植田 訓央(うえだ のりお)・カリカリ博士

1933/3/3 AM 8:00 大阪府大阪市天王寺区

カリカリ博士といえば占星術界では有名人である。

彼の弟子が最近、「スピカ占星術」という本を出版し、彼の写真や遺稿を掲載しており、その本に彼の出生データが載っていたので、ここに掲載する。

 

魚座ラグナで生まれついての神秘家である。ラグナには4、7室支配の水星が在住し、天王星とコンジャンクトしている。

水星が魚座で減衰しており、論理性や客観性よりも主観性、感覚・情緒・フィーリング、イメージ、夢、霊感など非論理性を尊重する配置である。

彼の書物の中で理論的に語られているのは、科学技術を表す天王星が水星とコンジャンクトしているからかもしれないが、根本的には彼は理論よりも感性を重視するタイプであったと思われる。

然し、アセンダントに水星がコンジャンクトし、天王星や土星がコンジャンクトしているのは、占星術(水星)と天王星、土星(科学)を表現することがASC(自分の人生全般や評判、名声)に大きく関わってくるということを示している。

1、10室支配の木星Rと2、9室支配の火星R、ケートゥが6室でコンジャンクトしており、ラージャヨーガを形成している。彼の仕事が献身、奉仕であると同時に闘争的であったということを示しているかもしれない。彼はしばしばクライアントにはっきりと白黒ついたことを言うので、クライアントがそうした言い方をして以来、来なくなったというようなことがスピカ占星術に書いてある。

6室に火星、ケートゥなどの凶星が在住しているので、集中力があり、勝負強いことを示している。木星は、10室の定座にアスペクトし、火星も9室の定座にアスペクトする為、非常に9室の宗教性、精神性、10室、社会的に高い地位、徳のある行為など9室と10室の象意を高めている。然し、木星、火星とも逆行しており、性格に少し後ろ向きな癖があったと思われる。

また6室には海王星も在住しており、非常に惑星集中している。彼は敵が多く、借金、病気などに見舞われることも多かったように思われる。(しかし、病気に関しては月から6室目に惑星集中の場合に起こる例は2、3見ているがアセンダントは検証不十分)

6室が強いと敵から賞賛されたり、助けられたり、評価されることを示している。

木星にケートゥがコンジャンクトしており、ケートゥは、精神性を表す。木星にケートゥが関わることにより、オカルトへの興味や精神世界への趣向が強まったと思われる。

また3室には5室支配の月が在住して高揚しているが、3室はTV、ラジオ、出版などのあらゆる情報媒体やその媒体に載せるコンテンツ(小説、文筆、芸能)などを表す。また短距離に動き回ることも表す。彼はTV番組「男と女でダバダバだ」に出演したり、書籍も何冊か執筆している。(「占星術ワークブック」魔女の家BOOKS等)

5室は創造、子供、出産の部屋であり、知識から創造した思想や識別を出版媒体(3室)に産み落とすという象意が見られる。

3、8室支配の金星、定座で強いラーフ、6室支配の太陽がコンジャンクトしており、12室は性生活を表すため、彼が人に見えないプライベートな空間では、配偶者や相手を悩ますような行動をしていたかもしれない。3、6、8、12室という絡みは相当、良くないコンビネーションで、困難、争い、苦悩、損失、別離などあらゆる不幸の象意が12室に集中しているのである。

彼が決してクリーンな人物ではなく、影に裏の顔を持っているのではないかと予感させるのはこの辺りからである。

また繰り返すが、彼の4、7室支配の機能的凶星化した水星はアセンダントで減衰しており、論理的間違いをする傾向が見られる。論理が苦手であるということを示している。

然し、彼の11室で定座で強い土星がこの水星にアスペクトし、彼にパソコンが苦手であってもそれに根気良く取り組む忍耐力やデジタルカメラの操作を短期間でマスターする能力を与えている。水星は減衰しており、決して水星の力で論理的な科学技術に精通した訳ではなく、天王星や土星の影響と思われる。

11室は名誉、名声、収入、願望成就の部屋であり、土星が定座に在住していることは、これらを得ることを示すが、12室も支配し、これらを損失することも同時に示している。

このようにアセンダントから見たとき、彼は6室と12室のドシュタナに惑星が集中しており、非常に困難な生涯であったと言える。

 

次にチャンドララグナから見ると、1、6室支配の金星が4室支配の太陽、ラーフと10室に在住し、ラージャヨーガを形成し、社会的に地位が向上すると同時に障害(6室)もある配置をしている。

2、5室支配の水星は11室で減衰しており、7、12室支配の火星と8、11室支配の木星は5室でコンジャンクトしている。

この配置により、配偶者やその候補との恋愛関係(5室)において、苦悩や不道徳(8室)が生じたり、願望や欲望(11室)が強すぎることによる苦悩(8室)などをテーマとして表している。

このようにチャンドララグナでもあまり配置的に良くないが、9、10室支配のラージャヨーガカラカの土星が9室定座で強いのは非常に良く責任感が強く忍耐強く、また正しい行動によって、社会的地位を得る象意が表れている。

次にナヴァムシャチャートを見ると、2、11室支配の木星と4、9室支配の金星が10室でコンジャンクトしており、ラージャヨーガ、ダナヨーガを形成している。

10室は蠍座であり、粘り強い行動による社会的地位を表しており、彼が不道徳な印象を与えるのはこの配置によるものに思える。

 

また最後に、アートマカラカの木星がナヴァムシャで蠍座に在住しているが、アートマカラカが蠍座に在住するとき、幼い頃母親の滋養を十分に受けられないで育ったことによるトラウマがあり、心理的に不安定で、屈折したところが見られるという。こうした人のテーマは精神的に自立し、不足した愛情を補うように精神的に自立することが求められると言われる。

然し、これはアートマカラカがナヴァムシャで傷ついている場合であり、それがラージャヨーガカラカの金星とコンジャンクトしている場合はそうでないかもしれない。

アートマカラカのナヴァムシャの配置は重要であり、その人の性格や行動傾向をある程度、決定していると思われる。

こうして、ざっと見てきたが、詳しい経歴の検証は今回はしないで、ざっと、ラシチャート、ナヴァムシャチャートを大まかに捉えた。実際に細かく検証するのは、経歴データを収集してからになる。

 

 

 

(資料)