女子体操界の女帝・塚原千恵子について

現在、女子体操界の女帝・塚原千恵子のパワハラ騒動が、ワイドショーを賑わしている。


12:00でチャートを作成してみると、月は牡牛座の24度で、牡牛座から3室(演技、体操、パフォーマンス)に水星、金星、土星、太陽が惑星集中している為、おそらく月は牡牛座で間違いないものと思われる。

出生時間を20:28:58よりも後にすると月は双子座に移動してしまうが、おそらく月は牡牛座にあると考えられるため、20:28:58以前である。


それではラグナがどこであるかが問題になるが、現在、塚原千恵子は、ワイドショーを賑わしてパワハラの当事者として全国的に悪名を轟かせている。


全国民から注目されている状況と言っていいかもしれない。


こうした状況から10室にダブルトランジットが生じているのではないかと考えられる。


また悪名を轟かせており、地位が揺らいでいることから、その10室は傷ついていると考えられる。



塚原千恵子は現在、太っているが、体操選手というのは若い頃はそれなりにスタイルは良かったと考えられる。






女子体操界で活躍している人に天秤座ラグナの女性が多いように感じられるが、ルックスではモデルや女優になれるような女性が時々スター選手として活躍することがある。



天秤座ラグナは、典型的にモデルや女優が多い星座であり、金星が支配星であり、金星がムーラトリコーナとなる星座であることから、最も容姿端麗である。



それで私は、以前から天秤座ラグナの女性は皆、スタイルが良く、美人であると考えていたが、多くのチャートを見るうちに必ずしもそうではないことが分かってきた。



例えば、天秤座ラグナでも太っていたり、様々なヴァリエーションがあるのである。



私は今の所、塚原千恵子は、天秤座ラグナではないかと考えているが、何故、塚原千恵子が太っているかと言えば、ラグナに木星が在住しているからである。






現役を引退して、結婚したのがちょうど1972年のマハダシャー木星期に移行したタイミングであったが、その頃から急に太りだしたと考えると納得できる。



それまで激しい食事制限やトレーニングを積んで来た人が、現役を引退すれば、太るのが自然だからである。






それがダシャーにも表れているのではないかと考えられる。



このマハダシャー木星期になったタイミングで、塚原千恵子は指導者としての道を歩み始めるが、木星は月から10室にアスペクトしており、指導者として歩み始めた時期であると考えられる。



但し、木星は、3、6室支配で、月から見ても8、11室支配である為、最初のうちは、下っ端のコーチとして指導したり、夫である塚原光男の庇護の元で活動したと考えられる。



この夫である塚原光男は、月面宙返りを編み出したミュンヘンオリンピックおよびモントリオールオリンピック金メダリストであり、塚原千恵子よりも格上の存在である。



ちょうど、自分の師匠や先輩と結婚したような形である。



従って、月から見た8、11室支配の木星期に塚原光男と結婚したのである。ラグナから見ると3、6室の支配星である。



ラグナを天秤座チトラーの第4パダに設定すると、ナヴァムシャのラグナが蠍座になり、ラグナから7室に木星が在住する形になるため、木星は、ナヴァムシャで結婚をもたらす7室在住などの配置であった可能性が高いと考えている。



チトラーは”磨けば光る原石”と呼ばれ、特定の分野で徹底的に磨き上げて、専門家や職人のようになるのが理想とされるナクシャトラであり、体操のプロフェッショナルとして、その業界で、ずっと活動し続けるというのは、まさにチトラーの生き様である。



その次のナクシャトラであるスヴァーティーとは特徴が少し違っている。



そうして、木星期の16年が終わると、ラグナから見ても月から見てもヨーガカラカの土星期がやって来たと考えられる。



土星は5室や9室の支配星であり、指導者として、塚原千恵子はそれなりに黄金期を歩んで来たと考えられる。



こうした私の考えた正しければ、現在、塚原千恵子は、マハダシャー水星期である。



水星は9、12室の支配星で、月から見ても2、5室支配であり、9室の支配星であることから、指導者の道を引き続き歩んできたと納得できる。



従って、マハダシャー木星期、土星期、水星期とずっと指導者の道(教育)を歩んで来たということは、ダシャーの流れから納得できる。






何故、塚原千恵子が、天秤座ラグナであると、考えたのかと言うと、ラグナに3、6室支配の木星が在住しているからである。



ラグナロードが3室に在住したり、3室の支配星がラグナに在住したり、1室の支配星と3室の支配星が結びつく場合、体操、ダンス、スポーツなどとの関わりが強くなり、メディアとのつながりも強くなるのである。


従って、体操の選手として活動して、メディアにも注目されて、現役時代にはテレビにも何度も登場したことと思われる。



そして、今現在でもメディアからは常に注目され、メディアに登場する機会も多くなる。




今回、2018年8月29日に2016年リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江からパワハラと自分の朝日生命への引き抜きの目論みを告発されたが、これはスキャンダルであり、8室の象意である。




これはトランジットの木星がまもなく2018年10月11日から蠍座に入室することと無関係ではなく、告発のあった8月29日の時点で、既に木星の蠍座入室の2ヶ月を切っているので、木星は既に蠍座入室の効果を発揮している。



従って、木星は蠍座から塚原千恵子の6室と8室、10室にアスペクトしているのである。




一方で、土星は、現在、射手座で逆行しており、蠍座から8室にアスペクトして、10室支配の月にもアスペクトしている。




従って、塚原千恵子は現在、8室と10室にダブルトランジットが生じているのである。




そのため、現在、世間から注目を浴び、またスキャンダルが発覚して、キャリア上の大きな変化、中断を経験しているのである。




この時、解釈のコツとしては、ダブルトランジットが生じている8室と10室の象意を結合することである。



つまり、キャリア上の中断、スキャンダルと解釈することができる。





ダシャーは、水星/ラーフ期であり、アンタルダシャーロードのラーフは8室に在住している。



ディスポジターの金星は、1、8室支配で10室に在住し、10室支配の月と星座交換している。



従って、アンタルラーフ期とは、8室と10室の星座交換の象意が顕現するタイミングである。




そして、トランジットのラーフが現在、10室蟹座を通過中であり、このアンタルダシャーロードのラーフが10室にトランジットして、ラーフのディスポジターである金星にトランジットしていることは重要である。



まず、ラーフの象意としては「過剰性」「やり過ぎること」である。



ラーフは飽くなき欲望の惑星であり、過剰に欲望が噴出することも表わしている。



宮川選手の速見コーチとの暴力問題を利用して、その暴力を批判して、速見コーチをつぶし、宮川選手を朝日生命体操クラブへ引き抜こうとする行為の中にそれはよく表れている。



自身が率いる朝日生命体操クラブを強化し、自分の権力欲、支配力を強化しようとするそうした私利私欲の行為である。



こうした行為は、元々、塚原千恵子が、蟹座に惑星集中していることから、よく理解できる。



蟹座は基本的に自己中心的であり、個人主義的に私利私欲を追求する星座である。



従って、塚原千恵子は、体操協会の中で、自分の分身である朝日体操クラブの選手を代表選手で固めるような疑いの強い行動で満ちており、過去にも選手団からボイコットを受けている。



おそらく、これは塚原千恵子のヨーガカラカの土星が、敵対星座である蟹座に在住して、土星は機能的吉星だが、それ程、強くなく、むしろ有害に働く面もあったからだと考えられる。



つまり、彼女としては、自分の率いる朝日生命の選手たちのために良かれと思ってしたことであるが、それは蟹座のパーソナリティーの表現を取る時は、個人主義的で自己中心的な現れ方を取るのである。






因みに塚原千恵子が天秤座ラグナである裏付けとして、結婚のタイミングを調べてみたが、結婚は1972年頃で、現役引退と同時に行っている。



ちょうどマハダシャー木星期に移行したタイミングである。



木星は月から8室支配で、ラグナから6室支配であり、一応、対人相手を表わす8室や6室の支配星ではあるが、上下関係があったり、支配と服従の関係を意味している。



これは塚原光男が、圧倒的なカリスマ的体操選手であったから、彼女の先輩というよりも師匠に近い存在だからだと考えられる。



結婚した1972年のトランジットを確認すると、1972年1月6日の時点で、木星が射手座に入室して、ラグナから7室の牡羊座にアスペクトしている。







そして、土星は牡牛座で逆行して、7室と7室の支配星にアスペクトしている。



7室支配の火星が9室に在住する配置は、パートナーが師匠のような人(9室)であるという別の表れだと考えられる。




またこの時、トランジットのケートゥが10室を通過しているが、10室をケートゥが通過するタイミングは、仕事を辞めたり、仕事がダメになるタイミングである。



また土星は天秤座から見て8室を通過しており、8室の支配星にアスペクトして、木星は直前まで蠍座を通過していた為、8室へのアスペクトの影響が2ヶ月ぐらいは残存している。



従って、仕事を辞めるタイミングにおいて、やはり、8室と10室にダブルトランジットが生じている。




もう一つ、元男子体操選手の塚原直也は、塚原夫妻の息子である。



誕生したのは、1977年6月25日で、この時、トランジットの土星は蟹座を通過中で、木星は牡牛座を通過していた。



9ヶ月前の時点において、木星は牡羊座で逆行し、土星は蟹座を通過することで、5室の支配星と9室の支配星にダブルトランジットが生じていた。



従って、出産のタイミングの条件を満たしている。




ダシャーは木星/水星期であるが、ダプタムシャ(D7)を見ると、木星と水星は5室に在住している。



従って、子供の誕生のタイミングを表している。




因みに塚原千恵子は、1991年11月に山形市で開かれた全日本選手権で、千恵子氏が務めていた主任審判の採点に不満を抱いた55人の選手らが集団ボイコットし、塚原体制を倒すためのクーデターとして注目されたようである。


塚原夫妻は、塚原千恵子が協会のナショナル強化部長、塚原光男が女子競技委員長を務めていたが、これを受けて、一旦、辞意を表明したが、後に撤回している。




この時のダシャーを見ると、土星/水星/金星期ではないかと考えられる。



土星はラグナから見ても月から見てもヨーガカラカ、水星はラグナから9室支配、月から5室支配の機能的吉星で、申し分ない時期である。



従って、この時、塚原夫妻は、ナショナル強化部長や、女子競技委員長という形で、指導者として高い地位につき、仕事は順調であった。



然し、この時、プラティアンタルダシャーの金星は8室支配で10室に在住し、10室支配の月と星座交換し、また金星は11室支配の太陽ともコンジャンクションして傷ついている。



従って、この時に集団ボイコットなどによる不穏な動きが起こり、塚原夫妻は、地位を失いそうになったのであるが、然し、後に撤回して、その危機を何とか逃れたようである。



トランジットを見ると、木星は獅子座を通過中で、土星は山羊座を通過中で、ラーフは射手座、ケートゥは双子座にあり、特に辞任につながりそうなダブルトランジットは形成していない。



つまり、この時は、ダシャーの発現としては、プラティアンタルダシャーの条件が来ただけで、トランジットの条件も整っていなかったため、一過性のエピソードとして、大事には至らなかったようである。



但し、この時、プラティアンタルダシャーの金星が働いたと考えると、プラティアンタルダシャーが、集団ボイコット現象において、決定的な役割を果たしたことは確かである。








このように塚原千恵子を天秤座ラグナに設定して検討してきたが、今の所、天秤座ラグナで説明がつきそうである。



天秤座ラグナの場合、6室支配の木星がラグナに在住しているため、人からの批判を受けやすかったり、自己の内部に攻撃性や、暴力性を抱えていると言えるかもしれない。



また月とラーフのコンビネーションは、精神異常を招きやすい配置であり、発狂したり、感情や心の内部に蓄積されるストレスを時々、暴力やスポーツの形で、外部に発散させる必要のある配置である。



私は以前、ラーフと月のコンビネーションを持っている方のチャートを何例か見たが、皆、テコンドーなど、格闘技系のスポーツで、内部の鬱憤を発散していたようである。



従って、塚原千恵子のような人物が、権力のあるポジションに付くと、この自らの内に蓄積される感情のエネルギーを時々、発散させるためにいじめや暴力が行われたり、日常的に選手を支配することで、それが日常的にストレスの解消につながっていると考えられる。



10室に在住する土星と太陽のコンビネーションもあまり好ましくなく、土星はヨーガカラカではあるが、蟹座に在住していることで、どうしても個人主義的、私利私欲な行動につながってしまう。


また11室支配の太陽は、貪りのハウスを支配し、権力欲などの表現として現れるはずである。


太陽が10室に在住する場合、政府の仕事を表わしている為、オリンピックのナショナル強化部長という形で、国家の代表選手の指導に当たっているのである。



但し、11室支配の太陽は、非常に凶暴で、自らの地位や権力、肩書きなどを執拗に追及する要素を持つと考えられる。



そして、8室支配の金星が10室に在住し、10室支配の月が8室に在住する配置は、彼女が時々、スキャンダルに巻き込まれることを表しており、仕事の中断に追い込まれることを表している。



オリンピック選手としての塚原千恵子の成績は、それ程、素晴らしいという訳ではなく、平均的である。



この8室と10室が星座交換する配置からは、思い通りに行かないことが多かった印象も感じさせる。



水星/ラーフ期は、今回の私の検証によれば、今年2018年の年末から来年2019年の初めぐらいまで続く為、今年いっぱいは、彼女の仕事が中断に追い込まれる形となるのではないかと考えられる。



彼女が過剰な欲望を行使して、私利私欲を満足させようとしたそのつけを払わなければならない。




10室の土星と太陽は敵対惑星同士であり、それが金星や水星を傷つけている。



金星や水星といった芸術的な表現力豊かな惑星が、土星や太陽といった凶星の影響を受けて傷つけられている。



これは彼女自身の体操人生であったのかもしれず、また彼女の指導の在り方が、選手たちの主体性や自由な表現を奪い去るような抑圧的で威圧的なものであると言えるかもしれない。



土星はヨーガカラカであるため、彼女は自分なりに動機が正しい所は少しはあるのかもしれないが、然し、生来的な土星の性質として、彼女の指導は抑圧的であり、個人主義的で私利私欲を追求しがちであり、人にハードワークを要求する負荷の高いものかもしれない。


また彼女自身がそうした人生を歩んできたということでもあるかもしれない。



私の個人的な感想を言えば、彼女の人相は、権力の行使や暴力が日常的で、それが普通である人の顔つきである。



例えば以下の写真はまだ体操選手としてのスリムな当時の若い頃の面影が残っているが、この顔からも内に潜む凶暴さがうかがわれる。






これは月とラーフがコンジャンクトしている効果かもしれない。そして、その月がケートゥの在住する2室にアスペクトしている。



アドルフ・ヒトラーが天秤座ラグナで10室に土星が在住していたことを思い出すとよいかもしれない。



蟹座は独裁者の星座であり、彼女は朝日生命の体操選手団を率いる独裁的リーダーである。




因みに最近、ボクシングの山根明会長が選手への助成金の不正流用や暴力団元組長との交際などを指摘されて辞任したが、独裁者の活動が活発化し、それが非難されて独裁者が不利な状況に追い込まれるということが世間的に続いている。



これらも蟹座にラーフがトランジットしている影響であると考えられる。




蟹座のラーフが、独裁者や個人主義者、ドナルドトランプから、詐欺師まで、個人主義的なアプローチを取るあらゆる人を刺激しているのである。



それらの刺激を受けた人は、何か事を起こして、それによって不利な状況に追い込まれていることを考えると、ラーフはやはり積極性を生み出すが、最終的にはマイナスにつながるような出来事をもたらしていることがよく分かる。



ラーフのトランジットは、基本的に悪いと判断されるが、それはそういうことなのである。



塚原夫妻は、宮川選手を傷つけたとして謝罪声明を発表したが、天秤座らしいバランス感覚で、情勢を読んで、押すところは押し、引くところは引きといった駆け引きで、この状況を上手くやり過ごしていく考えかもしれない。



実際、現在、マハダシャー水星期であり、水星は9室支配でヨーガカラカの土星とコンジャンクトしている。






従って、基本的にはマハダシャー水星期の間は、指導者として海外に出かけたり、選手たちの指導を行っていくと考えられる。



水星/ラーフ期の次は、水星/木星期である。



マハダシャー木星期は、彼女の指導者としての下積み時代にあたるため、水星/木星期に移行したら、彼女には奮闘(struggle)する状況が待っていると言える。






(参考資料)



「お金使ってでも勝つ」 “女帝”塚原本部長に対宮川の秘策
2018年09月01日 12時03分 日刊ゲンダイDIGITAL

リオ五輪体操女子日本代表の宮川紗江(18)からパワハラを告発された協会の塚原千恵子女子強化本部長(71)が31日、夫の塚原光男副会長と連名で文書を発表した。「私たちの言動で宮川紗江選手の心を深く傷つけてしまったことを本当に申し訳なく思っております」と謝罪しながらも、千恵子本部長が監督を務める朝日生命体操クラブへの勧誘を否定。「五輪に出られなくなるわよ」という発言も趣旨が違うと主張した。

 今回の騒動をめぐっては、森末慎二や池谷幸雄ら五輪メダリストだけでなく、ロンドン五輪代表の田中理恵などのOB、OGが宮川支持を表明している。第三者委員会の設置を決めた日本体操協会も、徹底的に真実の究明を行う意向。幹部である塚原夫妻との距離を置き始めているが、そこは「女帝」と呼ばれる千恵子本部長である。当然、協会内には「千恵子先生」と彼女を畏怖し、塚原夫妻を支える人間が少なからずいる。千恵子本部長が「もう黙っていないわよ。お金を使ってでも、勝てるところまでやる」と強気に宣戦布告したのも、そんな人間たちの存在が大きい。

 宮川が会見で話した「本部長の付き人」もそのひとりだろう。「朝日生命に来れば寮も空いているし、練習もできる」と勧誘してきたというこの付き人の正体は奥主貞子氏。連日、テレビで自宅を出る夫妻の姿が映されているが、そのとき千恵子本部長の運転手として、車のドアを開けている人物こそがこの奥主氏だ。彼女にはもうひとつの肩書がある。「日本体操協会審判委員」。東京五輪強化本部の総務も務めている。

「ジャッジにかかわる人間を付き人にしていること自体、何かあると怪しまれてもおかしくない。千恵子本部長は宮川との会話を録音したテープがあると言っている。それが事実なら、念のため録ったと言っているが、まるで騒動が起こることを見越していたかのような周到さです。塚原夫妻のために動く人間は協会内、そしてメディアにもいます。さっそく千恵子本部長と近しい人がいるテレビ局で録音音声の一部が公開されました」(体操関係者)

 日刊ゲンダイが既報した91年のボイコット事件当時も光男氏は競技委員長、強化部長だった千恵子氏は主任審判も兼務する要職にあった。2人が指導する朝日生命クラブの選手に対し、不自然に有利な点数が出たことで他のチーム、選手が出場を拒否した事件だが、この件で光男氏は失脚するも、そこから10年後に塚原体操センターを設立。存続の危ぶまれていた朝日生命クラブの受け皿になった。

「光男氏の五輪3大会連続金メダルの威光はやはり絶大で、日本オリンピック委員会(JOC)関係者をはじめ、さまざまな人間が彼をバックアップして復権した。全日本ジュニア体操クラブ連盟の池田敬子会長は日体大出身の元体操選手で、千恵子本部長の先輩でありながら、千恵子氏には意見が言えない。夫の光男氏がJOCの理事を務めていることもあって、夫妻の人脈は多方面に張り巡らされています」(別の体操関係者)

 女帝の反撃が始まる。
参照元:「お金使ってでも勝つ」 “女帝”塚原本部長に対宮川の秘策
2018年09月01日 12時03分 日刊ゲンダイDIGITA

塚原光男、千恵子夫妻が「週刊文春」を“差し止め請求”
2018年9月5日 19時30分 文春オンライン

 リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江選手(18)への体罰問題をきっかけに明らかになった日本体操協会の塚原千恵子・女子強化本部長(71)と協会副会長の塚原光男氏(70)によるパワハラ問題。

 今回、体操協会は「たとえオリンピックのためだとしても暴力は断じて許さない。暴力の根絶を徹底していきたい」と繰り返してきた。

「週刊文春」取材班は、元選手や五輪代表選手、協会幹部など、関係者20人以上を徹底取材。千恵子氏による暴力指導、強化本部長としての立場を使った朝日生命体操クラブへの引き抜き工作、そして金メダ リストの内村航平選手への練習妨害などについて数々の証言を得た。

 9月3日、「週刊文春」取材班がこうした証言について塚原夫妻に、選手への暴力などについて事実確認を求める質問状を送付したところ回答はなく、同日夕方、塚原氏側の代理人弁護士から東京地裁に「掲 載禁止の仮処分命令の申し立て」、事実上の出版の事前差し止め請求がなされた。協会副会長やJOC理事、女子強化本部長などの要職をつとめる人物が、国民の知る権利に反するとの批判が強い出版物の事前 差し止め請求を行うことは極めて異例だ。

 日本体操協会は、「(差し止め請求については)把握しておりません。正しいことを伝えるために、公平性・透明性ある情報は必要だと考えています」と回答。

 塚原夫妻が運営する「朝日生命体操クラブ」を協賛する朝日生命は「(差し止め請求の)事実を承知しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます」と答えた。

 9月5日、東京地裁はこの仮処分申請を「差し止めの要件を充足しない」として却下した。

 塚原夫妻が異例の差し止め請求をしてまで掲載を阻止したかった記事とは何なのか。9月6日(木)発売の「週刊文春」では千恵子氏の往復ビンタや腹蹴り証言など、塚原夫妻のパワハラ問題について5ペー ジにわたり特集している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年9月13日号)
参照元:塚原光男、千恵子夫妻が「週刊文春」を“差し止め請求”
2018年9月5日 19時30分 文春オンライン

歴史は繰り返す?塚原夫妻「独裁」に抗議した27年前の体操女子ボイコット事件
福井しほ 2018.8.31 18:17 週刊朝日

リオデジャネイロ五輪体操女子代表の宮川紗江選手(18)のパワハラ告発で揺れる日本体操協会。

 宮川選手は29日夜に開いた会見で塚原光男副会長(70)と妻の千恵子女子強化本部長(71)に速見佑斗コーチ(34)の暴力行為を認めるよう強要され、「家族もコーチも否定され、私は速見コーチと引き離 されてしまうんだと恐怖と苦痛で全てがおかしくなってしまいそうだった」「五輪に出られなくなるわよ、と言われた」などと訴えた。

 これに対し、塚原夫妻側は文書を発表し、「ご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪したうえで、宮川選手側が主張した「私の方が100倍よく教えられる」などの発言はしていな いと主張。さらに「五輪に出られなくなるわよ」という発言については、直近の成績が振るわなかったことなどを踏まえたもので、選手を脅すための発言ではなかったと釈明した。

 実は、塚原夫妻の「独裁」が取り沙汰されたのは今回が初めてではない。さかのぼること27年。1991年11月3日の全日本体操選手権(山形市)の女子体操で集団ボイコット騒動が起きた。

この騒動を報じた91年11月15日号の週刊朝日によると、その背景には<わかりやすくいえば、塚原夫妻が審判まで牛耳っており、“塚原派”の選手たちだけに甘い点をつけているのはもうがまんできない>と いう不満があったというのだ。

 ボイコット決行直前には“反乱派”のリーダー格だったAコーチらが記者会見を開き、

<規定の採点は納得できない。日本体操協会女子競技本部派遣の主任審判員を審判業務から退(原文ママ)いてほしい>という要望書を提出した。

「女子競技本部」とは「女子競技委員会」のことで、委員長は塚原光男朝日生命クラブ監督(当時)。主任審判員4人の中には千恵子夫人や塚原氏が監督を務めた朝日生命クラブのコーチ2人が入っていたのだ 。

 しかし、塚原夫妻は強気の姿勢を崩さず、結果、女子25チーム72選手が出場予定だったが、16チーム46人が突然のボイコット。当時大会委員長を務めた遠藤幸雄氏は「審査に抗議があり、問題が解決できな かった」と陳謝した。泣き出す選手もおり、異様な雰囲気が漂ったという。

 週刊朝日では当時から塚原夫妻の一強ぶりをこう報じている。

<塚原夫妻は、千恵子さんが昭和48年から、光男さんが51年から、朝日生命クラブで女子選手の育成に参加。59年から全日本選手権で団体、個人とも八連勝させるなど確固たる実績を築いてきたが、生来の強 気の性格からか、「ズケズケいいすぎる」という周囲の声もあった>

 また、当時騒動について聞かれた千恵子夫人は、<意図的に審判を選んだわけではない。子どもを巻き込むなんて、教育者失格です>と話し、夫の塚原副会長も<どうせうちの選手だけになると思ってるん でしょう。学閥の恨みもあるんじゃないですか>と主張するなど強気だったと報じている。

 一方、Aコーチは<日本の女子が国際的に弱くなったのは、塚原さん以外の指導者がやる気をなくしたため。年間二百日の強化合宿なんて、だれが参加できますか。その方法でなければ強化できないという 塚原さんのやり方は、五輪代表を朝日生命クラブの六人で固めたいということでしょう><以前から皆、陰で塚原さんの悪口をいっていた。今回のように、いざやるぞ、となったらいっきにやってしまわない と、一人ずつ呼ばれて切り崩しにあう>と主張していた。

 当時、騒動を取材した記者によると「ボイコット騒動はマスコミで大きく取り上げられたが、すぐに収束してしまった」という。

 そして今回のパワハラ騒動である。

 塚原夫妻が31日マスコミ各社に送ったプレスリリースには事の経緯とともに、

<第三者委員会とは別に、体操の関係者たちが私たちに対して厳しい目を向けており、かつての選手たちからも大変厳しいご意見をいただいております。これは、全て私たちの今までの行いに原因があると思 っております>

 と記されていた。

 今回の騒動を受け、ロサンゼルス五輪体操男子の鉄棒金メダリストの森末慎二さんは30日のスポーツ報知で宮川選手にエールを送った。ロンドン五輪体操女子代表の田中理恵さんも自身のインスタグラムで 支援を表明。宮川選手への応援は言葉になっているものだけではない。白井健三選手や早坂尚人選手ら多くの選手がSNS上で宮川選手を支持する投稿に「いいね」をするなど、無言の支援が広がっている。

 オリンピックまで後2年。塚原夫妻は今回の騒動が選手に与える影響を危惧しているのだろう。リリースの最後はこう締めくくられていた。

「2020年に東京オリンピックを控え、様々なスポーツ団体の問題が連日取り上げられておりますが、選手たちは自分自身と戦い必死で頑張っております。そういった選手の期待や思いを私たちは一番に考えて おりますので、何卒、選手たちやスポーツ界を応援していただければと思っております。私たちも、私たちの言動の影響力について改めて自覚し、考えを改め、2020年の東京オリンピックにおける日本選手の 活躍を応援していきたいと考えております」

 宮川選手が戦うのも自分自身だけだったはずなのだが――。

(AERA dot. 編集部・福井しほ)
参照元:歴史は繰り返す?塚原夫妻「独裁」に抗議した27年前の体操女子ボイコット事件
福井しほ 2018.8.31 18:17 週刊朝日

宮川選手のパワハラ告発で塚原副会長の会見や声明の予定立たず 体操協会が大混乱
2018.8.30 14:48 dot.

 日本レスリング協会に続き、日本体操協会でも有力選手によるパワハラ告発が勃発し、大混乱に陥っている。

 29日午後、記者会見を行ったのは、2016年リオデジャネイロ五輪体操女子代表の宮川紗江選手(18)。

 日本体操協会幹部からパワハラを受けたと告発した。

 宮川選手は速見佑斗コーチ(34)が協会から無期限の登録抹消処分を受けた問題で、コーチから頭を叩かれたり、髪を引っ張られたりしたことがあったと認めたが、「練習に気合が入っていない時だったの で仕方ないと思った。暴力は許されないが、処分が重すぎる」と処分の軽減を求めた。

 そして宮川選手は体操協会の塚原光男副会長(70)と妻の千恵子女子強化本部長(71)から速見コーチの暴力行為を認めるよう強要され、その中でパワハラがあったと訴えた。

塚原副会長らから「このままではオリンピックに出られなくなる」と圧力を受けたとし、「家族もコーチも否定され、私は速見コーチと引き離されてしまうんだと恐怖と苦痛で全てがおかしくなってしまいそ うだった」と訴えた。

 一方、体操協会も同日夜に記者会見を開き、速見コーチの処分経緯を説明し、改めて速見コーチによる暴力や暴言があったと認定し、処分の経緯や正当性を訴えた。

 一方、宮川選手にパワハラで告発された塚原副会長は30日、記者団に「なぜ、彼女が嘘を言うのかわからない」「30日午後にプレスリリース(声明)を出す。今後会見することもあると思う」と発言。

 だが、体操協会広報事務局はAERA dot. 編集部の取材に対し、「プレスリリースや会見の話は協会として把握していません。今後、動きが出ればまたご連絡します。今、副会長がコメントしている内容は協 会としてではなく、個人としてのものです」と困惑した様子で話した。

 日本体操協会は30日午後、臨時パワハラ対策会議を開き、対応を協議しているという。

 ロサンゼルス五輪体操男子の鉄棒金メダリストの森末慎二さん(61)は30日のスポーツ報知でこう訴えている。

<紗江は、よく勇気を出して会見を開いたと思う><苦しい思いをしてきた選手は他にもいる。紗江の勇気ある行動を消さないために、新たな証言が出てくるはずだ><速見コーチの暴力については、もう一 度、調べ直すことが必要だと感じる。協会側の調べではなく、冷静に一連の騒動を判断できる第三者に調査を依頼することが一番良い>

 選手と協会の間のみならず、協会内にも大きな溝がありそうだ。(AERA dot. 編集部・福井しほ)
参照元:宮川選手のパワハラ告発で塚原副会長の会見や声明の予定立たず 体操協会が大混乱
2018.8.30 14:48 dot.

速見元コーチの一問一答【後編】「塚原千恵子強化本部長に怖くて物言えない」
西岡千史 2018.9.5 20:57 dot.

5日17時、体操女子リオデジャネイロ五輪代表、宮川紗江選手(18)への暴力行為について、宮川選手を指導していた速見佑斗元コーチ(34)が謝罪会見を開いた。会見は約100分にわたり、後半では塚原千恵 子女子強化本部長(71)、夫の光男副会長(70)らによるパワハラがあったと認め、コーチ陣からは「恐怖の対象だった」と明かした。主な一問一答は以下の通り。

*  *  *

――コーチの間には、現在の体制への不満があったのでしょうか。

宮川選手も言っていましたが、私を含め、たくさんのコーチが強化本部長の塚原千恵子先生という立場で、どうしても自分たちが思っている意見が怖くて言えないという現状がたしかに存在します。私だけで はなく他のコーチも「(意見を)言ったら何かされるのではないか」「意地悪されるのではないか」と怖くて言えないことがありました。事実として、(宮川選手に)制限がかかったとか、海外派遣がなかっ たという事実があるので、やっぱり言うことを聞かないとまずい、優遇してもらえないという意識を多くのコーチが抱いているのは事実です。

――塚原本部長に対する現場の反発はどれくらいあったのですか。

統計を取ったわけではないので正確にはわかりませんが、実際に私の周りのコーチの中で現場の声として感じるものは、多くが怖くて何も言えないと感じていることだと思います。

――実際、そう考えているコーチがどのくらいの数なのかによっても変わってきますが。

ナショナルチームに関わっていないチームの方々は感じたことはないと思いますけど、ナショナルチームの中では、「現場のコーチがやろうとしていることを、みんなの思いとしては聞いて欲しい、吸い上げ て欲しい、一コーチとしての意見を尊重してほしいという思いはみんな持っているのではと思います。。

――現体制を刷新してほしいという気持ちはありますか。

体制が変わることが、どうなるのかはわからないので。一人ひとり、強化本部長もコーチも選手も、みんな純粋に一生懸命上を目指しているのは事実なので。十人いれば十人、考え方も指導のプログラムもプ ランも違うので、一人ひとりを尊重しながら話し合えるような環境になってほしいというのが、現場の意見としてかなりありました。

──塚原強化本部長からパワハラはあったという認識ですか。

そうですね。体操協会のNTC(ナショナルトレーニングセンター)の制限、(宮川選手は)海外派遣されていないので、「2020(東京五輪特別強化選手特別強化対策)に入っていないから派遣しなかったでし ょ」と私が言われたのも事実です。

それについて体操協会の事務局長や別のコーチが専務理事に相談したこともあります。2020もよく分からない部分があって、強制ではなかった。なのになぜ、ナショナル選手なのに制限をかけられてしまうの か、なぜそうされるのかが理由としてよくわからなかった。(塚原千恵子)強化本部長と話したことがあって、体操協会のルールとして、体操協会が「ナショナル選手とオリンピック選手としても2020に入っ ていなければ(NTCの利用で)制限を受け、海外派遣もされませんというものが体操協会から正式に発表があれば従うので、体操協会からきちん発表してほしい」という話をしたことがあるのは事実です。

そのなかで、2017年の夏ぐらいに事務局長や専務理事とも相談しました。「これは強化本部長が決めることとはいえ、体操協会として解説する必要がありますね」という回答を受けていました。それに対して の、それ以降(解説などは)一度もいただいていないのが現状です。

――塚原千恵子女子強化本部長らは宮川選手に謝罪したいとのことですが。

どういう発言をしても人の心は透けて見えないので、実際のところどう思っているかはわからないところがあります。次の日の「全部ウソだ」という発言は、宮川選手にとってショックだったところは間違い ないと思います。

──その後に謝罪文を出していますが。

困惑しているのが正直なところだと思います。

――なぜ、困惑していると思われますか。

やっぱり急に変わっているところがあるので。二転三転しているのでどれが本当の姿なのかと戸惑っているのは事実だと思います。

――宮川選手は速見コーチと東京オリンピックに行きたいと話していますが。

宮川選手と今まで一緒にやってきて、今こういう辛い思いをさせてしまっているというのは、すべて私に原因があると思っています。

宮川選手が辛い思いをしているということに、私の指導の力不足だし、暴力に対して間違った考えを持っていたのも事実。宮川選手に対して、どういう理由であれ、どういう状況であれ、間違った指導だった という教育を、私が宮川選手にしてあげられていない。それを今回感じて、指導者である私が、暴力という指導を正当化していたことがあります。そのこと自体が宮川選手に間違った教育をしていた、宮川選 手も叩かれても仕方ないと感じていた。このことが間違った教育をしてあげられなかったので、これから時間をかけてコーチと選手のあるべき姿を作っていかなければと思います。

──暴力の時期についてですが、体操協会からは2013年9月からから2018年5月まで暴力があったと報告がありました。

僕の認識のなかでは、2018年5月は怒鳴ったことだったと思います。今現在の認識としては、どこからが暴力かということに対して、周りの選手・コーチが嫌な思いや恐怖を感じているということが暴力だと 思っています。(体操協会から指摘された)事実はすべて受け入れて、今後、反省していきたいと思います。

──オリンピックまで後2年しかありませんが。

東京オリンピックに向けて私が処分を受けていることは、100%良い環境でないと思う。宮川選手が(速見コーチの指導を)一番望んでいるのも事実。なんとか宮川選手が望む形を実現したいとできる限り考 えているのもあります。それにあたって、女性のコーチだったり、トレーナーさんだったり、私一人で育てるのではなくて、周りの環境をどう整えてあげるかが大切だなと思います。

(文/西岡千史・AERAdot.編集部)
参照元:速見元コーチの一問一答【後編】「塚原千恵子強化本部長に怖くて物言えない」
西岡千史 2018.9.5 20:57 dot.

【体操パワハラ】塚原夫妻の謝罪声明は素直に受け入れるべき…速見コーチの暴力は別問題 文=深笛義也/ライター
2018.09.05 Business Journal

 塚原千恵子氏(日本体操協会強化本部長)の「黙ってないわ」、塚原光男氏(同協会副会長)の「全部ウソ」などの苛烈な発言から急転直下、「私たちの落ち度が大きな原因」と謝罪する声明を2日、塚原夫妻は報道各社に送った。

一連の発言については、「感情に任せた自分勝手な発言等により、私たちが宮川紗江選手と対立姿勢にあるとの印象を与えてしまいました」と釈明している。

全面対決の姿勢から突然の変化に、宮川選手本人も戸惑っているようだ。 スポーツライターの小林信也氏から、謝罪声明の評価を聞いた。 「素直によかったなと思っています。何日かかかりましたが比較的短い日数で、今のスポーツの指導者が変えるべき姿勢を、ダイレクトに見せてもらったように感じています。これが本来、最初に持っていなければならない指導者の基本姿勢だと思います。

ただし、「謝罪はするけど、パワハラは認めない」というスタンスは、もちろんまだ不十分です。本当はもう一回転がって、基本的な指導姿勢の誤り、指導者としての上から目線の一掃を約束してくれたら、なおうれしいです。パワハラについて今までの日本の実績のある“名将”などといわれている人たちは、そうではなかったということも浮き彫りになったと思います。それまでの発言からの変化を見ると、こういうふうに考えを変えていかなきゃいけないということが、明らかになった気がします」  このタイミングでの謝罪声明の発表は、第三者委員会の調査への影響を考えたのでは、と憶測する向きもあるが、どうなのだろうか。 「当然そういう判断もあったかと思いますけど、だからといって、こういう声明はなかなか出せない。そこは穿った見方をするよりも、素直に受け入れることがいいのではないでしょうか。第三者委員会というのは、取り扱う案件によっては、どっちが正しいかをジャッジする場合もありますが、パワハラの場合は必ずしもそうではありません。パワハラを受けて苦しんでいる人が、なぜそういう気持ちに至ったかを理解してあげることが目的だと思います。

塚原夫妻の謝罪声明は、そうしたスタンスに沿ったものと見ていいと思います」 宮川選手は速見佑斗コーチの指導を受けることを希望しているが、塚原夫妻の謝罪によって、それが実現することはあるのだろうか。 「速見コーチの暴力の問題は、塚原夫妻のパワハラの問題とは別ですよね。これは宮川さん本人がどう言っても暴力を用いた者を認めることはできないので、一定の処罰はやむを得ないと思います。暴力を振るわれた人間が、「私はそれを認めます」というのは言ってはいけない。宮川さんが望んだとしても、暴力を用いる指導は今後絶対受けられないということは、これは宮川さんも理解しましたと言っています。いくら彼女が望むと言っても、速見さんへの処分が解けない限り、ナショナルチームのレベルでは指導は受けられないということです。  体操協会の出している見解は曖昧で、『日常の指導をするのはいい』みたいなことも言っている。だけど、ナショナルチームに行った時に帯同するということはできないわけです。コーチというのは自分のステップアップに応じて変わっていくなり、あるいはプラスされるということもあってしかるべきです。今後、宮川選手が国際大会に出て行く、あるいはオリンピックでメダルを獲ろうという時に、どのコーチがふさわしいのかは宮川さん本人の気持ちも尊重されなければいけないけど、ちゃんと信頼できる人が助言するなり相談するというのが本来のかたちですね。問題は、塚原夫妻は宮川さんからの信用がない、塚原さんに言われても絶対に応じないということですけど、誰か適切な人がアドバイスするというのが望ましいと思います」

無期限登録抹消処分への誤解

  宮川選手は、暴力行為は許されないことだと認める一方、無期限の登録抹消という速見コーチへの処分に対しては「いくらなんでも重すぎる」と、8月29日の会見で語っている。

「彼女の言いたいことはわかります。塚原さんたちが仕組んで速見コーチに厳しい処分が下ったという不信感が、その言葉の背景にあるんだと思います。ただ、処分が重いかどうかに関しては、ちょっと誤解があります。無期限の登録抹消というのは当初、永久追放に近いと捉えられていたと思います。その後の体操協会の説明だと、無期限というのは、とりわけ期限を設けないということであって、永久的という意味ではない。『真摯に反省し、実績を積んだ後で都道府県より申請があれば再登録が検討されることになる』ということです。

復帰することはあり得るし、速見コーチが宮川選手を再び指導することも可能性一般としてはあり得ます。だから必ずしも、処分が重すぎるとはいえないのです」  8月31日に塚原夫妻は、宮川選手との面談の際の録音データを公表していた。 「普通に考えて、そもそもなんでそれを録音していたのかが、よくわからないですよね。自分が助言をする時に、本人に内緒で、なぜわざわざ録音したのか。それを証拠として出してきたといっても、自分は録音しているのがわかっているのですから、普段より優しい口調になることも容易に想像できます。塚原さんはそれを自分がパワハラをしていない証拠として出したわけですよね。確かにものの言い方は普段と違って柔らかいかもしれない。だけど内容は明らかにパワハラで、受動的立場にいる人にああいうことを言ってはいけないという見本のようなものですよ。

  例えば、学校に行くことができない不登校の生徒に、担任の先生が『それは逃げでしょう』『弱いでしょう』というのは、1番言ってはいけないことです。それと同じような『それはあなたのわがまま』『親を呼び出しましょうか? 私が』ということを言っているわけじゃないですか。それはやってはいけないことなのに、その認識がない。自分は正しいことを言っていると思っているということが、録音データの公表で明らかになったことです。  宮川選手のほうは、信頼している速見コーチを塚原さんたちがなんらかのかたちで陥れて、自分たちが一緒にできなくなったと思っているわけですよね。仕掛けたと思っている相手に何を言われたって、負担になるばっかりだということは容易に想像できるのですが、そういうこともわかってない。いかに自分たちが間違っていたか、横柄だったか、指摘されて納得せざるを得なくなって、謝罪声明を出すことになったと思います。録音データが公表されたのは、ことを進展するきっかけにはなりました。だけど塚原さんたちの正当性を証明するのではなく、逆だったと思います」 日本スポーツ界全体の課題 昨年から今年にかけ、スポーツ界でさまざまな不祥事が明らかになり、今まで隠蔽されていた問題が噴出しているという印象を多くの人々が受けている。 「隠蔽していたのではなくて、誰も悪いと思ってなかった。そんなの当たり前だと思ってきたのです。録音データを公開するというのが、その象徴ですけど、あれを悪いとは思ってないわけですよ。世間はパワハラのことを問題にしてきているのに、スポーツ界はまったく対応し切れてない。さすがに体罰が悪いというのは共通認識になっていますけど、それでさえ体罰をやったほうが強くなると思っている人も残っていて、それは隠蔽されています。

体罰は悪いという認識はあります。でも、パワハラが悪いという認識はありません。高校野球の取材に私はけっこう行ってますけれど、普通にパワハラは行われています。そうじゃない高校野球を教えてくださいって言われても、具体例を出しにくいくらい、皆それを当たり前のようにやっています。これがなくならないのは、親や選手たちもパワハラを受け入れてしまっているからですよ」  宮川選手の告発、そして塚原夫妻の謝罪によって、スポーツ界は変わっていく契機をつかむことができるのだろうか。 「そうならないと困りますね。スポーツ界だけではなくて、日本の社会もそうですけど、コンプライアンスとかガバナンスなんてことは脇に置いといて、勝つということが力になっていた。

これは否めないわけじゃないですか。塚原さんたちも、どんな手を使ってでもオリンピックに選手を派遣するとか、日本の国内でも勝たせる選手をつくるということを最大の後ろ盾にしてやってきた。  体操協会全体も、本来ならば経営的な発想だとか、どうやって競技を普及させていくかなど、いろんな将来ビジョンも持たなきゃいけない。だけど、どうしても選手強化、オリンピックに勝つか負けるかということに重きを置いた組織になってしまっています。オリンピックで勝てば補助金がたくさんもらえるとか、あるいは朝日生命という大きな企業を体操界に連れてきたっていうことの貢献度だとか、そういうものが評価されてしまっている。それが彼らを実力者にしている一因だと思うんですね。

これは体操協会に限ったことではなくて、日本のスポーツ界の課題です。オリンピックでも、パワハラを受けて獲った金メダルなんて本当は価値がないと思います。なんであろうが金メダル獲ることに価値があるということなら、パワハラを礼賛していることになってしまいます。世間はパワハラのことを問題にしているのに、なぜこれがスポーツ界に反映されないのだろうって思ってきましたけど、ようやく変わっていく兆しが見えてきたのを、私は歓迎しています」  オリンピック憲章を見ると「オリンピズムは肉体と意思と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である」と書かれている。2020年の東京オリンピックを、この哲学を体現した祭典とすることができるのだろうか。 (文=深笛義也/ライター)
参照元:【体操パワハラ】塚原夫妻の謝罪声明は素直に受け入れるべき…速見コーチの暴力は別問題 文=深笛義也/ライター






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