11室の象意について

11室の象意は社会的成功者であり、経済的に成功した社会の有力者である。 

然し、11室はウパチャヤハウスであり、またトリシャダハウスである。 
最も収入を得られる、また社会的にも飛びぬけて高い地位や称号を表すハウスにも関わらず、インド占星術の体系の中での位置づけはあまり良くないのである。 

惑星がこのハウスを支配する場合、もう一方が6、8、12室などのドゥシュタナハウスである場合、ドゥシュタナハウスの凶意を最大限に引き出すと言われている。 

この例として、牡牛座ラグナにとっての8、11室支配の木星は機能的な大凶星であり、あるいは射手座ラグナにとっての6、11室支配の金星は機能的な大凶星である。 

また11室を展開すると、6室から6室目であり、12室から12室目である。 
あるハウスから同じだけ進んだハウスはそのハウスの本質を表すという法則があり、11室は6室の本質であり、12室の本質である。 

そういった11室の本質について考える時に思い浮かぶのが、ロックフェラーやロスチャイルドなどの世界の大富豪である。あるいはビルゲイツなどを思い浮かべてみてもいいかもしれない。 

彼らの伝記などを読むと、彼らのビジネスが発展期にあった時、彼らが策略家でしばしば手段を選ばず、市場を独占するために競争相手を容赦なく叩きつぶし、露骨に闘争してきた血なまぐさい経歴が必ずあるのである。 

そして彼らが闘争に勝利して社会の有力者となり、ゆとりが出てくると、晩年などに慈善家として名をはせるのである。そして、その慈善家としてのPRにかなり成功して、彼らは晩年には社会に貢献する名士としてのイメージが定着するのである。 

然し、彼らの本質は6室から6室が表すように闘争の中の闘争を戦い抜いてきた非常に血の経歴を持つ人物たちであり、決して競争に勝たなければその地位を築くことはできなかったのである。 

また11室は12室から12室目であり、12室の本質を表している。 
これは何を意味するのであろうか? 

まず、12室から12室目であるということは12室を失う(12室目)ハウスであるということである。つまり、解脱や悟りを失うのである。12室には献金とか、縁の下の力持ちとして誰にも知られないところで社会に貢献することを表しているが、こうした自分の自我の拡大を伴わない奉仕の生活を送る機会を損失するのである。 

であるから、彼らの奉仕は非常に自己主張が激しく、しばしばその奉仕活動は自分のPRのための戦略的な投資である。常に奉仕には最終的に自分の利益になるようにするための計算が含まれるのである。 
つまり功利的な活動であり、ビジネスの一部分なのである。 

従って、彼らは本当の意味で自分を捨てることが出来ないし、本当の意味での悟りに到達することもなく、あり余ったお金で、物質欲を既に満たしたために今度は精神的な価値を買おうとしているのである。 
そして、私の解釈では12室から12室であることが表す12室の本質とは、社会的に成功しても本当の意味での自分の解脱を失っている、損失の人というものである。 

従って、11室が解脱のための最後の誘惑と言われるように、11室が強い人は成功してしまうがために、自分の動機を精密に調べる機会や真の精神的な価値に気づく機会を失ってしまうのである。 

然し、そうして成功した人たちは晩年にむなしさを訴えることがしばしばあるのである。 
例えばジョージ・ソロスはかつてイングランド銀行のポンド売りを仕掛けて、勝利したり、アジアの通貨危機などを利用して莫大な財を築いた人物であるが、その後、慈善的な活動を行って、何か精神的な価値への転換を示しつつも、自著の中で”私の人生は無駄だった”というような意味の言葉を述べているようである。つまりは経済的な成功は何にもならなかったということを訴えている。 

大富豪が死に際にむなしさを訴えたりする逸話はかなり多いようである。 

実際、私の友人も経済的に成功した後で、お金があっても幸せにはなれないよと言っているが、経済的に成功する前はその人はがむしゃらに経済的な成功を求めて努力していた。 


しかし、11室は12室の一歩手前の部屋であり、11室の結果を表す2室目の部屋が12室であることから、解脱の可能性を秘めた部屋であるとも言えるのである。 


インドのグルが”解脱するためにはまず成功しなければならない。自分が手に入れたものだけを人は手放すことができる”というような意味のことを言っている。 

聖者ババジが弟子ラヒリ・マハサヤの最後の物質欲を放棄させるために宮殿を物質化したことは、パラマハンサ・ヨガナンダ著「あるヨギの自叙伝」の中で伝えられる有名な逸話である。 

従って、11室の成功の度合いは解脱した場合の解脱の度合いを測る重要なパラメーターである。 
つまり、成功している度合いが大きいほど、それがむなしくなって悟りに関心が向かう場合のエネルギーも大きいのである。 

最初から何も持っていない人は何も失うことはできないのである。従って、解脱のためには捨てるものが必要であり、それは大きければ大きいほど、悟りに達していく過程は劇的である。 

しかし、11室が強い人はその生涯では富を追い求めて生きる傾向があり、大抵の場合、晩年に精神的な価値観を追求して、富を放棄することを試してみるが、最後までやりきれなかったりするのである。 

従って、富への執着を最後まで捨てきれずに死んでいく人も多く、そうした人は解脱の誘惑のステージに留まった段階にいる人と言える。 

こうして考えると11室には解脱を損失する傾向があり、解脱の一歩手前として、次に解脱していくために必要な体験をする時期であるとも言える。 

そう考えると、解脱を損失する部屋(12室を損失)という象意ばかりでなく、12室から12室目という法則が示す解脱の本質という肯定的な象意も示しているのかもしれない。 

しかし通常、観察する上では11室は解脱の本質としてよりも、解脱を失う部屋、あるいは物質欲から離れた本質的な価値を失うという意味での本質的な損失の部屋という象意であると考えた方が、考えやすいようである。 

このような基準で考えて、ビルゲイツが、最近、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の資産を夫妻の死後50年以内に全額寄付し、活動を終えると発表したことは、11室の象意を超えて、12室の象意に向かいつつある傾向が見られるのである。大抵の人は自分の死後も財団が存続し、家族や親族に遺産を残し、自分の自我の延長物が死後も存続するように図るものであるが、全額寄付し切って活動を終えるというのは完全に0になるという意味であり、物質以上の価値を知っている人でないと出てこない発想である。 

しかし、その彼でさえもマイクロソフトの発展期には非常に手段を選ばずに競争相手をつぶしてきたのはよく知られている。日本で開発されたトロン(OS)はマイクロソフトに市場から政治的に締め出されたそうである。 


このような11室の象意を考えるとき、世界の資源や財の大部分を握りしめているロックフェラー財閥やロスチャイルド財閥はその象意から考えて11室である。 

ユダヤ人問題でも触れているが、彼らがいくら進化しているとしても、彼らの根本的な問題は物質への欲望が手放せないことである。 

それに対して、覚者方は物質の誘惑から完全に解放された方々であり、彼らは現在までずっと、世界の山脈や砂漠などの隠遁地から人類を見守り、保護してきたのであり、完全に12室の象意の中にいるのである。 

何故、11室が地位が高く、非常に幸福に見えるにも関わらず、ハウスの吉凶としてはニュートラルハウス(中立)で、トリシャダハウス(欲望)で、ウパチャヤハウス(努力)であり、支配した場合、惑星が機能的凶星化し、インド占星術の位置づけの中ではそれほど良いハウスとは位置づけられていないのかを考えるとき、インド文化の霊的傾向を考えると非常によく理解できる。また11室の性質は実際に世界で成功した人たちの人生を研究することによって理解可能である。 
















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11室の象意について」への1件のフィードバック

  1. you

    11室は6室の6室目に当たるハウスであり、同時に12室の12室目に当たるハウスですね。
    トリシャダ・ハウス、ウパチャヤハウス、カーマハウスの側面を持っています。ナチュラルゾディアックで水瓶座のハウスにあたり、木星が表示星です。何故11室が凶意が強いハウスに分類されるのか、それは火星が土星のハウスで強くなるからではないでしょうか。また水瓶座は壺と職人の星座で、人の集まりを意味します。だから、土星は天秤座で高揚するのでしょう。
    11室は10室の2室目に当たるハウスで、成功をその象意とする解釈をよく見受けますが、もっと身近なものに言い換えれば、11室の成功や称号とはコツを掴むハウスという事ではないでしょうか。コツを掴むことができるのはその事で努力した為の結果です。エジソンの発明も、フレミングのペニシリンの発見も、その努力の結果で、そしてこれらの事は今日では、人類の歴史を発展させた偉大な業績として高く評価されています。
    別の言い方は壺を押さえるですが、それは物事の大事な部分を見極め、そこを狙うこと勘所を押さえる という事で、つまりは急所を突くという事です。急所のありかを知る事ができるのも、やはり努力したからです。12室は10室から見た、3室目に当たりますが、11室が12室の12室にあたるのは、3室が2室の2室目のハウスに該当する事の裏返しです。人の呼吸とは口と鼻を用いて行われるのですから。
    つまりは、12室もまた、その評価のハウスなのです。11室の、評価、称号をめぐって戦い、敗れた者を表すのです。
    ヨハン・クライフ擁したオランダは1974年のW杯でベッケンバウアー擁する西ドイツに決勝戦で敗れ世界一の称号を取り損ねたが、クライフとその当時のオランダ代表チームの面々は約半世紀経た今も尚その評価と名声は揺ぎ無い。

    6室は敵のハウスで11室はその6室目に当たりますが、こういう見方も可能なのではないかと思い、以下の事を考察します。
    6室の6室目に当たることから、敵の怒りを買うハウス。つまり、その評価を得て、その人物が改めて敵だと認識できることを示している。5室との対比からこの見解に達しました。5室は6室の12室目に位置し、対抗心などその象意を失うハウスですが、11室の対向のハウスであり、自分がその評価を得てもなお、自分を祝福してくれた相手、それを示すのではないか。7室から見て5室目に当たるので、それが相手を幸福にするのではないか。
    つまり、真の意味での友達がわかるのである。だが、そこから心の安定と安心を得ることは難しい。11室から見て6室は8室目にあたるので、嫌でも敵を作ってしまうのでしょう。
    お金がない!という織田裕二主演のドラマがありますが、織田裕二演じる主人公が石橋凌演じる社長にその手腕を評価されて社の業績に関わる重大な会合に誘われ、その時に「但し、これからは焼き肉のような食事はできなくなることを覚悟してくれ」という事を言われたシーンがありました。11室が4室から見て8室目にあたるという位置関係がこれを連想させてくれます。
    ちなみに主人公がその会社で最初に接触した東幹久演じる社員は最後まで主人公の友人でい続けました。

    また、11室が貪りのハウスであるという解釈は6室の6室である上に、12室の12室つまり12室の意味する霊性を損失しているからではないでしょうか。8室が10室目に当たるのも関係しているかもしれませんが、12室の霊性や損失を失う。つまりこれは、疑心暗鬼の状態、或は失敗を恐れるのです。そして寡占を表します。
    12室は流通を表す3室の10室目に当たり、物事の伝播を表します。捉え方によっては、流出と読めます。
    江戸時代の外科医、華岡青洲は自身の研究した流派を弟子たちに門外不出と説きましたが、12室支配星が11室に在住したホロスコープをしているのかもしれません。
    11室が最凶のトリシャダハウスで最も強い凶意があるという解釈はこの位置関係が機能しているためにそうした解釈が成立するのでしょう。
    長文で失礼

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