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プーチンの今

2022 3/07


プーチンのウクライナへの首都への進撃は、ウクライナ軍の激しい抵抗に遭っていると伝えられている。


ニュースの報道などによれば、プーチンは国内問題を抱えており、焦りがあったとの情報が見られる。


プーチンのウクライナへの侵攻は、『戦略的判断ミス』であるとの見方も出ている。


土星が山羊座をトランジットし、木星が水瓶座をトランジットする今は、プーチンのチャートの12室にダブルトランジットが生じ、足を引っ張られたり、損失をもたらされる時期である。


この12室は思考、判断力の5室から見た8室(混乱、行き詰まり)であり、判断ミスを犯す可能性が考えられる。





プーチンがマハダシャー水星期になってから、この暴挙を行なったことは非常に興味深い。


水星は蠍座ラグナにとっては、8、11室の支配星で5室から見た8室(判断力の混乱)に在住しており、11室の支配星である為、貪欲で、野心的であり、陰謀、悪意を抱く機能的凶星となっている。


この8、11室支配の水星は、悪意や貪欲さを持った人間が関わってくることを意味し、プーチン自体の性質も悪意や貪欲にする。


プーチンの周辺の人物が、皆、信用ならない人物であったり、周辺諸国のリーダーたち全員を信用できないと感じているかもしれない。


プーチン大統領が24日に行った演説の中で、以下のように述べている。


『ソ連が解体され能力の大部分を失った後も、ロシアは核保有国の一つだ。最新鋭兵器もある。われわれに攻撃を加えれば不幸な結果となるのは明らかだ。』

(「ロシアは核保有国」「攻撃を加えれば不幸な結果に」プーチン大統領の演説要旨 2022/2/25 07:14 産経新聞より引用抜粋)

これは追い詰められて焦っている人間が発している言葉のように思われる。



プーチンは近隣国に攻撃されるのではないかという過度の被害妄想に陥っており、それは、アラブの春などでも、アメリカが民主化運動などにCIAの要員を潜伏させてきたことを考えると、現実である面もあるかもしれないが、過剰な怖れとなっている。


従って、これまで冷静さを失うことのなかったプーチンが、ここに来て、あたかも焦りから判断ミスを犯したような軍事行動を取ってしまったことを表している。


おそらくプーチンにとって、生き残っているオルガリヒを初めとした側近の人間たちは全く油断ならない人物なのである。





プーチンにとって、心休まる居場所は、牡羊座のバラニーに在住する木星が象徴する諜報機関のみである。


プーチンのチャートの強力な配置は、2、5室支配の木星と1、6室支配の火星の2-6の星座交換である。


この木星は、牡羊座のバラニーに在住しており、諜報機関の人材が全て、プーチンの弟子であり、部下として、プーチンの思い通りに行動することを表している。





この木星がラグナロードの火星と星座交換して、プーチンを保護していると共に12室に在住する8、11室支配の水星にアスペクトして保護している為、プーチンは2024年に引退した後も諜報機関の人間によって、守られると考えられる。


また先日、別の記事で書いたように8室の支配星が12室に在住し、また月から見ても8室と12室が星座交換して、ヴィーパリータラージャヨーガを形成している。


これは、貪欲な人々との裏取引き、裏協定などによって、ぬくぬくと便宜を得続ける配置である。


小池百合子と全く同じ配置である。



この5室支配でバラニーに在住する木星は、基本的に人を信用しない。


特に5室の支配星が6室に在住する場合、自分の間違った偏見で事実を捻じ曲げる傾向として現れる。


しかもバラニーは猜疑心が強く、決して人を信用しない為、ウクライナが決して、ロシアを攻撃する意図がないにも関わらず、それが信じられないのである。



従って、ウクライナが西側諸国の後押しを受けて、ミサイル配備システムを持てば、核弾頭を乗せてそれを発射する可能性というものを実際に考える。


出生図のラグナは完全に蠍座で正しいため、出生図をチャラダシャーで検討すると、現在は、魚座のメジャーダシャーで2024年10月まで続く。


この魚座のメジャーダシャーにおいては、GKの火星が10室に在住し、土星、太陽などからアスペクトされており、軍事的な冒険をすることを表している。


然し、2024年10月から水瓶座の時期に移行すると、AmKの土星と太陽は8室に位置する為、それで引退なのである。


マハダシャーの水星も8室の支配星であり、またダシャムシャでも8室に在住していれば、引退の時期を表している。



プーチンのスタンスや手法は、ヒトラーに似ている。


ヒトラーは、民族が存亡の危機に立たされた場合、他国への侵略も正当化されるという論理を駆使していた。


またヒトラーが、チェコの北部、ドイツ・ポーランドとの国境を接する一帯(スデーテン)が、ドイツ人居住者が多かったことから、併合を要求し、1938年のミュンヘン会議で英仏が容認し、ドイツに割譲されている。


西側諸国の融和策によって、領土を獲得していくが、最終的には侵略戦争を開始している。


今のアメリカや西欧の弱腰の態度は、当時の融和策に似ている。


但し、アメリカが参戦すれば、世界大戦になってしまう恐れもあり、中国が漁夫の利を得て、台湾に侵攻する可能性が出てくる。


プーチンもクリミアを併合し、ウクライナ東部のロシアとの国境地帯のルガンスク、ドネツク、マリウポリなどの親ロシア系住民が多い地域を武装勢力が実行支配している。


プーチンも徐々に譲歩を迫り、最終的には、ウクライナ侵攻に打って出た。



民族主義、主権国家というものは、国際機関など超国家機関が全く頼りにならない場合、最終的には自らの軍事力が頼りになる。



外交的な解決の最後の手段が戦争である。



プーチンは、ウクライナ全域を攻撃し、最終的にルガンスク、ドネツク、マリウポリなどの現在、支配地域となっている一部の地域を全域に拡大し、ウクライナから撤退する場合にその辺りを落としどころとする考えかもしれない。


ディール(駆け引き)においては、最初、高めの値段を言っておいて、後で、相手に多少譲歩し、自分の望みの金額を獲得するが、それと同じで、プーチンはウクライナ全域に攻撃を仕掛けて、撤退し、ルガンスク、ドネツク、マリウポリなどの支配地域の拡大という戦利品を獲得するつもりではないかと考えられる。



プーチンのチャートを見ても戦争犯罪人として裁かれる様子が全く出ておらず、引退後も、ぬくぬくと背後で力を持ち続けるように思われる。



ロシアの次の選挙は、2024年である為、次の選挙で、プーチンは再選しないと考えられる。




このプーチンの戦争を見て、変わらざるを得ないのが、日本である。



このロシアによるウクライナ戦争を見て、ロシアが北方領土を日本に返還するつもりなどないことが分かるのである。



経済協力していればいつか日本に北方領土が返還されるのではないかという甘い考えは全く通用しないことが分かる。



プーチンが日本から経済協力を引き出す駆け引きを行なってきたことが分かる。



日本のマンデン図でも2022年12月からケートゥ期に入ってゆき、ケートゥのディスポジターである太陽は5室の牡羊座で高揚している。





以前からこのタイミングが日本の愛国民族主義が高まる時期であると考えて来たが、国家は国民が自力で守らなければならないという国防に関する意識が高まっていくと考えられる。



あの英雄だったプーチンが・・・

プーチンは、国内からオルガリヒを追放し、新自由主義のアメリカの資本家階級(新世界秩序グループ)と戦う英雄として、スピ系の人からは崇拝されている。


ドナルド・トランプと並び、アメリカのディープステイトと闘う英雄と見なされている。


今回の軍事作戦もスピ系の人によれば、プーチンは、ウクライナに潜伏するハザールマフィアを討伐する目的があるのだという。


スピ系の人々の問題点は、あまりにも人物を理想化し過ぎる所で、プーチンやトランプが世界を救う為に戦っているなどといった壮大なファンタジーを作り上げてしまう。


プーチンにしてもトランプにしても権力者としての自分の欲望から行動しているだけである。



プーチンは、三国志の曹操のように怜悧で、冷静沈着、アメリカと互角に渡り合う武将として、尊敬も集めていたが、焦りから判断力を失い、またダシャーが8、11室支配の機能的凶星の水星の為、識別力を失い、貪欲な11室を支配しているだけに軍事侵攻を『親ロシア系住民をジェノサイドから守るため』とか、『平和維持活動』と呼ぶなど、詭弁が目立ち、欲望から判断能力を失い、自らを騙してしまった可能性が高い。


これらの詭弁によって、自らを欺き、欲望を理性よりも優先したのである。


それが蠍座ラグナにとっての8、11室支配の水星期の危険性である。


(参考資料)

「ロシアは核保有国」「攻撃を加えれば不幸な結果に」プーチン大統領の演説要旨
2022/2/25 07:14 産経新聞

ロシアのプーチン大統領が24日に行った演説の要旨は次の通り。

私は21日の演説で、最大の懸念と心配、無責任な西側諸国がロシアに対して生み出してきた本質的な脅威について話した。北大西洋条約機構(NATO)は、軍備をロシア国境に近づけている。

過去30年間、われわれはNATOとの間で辛抱強く合意を試みてきたが、NATOは拡大し続けた。われわれの利益と合法的な要求に対する侮辱的で軽蔑的な態度をどう説明するのか。

答えは明瞭だ。1980年代後半、ソ連は弱体化し崩壊した。自信を失ったのはほんの一瞬だったが、世界の力の均衡を崩すには十分だった。その結果、古い条約や合意は有効ではなくなった。覇権国家の権力者に都合の悪いものは非難され、有用だと見なすものは強制される。

これはロシアだけでなく、国際関係のシステム全体や米国の同盟国にも関係する。イラクや、シリアやリビアなど、米国が法と秩序をもたらした世界の多くの地域では、国際テロ、過激主義が生まれた。しかし米国は依然として偉大な国で、多くの国が彼らのルールを受け入れている。

われわれは2021年12月、NATO不拡大と欧州の安全保障の原則に関し、米国と同盟国と合意ができないかもう一度試みたが、米国は態度を変えなかった。

1940~41年初頭、ソ連は戦争を防ごうとしたが、手遅れだった。41年6月のナチス・ドイツの侵攻に対抗する準備ができていなかった。敵を打ち負かしたが、多大な犠牲も被った。この失敗を再び犯すことは許されない。

ソ連が解体され能力の大部分を失った後も、ロシアは核保有国の一つだ。最新鋭兵器もある。われわれに攻撃を加えれば不幸な結果となるのは明らかだ。同時に、防衛技術は急速に変化しており、周辺に軍事力が存在する限り許容できない脅威であり続ける。

これ以上のNATOの拡大やウクライナ国内に軍事拠点を構える試みは受け入れられない。NATOは米国の道具だ。問題は「われわれの歴史的な土地」で反ロシア感情が生まれていることだ。国外からコントロールされ、NATOの軍隊を呼び込み、最新鋭の兵器を得ようとしている。これはロシアの封じ込め政策で、存在と主権に対する脅威だ。レッドラインで、彼らはこれを越えた。

2014年にウクライナでクーデターで権力を得た勢力は、お飾りの選挙で力を保持し、平和解決の道を放棄した。われわれは平和的に解決する手段を探ってきたが水泡に帰した。ロシアに希望を持つ100万人へのジェノサイド(集団殺害)を止めなければならない。ドンバスの人民共和国の独立を認めたのは、人々の望みや苦痛が理由だ。

NATOの主要国はウクライナの極右勢力とネオナチを支援し、クリミアの人々がロシアに再統合する選択を許さないだろう。彼らはドンバスと同様にクリミアでも戦争を起こし、ヒトラーの共犯者同様、市民を殺害する。ロシアと自国民を守るにはこの手段しかない。ドンバスの共和国はロシアに助けを求めており、迅速な行動が必要だ。

私は、特別な軍事作戦を行うこととした。目的は、キエフの政権に8年間虐げられてきた市民の保護だ。ウクライナの非軍事化に努める。領土の占領は計画していない。(共同)
参照元:「ロシアは核保有国」「攻撃を加えれば不幸な結果に」プーチン大統領の演説要旨
2022/2/25 07:14 産経新聞
全ロシア将校協会が「プーチン辞任」を要求…! キエフ制圧でも戦略的敗北は避けられない
2/16(水) 6:03 現代ビジネス

 世界の目は現在、ロシアとウクライナに注がれている。

 10万人規模のロシア軍が、昨年11月からウクライナの東部国境付近にとどまっている。ウクライナの北の隣国ベラルーシでは現在、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が行われている。南を見ると、黒海にロシア艦隊が展開している。

 ロシア軍は、ウクライナを北南東、三方から包囲し、侵攻の準備が完了しつつあるように見える。

 プーチンの要求は、「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証」だ。米国もNATOも、「この要求を受け入れることはできない」とロシア側に回答した。しかし、その後も侵攻回避のための交渉が続けられている。

 そんな中、ロシアでは、将校をまとめる団体、「全ロシア将校協会」が「プーチン辞任」を求める公開書簡を発表したーー。

大軍を展開するプーチンの動機

 まず、なぜロシアは、大軍をウクライナ国境付近に展開しているのか、その経緯を簡単におさらいしておこう。

 1990年、ソ連は東西ドイツの統一を容認したが、その際一つ条件を出した。それは、ドイツより東に「反ソ連(反ロシア)軍事同盟」NATOを拡大しないことだ。

 米国は、不拡大を約束した。しかし、ソ連崩壊後、米国は約束を破り、東欧諸国だけでなく、かつてソ連の一部だったバルト三国(リトアニア、ラトビア、エストニア)をもNATOに加盟させた。ソ連崩壊時16ヵ国だったNATOは、現在では30ヵ国にまで増えている。

 そしてさらに、米国は、ロシアの隣国で旧ソ連国ウクライナやジョージアをNATOに加えようとしている。

 プーチンは、米国がロシアとの約束を破り、NATOの東方拡大を続けていることに憤っているのだ。

 ウクライナの西を見渡すと、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアと、NATO加盟国がずらりと並ぶ。

 ウクライナはロシアとNATO勢力の間にあり、プーチンは「最後の緩衝国家」とみている。それでプーチンは、ウクライナのNATO加盟を何としても阻止しよう決意している。

 だが、この問題は、東欧三ヵ国(ポーランド、チェコ、ハンガリー)がNATOに加盟した1999年からずっと続いている問題だ。それなのになぜプーチンは昨年11月になって突然、ウクライナとの国境に大軍を集結させたのか? 

 真相は、プーチンと側近以外誰にもわからない。しかし筆者は、「米中覇権戦争が激化していることと関係がある」とみている。

 どういうことか? 

 米中の覇権戦争は、2018年10月のペンス演説から始まった。それがバイデンの時代になっても終わることはなく、さらにエスカレートしている。

 戦略的な米国は、敵の数を減らそうとする。たとえば、米国は第2次世界大戦中、ナチスドイツを倒すために、宿敵ソ連と組んだ。大戦が終わると、今度はソ連を打倒するために、かつての敵ドイツ(西ドイツ)、日本と組んだ。

 プーチンは、「米国は、中国とロシア、二大国を同時に敵に回したくないはずだ。今ならウクライナ問題で妥協を引き出せる」と読んだのだろう。

 そこで彼は、大軍を集結させることで、米国とNATOを脅した。

 「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証をしろ!  さもなくば……」と。

 ちなみに、プーチンは、「ウクライナに侵攻する」とは明言していない。だが、国境に大軍を送ることで、「拒否すればウクライナに侵攻する」ことを理解させたのだ。

ロシア将校の反逆

 さて、日本ではまったく報道されていないが、ロシアで1月31日、驚愕の出来事が起こった。「全ロシア将校協会」のHPに「ウクライナ侵攻をやめること」と「プーチン辞任」を要求する「公開書簡」が掲載されたのだ。

 原文は、以下のページから見ることができる。

 Обращение Общероссийского офицерского собрания к президенту и гражданам Российской Федерации

 この公開書簡は、レオニド・イヴァショフ退役上級大将が書いたものだが、彼は、「個人的見解ではなく、全ロシア将校協会の総意だ」としている。

 ちなみにイヴァショフ氏は、もともとかなり保守的で、これまでプーチン政権を支持してきた。国営のテレビ番組にもしばしば登場し、著名で影響力のある人物だ。

 問題の書簡には、何が書かれているのか? 

 イヴァショフは、プーチンが強調している「外からの脅威」を否定しない。しかし、それは、ロシアの生存を脅かすほどではないとしている。

 〈 全体として、戦略的安定性は維持されており、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強しておらず、脅迫的な活動をしていない 〉

 では、プーチンが「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証をしろ」と要求している件について、イヴァショフはどう考えているのか? 

 彼は、「ソ連崩壊の結果ウクライナは独立国になり、国連加盟国になった。そして、国連憲章51条によって、個別的自衛権、集団的自衛権を有する。つまり、ウクライナにはNATOに加盟する権利があるのだ」と、至極真っ当な主張をしている。

 ロシアは、ウクライナを自分の勢力圏にとどめておきたい。どうすれば、そうすることができたのか? 

 イヴァショフによると、「ロシアの国家モデルと権力システムが魅力的なものである必要があった。しかし、ロシアは魅力的なシステムを作ることができなかったので、ウクライナは、欧米に行ってしまった」のだ。

 この言葉は重い。

 プーチンは、米国が約束を破り、東欧、バルト三国をNATOに加盟させたことに憤っている。しかし、米国は、東欧バルト三国を、無理やり加盟させたわけではない。これらの国々が、NATO加盟を望んだのだ。

 なぜか? もちろん、「ロシアが怖いから」だ。イヴァショフの言うように、ロシアが魅力的で、恐ろしくない国であれば、これらの国々がNATOに走ることはなかっただろう。

 プーチン政権の政策は、事実上すべての隣国とその他の国々を遠ざける結果になったとイヴァショフは嘆く。

 そして、「世界のほとんどの国がクリミアを今もウクライナ領と認識している。このことは、ロシア外交と内政の失敗をはっきりと示している」と、強調している。

ウクライナ侵攻は、ロシアにとっても破滅的

 イヴァショフは、ロシアのウクライナ侵攻に反対している。その理由は、

 第1に、国家としてのロシアの存在を危ういものにする。

第2に、ロシア人とウクライナ人を永遠の敵にしてしまう。

第3に、ロシアとウクライナの若くて健康な男性が、数万人亡くなる。

 興味深いことに、イヴァショフは、NATOが結局、ウクライナ側に立ち、ロシアに宣戦布告。ロシア軍はNATO軍と戦うことになると予測している。

 そして、ウクライナ侵攻の結果は……。

 〈 ロシアは間違いなく平和と国際安全保障を脅かす国のカテゴリーに分類され、最も厳しい制裁の対象となり、国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われるだろう 〉

 要するに、イヴァショフと全ロシア将校協会は、「長期的に見ればロシアは必ず負けるから」戦争に反対しているのだ。

 話はここで終わらない。公開書簡は、「ウクライナ侵攻をやめること」だけでなく、「プーチン辞任」も要求しているのだ。

 なぜか? 

 彼は、プーチンと側近が、ウクライナ侵攻はロシアに悲惨な結果をもたらすことを理解しているとみている。

 では、なぜ侵攻したいのか? 

 イヴァショフによると、「ロシアは現在、深刻なシステム危機に陥っている。しかも、ロシアの指導者たちは、国をシステム危機から救うことができないことを理解している。システム危機が続くことで、いずれ民衆が蜂起し、政権交代が起こる可能性が出てくる」。

 だが、ウクライナに侵攻すれば、どうだろうか? イヴァショフは次のように言う。

 「戦争は、しばらくの期間、反国家的権力と、国民から盗んだ富を守るための手段だ」

 彼と将校協会から見ると、「ウクライナ侵攻」は、プーチンが「自分の権力と富を守るためだけの戦争」なので、辞任を要求したのだ。

将校の反逆は、侵攻を止められるか?

 ちなみに、この公開書簡について大手メディアが報道していないのは、日本だけではない。実をいうとロシアの国営メディアもまったく報じていない。プーチン政権にとってあまりにも「不都合な情報」だからだろう。

 この書簡からわかることは何だろうか? 

 一つは、ロシア軍のかなりの数の将校がウクライナとの戦争を望んでいないこと。もう一つは、将校たちがプーチンへの忠誠心を失っている、ということだ。

 これまでロシアで「反プーチン勢力」といえば、反汚職基金の創設者でカリスマ政治ユーチューバー(チャンネル登録者数644万人)のナワリヌイが筆頭だった。

 ナワリヌイのグループは、米国や英国の諜報機関とつながっているとロシアでは報じられている。そして、ナワリヌイは、汚職反対、民主主義、言論の自由重視で、いわゆる西側の価値観をもつ「リベラル派」だ。

 一方、イヴァショフと全ロシア将校協会は、完全な保守派で、今までプーチンを支持してきた。そんな「強固な支持層」だったはずの将校軍団から辞任要求を突きつけられたプーチンの衝撃は大きいはずだ。

 ただ、この公開書簡を受けて、プーチンが素直に辞任するとは思えない。しかし、「将校たちはウクライナ侵攻を支持していないのだな。軍の忠誠心を失えば、自分の権力も危うい」と考えるかもしれない。

 あるいは、「自分に反逆した将校は許せない」と考え、全員の逮捕を命じるかもしれない。そうなると、軍の動揺は大きいだろう。

それでもウクライナに侵攻すれば

 「クリミア併合」の例を見てもわかるように、プーチンは常に「戦略的決断」を下すわけではない。

 彼は、ほぼ無傷で、クリミアを奪った。これは、ロシアから見ると、戦術的大勝利だった。しかし、その後の欧米日の制裁で、ロシア経済はまったく成長しなくなった。

 ロシアは、プーチンの1期目2期目(2000年~08年)、年平均7%の高成長をつづけていた。しかし、クリミアを併合し、経済制裁を科された2014年から2020年の成長率は、年平均0.38%にとどまっている。

 人口1億4600万人のロシアのGDPは、人口5200万人の韓国よりも少ない。つまり、プーチンは戦術的には勝利をおさめたが、戦略的には負けているのだ。

 この例からわかるように、今回もプーチンが「戦略的」「理性的」判断を下すとは限らない。そこで、ウクライナ侵攻の可能性が出てくる。

 結果は、どうなるのだろうか? 

 ロシアは、ドネツク、ルガンスクを完全支配できるようになるだろう。おそらく両州の独立を認めるという形になるはずだが、実際は、「完全属国化」だ。

 だが、欧米(そして日本も)、ロシアに強力な経済制裁を科す。欧米では、「ロシアのドル取引を禁止する」「SWIFTから除外する」などが検討されている。

 具体的にどのような内容になるかは不明だが、いずれにしても、ロシア経済が今以上にボロボロになることだけは間違いないだろう。

 だが、一番悲惨なのは、NATOとロシアに挟まれて翻弄されるウクライナだ。

 米国情報機関の分析によると、ウクライナ侵攻で首都キエフは2日で陥落。5万人の市民が死傷し、最大500万人の難民が発生するとみられている。

 悲劇以外の何物でもないロシアのウクライナ侵攻。プーチンが、将校たちの警告を聞き入れ、思いとどまることを心から願っている。

北野 幸伯(国際関係アナリスト)
参照元:全ロシア将校協会が「プーチン辞任」を要求…! キエフ制圧でも戦略的敗北は避けられない
2/16(水) 6:03 現代ビジネス
ロシアで「反戦デモ」 即時弾圧、プーチン政権に危機感
2022年02月26日07時24分 JIJI.com

 ロシアによるウクライナ侵攻が発表された24日、国内外で「反戦デモ」が同時多発的に開かれた。プーチン政権は首都モスクワで機動隊を投入し、老若男女を問わず参加者を拘束。素早い弾圧の背景にあるのは、自国世論の反発が拡大すれば、作戦遂行に支障を来すとの危機感だ。

 ◇国家による同胞殺害

 「戦争反対」。独立系放送局「ドシチ」によると、国内52都市で計数千人がデモに参加。人権団体OVDインフォの集計では、全土で1800人以上が拘束された。無許可デモが違法で摘発されることを覚悟の上で、人々はプラカードを掲げ、青と黄のウクライナ国旗を振った。

 ロシアとウクライナをまたいで親族を持つ人も多いとされる。2014年のクリミア半島併合やウクライナ東部への軍事介入の際も、ロシア国内で反戦デモが起きたが、今回のような「開戦当日」の大規模なデモ発生は極めて異例だ。

 8年前は非軍事力を組み合わせた「ハイブリッド戦争」で記章のない部隊や義勇兵が参加。ロシアは軍事介入をしていないというのが建前だった。一方、プーチン大統領は24日に「ウクライナでの特殊作戦」開始を発表。今回は正規軍の「戦争」そのものであり、ロシアという国家が同胞の殺りくを行うに等しいと受け止められている。

 ◇ノーベル賞受賞者も

 「自分の国が行っていることが恥ずかしい」。ロシア政府機関の元職員の男性は24日、取材に対して心境を語った。政府内が一枚岩でないことを示唆している。

 21年のノーベル平和賞受賞者で独立系紙「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長ドミトリー・ムラトフ氏は24日、動画の声明で「(プーチン政権内に)戦争を止める人は誰もいない」と悲観。核戦争に発展する恐れもあると警鐘を鳴らした。その上で「ロシア人の反戦運動だけが、この惑星上の命を守ることができる」と話し、政権に異を唱えるよう呼び掛けた。

 ロシア軍の人的損害も既に伝えられる中、人権団体「ロシア兵士の母の会」は、徴兵された若者が、より長期間勤務する契約軍人になるよう強いられ「ウクライナ国境に送られている」と問題提起している。

 ◇「侵略」に憤り

 ロシア軍が侵攻ルートに利用した隣国ベラルーシにも波紋が広がる。ベラルーシ国民は、言語が似ているウクライナへの親近感が強い。ノーベル平和賞候補に挙がる反政権派スベトラーナ・チハノフスカヤ氏は「(ルカシェンコ)政権はわが国を侵略国に変えた」と述べ、憤りをあらわにしている。
参照元:ロシアで「反戦デモ」 即時弾圧、プーチン政権に危機感
2022年02月26日07時24分 JIJI.com
ウクライナ侵攻はプーチンの「戦略的判断ミス」 戦争は独裁者が「誤算」したときに起きる
2022/2/26 17:40 日本放送FM93 AM1242

ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月25日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。24日午前にウクライナ東部での「特殊軍事作戦」の実施を宣言したロシアのプーチン大統領のテレビ演説内容のポイントを解説した。

得られる利益と比べ明らかに不利な「侵攻」をしたのは「戦略的な判断ミス」

宮家)まず一般論として、多くのロシア専門家は「軍事侵攻はないんじゃないか」と言っていたんですよ。もちろん、すべての人ではないですが……。けれども、戦争って実際に起きるんですよ。戦争っていうのは往々にして独裁者が「誤算」をしたときに起きるんです。人間が合理的に判断すれば、こんなバカなことするわけないでしょう。私は、プーチンさんの今回の判断はおそらく戦略的なミスだったと思います。おそらくこれからロシアが被るであろう不利益と、それから仮にウクライナの一部を占領、もしくはウクライナで政権交代をしたとしても、それで得られる利益と比べたら、明らかにロシアにとって不利な判断ですよ。なんでこんな判断するかといえば、どこかで判断を間違えた。もうお年なのか……そんなことはないと思いますけどね、まだ70前でしょ?もしくは何かウクライナに対して特別の感情を持っていたか、理由はわかりませんが、これは後で本人に聞いてみるしかないんですけども、今回僕はこのプーチンさんの戦略的判断ミスがすべてだったと思っています。

その上でこのプーチン大統領のテレビ演説の内容を読みました。要するに、簡単に言うとですね、8年前、得体の知れない人達が何か他国(ウクライナ東部)に入っていって占領して、8年かけて今度は傀儡政権を作って、それで『自国民保護だ』と言って本格的に入っていくわけでしょう。これは「満州事変」ですよね。要するにそれと同じ非常に稚拙なやり方だと私は思う。これで『我々の国境に脅威が迫ってる』……それは逆だろうと……。

アメリカの対応は正しかった

宮家)『イラクの時だって大量破壊兵器はなかっただろう』と、アメリカのインテリジェンスをあざ笑っているわけですが、「ないものを探す」っていうのは、なかなか難しいんですよ。でも今回は、「あるものを上(衛星などからの情報)から見ている」わけだから。多くの人が「プーチンが合理的な判断すれば戦争はない」っていうのはその通りなんだけれども、実際にアメリカの情報は今回正しかったんですよ。なぜ正しいかというと、それは相当程度のことが、上から見えるからです。もちろん、いろいろな情報を総合している。軍隊というのは簡単に「ほい、明日から行け!」っていう組織ではないので、しっかり準備していくものですから、プロが見ればこれが本当に戦闘態勢に入ってるのか入っていないのかって、わかるはずなんです。その意味ではアメリカは今回正しかった。でも、なぜ今回はバンバン情報を出したのでしょうか、普通は出さないですよね。出すとどこから情報を取ったかがわかってしまうわけで、下手したら大勢の人が殺されちゃうわけだから。そのくらい大事な情報をなぜ出したかといえば、おそらくプーチンさんに「俺たち、ここまで知ってるんだぞ」と、「だからやめたほうがいいぞ」というふうに言ったつもりなんだろうけど、やっぱりプーチンさんはそれも聞かなかった。なぜ聞かなかったのか。「判断ミスしたから」ですよ、と私は思う。

さらに『我々の計画にウクライナの領土の占領は含まれていない』とも言っている……うーん、そうかな。まあどっちみちウクライナ全土の占領はできないですが、部分的にはやるのではないかと。

宮家)一番大事なことはですね。戦争をやるときに戦争目的っていうのがあるわけですよ。目的のない戦争なんてないですから。今回ロシアはウクライナに兵を進め『ウクライナ東部での特殊軍事作戦をやった』と、こう言ったわけですけれども、「特殊軍事作戦」とは何を言ってるのか。よくわからないけれども、東部でやるのだとしても、当然のことながらウクライナの「制空権」もしくは「航空優勢」と言いますが、空の支配ですよね、これをやるためには、当然指揮命令系統、飛行場、武器弾薬庫等々を一気にやらないといけない。もちろんサイバー戦などいろいろな手を使うわけですけれども、そうやって制圧をしていくわけですよね。でも、まだここでも戦争の目的がはっきり示されていない。何を求めているのかわからないけれども、もしこうやって戦略目的がよくわからないままに軍事行動だけをしているのであれば、これはやっぱり成功はしないでしょうね、というのが私のイメージでございます。

残念ですけれども、これが始まってしまった以上彼らは、ウクライナを少なくとも中立化させるために相当エネルギーを使って時間をかけて、そして目的を達成しようとするでしょうね。その時にどのくらい経済制裁をわれわれができて、そしてそれで思いとどまらせるかどうかでしょうが、おそらくロシアは言うこと聞かないでしょうね。そういったイメージですね。
参照元:ウクライナ侵攻はプーチンの「戦略的判断ミス」 戦争は独裁者が「誤算」したときに起きる
2022/2/26 17:40 日本放送FM93 AM1242

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • お忙しい中での時事判断のご投稿ご苦労様です

    昨日テレビ報道で触れられていて私も少し前のこととして憶えていたプーチンの健康問題に
    「パーキンソン病の疑い」というのがあります

    イギリスBBCかどこかがその可能性を示唆したのですが
    ルカシェンコ大統領との首脳会談の際にプーチンは左手の方で椅子のひじ掛け下の支えを握りしめる様子が映像に残っており
    やはり海外世論がそれをプーチンのパーキンソン病の進行と見たようです
    (何もしていないと手先が震えるため力を込めてごまかそうとしている所作だと見なされたと思われます)

    私の方はまだまだマンデン的占断力がないため今般の一大事をジョーティッシュし切れないでおりますが
    個人的にウクライナ侵攻に対し発言しているロシア人のラグナ検証を試みました

    https://www.kamura-ayasuke-jortish-daisuki.com/post/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E4%BE%B5%E6%94%BB%E3%81%AB%E5%A3%B0%E3%82%92%E6%8C%99%E3%81%92%E3%82%8B%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E4%BA%BAlgbt%E5%B0%8F%E5%8E%9F%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B9%E6%B0%8F%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%8A%E6%A4%9C%E8%A8%BC
    よろしければご覧下さい

    以上
    • 情報ありがとうございます。

      パーキンソン病というのは、あり得ると思います。

      パーキンソン病の原因は、大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少することで起こるということで、神経細胞の問題ということであれば、水星が表示体となります。

      水星が8、11室支配の機能的凶星で、蠍座ラグナにとってはマラカでもある為、健康問題を引き起こします。

      パーキンソン病は難病、奇病ということになっており、ドパミン神経細胞が減少する理由自体は分からず、原因不明の疾患で、まさに8室の象意が現れています。

      プーチンは、自分の健康問題にも直面して、尚更、冷静な判断が出来なくなったとも考えられます。

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