとりわけ甚大になる。

「この雨量が数カ月かけて降るのであれば、たぶんそれほど問題にはならないのでしょう」とワシントン州立大学バンクーバー校の気候科学者であるディープティ・シン氏は話す。

しかし実情は、激しい土砂降りが穀物を荒らし、インフラを押し流し、脆弱な社会に甚大な結果を与えているとシン氏はいう。「私たちのシステムはそれに対処できるように設計されていません」。

食料高騰と政情不安に悩まされているのに

パキスタンはすでに食糧価格の高騰と政情不安に悩まされており、リーダーシップが最も重要であるまさにこの時期に、国政は揺らいでいる。イムラン・カーン前首相は4月に辞任に追い込まれ、現政権との権力闘争の中で今月、反テロ法違反の疑いで起訴された。

港湾都市カラチでは、月収100ドル強で衣料品工場に勤める35歳のアフザリ・アリが、再び激しい雨が降ってからこの数日間で、トマトなどの基本食料品の価格が4倍になったと話す。「すでにガソリン価格の上昇のせいであらゆるものが高騰しているのに、今回の洪水で事態はますます悪化するでしょう」。

パキスタンの通信社による29日の報道によると、同国のミフタ・イスマイル財務相は、洪水災害とそれに伴う食糧価格の高騰により、政府としては物資の供給問題を緩和させるため、いまだに緊張関係が続いているインドへの一部の貿易ルートを再開する可能性があると話した。

インド自体今年はひどい干ばつに見舞われ、食糧の輸出が大幅に減少している。パキスタンの決定によって、世界的な食糧危機が長期化するおそれが高まった。この世界的な食糧危機は、主要小麦生産国であるウクライナへのロシアの侵攻勃発以来、小麦や肥料の供給量が激減したことも要因の1つとなっている。

パキスタンにおける経済的および政治的危機の悪化は、パンデミック時代の経済の低迷と貨幣価値の弱まりによって拍車がかかり、今年の洪水災害によってさらに逃れようのない状態に陥っている。同国のアーサン・イクバール計画相によると、被害は推定100億ドルにのぼり、同国の再建には10年近くを要するだろうという。

パキスタンのシェリー・リーマン気候変動担当相は、この水害は「前代未聞のスケール」の「気候変動がもたらした人道的災害」だと述べ、国際的な援助を呼びかけた。今年度の予算のうち気候変動担当相にはわずか5000万ドルしか割り当てられていない。これは政府が支出抑制に努める中、従来のほぼ3分の1の水準だ。

こうした中、会社経営者のムハンマド・サード・カーンは政府の補助金を期待している。彼はアフガニスタンとの国境に近いヒンドゥークシュ山脈を源流とするスワット川の切り立った河岸沿いに建つリバーデールリゾートのオーナーだ。このホテルの駐車場とメインの建物の一部はこの週末の洪水で流されてしまった。

「ホテルは川から離れた高台に建てられているというのに、川の水嵩が非常に高く、水が客室に激しく流れ込んできました」と彼は語る。「私たちは実際運がよかったといえるかもしれません」。

「最悪の事態がくるのはこれから」

パキスタン国家災害管理局によると、今年の洪水でこれまでに162の橋が被害を受け、2000マイル(約3200キロメートル)以上の道路が流されたという。パキスタン赤新月社のアブラル・ウル・ハク議長は、洪水と高温という組み合わせは、水媒介性感染症のまん延につながるリスクが非常に高く、「最悪の事態がくるのはこれからだ」と述べている。

パキスタンの回復力の低さ、そして繰り返し災害援助が必要になるのは、単なる脆弱な統治の問題だけでなく、過去から続く不正の問題だとの指摘もある。汚染する側の裕福な国々が、貧しい発展途上国が気候変動に対処するのを支援する義務について長年議論されているが、これが国際的な気候変動交渉における障害となっている。

パキスタンのような国々は、パキスタンを植民地化したアメリカやイギリスのような裕福な国に比べて、工業化がはるかに遅れている。

その結果、こうした国々は、長い間、世界を温暖化させている温室効果ガスのごく一部しか排出していないにもかかわらず、甚大な被害を受け、さらには現在の汚染を制限するために近代化のための高額な費用を支払うことを求められている。

ラホール経営科学大学の社会学教授であるニダ・キルマニ氏は、「洪水に関するいかなる救済も『援助』としてではなく、過去数世紀にわたって蓄積された不正に対する賠償としてとらえられるべきである」と述べている。

(執筆:Max Bearak、Raymond Zhong記者、Ihsanullah Tipu Mehsud記者)
参照元:パキスタンの「洪水」ここまで深刻にした真犯人
再建には推定100億ドル、10年はかかる
東洋経済ONLINE (The New York Times 2022/08/31 14:00)

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コメント

コメント一覧 (5件)

  • 秀吉先生、

    ケンドラの4室よりも3室が傷ついたほうがまだ良い…

    とのことですね。


    秀吉先生が他の記事でも、3室は弱いハウスで、そこが恵まれていたとしても大したことはない…と書かれてましたが、ウパチャヤで、影響力が少ない部屋だと言うのは分かるのですが…

    一方で、3室は8室からの8室で8室(生命)の本質のハウスなわけではないですか?
    それで、2室や7室が生命を失うマラカのハウスになると。

    そこが私はよく分からないのですね。
    生命を洗うとハウスであるけれども、弱いハウスだと言う部分が。

    先生はどういう風にお考えですか?
    • 普通の個人のチャートを考える場合、ケンドラに在住した惑星は、吉星であれ凶星であれ、強くなり、チャートに大きな影響を及ぼす為、凶星が在住した場合、ダメージが大きくなります。


      従って、ケンドラに吉星が入ることは良いが凶星が在住することは悪いという考え方をします。


      それは健康で良い人生を送るための条件として、チャートを保護する条件として知られています。


      一方で、3、6、11室などのウパチャヤハウスは、凶星が在住していても良いとされます。


      ウパチャヤハウスはトリシャダハウス(欲望のハウス)でもあり、凶星が欲望を破壊する為、3室に凶星が在住すれば、欲望に流されず、忍耐強く、努力できるようにし、6室に凶星が在住すれば、集中力を発揮し、障害や敵との戦いにおいて勝負強さを発揮するなど、様々な良い面が出て来ます。これはトランジットの惑星を考える場合にも言えます。


      そうした個人の出生図を見る時の考え方を国家の建国図にも拡大適用したということです。


      個人のチャートと国家の建国図は基本的に同じであり、チャートを保護する要素といったハウスについての考え方なども同じように適用できると思います。


      マンデン占星術で、建国図に適用した場合、例えば、4室は教育施設やホテルや商業ビルなど、街を構成する建物、畑や田んぼなどの農地を意味しますが、また国会とか民主主義といった意味もあります。


      4室が破壊される場合、国民の幸福な生活にとってダメージが大きいと思います。


      一方で、3室は、テレビ、ラジオ、電話などの通信インフラや道路、鉄道、飛行機などの交通インフラなどを表わしているとすると、


      3室の方は元々負荷が高く、使いこんでいるものであって、そこが傷つけられたとしてもそれに耐えられると思います。


      レジリエンス(復元力、回復力、弾力)は高いと思います。


      元々商業活動、経済活動自体が、欲望を支える活動であって、それが無くても暫く我慢して生きていけます。



      3室は国民の経済活動を支えるハウスですが、4室は国民の生活そのものを支えるハウスです。


      道路が混雑したり、破壊されていても生きていけるし、郵便が届かなくても生きていけますが、家がないと生きていけません。


      家がないと睡眠したり、休息したり、食事をして、排泄をするなどの生活に必要な基本的な活動が出来ません。


      農地がないと食料を作ることが出来ません。ですからより深刻度が高いです。



      3室の交通インフラや通信インフラが破壊されても経済活動には困りますが、生活自体は、継続できます。


      4室よりもより深刻度は低いかもしれません。


      個人のチャートに適用出来るチャートを保護する要素(条件)という考え方が、国家の建国図に適用できるかどうか、この考え方が機能しているかどうかを検討したということです。
  • 秀吉先生、

    >3室の方は元々負荷が高く、使いこんでいるものであって、そこが傷つけられたとしてもそれに耐えられると思います。

    レジリエンス(復元力、回復力、弾力)は高いと思います。

    すごく腑に落ちました…

    6室は3室から3室で3室の本質のハウスですよね?
    また、11室は6室からの6室ですし…

    これらのハウスは、自己消費、消耗型なんですね…元々。

    ありがとうございました。
    • 3室から3室目のハウスは5室だと思います。

      3室に凶星が在住する場合、人間で言えば、ストイックに忍耐し努力できる人を意味しますが、

      それが社会であってもストイックに頑張れるんじゃないかというのはイメージできます。

      例えば、運送する荷物の量が多くなってもトラックの運転手が時間外労働で24時間体制で処理するといったイメージです。

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